JPH064661B2 - ホスホニトリル酸エステル混合物からなる組成物及びその製造法 - Google Patents

ホスホニトリル酸エステル混合物からなる組成物及びその製造法

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JPH064661B2
JPH064661B2 JP28145290A JP28145290A JPH064661B2 JP H064661 B2 JPH064661 B2 JP H064661B2 JP 28145290 A JP28145290 A JP 28145290A JP 28145290 A JP28145290 A JP 28145290A JP H064661 B2 JPH064661 B2 JP H064661B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は新規なホスホニトリル酸エステル混合物及びそ
の製造法に関し、その目的とするところはフェノール性
水酸基を有するホスホニトリル酸ポリヒドロキシフェニ
ルエステルを用いてエポキシ基を有する新規なポリホス
ホニトリル酸エステル(ホスホニトリル酸ポリグリシジ
ルオキシフェニルエステル及びポリホスホニトリル酸ポ
リグリシジルオキシフェニルエステルの混合物)を提供
し、該エステル混合物を高収率で得る製造法を提供する
ことにある。
本発明においてホスホニトリル酸エステル及びポリホス
ホニトリル酸エステルについてホスホニトリルハライド
がヘキサクロロシクロトリホスホニトリルの場合につい
て例記すると下記の如くである。
33(OR)(OφOH)6-x, N33(NHR)(OφOH)6-x, N33(NR(OφOH)6-x, N33(NH(OφOH)6-xし、その1例として下記構造を有する重付加体を一部含
む混合物 とし、その1例として前記(I)式のOR基がNHR基である
構造を有する重付加体を一部含む混合物 とし、その1例として前記(I)のOR基がNR2基である
構造を有する重付加体を一部含む混合物 とし、その1例として前記(I)式のOR基がNH2基である
構造を有する重付加体を一部含む混合物 但し、Rはアルキル基又はアリール基、φはフェニル基
を意味し、xは0≦x≦5の範囲の任意の数値である。
本発明により得られたフェノール性水酸基を有するホス
ホニトリル酸エステルは、その用途の1例として、その
分子中にフェノール性水酸基に由来する活性水素を有す
ることから、イソシアネート基、エポキシ基等との反応
性を有し、またエポキシ基を有するポリホスホニトリル
酸エステルもエポキシ基としての反応性を有することか
ら、今後反応性中間体もしくは高分子原料として産業上
非常に有効な化合物である。さらに本発明により得られ
た化合物を使用することにより、該化合物がリンとチッ
素を含んでいることから難燃性、耐熱性等の望ましい性
質を付与するという効果をも併せ有している。
フェノール性水酸基を有するホスホニトリル酸エステル
については、工業化学雑誌Vol.67,NO.9 P1378
(1964)横山正明らと工業化学雑誌Vol.73,NO.6
P1164(1970)奥橋朋弥らによる報告がある。
横山らによる報告によればフェノール性水酸基を有する
ホスホニトリル酸エステルは加熱溶融法により脱塩化水
素反応を行なわせてヘキサクロロシクロトリホスホニト
リル(以下3PNCと記す)と2価フェノールとから得
られるとされている。また同報告によれば3PNCと2
価フェノールの仕込みモル比の相違により生成するホス
ホニトリル酸エステルの構造の相違が示されている。即
ち3PNCに対して2価フェノールを大量に用いた場合
(例えば1:9)には下記〔1〕,〔2〕の如く反応が起
るとされている。
P3N3Cl6+6(HO-R-OH)→P3N3Cl6-x(O-R-OH)x +xHCl 〔1〕 但し、x<3、n<10である。
また得られた重縮合物には塩素の含有量が少ないとされ
ているがそれでも残存塩基は、2価フェノールがヒドロ
キノンの場合でもモル比1:9の場合でも6.2%と非常
に高い値である。
さらに3PNCに対し2価フェノールのモル比が小さい
場合即ち3PNCに対する部分置換体の合成では下記
〔3〕の如く反応が起るとされている。
また得られたエステルは残存水酸基のほとんど認められ
ない高重合物であり多くの有機溶媒に不溶である。
