JP2766093B2 - ポリエステル弾性体及びその製造法 - Google Patents

ポリエステル弾性体及びその製造法

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JP2766093B2 JP3208713A JP20871391A JP2766093B2 JP 2766093 B2 JP2766093 B2 JP 2766093B2 JP 3208713 A JP3208713 A JP 3208713A JP 20871391 A JP20871391 A JP 20871391A JP 2766093 B2 JP2766093 B2 JP 2766093B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なブロック共重合ポ
リエステル弾性体及びその製造法に関する。更に詳しく
は、耐候性、耐熱性等の耐久性が極めて優れた、弾性回
復性能の良好なブロック共重合ポリエステル弾性体及び
その製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリエステルをハード成分とし、
脂肪族ポリエーテル又は脂肪族ポリエステルをソフト成
分とするポリエステルブロック共重合体は、いわゆるポ
リエステル弾性体として種々の用途に使用されているこ
とは周知のことである。
【0003】しかしながら、これらのポリエステル弾性
体は耐候性及び耐熱性等が不十分で、例えば最も普通に
用いられているポリ(オキシテトラメチレン)グリコー
ルをソフト成分とするポリエステルエラストマーは、安
定剤を併用しないかぎりはその安定性が低く、室温下で
も1〜2ケ月で使用不可能な状態になるまで劣化すると
いった欠点がある。この劣化は、光が照射されていると
より一層促進される。さらには、繊維とした場合、最近
問題となっている、プール等の塩素による劣化も大き
い。
【0004】また、脂肪族ポリエステルをソフト成分と
するポリエステル弾性体は、ポリエーテルをソフト成分
とする弾性体に比べて耐候性、耐塩素性に優れているも
のの、耐加水分解性等に問題がある。しかも安定剤を併
用しない場合には、耐熱性及び耐候性は必ずしも十分で
あるとは言えない。
【0005】したがって、これら従来のポリエステル弾
性体を実用に供する場合には紫外線吸収剤、酸化防止剤
等の安定剤を併用することが必須の条件であるが、その
安定効果は小さく、その使用量を多くしないかぎりは長
期間使用中に劣化が起る場合が多い。しかるに、多量の
安定剤が添加された成形物を後加工、後処理すると、逆
に安定剤がブリードアウトしたり溶出するといった問題
が発生する場合が多い。
【0006】このような欠点を改良すべく、本発明者ら
は、先にイソフタル酸及び/又はフタル酸を主たる酸成
分とし、炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオールを主
たるグリコール成分とするポリエステルをソフト成分と
するポリエステル弾性体を提案した。
【0007】たしかにこのポリエステル弾性体は、前記
の如き欠点の改善されたものではあったが、低温でその
弾性回復性能が低下するといった問題のあることが判明
した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点が解消され、耐熱性、耐候性、耐塩素性等の耐久性及
び低温での弾性回復性能の改善された、新規なブロック
共重合ポリエステル弾性体を提供しようとするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の如
きイソフタル酸成分と長鎖脂肪族ジオールとからなるポ
リエステルをソフト成分とするポリエステル弾性体が有
する優れた耐候性、耐熱性、耐塩素性等の耐久性を維持
しながら、低温雰囲気下での弾性回復性能を改善すべく
鋭意検討を重ねた結果、ソフト成分として上記ポリエス
テルに特定割合の長鎖脂肪族ジカルボン酸を共重合すれ
ばよいことを見い出し本発明に到達した。
【0010】すなわち、本発明によれば、 1.2種のポリエステルをエステル交換反応せしめて得
た、下記ポリエステル部分(A)とポリエステル部分
(B)とをその構成セグメントとするブロック共重合ポ
リエステル弾性体であって、前記ポリエステル部分
(B)を構成する成分を重縮合せしめて固有粘度が0.
