JPH0649221A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0649221A
JPH0649221A JP22464692A JP22464692A JPH0649221A JP H0649221 A JPH0649221 A JP H0649221A JP 22464692 A JP22464692 A JP 22464692A JP 22464692 A JP22464692 A JP 22464692A JP H0649221 A JPH0649221 A JP H0649221A
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JP
Japan
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group
resin composition
thermoplastic resin
styrene
weight
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JP22464692A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Mishima
育宏 三島
Kazuhito Wada
一仁 和田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エポキシ基と反応性を有する官能基を持つ
スチレン系樹脂(A)及びエポキシ基と反応性を有する
官能基を持つ塩化ビニル系樹脂(B)5〜98重量部
と、オレフィンの繰り返し単位数2〜1000個当り
に、アミド基とグリシジルオキシ基及びグリシジル基か
らなる群から選ばれる反応基とをそれぞれ少なくとも1
個有する構造単位1個を有する変性オレフィン系重合体
(C)95〜2重量部からなる熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 耐表層剥離性の良好な成形品を提供するとと
もに、流動性、伸びも良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性樹脂組成物に関
し、更に詳しくは、特に耐表層剥離性に優れた成形品を
提供する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、異種の特性を持つポリマー同士を
アロイ化して樹脂を改質する方法が、盛んに検討されて
いる。例えば、オレフィン系樹脂とスチレン系樹脂ある
いは塩化ビニル系樹脂とのアロイについては、エチレン
−酢酸ビニル共重合体によりアロイ化する方法(特公昭
60−36178)、ポリエチレン−EPDM変性物に
よりアロイ化する方法(特開昭63−304039、特
開平1−165640)等が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、これらの
従来の方法では、特に、成形品の表層が僅かな力で剥離
するという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の問
題を解決するために鋭意検討した結果、エポキシ基と反
応性を有する官能基を持つ、スチレン系樹脂及び塩化ビ
ニル系樹脂に対し、特殊な化合物にて変性したオレフィ
ン系重合体を使用することにより驚くべきことに、耐表
層剥離性が改善されることを見出し本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は、エポキシ基と反応性を有
する官能基を持つスチレン系樹脂(A)及びエポキシ基
と反応性を有する官能基を持つ塩化ビニル系樹脂(B)
5〜98重量部と、オレフィンの繰り返し単位数2〜1
000個当りに、アミド基とグリシジルオキシ基及びグ
リシジル基からなる群から選ばれる反応基とをそれぞれ
少なくとも1個有する構造単位1個を有する変性オレフ
ィン系重合体(C)95〜2重量部からなる熱可塑性樹
脂組成物を内容とするものである。
【0006】本発明に用いられる、エポキシ基と反応性
を有する官能基を持つスチレン系樹脂(A)としては、
ABS樹脂、AS樹脂、MABS樹脂、MBS樹脂、A
AS樹脂、AES樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニ
トリル−メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン
−α−メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレ
ン−α−メチルスチレン共重合体、HIPS樹脂、スチ
