JPH0647494B2 - 磁気ヘッド用磁器組成物 - Google Patents

磁気ヘッド用磁器組成物

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JPH0647494B2
JPH0647494B2 JP63240246A JP24024688A JPH0647494B2 JP H0647494 B2 JPH0647494 B2 JP H0647494B2 JP 63240246 A JP63240246 A JP 63240246A JP 24024688 A JP24024688 A JP 24024688A JP H0647494 B2 JPH0647494 B2 JP H0647494B2
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暢生 斎藤
和志 渡部
潔 端山
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Toto Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はコンピューター外部記憶装置に用いられる磁気
ヘッドスライダー用磁器組成物に関するものである。更
に詳細には本発明は特にハードディスク装置用コンポジ
ットヘッドのスライダー(以下コンポジットヘッドスラ
イダーという)材として有用で、またフロッピーディス
ク装置用磁気ヘッドのスライダー材としても使用可能な
磁器組成物に関するものである。
(従来の技術) ハードディスク装置は年々著しく記録密度が高くなって
来ており、その為磁気ヘッドのトラック巾も狭いものが
要求されている。コンポジットヘッドはその構造上、従
来から使用されてきたモノリシックヘッドよりも狭いト
ラック巾のヘッドが使用可能で、それにより高密度記録
を行うことができる。しかしながらコンポジットヘッド
用のスライダー材として十分に満足すべき性質を具えた
TiO2-CaO系磁器組成物はまだ知られていない。
コンポジットヘッド用のスライダー材に要求される性質
の中で特に重要な性質は耐メディア性、加工性および熱
膨張係数である。コンポジットヘッドの耐メディア性が
良くない状態とは、 (1)ヘッドがメディアを傷つける、 (2)ヘッドの表面がメディアの表面との摺動で凹凸の変
化を生じ、空気抵抗が変り、浮上量が変化する、 (3)ヘッドの一部が脱落、またはメディア摩耗粉を発生
する、 というような場合である。
上記の(1)〜(3)を原因として、 (i)スライダーがメディアを傷つけ、磁性欠陥を生
じ、そこでノイズを発生する、 (ii)浮上量が変化し、設計値よりも大きくなった場
合、メディアに低周波信号IFを記録後高周波信号2F
を重ねて記録したときに、高周波信号の方が損失が大き
いため残留ノイズとなる、 (iii)スライダーがメディアを傷つけた結果生じた磁
性欠陥部が大きいと、その部分の信号が欠落した形とな
り、信号エラーとなる、 (iv)スライダー部の一部脱落か、メディア摩耗粉がヘ
ッドメディア間に侵入しヘッド面に固着するとヘッドク
ラッシュとなる、 というような問題を生ずる。
TiO2-CaO係磁器組成物をコンポジットヘッド用スライダ
ーに用いる場合、耐メディア性から考慮すれば、組織が
均質で、表面での硬度差が無く、気孔が可能な限り小さ
くて(望ましくはΦ2μ以下)、かつその量が少ない組
成物であることが必要である。通常のセラミック製造工
程によって製造したTiO2-CaO系磁器組成物についてX線
マイクロアナライザー(EPMA)および走査型電子顕
微鏡(SEM)による微構造分析を行うとAl2O3の偏析
相が見られる。これは原料および混合設備からAl2O3
混入することによるためであるが、このAl2O3偏析相は
母材のTiO2-CaO系磁器組成物に比較して硬度が高いため
にAl2O3偏析相とTiO2-CaO系母材との間で硬度差を生
じ、使用しているうちに凹凸ができ、硬度の高いところ
が凸部となり、耐メディア性を劣化させる。この様に組
織中にAl2O3が偏析する状態はスライダー材として耐メ
ディア性の点で不適当である。
一方、TiO2-CaO系磁器組成物中に、Al2O3が含有されて
いると加工性にも影響し、Al2O3の含有量が増えると加
工性が悪くなるので、組織中にAl2O3が多量に含有され
る状態はスライダー材として加工性の点から好ましくな
い。
また気孔については、これが大きいところにメディア磁
性粉が蓄積し、磁気記録を乱したり、メディアを傷つけ
たりするので、スライダー材としては気孔は小さくかつ
少ない方がよい。
一般にハードディスク装置用磁気ヘッドには飽和磁束密
度の高いMn-Znフェライトが、フロッピーディスク装置
用磁気ヘッドにはNi-ZnフェライトおよびMn-Znフェライ
トがコア材として用いられ、これらのフェライトとガラ
ス等によって接着されるスライダー材としてはMn-Znフ
ェライトに対してTiO2-CaO系磁器組成物(チタン酸カル
シウム)が、Ni-Znフェライトに対してはTiO2-BaO系磁
器組成物(チタン酸バリウム)が用いられている。コア
とスライダーとを融着する際には100℃以上で加熱さ