4以上のポリエステルにした時の融点が180℃以上で
あるポリエステル弾性体、 ポリエステル部分(A) (a−1) 炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸成分
10〜40モル% (a−2) イソフタル酸及び/又はフタル酸を主とす
る(a−1) 成分以外のジカルボン酸成分 90〜6
0モル% (a−3) 炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオール
を主とするグリコール成分 100モル% ポリエステル部分(B) (b−1) 芳香族ジカルボン酸を主とするジカルボン
酸成分 100モル% (b−2) 炭素数2〜4の脂肪族α,ω−ジオール及
び/又はシクロヘキサンジメタノールを主とするグリコ
ール成分 100モル%及び 2.下記ポリエステル(A′)と融点が180℃以上の
下記ポリエステル(B′)とを溶融混合してエステル交
換反応せしめるにあたり、該反応生成物の融点がポリエ
ステル(B′)の融点より2〜40℃低くなるまで反応
せしめるポリエステル弾性体の製造法、 ポリエステル(A′) (a−1) 炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸成分
10〜40モル% (a−2) イソフタル酸及び/又はフタル酸を主とす
る(a−1) 成分以外のジカルボン酸成分 90〜6
0モル% (a−3) 炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオール
を主とするグリコール成分 100モル% ポリエステル(B′) (b−1) 芳香族ジカルボン酸を主とするジカルボン
酸成分 100モル% (b−2) 炭素数2〜4の脂肪族α,ω−ジオール及
び/又はシクロヘキサンジメタノールを主とするグリコ
ール成分 100モル%が提供される。
【0011】本発明のポリエステル弾性体を構成する一
方成分ポリエステル部分(A)は、(a-1) 酸成分の10
〜40モル%が炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸、
(a-2) 90〜60モル%がイソフタル酸及び/又はフタ
ル酸を主とする(a-1) 成分以外のジカルボン酸成分、(a
-3) 炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオールを主とす
るグリコール成分からなるポリエステル部分である必要
がある。ここで脂肪族α,ω−ジオールとは、HO(C
2 OHで表わされるジオール化合物であり、nが
5以下の場合にはポリエステル弾性体の弾性回復性能が
低下して本発明の目的を達成できなくなる。
【0012】また、脂肪族ジカルボン酸としては、カル
ボキシル基間の炭素原子数が短すぎる場合には低温時の
弾性回復性能向上効果が小さく加水分解も受け易くなる
ため、カルボキシル基間の炭素数は4以上、特に7以上
であるものが望ましく、例えば、アゼライン酸、セバチ
ン酸、デカンジカルボン酸等が好ましいものとして例示
される。
【0013】かかる脂肪族ジカルボン酸の共重合量は1
0〜40モル%とする必要があるが、グリコール成分の
種類及び脂肪族ジカルボン酸の種類等によって、その特
に好ましい範囲は変化する。一般的には、グリコール成
分の鎖長が長い場合には、該脂肪酸ジカルボン酸の共重
合量は少なくとも、低温弾性回復性能の向上効果は大き
い。したがって、前記脂肪族α,ω−ジオールの平均炭
素数をnとした時、特に好ましい該脂肪族ジカルボン酸
の共重合割合Xモル%は、120/n≦X≦40の範囲
となる。Xが40を越える場合には、低温時の弾性回復
性能はさらに改善されるものの、耐加水分解性及び耐熱
性が低下することとなるため好ましくない。
【0014】なお、本発明でいう「主とする」とは、少
なくとも60モル%、好ましくは70モル%以上が該成
分であることをいうが、上記以外の酸成分及び/又はグ
リコール成分の総和がポリエステル部分(A)の酸成分
に対して40モル%以下、好ましくは30モル%以下で
あり、且つ全脂肪族ジカルボン酸の共重合割合は40モ
