JPH0644609U - 自動車用内装部品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 上下２分割体からなる内装部品にウエルト式
インナーシールを設置したタイプのものにおいて、ウエ
ルト式インナーシールの脱落防止とインナーシール装着
部位の見栄え向上を図るとともに、車体パネルへの確実
な取付を図ることを目的とする。 【構成】 ロアメンバー３０の上端縁に沿って設けたフ
ランジ部３３先端に、ウエルト式インナーシール４０を
差し込み装着した後、ロアメンバー３０に接合固定され
るアッパメンバー２０の先端末でウエルト式インナーシ
ール４０の上端部を被覆するように押圧固定することに
より、インナーシール４０の脱落防止と見栄え向上を図
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、上下２分割されたアッパメンバーとロアメンバーとからなる自動 車用内装部品に関するもので、特に、ウエルト式インナーシールを見栄え良くか つ確実に装着した自動車用内装部品に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図７，図８は従来の自動車用ドアトリムを示すもので、ドアトリム１は、保形 性を備えた芯材２の表面側を装飾性，緩衝性に優れた表皮材３により被覆して構 成されており、ドアインナーパネル４の上縁に沿ってウエルト式インナーシール ５が装着され、このウエルト式インナーシール５の一側面には、ドアウインドー ガラス６と摺接してこれをシールするシール舌片５ａが設けられているとともに 、他方側面にはドアトリム１との接合部の見栄えを向上させるために合わせ用の リップ５ｂが形成されており、ドアインナーパネル４から抜け落ちないように固 定用リップ５ｃが内側面に形成されている。

【０００３】 このように、ウエルト式インナーシール５を使用した場合、ドアトリムにイン ナーシールを設置するタイプのものに比べ、組付けが簡単に行なえるとともに、 剛性に富んだドアインナーパネル４に直接インナーシール５を固着できるため、 ドアインナーシール５の確実な取付が期待できるという利点がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来のウエルト式インナーシール５を設置したドアトリム１に おいては、例えば、ドアウインドーガラス６の降下操作を行なう場合には問題な いが、上昇操作する際、ウエルト式インナーシール５がドアインナーパネル４か ら抜ける方向に力が加わり、外れ方向に障害物等がないため、ウエルト式インナ ーシール５が外れやすいという欠点が指摘されている。

【０００５】 さらに、ウエルト式インナーシール５とドアトリム１との間には段差が生じや すく、かつ色彩等の違和感があるため、この部位での美観の低下が指摘されてい る。

【０００６】 加えて、ドアトリム１のウエスト部付近にはウエストガーニッシュ等の付属物 がないため、剛性が弱く、衝撃が加わった場合、変形や破損が生じやすいという 欠点も同時に指摘されている。

【０００７】 この考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、ウエルト式インナーシ ールを設置した自動車用内装部品において、インナーシールの外れが確実に防止 でき、かつこの部分の見栄えを向上させるとともに、このウエルト式インナーシ ールを利用して内装部品の車体パネルへの強固な取付けを可能にした自動車用内 装部品を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、上下２分割されたアッパメンバーとロ アメンバーとから構成され、両メンバーをビス止め固定してなる自動車用内装部 品において、前記ロアメンバーの上端縁にウエルト式インナーシールが装着され 、上記ウエルト式インナーシールの上端部をアッパメンバーの先端末により被覆 押圧したことを特徴とする。

【０００９】

【作用】

以上の構成から明らかなように、ロアメンバーの上端縁に装着されたウエルト 式インナーシールは、その上端部がアッパメンバーの先端末により被覆押圧され るため、ウエルト式インナーシールの抜け方向に外力が加わっても、ウエルト式 インナーシールが抜け落ちることがない。

【００１０】 さらに、ウエルト式インナーシールの上端部はアッパメンバーの先端末により 被覆されているため、ウエルト式インナーシールが外部に目立たず、美観上好ま しい。

【００１１】 また、上下２分割されたアッパメンバーとロアメンバーとをビス止め固定して 構成するため、ウエスト部における剛性も強化される。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案による自動車用内装部品の実施例について、添付図面を参照しな がら詳細に説明する。

【００１３】 図１ないし図３は本考案を自動車用ドアトリムに適用した第１実施例を示すも ので、図１は各構成部材を示す分解斜視図、図２はドアトリムの斜視図、図３は 同ドアトリムの構成を示す断面図である。

