JPH0646362Y2 - スタッキング用椅子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ホール等で使用され運搬時や収納時にコンパ
クトに積み重ねることができるようにしたスタッキング
用椅子に関する。

［従来の技術］ 従来、この種の椅子として、前脚杆と、上部杆と、後脚
杆と、前後脚杆の中間を連結する補強杆とから成り、前
脚杆と後脚杆とが下方に向かって開くように構成した一
対の脚部材を備え、それら両脚部材間に座部材を装着
し、下段椅子の脚部材の上部杆に上段椅子の補強杆が重
合するように複数の椅子を積み重ねることができるよう
にしたものが知られている。このようなスタッキング用
椅子においては、椅子を積み重ねるとき、或いは、その
積み重ね状態で運搬したときなどに、上部杆と補強杆と
の重合面が擦れ合って損傷を受けるのを回避するため、
補強杆の前後位置に合成樹脂などからなる保護カバーが
装着してある。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、補強杆の前後位置に保護カバーを装着した従
来のスタッキング用椅子は、補強杆の外周に部分的に凹
凸部が形成されるため体裁が悪く、また、脚部材に付着
したほこり等を拭き取る際に保護カバーの膨出が邪魔に
なり、さらに、積み重ね状態で椅子を運搬したときに、
後脚杆同士及び下段の椅子の座部材の外側面と上段の椅
子の後脚杆の内側面とが接触して損傷を受け易い。しか
して、後脚杆の後面及び座部材の外側面に受けた損傷
は、外部から視認可能であるため、外観を著しく損なう
という不具合があった。

本考案は、積み重ね状態が安定すると共に、前述した脚
部材及び座部材の損傷を回避することができるようにし
たスタッキング用椅子を提供することを目的としてい
る。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記した目的を達成するために、次のような
手段を講じたものである。すなわち、本考案に係るスタ
ッキング用椅子は、前脚杆と、上部杆と、後脚杆と、前
後脚杆の中間を連結する補強杆とから成り、前脚杆と後
脚杆とが下方に向かって開くように構成した一対の脚部
材を備え、それら両脚部材間に座部材を装着し、下段椅
子の脚部材の上部杆に上段椅子の補強杆が重合するよう
に複数の椅子を積み重ねることができるものであって、
前記各脚部材の補強杆の下面に、その長手方向に延びる
板状の第１保護部材を、また、前記補強杆の取り付け位
置より下方の後脚杆に、該後脚杆の前面に添接する前面
板片と内側面に添接する側面板片とを一体化して成る断
面Ｌ字形の第２保護部材を、さらに前後脚杆の下端に第
３保護部材を夫々取り付けたことを特徴とする。

断面Ｌ字形を成す第２保護部材を、後脚杆にワンタッチ
で取り付けることができるようにするには、第２保護部
材の前面板片及び側面板片の各内面に、該前面板片及び
側面板片の成す角の二等分線と平行する係止軸を夫々突
設し、この各係止軸を、後脚杆の前面と、内側面とに設
けた取付孔に夫々係挿することにより第２保護部材を脚
部材の後脚杆に取り付けるようにすればよい。

スタッキング状態をより安定化させるには、後脚杆の第
３保護部材に、後脚杆の前面下部に取り付けられる当片
を延設しておくのがよい。

［作用］ 本考案のスタッキング用椅子を積み重ねる場合には、従
来と同様に下段の椅子の脚部材の上部杆上に上段の椅子
の補強杆を重合するものであるが、上部杆と補強杆との
間に第１保護部材が、また、下段の椅子の後脚杆の後面
と上段の椅子の後脚杆の前面との間に第２の保護部材の
前面板片が夫々介在すると共に、下段の椅子の背部の前
面に上段の椅子の背部の背面が重合し、座板同士が上下
方向に積層し、さらに下段の椅子の座部材後部の外側面
と上段の椅子の後脚杆の内側面との間に、第２保護部材
の側面板片が介在して脚部材同士及び脚部材と座部材と
が直接に接触することはなく、椅子を上下段に重合した
状態で運搬が行われる。

しかして、この椅子は、補強杆の下面に装着された第１
保護部材が、長手方向に延びる板状のものであるため、
複数の第１保護部材を間欠的に設ける場合に比べて体裁
が良いばかりでなく、脚部材に付着したほこり等を拭き
取る際にも第１保護部材が邪魔になることがない。さら
に、積み重ね状態で椅子を運搬する際等に、積み重ねた
椅子が前後に揺動しようとしても、下段の椅子の後脚杆
の背面と、上段の椅子の後脚杆の前面との間には、該上
段椅子の後脚杆に設けた第２保護部材の前面板片が介在
することになり、後脚杆同士が直接に衝突して傷付くこ
とがなくなる。また、積み重ねた椅子が左右に相互移動
しようとしても、下段椅子の座部材の外側面と、上段椅
子の後脚杆との間には、該後脚杆に設けた第２保護部材
の側面板片が介在することになる。そのため、その後脚
杆が前記座部材の外側面に直接に衝突して該外側面に傷
を付けるのを有効に防止することができる。

