JPH0643653A - ポジ型レジスト材料 - Google Patents
ポジ型レジスト材料Info
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Abstract
高エネルギー線露光用ポジ型レジスト材料を提供する。 【構成】 ポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部がt
−ブトキシカルボニルオキシ基で置換された樹脂
(A)、溶解阻害剤(B)、及び酸発生剤(C)の3成
分を含む、アルカリ水溶液で現像可能な高エネルギー線
感応ポジ型レジストにおいて、該(B)が1分子中に1
個以上のt−ブトキシカルボニルオキシ基を含み、該
(C)が、一般式(化1):(R)n AM(式中Rは同
一又は異なり芳香族基又は置換芳香族基を示し、Aはス
ルホニウム又はヨードニウムを示す。Mはトシレート基
あるいはトリフレート基を示し、nは2又は3を示す)
で表される酸発生剤を2種類以上混合したものであり、
重量分率が、0.07≦B≦0.40、0.005≦C
≦0.15、0.55≦A、A+B+C=1であるレジ
スト材料。
Description
線等の高エネルギー線に対して高い感度を有し、アルカ
リ水溶液で現像することによりパタンを形成できる、微
細加工技術に適したポジ型レジスト材料に関する。
タンルールの微細化が求められているが、現在汎用技術
として用いられている光露光では、光源の波長に由来す
る本質的な解像度の限界に近付きつつある。g線(43
6nm)若しくはi線(365nm)を光源とする光露光で
は、おおよそ0.5μmのパタンルールが限界とされて
おり、これを用いて製作したLSIの集積度は、16M
ビットDRAM相当までとなる。しかし、LSIの試作
は既にこの段階にまできており、更なる微細化技術の開
発が急務となっている。このような背景により、次世代
の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィが有望視さ
れている。遠紫外線リソグラフィは、0.3〜0.4μ
mの加工も可能であり、光吸収の小さいレジストを用い
た場合、基板に対して垂直に近い側壁を有するパタンの
形成が可能である。また、一括にパタンを転写すること
ができるために、電子線リソグラフィよりもスループッ
トの点で有利である。近年、遠紫外線の光源として高輝
度なKrFエキシマレーザを利用する段になり、量産技
術として用いられるには、光吸収が小さく、そして高感
度なレジスト材料が要望されている。近年開発された、
酸を触媒として化学増幅( chemical amplification )
を行うレジスト材料〔例えば、リュー( Liu )ら、ジャ
ーナル オブ バキュームサイエンス アンド テクノ
ロジー(J.Vac. Sci. Technol. )、第B6巻、第37
9頁(1988)〕は、従来の高感度レジストと同等以
上の感度を有し、しかも解像性が高く、ドライエッチン
グ耐性も高い、優れた特徴を有する。そのため、遠紫外
線リソグラフィには特に有望なレジスト材料である。ネ
ガ型レジストとしてはシプリー( Shipley )社が、ノボ
ラック樹脂とメラミン化合物と酸発生剤からなる3成分
化学増幅レジスト(商品名SAL601ER7)を既に
商品化している。しかし、化学増幅系のポジ型レジスト
はいまだ商品化されたものはない。LSIの製造工程
上、配線やゲート形成などはネガ型レジストで対応でき
るが、コンタクトホール形成は、ネガ型レジストを用い
たのではカブリやすいために微細な加工はむずかしく、
ポジ型レジストがはるかに適している。そのため、高性
能なポジ型レジストが強く要望されている。従来、イト
ー(Ito)らは、ポリヒドロキシスチレンのOH基をt−
ブトキシカルボニル基(tBoc基)で保護したPBO
CSTという樹脂に、オニウム塩を加えてポジ型の化学
増幅レジストを開発している。しかし、用いているオニ
ウム塩は金属成分としてアンチモンを含む〔参考文献:
ポリマース イン エレクトロニクス、ACS シンポ
ジウム シリーズ( Polymers in Electronics, ACS
