JPH0687985A - 熱可塑性樹脂組成物およびそれに含有される相溶化剤 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびそれに含有される相溶化剤

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JPH0687985A
JPH0687985A JP23980792A JP23980792A JPH0687985A JP H0687985 A JPH0687985 A JP H0687985A JP 23980792 A JP23980792 A JP 23980792A JP 23980792 A JP23980792 A JP 23980792A JP H0687985 A JPH0687985 A JP H0687985A
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JP
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thermoplastic resin
weight
resin
modified
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Withdrawn
Application number
JP23980792A
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English (en)
Inventor
Kazuhito Wada
一仁 和田
Yasuhiro Mishima
育宏 三島
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形時の流動性に優れ、耐衝撃性および高剪
断下での耐表層剥離性に優れた熱可塑性樹脂組成物およ
びそれに含有される相溶化剤を提供する。 【構成】 オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂1〜9
9重量部と、オレフィン系樹脂99〜1重量部とを含有
する、基剤樹脂100重量部当り、相溶化剤0.1〜5
0重量部を含有する、熱可塑性樹脂組成物。上記相溶化
剤は、変性オレフィン系重合体5〜95重量部と、変性
塩化ビニル系重合体95〜5重量部とからなる反応生成
物である。上記変性オレフィン系重合体は、オレフィン
の繰り返し単位2〜1000個当り、アミド基と、グリ
シジルオキシ基および/またはグリシジル基から選択さ
れる反応基とを、それぞれ少なくとも1個有する構造単
位を1個有する。上記変性塩化ビニル系重合体は、オレ
フィン系重合体が有する反応基と反応性のある基を有す
る化合物を共重合成分として0.05〜50重量%の割
合で含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形時の流動性に優
れ、かつ、成形品の耐衝撃性、および高剪断下での耐表
層剥離性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれに含有
される相溶化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、異種の特性を有するポリマー同士
を混合(アロイ化)することによって、樹脂を改質する
ことが盛んに検討されている。例えば、オレフィン系樹
脂と、スチレン系樹脂または塩化ビニル系樹脂とを混合
する方法には、次のような報告がある。すなわち、オレ
フィン系樹脂にエチレン−酢酸ビニル共重合体を混合す
る方法(特公昭60−36178)、オレフィン系樹脂
にポリエチレン−EPDM変性物を混合する方法(特開
昭63−304039、特開平1−165640)、お
よびオレフィン系樹脂にポリプロピレンとスチレン系樹
脂のブロック体を混合する方法(特開平2−19912
7、特開平2−199128、特開平2−19912
9)などが挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法では、
成形時の流動性が悪く、成形品の耐衝撃性が低下した
り、また、射出成形など、高剪断下での成形後、僅かな
力で成形品の表層が剥離するという表層剥離現象が見ら
れる。そのため、実用化が困難であるという欠点がああ
る。
【0004】本発明は、上記の欠点を解決するもので、
その目的は、成形時の流動性に優れ、かつ、成形品の耐
衝撃性、および高剪断下での耐表層剥離性に優れた熱可
塑性樹脂組成物およびそれに含有される相溶化剤を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の熱可塑性樹脂組
成物は、オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂(X)1
〜99重量部と、オレフィン系樹脂(C)99〜1重量
部とを含有する基剤樹脂100重量部当り、相溶化剤
(Y)0.1〜50重量部を含有する組成物であり、該
相溶化剤(Y)は、変性オレフィン系重合体(D)5〜
95重量部と、変性塩化ビニル系重合体(E)95〜5
重量部とからなる反応物であり、該オレフィン系重合体
(D)は、オレフィンの繰り返し単位2〜1000個当
り、アミド基と、グリシジルオキシ基およびグリシジル
基からなる群より選択される反応基とを、それぞれ少な
くとも1個有する構造単位を1個含有し、該変性塩化ビ
ニル系重合体(E)は、該オレフィン系重合体(D)が
有する反応基と反応性のある基を有する化合物を共重合
成分として0.05〜50重量%の割合で含有し、その
ことにより上記目的が達成される。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、基剤樹脂
