JPH0641872A

JPH0641872A - ポリエステル系繊維製品の耐久性、吸湿、吸水、制電加工方法

Info

Publication number: JPH0641872A
Application number: JP3018792A
Authority: JP
Inventors: Soichi Takamoto; 壮一高本; Haruyuki Suzuki; 治幸鈴木
Original assignee: TAKAMATSU YUSHI KK
Current assignee: TAKAMATSU YUSHI KK
Priority date: 1992-01-20
Filing date: 1992-01-20
Publication date: 1994-02-15

Abstract

(57)【要約】【目的】ポリエステル系繊維製品にパット〜キュアー
の簡単な処理により優れた耐久性のある、吸湿性、吸水
性、制電性を付与する方法【構成】ポリエステルポリエーテルブロック共重合体
の水分散物と、ポリエチレングリコール鎖を含有し、イ
ソシアネート基をブロックした水溶性熱反応型ウレタン
と、環状アミノ酸及びその誘導体の３成分を含む水溶液
で処理し、次いで熱処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル系繊維製
品にパッド〜キュアーの簡単な処理により優れた耐久性
のある、吸湿性、吸水性、制電性を付与する方法に関す
る。ポリエステル系繊維製品には、糸、綿、編織物、不
織布等が含まれる。

【０００２】

【従来の技術】ポリエステル系繊維製品は、優れた物
性を有しているが、疎水性繊維であるため、吸湿性、吸
水性、吸汗性が悪く、静電気の蓄積、油性汚れが落ちに
くい等の欠点がある。これらの欠点を改良する方法とし
て、数多くの処理方法が提案されている。繊維の原糸段
階での改質として、親水性物質を紡糸段階でブレンドす
る方法（特開昭５９ー７１１６７６号）、或いは、繊維
に親水性ビニル化合物をグラフト重合する方法（特公昭
５７ー３８６号）、繊維をアルゴン（Ａｒ）などの不活
性ガス中での低温プラズマ処理する方法（特開昭５９ー
４７４７６号）、ポリアルキレングリコールを含有する
ブロック共重合体の水分散体で処理する方法（特公昭４
５ー１０７９４号）等がある。

【０００３】しかし、これらの処理方法は、親水性物質
のブレンドによる物性低下や、グラフト重合における反
応の不均一など、重合条件の難しさ、プラズマ処理にお
ける高価な設備の必要などの欠点があり、ポリアルキレ
ングリコールを含有するブロック共重合体の水溶性分散
体を処理する方法は、コストも安く、染色同浴などの吸
尽処理により比較的耐久性のある吸水性、防汚性が得ら
れるが、制電性については十分とは言えず、そして、こ
れらの処理では吸湿性はほとんど得られない。又、パッ
ド法による処理は、吸尽法より耐久性は劣り、十分吸湿
性を兼ね備えた耐久性のある制電加工はできていない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、パッド〜ド
ライ〜キュアー法の簡単な処理により、ポリエステル系
繊維製品へ十分に耐久性に優れた吸湿性、吸水性、制電
性を付与できる方法を提供せんとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル
ポリエーテルブロック共重合体の水分散物（ａ）とポリ
エチレングリコール鎖を含有し、イソシアネート基をブ
ロックした水溶性熱反応型ウレタン（ｂ）と環状アミノ
酸及びその誘導体（ｃ）の３成分を含む水溶液で処理
し、次いで熱処理を行うことを特徴とするポリエステル
系繊維製品の耐久性、吸湿、吸水、制電加工法としたも
のてある。

【０００６】本発明に用いるポリエステルポリエーテル
ブロック共重合体（ａ）は、酸成分として、テレフタル
酸、イソフタル酸及びそれらのエステル形成性誘導体、
または／および５ーナトリウムスルホイソフタル酸ジメ
チルなどのスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸を全酸
成分に対して、０〜４０モル％含み、芳香族ジカルボン
酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタ
ンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコー
ル及び一般式

【化２】（ただし、Ｒは水素またはアルキル基、アリール基、シ
クロアルキル基であり、ｎは分子量できまる正の整数で
ある。）で示される分子量６００〜４０００のポリエチ
レングリコールまたは、及びそのエステル形成性誘導体
を２０〜８０重量％、好ましくは４０〜８０重量％含む
共重合体である。