次に奥橋らによる報告によればフェノール性水酸基を有
するホスホニトリル酸エステルは塩化ホスホニトリル酸
とヒドロキノンナトリウム塩をただ単に不活性溶媒中で
加熱反応しても脱食塩縮合反応はほとんど進行せず、触
媒としてピリジン、ヨウ化ナトリウムを併用して用い溶
媒として1,1,2,2-テトラクロルエタンを用いた場合に最
適条件で合成されるとなっている。またこの場合にも残
存塩素は7.4%と高い値である。さらに重縮合体の構造
については、横山らの提案している〔2〕の反応式に類
似した重縮合体が得られているものと考えられる。
上記文献からも明らかな如く重縮合体を含まずまた活性
塩素の完全に置換されたフェノール性水酸基を有するホ
スホニトリル酸エステルは2官能性であるヒドロキノン
を用いて合成することは不可能である。
本発明者らは上記の認識のもとでヒドロキノンの如き2
価フェノールの2官能性に基くホスホニトリルの重縮合
体を全く含まず活性塩素も完全にアリロキシ置換された
フェノール性水酸基を有するホスホニトリル酸エステル
の合成について鋭意研究した結果、2価フェノールの一
方の水酸基をメトキシ化により保護したp−メトキシフ
ェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル)のNa塩
又はK塩と塩化ホスホニトリルとを反応させ、その後に
ピリジンハロゲン化水素酸塩との反応によりメチル保護
基を除去し水酸基にすることで重縮合体を全く含まない
フェノール性水酸基を有するホスホニトリル酸エステル
が高収率で得られることを見い出した。
さらに上記で得られたフェノール性水酸基を有するホス
ホニトリル酸エステルとエピクロルヒドリンとをアルカ
リの存在下に反応させる、いわゆる従来公知のエポキシ
樹脂の合成手段を用いることによってエポキシ基を有
し、かつ重付加物の少ない新規なポリホスホニトリル酸
エステルが高収率で得られることをも見い出した。
即ち本発明は、P-O-φ-O-P結合による重縮合体を全く含
まず、活性塩素の残存しないフェノール性水酸基を有す
る新規なホスホニトリル酸エステルが高収率で得られる
こと、更にはエポキシ基を有する新規なポリホスホニト
リル酸エステルが高収率で得られることを見い出したこ
とにより完成されたものである。
本発明に使用されるホスホニトリルハライドは特に限定
されないが、例えば特開昭54-145394号公報または特開
昭54-145395号公報に開示されている方法に従って製造
される3量体および4量体のホスファゼンオリゴマー混
合物(重量比85:15〜75:25)、あるいは大環
状ホスファゼンオリゴマー〔(NPCl2)p、p:5〜15〕、線状 q:3〜15〕などが挙げられる。
また、2価フェノールの一方の水酸基がメチル基で保護
された化合物の例としては、p−メトキシフェノール、
o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール等が
挙げられる。
また部分p−メトキシフェノキシ置換体の未置換塩素を
完全に置換するために用いられるROM(Rはアルカリ
金属と反応性を有する活性水素基を有しない、アルキル
基、ハロアルキル基、置換され又は置換されないアリー
ル基、Mはナトリウム又はカリウムを示す)で表わされ
る化合物の好適な具体例としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、1,1,1,−トリフルオロエタノール、オクタフルオロ
ペンチルアルコール、フェノール、p−メチルフェノー
ル、p−クロルフェノール、p−トリフルオロメチルフ
ェノール等のナトリウム塩及びカリウム塩が使用出来る
が、とりわけナトリウムのフエノラートまたは1,1,1−
トリフルオロエチラートが耐熱性という物性上から好ま
しく、そのまま、またはアルコール溶液もしくはテトラ
ヒドロフラン溶液等として加えられる。また用い得る第
1級または第2級アミン化合物としては具体的には、メ
チルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロ
ピルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミ
ン、ジプロピルアミンなどが挙げられ、そのままで、ま
たは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化