として、オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂(X)
と、オレフィン系樹脂(C)とを含有する。
【0008】本発明の樹脂組成物に含有されるオレフィ
ン系樹脂以外の熱可塑性樹脂(X)としては、塩化ビニ
ル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリフェニレ
ンエーテル樹脂などが挙げられる。このうち、塩化ビニ
ル系樹脂(A)およびスチレン系樹脂(B)が好まし
い。
【0009】本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂
(A)は、平均重合度が400〜1500である樹脂が
好ましく、450〜1000である樹脂がより好まし
い。平均重合度が400未満になると耐衝撃性が低下
し、一方、1500を超えると、成形時の流動性が著し
く低下する傾向があり、好ましくない。塩化ビニル系樹
脂(A)としては、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニ
ルが80重量%以上の割合で含有される共重合体、後塩
素化ポリ塩化ビニルが挙げられる。共重合体の成分とし
ては、塩化ビニル以外に、エチレン、酢酸ビニル、メチ
ルメタクリレート、およびブチルアクリレートなどのモ
ノビニリデン化合物がある。共重合体中にはこれらの化
合物がその合計量で20重量%以下の割合で含有されて
もよい。上記単独重合体、および共重合体は、それぞれ
単独で含有されてもよく、または2種以上が含有されて
もよい。
【0010】本発明に用いられるスチレン系樹脂(B)
としては、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン
共重合体、アクリロニトリル−スチレン−α−メチルス
チレン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレ
ート−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、ABS
樹脂、AS樹脂、MABS樹脂、MBS樹脂、AAS樹
脂、AES樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル
−メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン−α−
メチルスチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共
重合体、スチレン−マレイミド共重合体、スチレン−N
−置換マレイミド共重合体、アクリロニトリル−スチレ
ン−N−置換マレイミド共重合体、アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン−β−イソプロペニルナフタレン
共重合体、およびアクリロニトリル−メチルメタクリレ
ート−ブタジエン−スチレン−α−メチルスチレン−マ
レイミド共重合体などが挙げられる。これらは、それぞ
れ単独で含有されてもよく、または2種以上が含有され
てもよい。成形品の耐表層剥離性の低下を防ぐために
は、塩化ビニル系樹脂と相溶性のある樹脂が好ましい。
【0011】上記スチレン系樹脂(B)は、ゴム状重合
体(後述)40〜90重量%と、所定の単量体混合物6
0〜10重量%とを重合することによって得られるグラ
フト共重合体を、0〜70重量部の割合で含有すること
が好ましい。上記単量体混合物は、シアン化ビニル化合
物、芳香族ビニル化合物、アルキルメタクリレート化合
物、および該化合物と共重合可能な単量体からなる群よ
り選択される少なくとも1種の化合物からなる。上記ス
チレン系樹脂(B)を用いることによって、優れた耐衝
撃性を有する成形品が得られる。
【0012】上記スチレン系樹脂(B)に用いられるゴ
ム状重合体としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−
ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジ
エンゴム(NBR)、ブチルアクリレートゴムなどが挙
げられる。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。芳香族
ビニル化合物としては、スチレン、メチルスチレン、ク
ロロスチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
さらに、アルキルメタクリレート化合物としては、メチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレートなどが挙げら
れる。上記重合体および化合物は、それぞれ単独で含有
されてもよく、または2種以上が含有されてもよい。
【0013】上記スチレン系樹脂(B)のメチルエチル
ケトン可溶分は、共重合成分として、シアン化ビニル化
合物およびアルキルメタクリレート化合物から選択され
る少なくとも1種の化合物を10〜60重量%の割合で
含有することが好ましく、15〜60重量の割合で含有
することがより好ましい。上記化合物が10重量%未満
では、耐表層剥離性が低下し、一方、60重量%を超え
ると成形時の流動性が低下する傾向があり、好ましくな
い。上記メチルエチルケトン可溶分の還元粘度は、好ま
しくは0.2〜0.9dl/g(ジメチルホルムアミド
溶液、30℃、濃度0.3g/dl)であり、より好ま
しくは0.25〜0.8dl/gである。還元粘度が
0.2dl/g未満では耐衝撃性が低下し、一方、0.
9dl/gを超えると成形時の流動性が低下し、熱安定
性が悪くなる傾向があり、好ましくない。耐熱性に優れ
