JP2000140984A - 等速ジョイント用内輪の製造方法および装置 - Google Patents

等速ジョイント用内輪の製造方法および装置

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JP2000140984A JP10312320A JP31232098A JP2000140984A JP 2000140984 A JP2000140984 A JP 2000140984A JP 10312320 A JP10312320 A JP 10312320A JP 31232098 A JP31232098 A JP 31232098A JP 2000140984 A JP2000140984 A JP 2000140984A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半径方向に移動可能な複数の分割ダイス22
を、素形材1を取り囲むように放射状に配置し、各分割
ダイス22の内端24に製品の溝を成形するための突起24a
を設け、分割ダイス22の外端26と係合して分割ダイス22
を半径方向に位置決めするためのダイスベース30を具備
した鍛造成形装置において、製品の溝に要求される高精
度の円周ピッチや傾斜角度を実現する。 【解決手段】 ダイスベース30に、円周方向で互いに独
立し、分割ダイス22の外端部の形状を転写した形状を有
する凹部32を設けることにより、分割ダイス22を円周方
向にも位置決めする。たとえば、分割ダイス22の外端26
の側面26aを、分割ダイス22の内端24側から外端26側に
ゆくほど先細となり、かつ、底面側から頂面側にゆくほ
ど先細となるテーパ面とし、かつ、ダイスベース30に、
分割ダイス22の側面26aの形状を転写した形状に相当す
る壁面34aを具備した凹部34を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、等速ジョイント
の内輪またはその中間品を製造するための方法および装
置に関するもので、たとえば、回転軸に対して傾斜した
ボール溝を有するいわゆるレブロジョイント(Cross Gr
oove Universal Joint)用内輪またはその中間品の鍛造
成形に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】等速ジョイントは自動車や各種産業機械
の動力伝達系など、互いに角度をなす回転軸を連結して
動力を伝達する用途に広く使用されている。ボール型の
等速ジョイントは、ケージと称される保持器で保持した
ボールを、内外輪の溝内に位置させ、その溝中心をジョ
イント中心に対して反対方向に等距離だけオフセットさ
せることにより、ボールを入出力軸の二等分面上に維持
し、等速性を保つものである。レブロジョイントは、外
輪と内輪のボール溝を互いに回転軸に対して等角度だけ
対象に傾けることにより、等速ジョイントの条件を満た
すとともに伸縮性をもたせている。
【0003】図6に、レブロジョイント用の内輪または
その中間品(以下、製品と称する。)の形状を示す。図
中、符号12は等速ジョイントとして組み立てられた場合
にボールが転動するボール溝を指し、製品(10)の外周
の6箇所に形成されている。これらのボール溝(12)は
製品(10)の軸線に対して傾斜しており、かつ、隣接す
るボール溝(12)は互いに逆向きに傾斜している。ボー
ル溝(12)以外の外周面部(14)は、ほぼ部分球面状で
ある。
【0004】レブロジョイントの内輪は、異形形状の部
品であるために、従来一般には、鍛造加工および機械加
工によって製造している。すなわち、ボール溝を成形す
るための突起を内端に形成した複数の分割ダイスを、素
形材を取り囲んで円周方向に等間隔に配置し、素形材を
一対のパンチで軸線方向に加圧して半径方向に張り出さ
せることによってボール溝を成形する。
【0005】ボール溝を成形するための鍛造ダイスは、
たとえば特開昭57−56132号公報や特開昭62−
193938号公報に示されているように、従来、円周
方向に製品の溝数に分割されており、ダイスの円周方向
位置決めはダイスを放射線状に案内するガイド金型を設
け、その中にダイスを収めて行うとともに、ダイスの半
径方向位置決めはダイス背面を円錐面として、その外側
に内径に円錐面を有するリングを嵌合することにより行
っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法ではダ
イスが放射線状にガイド金型を摺動することになり、ダ