【０００７】スルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸が含
まれていない場合、上記一般式の重量％は５０％以上が
望ましく、５０％より少ないと水分散性が悪く、乳化分
散性が困難になる。又、十分な吸水性、制電性が得られ
ない。スルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸は全酸成分
に対して、０〜４０モル％である。４０モル％より多く
なると樹脂皮膜が硬く脆くなり、又水溶性が上がり過
ぎ。耐久性が低下するためである。これらのポリエステ
ル系樹脂の市販品としては、高松油脂（株）製のＳＲー
１０００、ＳＲー１８００、ＳＲー６２００、ＳＲー５
０００等が上げられる。

【０００８】本発明に用いるポリエチレングリコール鎖
を含有し、イソシアネート基をブロックした水溶性熱反
応型ウレタン（ｂ）は、２個以上の活性水素原子を有す
る化合物と過剰量のポリイソシアネートとの重付加法に
より２個以上の遊離イソシアネート基を有するウレタン
プレポリマーを作成し、遊離のイソシアネート基を当量
以上の重亜硫酸水溶液にてブロックしたもので、このウ
レタン化合物中、ポリエチレングリコール（ＰＥＧ）含
有量が１０〜４０重量％のものである。ポリエチレング
リコール含有量が１０％より少ないと水溶性化が困難
で、４０％より多いと水溶性が上がり過ぎ耐久性が低下
するためである。

【０００９】２個以上の活性水素を有する化合物として
は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等、アルキ
レンオキシド等、重合組成物及びランダム又はブロック
共重合物あるいは、グリセリンなどの多価アルコールへ
の付加重合物、εーカプロラクトンの開環重合物などの
ポリエーテル型、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、無
水マレイン酸等の多価カルボン酸または、それらの酸無
水物とエチレングリコール、ジエチレングリコール、
１，４ーブタンジオール、グリセリン等の多価アルコー
ルとの縮合物のポリエステル型及び、ポリエステル型に
ポリエチレングリコール等アルキレングリコールを共重
合したポリエーテルエステル型がある。

【００１０】ポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂
環式もしくは、芳香脂肪族ポリイソシアネートが黄変及
びブロック化物の熱安定性等で良好である。例えば、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネ
ート、４，４’ージシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート等が上げられる。

【００１１】活性水素原子を有する連鎖延長剤として
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグ
リコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の
多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレン
ジアミンのジアミン類、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレン
グリコール等のチオジグリコール類、および水も上げら
れる。ポリエチレングリコール鎖を含有し、イソシアネ
ート基をブロックした水溶性熱反応型ウレタンとして、
第一工業製薬（株）製のエラストロンＷー１１、エラス
トロンＭＦー９、ミヨシ油脂（株）製のミューロンＵ
Ｄ、高松油脂（株）製のＴＳー８９７等の市販品が上げ
られる。

【００１２】環状アミノ酸及びその誘導体（ｃ）として
は、下記一般式で表される化合物であり、化１（式中ｎ
は２または３であり、ＸはＨまたはＣＨ₂ＯＨであり、
ＹはＨまたはＯＨであり、ＺはＣＨ₂またはＣ＝Ｏであ
り、ＭはＨまたはアルカリ金属またはアミンである。）
例えば、Ｌープロリン、オキシプロリン、２ーピロリド
ンー５ーカルボン酸（ＰＣＡ）、２ーピロリドンー５ー
カルボン酸ナトリウム（ＰＣＡソーダ）等が上げられ
る。これらの化合物は吸湿性を与える成分である。

【００１３】（ａ）、（ｂ）、（ｃ）３成分の使用量
は、ポリエステル系繊維製品に対して固形分として
（ａ）は０．０１〜５重量％、好ましくは０．０５〜
０．５重量％（ｂ）は０．１〜１０重量％、好ましくは
０．５〜５重量％、（ｃ）は０．５〜１００重量％、好
ましくは１〜５０重量％である。（ａ）、（ｂ）、
（ｃ）の３成分を含む水溶液にてポリエステル系繊維製
品を処理する際に、（ｂ）の反応性を高めるために、塩
化第一スズ、塩化第二スズ、トリーｎーブチルチンアセ
テート、ｎーブチルチントリクロライド、ジブチルチン
ラウレートなどの有機金属触媒を用いてもよい。更に、
吸水性を高めるために、予め（ａ）成分をポリエステル
系繊維製品に１００〜１３０⁰Ｃにて浴中処理をしても
よい。

【００１４】パッド処理におけるウェットピックアップ
率は、３０〜２００％にてパッドし、８０〜１２０⁰Ｃ
で３０〜３００秒乾燥し、その後１５０〜２００⁰Ｃで
３０〜１２０秒熱処理を行う。更に、水際の問題で必要
であればソーピングを行ってもよい。