た熱可塑性樹脂を得るためには、上記メチルエチルケト
ン可溶分は、α−メチルスチレンを30重量%以上の割
合で含有することが好ましい。
【0014】上記塩化ビニル系樹脂(A)およびスチレ
ン系樹脂(B)は、それぞれ単独で含有されてもよく、
または2種以上が含有されてもよい。
【0015】本発明の樹脂組成物中に含有されるオレフ
ィン系樹脂(C)としては、高密度ポリエチレン、中密
度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンとその
他のα−オレフィンとの共重合体;ポリプロピレン、プ
ロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体;ポリ
ブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレ
フィン類またはオリゴマー類;エチレン−プロピレンゴ
ム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、ブチルゴム、ブタジエンゴム、プロ
ピレン−ブテン共重合体、エチレン−アクリル酸エステ
ル共重合体などのポリオレフィン系エラストマー類が挙
げられる。これらの重合体は、それぞれ単独で含有され
てもよく、または2種以上が含有されてもよい。これら
の重合体のうち、耐衝撃性および耐熱性に優れた熱可塑
性樹脂を得るためには、好ましくは、低密度ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、またはプロピレンとその他のα−
オレフィンとの共重合体が好ましく、ポリプロピレン、
またはプロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合
体がより好ましい。
【0016】上記オレフィン系樹脂(C)の立体構造
は、特に限定されないが、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂
を得るためには、アイソタクチック樹脂を60重量%以
上の割合で含有することが好ましく、70重量%以上の
割合で含有することがより好ましい。
【0017】上記オレフィン系樹脂(C)の分子量は、
耐衝撃性、および成形時の流動性に優れた熱可塑性樹脂
を得るためには、重量平均で5000〜1000000
が好ましく、10000〜700000がより好まし
い。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂組成物中の基剤樹脂
は、上記オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂(X)1
〜99重量部と、上記オレフィン系樹脂(C)99〜1
重量部とを含有する。上記オレフィン系樹脂以外の熱可
塑性樹脂(X)として、上記塩化ビニル系樹脂(A)お
よびスチレン系樹脂(B)を用いる場合には、これらの
割合は、塩化ビニル系樹脂(A)および/またはスチレ
ン系樹脂(B)が10〜99重量部であり、オレフィン
系樹脂(C)が90〜1重量部であることが好ましい。
より好ましくは、塩化ビニル系樹脂(A)および/また
はスチレン系樹脂(B)が10〜70重量部で、オレフ
ィン系樹脂(C)が90〜30重量部である。
【0019】上記塩化ビニル系樹脂(A)、スチレン系
樹脂(B)、およびオレフィン系樹脂(C)の調製に
は、それぞれ、公知の方法が用いられ得、その種類、お
よび操作については特に限定されない。調製後、既知の
方法によって、パウダーまたはペレット状の基剤樹脂が
得られる。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記基剤
樹脂中に、相溶化剤(Y)を含有する。
【0021】本発明に用いられる相溶化剤(Y)は、変
性オレフィン系重合体(D)と、変性塩化ビニル系重合
体(E)との反応生成物である。
【0022】この変性オレフィン系重合体(D)は、特
定の化合物で変性したオレフィン系重合体である。上記
変性オレフィン系重合体(D)の原料となるオレフィン
系重合体としては、各種オレフィンモノマーの単独重合
体、これらのランダム共重合体、これらのブロック共重
合体またはこれらのグラフト共重合体、あるいは、これ
らの単独重合体または共重合体の混合物が挙げられる。
例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低
密度ポリエチレン、エチレンとその他のα−オレフィン
との共重合体;ポリプロピレン、プロピレンとその他の
α−オレフィンとの共重合体;ポリブテン、ポリ−4−
メチルペンテン−1などのポリオレフィン類またはオリ
ゴマー類;エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロ
ピレン−ジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
ブチルゴム、ブタジエンゴム、プロピレン−ブテン共重
合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などのポ
リオレフィン系エラストマー類が挙げられる。これらの
重合体は単独で含有されてもよく、あるいは2種以上が
含有されてもよい。これらの重合体のうち、耐衝撃性お
よび耐熱性に優れた熱可塑性樹脂を得るためには、低密
度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンとその他
のα−オレフィンとの共重合体およびこれら重合体を構
成するモノマーのオリゴマー類が好ましく、ポリプロピ
レン、プロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合
