JPH0643303Y2 - ドーマ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、前面に鋼製の枠体を具えることにより強度に
優れるとともに大型化でき、その内部を居室としても利
用可能とするドーマに関する。

〔従来の技術〕

従来、小屋裏の換気、傾斜屋根下方の部屋への採光、通
風等の他、該傾斜屋根にアクセントを付与し、家屋の見
映えを高めるために、傾斜屋根にはドーマがときに使用
されている。

従って、従来のこのようなドーマは比較的小型であり、
大きい強度も必要でなく、該ドーマを形成する骨組体
は、木製の枠材を用いて形成される。

他方、近年、家屋空間、とくに小屋裏の活用が望まれて
いる。

〔考案が解決しようとする課題〕 しかしながら、両流れの傾斜屋根を有する家屋において
も、その傾斜屋根下方の前記小屋裏の空間が小であると
きには、この小屋裏は従来、無為に放置されるか、物品
の収納場所等としてしか活用されていない。

従って、本考案者はかかる場合における小屋裏空間の有
効利用に関して種々考察を行った結果、従来、小屋裏換
気、階下の居室への採光等のために利用されているドー
マに着目し、該ドーマによって傾斜屋根下方に比較的広
い空間を形成させ、居室としても利用しうることに気付
くとともに、従来のドーマにおいてその前面に用いられ
ている木製の枠体にかえ、鋼製の枠体を傾斜屋根の受材
に固定することによって強度に優れ、大型化を可能とし
うるドーマを案出した。

しかしながらこのようなドーマでは、傾斜屋根のたる木
及び野地板等を切欠くことによりドーマ内部と小屋裏と
を導通する開口部の開口巾が大となり、傾斜屋根自体の
剛性及び強度の低下を招来する。従ってかかる低下を防
止するために、前記枠体の支柱材根本部分を通り前記受
材に前端が固定される補強たる木が新たに要求されると
ともに該補強たる木を能率よくかつ強固に固定する新規
な金具が必要となる。

本考案は、支柱材を挟んでのびる上片を有しかつ受材に
係止される係止部と受枠部とを具えるたる木取付金具を
用いることを基本として、補強たる木の前端を支柱材の
根本部分かつ受材に能率よくかつ強固に固定でき、傾斜
屋根を補強しうるドーマの提供を目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するために、傾斜屋根に前面を該傾斜屋
根の流れ下方に向けて配されるドーマであって、一対か
つ鋼製の支柱材の上端から斜め上方かつ向き合う側にの
びる鋼製の斜材を有しかつ該斜材の上端を接合すること
により該斜材が山形を形成するとともに前記支柱材の下
端が水平かつ鋼製の受材に固着される一対の支枠、前記
受材の後面から傾斜屋根の流れ方向に上向きにのびる補
強たる木及び前記受材の後面で垂下する後片と、該後片
から前記支柱材を挟んでのびかつ前記受材の上面に載置
される一対の上片と、各上片の前端で垂下する前片とを
有することにより該受材に係止される係止部の前記後片
に受枠部を設けたたる木取付金具を具えるとともに、該
受枠部に前記補強たる木の前端を固定してなるドーマで
ある。

〔作用〕

このように構成する本考案のドーマは、一対の支柱材と
斜材とからなる鋼製の枠体を具えるため、従来の木製の
枠体を用いたドーマに比べてその骨組体の剛性、強度を
大巾に向上でき、しかも枠体がその下端を鋼製の受材に
固着するため、さらに骨組体の強度、剛性を増す。

又たる木取付金具は、受材の後面で垂下する後片に、前
端に前片を垂下しかつ支柱材を挟んでのびる一対の上片
を設けた受枠部を有するため、支柱材に干渉されること
なく受材にワンタッチで強固に取付けでき、その取付作
業能率を向上しうる。しかも後片に受枠部を設けている
ため、補強たる木の前端を支柱体の根本部分で支持で
き、開口部の開口巾の増大に伴う傾斜屋根の強度低下を
防止し、ドーマの大型化を達成しうる。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を図面に基づき説明する。

