JPH0640669Y2 - アーム式作業機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本考案は、アーム先端で矢板などを吊り上げるウインチ
を搭載したアーム式作業機に関する。

B.従来の技術 第６図および第７図はアーム式作業機による矢板の打設
を説明するものである。

このアーム式作業機は、本体１に連結したブーム２の先
端にアーム３を連結し、さらにアーム３の先端にエクス
テンションアーム４を連結し、ブーム2,アーム3,エクス
テンションアーム４をそれぞれ油圧シリンダ５〜７で駆
動するようにして成る。そして、エクステンションアー
ム４の先端にバイブロアタッチメント８をピン結合して
吊設し、バイブロアタッチメント８により矢板９を把持
する。エクステンションアーム４の先端が、すなわちバ
イブロアタッチメント８の連結点が垂直に降下するよう
にブーム２やアーム３を操作し、バイブロアタッチメン
ト８により矢板９に振動を与えつつ矢板９を打設する。

ところで、このような矢板打設作業に際し、バイブロア
タッチメント８に矢板９をセットするのに専用クレーン
を用意すると施工コストがアップする。そこで従来か
ら、例えば、第８図に示すような吊り上げ装置を搭載し
たアーム式作業機が知られている。

第８図に示す吊り上げ装置は、ブーム２に吊り上げロー
プ11の一端を掛止し、アーム３先端に設けたシーブ12に
ロープ11の他端を掛け回して垂下させ、フック13と矢板
９とを補助ロープ14で連結して成る。この吊り上げ装置
によれば、アーム３を図示反時計回り方向に回動したと
きに吊り上げロープ11を弛ませてフック13をシーブ12か
ら降下させ、アーム３を時計回り方向に回動したときに
吊り下げロープ11を緊張させてフック13を上昇させるこ
とにより、矢板９などの吊り込み作業を行なうものであ
る。

C.考案が解決しようとする課題 しかし、この従来の吊り上げ装置では、バイブロアタッ
チメント８とアーム３との間でフック13が昇降するた
め、矢板９を吊り込む際にアーム３の真下に矢板９がく
るようにアーム式作業機を自走する必要があり、作業効
率が悪い。

本考案の技術的課題は、アーム先端よりも前方側で吊り
上げ用ワイヤを垂下させアームの姿勢に連動させてその
ワイヤと作業用アタッチメントとの間隔を保つようにす
ることにある。

D.課題を解決するための手段 一実施例を示す第１図により本考案を説明すると、本考
案は、アーム式作業機の本体１にブーム２を介して少な
くともアーム３を俯仰可能に取付けるとともにウインチ
21を備え、アーム先端に作業用アタッチメント８を吊設
して成るアーム式作業機に適用される。

そして、上述の技術的課題は次の構成で解決される。

アーム先端部に基端が回動可能に連結され自由端が作業
用アタッチメント８よりも前方まで延在するブラケット
23と、このブラケット23の自由端に回転可能に設けられ
ウインチ21から導かれるワイヤ25の先端を作業用アタッ
チメント８の前方で鉛直に垂下させるシーブ24と、ブラ
ケット23に設けられシーブ24からワイヤ25が外れるのを
防止する外れ止め部材27（第３図）とを備え、ワイヤ先
端がシーブ24を介して鉛直方向を向こうとするときに外
れ止め部材27に作用する力により、ブラケット23を作業
用アタッチメント８から離れる方向に回動するように構
成する。

E.作用 アーム４をブーム２に抱き込むように操作するとき、ア
ーム４の回動に伴いシーブ24から垂下するワイヤ25は鉛
直方向に向こうとしワイヤ外れ止め部材27に水平方向に
力が作用する。これにより、アーム４の回動に応じてブ
ラケット23が作業用アタッチメント８から離れる方向に
回動し、シーブ24から垂下するワイヤ25は作業用アタッ
チメント８の前方で昇降可能となる。

なお、本考案の構成を説明する上記Ｄ項およびＥ項で
は、本考案を分かり易くするために実施例の図を用いた
が、これにより本考案が実施例に限定されるものではな
い。

F.実施例 第１図〜第５図により本考案に係るアーム式作業機の吊
り上げ装置について説明する。第６図と同様な箇所には
同一の符号を付して説明する。

エクステンションアーム４にはウインチ21が固設される
とともに、ピン22によりブラケット23の基端が回動可能
に連結されている。ブラケット23の自由端にはシーブ24
が軸支され、ウインチ21により繰り出し繰り込まれるワ
イヤ25が掛け回されている。ワイヤ25の先端にはフック
26が取付けられている。また、ブラケット23には第４図
に示すとおり、ワイヤ外れ止めローラ27が一対のブラケ
ット28により取付けられ、ワイヤ25がシーブ24から外れ
ないようにしている。

このローラ27は、アーム３が図示反時計回り方向に回動
するのに応じて、シーブ24から鉛直方向に垂下しようと
するワイヤ25の張力の水平方向分力を受け、ブラケット
23にピン22を中心とした時計回り方向のモーメントを与
えるものである。なお、23aは、ブラケット23に設けら
れた緩衝部材であり、ブラケット23はこの緩衝部材23a
を介してエクステンションアーム４と当接している。