体およびこれら重合体を構成するモノマーのオリゴマー
類がより好ましい。
【0023】このオレフィン系重合体の立体構造は、特
に限定されないが、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂を得る
ためには、アイソタクチック樹脂を60重量%以上の割
合で含有することが好ましく、70重量%以上の割合で
含有することがより好ましい。さらに、オレフィン系重
合体の分子量は、耐衝撃性、および成形時の流動性に優
れた熱可塑性樹脂を得るためには、数平均で500〜6
0000が好ましく、1000〜50000がより好ま
しい。数平均分子量は、GPC(ゲルパーメーションク
ロマトグラフィー)を用いて測定され得る。
【0024】上記変性オレフィン系重合体(D)は、オ
レフィンの繰り返し単位2〜1000個当り、アミド基
と、グリシジルオキシ基およびグリシジル基からなる群
より選択される反応基とを、それぞれ、少なくとも1個
有する構造単位1個を含有する。
【0025】このような変性オレフィン系重合体(D)
を製造する方法としては、オレフィンと重合可能な反応
基(例えば、ビニル基)を有し、かつ、アミド基と、グ
リシジルオキシ基および/またはグリシジル基とを各々
少なくとも1個有する化合物、およびオレフィンを共重
合させる方法が挙げられる。さらに、ポリオレフィンを
通常の重合方法で製造後、得られたポリオレフィン鎖
に、上述した化合物を、通常の方法でグラフト重合させ
る方法が挙げられる。その他には、オレフィンと上述し
た化合物とを共重合あるいはグラフト重合させる際に、
上記一般式(I)で表される化合物以外のビニルモノマ
ーとオレフィンとを共重合させる方法が挙げられる。
【0026】上記変性オレフィン系重合体(D)は、好
ましくは、下記一般式(I)で表される化合物で変性し
たオレフィン系重合体である。
【0027】
【化2】
【0028】(式中、Arは、グリシジルオキシ基およ
びグリシジル基からなる群より選択される反応基を少な
くとも1個有する、炭素原子数9〜23の芳香族炭化水
素基を表し、Rは、水素原子またはメチル基を表す。) 上記一般式(I)で表される化合物は、例えば、特開昭
60−130580号に記載された方法で製造され得
る。この方法においては、該化合物は、下記一般式(I
I)で表される化合物にエピハロヒドリンを付加させた
後、アルカリ条件下で脱ハロゲン化水素反応を行うこと
によって、製造され得る。
【0029】
【化3】
【0030】(式中、Ar’は、少なくとも1個の水酸
基を有する炭素原子数6〜23の芳香族炭化水素基を表
し、Rは、水素原子またはメチル基を表す。) 例えば、出発物質として、2,6−キシレノールとN−
メチロールアクリルアミドを用いた場合には、下記構造
式(III)で表される化合物が得られる。
【0031】
【化4】
【0032】上記変性オレフィン系重合体(D)は、上
記一般式(I)で表される化合物とオレフィン系重合体
との共重合によって得られる。その結果、得られる上記
変性オレフィン系重合体(D)は、オレフィンの繰り返
し単位2〜1000個当り、下記一般式(IV)で表され
る、アミド基と、グリシジルオキシ基およびグリシジル
基を有する構造単位1個を有する重合体である。
【0033】
【化5】
【0034】(式中、Arは、グリシジルオキシ基およ
びグリシジル基からなる群より選択される反応基を少な
くとも1個有する、炭素原子数9〜23の芳香族炭化水
素基を表し、Rは、水素原子またはメチル基を表す。) 変性オレフィン系重合体(D)中に含有される上記構造
単位が過少であると、オレフィン系重合体の変性が不十
分であり、そのため、得られる組成物を用いて成形を行
ったときに、成形品の耐表層剥離性が充分に得られな
い。この構造単位は、上記変性オレフィン系重合体
(D)中にランダムまたはグラフト共重合体の形で含有
される。
【0035】上記一般式(I)で表される化合物とオレ
フィン系重合体との共重合体を製造する方法は、特に限
定されないが以下に示す2つの方法が好適に用いられ
る。
【0036】第1の製造方法は、オレフィン系重合体
と、上記一般式(I)で表されるグリシジル基を有する
化合物との2成分からなる組成物を、ラジカル開始剤を
用いてラジカル付加させる方法である。反応は通常の反
応系を用いて行われるが、この際、オレフィン系重合体
を溶解、または膨潤させる溶剤が用いられ得る。溶剤と
しては、例えば、テトラリン、デカリン、トルエン、キ
シレン、クロロベンゼンが挙げられる。
【0037】第2の製造方法は、オレフィンモノマー
と、上記一般式(I)で表されるグリシジル基を有する
化合物とを共重合させる方法である。この共重合方法は
特に限定されないが、一般的なラジカル重合法、カチオ
ン重合法、アニオン重合法、遷移金属を用いた配位重合
法などが挙げられる。
【0038】上記第1および第2の製造方法によって製
造される変性オレフィン系重合体(D)は、グラフト共
重合体、またはブロック共重合体などでもよい。
【0039】このようにして得られた変性オレフィン系
重合体(D)は、例えば、押出機、加熱ロール、ブラベ
ンダー、バンバリーミキサーなどの、従来からの既知の
各種ブレンダーを用いて溶融混練される。
【0040】本発明に用いられる変性塩化ビニル系重合
体(E)は、塩化ビニルを50重量%以上の割合で含有
する共重合体である。塩化ビニル以外の共重合成分とし
ては、変性オレフィン系重合体(D)が有する反応基と
反応性のある基を有する化合物(以下、反応基を有する
化合物とする)を0.05〜50重量%の割合で含有す
る。さらに、その他の共重合成分としては、塩化ビニル
および上記反応基を有する化合物と共重合可能な他のビ
ニル化合物を0〜49.95重量%の割合で含有し得
る。
