JPH0649392Y2 - 逃し穴付き成形型 - Google Patents

逃し穴付き成形型

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JPH0649392Y2
JPH0649392Y2 JP2587188U JP2587188U JPH0649392Y2 JP H0649392 Y2 JPH0649392 Y2 JP H0649392Y2 JP 2587188 U JP2587188 U JP 2587188U JP 2587188 U JP2587188 U JP 2587188U JP H0649392 Y2 JPH0649392 Y2 JP H0649392Y2
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芳樹 横尾
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Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は、成形面に成形素材が押圧されることによって
その成形素材を塑性変形させる成形型に係り、特に、成
形時に上記成形素材との間に密封される潤滑剤や空気等
を逃がす逃し穴を備えた成形型の改良に関するものであ
る。
従来技術 成形面に成形素材が押圧されることによってその成形素
材を成形面に対応する形状に塑性変形させる成形型が、
例えば鍛造加工等において用いられているが、このよう
な成形型においては、その成形時に上記成形素材との間
に密封空間が形成され、潤滑剤や空気等が密封される場
合がある。例えば、テーパスプラインの成形と、その先
端のチャンファ部の成形とを1工程で行う成形型におい
ては、チャンファ部を成形する部分に上記密封空間が形
成されることがある。
そして、このような密封空間が形成されると、その部分
への成形素材の流動が阻害されて成形精度が損なわれ
る。このため、従来から、その密封空間が形成される部
位に逃し穴を形成し、その逃し穴から前記潤滑剤や空気
等を逃がすようにしている。実開昭61-22242号公報に記
載されている成形型はその一例である。
考案が解決しようとする課題 しかしながら、かかる従来の逃し穴付き成形型において
は、その逃し穴内に成形素材が入り込んで成形品に突起
が生じたり、入り込んだ成形素材がそのまま逃し穴内に
残ってその逃し穴を塞いでしまったりする問題があっ
た。
これに対し、上記逃し穴の径寸法を成形素材が入り込ま
ない程度に小さくすることが考えられるが、その場合に
は面倒で精密な穴明け加工が要求され、成形型の製造能
率が低下するとともにコスト高となってしまうのであ
る。
本考案は以上の事情を背景として為されたもので、その
目的とするところは、密封空間から潤滑剤等を逃がすた
めの逃し穴であって成形素材の侵入がないものを容易か
つ能率的に加工できるようにすることにある。
課題を解決するための手段 かかる目的を達成するために、本考案は、成形面に成形
素材が押圧されることによってその成形素材をその成形
面に対応する形状に塑性変形させる成形型において、前
記成形面上であって前記成形素材との間に密封空間が形
成される部位に逃し穴を設けるとともに、その逃し穴の
内壁面との間に隙間が形成される心材を、一端部が前記
成形面と略一致するようにその逃し穴内に位置させた状
態で固設し、その隙間から前記密封空間内に密封された
流体を逃がすようにしたことを特徴とする。
作用および考案の効果 このような逃し穴付き成形型においては、成形面に設け
られた逃し穴内に位置させられた状態で心材が固設さ
れ、密封空間内に密封された潤滑剤や空気等の流体はそ
の心材と逃し穴との隙間から外部に排出される。この場
合に、上記隙間の大きさは固設する心材の太さによって
容易に調整することが可能で、その太さを、成形素材の
流動性や密封空間内に密封される流体の粘度などを考慮
して、上記逃し穴からの流体の流出を許容しつつその逃
し穴内への成形素材の侵入を阻止するように設定すれ
ば、流体の密封に起因して成形品の形状が損なわれるこ
とが防止されるとともに、逃し穴内への成形素材の侵入
に伴って成形品に突起が生じたり、入り込んだ成形素材
がそのまま逃し穴内に残ってその逃し穴を塞いでしまっ
たりすることもなくなる。
また、このように心材の太さによって隙間の大きさが調
整されるところから、成形素材の侵入等に関して逃し穴
の大きさが制約されることはなくなる。したがって、そ
の逃し穴の大きさについては、その加工手段や加工能率
等を考慮して容易かつ能率的に加工できる大きさに設定
することが可能となる。
このように、かかる本考案の逃し穴付き成形型によれ
ば、心材の太さを適当に設定することにより、成形素材
の侵入を防止しつつ密封空間内の流体を良好に排出でき
るようになるのであり、また、そのために成形型の成形
面に設けられる逃し穴は、その大きさを特に小さくする
必要がないため容易かつ能率的に加工できる。
実施例 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。
第1図はテーパスプラインを鍛造加工するための鍛造型