次にこのように構成された吊り上げ装置の動作を説明す
る。

第１図、第３図の状態からエクステンションアーム４を
反時計回り方向に回動して第２図、第５図の姿勢にする
際、ウインチ21とシーブ24とを結ぶワイヤ25aが鉛直方
向に向くまでは、ブラケット23は、その緩衝部材23aが
エクステンションアーム４に接触したままエクステンシ
ョンアーム４と一体的に反時計回り方向に回動する。ワ
イヤ25aが鉛直方向を向いた状態からエクステンション
アーム４が更に反時計回り方向に回動するとき、シーブ
24から先端側のワイヤ25はフック26の自重により鉛直方
向を保持しようとし、ワイヤ外れ止めローラ27に図示左
方向の力が働く。これにより、ブラケット23に時計回り
方向のモーメントが作用し、ブラケット23はピン22を中
心に時計回り方向に、すなわちバイブロアタッチメント
８から離れる方向に回動する。このような動作により、
エクステンションアーム４が第２図、第５図に示すよう
に略鉛直方向を向くとき、ブラケット23はバイブロアタ
ッチメント８から作業機前方向に所定距離だけ離れた姿
勢となる。

以上のブラケット23の回動動作は、第１図から第２図の
姿勢に移行する場合にどのような姿勢でも起こるので、
フック26は常にバイブロアタッチメント８の前方で所定
距離だけ離れた位置で昇降可能となる。

したがって、例えば第２図の姿勢でフック26に不図示の
補助ロープを掛けて矢板を吊り込むとき、アーム３を第
１図の姿勢に復帰させるべく時計回り方向に回動させて
も、ワイヤ25やフック26がバイブロアタッチメント８と
干渉することがない。このため、矢板などの吊り込みに
際し、アーム式作業機をいちいち矢板の近くまで自走す
る必要がなく、作業効率が向上する。また、アーム３や
エクステンションアーム４の回動運動に応じて、ワイヤ
25が鉛直方向に向こうとする力によりブラケット23に回
転モーメントを与えてブラケット23を回動するようにし
ているから、ブラケット23を駆動するアクチュエータが
不要となるとともに、アーム３やエクステンションアー
ム４、あるいはブーム２の操作に応じていちいちブラケ
ット23の回動角度を変更する必要もなく、作業効率がよ
り向上する。

なお、ウインチ21をアーム３やブーム２あるいは本体１
に設置し、エクステンションアーム４のウインチ設置箇
所にシーブを設けワイヤ25をシーブ24に導くようにして
も、上述したと同様の作用効果が得られる。また、エク
ステンションアーム４を使用しないアーム式作業機にお
いては、アーム３の先端部に同様な吊り上げ装置を設け
れば、同様な作用効果が得られる。

なお、本明細中、アームなる文言はエクステンションア
ーム４を包括する概念である。また、作業用アタッチメ
ントはバイブロアタッチメントに限らない。

G.考案の効果 本考案によれば、アーム先端から作業用アタッチメント
よりも前方にブラケットを揺動可能に延設するととも
に、ブラケット先端にシーブを設け、アーム回動に伴っ
てワイヤ外れ止めに作用するワイヤからの力によりブラ
ケットを回動させてワイヤと作業アタッチメントとの間
を離間させるようにしたので、矢板などの吊り込み作業
に際しいちいち自走して位置を変更することなく矢板な
どを吊り込むことができ作業効率が向上する。また、ブ
ラケットの揺動角はアームの回動に応じて自動的に調節
され、駆動用アクチュエータが不要でコスト低減にもな
り、また揺動角の調節作業も不要であり作業効率の向上
に一層寄与する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本考案の一実施例を示し、第１図およ
び第２図はアーム式作業機の側面図、第３図および第５
図はエクステンションアーム周辺の拡大図、第４図は第
３図のIV-IV線矢視図、第６図〜第８図は従来例を説明
するアーム式作業機の側面図である。 1:アーム式作業機、2:ブーム 3:アーム、4:エクステンションアーム ５〜7:油圧シリンダ 8:バイブロアタッチメント 9:矢板、21:ウインチ 22:ピン、23:ブラケット 24:シーブ、25:ワイヤ 26:フック、27:外れ止めローラ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】アーム式作業機の本体にブームを介して少
   なくともアームを俯仰可能に取付けるとともにウインチ
   を備え、アーム先端に作業用アタッチメントを吊設して
   成るアーム式作業機において、 アーム先端部に基端が回動可能に連結され自由端が前記
   作業用アタッチメントよりも前方まで延在するブラケッ
   トと、 このブラケットの自由端に回転可能に設けられ前記ウイ
   ンチから導かれるワイヤの先端を作業用アタッチメント
   の前方で鉛直に垂下させるシーブと、 前記ブラケットに設けられ前記シーブからワイヤが外れ
   るのを防止する外れ止め部材とを備え、 前記ワイヤ先端が前記シーブを介して鉛直方向を向こう
   とするときに前記外れ止め部に作用する力により、前記
   ブラケットを前記作業用アタッチメントから離れる方向
   に回動するように構成したことを特徴とするアーム式作
   業機。