図においてドーマ１は、その前面Ｆを傾斜屋根Ｒの流れ
下方に向けて配される。又その前面Ｆには、第４図に示
すように、一対かつ鋼製の支柱材２、２と、その上端か
ら斜め上方かつ向き合う側にのびしかも接合されること
により山形をなす斜材３、３とを含む枠体４がその支柱
材２下端を、水平な受材41上にボルト止めされて配され
る一方、支柱材２の根本部を通る補強たる木60が、たる
木取付金具62を介して前記受材41に支持される。

又本例では、さらに枠体４の両側に、前記斜片３と一直
線状にのびる傾斜片６を有する木質の側枠体７が付設さ
れる一方、本例では前記側枠体７、７の両端間の長さで
示すドーマ巾はプレハブ家屋における基準寸法となる基
準モジュール（例えば基準モジュールＭは90cm）の４倍
長さ4Mに、又前記支柱材２、２間の長さである枠体巾は
2Mに夫々設定されている。

前記傾斜屋根Ｒはその棟部に配する図示しない棟木と、
第２図に示す鼻母屋20と、その間に水平に配される母屋
21、22、23とを具え、前記母屋21は、本例では鼻母屋20
に隣り合わせて配されている。

又前記棟木、鼻母屋20、母屋21〜23は、ともに垂直なウ
エブに、夫々水平な上のフランジ24、下のフランジを設
けたＩ形鋼が用いられ、前記母屋21の上フランジ24には
本例では第５図に示すように、前記ドーマ土台42固定用
のボルト挿通孔45…が例えば1MのピッチP1間隔で透設さ
れる。そしてこのボルト挿通孔45を用いてドーマ土台42
が、要求されるドーマ形成位置近傍に固定される。

前記ドーマ土台42は、同様にウエブ42Aの上下端に上フ
ランジ42B、下フランジ42Cを設けたＨ形鋼により形成さ
れ、その長さは前記枠体巾より大かつドーマ巾より小、
例えば3Mの長さに設定される。

又下フランジ42Cには、前記ピッチP1と等しいピッチP2
間隔で小孔46…が形成されるとともに、上フランジ42B
には、居住者の要求等により選択される支柱材ボルト止
め用の孔部47…が複数位置に設けられる。なお孔部47…
は前記ピッチP1より小かつ前記枠体巾を整数で除したピ
ッチ間隔、本例では0.5MのピッチP3間隔で形成され、従
って枠体４すなわちドーマには、第10図（ａ）〜（ｃ）
に示すように、ドーマ土台42上において、0.5Mの間隔で
隔たる３つの形成位置Y1、Y2、Y3が選択しうる。又前記
選択された位置にはドーマ１が形成される。該ドーマ１
は、第３〜４図に略示するように母屋21から母屋22との
間の中間高さまでの間を前記ドーマ巾を隔てて屋根勾配
でのびる側台木30、30と、その後端から斜め上方にハ字
状にのびる斜台木31、31とからなる木質の枠台32を具え
る。又該枠台32は、鼻母屋20、母屋21〜23及び棟木を跨
がりかつ屋根勾配に沿って並設される木質のたる木34…
を介して添設した野地板35上面に固定される。なおたる
木34…は本例では、前記斜台木31、31が交わる頂部Ｋを
挟んで0.5Mのピッチ巾で配設されるとともに、該たる木
34…及び野地板35は、母屋21、22間でしかも枠体32で囲
む領域内で切欠され、ドーマ内部と小屋裏とを導通する
開口部Ｈを形成している。なお側台木30下方にも、前記
たる木34と同構成をなしかつたる木34と平行な補強桟44
が付設され屋根強度を高めている。