を示す縦断面図である。かかる第1図において、10は本
考案の一実施例である逃し穴付き成形型としての固定パ
ンチであり、この固定パンチ10の上方にはダイス12内を
上下駆動される可動パンチ14が配設されている。ダイス
12内には円環形状の成形素材16が配置されるようになっ
ており、可動パンチ14により固定パンチ10上に押圧され
ることにより、その成形素材16は固定パンチ10,ダイス1
2および可動パンチ14によって囲まれた空間形状に沿っ
て塑性変形させられる。なお、固定パンチ10の周囲には
ノックアウト18が配設され、エジェクタピン20によって
突き上げられることにより、加工後の成形品を固定パン
チ10から離型するようになっている。
上記固定パンチ10は、円柱形状を成す本体ブロック22
と、その本体ブロック22の上端に一体的に固設された頭
部ブロック24とから成り、頭部ブロック24の外周面26に
は、第2図および第3図にも示されているように、形成
すべきテーパスプラインに対応して複数の溝28が軸方向
に形成されている。また、本体ブロック22の上端面であ
って上記溝28に連なる部分には、それぞれ円弧形状の凹
部30が形成されている。この凹部30は、前記テーパスプ
ラインの先端のチャンファ部に対応するもので、前記成
形素材16にはテーパスプラインおよびその先端のチャン
ファ部の鍛造成形が1工程で行われる。すなわち、固定
パンチ10の成形面は、上記溝28を含む外周面26および凹
部30を含んで構成されているのである。
ここで、上記凹部30には、鍛造成形する過程で第5図に
示されているように前記成形素材16とによって密封空間
32が形成され、固定パンチ10と成形素材16との焼付きを
防止するために使用される潤滑剤がその密封空間32内に
密封される。このため、その凹部30には、その潤滑剤を
逃がすために断面円形の逃し穴34が開口させられてい
る。この逃し穴34は、本体ブロック22の軸心に形成され
た貫通孔36(第1図参照)を介して外部に連通させられ
ているとともに、逃し穴34内には断面円形のワイヤ38が
埋設されている。ワイヤ38は心材を成すもので、その径
寸法は逃し穴34の径寸法よりも小さく、逃し穴34の内壁
面との間に隙間が形成されるようになっている。また、
このワイヤ38は、一端部が逃し穴34の開口部すなわち前
記凹部30と略一致する位置で、他端部において本体ブロ
ック22に固設されている。これにより、上記密封空間32
内に密封された潤滑剤は、逃し穴34とワイヤ38との間の
隙間から流出させられることとなる。
上記逃し穴34とワイヤ38との間の隙間の大きさは、ワイ
ヤ38の太さによって容易に調整することが可能であり、
そのワイヤ38の太さは、成形素材16の流動性や密封空間
32内に密封される潤滑剤の粘度などを考慮して、その潤
滑剤が逃し穴34、厳密にはワイヤ38との間の隙間から流
出することを許容しつつ、その逃し穴34内に成形素材16
が入り込まないように設定される。また、逃し穴34の大
きさは、加工手段や加工能率等を考慮して容易かつ能率
的に加工できる大きさに設定される。この実施例では、
逃し穴34は簡便な放電加工によって穿設されており、そ
の直径寸法は0.35mmでワイヤ38の直径寸法は0.2mmであ
る。なお、成形素材16の材質はクロム鋼(SCR420H)、
常温加工、潤滑剤はサルクラットX550(協同油脂(株)
の商品名)で、逃し穴34の直径寸法を0.35mmとしたの
は、それ以下の径寸法で深さ10mm以上の直線穴を放電加
工によって形成することは困難なためであり、ワイヤ38
の直径寸法0.2mmは、逃し穴34の直径寸法を0.35mmとし
た場合に逃し穴34とワイヤ38との隙間から潤滑剤が流出
するとともにその隙間内に成形素材16が入り込むことを
防止できる直径寸法を予め実験的に求めたものである。
また、このような本実施例の固定パンチ10は、本体ブロ
ック22に逃し穴34を形成してその逃し穴34内にワイヤ38
を挿し通し、接着剤39等によりそのワイヤ38の他端部を
本体ブロック22に固定した後、その本体ブロック22の上
端に、複数の凹部30に対して溝28が一致する位相に頭部
ブロック24を合わせて固設することによって製造され
る。ワイヤ38と逃し穴34との間の隙間を均一にする上
で、ワイヤ38の少なくとも一端部は逃し穴34の中心に位
置させることが望ましいが、偏心していたり逃し穴34の
内壁面に接触していたりしても差支えない。
そして、かかる固定パンチ10を用いて成形素材16に鍛造
加工を行うと、その成形素材16は先ず、第4図に示され
ているように頭部ブロック24の外周面26の形状に沿って
塑性変形させられ、溝28に対応するテーパスプラインが
形成される。成形素材16が更に下方へ押圧され、その先
端が本体ブロック22の凹部30に達すると、第5図に示さ
れているように、その凹部30と成形素材16との間には密
封空間32が形成されるが、その密封空間32内に密封され
た潤滑剤は逃し穴34から排出される。そして、第6図に
示されているように上記テーパスプラインの先端が凹部
30に密着させられることにより、その先端には凹部30に