水素系溶媒等に溶解して加えられる。
ホスホニトリルハライドとモノメトキシフェノールのN
a塩又はK塩との反応は、好ましくはベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エーテル、テトラヒドロフラン等の有機
溶媒中にて、室温下の温度で約1〜20時間、次いで反
応を完結させるために使用した溶媒の還流温度で約1〜
3時間反応を行なう。尚、反応態様としてはメトキシフ
ェノキシ全置換体を得たい場合にはホスホニトリルハラ
イド溶液を、部分メトキシフェノキシ置換体を得たい場
合にはメトキシフェノールのNa塩又はK塩溶液を添加
する方が好ましい結果を与える。
また部分メトキシフェノキシ置換体の未置換塩基を前記
アルコラート化合物またはアミン化合物によって置換す
る反応は室温ないし使用した溶媒の還流温度以下で約3
〜8時間の条件下で行なうのが好ましいが、アルコラー
ト化合物を用いる場合、アルコラート溶液を室温下に添
加し、次いで約1〜5時間室温下で攪拌反応したのち、
反応を完結させるために約50〜100℃で約0.5〜2
時間反応させるのが好ましい。尚、この場合にはあらか
じめメトキシフェノールのNa塩又はK塩とアルコラー
ト化合物との混合溶液を調整しておき、該溶液中にホス
ホニトリルハライド溶液を滴下反応させても同様の結果
を得ることが出来る。
また、アミン化合物を用いる場合にはアミン化合物の反
応性及び物理性性質によって適宜反応条件を選択して行
なうことが好ましい。
次にメトキシフェノキシ置換基のメチル保護基の除去反
応はメチル基1モルに対してピリジンハロゲン化水素酸
塩を約2〜20倍モル使用し、好ましくは約5〜10倍
モル使用して還流温度下で約1時間以内の反応時間とす
ることが好ましく、それ以上の反応時間を費すと反応生
成物の分解による収率低下が起こる。上記ピリジンハロ
ゲン化水素酸塩の例としては、ピリジン塩酸基、ピリジ
ン臭化水素酸塩等を挙げることができる。
次にエポキシ基を有するホスホニトリル酸エステル合成
の実施態様としては、従来公知のフェノール性水酸基を
有する化合物とエピクロルヒドリンをアルカリの存在下
に反応させるエポキシ樹脂合成法と同様である。本発明
における好適な態様としては、ヒドロキシフェノキシ置
換体とエピクロルヒドリンと水との混合溶液を90〜1
05℃に加温した後に適宜NaOHペレット又はNaOH水溶液
等のアルカリを添加し、次いで同温度にて反応を約10
分〜2時間行なう。尚、この反応においては反応温度が
高温かつ反応時間が長い程高分子量の重付加体が得られ
るので目的に応じてその反応態様を選択することが好ま
しい。
次に、参考例、実施例および比較例を挙げて本発明をよ
り詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。
参考例1 還流冷却器、温度計、攪拌機、三塩化りん滴下器および
塩素ガス吹き込み管を備えた1のフラスコにモノクロ
ルベンザン500ml、塩化アンモニウム36.5g(0.6
8モル)および酸化亜鉛0.5gを仕込んで混合分散液を
得た。該分散液を温度130℃に加熱し還流下で三塩化
りん85.1gを0.89g/分の速度で96分間にわたっ
て滴下すると同時に塩素ガス45.4gを0.47g/分の
速度で96分間にわたって供給した。三塩化りんおよび
塩素ガスを供給した後、さらに144分間還流(132
℃)を行って反応を完結した。次いで吸引過して未反
応の塩化アンモニウムを除去し、液を10〜20mmH
gの減圧下にて30〜40℃でモノクロルベンザンを留
去して反応生成物70.4gを得た。該反応生成物の三塩
化りんを基準とした収率は98.1%であった。該反応生
成物中より石油エーテルにより環状ホスファゼンオリゴ
マーを抽出した。石油エーテル留去後の環状ホスファゼ
ンオリゴマーの収量は68.3gであった。吸引過によ
り結晶性の3および4量体と油状の大環状ホスファゼン
オリゴマーとを分離し、結晶性の3および4量体ホスフ
ァセンオリゴマーを64.5g得た。
比較例1(工化誌Vol.73,NO.6(1970)の合成例参照によ
る) 還流冷却器、温度計、攪拌機を備えた500mlのフラス
コ中に3量体13.0g(0.112ユニットモル;NPCl2を1
ユニットとする)と、ヒドロキノン33.3g(0.302モ
ル)及び水酸化ナトリウム12.1g(0.302モル)より