ル%以下、また炭素数5以下のジオール化合物の共重合
割合は30モル%以下、特に20モル%以下とすること
が望ましい。
【0015】上記イソフタル酸及び/又はフタル酸に代
えて用いられる酸成分の好ましい例としてはテレフタル
酸等の芳香族ジカルボン酸があげられ、ポリエステル部
分(A)の耐加水分解性を低下させることなく結晶性を
低下できるので好ましい。特に、ポリエステル部分
(A)のみからなるポリエステルを室温で1日放置して
も実質的に結晶化を起さない程度に低結晶性の場合に
は、弾性回復性能の経時変化が少なくなるので好まし
い。
【0016】次に本発明のポリエステル弾性体を構成す
るもう一つの成分は、(b-1) 芳香族ジカルボン酸を主と
する酸成分とし、(b-2) 炭素数2〜4の脂肪族α,ω−
ジオール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルを主とするグリコール成分からなるポリエステル部分
(B)であり、ポリエステル部分(B)を構成する成分
からなるポリエステル(B′)の融点が180℃以上、
好ましくは200℃以上である必要がある。また、「主
とする」とは、前記と同様に他成分を酸成分に対して3
0モル%以下、好ましくは20モル%以下共重合しても
良いことを意味する。
【0017】かかるポリエステル部分(B)に用いられ
る芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニ
ルジカルボン酸等が例示され、脂肪族α,ω−ジオール
としては、エチレングリコール、トリメチレングリコー
ル、テトラメチレングリコールがあげられる。なかで
も、結晶性が良く結晶化速度も早くなるといった特徴を
有するので、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)部
分、ポリ(テトラメチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレート)部分、及びポリ(1,4−シクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレート)部分等が好ましく用いら
れる。
【0018】本発明のポリエステル弾性体は、上記のポ
リエステル部分(A)とポリエステル部分(B)とから
なるが、その割合は目的によって任意に変えることがで
きる。すなわち、一般に弾性回復性能を付与するには
A:Bを90:10〜30:70の範囲にすればよい
が、特にゴム弾性を望む場合にはA部分が多い85:1
5〜50:50とするのが望ましい(但し重量比)。
【0019】以上に述べた本発明のポリエステル弾性体
は上述のポリエステル部分(A)あるいはポリエステル
部分(B)の夫々単独からなる高分子量ポリエステル
(A′)及び(B′)を、エステル交換反応せしめる
(再分配反応せしめる)こにより容易に得ることがで
きる。このエステル交換反応せしめる方法としては、上
記2種のポリエステルを触媒の存在下、溶融混合せしめ
る方法が一般的であるが、この際、「どこまで反応させ
るか」及び「如何にしてその状態で反応を停止させる
か」の二点が重要なポイントとなる。前者の点について
は、どのような特性を有するポリマーが得たいかによっ
て適宜変更することができるが、そのための反応条件
は、用いるポリエステル(A′)、ポリエステル
(B′)の種類、量、分子量等によりことなり、また、
撹拌状況、温度、触媒等種々の因子によっても異なって
くるので、一義的に定めることは困難である。したがっ
て、実際には、使用するポリマー、組成、装置等が定ま
った後、目的とするブロック共重合ポリエステル弾性体
の得られる反応条件を見出すこととなる。
【0020】なお、このエステル交換反応は、得られる
ポリエステル弾性体の融点が、用いたポリエステル
(B′)の融点より2〜40℃低くなるまで反応せしめ
ることが肝要である。融点の低下が2℃未満の場合にあ
っては、エステル交換反応が十分進行しておらず、得ら
れるポリマーはブロック共重合体というよりもポリエス
テル(A′)とポリエステル(B′)との混合物として
の特性を示し、十分な弾性回復性能を示さなくなる。一