レン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−無水
マレイン酸共重合体、スチレン−マレインイミド共重合
体、スチレン−N−置換マレイミド共重合体、アクリロ
ニトリル−スチレン−N−置換マレイミド共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン−β−イソプロ
ペニルナフタレン、アクリロニトリル−メチルメタクリ
レート−ブタジエン−スチレン−α−メチルスチレン−
マレインイミド共重合体等で、かつエポキシ基と反応性
を有する官能基、例えば、カルボン酸及びその無水物、
カルボン酸塩、アミン、アミド、イミド、エポキシ等を
有する重合体である。これらの官能基のうち、カルボン
酸及びその無水物が特に好ましい。これらの官能基は、
官能基を有するモノマーの共重合あるいは重合体中の反
応活性点に対する高分子反応等の既知の方法により導入
することができる。
【0007】耐衝撃性を必要とする場合には、スチレン
系樹脂(A)として、ゴム状重合体40〜90重量%に
シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、アルキル
メタクリレートから選ばれる1種以上の化合物及びこれ
らと共重合可能な単量体の混合物60〜10重量%を重
合してなるグラフト共重合体を0〜70重量部含有する
スチレン系樹脂を好適に用いることができる。ゴム状重
合体としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジ
エンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴ
ム(NBR)、ブチルアクリレート−ブタジエンゴムな
どが例示される。シアン化ビニル化合物としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等が例示され、芳香
族ビニル化合物としては、スチレン、メチルスチレン、
クロロスチレン、α−メチルスチレンなどが例示され、
またアルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート等が例示される。上記ゴ
ム状重合体及び化合物は、いずれも単独又は2種以上組
み合わせて用いられる。
【0008】スチレン系樹脂(A)としては、加工性の
点から、(A)のメチルエチルケトン可溶部の還元粘度
が、0.2〜1.2dl/g(ジメチルホルムアミド溶
液、30℃、濃度0.3g/dl)であることが好まし
い。また、機械的強度の点から、スチレン系樹脂(A)
が、シアン化ビニル化合物及び/又はアルキルメタクリ
レート化合物を共重合成分として含有すること、更に、
シアン化ビニル化合物及び/又はアルキルメタクリレー
ト化合物を共重合成分として10〜60重量%含有する
ことが好ましい。シアン化ビニル化合物及び/又はアル
キルメタクリレート化合物が共重合成分として10重量
%未満では機械的強度が低下し、60重量%を越える
と、流動性が低下する傾向にある。また、還元粘度が
0.2g/dl未満では機械的強度が低下し、1.2g/
dlを越えると流動性が低下し、成形が困難になる傾向に
ある。
【0009】本発明に用いられる、エポキシ基と反応性
を有する官能基を持つ塩化ビニル系樹脂(B)は、エポ
キシ基と反応性を有する官能基、例えば、カルボン酸及
びその無水物、カルボン酸塩、アミン、アミド、イミ
ド、エポキシ等を有する重合体である。これらの官能基
のうち、カルボン酸及びその無水物が特に好ましい。こ
れらの官能基は、官能基を有するモノマーの共重合ある
いは重合体中の反応活性点に対する高分子反応等の既知
の方法により導入することができる。塩化ビニル系樹脂
(B)の平均重合度は400〜2000であり、更に4
50〜1500が好ましい。平均重合度が400未満に
なると衝撃強度が低下し、2000を越えると流動性が
低下する傾向にある。塩化ビニル系樹脂(B)は、80
重量%以上が塩化ビニルである単独重合体及び/又は共
重合体、後塩素化ポリ塩化ビニルが含まれる。共重合体
にはエチレン、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、ブ
チルアクリレート等のモノビニリデン化合物20重量%
以下が含まれていてもよい。
【0010】本発明で特に重要である変性オレフィン系
重合体(C)は、オレフィンの繰り返し単位数2〜10
00個当りに、アミド基とグリシジルオキシ基及びグリ
シジル基からなる群から選ばれる反応基とをそれぞれ少
なくとも1個有する構造単位1個を有する変性オレフィ
ン系重合体である。このような変性オレフィン系重合体
は、オレフィンと重合可能な反応基、例えば、ビニル基