Symposium Series ) 第242回(アメリカ化学会、ワ
シントン DC.1984)、第11頁〕。基板への汚
染を避けるために、一般的には、レジスト材料中の金属
成分は嫌われる。そのためにPBOCSTレジストはプ
ロセス上好ましいものではない。上野らはポリ(p−ス
チレンオキシテトラヒドロピラニル)を主成分とし、酸
発生剤を加えた遠紫外線ポジ型レジストを発表している
(参考;第36回応用物理学会関連連合講演会、198
9年、1p−k−7)。しかし、本発明者らの検討によ
れば、この材料系は遠紫外線、電子線やX線に対しては
ポジネガ反転しやすかった。以上のような、OH基を保
護基で保護した樹脂と酸発生剤からなる2成分系ポジ型
レジストでは、現像液に溶解するようになるためには、
多くの保護基を分解する必要がある。その際に、膜厚変
化や膜内の応力あるいは気泡の発生等を引起こす可能性
が高い。化学増幅ポジ型レジストとしては、機能をより
分化させた3成分系、すなわち、アルカリ可溶性樹脂、
溶解阻害剤、酸発生剤からなる材料系の方が、酸が分解
すべき溶解阻害剤の量が小量でよいため、上述のような
膜厚変化や気泡発生等をより少なくすることが可能であ
り、精密な微細加工にはより有用と推定される。3成分
ポジ型レジストとしては、ヘキスト社がノボラック樹脂
に溶解阻害剤としてアセタール化合物を添加し、更に酸
発生剤を添加したレジスト材料−RAY/PF−をX線
リソグラフィ用に開発している。RAY/PFは室温で
化学増幅を行うために、レジトス感度はX線露光後の放
置時間に著しく依存する。実用に供するに当っては、露
光と現像の工程間の時間を定常的に厳密制御することに
は困難が伴うため、パタンの寸法制御性がむずかしい材
料と推定される。また、KrFエキシマレーザの露光波
長(248nm)での光吸収が大きいという問題点があっ
た。一般に化学増幅を行うためには、露光後熱処理( p
ost exposure baking ;PEB)を必要とするものが多
い。レジストプロセス工程は室温放置で化学増幅を行う
材料系よりも1工程増えるものの、露光と現像の間の時
間制御が緩くて良くなるため、レジスト特性の制御がよ
り容易であるという特徴がある。また、化学増幅過程で
加水分解を行う系では、加水分解反応に水を必要とする
ので、レジスト材料中に水分を含んでいることが必要と
なる。一般に、レジスト材料の塗布溶媒には酢酸エトキ
シエチルのような、水と混合しない有機溶媒を用いるこ
とが多く、レジストの樹脂自身も水と相溶しにくい材料
が多い。このような材料系に水を所定量混合させること
は容易ではなく、また、混合させることができるにして
も、制御すべき成分が増えることになるので、系がより
複雑になり好ましいものではない。一方、tBoc基の
分解反応は、tBoc基と触媒である酸の2成分で反応
が進み、第3成分としての水が必要としないため、反応
が単純であり、化学増幅に利用するには好都合である。
tBoc化した化合物の多くが、ノボラック樹脂の溶解
性を阻害する効果を有し、tBoc基が溶解阻害能を発
現させるのに有用であることは知られている。シュレゲ
ル( Schlegel ) らはノボラック樹脂と、ビスフェノー
ルAをtBoc化した溶解阻害剤と、ピロガロールメタ
ンスルホン酸エステルからなる3成分ポジ型レジストを
発表している(1990年春季 第37回応用物理学会
関連連合講演会 28p−ZE−4)。シュウォーム(
Schwalm ) らは、溶解阻害剤と酸発生剤を組合せた材料
として、ビス(p−t−ブトキシカルボニルオキシフェ
ニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートを開
発している〔ポリマー フォア マイクロエレクトロニ
クス( Polymer for Microelectronics )(東京、198
9)、セッションA38〕。これをノボラック樹脂と混
合して遠紫外線用ポジ型レジストとしている。しかし、
この材料系は金属を含む点及びノボラック樹脂の光吸収
が大きいので実用上好ましいものではない。また、従来
の化学増幅系ポジ型レジストは、遠紫外線、電子線やX
線でパタン形成を行うと、パタンがオーバーハング状に