あらかじめ合成したヒドロキノンナトリウム塩および触
媒としてピリジン3.48g(0.044モル)とヨウ化ナト
リウム1.65g(0.011モル)を加えて、1,1,2,2-テト
ラクロルエタン130ml中で146〜148℃で20時間反応
させた。アセトン可溶性の重縮合体22.7gを得た。得
られた重縮合体の残存塩素量は8.2%であった。
参考例2 還流冷却器、温度計、攪拌機、滴下ロートを備えた2
の4ツ口フラスコに3PNG116g(1ユニットモ
ル)、テトラヒドロフラン200gを仕込んで溶液を得
た。次に別に調整したp−メトキシフェノールのNa器
のテトラヒドロフラン溶液(P、メトキシフェノール2
97.9g(2.4モル)、ナトリウム50.6g(2.2g-a
toms)、テトラヒドロフラン1200g)を攪拌しながら2
時間かけて実施例3PNC溶液に滴下して反応させた。
Na塩の約1/3量を加えるまでは激しい発熱反応であり
冷却しながら滴下反応を行った。残量の添加時には激し
い発熱反応にならないが最高発熱温度30℃になるよう
に適宜冷却して反応を行った。滴下終了後、引き続き1
4時間室温下での攪拌反応を行った。次に反応完結のた
めに溶媒還流下に3時間反応を行った。反応終了後、溶
媒のテトラヒドロフランを減圧下に留去し、次にトルエ
ン1を加えて再溶解し、更に水1を加えて分液ロー
ト中にて有機層の分液を行った。有機層を5wt%水酸
化ナトリウム水溶液1で4回洗浄し、さらに、(1+
9)HCl水溶液2で1回洗浄し、最後に5wt%重曹
水2で洗浄した。この時の水層はpH試験紙で7〜8で
あった。有機層分液後に、無水硫酸マグネシウムで脱水
処理し、トルエンを留去して茶カッ色の固体であるp−
メトキシフェノキシホスホニトリル酸エステル285.8
g(収率98%)を得た。残存塩素量は0.175%で、融
点は103℃(文献値103〜104℃)であった。
上記方法にて得たp−メトキシフェノキシホスホニトリ
ル酸エステル262.1g(0.9ユニットモル)とピリジ
ン塩酸塩2080g(18モル)を、2の4ツ口フラスコ
に仕込み、徐々に昇温し、205〜210℃で1時間反
応を行った。室温迄冷却後、水300mlを加えて反応生
成物及び過剰のピリジン塩酸塩を溶解し、濃NaOH水溶液
でpH6〜7に反応溶液を調整した。次に酢酸エチル1
を用いて抽出を4回行った後に抽出液を合せて、飽和茫
硝水1で4回洗浄し有機層を分液後、無水硫酸マグネ
シウムにより脱水処理後、減圧下にて酢酸エチルを留去
した。次に残渣をメタノール300mlに溶解し水3中
に投入し結晶析出させる工程を3回繰り返し行い減圧乾
燥後、精製された生成物として淡茶色結晶194.2g
(収率82%)を得た。残存塩素量は0.01%以下であ
り、融点は239℃であった。
分析化学便覧(日本分析化学会編)有機編P316に記
載されている無水酢酸およびピリジンによるアセチル化
法によりOH(%)を定量したところ12.7%であった〔理
論値12.9%、実験式N33(OφOH)6〕。
第1図に生成物のIRチャート、第2図にGPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー)チャートを示す。
IRチャートよりPN環及び水酸基を有するホスホニト
リル酸エステルであるを確認し、またGPCチャートよ
り重縮合体を含まない単一化合物であることが確認され
た。
参考例3 参考例1の方法にて合成した結晶性ホスファゼンオリゴ
マー116g〔3量体と4量体の成分比75:25〕
(1ユニットモル)を使用し実施例1と同様の方法によ
り茶カッ色固体状のp−メトキシフェノキシ誘導体284.
6g(収率97.8%)を得た。残存塩素量は0.093%で,
融点は95〜100℃であった。上記により得たp−メ
トキシフェノキシホスホニトリル酸エステル262.1g
(0.9ユニットモル)を使用した他は実施例1と同様の
方法によりメチル基の除去を行った。得られた生成物は
淡茶色結晶で収量223.6g(収率85%)であった。残
存塩素量は0.01%以下であり、融点は220〜225
℃であり、水酸基含量は 12.8%であった。
参考例4 参考例1にて合成したホスファゼンオリゴマー〔環状及
び線状オリゴマー混合物〕116g(1ユニットモル)
を使用した他は参考例2と同様の方法によりp−メトキ
シフェノキシ誘導体を得た。収量は283.7g(収率97.