を持つ化合物であって、かつ1個以上のアミノ基、及び
1個以上のグリシジルキオキシ基及び/又はグリシジル
基を合わせもつ化合物とオレフィンとの共重合により製
造することができる。また、ポリオレフィンを通常の重
合方法で製造した後、そのポリオレフィン鎖に上記した
オレフィンと重合可能な反応基、例えば、ビニル基を持
つ化合物であって、かつ1個以上のアミノ基、及び1個
以上のグリシジルオキシ基及び/又はグリシジル基を合
わせもつ化合物を通常の方法でグラフト重合して導入し
てもよい。オレフィンと共重合あるいはグラフト重合す
る際に、一般式(I)で示される化合物以外の重合可能
なビニルモノマーを共重合することもできる。
【0011】このような変性オレフィン系重合体の一例
を以下に示しつつ本発明を詳細に説明する。変性オレフ
ィン系重合体として、例えば、下記一般式(I)
【0012】
【化2】
【0013】(式中、Arはグリシジルオキシ基及びグ
リシジル基からなる群から選ばれる反応基を少なくとも
1個有するC6 〜C23の芳香族炭化水素基を示し、Rは
水素原子又はメチル基を示す。)で示される化合物で変
性したオレフィン系重合体が挙げられる。
【0014】更に具体的には、本発明に用いられる変性
オレフィン系重合体は、一般式(I)で示される化合物
とオレフィン系重合体との共重合により得られ、得られ
る変性オレフィン系重合体としては、オレフィンの繰り
返し単位数2〜1000個当りに、下記一般式(II)
【0015】
【化3】
【0016】(式中、Arはグリシジルオキシ基及びグ
リシジル基からなる群から選ばれる反応基を少なくとも
1個有するC6 〜C23の芳香族炭化水素基を示し、Rは
水素原子又はメチル基を示す。)で示されるグリシジル
オキシ基及びグリシジル基を持つ構造単位1個を有する
変性オレフィン系重合体が挙げられる。この一般式
(I)で示される化合物は、特開昭60−130580
号に記載されたような方法で製造することができる。す
なわち、下記一般式(III)
【0017】
【化4】
【0018】(式中、Ar′は水酸基を少なくとも1個
有するC6 〜C23の芳香族炭化水素基を示し、Rは水素
原子又はメチル基を示す。)で表される化合物とエピハ
ロヒドリンを付加させた後、アルカリで脱ハロゲン化水
素反応を行うことにより製造できる。例えば、出発物質
として、2,6−キシレノールN−メチロールアクリル
アミドを用いた場合には、下記構造式(IV)
【0019】
【化5】
【0020】で表される化合物を得ることができる。
【0021】オレフィン系重合体と一般式(I)の化合
物との共重合の製造方法は、特に限定はないが、以下に
示す2つの方法が好適に利用できる。第1の製造方法
は、オレフィン系重合体のグラフト変性法であり、第2
の製造方法は、オレフィンモノマーと上記一般式(I)
で示されるグリシジル基を持つ化合物を共重合させる方
法である。第1の製造方法は、オレフィン系重合体と上
記一般式(I)で示されるグリシジル基を持つ化合物の
2成分からなる組成物を、ラジカル開始剤を用いてラジ
カル付加するものである。この際に、オレフィン系重合
体を溶解ないしは膨潤させる溶剤、例えば、テトラリ
ン、デカリン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンを
使用してもよい。具体的には、オレフィン系重合体と一
般式(I)の化合物を、例えば、押出機、加熱ロール、
ブラベンダー、バンバリーミキサーなどの従来からの既
知の各種のブレンダーを用いて溶融混練する方法があ
る。
【0022】第2の製造方法は、オレフィンモノマーと
上記一般式(I)で示されるグリシジル基を持つ化合物
を共重合させる方法である。共重合体方法には特に制限
はないが、一般的なラジカル重合法、カチオン重合法、
アニオン重合法の他、遷移金属を用いた配位重合法など
を用いることもできる。
【0023】上記オレフィン系重合体への一般式(I)
で示される化合物のラジカル付加あるいはオレフィンモ
ノマーと一般式(I)の化合物との共重合体により製造
される変性オレフィン系重合体は、グラフト共重合体あ
るいはブロック共重合体等のいずれでもよいが、いずれ
の重合体の場合も、オレフィンの繰り返し単位数2〜1
000個当りに、一般式(II)で現されるグリシジルオ
キシ基及びグリシジル基を持つ構造単位1個を有するも
のであることが好ましい。ランダムあるいはグラフト共
重合体している一般式(II)の割合が、オレフィンの繰
り返し単位数1000個当りに構造単位1個以下となる
と、オレフィン系重合体の変性が不充分であり、塩化ビ
ニル系樹脂とスチレン系樹脂とオレフィン系樹脂に混合
した時の耐表層剥離性の改善効果が充分に発揮されな
い。