【0041】上記反応基を有する化合物が有する反応基
としては、エポキシ基、1、2、または3級アミノ基、
アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基などが挙げ
られる。変性オレフィン系重合体(D)がグリシジル基
を有する場合に、このグリシジル基との反応をより効果
的に行うためには、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロ
キシル基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
これらの反応基は、反応基を有する化合物中にそれぞれ
単独で含有されていてもよく、または2種以上が混合し
て含有されてもよい。これらの反応基を有する化合物と
同様に、酸無水物もまた利用され得る。
【0042】上記の反応基を有する化合物または酸無水
物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート、アリルグリシジルエーテル、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、t−ブチル
アミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタク
リルアミド、マレイミド、アクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸、無水マレイン酸、アリルアルコール、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシルエ
チルアクリレート、2−ヒドロキシルプロピルメタクリ
レート、2−ヒドロキシルプロピルアクリレートなどが
挙げられる。
【0043】変性塩化ビニル系重合体(E)中に上記の
反応基を有する化合物が占める割合は、上記のように
0.05〜50重量%であり、好ましくは0.1〜30
重量%である。この化合物の割合が0.05重量%以下
では耐表層剥離性に優れた成形品が得られず、一方、5
0重量%を超えると成形時の流動性が低下する傾向があ
り、好ましくない。
【0044】塩化ビニルおよび反応基を有する化合物と
共重合可能な他のビニル化合物としては、エチレン、酢
酸ビニル、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート
などのモノビニリデン化合物が挙げられる。
【0045】変性塩化ビニル系重合体(E)は、ランダ
ム共重合体、ブロック共重合体、またはグラフト共重合
体であって、または、これら共重合体の混合物でもよ
い。この共重合方法は、特に限定されないが、一般的な
ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法、遷
移金属を用いた配位重合法などが用いられ得る。
【0046】上記変性塩化ビニル系重合体(E)として
は、例えば、共重合成分として、塩化ビニル、および反
応基を有する化合物を、その合計量で80〜100重量
%の割合で含有し、エチレン、酢酸ビニル、メチルメタ
クリレート、ブチルアクリレートなどのモノビニリデン
化合物(上記「他のビニル化合物」)を0〜20重量%
の割合で含有する共重合体、またはそのグラフト共重合
体が挙げられる。これらの化合物は、それぞれ単独で含
有されてもよく、または2種以上が含有されてもよい。
その他の変性塩化ビニル系重合体(E)としては、後塩
素化変性塩化ビニルが挙げられる。
【0047】上記変性塩化ビニル系重合体(E)の平均
重合度は、400〜1500が好ましく、450〜10
00がより好ましい。平均重合度が400未満になると
耐衝撃性が低下し、一方、1500を超えると成形時の
流動性が著しく低下する傾向があり、好ましくない。
【0048】本発明に用いられる相溶化剤(Y)は、上
記変性オレフィン系重合体(D)5〜95重量部と、上
記変性塩化ビニル系重合体(E)95〜5重量部とから
なる反応物であり、好ましくは、変性オレフィン系重合
体(D)の含有量は15〜85重量部、変性塩化ビニル
系重合体(E)は85〜15重量部であり、より好まし
くは、変性オレフィン系重合体(D)は25〜75重量
部、変性塩化ビニル系重合体(E)は75〜25重量部
である。変性オレフィン系重合体(D)が5重量部未
満、または95重量部を超えると、相溶性の効果が充分
得られず、従って、成形品の耐表層剥離性が著しく低下
するため、好ましくない。
【0049】相溶化剤(Y)の製造方法は、特に限定さ
れないが、上記変性オレフィン系重合体(D)のグリシ
ジル基と、上記変性塩化ビニル系重合体(E)の反応基
とを反応させる方法が好適に用いられ得る。反応時に、
オレフィン系重合体を溶解、または膨潤させる溶剤を用
いてもよい。溶剤としては、例えば、テトラリン、デカ
リン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどが挙げ
られる。次に、得られた反応物を、例えば、押出機、加
熱ロール、ブラベンダー、バンバリーミキサーなど、従
来から既知の各種ブレンダーを用いて、溶融混練する。
【0050】本発明に用いられる相溶化剤(Y)は、上
記基剤樹脂100重量部に対し、0.1〜50重量部、
好ましくは1〜25重量部の割合で組成物中に含有され
る。上記相溶化剤(Y)の割合が0.1重量部未満で
は、成形品の耐表層剥離性に優れた熱可塑性樹脂が得ら
れず、一方、50重量部を超えると、成形品の耐衝撃性
が低下し、かつ、成形時の加工性が悪くなるため、好ま
しくない。
【0051】このように、上記相溶化剤(Y)は、例え
ば、塩化ビニル系樹脂および/またはスチレン系樹脂
と、オレフィン系樹脂との間のように、本来は相溶性を