又ドーマ１は、前述のごとく前面Ｆかつ受材41上に、鋼
製の枠体４とその両側の木質の側枠体７、７とを具え
る。

前記枠体４は、左右対称は一対のく字状の支枠4A、4Bを
用いて形成され、又支枠4A、4Bは、支柱材２の上端に斜
め上方にのびる斜材３を一体に溶着している。前記支柱
材２は、垂直かつ前記前面Ｆと平行なウエブ11aの両側
に、傾斜屋根Ｒの流れ方向に向くフランジ11b、11bを突
設したＩ形鋼からなる基体下端に、水平な脚板12を具え
る。従って支柱材２は、前記孔部47を通りかつ脚板12を
貫通するボルトによってドーマ土台42に強固に固着され
る。又支柱材２の上端は、斜めに切り落とされるととも
に、該上端には補強板を介して前記斜材３が上向き斜め
に突設される。なお斜材３は、支柱材２と断面同形のＩ
形鋼を用いており、又上端には垂直な連結片13が固着す
るとともに、互いに向き合う該連結板13、13間を後述す
るドーマ棟木49前端の取付片50を挟んで接合することに
より前記斜材３、３が山形をなす。

又前記側枠体７は、枠体４の両側において、前記ドーマ
土台42上に載置、固定される下木14及び前記補強桟44に
縦材15…を夫々配しかつその上端間を傾斜片６で連結し
ている。

又傾斜片６は該側枠体７がその下木14をドーマ土台42に
固定されることにより、その上面が斜材３の上面を含む
平面内に位置して該斜材３と略一直線状に連なり、又側
枠体７は木質材からなることによりその巾寸法を自在に
選定しうる。

そして本考案においては、傾斜屋根Ｒには、前記支柱材
２の根本部を通りかつ受材２の後面、本例ではドーマ土
台42の後面から傾斜屋根Ｒの流れ方向に上向きにのびる
補強たる木60が付設され、前記母屋21、22間を連結する
ことにより、ドーマの大型化に伴なう前記開口部Ｈの開
口巾の増大に起因した傾斜屋根Ｒの強度低下を防止して
いる。

前記補強たる木60は、前記たる木34、補強桟44と断面同
形の木質材からなり、前記たる木34と同高さに配される
とともに、その後端は母屋22の上のフランジ24に嵌着す
る固定金具61に取付く一方、前端はたる木取付金具62に
より、受材41に支持される。

又たる木取付金具62は、前記ドーマ土台42の後面で垂下
する横長矩形の後片65と、その上縁かつ両端から前記支
柱材２を挟んでのびるとともにドーマ土台42上面に載置
される一対の上片66、66と、その前端で垂下する前片67
とを有する係止部69を具え、ドーマ土台42の上部に嵌ま
ることにより該ドーマ土台４にワンタッチで係止され
る。なお本例では前片67は後傾斜で垂下し、ウエブ42A
と上下のフランジ42B、42Cとで囲むドーマ土台42の溝部
Ｂ内にのびることにより抜け止めされる。

又たる木取付金具62には、前記後片65に、前記補強たる
木60下面に沿う下片71と、その両側縁から立上がり前記
補強たる木60側面に沿う側片72、72とを有するコ字状の
受枠部73が溶着され、該側片72に打入する釘金具等によ
り補強たる木60前端を固定する。なお支柱材２を母屋21
に直接立上げる場合には、たる木取付金具62を母屋21に
固定することができる。又前記たる木34が支柱材２の根
元部分を通る場合には、該たる木34を開口部Ｈで途切れ
ることなく延設しその前端をたる木取付金具62を用いて
受材41に固定する。かかる場合、開口部Ｈを横切るたる
木34の延設部分によって補強たる木60を形成する。

又前記枠体４は、前記枠台32との間を前面Ｆと直角にか
つ水平にのびる枠材９により連結する。なお枠材９は、
本例では前記枠体４の斜材３、３の交わり部からのびる
ドーマ棟木49と、支柱材２上端からのびるドーマ母屋52
とを含み、又前記側枠体７の傾斜片６外端にもドーマ鼻
母屋53が配される。

前記ドーマ棟木49は、本例では垂直なウエブ49Aに上、
下のフランジ49B、49Cを水平に設けたＩ形鋼から形成さ
れかつドーマの棟部に沿ってのびる基部54の前端に、前
板54Aを介して、前記連結片13、13間に挟まれ、該連結
片13とともに一体にボルト結合される矩形板状の取付片
50をＴ字に溶着している。又基部54の後端は、屋根勾配
に沿って斜切りされるとともにその切断部分には、前記
枠台32の頂部Ｋに位置して枠台32に釘着される後板54B
が一体に固着する。