【0024】本発明に用いられる変性オレフィン系重合
体の原料となるオレフィン系重合体としては、各種オレ
フィンモノマーの単独重合体又はこれらのランダム共重
合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体、
又はこれらの単独重合体あるいは共重合体の混合物が挙
げられる。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレン、エチレンとその他のα−
オレフィンとの共重合体、ポリブテン、ポリプロピレ
ン、プロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合
体、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1等のポ
リオレフィン類又はオリゴマー類、エチレン−プロピレ
ンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ブチルゴム、ブタジエンゴム、
プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体等のポリオレフィン系エラストマー類が
挙げられ、これらの単独又は2種以上の組合せで用いら
れる。これらの中で、耐衝撃性、耐熱性の点から、低密
度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンとα−オ
レフィンとの共重合体及びこれらのオリゴマー類が好ま
しく、ポリプロピレン、プロピレンとその他のα−オレ
フィンとの共重合体及びこれらのオリゴマー類が特に好
ましい。このオレフィン系重合体の立体構造には特に制
限はないが、耐熱性の点から、アイソタクチック含量
が、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重
量%以上である。また、オレフィン系重合体の分子量
は、耐衝撃性、流動性の点から、数平均で500〜60
000が好ましく、1000〜50000がより好まし
い。数平均分子量は、GPC(ゲルパーメーションクロ
マトグラフィー)にて測定することができる。
【0025】スチレン系樹脂(A)、塩化ビニル系樹脂
(B)、及び変性オレフィン系重合体(C)の原料とな
るオレフィン系樹脂の重合は、それぞれ公知の重合法を
使用することができ、その種類、操作については特に制
限はない。重合終了後は、既知の方法により目的のパウ
ダーを得る。
【0026】本発明の変性オレフィン系重合体(C)
は、スチレン系樹脂(A)及び塩化ビニル系樹脂(B)
の合計5〜98重量部に対し、95〜2重量部である。
更に好ましくは、(A)及び(B)の合計10〜90重
量部に対し、90〜10重量部が好ましい。(C)が2
重量部未満では、加工性の改良効果が発揮されず、95
重量部を越えるとスチレン系樹脂あるいは塩化ビニル系
樹脂の特性が失われる。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、パウダー
状態のスチレン系樹脂(A)及び塩化ビニル系樹脂
(B)及び変性オレフィン系重合体(C)、配合剤等を
ともにブレンドして得られるが、その操作については特
に限定されるものではない。
【0028】以上述べてきた様に、本発明はスチレン系
樹脂(A)及び塩化ビニル系樹脂(B)に対して、一般
式(I)であらわされる特殊な構造の化合物で変性した
オレフィン系重合体(C)を必須成分として含有するこ
とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。本発明の熱
可塑性樹脂組成物は、通常よく知られた酸化防止剤、熱
安定剤、滑剤はもとより、必要に応じて適宜UV吸収
剤、顔料、帯電防止剤、及び難燃剤、難燃助剤を併せて
使用することもできる。特にスチレン系樹脂、オレフィ
ン系樹脂に用いられるフェノール系抗酸化剤、ホスファ
イト系安定剤、塩化ビニル系樹脂に配合される錫系安定
剤及び各種脂肪酸エステル金属石鹸、ワックス類等の内
外滑剤、等は本発明になる熱可塑性樹脂組成物を成形用
樹脂として、より高性能なものとするために用いること
ができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて更
に詳細に説明するが、これら実施例は本発明を限定する
ものではない。以下の記載において、「部」は重量部
を、「%」は重量%を示す。
【0030】実施例1 (1)スチレン系樹脂(A)の製造 攪拌機及び冷却器つきの重合機に、窒素雰囲気下で、水
250部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2部、エ
チレンジアミン四酢酸二ソーダ0.01部、硫酸第一鉄