なりやすい欠点を有していた。これは、レジスト表面の
溶解性が低下するためと推定される〔参考;K.G.チ
オン(K.G.Chiong )ら、ジャーナル オブ バキュ
ーム サイエンス アンド テクノロジー、第B7巻、
(6)、第1771頁(1989)〕。オーバーハング
形状は、パタン寸法制御をむずかしくし、ドライエッチ
ングを用いた基板加工に際しても、寸法制御性を損ね
る。また、パタン下部が細まるのでパタンの倒壊を招き
やすい。レジスト表面の溶解性を低下させない酸発生剤
を使用した場合、オーバーハングの問題は解決できる
が、現像時のレジストの膜減りが大きくなるなど別の問
題を生じる。
ノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレンをベース樹脂
とした、遠紫外線、電子線及びX線に感度を有する化学
増幅系ポジ型レジストは、従来数多く発表されている
が、いずれのものも問題点を含んでおり、いまだ実用に
供することがむずかしいのが現状である。本発明の目的
は、従来技術を上回る、高感度、高解像性、プロセス適
用性に優れた高エネルギー線露光用ポジ型レジスト材料
を提供することにある。
発明はポジ型レジスト材料に関する発明であって、ポリ
ヒドロキシスチレンの水酸基の一部がt−ブトキシカル
ボニルオキシ(以下、tBoc−O−と略記する)基で
置換された樹脂(A)、溶解阻害剤(B)、及び酸発生
剤(C)の3成分を含む、アルカリ水溶液で現像可能な
高エネルギー線感応ポジ型レジストにおいて、該溶解阻
害剤(B)が1分子中に1個以上のtBoc−O−基を
含み、該酸発生剤(C)が下記式(化1):
基あるいは置換芳香族基を示し、Aはスルホニウムある
いはヨードニウムを示す。Mはトシレート基あるいはト
リフレート基を示し、nは2又は3を示す)で表される
酸発生剤を2種類以上混合したものであり、重量分率
が、0.07≦B≦0.40、0.005≦C≦0.1
5、0.55≦A、A+B+C=1、であることを特徴
とする。
としては、1例として下記式(化2)、(化3)、(化
4)、(化5)、(化6)、(化7)、(化8)で表さ
れる化合物:
ルセロソルブアセテート、乳酸エチル、1−メトキシ−
2−プロパノール等のレジストの塗布に好適な溶媒に対
して溶解性が低いため、レジスト中に適量を混合するこ
とができない。(化3)の溶解性は比較的良いが、これ
を用いて3成分レジストを作製すると、溶解阻害剤の種
類によらず、1〜4μC/cm2 の露光量で膜減りするも
のの、露光部が完全に溶解する前にネガ反転してしま
い、ポジ型にはならなかった。このようなネガ反転に関
しては、シュレゲルらも発表しており(参考文献;前
述)、トリフレート系の酸発生剤はtBoc系溶解阻害
剤を含む3成分ポジ型レジストには適用できないこと
が、これまでの常識であった。(化4)は室温でオイル
状であるために精製がむずかしく、これを酸発生剤とし
て用いるレジスト材料はロット間で特性が変化しやす
い。(化5)は反応性が低く、実用感度を得ることがで
きない。また、現像におけるレジスト膜減りが大きい。
(化6)はオーバーハングのパタンが形成され、パタン
分離しにくい問題があった。(化7)と(化8)は現像
において膜減りが大きい問題がある。
実用性のある酸発生剤は、芳香族スルホニウム塩である
とされている(参考;笈川ら、第37回応用物理学会関
連連合講演会、1990年、28p−PD−2)。しか
し、上述したように、トリフルオロメタンスルホン酸の
スルホニウム塩は、tBoc化合物を溶解阻害剤とする
3成分系ポジ型レジストの酸発生剤としては実用に供さ
ない。本発明者らは、有機の酸発生剤で、レジスト塗布
溶媒への溶解性が高く、ポリヒドロキシスチレン系樹脂
とtBoc溶解阻害剤と酸発生剤の3成分からなるポジ
型レジスト材料に用いた場合に良好なポジ型特性を示す
酸発生剤を鋭意検討した。その結果、溶解禁止効果の大
きな酸発生剤と溶解禁止効果の小さな酸発生剤を混合す
ることにより、オーバーハング形状のパタン形成の問題
と現像時のレジスト膜減りの問題を同時に解決し、良好
な特性を示すことを見出した。単独の酸発生剤では、溶
解禁止効果が大きいとオーバーハング形状のパタンにな
