JPH063Y2 - コンパクト容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案はコンパクト容器に関するもので、より具体的
には、容器本体と蓋体とをそれぞれの後端部で開閉自在
に蝶着し、該容器本体内に化粧料を充填した化粧皿を着
脱自在に収納固定するようにしてなるコンパクト容器に
関する。

《従来の技術》 従来、この種のコンパクト容器において、化粧料を充填
した化粧皿を容器本体内に収納固定するために、容器本
体と化粧皿との間にペト、ダブルフェースといった接着
剤や両面接着テープを介在させ、その接着力を利用して
容器本体内に化粧皿を固着するようにし、一方、化粧皿
を容器本体から取り外す時には、容器本体の底面に形成
した透孔に裏面から針などを挿入して化粧皿を上方に押
圧することにより取り外すようにしているものがある。

また、化粧皿と容器本体のそれぞれの接触する面にアン
ダーカットを設けて、互いの凹凸嵌合によって着脱を行
うようにしているものがある。

《考案が解決しようとする課題》 しかしながら、上記した従来のコンパクト容器によれ
ば、接着あるいは嵌合の強度の調節が難しいといった問
題点がある。すなわち、接着剤や両面接着テープを用い
る方式では、接着強度が強すぎた場合、化粧皿を交換す
る際、化粧皿を剥がしにくくなり、弱すぎた場合、携帯
時にわずかな震動で容器本体から離脱する虞れがある。
さらに、化粧皿の交換を数回繰り返すと、容器本体の接
着面に化粧料が飛散付着して接着強度が著しく低下する
といった問題点もあった。また、アンダーカットによる
嵌着方式では、上記の接着方式と同様に嵌合強度の調節
が難しく、嵌合が強すぎた場合、化粧皿の着脱が困難に
なるとともに化粧皿がアンダーカットを乗り越える際の
衝撃で化粧皿自体が変形し内部の化粧料が割れるおそれ
があり、弱すぎた場合は軽い衝撃でも化粧皿が容易に外
れてしまうといった問題点があった。

このような問題点を解決するため、本出願人は先に容器
本体内に皿枠を摺動自在に収納し、皿枠の側壁には押え
片を内方に弾性変形自在に設け、押え片の外面とこれに
近接する容器本体の内側面の少なくとも何れか一方の面
に係合突起を設け、皿枠内に化粧皿を収納して、押え片
を化粧皿の外側壁に近接させた状態とし、皿枠を容器本
体内にて水平に摺動させると押え片が係合突起の働きに
よって内方へ移動せられるとともに皿枠内に収納された
化粧皿を固定するようにしてなるコンパクト容器を考案
した。

しかしながら、上記のコンパクト容器では、化粧皿を固
定するために押え片の弾性を利用するので、樹脂によっ
ては、長期間使用を繰り返すと押え片に用いた樹脂の弾
性が低下し、化粧皿を開放する際に押え片がうまく戻ら
なくなるといった虞れがあった。

本考案は上述のような事情に鑑みてなされたもので、そ
の目的は化粧料を充填した化粧皿の交換を極めて簡単に
かつ充填された化粧料を損なうことなく行なうことが出
来るとともに、衝撃によって化粧皿が偶発的に外れたり
する虞れがなく、また長期間の使用にも耐えられるコン
パクト容器を提供することにある。

《課題を解決するための手段》 上記した目的を達成するため、本考案に係るコンパクト
容器では、容器本体内に皿枠を摺動自在に収納し、皿枠
の側壁には可撓片を設けるとともに可撓片の下方には突
起を設け、一方容器本体内の底面には外方から内方へ曲
がった案内溝を設け、皿枠内化粧皿を収納して可撓片を
化粧皿の外側壁に近接させた状態にするとともに突起を
案内溝の外方部に係合させ、皿枠を該容器本体内にて水
平に摺動させると可撓片が案内溝に沿って内方へ移動し
て皿枠内に収納された化粧皿を固定するようにしてなる
のである。

《実施例》 以下に本考案の好適な実施例を添附図面を参照にして説
明する。

第１図〜第７図は本考案の第１実施例に係るコンパクト
容器を示す。このコンパクト容器は第１図及び第２図に
示されるように容器本体１０，蓋体２０，皿枠３０，化
粧皿４０とからなっている。

容器本体１０は平面略矩形をなし、後端中央部には凹所
１１が形成され、後方部両側面には蝶番ピン挿通孔１２
が穿設されている。また、容器本体１０の前端中央部に
は凹状切欠部１３が形成され、この凹状切欠部１３の奥
面上方部には第１の係合突片１４が一体的に突出形成さ
れている。さらに容器本体１０の内面には空所１５が設
けられ、この空所１５の後壁面には上方に開口する凹部
１６が設けられ、両側壁内面の上方部には段部が形成さ
れている。この両側壁内面の中央より後壁面寄りには段
部上面に開口した係合凹部１７−１７が形成され、この
係合凹部１７は後方部が傾斜面になっている。また、容
器本体１０内の両側底面には案内溝１８−１８が形成さ
れている。

