JPH0646744Y2 - 作業車の走行操作装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ホイールローダで代表される建設用の作業車
や農業用の作業車等の走行操作装置で、詳しくは、圧油
供給源からの圧油を、走行変速操作用の流体圧アクチュ
エータに対する操作バルブと、走行変速を高低２段に変
更するための流体圧アクチュエータに対する操作バルブ
とに導く流体圧供給路に、流体圧作動式の駐車用のネガ
テイブブレーキに対する油路を接続し、前記ネガテイブ
ブレーキに対して前記流体圧供給路の流体圧を供給する
ブレーキ解除位置とネガテイブブレーキ内の流体圧を戻
り路に逃がすブレーキ位置とに切替操作自在なブレーキ
用の操作バルブ（22）を設けてある作業車の走行操作装
置に関する。

〔従来の技術〕

従来の作業車の走行操作装置は、前記ブレーキ用の操作
バルブをブレーキ位置に操作することによりネガテイブ
ブレーキをブレーキ作動させるようにネガテイブブレー
キ内の流体圧を戻り路に逃がし、変速操作用の操作バル
ブを中立位置に操作することにより、走行駆動を停止す
るように走行変速操作用の流体圧アクチュエータを走行
停止位置に作動させるとともに、流体圧供給路内の余剰
流体圧をリリーフ弁を介して逃がすものであった。

また、従来の作業車の走行操作装置では、走行変速を高
低２段に変更するための流体圧アクチュエータに対する
操作バルブと、前記ブレーキ用の操作バルブとがそれぞ
れ独立して設置されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前記従来の走行操作装置によるときには、ブレーキ用操
作バルブの操作位置にかかわらず、走行変速操作用の流
体圧アクチュエータに対する操作バルブへの流体圧供給
路内には流体圧が発生している。その結果、ブレーキ用
の操作バルブをブレーキ位置に操作しての駐車状態のま
ま、つまり、ブレーキの解除を忘れたまま走行変速用の
操作バルブが前進や後進の走行位置に操作されると、流
体圧アクチュエータが走行側に作動して走行駆動するこ
とになり、そのため、ネガテイブブレーキの焼付けを招
来する。他方、ネガテイブブレーキの容量を走行駆動力
よりも大として、ブレーキの解除を忘れたまま走行操作
されても、停止状態を保持してブレーキの焼付けを防止
することも考えられるが、これによるときは、ネガテイ
ブブレーキのコストアップを招来する。

また、前記従来の走行操作装置によるときは、走行変速
を高低２段に変更するための流体圧アクチュエータに対
する操作バルブと、前記ブレーキ用の操作バルブとが独
立しているため、それらの設置スペースやそれらに対す
る配管等の面から高価に付くといった欠点もあった。

本考案の目的は、ネガテイブブレーキのコストアップを
招来することなく、操作忘れに起因したネガテイブブレ
ーキの焼付けを防止するとともに、配管など全体のコス
トダウンをはかる点にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案による作業車の走行操作装置の特徴構成は、圧油
供給源からの圧油を、走行変速操作用の流体圧アクチュ
エータに対する操作バルブと、走行変速を高低２段に変
更するための流体圧アクチュエータに対する操作バルブ
とに導く流体圧供給路に、流体圧作動式の駐車用のネガ
テイブブレーキに対する油路を接続し、前記ネガテイブ
ブレーキに対して前記流体圧供給路の流体圧を供給する
ブレーキ解除位置とネガテイブブレーキ内の流体圧を戻
り路に逃がすブレーキ位置とに切替操作自在なブレーキ
用の操作バルブを設けてある作業車の走行操作装置にお
いて、前記ブレーキ用の操作バルブが、前記ブレーキ位
置への操作状態で前記走行変速用の流体圧アクチュエー
タに対する操作バルブへの流体圧供給路を無負荷状態で
前記戻り路に接続するものであり、さらに、前記ブレー
キ用操作バルブと前記走行変速を高低２段に変更するた
めの流体圧アクチュエータに対する操作バルブとが、前
記走行変速を高低２段に変更するための流体圧アクチュ
エータを高速側および低速側に作動させる２つの操作位
置と前記流体圧供給路を前記戻り路に接続させる操作位
置とを備えた三位置切換式の１つの操作バルブから構成
されたものであり、それによる作用・効果は次の通りで
ある。

