JPH0645671B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物

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JPH0645671B2
JPH0645671B2 JP2036816A JP3681690A JPH0645671B2 JP H0645671 B2 JPH0645671 B2 JP H0645671B2 JP 2036816 A JP2036816 A JP 2036816A JP 3681690 A JP3681690 A JP 3681690A JP H0645671 B2 JPH0645671 B2 JP H0645671B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、流し展べ床材、塗り壁材等に用いられる硬
化性樹脂組成物に関し、より詳細には、硬化後の表面が
艶消し状態になる硬化性樹脂組成物に関するものであ
る。
<従来の技術と発明が解決しようとする課題> 従来、上記流し展べ床材、塗り壁材等に用いられる硬化
性樹脂組成物において、硬化後の表面を艶消し状態にす
るためには、上記組成物からなる塗膜の表面に艶消しト
ップコートを積層したり、或いは、組成物中に、炭酸マ
グネシウム、タルク、カオリン等の微小粉末からなる艶
消し材を配合したりすることが行われている。
しかし、前者の構成では、艶消しトップコートが1層余
分に必要となるので、工程、工期が、その分だけ増加す
るという問題がある。また、現在市販されている艶消し
トップコートは、そのほとんどが、溶剤乾燥タイプの、
1液硬化型の薄層塗膜であり、前記流し展べ床材等用の
2液硬化型の硬化性樹脂組成物に比べて、耐摩耗性等の
機械的特性が良くないため、長期間の使用によって摩耗
したり剥離したりして、艶消し状態が失われてしまう虞
もある。
一方、後者の構成では、前記艶消し材の微小粉末が、硬
化前の組成物の流動性等に悪影響を与える他、硬化後の
塗膜中において、塗膜と連続相を形成できず、いわば異
物として塗膜中に存在するため、塗膜の機械的特性を悪
化させるという問題がある。
この発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであっ
て、艶消しのための余分な層を必要とせず、しかも、硬
化前後において樹脂組成物の特性に悪影響を与えること
なく、硬化後の塗膜の表面を艶消し状態にし得る、新規
な硬化性樹脂組成物を提供することを目的としている。
<課題点を解決するための手段および作用> 上記課題を解決するための、この発明の硬化性樹脂組成
物は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤と
からなり、上記硬化剤として、 A:メタキシリレンジアミンをホルムアルデヒドとフェ
ノールとでマンニッヒ変性した化合物、 B:イソフォロンジアンミまたは1,3−ビスアミンメ
チルシクロヘキサンと、エポキシ樹脂とのエポキシアダ
クト、 C:低分子量ポリアミノアミド化合物、 の3種類のうちAとB、AとCまたはAとBとCを併用
したことを特徴としている。
上記構成からなる、この発明の硬化性樹脂組成物におい
ては、硬化反応速度の速いAの硬化剤により硬化される
部分と、硬化反応速度の遅いB,Cの硬化剤により硬化
される部分との間に、ミクロ的な収縮率の違いが生じ、
硬化後の塗膜の表面に、上記収縮率の違いに基づく微小
な凹凸が生じて、塗膜の表面が艶消し状態となる。
この発明において使用される主剤樹脂は、前記流し展べ
床材等に多用されている、硬化性のビスフェノールA型
液状エポキシ樹脂に限定される。
なお上記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂には、ビ
スフェノールF型等の他のビスフェノール型エポキシ樹
脂や、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、直鎖状脂肪
族エポキシ樹脂等を添加することもできる。
硬化剤としては、前記のように、 A:メタキシリレンジアミンをベースに、ホルムアルデ
ヒドと、フェノールとを、いわゆるでマンニッヒ反応に
より縮合(マンニッヒ変性)させた化合物、 B:イソフォロンジアンミまたは1,3−ビスアミンメ
チルシクロヘキサンにエポキシ樹脂を付加させた化合物
(エポキシアダクト)、 C:低分子量ポリアミノアミド化合物、 の3種類のうちAとB、AとCまたはAとBとCが併用
される。
上記各硬化剤の合計の配合割合はとくに限定されない