この案内溝１８は、この係合凹部１７の前端部から係合
凹部１７の後方の側壁面の途中にかけて位置し、その側
壁面下部から一定の間隔をもって内方へ曲折している溝
である。さらにこの係合凹部１７の前方及び後方の側壁
下部には横長なガイド溝１９−１９が設けられている。

蓋体２０は、内面に鏡２１が接着され、後方中央部にブ
ロック体２２が垂下形成され、蝶番ピンによって容器本
体１０を開閉自在に蝶着されるようになっている。

また、蓋体２０の前端中央部には爪片２３が垂設され、
爪片２３の内面には第２の係合突片２４が設けられ、蓋
体２０を閉じると、その爪片２３が容器本体１０の凹状
切欠部１３内に入り、第１の係合突片１４と第２の係合
突片２４が係合して蓋体２０が閉止位置を占めるように
なっている。

皿枠３０は前後方向の長さが容器本体１０の内壁の前後
方向の長さに比べて短く、左右方向の長さが容器本体１
０の内壁のそれと略同一で収納可能な略正方形をなし、
内部に化粧皿４０を収納する開口部３１が設けられ、両
側壁上面は庇状になって外方に若干突出している。この
皿枠３０の両側壁中央部には底部から上方に向かいさら
に後方に延びる逆Ｌ字状のスリットが設けられ、それに
より可撓片３２−３２が形成されている。この可撓片３
２は他の側壁部分よりも肉薄に形成されて、後方部を支
点として前端部側が内方へ屈曲自在な可撓性を有し、無
負荷の状態では第５図及び第７図に示すように前端部が
若干外方へ傾斜している。この可撓片３２の上端部内面
側にはフック状突起３３が一体的に突設されている。ま
たこの可撓片３２の上端部外面側には係合凸部３４が一
体形成されており、前記容器本体１０の係合凹部１７と
対応するようになっている。さらにこの可撓片３２の底
面側には突起３５が設けられ、前記容器本体１０の案内
溝１８に嵌合可能になっている。

また、皿枠３０の外側壁の両側下方部には前記容器本体
１０のガイド溝１９と対応して凸片３６−３６が形成さ
れている。なお、前記ガイド溝１９の長さは、この凸片
より約２倍程度長くなっている。

化粧皿４０は皿枠３０の開口部３１に収納可能な外形を
しており、その両外側面には可撓片３２のフック状突起
３３と係合しうる溝４１が設けられている。

上記のように構成された皿枠３０の開口部３１に化粧皿
４０を収納し、さらに第４図及び第５図に示されるよう
に皿枠３０を容器本体１０の空所１５内に水平に押し込
んで、皿枠３０の外側壁の凸片３６−３６を容器本体１
０のガイド溝１９−１９の前方部に嵌合させるとともに
可撓片３２の下方の突起３５を容器本体１０の案内溝１
８の前方部に嵌合させ、かつ可撓片３２の係合凸部３４
を容器本体１０の係合凹部１７の前方内部に位置させ
る。この時、第７図に示すように、可撓片３２のフック
状突起３３は化粧皿４０の溝４１と分離している。次い
で第２図及び第３図に示すように皿枠３０を、その後端
面が空所１５の後壁面に当接するまで後方へ移動させる
と、皿枠３０の凸片３６−３６は容器本体１０のガイド
溝１９−１９に沿って、また皿枠３０の両側壁上面は容
器本体１０の段部上面に沿って摺動する。この時、可撓
片３２の下方の突起３５は容器本体１０の案内溝１８に
沿って移動し、かつ係合凸部３４は係合凹部１７の後方
傾斜面から出て容器本体１０の内側面に圧着するので、
第６図に示すように、可撓片３２は内方向に弾性変形し
てフック状突起３３が化粧皿４０の溝４１と嵌着するこ
とにより化粧皿４０は皿枠３０内に固定される。

一方、固定した化粧皿を外す場合は、第４図に示すよう
に容器本体１０の後壁面に形成された凹部１６に指を入
れて皿枠３０の後端面を前方へ押すと、第５図に示すよ
うに皿枠３０がガイド溝１９に沿って水平に移動し、可
撓片３２もその突起３５が容器本体１０の案内溝１８に
沿って移動することにより、その係合凸部３４が容器本
体１０の係合凹部１７の傾斜面に沿って前方へ移動して
係合凹部１７内へ完全に入るので、第７図に示すように
可撓片３２は外方へ弾性復帰し、化粧皿４０の溝４１と
可撓片３２のフック状突起３３との嵌合が外れて化粧皿
４０が上方へ離脱可能となる。