〔作用〕

ブレーキ用の操作バルブをブレーキ位置に操作したと
き、その操作バルブを介して走行変速操作用の流体圧ア
クチュエータに対する操作バルブへの流体圧供給路が無
負荷状態で戻り路に接続されるため、ブレーキ用の操作
バルブをブレーキ位置に操作しての駐車時には、走行変
速操作用の流体圧アクチュエータに対する操作油圧が上
昇せず、従って、走行変速用の操作バルブが前進や後進
の走行位置に操作されても、走行変速操作用の流体圧ア
クチュエータが走行側に作動されることがない。

そして、走行変速を高低２段に変更するための流体圧ア
クチュエータに対する操作バルブとブレーキ用の操作バ
ルブとの２つを、１つの三位置切換式の操作バルブから
構成してあるため、操作バルブ系の全体をコンパクトに
できる。

〔考案の効果〕

上記構成の結果、ブレーキの解除を忘れても、ネガテイ
ブブレーキの焼付けを回避でき、しかも、ネガテイブブ
レーキとして小容量で安価なものを用いることができる
ようになった。

さらに、走行変速を高低２段に変更するための流体圧ア
クチュエータに対する操作バルブとブレーキ用の操作バ
ルブとの２つを、１つの三位置切換式の操作バルブから
構成してあるため、バルブの設置や配管の取回し等が行
ない易くなってコストダウンを図れるようになった。

〔実施例〕

次に本考案の実施例を示す。

作業車の一例であるホイールローダは、第２図に示すよ
うに、左右一対の走行車輪（１）を備えた前部車体
（２）と左右一対の走行車輪（３）を備えた後部車体
（４）とを上下向き軸芯（ａ）周りに左右揺動自在に連
結し、前部車体（２）に立設したブラケット（５）に、
その先端にバケット（６）を揺動自在に枢着したショベ
ルアーム（７）を上下揺動自在に枢着し、前記ショベル
アーム（７）を駆動する左右一対のリフトシリンダ
（８）と前記バケット（６）をチルトアーム（９）を介
して駆動するチルトシリンダ（10）とを設け、前記後部
車体（４）に、ステアリングハンドル（11）と運転座席
（12）とエンジン（13）とミッションケース（14）とを
取付け、このミッションケース（14）から前部の車輪
（１）への伝動軸（15）と後部の車輪（３）への伝動軸
（16）を導出した四輪駆動式の構造に構成されている。

かつ、ホイールローダは、前記ステアリングハンドル
（11）に連動して前部車体（２）を後部車体（４）に対
して左右に揺動させることで繰向するように構成されて
いる。

前記ミッションケース（14）内には、前記エンジン（1
3）で駆動される斜板可変式の油圧ポンプ（Ｐ）と出力
軸を駆動する斜板可変式の油圧モータ（Ｍ）とを備えた
油圧式変速機が設けられている。この油圧式変速機は、
油圧ポンプ（Ｐ）の斜板角の変更により前後進の切換え
と前進、後進での走行速度の無段変更を行ない、油圧モ
ータ（Ｍ）の斜板角の変更により走行速度の高低２段変
更を行なうものである。

かつ、前記後部の車輪（３）のデフケースには、油圧作
動式の駐車用のネガテイブブレーキ（17）が組込まれて
いる。

前記油圧式変速機およびネガテイブブレーキ（17）に対
する操作装置は、第１図に示すように、圧油供給源とし
てのチャージポンプ（18）で発生された油圧で、前記油
圧ポンプ（Ｐ）の斜板角を変更するための走行変速操作
用の流体圧アクチュエータとしての主変速用油圧シリン
ダ（19）、前記油圧モータ（Ｍ）の斜板角を変更するた
めの、走行変速を高低２段に変更するための流体圧アク
チュエータとしての副変速用油圧シリンダ（19A）、ネ
ガテイブブレーキ（17）の３者を作動させるものであっ
て、油圧供給路（20）には、前記主変速用油圧シリンダ
（19）への油圧供給を制御する主変速用の操作バルブ
（21）と、前記副変速用油圧シリンダ（19A）への油圧
供給を制御する副変速用の操作バルブ（21A）と、前記
ネガテイブブレーキ（17）への油圧供給と制御するブレ
ーキ用の操作バルブ（22）とが設けられている。