り易く、溶解禁止効果が小さいと現像時の膜減りを生じ
るため、良好な特性を示す材料を得ることができなかっ
た。混合酸発生剤は感度においても相乗効果が観測さ
れ、単独で使用した場合より高感度となり、良好な特性
が得られた。
スチレン系樹脂とtBoc溶解阻害剤を含む3成分レジ
ストに対し、KrFエキシマレーザあるいは30kVの加
速電圧で電子線描画を行うと、多くのtBoc溶解阻害
剤に対して、良好な酸発生剤として機能し、D0 感度が
10〜50mJ/cm2 、あるいは3〜20μC/cm2 程度
になり、少なくとも100μC/cm2 まではポジネガ反
転しなかった。本発明のレジストにおける酸発生剤の最
適混合比は現像液濃度及びレジストの溶解性で変化する
が、おおむね等しい重量比で良好な結果が得られる。混
合酸発生剤の含量は0.5〜15wt%が好適である。
0.5%未満でもポジ型のレジスト特性を示すが感度が
低い。酸発生剤の含量が増加すると、レジスト感度は高
感度化する傾向を示し、コントラスト(γ)は向上し
た。15%より多くてもポジ型のレジスト特性を示す
が、含量の増加による更なる高感度化が期待できないこ
と、酸発生剤は高価な試薬であること、レジスト内の低
分子成分の増加はレジスト膜の機械的強度を低下させる
こと、等により酸発生剤の含量は15%以下が好適であ
る。
レジスト材料は、溶解阻害剤として、1分子中に1個以
上のtBoc−O−基を含むことを必須とする。溶解阻
害剤の含量は、7〜40wt%がよい。7%未満では溶解
阻害効果が小さく、40%より多くては、レジストの機
械的強度や耐熱性が低下する。
阻害剤としてのtBoc化合物は、ビスフェノールAの
OH基をtBoc化した材料がほとんど唯一であった。
しかし、本発明者らは、鋭意検討した結果、フロログル
シンやテトラヒドロキシベンゾフェノン等をtBoc化
したものでも溶解阻害剤として有用であることを見出し
た。
場合、KrFレーザ光での吸収が大きい問題があり、吸
収の小さいポリヒドロキシスチレンを使用することとし
たが、溶解阻害剤を添加したときの溶解阻害効果が小さ
い。これはポリヒドロキシスチレンの溶解性が高いため
であり、溶解性を制御するため、水酸基の一部をtBo
c基で置換したところ1桁以上の溶解阻害効果が得られ
た。tBocの置換率は10から50モル%が好まし
い。50モル%より以上になるとアルカリ水溶液への溶
解性は低下するため、一般に使用されている現像液では
感度が極度に低下する、また10モル%未満では溶解阻
害効果が小さい。
は形成されたレジストパタンの耐熱性の観点から一万以
上であることが好ましいが、ラジカル重合で得られるも
のは分子量分布が大きいため、アルカリ水溶液に溶解し
にくい分子量の大きいものを含み、これはパタン形成後
の裾ひきの原因となる。このため、分子量は大きく、分
子量分布はできる限り小さい方が、高精度のパタン形成
に有利である。本発明ではリビング重合により得られる
ポリヒドロキシスチレン(分子量1.4万、分子量分布
1.1)を使用したところ、0.2μmライン&スペー
スのパタンが裾ひきなく精度良く形成することができ
た。しかも、耐熱性については、150℃で10分間ベ
ークしてもパタン変性は認められなかった。ラジカル重
合で得られた分子量1.2万のものは、分子量分布が
3.0であり、0.5μmライン&スペースのパタンで
もパタン裾ひきがみられた。
法は一般にラジカル重合法等で重合した広い分子量分布
を持ったポリマーを分別処理によって重合度ごとに分別
することで狭分子量化する方法と、リビング重合法によ
り分子量規制して重合する方法が挙げられるが、前者の
分別法では工程の煩雑化、得率の低下を来してしまうた
め、リビング重合法が好適に用いられる。
リマーでは、パラヒドロキシスチレンポリマーをそのま
まリビング重合させようとすると、モノマーの水酸基と
重合開始剤とが反応してしまうので重合は進行しない。
このために水酸基を保護する保護基をつけたモノマーを
リビング重合させ、重合後に保護基を脱離して目的のパ
ラヒドロキシスチレンポリマーを得る手法が用いられ
る。これらの保護基としては第三級ブチル基、ジメチル
フェニルカルビニルジメチルシリル基、tBoc基、テ