有しない、または相溶性に乏しい樹脂間の相溶性を向上
させる効果を有する。従って、上記相溶化剤(Y)を含
有する本発明の熱可塑性樹脂組成物によって、優れた耐
衝撃性、および耐表層剥離性を有する成形品が得られ
る。
【0052】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の方
法によって得られた基剤樹脂、および相溶化剤(Y)の
パウダー、またはペレットを、既知の方法によって混
合、混練することによって得られる。
【0053】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に
応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤が含有され、さら
に目的により、UV吸収剤、顔料、帯電防止剤、難燃
剤、難燃助剤などが含有され得る。例えば、本発明の組
成物には、スチレン系樹脂およびオレフィン系樹脂に用
いられるフェノール系抗酸化剤、ホスフェート系安定剤
および塩化ビニル系樹脂に混合されるスズ系安定剤、お
よびこれらの各種脂肪酸エステル、金属石鹸、ワックス
類などの内外滑剤などが含有されることによって、射出
成形用樹脂として用いられ得る。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、これらに限定されるものではない。なお、実施例中
に記載した「部」は重量部を、「%」は重量%を表す。
【0055】(塩化ビニル系樹脂(A−1、A−2)の
製造)本実施例および比較例に用いる塩化ビニル系樹脂
は、公知の懸濁重合法により得られた。その重合度およ
び塩素含有量をそれぞれ、表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】(スチレン系樹脂(B−1〜B−3)の製
造)本実施例および比較例に用いるスチレン系樹脂は、
公知の乳化重合法により得られた。そのMEK可溶分の
組成および還元粘度(ジメチルホルムアミド溶液、30
℃、濃度0.3g/dl)を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】(オレフィン系樹脂(C−1、C−2))
本実施例および比較例に用いられるオレフィン系樹脂の
組成を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】(変性ポリプロピレン(D−1)の製造)
オレフィン系重合体(ポリプロピレン、ユニオンポリマ
ー(株)製AH561)100部、下記構造式(IV)で
表される化合物100部、およびα、α’−(t−ブチ
ルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン(日本油脂
(株)製パーブチルP)0.1部を混合して乾燥し、こ
れらを210℃に設定した2軸押出機に供給した。
【0062】
【化6】
【0063】得られた押出物を水で冷却して、ペレット
化した後、70℃で12時間、減圧下で乾燥して、変性
オレフィン系重合体である変性ポリプロピレン(D−
1)を得た。
【0064】得られた乾燥ペレットを粉砕した後、アセ
トンで5回洗浄し、未反応の化合物およびそのホモポリ
マーを除去した。赤外スペクトルおよび樹脂中に含有さ
れる窒素原子の元素分析値から、この変性ポリプロピレ
ンの導入された構造式(III)の化合物の重量の全体の
重量に対する割合を求めると37.1%であった。
【0065】この変性ポリプロピレンは、オレフィンの
繰り返し単位11個当り、構造式(III)からなる構造
単位を1個有していた。
【0066】(変性塩化ビニル系重合体(E−1)の製
造)攪拌機および冷却器を備えたオートクレーブに、水
250部、メチルセルロース0.1部、ジ−t−ブチル
パーオキシトリメチルアジペート0.1部、および2−
メルカプトエタノール0.05部とを仕込み、内部の空
気を窒素で置換した。これに、塩化ビニル95部と、メ
タクリル酸5部とからなる単量体の混合物を仕込み、こ
れらを50℃で8時間重合させた後、定常圧より2kg
/cm2降圧した時点で未反応単量体を回収して、重合
を終了させた。得られた重合体スラリーを脱水、および
乾燥して、変性塩化ビニル系重合体(E−1)を得た。
【0067】(変性塩化ビニル系重合体(E−2)の製
造)攪拌機および冷却器を備えたオートクレーブに、水
250部、メチルセルロース0.1部、ジ−t−ブチル
パーオキシトリメチルアジペート0.1部、および2−
メルカプトエタノール0.05部とを仕込み、内部の空
気を窒素で置換した。これに、塩化ビニル90部、メタ
クリル酸5部、およびブチルアクリレート5部とからな
る単量体の混合物を仕込み、これらを50℃で8時間重
合させた後、定常圧より2kg/cm2降圧した時点で
未反応単量体を回収して、重合を終了させた。得られた
重合体スラリーを脱水、および乾燥して、変性塩化ビニ
ル系重合体(E−2)を得た。
【0068】(変性塩化ビニル系重合体(E−3)の製
造)攪拌機および冷却器を備えたオートクレーブに、水
250部、メチルセルロース0.1部、ジ−t−ブチル
パーオキシトリメチルアジペート0.1部、および2−
メルカプトエタノール0.05部とを仕込み、内部の空
気を窒素で置換した。これに塩化ビニル100部を仕込
み、これらを50℃で8時間重合させた後、定常圧より
2kg/cm2降圧した時点で未反応単量体を回収し
て、重合を終了させた。得られた重合体スラリーを脱
水、および乾燥して、変性塩化ビニル系重合体(E−
3)を得た。
【0069】(相溶化剤(Y−1〜Y−3)の製造)上
記のようにして得られた変性オレフィン系重合体(D−
1)50部と、変性塩化ビニル系重合体(E−1)50
部とを、ヘンシェルスーパーミキサーで混合して乾燥