方、融点低下が40℃以上の場合には、エステル交換反
応が進行しすぎて、得られるブロック共重合体のポリエ
ステル部分(B)の長さが短くなりすぎ、結晶性が低下
するとともに弾性回復性能が不十分となって、実質的に
はランダム共重合体と同等になるので望ましくない。好
ましくは、得られたポリマーを繊維となした際の50%
伸長弾性回復率が80%以上となるよう反応させるのが
望ましい。
【0021】次に、「如何にしてエステル交換反応を停
止させるか」については、反応後のブロック共重合体を
直ちに成形する場合には必ずしも問題とはならないが、
例えば一度チップとなした後再度溶融して成形物となす
場合には、再溶融時にエステル交換反応が更に進行して
ブロック共重合体の性質が変わるので、エステル交換反
応を停止させておくことが望ましい。この反応を停止さ
せる方法としては、触媒を失活させる方法が一般的であ
り、例えばエステル交換反応触媒としてチタン又はスズ
触媒を用い、リン酸、亜リン酸、ホスフォン酸、ホスフ
ィン酸及びこれらの誘導体を添加して触媒能を失活させ
る方法が採用できる。
【0022】なお、この触媒能を失活させる方法は、温
度が260℃以上になるとその効果は低減するので(2
60℃以上になると触媒活性は完全には停止できな
い)、ポリエステル(B′)の融点が260℃を越える
場合には、あらかじめ溶媒、可塑剤等を用いて低温での
反応及び成形が可能となるようにしておくことが望まし
い。
【0023】かくして得られるブロック共重合ポリエス
テル弾性体の固有粘度(オルトフェノール中35℃下測
定)は、0.4以上好ましくは0.6以上とすることが
望ましく、前記エステル交換反応時に使用するポリエス
テル(A′)及び(B′)として固有粘度の高いものを
用い、かつエステル交換反応時に両ポリマーが分解して
重合度を低下させない条件で反応させることにより容易
に達成できる。すなわち、例えエステル交換反応時の
反応温度をあまりに高くしすぎると熱分解が起るし、反
応雰囲気中に水分、グリコール成分等が共存すると加水
分解、グリコール分解等が起って、得られるブロック共
重合体の固有粘度は低下するので望ましくない。
【0024】なお、本発明のブロック共重合ポリエステ
ル弾性体は、分岐剤、カチオン可染性を付与するための
スルホン酸塩化合物、難燃性を付与するためのリン化合
物、その他の共重合成分が共重合されていても良く、ま
た、顔料、染料、充填剤、難燃剤、安定剤等が含有され
ていても良い。
【0025】
【発明の効果】本発明のポリエステル弾性体は、従来よ
り繁用されているポリテトラメチレングリコールと芳香
族ポリエステルとからなるポリエーテルエステルブロッ
ク共重合体に比し、耐酸化性(長期耐熱性、耐光性、耐
塩素性等)が極めて優れているので、従来必須とされて
きた抗酸化剤あるいは光安定剤を使用しなくとも充分実
用に供することができ、しかもこれに安定剤を加えるな
らば、これらの性能は一段と向上されたものとなる。
【0026】また、本発明者らが先に特願平2−137
032号で提案したポリエステル弾性体に比べると、耐
酸化性等の耐久性についてはほとんど差がなく、0℃近
傍といった低温での弾性性能が著しく改善されるといっ
た特徴を有する。
【0027】さらに、耐加水分解も良好なレベルであ
り、例えば繊維となしてポリエチレンテレフタレート繊
維と交編織した布帛は、風合改善のためのアルカリ減量
加工が可能であるといった特徴をも有する。
【0028】したがって、以上の特性を生かして、繊
維、フイルム、樹脂等の幅広い用途に展開し得るもので
あり、その工業的価値は極めて高い。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳述する。
なお、固有粘度は、オルトクロルフェノール中35℃で
測定した。
【0030】
【実施例1】ジメチルイソフタレート135.8部(7
0モル%)、ジメチルテレフタレート19.4部(10
モル%)、1,10−デカンジカルボン酸46部(20
モル%)と、1,10−デカンジオール261部とを、
チタニウムテトラブトキサイド0.17部(全酸成分に
対して50ミルモル%)を触媒としてエステル交換反応