トラヒドロピラニル基、第三級ブチルジメチルシリル基
などが挙げられる。
ト材のベース樹脂である狭分散のポリヒドロキシスチレ
ンは、例えば構造式(化9)又は構造式(化10):
後、構造式(化9)ではジメチルフェニルカルビニルジ
メチルシリル基を脱離、構造式(化10)ではt−ブチ
ル基を脱離して得られる。上記のモノマーのリビング重
合には重合開始剤を用いるが、重合開始剤としては有機
金属化合物が用いられる。例えばn−ブチルリチウム、
sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ナトリ
ウムナフタレン、アントラセンナトリウム、α−メチル
スチレンテトラマージナトリウム、クミルカリウム、ク
ミルセシウム等の有機アルカリ金属等が挙げられる。
有機溶媒中で行われる。この場合に用いられる有機溶媒
としては芳香族炭化水素、環状エーテル、脂肪族炭化水
素溶媒であり、これらの具体例としては、例えばベンゼ
ン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テト
ラヒドロピラン、ジメトキシエタン、n−ヘキサン、シ
クロヘキサン等が挙げられる。これらの有機溶媒はその
1種を単独で使用しても2種以上を組合せても良い。
量%、特に1〜30重量%が好適であり、反応は高真空
下又はアルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下でかくは
んして行う。反応温度は−100℃から使用した有機溶
媒の沸点温度まで自由に選択することができるが、特に
テトラヒドロフラン溶媒では−78℃〜0℃、ベンゼン
溶媒では室温が好ましい。
を行うことによりビニル基のみが選択的に反応して重合
し構造式(化9)では下記構造式(化11)、構造式
(化10)では下記構造式(化12)で表されるポリマ
ーが得られる。
ブロマイド等の停止剤を反応系に添加して反応を停止さ
せる。更に、得られた反応混合溶液を適当な溶剤、例え
ばメタノールを用いて沈殿させ、洗浄、乾燥することに
より精製、単離することができる。こうして得られた高
分子化合物は分子量分布の点で単分散(1.00<Mw
/Mn≦1.50)である。
ノマーに基づいてほぼ100%であり、このポリマーの
分子量は使用したモノマーの重量と重合開始剤のモル数
(分子数)から容易に計算できる。また、数平均分子量
(Mn)は膜浸透圧計を用いて測定から求めることがで
き、分子量分布の評価はゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)で行って、得られたポリマーが目
的とするポリマーであるか否かを評価することができ
る。
ェニルカルビニルジメチルシリル基、あるいは構造式
(化12)のt−ブチル基を脱離し下記構造式(化1
3):
るポリヒドロキシスチレンを得ることができる。
アセトン、アセトニトリル、ベンゼン等の混合溶媒中で
塩酸、臭化水素酸等の酸を滴下することによって容易に
行うことができる。これらの反応中、高分子の主鎖が切
断されたり、分子間に架橋反応が起こるということがな
いので、容易に分子量分布の狭い単分散のポリヒドロキ
シスチレンを得ることができる。
では良く用いられる官能基の保護方法であり、ピリジン
溶液中で二炭酸ジt−ブチルと反応させることにより簡
単に行うことができる。
下のようにして行うことができる。本レジストの溶液を
基板にスピン塗布し、プリベークを行う。高エネルギー
線を照射する。この際、酸発生剤が分解して酸を生成す
る。PEBを行うことにより、酸を触媒としてtBoc
基が分解し、溶解阻害効果が消失する。アルカリ水溶液
で現像し、水でリンスすることによりポジ型パタンを得
る。
すが、これらに限定されない。
ルフェニルカルビニルジメチルクロロシランを入れイミ
ダゾールの存在下、ジメチルホルムアミド溶媒中、室温
下で6時間反応させた。生成物を減圧蒸留してp−ビニ
ルフェノキシジメチルフェニルカルビニルジメチルシラ
ンを70%の収率で得た。このp−ビニルフェノキシジ
メチルフェニルカルビニルジメチルシランは130℃/
0.1mmHgの沸点を有していた。上記モノマーから水分