が、従来同様、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して最
適当量の硬化剤が配合されるように、エポキシ樹脂に対
する各硬化剤の配合割合の範囲を選ぶことができる。
また、上記各硬化剤それぞれの配合割合については、各
硬化剤の、エポキシ樹脂に対する反応性(当量等)に応
じて、適宜の割合を選択することができる。
例えば、前記AとBの硬化剤を併用する系において、塗
布温度が15℃以下の場合には、全体としての反応硬化
速度が遅くなり過ぎないようにするため、両者の比率
(A:B)を、重量比で、75:25〜55:45の範
囲内にすることが好ましい。また、塗布温度が15℃以
上である場合には、全体としての反応硬化速度が速くな
り過ぎないようにするため、両者の比率(A:B)を、
重量比で、65:35〜45:55の範囲内にすること
が好ましい。
またAとCの硬化剤を併用する系において、塗布温度が
15℃以下の場合には、全体としての反応硬化速度が遅
くなり過ぎないようにするため、両者の比率(A:C)
を、重量比で、80:20〜60:40の範囲内にする
ことが好ましい。また、塗布温度が15℃以上である場
合には、全体としての反応硬化速度が速くなり過ぎない
ようにするため、両者の比率(A:C)を、重量比で、
70:30〜50:50の範囲内にすることが好まし
い。
さらにAとBとCの硬化剤を併用する系において、塗布
温度が15℃以下の場合には、全体としての反応硬化速
度が遅くなり過ぎないようにするため、3者の比率
(S:B:C)を、重量比で、80:10:10〜6
0:20:20の範囲内にすることが好ましい。また、
塗布温度が15℃以上である場合には、全体としての反
応硬化速度が速くなり過ぎないようにするため、3者の
比率(A:B:C)を、重量比で、70:15:15〜
50:25:25の範囲内にすることが好ましい。
上記硬化性樹脂組成物は、用途に応じて種々の形態で供
給することができるが、取扱の容易さ等を考慮すると、
主剤樹脂を含有する主剤と、前記両硬化剤を含有する硬
化剤成分の2成分からなり、使用前に混合して硬化させ
る、いわゆる2液常温硬化タイプとして供給することが
好ましい。
なお、この発明の硬化性樹脂組成物には、流し展べ床
材、塗り壁材等の用途に応じて、硬化時の艶消し状態の
発現を妨げない範囲で、触媒、促進剤、顔料、安定剤、
充填剤、希釈剤等の種々の副資材を配合することができ
る。
<実施例> 以下に、この発明の硬化性樹脂組成物を、実施例並びに
比較例に基づいて説明する。
実施例1 ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ(株)製、商品名エピコート828)80重量部、
エポキシ樹脂用希釈剤としてのモノグリシジルエーテル
20重量部、充填材としての炭酸カルシウム60重量部
とシリカ35重量部(合計95重量部)、消泡剤および
レベリング剤1重量部に、下記顔料のうちの何れか5重
量部を配合し、電動攪拌機を用いて均一に攪拌混合し
て、表1に示す各色の主剤を調製した。
次に、メタキシリレンジアミンをホルムアルデヒドとフ
ェノールとでマンニッヒ変性した化合物60重量部と、
イソフォロンジアミンおよびビスフェノールA型エポキ
シ樹脂のエポキシアダクト40重量部とを、電導攪拌機
を用いて均一に攪拌混合して硬化剤を調製し、2液硬化
型のエポキシ樹脂系流し展べ床材を得た。
実施例2 硬化剤として、メタキシリレンジアミンをホルムアルデ
ヒドとフェノールとでマンニッヒ変性した化合物60重
量部と、低分子量ポリアミノアミド化合物(数平均分子
量300〜600)40重量部とを、電導攪拌機を用い
て均一に攪拌混合したものを使用したこと以外は、上記
実施例1と同様にして、2液硬化型のエポキシ樹脂系流
し展べ床材を得た。
実施例3 硬化剤として、メタキシリレンジアミンをホルムアルデ
ヒドとフェノールとでマンニッヒ変性した化合物60重
量部と、イソフォロンジアミンおよびビスフェノールA
型エポキシ樹脂のエポキシアダクト20重量部と、低分
子量ポリアミノアミド化合物(数平均分子量300〜6
00)20重量部とを、電導攪拌機を用いて均一に攪拌
混合したものを使用したこと以外は、上記実施例1と同
様にして、2液硬化型のエポキシ樹脂系流し展べ床材を
得た。
比較例1 硬化剤として、変性ポリアミンを使用したこと以外は、
上記実施例1と同様にして、2液硬化型のエポキシ樹脂
系流し展べ床材を得た。
鏡面光沢度測定 上記各実施例並びに比較例で得られたエポキシ樹脂系流
し展べ床材を、主剤201重量部:硬化剤33.5重量