又ドーマ母屋52は、その後端が前記枠台32に釘着される
貼合せの木質材から形成され、その前端は、前記支柱材
２の前記ウエブ11aにボルト止めされる取付片10aに、ド
ーマ母屋52を嵌入する上向きの凹部を有するコ字状片10
bを溶着した支持金具10により前記枠体４と連結する。

又前記枠材９上には、ドーマたる木56…を介して野地板
57が添設され、かつ図示しない屋根葺材を用いて傾斜屋
根Ｒとともに屋根葺きされる。なおドーマたる木56上面
は、前記ドーマ棟木49の基部54上面が取付片50上端から
下方に控えることにより、枠体４の斜材３上面を含む平
面内に位置して斜材３と平行に並設され、本例ではドー
マたる木56上端は、固定板59を用いてドーマ棟木49に固
着する。

固定板59はドーマたる木56側面に釘着される矩形板状の
基体59A側縁に、ドーマ棟木49の上のフランジ49Bに嵌着
される嵌合溝59Bを有し、該固定板59として例えば壁パ
ネルと梁材等とを連結する既存のパネル止め金具が共通
使用しうる。

又前面Ｆには、第１図に示すように、壁材等を添設し又
窓枠19等を取付けることにより、強固な前壁体を具え、
剛性に優れるドーマ１が形成される。

又第２図に示すごとく、前記母屋21下方の小屋梁などを
用いて架け渡した床パネルＰによって、ドーマ１下方の
床体を形成し、又適宜の階段等を配することによって、
棟部下方からドーマ１下方にのびる居室の形成が可能と
なる。

〔考案の効果〕

叙上のごとく本考案のドーマは一対の支柱材と、その上
端で斜めかつ山形に配される斜材とからなる鋼製の枠体
を具えるため、従来の木製の枠体を用いるものに比べて
ドーマ骨組体の剛性、強度を高めうる。

又受材の後面で垂下する後片に、前端に前片を垂下しか
つ支柱材を挟んでのびる一対の上片を設けた受枠部を具
えたたる木取付金具を用いているため、補強たる木前端
を支柱材の根本部分かつ受材後面で容易にしかも強固に
固定でき、能率よく屋根強度を向上しうるとともに大型
ドーマの形成を可能とする。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を略示する正面図、第２図は
ドーマの骨組体を例示する断面図、第３図は傾斜屋根の
架構材配置とドーマの枠台とを例示する平面図、第４図
はドーマの骨組体を示す斜視図、第５図はその枠体と受
材との取付状態を示す分解斜視図、第６図は枠体とドー
マ棟木との取付状態を示す分解斜視図、第７図（ａ）〜
（ｂ）はドーマ棟木と枠台との取付状態を示す平面図及
び断面図、第８〜９図は受材と補強たる木との取付状態
を示す分解斜視図及び断面図、第10図（ａ）〜（ｃ）は
ドーマ土台の作用を示す略線図である。 ２……支柱材、３……斜材、4A、4B……支枠、41……受
材、60……補強たる木、62……たる木取付金具、65……
後片、66……上片、67……前片、69……係止部、73……
受枠材、Ｆ……前面、Ｒ……傾斜屋根。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】傾斜屋根に前面を該傾斜屋根の流れ下方に
   向けて配されるドーマであって、一対かつ鋼製の支柱材
   の上端から斜め上方かつ向き合う側にのびる鋼製の斜材
   を有しかつ該斜材の上端を接合することにより該斜材が
   山形を形成するとともに前記支柱材の下端が水平かつ鋼
   製の受材に固着される一対の支枠、前記受材の後面から
   傾斜屋根の流れ方向に上向きにのびる補強たる木及び前
   記受材の後面で垂下する後片と、該後片から前記支柱材
   を挟んでのびかつ前記受材の上面に載置される一対の上
   片と、各上片の前端で垂下する前片とを有することによ
   り該受材に係止される係止部の前記後片に受枠部を設け
   たたる木取付金具を具えるとともに、該受枠部に前記補
   強たる木の前端を固定してなるドーマ。