5%)で、残存塩素量は0.15%で、茶カッ色の高粘稠
体であった。
上記により得たp−メトキシフェノキシホスホニトリル
酸エステル262.1g(0.9ユニットモル)を使用した他
は参考例2と同様の方法によりメチル基の除去を行っ
た。得られた生成物は淡茶色、高粘稠体で収量210.4g
(収率80%)であった。残存塩素量は0.01%以下で
あり、水酸基含量は12.7%であった。
参考例5 攪拌装置、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた2
の4ッ口フラスコに3量体116g(1ユニットモ
ル)及びテトラヒドロフラン200gを仕込み溶液とし
た後に、別に調製したp−メトキシフェノールのNa塩
のテトラヒドロフラン溶液(p−メトキシフェノール12
6.5g(1.1モル)、ナトリウム23g(1g-atom)、
テトラヒドロフラン400gより調製)攪拌下に1時間
かけて滴下反応させた。反応は激しい発熱反応であるの
で反応温度が30℃を越えないように適宜冷却して反応
を行った。滴下終了後に室温下でさらに反応を7時間行
った。該反応にて得られた部分置換体の残存塩基量は1
7.21%であり推定構造はN3P3Cl2.98(OφOCH3)3.02であ
る。
次に別に調製したナトリウムフェノラートのテトラヒド
ロフラン溶液(フェノール122.3g(1.3モル)、ナトリウ
ム28.8g(1.2モル)、テトラヒドロフラン400g
より調製)を最高発熱温度30℃に冷却制御しながら1
時間かけて滴下した。次いで室温下で5時間、還流温度
で3時間反応を行い反応を完結した。次にテトラヒドロ
フランを留去後にトルエン1を加えて生成物を再溶解
させ、水500mlを加えて水洗分液した。有機層を5%
NaOH水溶液による洗浄及び2%NaOH水溶液による洗浄を
各々1回行った後に、(1+9)HCl水溶液で酸化処理後
に5wt%重曹水で洗浄し、水層pH中性とした。次に有
機層を分液し無水硫酸マグネシウムで脱水処理後にトル
エンを留去し、茶カッ色油状の生成物257.6g(収率9
8.6%)を得た。残存塩素量は0.01%以下であった。
上記反応で得たp−メトキシフェノキシ部分置換ホスホ
ニトリル酸エステル261.2g(1ユニットモル)とピリ
ジン塩酸塩1167.1g(10.1モル)を2の4ツ口フラ
スコに仕込み、徐々に昇温し205〜210℃で1時間
反応を行った。その後の操作は参考例2と同様に行ない
茶色の樹脂状固体217.4g(収率88%)を得た。残存
塩素量は0.01%以下であり、水酸基含量は6.8%であ
った。第3図のGPCチャートより縮重合体を含んでい
ないことが明らかである。尚、 N3P3(Oφ)2.98(OφOH)3.02における理論水酸基含量は6.