し、この混合物を200〜230℃に設定した2軸押出
機に供給した。得られた押出物を溶融混練し、ペレット
化して、相溶化剤(Y−1)を得た。同様にして、(D
−1)および(E−2)から(Y−2);そして(D−
1)および(E−3)から(Y−3)を得た。
【0070】(相溶化剤(Y−4)の製造)オレフィン
系重合体(ポリプロピレン、ユニオンポリマー(株)製
AH561)50部と、変性塩化ビニル系重合体(E−
1)50部とを、ヘンシェルスーパーミキサーで混合し
て乾燥し、この混合物を200℃〜230℃に設定した
2軸押出機に供給した。得られた押出物を溶融混練し、
ペレット化して、相溶化剤(Y−4)を得た。
【0071】(還元粘度の測定)スチレン系樹脂(B−
1〜B−3)をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し
て、濃度が0.3g/dlの高分子溶液を得た。得られ
た高分子溶液を、JIS−K6721に従って、ウベロ
ーデ型粘度計(柴山化学機器製作所株式会社製の毛細管
粘度自動計測装置)を用いて、30℃での通過時間
(t)を測定した。一方、溶媒のN,N−ジメチルホル
ムアミドについて、同じ装置を用いて、30℃での通過
時間(t0)を測定した。これらを用いて、次式によ
り、還元粘度(ηr ed)を測定した。
【0072】ηred=(t/t0−1)/C ただし、式中、Cは高分子溶液の濃度(g/dl)を表
す。
【0073】その結果を表2に示す。
【0074】(実施例1)表4に示すように、塩化ビニ
ル系樹脂(A−1)40部、オレフィン系樹脂(C−
1)60部、および相溶化剤(Y−1)10部、ならび
に表4以外の成分として、安定剤としてジブチルスズマ
レート2部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。
【0075】
【表4】
【0076】この混合物を、2軸押出機を用いて160
〜210℃で溶融混練し、ペレット化して、本発明の熱
可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
【0077】(実施例2〜5)塩化ビニル系樹脂として
A−1またはA−2、オレフィン系樹脂としてC−1ま
たはC−2、および相溶化剤としてY−1またはY−2
を用い、それぞれ表4に示す組成の含有量としたこと以
外は実施例1と同様の方法により、本発明の熱可塑性樹
脂組成物のペレットを得た。
【0078】(実施例6)表5に示すように、スチレン
系樹脂(B−1)40部、オレフィン系樹脂(C−1)
60部、および相溶化剤(Y−1)10部をヘンシェル
ミキサーを用いて混合した。
【0079】
【表5】
【0080】この混合物を、2軸押出機を用いて200
〜250℃で溶融混練し、ペレット化して、本発明の熱
可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
【0081】(実施例7〜8)スチレン系樹脂としてB
−1またはB−2、および相溶化剤としてY−1または
Y−2を用い、それぞれ表5に示す組成の含有量とした
こと以外は、実施例6と同様の方法により、本発明の熱
可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
【0082】(実施例9)表6に示すように、塩化ビニ
ル系樹脂(A−1)20部、スチレン系樹脂(B−3)
20部、オレフィン系樹脂(C−1)60部、および相
溶化剤(Y−1)10部、ならびに表6以外の成分とし
て安定剤としてジブチルスズマレート2部を、ヘンシェ
ルミキサーを用いて混合した。
【0083】
【表6】
【0084】この混合物を、2軸押出機を用いて170
〜220℃で溶融混練し、ペレット化して、熱可塑性樹
脂組成物のペレットを得た。
【0085】(実施例10〜12)塩化ビニル系樹脂と
してA−1またはA−2、オレフィン系樹脂としてC−
1、および相溶化剤としてY−1またはY−2を用い、
それぞれ表6に示す組成の含有量としたこと以外は、実
施例9と同様の方法により、熱可塑性樹脂組成物のペレ
ットを得た。
【0086】(比較例1〜7)塩化ビニル系樹脂として
A−1、オレフィン系樹脂としてC−1、および相溶化
剤としてY−1、Y−3またはY−4を用い、それぞれ
表4に示す組成の含有量としたこと以外は実施例1と同
様の方法により、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得
た。
【0087】(比較例8〜11)スチレン系樹脂として
B−1、オレフィン系樹脂としてC−1、および相溶化
剤としてY−1またはY−4を用い、それぞれ、表5に
示す組成の含有量としたこと以外は、実施例6と同様の
方法により、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
【0088】(比較例12〜15)塩化ビニル系樹脂と
してA−1、スチレン系樹脂としてB−3、オレフィン
系樹脂としてC−1、および相溶化剤としてY−1また
はY−4を用い、それぞれ表6に示す組成の含有量とし
たこと以外は、実施例9と同様の方法により、熱可塑性
樹脂組成物のペレットを得た。
【0089】上記実施例および比較例で得られた熱可塑
性樹脂組成物のペレットを用いて、5オンス射出成形機
によって試験片を成形した。この際、ノズル温度を、実
施例1〜5、9〜12、および比較例1〜7、12〜1
5では180℃に、実施例6〜8、および比較例8〜1
1では230℃に設定した。成形した試験片を用いて下
記の物性試験を行った。
【0090】1.表層剥離性 上記実施例および比較例で得られた成形品を用いて、そ
の剥離性を評価することによって表層剥離性を測定し
た。すなわち、縦100mm×横150mm×厚さ1.