0.0025部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシ
レート0.4部を仕込み、重合温度60℃で、スチレン
10部、α−メチルスチレン60部、アクリロニトリル
25部、メタアクリル酸5部を開始剤のクメンハイドロ
パーオキサイド、連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタ
ンとともに、5時間かけて連続滴下した。滴下終了後、
更に60℃で1時間攪拌を続けた後、重合を終了し、ス
チレン系樹脂(Aa)のラテックスを得た。一方、別
途、攪拌機及び冷却器つきの重合機に、窒素雰囲気下
で、水250部、ポリブタジエンラテックス60部、エ
チレンジアミン四酢酸二ソーダ0.01部、硫酸第一鉄
0.0025部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシ
レート0.2部を仕込み、重合温度60℃で、スチレン
30部、アクリロニトリル10部を開始剤のクメンハイ
ドロパーオキサイドとともに、5時間かけて連続滴下し
た。滴下終了後、更に60℃で1時間攪拌を続けた後、
重合を終了し、スチレン系樹脂(Ab)のラテックスを
得た。得られた2種のラテックスを(Aa)/(Ab)
=2/1の割合で混合し、塩析、脱水、乾燥して、スチ
レン系樹脂(A1)を得た。
【0031】(2)塩化ビニル系樹脂(B)の製造 攪拌機及び冷却器つきのオートクレーブに、水250
部、メチルセルロース0.1部、ジ−t−ブチルパーオ
キシトリメチルアジペート0.1部を仕込み、窒素雰囲
気下で塩化ビニル95部、メタクリル酸5部からなる単
量体混合物を仕込み、65℃で8時間重合した後、定常
圧より2kg/cm2 降圧した時点で、未反応単量体を回収
し、重合を終了させた。得られた重合体スラリーを脱
水、乾燥して、塩化ビニル系樹脂(B1)を得た。
【0032】(3)変性オレフィン系重合体(C)の製
造 オレフィン系重合体(ポリプロピレン、三井石油化学株
式会社製、J−900)100部、構造式(IV)の化合
物10部及びα、α−(t−ブチルパーオキシ−m−イ
ソプロピル)ベンゼン(日本油脂株式会社製、パーブチ
ルP)0.1部をドライブレンドし、210℃に設定し
た2軸押出し機に供給し、押出し物を水で冷却して、ペ
レット化した後、70℃で12時間減圧下で乾燥して、
変性オレフィン系重合体(C1)を得た。得られた乾燥
ペレットを粉砕した後、アセトンで5回洗浄し、未反応
の構造式(IV)及びそのホモポリマーを取り除いた後、
赤外スペクトル及び樹脂中に含まれる窒素原子の元素分
析値から変性ポリプロピレンのグラフト量を求めると、
4.1%であった。この変性ポリプロピレンは、オレフ
ィンの繰り返し単位数110個当りに構造式(IV)の化
合物に由来する構造単位1個を有するものであった。
【0033】(4)熱可塑性樹脂組成物の製造 上記の方法で得られたスチレン系樹脂(A1)30部、
塩化ビニル系樹脂(B1)30部、変性オレフィン系重
合体(C1)40部及び安定剤のジブチルスズマレート
2部、滑剤のポリエチワックス1部を20リットルのヘ
ンシェルミキサーでブレンドし、2軸押出し機にて20
0℃で押出し、本発明の熱可塑性樹脂のペレットを得
た。
【0034】実施例2〜7、比較例1〜3 実施例1と同様の方法で、表1に示すスチレン系樹脂
(A)、表2に示す塩化ビニル系樹脂(B)、表3に示
す変性オレフィン系重合体(C)を用い、表4に示す組
成の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。尚、還
元粘度は以下の方法によって測定した。 (還元粘度)スチレン系樹脂のメチルエチルケトン可溶
部をN,N−ジメチルホルムアミドに濃度が0.3g/
dlとなる様に溶解して高分子溶液とし、JIS−K67
21に従って、30℃でウベローデ型粘度計(柴山化学
機器製作所株式会社製の毛細管粘度自動計測装置)を用
い、通過時間(t)を測定した。一方、溶媒のN,N−
ジメチルホルムアミドについても同装置を用い、30℃
で通過時間(t0 )を測定し、次式により還元粘度(η
red )を算出した。 ηred =(t/t0 −1)/C 但し、式中、Cは高分子溶液の濃度(g/dl)を意味す
る。
【0035】次に前記の方法で作製したペレットから、
5オンス射出成形成形機にてノズル温度を180℃に設
定し、試験片を成形した。かかる試験片の各種物性を以
下に示す方法に従って測定した。その結果を表4に併せ
て示す。成形品の表層剥離性は、厚さ1.2mmの平板成
形品のゲート部からの剥離性を評価した。評価は目視に
よる5点法とし、最高を5点、最低を1点とした。すな