前記主変速用の操作バルブ（21）は、主変速用油圧シリ
ンダ（19A）を前進高速側に作動させる前進操作位置
と、後進高速側に作動させる後進操作位置と、停止位置
に復帰作動させる中立位置とを備えた三位置切換式の電
磁バルブである。

前記副変速用およびブレーキ用の操作バルブ（21A），
（22）は、前記副変速用油圧シリンダ（19A）を高速側
に作動させる高速操作位置と、低速側に作動させる位置
操作位置と、油圧供給路（20）を戻り路（23）に接続さ
せてネガテイブブレーキ（17）内の油圧を逃がすブレー
キ操作位置とを備えた三位置切換式の１つの操作バルブ
（Ｖ）をもって一体に構成されている。なお、この三位
置切換式の操作バルブ（Ｖ）は、ブレーキ位置において
副変速用油圧シリンダ（19A）内も戻り路（23）に接続
させる油路構造に構成されている。

従って、副変速用の操作レバーと駐車ブレーキ用の操作
レバーとは、三位置切換式の操作バルブ（Ｖ）に対する
１つの操作レバー（24）から構成されている。

上記の実施例によれば、主変速用の操作バルブ（21）を
中立操作位置に操作したのち、三位置切換式の操作バル
ブ（Ｖ）をブレーキ操作位置にすることによって油圧供
給路（20）およびネガテイブブレーキ（17）内の油圧が
戻り路（23）に逃げ、ネガテイブブレーキ（17）がブレ
ーキ作動することはもちろん、この状態で主変速用の操
作バルブ（21）を前進操作位置や後進操作位置に操作し
ても、主変速用油圧シリンダ（19）が作動せず、走行駆
動力が発生しない。

〔別実施例〕

以下、本考案の別実施例を示す。

〔１〕上記実施例では、三位置切換式の操作バルブ
（Ｖ）として、ブレーキ位置において副変速用油圧シリ
ンダ（19A）内も戻り路（23）に接続するように構成し
たものを示したが、その操作バルブ（21）としては、ブ
レーキ位置において油圧供給路（20）のみを戻り路（2
3）に接続させるものであっても良い。

〔２〕上記実施例では、操作対象となる変速機として、
油圧式の変速機を示したが、操作対象変速機は、どのよ
うな形式のものであっても良い。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利
にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付図
面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る作業車のブレーキ操作部の実施例を
示し、第１図は油圧回路図、第２図はホイールローダの
側面図である。 （17）……ネガテイブブレーキ、（19），（19A）……
流体圧アクチュエータ、（20）……流体圧供給路、（2
1），（21A），（22）……操作バルブ、（23）……戻り
路、（Ｖ）……操作バルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】圧油供給源（18）からの圧油を、走行変速
   操作用の流体圧アクチュエータ（19）に対する操作バル
   ブ（21）と、走行変速を高低２段に変更するための流体
   圧アクチュエータ（19A）に対する操作バルブ（21A）と
   に導く流体圧供給路（20）に、流体圧作動式の駐車用の
   ネガテイブブレーキ（17）に対する油路を接続し、前記
   ネガテイブブレーキ（17）に対して前記流体圧供給路
   （20）の流体圧を供給するブレーキ解除位置とネガテイ
   ブブレーキ（17）内の流体圧を戻り路（23）に逃がすブ
   レーキ位置とに切替操作自在なブレーキ用の操作バルブ
   （22）を設けてある作業車の走行操作装置であって、前
   記ブレーキ用の操作バルブ（22）が、前記ブレーキ位置
   への操作状態で前記走行変速用の流体圧アクチュエータ
   （19）に対する操作バルブ（21）への流体圧供給路（2
   0）を無負荷状態で前記戻り路（23）に接続するもので
   あり、さらに、前記ブレーキ用操作バルブ（22）と前記
   走行変速を高低２段に変更するための流体圧アクチュエ
   ータ（19A）に対する操作バルブ（21A）とが、前記走行
   変速を高低２段に変更するための流体圧アクチュエータ
   （19A）を高速側および低速側に作動させる２つの操作
   位置と前記流体圧供給路（20）を前記戻り路（23）に接
   続させる操作位置とを備えた三位置切換式の１つの操作
   バルブ（Ｖ）から構成されている作業車の走行操作装
   置。