イスと金型との間にすきまが必要である。このため、ダ
イスの円周方向の位置決めをするガイド金型のガイド幅
がダイス幅寸法より大きくなり、製品の円周方向の精度
を良くすることが困難である。さらに、ダイス背面が円
錐面の一部であるので傾きに対する剛性が弱く、加工圧
力によりダイスの倒れが生じ、傾斜溝角度の精度を良く
することが難しい。したがって、製品傾斜溝の円周ピッ
チおよび傾斜角度を精度よく成形することが不十分であ
る。
【0007】この発明の目的は、上述の問題点を解消
し、製品の溝に要求される高精度の円周ピッチや傾斜角
度を実現し得る鍛造成形装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の等速ジョイン
ト用内輪の製造方法は、ボール溝成形用の複数の突起を
素形材の外周に等配するとともに、素形材を軸線方向に
加圧して外周に張り出させることによりボール溝を成形
するようにした等速ジョイント用内輪の製造方法におい
て、内端に製品の溝を成形するための突起を設けた複数
の分割ダイスを、素形材を取り囲むように放射状に、か
つ、半径方向に移動可能に配置し、各分割ダイスを半径
方向および円周方向に位置決めした状態で、上記加圧を
行なうことを特徴とする(請求項1)。
【0009】この発明の等速ジョイント用内輪の製造装
置は、内端に製品の溝を成形するための突起を設けた、
半径方向に移動可能な複数の分割ダイスを、素形材を取
り囲むように放射状に配置してなるダイスと、分割ダイ
スの外端と係合して分割ダイスを半径方向に位置決めす
るためのダイスベースとを具備し、前記ダイスベース
に、円周方向で互いに独立し、分割ダイスの外端部の形
状を転写した形状を有する凹部を設けたことを特徴とす
る(請求項2)。
【0010】ダイスベースの凹部にて分割ダイスの外端
部をしっかりと抱えた状態で半径方向のみならず円周方
向にも位置決めする構造であるため、成形操作の間、分
割ダイスはダイスベースとすきまなく密着することにな
る。すなわち、加工圧力により、ダイスベースの凹部と
分割ダイスの外端部が高い剛性をもって密着する。した
がって、製品傾斜溝に要求される高精度な円周ピッチや
傾斜角度が得られる。
【0011】分割ダイスの後端部とダイスベースの凹部
とは互いに転写した形状(輪郭)で、嵌合し得る関係に
ある。たとえば、請求項3の発明では、分割ダイスの外
端が、円周方向に面した側面と、外径方向に面した外端
面とを有し、前記側面が、分割ダイスの内端側から外端
側にゆくほど先細となり、かつ、底面側から頂面側にゆ
くほど先細となるテーパ面であり、前記ダイスベースの
凹部が前記分割ダイスの側面を転写した形状の側壁面を
備えている。
【0012】請求項4の発明は、請求項2または3の装
置において、成形過程においてダイスベースに外嵌する
円筒状のバックアップリングを具備したことを特徴とす
る。ダイスベースの外径に円筒状のバックアップリング
を配置し、その中でダイスベースが各分割ダイスの円周
方向および半径方向の位置決めをする構造であるため、
ダイスベースと分割ダイスとが一層高い剛性で密着す
る。また、加工圧力によってダイスベースが拡開したり
割れたりするのを防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、図1〜図4に従って等速ジ
ョイント用内輪の製造装置の構成を説明する。図1は下
型の平面と上型の底面を示し、図2は装置全体の縦断面
を示す。
【0014】この装置は、図2に示すように、同軸状に
整列した下型(2)と上型(3)を有し、図示した実施
の形態では、駆動機構により、下型(2)と上型(3)
が共に可動になっている。下型(2)は、台座(8)、
下ビレットガイド(6b)、ダイス(20)、下リングポン
チ(4b)、下カウンターポンチ(5b)、バックアップリ
ング(7)より構成されている。上型(3)は、ダイス
ベース(30)、上ビレットガイド(6a)、上リングポン
チ(4a)、上カウンターポンチ(5a)より構成されてい
る。
【0015】静止した台座(8)の上に下ビレットガイ
ド(6b)が配置され、下ビレットガイド(6b)の上にダ
イス(20)が配置されている。ダイス(20)は、図1
(A)から分かるように、製品(10)(図6)のボール
溝(12)の数に対応する数の分割ダイス(22)を円周方
向に放射状に配置して構成されている。各分割ダイス
(22)は、図1(C)および図4に示すように、内端
(24)側に製品(10)のボール溝(12)を成形するため
の突起(24a)を備えている。図6に関連して既述した