9%である。
参考例6 参考例5と同じ仕込み量及び同様の反応操作で得たp−
メトキシフェノキシ基の部分置換体〔N3P3Cl2.98(OφOC
H3)3.02〕反応溶液中に、別に調製した19.2%ナトリ
ウムイソプロポキシドのイソプロパノール溶液(イソプ
ロパノール400g、ナトリウム28.8g(1.2モル)
より調製)を最高発熱温度30℃になるように冷却制御
しながら1時間かけて滴下した。さらに室温下で5時
間、還流温度で3時間反応を行った。反応終了後の後処
理は参考例5と同じ方法により行い、得られた生成物は
黄色油状物で収量は207.6g(収率91.3%)で残存塩素
量は0.02%であった。
上記反応で得たp−メトキシフェノキシ部分置換ホスホ
ニトリル酸エステル204.7g(0.9ユニットモル)とピ
リジン塩酸塩2102g(18.2モル)を3の4ツ口フラ
スコに仕込み、徐々に昇温し205〜210℃で1時間
反応を行った。その後の操作は参考例2と同様に行ない
茶色高粘稠体181.3g(収率85%)を得た。残存塩素
量は0.01%以下であり、水酸基含量は7.9%であっ
た。
参考例7 参考例5と同一の仕込み量及び同様の反応操作で得たp
−メトキシフェノキシ部分置換体 〔N3P3Cl2.98(OφOCH3)3.02〕183.7g(0.9ユニットモ
ル)とテトラヒドロフラン400gを攪拌機付き1の
オートクーブに仕込み溶解させ、次いで液体アンモニア
68gを加えて加圧下で室温で48時間反応を行った。
反応終了後に過剰のアンモニアを除き、生成した塩化ア
ンモニウムを別後に液中よりテトラヒドロフランを
留去し、反応生成物として淡黄色の樹脂状固体152.3g
(収率91.6%)を得た。残存塩素量は0.1%であっ
た。
上記反応で得たp−メトキシフェノキシ部分置換体15
0g(0.81ユニットモル)とピリジン塩酸塩1409.1g
(12.2モル)を2の4ツ口フラスコに仕込み、その
後の諸操作は参考例2と同様に行なった。反応生成物は
淡黄色の樹脂状固体で収量は117.5g(収率85%)、
残存塩素量は0.01%以下、水酸基含量は9.8%であっ
た。
参考例8 参考例5と同一の仕込み量及び同様の反応操作で得たp
−メトキシフェノキシ部分置換体 〔N3P3Cl2.98(OφOCH3)3.02〕183.7g(0.9ユニットモ
ル)とテトラヒドロフラン400gを1の反応器に仕
込み、次いでアニリン279.4g(3モル)を1時間かけ
て滴下反応させた。反応は発熱反応であったので30℃
を越えないように冷却しながら行った。滴下終了後、室
温で5時間、還流温度で3時間反応を行って完結した。
生成したアニリン塩酸塩を別後にテトラヒドロフラン
及び過剰のアニリンを留去しトルエン1を加えて再溶
解後に水層のpHが中性になるまで水洗を行った。次に分
液したトルエン溶液を無水硫酸マグネシウムにより脱水
処理しトルエンを留去し、反応生成物として淡黄色の樹
脂状固体219g(収率93.5%)を得た。残存塩素量
は0.02%であった。
参考例9 参考例5と同様の方法で得たp−メトキシフェノキシ部
分置換体〔N3P3Cl2.98(OφOCH3)3.02〕183.7g(0.9ユ
ニットモル)とテトラヒドロフラン400gを1の反
応器に仕込み、次いでジエチルアミン219.4g(3モ
ル)を1時間かけて滴下反応させた。反応は発熱反応で
あったので反応温度が30℃を越えないように冷却しな
がら反応を行った。滴下終了後室温下で12時間、還流
温度下で7時間反応を行って完結した。反応終了後ジエ
チルアミン塩酸塩を別後に、テトラヒドロフラン及び
過剰のジエチルアミンを留去し反応生成物として淡黄色
樹脂状固体194.7g(収率90%)を得た。残存塩素量
は0.21%であった。
実施例1 攪拌装置、還流冷却器、温度計を備えた1反応器に参
考例2で合成したヘキサ−p−ヒドロキシフェノキシホ
スホニトリル酸エステル78.9g(0.1モル)、エピク
ロルヒドリン555.2g(6モル)を仕込み加熱溶解させ
た。次に40%NaOH水溶液(NaOH:2.44g、0.061モ
ル)を95〜118℃で65分間かけて滴下した。反応
を完結させるために同温度でさらに15分間反応を行っ
た。反応終了後にエピクロルヒドリン及び水を留去し、
残渣にクロロホルム1を加えて再溶解し、水1を加
えて水洗を2回行った。分液した有機層は無水硫酸マグ
ネシウムにより脱水後クロロホルムを留去し、赤カッ色
の樹脂状固体103g(収率91.5%)を得た。
第4図のIRチャート及び第5図の1H−HMRチャー
トからエポキシ基を有するホスホニトリル酸エステルで
あることが明らかとなり、また第6図のGPC分析の結
果、 を主成分とする生成物であることが判明した。
実施例2 実施例1で用いたと同様の反応装置を使用し、参考例5