【００１４】 また、図４ないし図６は本考案による自動車用内装部品をドアトリムに適用し た第２実施例を示すもので、図４はロアメンバーとドアインナーパネルとを示す 説明図、図５，図６は同自動車用ドアトリムの構成を示す各断面図である。

【００１５】 まず、図１ないし図３に基づいて本考案の第１実施例について説明する。

【００１６】 まず、自動車用ドアトリム１０は、上下に２分割されたアッパメンバー２０と ロアメンバー３０とから構成されており、アッパメンバー２０がドアトリム１０ のウエスト部に相当している。

【００１７】 この実施例では、アッパメンバー２０は、合成樹脂の射出成形体からなる芯材 ２１の表面にクロス等の表皮材２２を貼着して構成され、芯材２１の周縁裏面に 沿って表皮材２２が巻き込み接着されている。

【００１８】 そして、芯材２１の裏面から下方に延びるボス２３が適宜間隔毎に突設形成さ れている。

【００１９】 一方、ロアメンバー３０は、ポリプロピレン樹脂に木粉フィラーを混入した複 合樹脂材料をＴダイ押出成形機によりシート状に押出し、このシート状物を加熱 軟化させた後、所要形状のコールドプレス成形用型内で所望の曲面形状に成形さ れた芯材３１と、芯材３１のコールドプレス成形時、その表面側に一体化される ポリエチレンフォームを裏打ちしたＰＶＣシートからなる表皮材３２とから構成 されており、その先端部分は断面略Ｌ字状に形成され、先端は上方向に延びるフ ランジ部３３が設けられている。

【００２０】 そして、アッパメンバー２０とロアメンバー３０とは、図３に示すように、両 メンバー２０，３０の表面がほぼ面一になるように突合わされ、アッパメンバー ２０のボス２３に対してロアメンバー３０に設けた取付孔３４を合わせて、ビス ３５を締付け固定することによりアッパメンバー２０とロアメンバー３０とが取 付固定される。

【００２１】 さらに、この実施例の特徴は、ウエルト式インナーシール４０がロアメンバー ３０のフランジ部３３における上端縁と車体パネル５０の先端縁５１との両者を 挟持するようにウエルト式インナーシール４０を差し込み固着して、このウエル ト式インナーシール４０の上端部をアッパメンバー２０の先端末で押え付け、か つ被覆するように構成したことが特徴である。

【００２２】 上記ウエルト式インナーシール４０は、断面略Ｕ字状をなす挟持部４１と、挟 持部４１の一方側面（ドアウインドーガラス側面）に一体に設けられるシール用 舌片４２と、挟持部４１内側面に左右対称に設けられ、ロアメンバー３０および 車体パネル５０を挟持する固定用リップ４３とから形成されている。

【００２３】 次に、本考案による自動車用ドアトリム１０を車体パネル５０に取付ける手順 について説明すると、まず、ロアメンバー３０のフランジ部３３の上端縁にウエ ルト式インナーシール４０を差し込んだ後、ロアメンバー３０に対してアッパメ ンバー２０を接合して、ビス３５をロアメンバー３０の取付孔３４ならびにアッ パメンバー２０のボス２３内に締付け固定することにより、ウエルト式インナー シール４０を装備したロアメンバー３０，アッパメンバー２０を組付ける。

【００２４】 その後、ウエルト式インナーシール４０を車体パネル５０の先端縁５１に差し 込むように車体パネル５０に対してドアトリム１０を取付け、図示しないが、ク リップ等の慣用の固定手段を介して車体パネル５０にドアトリム１０を取付固定 すればよい。

【００２５】 なお、本実施例ではアッパメンバー２０として、射出成形体からなる芯材２１ とクロスからなる表皮材２２とにより構成し、ロアメンバー３０として、複合樹 脂材料のコールドプレス成形による芯材３１と、芯材３１と同時成形されるポリ エチレンフォームを裏打ちしたＰＶＣシートからなる表皮材３２とにより構成し たが、芯材２１，３１の素材や成形工法は上述実施例のものに限定されることな く、合成樹脂のモールドプレス成形工法，木質系マットのホットプレス成形等を 適用してもよく、また、表皮材２２，３２としては、色彩のアクセントを考慮し て、材質，色彩が相違することが好ましいが、特に上述実施例のものに限定され ることはない。例えば、表皮材を廃止して芯材２１，３１のみで構成しても差支 えない。