また、前後脚杆の下端に第３の保護部材を設けておけ
ば、下段の椅子に上段の椅子をかぶせるようにしてスタ
ッキングする際に、上段椅子の脚杆の先端が下段の椅子
に衝突して傷をつけるのを防止できる。さらに、後脚杆
の第３保護部材に、後脚杆の前面下部に取り付けられる
当片を設けておけば、この当片と前記第２保護部材の前
面板片とが、下段の椅子の後脚杆の上下位置に当接可能
となり、積み重ねた椅子が前後に揺動するのを効果的に
抑制してスタッキング状態の安定化をより促進すること
が可能となる。

［実施例］ 第１図は、本考案に係るスタッキング用椅子の総体斜視
図を示し、１、１は例えばアルミの押出し成型により作
られた角状パイプを下向きコ字状に屈曲して下向き前方
に稍傾斜した前脚杆２と、その上端から湾曲して水平に
延びる上部杆３と、その後端から湾曲して下向き後方に
稍大きく傾斜した後脚杆４とを一体に形成した左右一対
の脚部材を示し、前記前脚杆２及び後脚杆４の中間位置
には、前記上部杆３と平行して延びる補強杆５がその前
後端を溶接などにより接合して架設してある。この補強
杆５は、第３図で示すように、断面方形状の角状部の左
右側板を下方に延設すると共に、その下端を夫々内方に
直角に屈曲して断面Ｌ字状の一対のリブ６、６を一体に
形成した例えばアルミ押出し成型材製のものであり、こ
のリブ６、６と角状部の下面とにより前後端面及び下面
中央部で開口する挿入溝７が形成される。前記補強杆５
の取付位置より下位の後脚杆４の前面及び内側面の各上
下位置に対向する取付孔８、９及び10、11とが、また、
後脚杆４の前面下面部位置の取付孔12が開設してあり、
このように構成された左右一対の脚部材１、１は連結杆
13、13によって連結されている。14は脚部材１、１と同
様に例えばアルミの押出し成型材製の角パイプを屈曲し
た水平状の座部15と、その後端から稍傾斜して起立する
背部16とを一体に形成すると共に、前記座部15に座板17
を、背部16に背凭板18を夫々取り付けて成る座部材を示
し、前記座部材14の外側面14gが前記左右一体の脚部材
１の上部杆３の内側面に対向して位置するように脚部材
１、１に座部材14を装着することにより、椅子本体19が
構成される。20は前記補強杆５の両端溶接部を除く下面
のほぼ全長に亘って装着される合成樹脂の押出し成型品
である第１保護部材を示し、該第１保護部材20は、補強
杆５の下面とほぼ等しい幅をもつ保護板21の上面中央部
に、長手方向の全長に沿って延びると共に、前記補強杆
５の下面で開口する挿入溝７から挿入して前記リブ６、
６と係止する倒Ｌ字状の一対の係止片22、22を平行状に
対設して成る。23は前記補強杆５の下方位置の後脚杆４
に取り付けられる合成樹脂の一体成型品である第２保護
部材を示し、該第２保護部材23は、前記後脚杆４の前面
4mに重合する縦長方形状の前面板片24と、後脚杆４の内
側面4nに重合する側面板片25とを長手辺で直角状に一体
化してなる断面Ｌ字形のもので、これら各板片24、25の
内面の上下位置に、前面板片24と側面板片25とのなす角
の二等分線ｎと平行状に突設し、かつ、先端一部外周に
係止段部ａを有して前記取付孔８と９、10と11とに夫々
係挿する係止軸26と27、28と29が突設して左右の後脚杆
4,4に共用できるように構成してある。30は前記前、後
脚杆２、４の下端部に取り付けられた合成樹脂製の第３
保護部材を示し、該第３保護部材30は、前、後脚杆２、
４の下端面を覆い、かつ、下面が傾斜している駒片31の
上面に前記前、後脚杆２、４に嵌合する嵌入片32を一体
に設けると共に、後脚杆４側の第３保護部材30に、後脚
杆４の前面4mに当接する当片33を上方に延設すると共
に、この当片33の内面に前記第２保護部材23と同様に前
記取付孔10に係止する係止軸34が突設してあり、前記第
３保護部材30の当片33は第２保護部材23の前面板片24と
等しい厚さを有している。