で合成した部分置換p−ヒドロキシフェノキシ誘導体7
5.6g(0.1モル)、エピクロルヒドリン277.6g(3
モル)及び水10mlを仕込み、加熱溶解後、ペレット状
の水酸化ナトリウム12.4g(0.31モル)を80〜9
5℃で10分間で添加した。添加後90〜95℃で40
分間反応を続行した。反応終了後の諸操作は実施例1と
同様に行ない、赤カッ色の樹脂状固体85.3g(収率9
3.7%)を得た。
第7図のIRチャート及び第8図の1H−NMRチャー
トよりエポキシ基を有するホスホニトリル酸エステルで
あることが明らかとなり、また第9図のGPC分析の結
果、重付加物の少ない混合物であることが明らかとなっ
た。
参考例10 参考例2においてp−メトキシフェノールに変えてo−
メトキシフェノールを使用した他は同様の方法にて反応
を行った。その結果茶カッ色の固体であるo−メトキシ
フェノキシホスホニトリル酸エステル284.1g(収率9
7.4%)を得た。残存塩素量は0.15%で、融点は98
〜100℃であった。上記方法にて得たo−メトキシフ
ェノキシホスホニトリル酸エステル262.1g(0.9ユニ
ットモル)とピリジン塩酸塩2080g(18モル)を用い
て参考例2と同様の方法にてヒドロキシ化反応を行っ
た。その結果、淡茶色結晶193.1g(収率81.5%)を
得た。残存塩素量は0.01%以下であり、融点は235
℃であった。アセチル化法によりOH(%)を定量したとこ
ろ12.6%であった。
次に参考例3〜4及び参考例6〜10で得られた化合物の
物性を下記表1に示す。
次に参考例及び実施例で得られた化合物の化学構造につ
いて示す。
参考例2 参考例3 N33(OφOH)6とN44(OφOH)8の75:25の
混合物 参考例4 参考例5 N33(Oφ)2.98(OφOH)3.02 参考例6 N33〔OCH(CH322.98(OφOH)3.02 参考例7 N33(NH22.98(OφOH)3.02 参考例8 N33(NHφ)2.98(OφOH)3.02 参考例9 N33〔N(C2522.98(OφOH)3.02 参考例5〜9は環状3量体の誘導体である。
実施例1 少量成分 実施例2 上記化合物は置換基Oφが1〜5の混合物であり、一例
として のような化合物が挙げられる。
少量成分 のような縮合物が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は参考例化合物のIRチャート、第2〜3図は参
考例化合物のGPCチャート、第4,7図は本発明目的
物のIRチャート、第6,9図は本発明目的物のGPC
チャート、及び第5,8図は本発明目的物の1H−NM
Rチャートである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】残存活性塩素を実質上含有しない一般式 EはDと同じ基、又はアルコキシ、アリールオキシ、ア
    ミノ、第1級アミノ又は第2級アミノ基、nは3〜20の
    整数、p及びqは環状のときはp=q=0、線状のとき
    はp=q=1を示す。ただしD及び である。)で表されるホスホニトリル酸ポリグリシジル
    オキシフェニルエステルと少量の一般式 アリールオキシ、アミノ、第1級アミノ又は第2級アミ
    ノ基を示す)で表されるポリホスホニトリル酸ポリグリ
    シジルオキシフェニルエステルを含むエステル混合物か
    らなる反応中間体もしくは高分子原料として有用な組成
    物。
  2. 【請求項2】一般式 BはAと同じ基、又はアルコキシ、アリールオキシ、ア
    ミノ、第1級アミノ又は第2級アミノ基、nは3〜20の
    整数、p及びqは環状のときはp=q=0、線状のとき
    はp=q=1を示す)で表されるホスホニトリル酸ポリ
    フェニルエステルとエピクロルヒドリンとをアルカリ
    の存在下に反応させることを特徴とする残存活性塩素を
    実質上含有しない一般式 EはDと同じ基、又はアルコキシ、アリールオキシ、ア
    ミノ、第1級アミノ又は第2級アミノ基、nは3〜20の
    整数、p及びqは環状のときはp=q=0、線状のとき
    はp=q=1を示す。ただしD及び ある。)で表されるホスホニトリル酸ポリグリシジルオ
    キシフェニルエステルを少量の一般式 アリールオキシ、アミノ、第1級アミノ又は第2級アミ
    ノ基を示す)で表されるポリホスホニトリル酸ポリグリ
    シジルオキシフェニルエステルを含むエステル混合物か
    らなる反応中間体もしくは高分子原料として有用な組成
    物の製造法。
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