部の割合で均一に攪拌、混合した後、ストート製基板の
表面に塗布し、硬化させて、前記各色の塗膜を得、それ
ぞれの塗膜を、西独エリクセン社製の商品名「ミニグロ
ステスター」を用いて、JIS Z−8741「鏡面光
沢度測定法」所載の方法3(60℃鏡面光沢)に則っ
て、表面の光沢度を測定した。
結果を表2に示す。
上記表2の結果より、実施例1〜3は、何れの色の塗膜
においても、比較例1よりも光沢度が低く、このことか
ら、実施例1〜3の塗膜は、何れのものも、表面が艶消
しになっていることが確認された。
耐摩耗性試験 上記各実施例で得られたエポキシ樹脂系流し展べ床材
を、主剤201重量部:硬化剤33.5重量部の割合で
均一に攪拌、混合した後、スレート製基板の表面に塗布
し、硬化させて塗膜を得た。それぞれの塗膜を、テーパ
ー式摩耗試験機を用いて、JIS K−7204「摩耗
輪によるプラスチックの摩耗試験方法」に則って、下記
の条件で耐摩耗性試験を行い、摩耗減量(mg)を測定し
た。
摩耗輪:CS−17 荷重:1kg 回転数:1000回 また、比較例1のエポキシ樹脂系流し展べ床材を、上記
と同様にしてスレート製基板上に塗布して得られた塗膜
の表面に、市販の、溶剤乾燥タイプの1液硬化型ウレタ
ン樹脂系艶消しトップコートを塗布して艶消し状態にし
たものを比較試料として、上記と同じ条件で、艶消しト
ップコート層の耐摩耗性を測定した。
以上の結果を表3に示す。
上記表3の結果より、比較試料は、実施例1〜3に比べ
て摩耗減量が大きいことが判った。そこで、試験後の比
較試料の表面を子細に観察したところ、艶消しトップコ
ート層がほとんど剥離しており、艶消し状態も失われて
いた。これに対し、実施例1〜3の塗膜は何れも、耐摩
耗性に優れ、しかも、試験後も艶消し状態を維持してい
た。
耐薬品性試験 上記各実施例で得られたエポキシ樹脂系流し展べ床材
を、主剤201重量部:硬化剤33.5重量部の割合で
均一に攪拌、混合した後、スレート製基板の表面に塗布
し、硬化させて塗膜を得た。それぞれの塗膜の表面に、
JIS A−5705「ビニル床タイル」の第7項「試
験」所載の試験方法に則って各種薬品を滴下し、表面状
態の変化を観察した。
また、前記耐摩耗性試験の場合と同じ構成を有する比較
試料を作成して、表面に各種薬品を滴下し、艶消しトッ
プコート層の変化を観察した。
結果を表4に示す。
上記表4の結果より、比較試料表面の艶消しトップコー
ト層は、実施例1〜3に比べて耐薬品性が悪いことが判
った。また、試験後の比較試料の表面を子細に観察した
ところ、結果が◎○であっても、艶消しトップコート層
の表面の艶消し状態が失われたものが発見された。これ
に対し、実施例1〜3の塗膜は何れも、耐薬品性に優
れ、しかも、試験後も艶消し状態を維持していた。
<発明の効果> この発明の硬化性樹脂組成物は、以上のように構成され
ており、効果反応速度の速いAの硬化剤により硬化され
る部分と、硬化反応速度の遅いB,Cの硬化剤により硬
化される部分との間に、ミクロ的な収縮率の違いが生
じ、硬化後の塗膜の表面に、上記収縮率の違いに基づく
微小な凹凸が生じて、艶消し状態となる。したがって、
この発明の硬化性樹脂組成物によれば、塗膜の機械的特
性に悪影響を与える艶消し材や、機械的特性が不十分な
艶消しトップコート等を必要とせずに、塗膜の表面を艶
消し状態にできるという特有の作用効果を奏するものと
なる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬
    化剤とからなる硬化性樹脂組成物であって、上記硬化剤
    として、 A:メタキシリレンジアミンをホルムアルデヒドとフェ
    ノールとでマンニッヒ変性した化合物、 B:イソフォロンジアンミンまたは1,3−ビスアミノ
    メチルシクロヘキサンと、エポキシ樹脂とのエポキシア
    ダクト、 の2種類を併用したことを特徴とする硬化性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬
    化剤とからなる硬化性樹脂組成物であって、上記硬化剤
    として、 前記Aの化合物と、 C:低分子量ポリアミノアミド化合物、 の2種類を併用したことを特徴とする硬化性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬
    化剤とからなる硬化性樹脂組成物であって、上記硬化剤
    として、前記A、BおよびCの3種類を併用したことを
    特徴とする硬化性樹脂組成物。
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