わち、評価は数字が大きいほど耐表面剥離性に優れてい
ることを示す。流動性は、上記の成形機を使用し、厚み
3mm×幅10mmの蚊取り線香状の金型における流動距離
で評価した。機械的強度は、ASTM D−638規格
に基づく引張り試験の伸びで評価した。表4に示した結
果から、本発明の組成物は耐表層剥離性の良好な成形品
を提供するとともに、流動性、伸びのいずれの点におい
ても、優れていることがわかる。
【0036】尚、表1中の略記号はそれぞれを下記を意
味する。 PBD:ポリブタジエンゴム AN:アクリロニトリル MMA:メチルメタクリレート St:スチレン PMI:N−フェニルマレイミド αSt:α−メチルスチレン GMA:グリシジルメタクリレート MAA:メタクリル酸 PBA:ポリブチルアクリレートゴム EPR:エチレンプロピレンゴム
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】 * 三井石油化学株式会社製「ポリプロハイポールJ
−900」 ** 三井石油化学株式会社製「ポリプロハイポールJ
−940」
【0040】
【表4】
【0041】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、機械的
強度、耐表層剥離性、流動性に優れたものであるので、
射出成形品等の表層剥離を起こしやすい成形品に好適に
使用しうるという効果を奏する。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ基と反応性を有する官能基を持
    つスチレン系樹脂(A)及びエポキシ基と反応性を有す
    る官能基を持つ塩化ビニル系樹脂(B)5〜98重量部
    と、オレフィンの繰り返し単位数2〜1000個当り
    に、アミド基とグリシジルオキシ基及びグリシジル基か
    らなる群から選ばれる反応基とをそれぞれ少なくとも1
    個有する構造単位1個を有する変性オレフィン系重合体
    (C)95〜2重量部からなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 オレフィン系重合体(C)が、一般式
    (I) 【化1】 (式中、Arはグリシジルオキシ基及びグリシジル基か
    らなる群から選ばれる反応基を少なくとも1個有するC
    6 〜C23の芳香族炭化水素基を示し、Rは水素原子又は
    メチル基を示す。)で示される化合物で変性したオレフ
    ィン系樹脂である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 スチレン系樹脂(A)が、メチルエチル
    ケトン可溶部の還元粘度0.2〜1.2dl/g(メチル
    ホルムアミド溶液、30℃、濃度0.3g/dl)である
    請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 スチレン系樹脂(A)が、シアン化ビニ
    ル化合物及び/又はアルキルメタクリレート化合物を共
    重合成分として含有する請求項1記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】 スチレン系樹脂(A)が、シアン化ビニ
    ル化合物及び/又はアルキルメタクリレート化合物を共
    重合成分として10〜60重量%含有する請求項4記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 スチレン系樹脂(A)が、ゴム状重合体
    40〜90重量%にシアン化ビニル化合物、芳香族ビニ
    ル化合物、アルキルメタクリレートから選ばれる1種以
    上の化合物及びこれらと共重合可能な単量体の混合物6
    0〜10重量部を重合してなるグラフト共重合体を0〜
    70重量部含有する請求項1記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 塩化ビニル系樹脂(B)が、重合度40
    0〜2000である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】 塩化ビニル系樹脂(B)中のエポキシ基
    と反応性を有する官能基が、カルボン酸及びその無水物
    である請求項1〜7記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 スチレン系樹脂(A)中のエポキシ基と
    反応性を有する官能基が、カルボン酸及びその無水物で
    ある請求項1〜8記載の熱可塑性樹脂組成物。
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