等の不純物を取除くためにCaH2 、ベンゾフェノンナ
トリウム等の精製剤を用いて精製し蒸留を行った。重合
は1リットルのフラスコに、溶媒としてテトラヒドロフ
ラン550ml、重合開始剤としてn−ブチルリチウム
8.5×10-4mol を仕込んだ後、この混合溶液に−7
8℃で50mlのテトラヒドロフランで希釈したp−ビニ
ルフェノキシジメチルフェニルカルビニルジメチルシラ
ンを30g添加し、1時間重合させたところ、溶液は赤
色を呈した。重合終了は反応溶液にメタノールを添加し
て行った。次に反応混合物をメタノール中に注ぎ、得ら
れた重合体を沈殿させた後、分離し、乾燥して24.5
gの白色重合体を得た。得られた重合体の 1H−NMR
を測定したところ下記表1に示す結果を得た。
ジメチルフェニルカルビニルジメチルシリル基に活性末
端が反応せずに残存すると共に、スチレン部のビニル基
のみが反応していることが確認された。
ジメチルフェニルカルビニルジメチルシラン)20gを
アセトン250mlに溶解し、60℃で少量の濃塩酸を加
え6時間かくはん後、水に注ぎポリマーを沈殿させ洗
浄、乾燥して8gのポリマーを得た。得られたポリマー
の数平均分子量は1.4×10-4g/mol であった。G
PC溶出曲線は図1に示すように非常に単分散性の高い
重合体であることが確認され、分子量分布は1.10で
あった。なお、図1は時間(分、横軸)と強度(縦軸)
との関係を示す図である。更に、 1H−NMRからジメ
チルフェニルカルビニルジメチルシリル基に由来するピ
ークが観測されないことから、得られたポリマーが分子
量分布の狭いポリヒドロキシスチレンであることが確認
された。
同様の方法で脱水、精製処理した。重合は2リットルの
フラスコに、溶媒としてテトラヒドロフラン1500m
l、開始剤n−ブチルリチウム4×10-3mol を仕込ん
だ。この混合溶液に−78℃で50mlのテトラヒドロフ
ランで希釈したp−t−ブトキシスチレンを80g添加
し、2時間重合させたところ、この溶液は赤色を呈し
た。所望の重合に達したことを確認した後、反応溶液に
メタノールを添加して重合反応を終了させた。次に反応
混合物をメタノール中に注ぎ、得られた重合体を沈殿さ
せた後、分離し、乾燥して80gの白色重合体を得た。
1H−NMRの結果から、エーテルに結合しているt−
ブチル基に活性末端が反応せずに残存すると共に、スチ
レン部分のビニル基のみが反応していることが確認され
た。
レン)12gをアセトン250mlに溶解し、60℃で少
量の濃塩酸を加え6時間かくはん後、水に注いでポリマ
ーを沈殿させ、洗浄、乾燥して8gのポリマーを得た。
得られたポリマーの数平均分子量は1.4×10-4g/
mol であった。GPC溶出曲線は図2に示すとおりであ
り、非常に単分散性の高い重合体であることが確認さ
れ、分子量分布は1.08であった。なお、図2は時間
(分、横軸)と強度(縦軸)との関係を示す図である。
また、 1H−NMRからtert−ブチル基に由来するピー
クが観測されないことから、得られたポリマーが分子量
分布の狭いポリヒドロキシスチレンであることが確認さ
れた。
レン5gをピリジン40mlに溶解させ、45℃でかくは
んしながら二炭酸ジ−t−ブチルを1g(約20 mol
%)添加する。添加と同時にガスが発生するが、N2 気
流中で1時間反応させる。濃塩酸20gを含む水1リッ
トルに反応液を滴下し、白色の沈殿を得る。ろ過したの
ち、アセトン50mlに沈殿を溶解させ、水1リットルに
滴下した。沈殿をろ過したのち、40℃以下で真空乾燥
した。 1H−NMRにおける8ppmのOH基のピークを
用いてtBocの導入率を求めた結果、19.6%であ
った。
はこれら実施例に限定されない。なお、実施例1〜23
では合成例3で得られたポリヒドロキシスチレンのtB
oc化率が20モル%の樹脂をベース樹脂として用い、
実施例24ではtBoc化率が40モル%の樹脂をベー
ス樹脂として用いた。また、実施例25及び26では合
成例2のポリマーをtBoc化した樹脂をベース樹脂と
して用いた。
スピン塗布し、ホットプレート上にて85℃で1分間プ
リべークした。膜厚は0.7μmであった。KrFエキ