【００２６】 以上、第１実施例の構成について説明したが、本実施例においては、図３に示 すように、ウエルト式インナーシール４０は、ロアメンバー３０のフランジ部３ ３上端縁と車体パネル５０の先端縁５１とを挟持するように設置されており、か つウエルト式インナーシール４０の上端部はアッパメンバー２０の先端末により 被覆，押圧されているため、ドアウインドーガラス６０の昇降操作の際、ウエル ト式インナーシール４０の抜け方向に力が加わっても、アッパメンバー２０によ りウエルト式インナーシール４０が押圧されているため、抜け落ちることがなく 、従来のようにウエルト式インナーシールが脱落するという不具合がなくなり、 ドアウインドーガラス６０の円滑な昇降操作が期待できるという効果がある。

【００２７】 さらに、ドアトリム１０の外観見栄えは、図２に示すように、アッパメンバー ２０によりウエルト式インナーシール４０が被覆されているため、従来ウエルト 式インナーシール４０の違和感により見栄えの低下を招いていたが、そのような 不具合も有効に解決でき、優れた外観意匠性が得られる。

【００２８】 また、ドアトリム１０のウエスト部に相当するアッパメンバー２０がロアメン バー３０のＬ字状のフランジ部３３にビス３５止め固定されているため、この部 分の剛性が強化され、この部分に外力が加わっても変形したり破損したりするこ とがなく、耐久性も向上するという利点がある。

【００２９】 次いで、図４ないし図６に基づいて、本考案の第２実施例について説明する。 この実施例においても自動車用ドアトリム１０に適用した実施例を示し、第１実 施例と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。

【００３０】 この実施例では、車体パネル５０に対して、ロアメンバー３０を確実かつ堅固 に取付けるために、図４に示すように、ロアメンバー３０のフランジ部３３に一 定間隔で取付孔３６を開設するとともに、ロアメンバー３０を車体パネル５０に 取付けた際、この取付孔３６内に差し込まれる延設片５２を車体パネル５０の先 端に設けた構成である。

【００３１】 したがって、ロアメンバー３０のフランジ部３３上端縁にウエルト式インナー シール４０を装着固定した後、ロアメンバー３０に対してアッパメンバー２０を ビス３５止め固定した自動車用ドアトリム１０を車体パネル５０に装着した状態 は、図５に示すように、車体パネル５０の延設片５２がロアメンバー３０に設け た取付孔３６内に差し込まれ、第１実施例に比べ、車体パネル５０に対するドア トリム１０の取付強度がさらに強化されることになる。

【００３２】 なお、このとき延設片５２は、必ずしもウエルト式インナーシール４０に挟持 されなくてもよく、図示するように、ウエルト式インナーシール４０がロアメン バー３０のフランジ部３３上端縁のみを挟持する構成にしてもよい。

【００３３】 このように車体パネル５０の延設片５２をロアメンバー３０の取付孔３６内に 差し込み固定すれば、取付強度を強化するとともに、前後方向の位置決めにもこ の構成を有効に適用することができる。

【００３４】 また、この実施例においては、ロアメンバー３０のフランジ部３３上端縁の表 裏面に突条３７を形成し、ウエルト式インナーシール４０の固定用リップ４３が この突条３７に係止することにより、ウエルト式インナーシール４０の抜け落ち をより確実に防止できるように構成されている。

【００３５】 さらに、アッパメンバー２０に形成されるボス２３と一体に当てリブ２４が設 けられており、この当てリブ２４がウエルト式インナーシール４０の側面に当接 することにより、ウエルト式インナーシール４０の取付強度を強化するとともに 、アッパメンバー２０のガタツキが皆無となるように構成されている。

【００３６】 なお、ロアメンバー３０のフランジ部３３上端縁に設けられる突条３７および アッパメンバー２０のボス２３の回りに設けられる当てリブ２４を、第１実施例 に適用してもよい。

【００３７】 また、本考案の第１実施例，第２実施例は自動車用ドアトリムに適用したが、 ウエルト式インナーシールを装備する内装部品であれば、特にドアトリムに限定 されることはない。