れるのでコアとスライダーの熱膨張係数に差がある場合
には歪みを生じ、磁気特性の劣化等の問題が生ずる。そ
の為に熱膨張係数の差を2×10-7/℃以内に抑える必
要がある。ヘッドの設計段階でコア材(フェライト)の
物性値は固定されることが多いので、熱膨張係数の差は
スライダー材の方で吸収できることが望ましい。
しかしながら、従来のコンポジットヘッド用のTiO2-CaO
系磁器組成物では、EPMAおよびSEM分析で示されている
ように、Al2O3を多く含み、Al2O3の偏析相を生じ、耐メ
ディア性および加工性がよくない。例えば特公昭60-219
40号公報に開示されているように、TiO250〜70モル
%、CaO50〜30モル%よりなる主成分100重量部
に対してAl2O30.2〜4.0重量部を添加した磁器組成物に
おいては、Al2O3がTiO2およびCaOの結晶粒子を均質化お
よび微細化する効果はあるが、Al2O3の偏析相を生じて
しまう。したがって、このような組成物はフロッピーデ
ィスク用磁気ヘッドスライダー材としては用いることが
できても、ハードディスク装置用磁気ヘッドのスライダ
ー材として用いる場合には耐メディア性が良くないので
問題を生ずる。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的はハードディスク装置用コンポジットヘッ
ドスライダー材として要求される性質、すなわち耐メデ
ィア性、加工性などにすぐれた特性を示す、従来の技術
では製造することができなかったTiO2-CaO系磁気ヘッド
用磁器組成物を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らはTiO2-CaO系磁器組成物について種々実験検
討の結果、TiO250〜90モル%、CaO50〜10モル
%からなる組成物にTiO2およびCaOの合計を100重量
%としてAl2O30.01〜0.15重量%を添加することにより
従来技術によるスライダー材の有するような欠点のな
い、コンポジットヘッドスライダー材として有用なTiO2
-CaO系磁器組成物を得ることができることを見出して本
発明を完成させた。
以下本発明を詳細に説明する。
耐メディア性および加工性の点から見ればAl2O3の含有
量を最適範囲にとることが必要であり、コア材とのガラ
スボンディング特性の点からは熱膨張係数の点でTiO2
CaOの組成範囲を最適範囲にとることが必要である。
Al2O3の含有量については加工性の点からは少ない程良
く、耐メディア性の点からは多すぎても少なすぎても良
い結果を得ることができない。Al2O3を多く含む場合に
はAl2O3の偏析相を生じ、耐メディア性および加工性が
悪くなることはすでに述べたが、その一方でスライダー
材としてTiO2-CaO系磁器組成物を用いる場合は微量のAl
2O3はむしろ有益であることが実験の結果から判明し
た。それは微量のAl2O3をTiO2-CaO系組成物に添加する
ことにより、TiO2およびCaOの結晶粒子の成長を適度に
コントロールすることが可能となり、その結果、気孔の
大きさおよびその量を最小にすることができるからであ
る。実験結果によれば、最適なAl2O3の含有量は0.01〜
0.15重量%である。0.01重量%以下では粒子の成長に伴
う粒内残留気孔が多くなり、0.15重量%以上では硬度的
に不均質な組織となる。加工性については従来のスライ
ダー材よりAl2O3含有量が少ない方がよい。
本発明の磁器組成物はTiO250〜90モル%、CaO50
〜10モル%の範囲で熱膨張係数を任意に調節すること
が可能である。TiO2を50〜90モル%、CaOを50〜
10モル%に限定した理由は、CaO50モル%以上では
遊離のCaO相が出現して経時劣化する為にスライダー材
として不適当であり、またCaO10モル%以下では熱膨
張係数は9×10-7/℃よりも低くなり、Mn-Znフェラ
イトおよびNi-Znフェライトの熱膨張係数の範囲(Ni-Zn
フェライト:90〜100×10-7/℃、Mn-Znフェラ
イト:100〜120×10-7/℃)と合わなくなり工
業的価値を持たなくなるからである。
以下本発明による磁器組成物の特性を実施例をあげて説
明する。
(実施例) 表1に試料作成条件を示す。TiO2およびCaCO3の原料粉
末はそれぞれ純度99.95%以上で、Al2O3含有量0.001重
量%以下のものを用い、またAl2O3の原料粉末には純度9
9.99%以上のものを用いた。試料は各々の目的組成比に
なる様に配合し、樹脂製のボールミルを用い湿式混合し
た後100℃で乾燥し、しかる後に1000℃で仮焼し
た。仮焼粉は樹脂製のポットおよびジルコニア球石を用
いて20〜30時間湿式粉砕し、得られたスラリーに有
機結合剤2〜3%を加え、スプレードライヤーで造粒
し、顆粒粉を得た。この粉末を0.8〜1.5t/cm2の圧力
で金型プレス成形し、生計物を大気中1300〜137
0℃で焼結した。さらにこの焼結体を1000気圧、ア
ルゴン雰囲気中、1300〜1370℃で熱間静水圧
(HIP)処理することにより高緻密化した磁器組成物
を得、これを試料とした。試料の寸法は約3.5×4.5×4