シマレーザあるいは加速電圧30kVの電子線で描画した
のち、85℃で3分間PEBを行った。2.4%のテト
ラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の水溶
液で1分間現像を行い、水で30秒間リンスした。現像
後の膜減りは0.01μm以下であった。膜減り量は
0.03μm以下に抑えられればプロセス上問題はな
い。
cm2 であった。電子線に代えて、遠紫外線であるKrF
エキシマレーザ光(波長248nm)で評価した場合のD
0 感度は12mJ/cm2 であった。PEBを85℃で5分
間行った場合は、電子線感度は2.5μC/cm2 であっ
た。ここで用いたベース樹脂は、現像液に対して35nm
/sの溶解速度を示した。本レジストは未露光部は約
0.15nm/sの溶解速度を有し、露光部はPEB後、
26nm/sの溶解速度を有した。KrFエキシマレーザ
露光では、0.25μmライン&スペースパタンやホー
ルパタンが解像し、垂直な側壁を持つパタンを形成する
ことができた。また、電子線描画では0.2μmが解像
した。
ェニル)スルホニウムトリフレートに代えて、ジ(t−
ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート(実施例
2)、トリフェニルスルホニウムトリフレート(実施例
3)、(p−チオフェノキシフェニル)ジフェニルスル
ホニウムトリフレート(実施例4)、フェニル(p−メ
トキシフェニル)ヨードニウムトリフレートを用いたレ
ジスト溶液を作製し、実施例1と同様に評価した。実施
例2の結果、電子線感度は4.6μC/cm2 、KrF感
度は50mJ/cm2 であった。本レジストの膜減りはいず
れも0.03μm以下であり問題はない。KrF露光や
電子線描画によって実施例1と同程度の解像性を有して
いることを確認し、KrF露光ではオーバーハングのな
い基板に垂直な側壁をもつパタンを形成することができ
た。実施例3と4と5は電子線感度はそれぞれ2.5μ
C、3.1μC、4.5μC/cm2 、そしてKrFエキ
シマレーザに対する感度は30、40、45mJ/cm2 で
あった。いずれも実施例2と同様にオーバーハングのな
い基板に垂直な側壁をもつパタンを形成することができ
た。
−p−ヒドロキシフェニル)スルホニウムトリフレート
と下記表2の酸発生剤との組合せの混合酸発生剤を使用
し、実施例1と同様の方法でKrFレジスト特性を評価
した。添加量は共に実施例1と同じ組成で2.5重量部
ずつとした。
たが、ジフェニル(p−フルオロフェニル)スルホニウ
ムトリフレートよりもフェニル(ジ−p−ヒドロキシフ
ェニル)スルホニウムトリフレートが溶解性が優れてい
るためである。解像性については、いずれも0.25μ
m幅のパタンをKrFエキシマレーザで分離解像でき、
オーバーハングは認められなかった。
した結果、感度は電子線に対し、8μC/cm2 であっ
た。KrFエキシマレーザ光の場合の感度は25mJ/cm
2 であった。感度は低いが、同じ解像性のパタンをオー
バーハングなく形成することができた。
阻害剤を用いてKrFエキシマレーザ感度を評価した。
y)を変えて、KrFエキシマレーザによるレジスト特
性を検討した。表5に結果を示す。85℃で2分間PE
Bし、現像は2.4%TMAH水溶液を用いて1分間行
った。いずれも、オーバーハングがなく0.25μm幅
のパタンが解像できた。膜減りが大きいほど感度が高
い。
ポリヒドロキシスチレンに代えて、tBoc化率40モ
ル%のポリヒドロキシスチレンをベース樹脂として用い
たレジスト溶液を調整し、KrFエキシマレーザによる
レジスト特性を実施例1と同様にして評価した。ベース
樹脂のtBoc化率が40モル%になったため、溶解阻
害効果が大きくなり、アルカリ水溶液に対する溶解性が
低下した。このため、感度は20mJ/cm 2 と低くなって
いるが、しかし、解像性は0.25μmライン&スペー
スの解像が可能であり、パタン上部での形状がtBoc
化率が20モル%のベース樹脂を用いた場合より矩形に
近い。電子線で評価した結果では、0.2μm以下のパ
タンが解像できた。
スピン塗布し、ホットプレート上にて85℃で1分間プ