及びエステル化反応させてメタノール及び水を留去せし
めた後、260℃高真空下常法により重合させて固有粘
度0.95のポリエステル−1(ポリエステル
(A′))を得た。このポリエステルは、高温で1日放
置した後でも透明であり、ほとんど結晶化はしていなか
った。
【0031】一方、ジメチルテレフタレートとテトラメ
チレングリコールとを、チタニウムテトラブトキサイド
(ジメチルテレフタレートに対して40ミリモル%)を
触媒として上記と同様にエステル交換反応させた後重合
させて固有粘度0.91、融点225℃のポリエステル
−2(ポリエステル(B′))を得た。
【0032】次に、ポリエステル−2を35重量部25
0℃で溶融後、ポリエステル−1を65重量部添加し
て、1mmHg以下の高真空下250℃で1時間10分撹拌
反応させ、内部が透明になった時点でリン酸(チタンに
対して1.5モル倍)を添加した。
【0033】得られたブロック共重合体の固有粘度は
0.98であり、融点は201℃(示査走査熱量計に
て、昇温速度20℃/分で測定し、吸熱ピーク温度を求
めた)であった。この物を、250℃下径0.5mmのノ
ズル孔より押出し、200m/分の速度で捲き取って繊
維を得た。
【0034】この繊維を20℃で100%伸長させた
後、直ちに収縮させた際の回復率は87%であった。又
同様の回復率の測定を氷水中で行ったところ86%の回
復率を示し、更に10秒後には回復率は90%まであが
った。一方この糸を、pH7のリン酸バッファーで調整
した次亜塩素酸ナトリウムの塩素濃度を300ppmと
した液に浸漬し、60℃で6時間放置した後、前記と同
様にして20℃での回復率を測定したところ86%であ
り、弾性回復性能の劣化は認められなかった。また、こ
の糸をキセノンテスターで144時間照射した後の20
℃の回復率は87%であり、耐光性は極めて良好でこの
ままでも充分使用できることが判った。
【0035】また耐加水分解性は、120℃の加圧水中
下12時間放置したでも強力保持率は42%であり、且
つ沸騰アルカリ水(濃度NaOH 10g/リットル)
中での重量減量率も28%(処理時間8時間)と良好で
あった。
【0036】また、この糸を120℃の熱風乾燥機中7
日間放置した後の強力保持率は87%であった。
【0037】
【比較例1】平均分子量が2000のポリテトラメチレ
ングリコールとジメチルテレフタレート及びテトラメチ
レングリコールとから、常法に従ってポリテトラメチレ
ングリコール成分が65重量%のポリエーテルエステル
ブロック共重合体を得た。このポリマーの固有粘度は
1.35、融点は189℃であった。
【0038】得られたポリマーを実施例1と同様にして
繊維となし、その100%伸長弾性回復率を測定したと
ころ82%以上と良好であったが、120℃の熱風乾燥
器内で保持中、約1週間でボロボロにまで劣化してしま
った。
【0039】
【比較例2】比較例1のポリマーにチバガイギー社製イ
ルガノックス1010 1重量%及びチヌビン326 0.5重
量%添加して紡糸した糸について、実施例1と同様にキ
セノンテスターで耐光性を調べたところ、24時間後に
は100%伸長すると切断する程度まで劣化していた。
また、実施例1同様に次亜塩素酸ナトリウム液で処理し
たところ、処理糸は少し伸ばすと破断する程度まで劣化
していた。
【0040】
【比較例3】1,10−デカンジカルボン酸と1,10
−デカンジオールとを、エステル化後常法により重縮合
させて、実施例1のポリエステル(A′)相当のポリエ
ステル(固有粘度0.85)を得た。このポリエステル
と実施例1のポリエステル−2とを65重量部対35重
量部の比で250℃で高真空下透明になるまで反応させ
た。
【0041】得られたブロック共重合体を実施例1と同
様にして繊維となし、この繊維を120℃の加圧水中下
12時間放置して強力保持率を測定したところ7%でし
かなかった。また沸騰アルカリ水(濃度NaOH 10
g/リットル)中での重量減量率も、8時間で殆んどな
くなり測定できなかった。
【0042】
【実施例2,3,比較例4,5】ジメチルイソフタレー
ト(DMI)、ジメチルテレフタレート(DMT)セバ