ように製品(10)のボール溝(12)は交互に逆向きに傾
斜していることから、隣り合う分割ダイス(22)では突
起(24a)の傾斜が逆向きとする(図1(A)参照)。
分割ダイス(22)の外端(26)は、図示した実施の形態
では、円周方向に面した側面(26a)と、外径方向に面
した外端面(26b)とを有し、側面(26a)が、分割ダ
イス(22)の内端(24)側から外端(26)側にゆくほど
先細となり、かつ、底面側から頂面側にゆくほど先細と
なるテーパ面である。
【0016】各分割ダイス(22)は下ビレットガイド
(6b)の上にダイス(20)の半径方向に移動可能に載置
されている。下ビレットガイド(6b)は円周方向に製品
(10)のボール溝(12)の数と同数の溝を有している。
各分割ダイス(22)はダイスガイド(28)を具備し、ダ
イスガイド(28)は下ビレットガイド(6b)の前記溝に
よりガイドされ上型(3)に対して円周方向の概略位置
決めをされるとともに、前記溝内をダイス(20)の半径
方向に移動可能である。なお、図1(C)および図4
(B)において符号29で指したのは、分割ダイス(22)
とダイスガイド(28)を締結するボルトを挿入するため
の貫通孔である。ダイスガイド(28)はスプリング(圧
縮コイルバネ)(9)によって常時付勢され、これによ
りダイス(20)は弾性的に拡径した状態(図1(A))
にある。分割ダイス(22)がスプリング(9)の反発力
に抗して内径側に移動してダイス(20)が縮径した状態
を図3に示す。
【0017】下ビレットガイド(6b)の内径部には下リ
ングポンチ(4b)および下カウンターポンチ(5b)が同
心状に、かつ、摺動自在に配置されている。下リングポ
ンチ(4b)および下カウンターポンチ(5b)は製品(1
0)の下端面形状に対応する形状である。
【0018】台座(8)の上には、ダイス(20)および
下ビレットガイド(6b)の外周を囲むようにしてバック
アップリング(7)が固定されている。バックアップリ
ング(7)は円筒形で、内周面にてダイスベース(30)
の外周面と嵌合し得るようになっており、ダイスベース
(30)の製品成形時の拡径および割れを防ぐ役割を果た
す。
【0019】上型(3)は図示しないプレススライドに
よって昇降動作を行う。上型(3)のダイスベース(3
0)は下端面に開口したすり鉢状の形態で、図1(B)
に示すように、略円錐台形状の空間(32)と、内周面の
円周方向に等間隔に配置された凹部(34)とを備える。
凹部(34)の数は分割ダイス(22)の数に対応し、図示
した実施の形態では6であり、全体として星形を呈して
いる。各凹部(34)の形状は、分割ダイス(22)の外端
(26)の側面(26a)の形状を転写したものに相当す
る。すなわち、凹部(34)はダイスベース(30)の内径
側から外径側に向かって先細となった一対の側壁面(34
a)を有する。また、側壁面(34a)は、ダイスベース
(30)の開口下端面側から奥側に向かっても先細となっ
ている。後述するように、この側壁面(34a)と分割ダ
イス(22)の後端(26)の側面(26a)とが係合するた
め、凹部(34)の外端面(34b)は分割ダイス(22)の
後端面(26b)と干渉しないように逃がしておく。
【0020】すり鉢状のダイスベース(30)の底面は上
ビレットガイド(6a)によって形成される。上ビレット
ガイド(6a)の内径部には上リングポンチ(4a)および
上カウンターポンチ(5a)が同心状に、かつ、摺動自在
に配置されている。上リングポンチ(4a)および上カウ
ンターポンチ(5a)は製品(10)の上端面形状に対応す
る形状である。
【0021】次に、上述の構成よりなる装置における成
形過程を図5に従って説明する。
【0022】ダイスガイド(28)はスプリング(9)に
より常に外側に開く力を受けているため、分割ダイス
(22)は外から力が加わらない限り常に半径方向外側に
開いている(図1(A)、図2参照)。その状態で下ビ
レットガイド(6b)の内側で、かつ、下カウンターポン
チ(5b)の上に、素形材(1)を供給した後、プレスス
ライドを降下させる。
【0023】すると、図5(A)および図3に示すよう
に、ダイスベース(30)の凹部(34)の側壁面(34a)
(図1(A))と分割ダイス(22)の外端(26)の側面
(26a)が係合し、これにより分割ダイス(22)が径方
向内側に押され、半径方向位置決めと円周方向位置決め
が同時に行なわれる。このとき、上ビレットガイド(6
a)が分割ダイス(22)と接触し、分割ダイス(22)と