リベークした。ベース樹脂のtBoc化率は20%(実
施例25)と40%(実施例26)であった。実施例1
と同様の方法でレジスト特性を評価した結果、電子線感
度は実施例25及び26共に8μC/cm2 であった。K
rFエキシマレーザ光での感度は共に20mJ/cm2 と2
5mJ/cm2 であった。この結果から、合成例1で得られ
るポリマーを用いた場合よりも合成例2のポリマーの方
が低感度であることが分かった。KrFエキシマレーザ
露光では、実施例25、26共に0.3μmライン&ス
ペースパタンやホールパタンが解像し、垂直な側壁を持
つパタンを形成することができた。また、電子線描画で
は0.2μmが解像した。解像性については合成例1の
ポリマーと合成例2のポリマーでの違いが認められなか
った。
は、高エネルギー線に感応し、感度、解像性、プラズマ
エッチング耐性に優れている。しかも、レジストパタン
の耐熱性が優れている。また、現像時のレジスト膜減り
が小さい、パタンがオーバーハング状になりにくく、寸
法制御性に優れている。金属元素を含まない材料系であ
ること、化学増幅過程でPEBを必要とするためにレジ
スト特性の露光後経時依存性が小さいこと、化学増幅過
程で水を必要としないため系がより単純であること、等
の特徴を有する。これらより、特に電子線や遠紫外線に
よる微細加工に有用である。特にKrFエキシマレーザ
の露光波長での吸収が小さいため、微細でしかも基板に
対し垂直なパタンを容易に形成することができる特徴が
ある。
線を示す図である。
溶出曲線を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部
がt−ブトキシカルボニルオキシ基で置換された樹脂
(A)、溶解阻害剤(B)、及び酸発生剤(C)の3成
分を含む、アルカリ水溶液で現像可能な高エネルギー線
感応ポジ型レジストにおいて、該溶解阻害剤(B)が1
分子中に1個以上のt−ブトキシカルボニルオキシ基を
含み、該酸発生剤(C)が下記式(化1): 【化1】(R)n AM (式中Rは同じでも異なってもよく芳香族基あるいは置
換芳香族基を示し、Aはスルホニウムあるいはヨードニ
ウムを示す。Mはトシレート基あるいはトリフレート基
を示し、nは2又は3を示す)で表される酸発生剤を2
種類以上混合したものであり、重量分率が、0.07≦
B≦0.40、0.005≦C≦0.15、0.55≦
A、A+B+C=1、であることを特徴とするレジスト
材料。 - 【請求項2】 該ポリヒドロキシスチレンが、リビング
重合で得られるものであることを特徴とする請求項1に
記載のレジスト材料。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP4218703A JP2654892B2 (ja) | 1992-07-27 | 1992-07-27 | ポジ型レジスト材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0643653A true JPH0643653A (ja) | 1994-02-18 |
JP2654892B2 JP2654892B2 (ja) | 1997-09-17 |
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ID=16724098
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP4218703A Expired - Lifetime JP2654892B2 (ja) | 1992-07-27 | 1992-07-27 | ポジ型レジスト材料 |
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---|---|
JP (1) | JP2654892B2 (ja) |
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JP2654892B2 (ja) | 1997-09-17 |
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