5.0mmである。
このようにして得られた試料についてそれぞれ熱膨張係
数、密度、ビッカース硬度、結晶粒径、Al2O3相の偏在
の有無、気孔の最大径、強度および研削抵抗の測定を行
った。これらの各試料の物性値の測定結果を表2に示
す。
表2に示す結果から、Al2O3の量が0.01重量%以下では
気孔が大きくて多く強度が低いこと、およびビッカース
硬度も低く、そのバラツキも大きいことがわかった。ま
たAl2O3の量が0.3重量%以上では気孔が小さくて少な
く、強度が高く、ビッカース硬度のバラツキが大きいこ
とがわかった。これはAl2O3の量が0.01重量%以下では
緻密化途中で異常粒子成長により、粒内に気孔が取りこ
まれるため、HIP処理によっても気孔が抜けないで残留
し、そのために硬度のバラツキが大きくなる。またAl2O
3の量が0.3重量%以上の場合には硬度の高いAl2O3相が
偏析するため硬度が高くなり、また組織が不均質になっ
ているので、この場合にも硬度のバラツキが大きくなっ
たものと考えられる。また加工性と関係のある研削抵抗
値もAl2O3の量が増えるにつれて増す傾向にある。
添付の第1A図および第1B図はチタン酸カルシウム磁
器組成物の切断面のSEM写真の特徴部分を模式的に示
す図であり、その中で特に気孔、アルミナ偏析相および
SiO2・CaTiO3相について表1に示す本発明の組成物NO.4
(第1A図)と比較組成物NO.11(第1B図)とを比べ
た。これから容易にわかるように組成物NO.4ではアル
ミナ偏析相は見られない。つぎにAl2O3の含有量と耐メ
ディア性のノイズおよびヘッドクラッシュの関係を検討
するため、組成物NO.4と組成物NO.11の試料を用いて試
験を行った。
第2図にコンタクトスタートストップ(CSS)測定2万回
後のノイズスペクトル測定結果を示す。この時の測定方
法は測定器スペクトルアナライザーを用いてメディアに
一定の信号を書き込みながら、発振器からある周波数を
送り込み、その時のノイズを測定した。Al2O3の量の多
い試料NO.11では、CSS回数が増えるとノイズスペクトル
が大きくなっている。
ここでCSS測定とは、磁気ヘッドは最初は媒体に接触し
ているが、媒体を摺動させると浮上してギャップが生
じ、またストップさせるとヘッドと媒体が接触するとい
う動作を繰り返す中で、再生出力、分解能、オーバーラ
イト、ノイズ等の磁気ヘッド特性を測定することをい
う。
またヘッドクラッシュに関しては、これも第3図に示す
ようにAl2O3の量が増えるとヘッドクラッシュを生じや
すくなる。
上記の結果から、TiO2-CaO系コンポジットヘッド用スラ
イダー材としてAl2O30.01〜0.15重量%が適当な添加量
であることが判明した。
(発明の効果) TiO250〜90モル%、CaO50〜10%の成分範囲か
らなり、、TiO2およびCaOの合計を100重量%とし
て、Al2O30.01〜0.15重量%を添加した磁器組成物によ
り耐メディア性、加工性などにすぐれた特性を示すコン
ポジットヘッド用スライダー材が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1A図および第1B図はチタン酸カルシウム磁器組成
物の切断面のSEM写真の特徴部分を模式的に示す図で
あり、本発明の組成物(第1A図)および比較組成物
(第1B図)の状態を示す。第2図および第3図はCSS
の測定結果であり、第2図はAl2O3の量とノイズとの関
係、第3図はAl2O3の量とヘットクラッシュとの関係を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−95872(JP,A) 特開 昭62−143857(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】TiO250〜90モル%、CaO50〜10モ
    ル%の成分範囲からなり、TiO2およびCaOの合計を10
    0重量%として、A2O30.01〜0.15重量%を添加したこ
    とを特徴とする磁気ヘッド用磁器組成物。
JP63240246A 1988-09-26 1988-09-26 磁気ヘッド用磁器組成物 Expired - Lifetime JPH0647494B2 (ja)

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JPH0288458A JPH0288458A (ja) 1990-03-28
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Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6021940B2 (ja) * 1980-12-08 1985-05-30 日立金属株式会社 磁気ヘツド用非磁性セラミツクス
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JPH0288458A (ja) 1990-03-28

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