上下のビレットガイド(6a)(6b)で製品(10)のボー
ル溝(12)および上下端面に対応した空間(キャビテ
ィ)が形成される。
【0024】さらにプレススライドが下降すると、図5
(B)に示すように、上下のカウンターポンチ(5a)
(5b)と上下のリングポンチ(4a)(4b)により素形材
(1)に加圧力が加わって素形材(1)が塑性流動し、
プレススライド下死点で上記空間(キャビティ)を充足
する。その結果、製品(10)が得られる。
【0025】その後、図5(C)に示すように、プレス
スライドが上昇し、上型(3)が下型(2)から離れる
とともに分割ダイス(22)が半径方向外側に移動してダ
イス(20)が拡径し、ノックアウト機構(図示せず)に
より製品(10)を取り出す。なお、この段階の製品(1
0)は最終製品たる内輪から見ればいわば中間品であっ
て、孔明け、セレーションまたはスプライン加工、熱処
理等を経て最終製品となる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、ダイスを構成する分割ダイスの後端を、互いに独立
した凹部に係合させることにより、ダイスベースが分割
ダイスをすきまなくしっかりと抱えて半径方向のみなら
ず円周方向にも位置決めした状態で成形をすることにな
るため、製品傾斜溝に要求される高精度な円周ピッチや
傾斜角度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は下型の平面図、(B)は上型の底面
図、(C)は分割ダイスの斜視図である。
【図2】製造装置の縦断面図である。
【図3】ダイスが拡径した状態の下型の平面図である。
【図4】(A)は分割ダイスの正面図、(B)は平面
図、(C)は側面図である。
【図5】成形過程を示す工程図である。
【図6】(A)はレブロジョイント用内輪の正面図、
(B)は平面図である。
【符号の説明】
1 素形材 10 製品(内輪または中間品) 12 ボール溝 14 外周面 2 下型 20 ダイス 22 分割ダイス 24 内端 24a 突起 26 外端 26a 側面 26b 外端面 28 ダイスガイド 4b 下リングポンチ 5b 下カウンターポンチ 6b 下ビレットガイド 7 バックアップリング 8 台座 9 スプリング 3 上型 30 ダイスベース 32 空間 34 凹部 34a 側壁面 4a 上リングポンチ 5a 上カウンターポンチ 6a 上ビレットガイド

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボール溝成形用の複数の突起を素形材の
    外周に等配するとともに、素形材を軸線方向に加圧して
    外周に張り出させることによりボール溝を成形するよう
    にした等速ジョイント用内輪の製造方法において、内端
    に製品の溝を成形するための突起を設けた複数の分割ダ
    イスを、素形材を取り囲むように放射状に、かつ、半径
    方向に移動可能に配置し、各分割ダイスを半径方向およ
    び円周方向に位置決めした状態で、上記加圧を行なうこ
    とを特徴とする等速ジョイント用内輪の製造方法。
  2. 【請求項2】 内端に製品の溝を成形するための突起を
    設けた、半径方向に移動可能な複数の分割ダイスを、素
    形材を取り囲むように放射状に配置してなるダイスと、
    分割ダイスの外端と係合して分割ダイスを半径方向に位
    置決めするためのダイスベースとを具備し、前記ダイス
    ベースに、円周方向で互いに独立し、分割ダイスの外端
    部の形状を転写した形状を有する凹部を設けたことを特
    徴とする等速ジョイント用内輪の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記分割ダイスの外端が、円周方向に面
    した側面と、外径方向に面した外端面とを有し、前記側
    面が、分割ダイスの内端側から外端側にゆくほど先細と
    なり、かつ、底面側から頂面側にゆくほど先細となるテ
    ーパ面であり、前記ダイスベースの凹部が前記分割ダイ
    スの側面を転写した形状の側壁面を備えていることを特
    徴とする請求項2の等速ジョイント用内輪の製造装置。
  4. 【請求項4】 成形過程においてダイスベースに外嵌す
    る円筒状のバックアップリングを具備したことを特徴と
    する請求項2または3の等速ジョイント用内輪の製造装
    置。
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