【００３８】

【考案の効果】

以上説明した通り、本考案による自動車用内装部品は、以下に記載する作用効 果を有する。

【００３９】 （１）ウエルト式インナーシールの上端部をアッパメンバーにより被覆押圧する という構成であるため、ドアウインドーガラスの昇降操作時、ウエルト式インナ ーシールに抜け方向の外力が加わっても、ウエルト式インナーシールが脱落する ことがなく、かつ昇降操作時にガタつくこともない。

【００４０】 したがって、ウエルト式インナーシールの脱落を確実に防止することができる とともに、昇降式ドアウインドーガラスの円滑な昇降操作性が期待できるという 効果を有する。

【００４１】 （２）ウエルト式インナーシールの上端部分をアッパメンバーの先端末で被覆す る構成であるため、ウエルト式インナーシールが外部に目立たず、違和感を与え ないため、内装部品におけるドアウインドーガラス付近の外観見栄えを著しく向 上させることができるという効果を有する。

【００４２】 （３）ウエルト式インナーシールをロアメンバーの上端縁に装着して、このウエ ルト式インナーシールを隠すようにアッパメンバーをロアメンバーに対して接合 固定するという構成であるため、ウエスト部付近はアッパメンバーとロアメンバ ーとの２重構成となり、剛性が著しく強化され、外力による変形，破損等の不具 合がなく、内装部品の耐久性が著しく向上するという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例を示すもので、ドアトリム
の各構成部材とドアインナーパネルとを示す分解斜視
図。

【図２】図１に示すドアトリムの外観図。

【図３】図２中III −III 線断面図。

【図４】本考案の第２実施例を示すもので、ドアインナ
ーパネルとロアメンバーとの関係を示す説明図。

【図５】本考案の第２実施例であるドアトリムの構成を
示す断面図。

【図６】本考案の第２実施例であるドアトリムの構成を
示す断面図。

【図７】従来の自動車用ドアトリムとドアインナーパネ
ルとを示す説明図。

【図８】従来の自動車用ドアトリムをドアインナーパネ
ルに取付けた状態を示す断面図。

【符号の説明】

１０ 自動車用ドアトリム ２０ アッパメンバー ２１ 芯材 ２２ 表皮材 ２３ ボス ２４ 当てリブ ３０ ロアメンバー ３１ 芯材 ３２ 表皮材 ３３ フランジ部 ３４，３６ 取付孔 ３５ ビス ３７ 突条 ４０ ウエルト式インナーシール ４３ 固定用リップ ５０ 車体パネル ５１ 先端縁 ５２ 延設片 ６０ ドアウインドーガラス

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下２分割されたアッパメンバー（２
   ０）とロアメンバー（３０）とから構成され、両メンバ
   ー（２０，３０）をビス止め固定してなる自動車用内装
   部品において、 前記ロアメンバー（３０）の上端縁にウエルト式インナ
   ーシール（４０）が装着され、上記ウエルト式インナー
   シール（４０）の上端部をアッパメンバー（２０）の先
   端末により被覆押圧したことを特徴とする自動車用内装
   部品。
2. 【請求項２】 ロアメンバー（３０）の上端縁と車体パ
   ネル（５０）の先端縁（５１）とをウエルト式インナー
   シール（４０）により挟持したことを特徴とする請求項
   １記載の自動車用内装部品。
3. 【請求項３】 ロアメンバー（３０）の取付孔（３６）
   に車体パネル（５０）の延設片（５２）を差し込むこと
   により、車体パネル（５０）に対してロアメンバー（３
   ０）を固定したことを特徴とする請求項１記載の自動車
   用内装部品。
4. 【請求項４】 ロアメンバー（３０）の上端縁には、ウ
   エルト式インナーシール（４０）の固定用リップ（４
   ３）と係止する突条（３７）が形成されていることを特
   徴とする請求項１，２，または３記載の自動車用内装部
   品。
5. 【請求項５】 アッパメンバー（２０）に突設形成され
   ているボス（２３）回りに、ウエルト式インナーシール
   （４０）の側面と当接する当てリブ（２４）が形成され
   ていることを特徴とする請求項１，２，３，または４記
   載の自動車用内装部品。