対応するチャンファ部が形成される。
ここで、上記逃し穴34内にはワイヤ38が埋設され、潤滑
剤の流出を許容しつつ成形素材16がその逃し穴34内に入
り込まないようにされているため、密封空間32内に密封
された潤滑剤は良好に排出され、テーパスプラインの先
端には凹部30に対応する形状のチャンファ部が精度良く
成形される一方、その逃し穴34内に成形素材16が入り込
んでチャンファ部に突起が生じたり、入り込んだ成形素
材16がそのまま逃し穴34内に残ってその逃し穴34を塞い
でしまったりする恐れはない。
また、上記のように逃し穴34内への成形素材16の侵入は
ワイヤ38によって防止されるところから、逃し穴34を特
に小径とする必要がなく、その逃し穴34は容易かつ能率
的に加工できる大きさに設定されているため、その逃し
穴34の加工を含む固定パンチ10の型加工が容易となり、
固定パンチ10が能率的かつ安価に製造され得るようにな
る。
これに対し、例えば第8図に示されている固定パンチ50
のように、単に逃し穴52を設けただけの場合には、その
逃し穴52内に成形素材16が入り込み、同図に示されてい
るようにチャンファ部に突起54が生じたり、第9図に示
されているように逃し穴52内に入り込んだ成形素材16が
そのまま残ってその逃し穴52を塞いでしまったりするこ
とがあったのである。
以上、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明し
たが、本考案は他の態様で実施することもできる。
例えば、前記実施例ではテーパスプラインを鍛造加工す
る固定パンチ14に本考案が適用された場合について説明
したが、成形過程において成形面と成形素材との間に密
封空間が形成される成形型には本考案は同様に適用され
得る。
また、前記実施例では断面円形の逃し穴34内に断面円形
のワイヤ38を埋設するようになっているが、これ等の断
面形状は必ずしも円形に限定されるものではない。
また、前記実施例の逃し穴34の径寸法は0.35mmでワイヤ
38の径寸法は0.2mmであるが、これ等の寸法を適宜変更
し得ることは勿論である。
また、前記実施例の逃し穴34は貫通孔36を介して外部に
連通させられているが、固定パンチ10内に油溜等を設け
て潤滑剤を溜めておき、定期的に排除するようにしても
差支えない。
また、前記実施例のワイヤ38は、その他端部が逃し穴34
を貫通させられて本体ブロック22に固定されるようにな
っているが、ワイヤ38を逃し穴34の内壁面に、例えば図
7に示すようによく知られた止めねじ40等の手段によっ
て固定することも可能である。
その他一々例示はしないが、本考案は当業者の知識に基
づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例である逃し穴付き成形型とし
ての固定パンチを備えた鍛造型の縦断面図である。第2
図は第1図の鍛造型における固定パンチの要部を示す斜
視図である。第3図は第2図の固定パンチの要部を示す
縦断面図である。第4図〜第6図は第1図の鍛造型の作
動を説明する要部断面図で、第4図はテーパスプライン
が鍛造成形される段階、第5図は密封空間が形成される
段階、第6図はチャンファ部が鍛造形成される段階をそ
れぞれ示す図である。第7図は、本考案の他の実施例を
示す図で、ワイヤの固定方法の異なる態様を示す断面図
である。第8図および第9図はそれぞれ従来の逃し穴付
き成形型の一例を説明する断面図であり、第8図は成形
品に突起が生じた場合を示す図で、第9図は逃し穴内に
成形素材が詰まった場合を示す図である。 10:固定パンチ(逃し穴付き成形型) 16:成形素材、26:外周面 28:溝、30:凹部 32:密封空間、34:逃し穴 38:ワイヤ(心材)

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】成形面(26,28,30)に成形素材(16)が押
    圧されることによって該成形素材(16)を該成形面(2
    6,28,30)に対応する形状に塑性変形させる成形型(1
    0)において、 前記成形面(26,28,30)上であって前記成形素材(16)
    との間に密封空間(32)が形成される部位(30)に逃し
    穴(34)を設けるとともに、該逃し穴(34)の内壁面と
    の間に隙間が形成される心材(38)を、一端部が前記成
    形面(30)と略一致するように該逃し穴(34)内に位置
    させた状態で固設し、該隙間から前記密封空間(32)内
    に密封された流体を逃がすようにしたことを特徴とする
    逃し穴付き成形型。
JP2587188U 1988-02-26 1988-02-26 逃し穴付き成形型 Expired - Lifetime JPH0649392Y2 (ja)

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JPH01128933U JPH01128933U (ja) 1989-09-01
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