5mmの平板成形品を使用し、ゲート部を基点にして3
0°の角をなすように、5cmの切込み2本入れ、ゲー
ト側から剥し、その剥がれ方を目視によって評価した。
評価基準は、以下のような、目視による5段階評価とし
た。すなわち、数値が大きいほど、成形品が耐表層剥離
性に優れていることを示す。
【0091】5点:ゲート側から成形品が剥がれない。 4点:ゲート側から成形品の5mm未満が剥がれる。 3点:ゲート側から成形品の5mm以上2cm未満が剥
がれる。 2点:ゲート側から成形品の2cm以上5cm未満が剥
がれる。 1点:ゲート側から成形品の5cm以上が剥がれる。
【0092】2.衝撃強度 上記実施例および比較例で得られた成形品を用いて、A
STM D−256規格に基づいたアイゾット衝撃試験
によって衝撃強度(kg・cm/cm(23℃))を測
定した。
【0093】3.流動性 上記実施例および比較例で得られた成形品を用いて、5
オンス射出成形機を用いて、厚み3mm×幅10mmの
蚊取線香状の金型における流動距離(mm)を測定する
ことによって成形品の流動性を評価した。
【0094】これらの結果を表7および8に示す。
【0095】
【表7】
【0096】
【表8】
【0097】表に示した結果から、本発明の熱可塑性樹
脂組成物の成形品は、耐衝撃性、耐表層剥離性および流
動性のいずれの点においても優れていることが分かっ
た。
【0098】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
熱可塑性樹脂組成物は、成形時の流動性に優れており、
かつ成形品が優れた耐衝撃性、および高剪断下での耐表
層剥離性を有する。この組成物は射出成形用樹脂として
用いられ、優れた性能を発揮することができる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂
    (X)1〜99重量部と、オレフィン系樹脂(C)99
    〜1重量部とを含有する基剤樹脂100重量部当り、相
    溶化剤(Y)0.1〜50重量部を含有する熱可塑性樹
    脂組成物であって、 該相溶化剤(Y)が、変性オレフィン系重合体(D)5
    〜95重量部と、変性塩化ビニル系重合体(E)95〜
    5重量部とからなる反応生成物であり、 該変性オレフィン系重合体(D)が、オレフィンの繰り
    返し単位2〜1000個当り、アミド基と、グリシジル
    オキシ基およびグリシジル基からなる群より選択される
    反応基とを、それぞれ少なくとも1個有する構造単位を
    1個含有し、 該変性塩化ビニル系重合体(E)が、該変性オレフィン
    系重合体(D)が有する反応基と反応性のある基を有す
    る化合物を共重合成分として0.05〜50重量%の割
    合で含有する、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】前記変性オレフィン系重合体(D)が、一
    般式(I)で表される化合物で変性したオレフィン系重
    合体である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。 【化1】 (式中、Arは、グリシジルオキシ基およびグリシジル
    基からなる群より選択される反応基を少なくとも1個有
    する、炭素原子数9〜23の芳香族炭化水素基を表し、
    Rは、水素原子またはメチル基を表す。)
  3. 【請求項3】前記変性塩化ビニル系重合体(E)が、カ
    ルボキシル基を有する化合物で変性された塩化ビニル系
    重合体である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】前記オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂
    (X)が、塩化ビニル系樹脂(A)およびスチレン系樹
    脂(B)からなる群より選択される少なくとも1種であ
    る、請求項1から3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】前記塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度
    が400〜1500である、請求項4に記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  6. 【請求項6】前記スチレン系樹脂(B)のメチルエチル
    ケトン可溶分が、共重合成分として、シアン化ビニル化
    合物およびアルキルメタクリレート化合物からなる群よ
    り選択される少なくとも1種の化合物を10〜60重量
    %の割合で含有し、かつ、該可溶分の還元粘度が0.2
    〜0.9dl/g(ジメチルホルムアミド溶液、30
    ℃、濃度0.3g/dl)である、請求項4または5に
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】前記スチレン系樹脂(B)が、グラフト共
    重合体を0〜70重量部の割合で混合してなる熱可塑性
    樹脂であって、 該グラフト共重合体が、ゴム状重合体40〜90重量%
    と、単量体混合物60〜10重量%とを重合することに
    よって得られ、 該単量体混合物が、シアン化ビニル化合物、芳香族ビニ
    ル化合物、アルキルメタクリレート化合物、および該化
    合物と共重合可能な単量体からなる群より選択される少
    なくとも1種の化合物からなる、請求項4から6のいず
    れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】前記スチレン系樹脂(B)のメチルエチル
    ケトン可溶分が、α−メチルスチレンを30重量%以上
    の割合で含有する、請求項4から7のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】前記オレフィン系樹脂(C)がプロピレン
    系重合体である、請求項4から8のいずれかに記載の熱
    可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】前記オレフィン系樹脂(C)の重量平均
    分子量が、5000〜1000000である、請求項4
    から9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】射出成形用樹脂として用いられる、請求
    項1から14のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】請求項1から3のいずれかに記載の相溶
    化剤(Y)。
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