なお、本考案の皿枠３０の可撓片３２の構造は、上記し
た実施例のものに限らず、例えば第８図に示したように
可撓片３２の内面からフック状突起３３を除去してこの
内面を垂直な面として形成し、皿枠３０を容器本体１０
内に水平に収納し、皿枠３０を後方へ摺動させた時に可
撓片３２が案内溝１８に沿って移動し、可撓片３２の係
合凸部３４は傾斜面に沿って容器本体１０の側壁と圧着
し、可撓片３２が内方へ撓んでその垂直な面が化粧皿４
０の外側面に圧着し、この間における摩擦抵抗によって
化粧皿４０を保持するようにしてもよい。

なお、この場合、好ましくは可撓片３２の内面またはこ
れが圧着する化粧皿４０の外面の少なくとも何れか一方
の面を粗面に形成することである。

または、第９図に示すように第８図の実施例の変形例と
して可撓片３２の内面と化粧皿４０の外側面を上方が内
側へ向いた傾斜面として形成し、皿枠３０を容器本体１
０内に水平に収納し、皿枠３０を後方へ摺動させた時に
可撓片３２の内面が化粧皿４０の外側面に密着して化粧
皿４０が上方へ離脱できないようにすることができる。

また、上記実施例では可撓片３２の外面に係合凸部３４
が形成されているが、この係合凸部３４及びこれに対応
する係合凹部１７を省略しても、可撓片３２は案内溝１
８によって弾性変形するので、化粧皿を固定することが
できる。

《考案の効果》 以上のように、本考案に係るコンパクト容器によれば、
化粧皿を容器本体内に収納する際に接着媒体を用いるこ
となく、皿枠を摺動させるだけで簡単に脱着できるた
め、接着力の低下の虞れがなく、化粧皿を何回でも取替
えることができる。また、従来のようなアンダーカット
による嵌合を用いることもないので、嵌合を外す際の衝
撃で化粧料が割れる虞れもなくなる。さらにこの考案に
よれば化粧皿を容器本体内に完全に固定できるため、携
帯時の軽い震動で化粧皿が容器本体から離脱する虞れも
なくなるのである。

また、このコンパクト容器では、可撓片の弾性変形が案
内溝内の誘導によるため、長期間使用を繰り返しても、
弾性低下による可撓片の戻り不足も解消され、確実に化
粧皿を開放することができるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るコンパクト容器の各部分を分解し
た状態を示す斜視図、第２図は容器本体内に皿枠及び化
粧皿を収納固定した状態を示す断面図、第３図は第２図
における状態を蓋体を外して示す平面図、第４図は皿枠
を摺動させて化粧皿を離脱させる状態を示す断面図、第
５図は第４図における状態を示す平面図、第６図は化粧
皿を固定した状態を示す部分拡大断面図、第７図は化粧
皿を開放した状態を示す部分拡大断面図、第８図及び第
９図はそれぞれ化粧皿を固定するための他の実施例を示
す要部拡大断面図である。 １０……容器本体 １７……係合凹部 １８……案内溝 ２０……蓋体 ３０……皿枠 ３２……可撓片 ３３……フック状突起 ３４……係合凸部 ３５……突起 ４０……化粧皿 ４１……溝

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】容器本体と蓋体とをそれぞれの後端部で開
   閉自在に蝶着し、該容器本体内に化粧料を充填した化粧
   皿を着脱自在に収納固定するようにしてなるコンパクト
   容器において、該容器本体内に皿枠を摺動自在に収納
   し、該皿枠の側壁には可撓片を設けるとともに該可撓片
   の下方には突起を設け、一方該容器本体内の底面には外
   方から内方へ曲がった案内溝を設け、該皿枠内に該化粧
   皿を収納して該可撓片を該化粧皿の外側壁に近接させた
   状態にするとともに該突起を該案内溝の外方部に係合さ
   せ、該皿枠を該容器本体内にて水平に摺動させると該可
   撓片が該案内溝に沿って内方へ移動して該皿枠内に収納
   された該化粧皿を固定するようにしてなることを特徴と
   するコンパクト容器。
2. 【請求項２】前記可撓片の内面に突起を設け、一方前記
   化粧皿の側壁に溝を設け、該可撓片が前記案内溝に沿っ
   て内方へ移動せられた時に、該突起が該溝と嵌着するよ
   うにしてなることを特徴とする請求項１記載のコンパク
   ト容器。