【００１５】尚、本文で言うポリエステル系繊維として
は、レギュラーポリエステル、ＣＤポリエステル及びあ
るいは綿、レーヨン等の天然繊維、再生繊維等、ナイロ
ン、アクリル等ポリエステル以外の合成繊維等を混紡し
たものでもよい。形状としては、織物、編物、不織布、
綿状いずれでもよい。

【００１６】

【発明の効果】ポリエステルポリエーテル共重合体の水
分散物（ａ）と水溶性熱反応型ウレタン（ｂ）と環状ア
ミノ酸及びその誘導体（ｃ）の３成分を含む水溶液で、
ポリエステル系繊維製品を処理し、その後、熱処理する
ことにより、耐久性、吸湿、吸水、制電加工が得られ
る。この場合、化合物（ａ）、（ｂ）、（ｃ）のいずれ
か一つが欠けると発明の目的とする加工が得られない。
（ａ）が欠けると吸水性、耐久性、（ｂ）が欠けると制
電性、耐久性、（ｃ）が欠けると吸湿性が得られなくな
る。この（ａ）、（ｂ）、（ｃ）の３成分が含まれて
いる水溶液にて処理することにより、はじめて耐久性、
吸湿、吸水、制電加工が可能となる。

【００１７】

【実施例】下記加工剤にて調液し、ポリエステル加工糸
織物をパッド処理し（ウェットピックアップ率９０
％）、１００⁰Ｃで３分乾燥後、１８０⁰Ｃで１分熱処理
を行った。

【表１】＊１高松油脂（株）製ウレタン用触媒得られたポリエステル加工糸織物の吸水性、吸湿性、制
電性の性能評価を表２に示す。

【００１８】

【表２】＊２洗濯条件…ＪＩＳＬ０２１７１０３法に準拠＊３吸水性…ＪＩＳＬ１０９４Ａ法（水滴滴下消失
法）に準拠＊４摩擦帯電圧…ＪＩＳＬ１０９４Ｂ法２０±２⁰
Ｃ×４０±２％ＲＨ摩擦布：綿（金巾３号）ロータリ
ースタティックテスター使用＊５吸湿性…真空乾燥機中に１００⁰Ｃ×２時間乾燥
し、重量を測定（Ｗ₁）２０⁰Ｃ×６５％ＲＨデシケータ
ー中に２４時間放置後の重量を測定（Ｗ₂）し、数１よ
り吸湿率（％）を算出した。

【数１】

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ポリエステルポリエーテルブロック共重
合体の水分散物（ａ）と、ポリエチレングリコール鎖を
含有し、イソシアネート基をブロックした水溶性熱反応
型ウレタン（ｂ）と、環状アミノ酸及びその誘導体
（ｃ）の３成分を含む水溶液で処理し、次いで熱処理を
行うことを特徴とするポリエステル系繊維製品の耐久
性、吸湿、吸水、制電加工方法。
【請求項２】ポリエステルポリエーテルブロック共重
合体の組成が、テレフタル酸および／またはイソフタル
酸またはそれらのエステル形成誘導体であり、スルホン
酸金属塩基含有ジカルボン酸を全酸成分に対して、０〜
４０モル％含み、ポリエーテルとして、分子量６００〜
４０００のポリエチレングリコールおよび／またはその
モノエステル形成性誘導体を２０〜８０重量％共重合し
てなることを特徴とする請求項１記載のポリエステル系
繊維製品の耐久性、吸湿、吸水、制電加工方法。
【請求項３】水溶性熱反応型ウレタン中のポリエチレ
ングリコールが分子量４００〜４０００で、ウレタン化
合物の１０〜４０重量％を含むことを特徴とする請求項
１，２記載のポリエステル系繊維製品の耐久性、吸湿、
吸水、制電加工方法。
【請求項４】環状アミノ酸及びその誘導体としては、
下記一般式で表される請求項１乃至３記載のポリエステ
ル系繊維製品の耐久性、吸湿、吸水、制電加工方法。【化１】（式中ｎは２または３であり、ＸはＨまたはＣＨ₂ＯＨ
であり、ＹはＨまたはＯＨであり、ＺはＣＨ₂またはＣ
＝Ｏであり、ＭはＨまたはアルカリ金属またはアミンで
ある。）
【請求項５】水分散物（ａ）：水溶性熱反応型ウレタ
ン（ｂ）：環状アミノ酸及びその誘導体（ｃ）は、繊維
製品に対して、固形分として（ａ）は０．０１〜５重量
％、（ｂ）は０．１〜１０重量％、（ｃ）は０．５〜１
００重量％付与することを特徴とする請求項１乃至４記
載のポリエステル系繊維製品の耐久性、吸湿、吸水、制
電加工方法。