チン酸及び1,6−ヘキサンジオールを表1に示す量比
でチタニウムテトラブトキサイドを触媒として反応さ
せ、しかる後に実施例1と同様にしてポリエステル−2
を250℃で高真空下に反応させ、透明になった時点で
リン酸を添加して反応を停止させた。次いで実施例1と
同様に繊維化し、20℃及び氷水中の弾性回復率、沸騰
アルカリ水中(濃度NaOH 10g/リットル)8時
間処理後の重量減を測定した結果は表1の通りであっ
た。ブロックポリマーの融点、300ppmの塩素濃度
で60℃、6時間後の弾性回復率も合せ示した。
【0043】
【表1】
【0044】
【実施例4〜8】チタニウムテトラブトキサイドを触媒
(全ジカルボン酸成分に対して40ミリモル%)として
調整した表2記載のポリエステル(A′)及びポリエス
テル(B′)を、表2記載の条件の下で溶融混合し、実
施例1と同様に、内部が殆んど透明になった時点でリン
酸を添加してポリエステルブロック共重合体を得た。得
られたポリマーの特性を実施例1と同様に評価した結果
を表2に示す。
【0045】
【表2】 但し、表中の略称は下記のとおりである DMI:ジメチルイソフタレート DMP:ジメチルフタレート DMT:ジメチルテレフタレート DMN:ジメチル−2,6−ナフタレート DDA:デカンジカルボン酸 AZA:アゼライン酸 C12G:1,12−ドデカンジオール C10G:1,10−デカンジオール CHDM:シクロヘキサンジメタノール C2 G:エチレングリコール C4 G:1,4−ブタンジオール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2種のポリエステルをエステル交換反応せ
    しめて得た、下記ポリエステル部分(A)とポリエステ
    ル部分(B)とをその構成セグメントとするブロック共
    重合ポリエステル弾性体であって、前記ポリエステル部
    分(B)を構成する成分を重縮合せしめて固有粘度が
    0.4以上のポリエステルとした時の融点が180℃以
    上であるポリエステル弾性体。 ポリエステル部分(A) (a−1) 炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸成分
    10〜40モル% (a−2) イソフタル酸及び/又はフタル酸を主とす
    る(a−1) 成分以外のジカルボン酸成分 90〜6
    0モル% (a−3) 炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオール
    を主とするグリコール成分 100モル% ポリエステル部分(B) (b−1) 芳香族ジカルボン酸を主とするジカルボン
    酸成分 100モル% (b−2) 炭素数2〜4の脂肪族α,ω−ジオール及
    び/又はシクロヘキサンジメタノールを主とするグリコ
    ール成分 100モル%
  2. 【請求項2】下記ポリエステル(A′)と融点が180
    ℃以上の下記ポリエステル(B′)とを溶融混合してエ
    ステル交換反応せしめるにあたり、該反応生成物の融点
    がポリエステル(B′)の融点より2〜40℃低くなる
    まで反応せしめるポリエステル弾性体の製造法。 ポリエステル(A′) (a-1) 炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸成分 10
    〜40モル% (a-2) イソフタル酸及び/又はフタル酸を主とする(a-
    1) 成分以外のジカルボン酸成分 90〜60モル% (a-3) 炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオールを主と
    するグリコール成分 100モル% ポリエステル(B′) (b-1) 芳香族ジカルボン酸を主とするジカルボン酸成分
    100モル% (b-2) 炭素数2〜4の脂肪族α,ω−ジオール及び/又
    はシクロヘキサンジメタノールを主とするグリコール成
    分 100モル%
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