しかして、後脚杆４に第２保護部材23を取り付ける場合
には、後脚杆４の横断面の対角線と前記二等分線ｎとが
一致するように後脚杆４と第２保護部材23を対峙して各
係止軸26と27、28と29を対応する各取付孔８と９、10と
11に係挿して直交する前面板片24と側面板片25とを後脚
杆４の前面4mと、内側面4nとに夫々重合して取り付け
る。このようにして左右の後脚杆４に第２保護部材23を
夫々取り付けると共に、補強杆５の下面の挿入溝７より
係止片22、22を圧入することにより、第１保護部材20を
補強杆５の下面に装着する。そして、本考案に係るスタ
ッキング用椅子を積み重ねる場合には、従来と同様に、
第６図で示すように下段の椅子19aの脚部材１、１の上
部杆３上に上段の椅子19bの補強杆５を重合するもので
あるが、本考案においては、上部杆３と補強杆５との間
に第１保護部材20が、また、下段の椅子19aの後脚杆
４、４の後面4uと上段の椅子19bの後脚杆４、４の前面4
mとの間に第２保護部材23の前面板片24と第３保護部材3
0の当片33が夫々介在すると共に、下段の椅子19aの背凭
板18の前面に上段の椅子19bの背凭板18の背面が重合
し、座板17同士が上下方向に積層し、さらに下段の椅子
19aの座部材14の外側面14gにおける座枠16の後部に対応
する部位と上段の椅子19bの後脚杆４の内側面4nとの間
に、第２保護部材23の側面板片25が介在して脚部材１同
士及び脚部材１と座部材14とが直接に接触することはな
く、椅子19a,19bを上下段に重合した状態で、運搬が行
われる。

なお、上記実施例では、補強杆５を角パイプ状に形成
し、その下面に挿入溝７を形成してこれに第１保護部材
20の係止片22、22を挿入して係止する場合を例示した
が、補強杆５の下面に係止孔と係止凸部との係止によ
り、或いは接着により、固設してもよく、また、後脚杆
４、４の前面に、第２保護部材23、第３保護部材30の当
片33を接着により固設してもよいことは勿論である。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、下段の椅子と上段の椅
子とが、脚部材の上部杆と補強杆との重合面、脚部材の
後脚杆同士の重合面、及び、脚部材の後脚杆内側面と座
部材の外側面との間に夫々保護部材が介在するので金属
部分が直接に接触することがなくなって椅子に損傷を与
えるおそれはなくなる。特に、本考案によれば、第２保
護部材を断面Ｌ字形のものにしているので、脚部材の上
部杆の上面や後脚杆の後面だけでなく、左右の脚部材間
に配設した座部材の外側面に傷が付くという不具合をも
解消することができるという格別な効果を奏する。その
ため、視認可能な部位に傷が付いて外観を損ねるのをよ
り効果的に防止することができるのである。

また、第１保護部材が補強杆の長手方向に沿って平板状
に設けられ、また、第２保護部材も後脚杆に対し板状に
延びているので清掃する場合にも便利であり、かつ、積
み重ね状態が安定する。

さらに、脚杆の下端に第３保護部材を設けているので、
脚杆の先端で下段の椅子を傷付けることもなく、しか
も、後脚杆の第３保護部材に当片を設けておけば、下段
の後脚杆と上段の後脚杆との間にこの当片と第２保護部
材の前面板片とが介在することになる。そのため、積み
重ねた椅子が前後に揺動するのをより確実に防止または
抑制することが可能となり、スタッキング状態をより安
定化させることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は総体斜視図、
第２図は側面図、第３図は第１保護部材を取り付けた状
態の補強杆の拡大縦断面図、第４図は第２、第３保護部
材を取り付けた状態の後脚杆の拡大縦断面図、第５図は
第２保護部材を取り付けた状態の後脚杆の拡大横断面
図、第６図は積み重ね状態の側面図、第７図は積み重ね
状態の要部の拡大背面図である。 １…脚部材、２…前脚杆、３…上部杆、４…後脚杆、4m
…前面、4n…内側面、4u…後面、５…補強杆、８、９、
10、11…取付孔、14…座部材、14g…外側面、15…座
部、16…背部、17…座板、18…背凭れ、19…椅子本体、
20…第１保護部材、23…第２保護部材、24…前面板片、
25…背面板片、26、27、28、29…係止軸、30…第３保護
部材

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前脚杆と、上部杆と、後脚杆と、前後脚杆
   の中間を連結する補強杆とから成り、前脚杆と後脚杆と
   が下方に向かって開くように構成した一対の脚部材を備
   え、それら両脚部材間に座部材を装着し、下段椅子の脚
   部材の上部杆に上段椅子の補強杆が重合するように複数
   の椅子を積み重ねることができるスタッキング用椅子で
   あって、前記各脚部材の補強杆の下面に、その長手方向
   に延びる板状の第１保護部材を、また、前記補強杆の取
   り付け位置より下方の後脚杆に、該後脚杆の前面に添接
   する前面板片と内側面に添接する側面板片とを一体化し
   て成る断面Ｌ字形の第２保護部材を、さらに前後脚杆の
   下端に第３保護部材を夫々取り付けたことを特徴とする
   スタッキング用椅子。
2. 【請求項２】第２保護部材の前面板片及び側面板片の各
   内面に、該前面板片及び側面板片の成す角の二等分線と
   平行する係止軸を夫々突設し、この各係止軸を、後脚杆
   の前面と、内側面とに設けた取付孔に夫々係挿すること
   により第２保護部材を脚部材の後脚杆に取り付けて成る
   請求項１記載のスタッキング用椅子。
3. 【請求項３】後脚杆の第３保護部材に、後脚杆の前面下
   部に取り付けられる当片を延設して成る請求項１または
   ２記載のスタッキング用椅子。