JPH053148Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はコンパクト容器とりわけ中皿交換式の
のコンパクト容器に関するものである。

〔従来の技術とその問題点〕

化粧用コンパクトにおいて、化粧料を充填した
中皿またはドラムを固定した中皿を磁力や接着剤
を利用して本体に着脱可能に内装したタイプのも
のが知られているが、磁力を利用するものは磁石
自体が高価である上に取り付けも面倒であるた
め、コストが高くなり、しかも、ハンドバツグ等
に収納したときに磁気カード類に悪影響を及ぼし
やすいという問題があつた。また、接着剤を用い
たものは、化粧料の微粉の付着により接着力が低
下したり、着脱のためにピン等の特別な手段を要
するため手間がかかり、本体や中皿の損傷等を生
じさせやすいという問題があつた。

そこで実開昭62−123715号公報には、中皿を本
体の凹部に嵌めることで交換可能にしたパレツト
形コンパクト容器が提案されている。しかし、こ
の先行技術では、蓋体に可撓ヒンジを形成し、そ
の可撓ヒンジの自由端側にこれと直角関係で本体
の後端面に当接して凹部を閉じる端板を連設し、
端板に前方に突出するくさび状の結合片を設け、
これを本体の凹部の底に設けた係合孔に貫挿する
ことで本体と蓋体を分離自在に連結し、凹部のガ
イド溝の入口に切欠きを形成し、それに蓋体の端
板に設けたＬ状の係合片を係合させることで端板
により中皿の保持を行つていた。

このため、中皿を交換するときにはいちいち蓋
体と本体とを分離しなければならず、面倒であつ
た。また、本体の底面に係合孔が形成され、そこ
に結合片の端面がはまつていることが目視されて
しまうため体裁が悪いとともに、結合片が不用意
に押圧されると蓋体の連結が解かれ、端板による
中皿の固定が解除されてしまうという不安があつ
た。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は前記のような問題点を解消するために
考案されたもので、その目的とするところは、き
わめて簡単に中皿を交換することができ、しかも
蓋体閉じ状態で他物との接触等によつて不用意に
中皿が外れることなく、中皿の確実な固定状態を
維持することができ、体裁も良好なこの種の中皿
交換型コンパクト容器を提供することにある。

上記目的を達成するため本考案は、平面中央部
に前端が止壁により閉じられ後端がヒンジ側に常
時開放する中皿挿脱口を有する凹部を形成し、前
記中皿挿脱口の両側にこれよりも後方に突出する
ヒンジ用突部を有する本体と、前記ヒンジ用突部
と組をなしかつ中皿挿脱口にまで達しない幅のヒ
ンジ用突部によつて本体に枢支された蓋体と、前
記凹部に摺動可能にはめられる偏平板状の中皿と
を備え、前記本体の凹部には幅方向両側に一対の
スライドガイド部を設ける一方、中皿挿脱口に近
い部位には係止部を対設し、中皿の後端部には挿
脱用の操作部を形成するとともに、後端部の両側
にはスプリング性を有する脚状側壁部を形成し、
脚状側壁部に前記係止部と係脱可能な係合部を形
成したものである。

〔作用〕

本体と蓋体を開けば、凹部の一端がヒンジ側端
に貫通されているため、その貫通部分から中皿を
凹部に挿入すれば、中皿はスライドガイドにより
揺動を規制されながらスムーズに挿入され、係合
部が係止部にパチンと係合することによりしつか
りと固定される。中皿を別の中皿と交換するとき
には、前記と逆の操作を行えばよい。

中皿の挿脱がヒンジ側で行われ、蓋を閉じた状
態では蓋体のヒンジ部の存在により中皿を引き出
すことは不可能である。このため、厚さ方向、左
右方向に押圧力がかかつたり、擦り力が作用して
も不用意に中皿が外れる心配がない。また、中皿
の固定が中皿両側壁と凹部側壁で行われるため、
中皿の厚さを可能な限り薄くすることができ、全
体を薄型のものとすることができる。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明す
る。

第１図ないし第６図は本考案の一実施例を示し
ており、第１図ないし第４図において、１は本
体、２は蓋体、３は中皿であり、いずれも合成樹
脂で作られている。

本体１は、平面中央部に所要深さの凹部４が設
けられており、この凹部は前端が止壁５により閉
じられる一方、後端はヒンジ側端を貫き外方に開
放され、中皿挿脱口６を形成している。そしてこ
の中皿挿脱口６の両側に平行なヒンジ用凸部７，
７が突設されている。

また、前記凹部４の上部には内方に張り出す水
平突片などにより一対のスライドガイド部９，９
が設けられており、さらに、前記中皿挿脱口６に
近い凹部左右側壁には中皿３の通過を許す突出寸
法の係止部１０，１０が対設されている。この係
止部１０，１０は実施例では突出端が曲面をなし
たリブ状に作られている。

前記凹部４の側方には仕切壁１６，１６を介し
て筆やペンシル、口紅等の化粧用具の収容部１
７，１７が凹設されると共に、止壁５のとなりに
は調合部１８が凹設され、それより前方には蓋体
２の掛け止め部１９が形成されている。そして、
収容部１７，１７の内方寄りの壁には中皿挿脱時
に本体１を固定するのに適した指掛け部８，８が
凹設されている。

蓋体２は、一端に前記掛け止め部１９に対する
掛け合わせ部２０が形成され、これと反対端側に
は本体１のヒンジ用凸部７，７と組をなすヒンジ
用凸部２１，２１が形成されており、このヒンジ
用凸部２１，２１は前記中皿挿脱口６に到らぬ長
さに作られ、ヒンジ用凸部２１，２１間は空所２
２となつている。なお、本体１と蓋体２のヒンジ
用凸部７，７，２１，２１は本体のそれが中心寄
りに形成されていてもよいのは勿論である。

中皿３は偏平板状に作られ、前記本体１の凹部
４に摺動可能な平面寸法に構成されている。この
中皿３の長手方向すなわち摺動方向の端部には、
窓穴状の操作部２３が形成されるとともに、両側
壁に近い部位にはＵ字状ないしコ字状をなした一
対の切欠き２５，２５が形成され、これによりス
プリング性を持つた脚状側壁部２６，２６が形成
されている。そしてこの脚状側壁部２６，２６の
両側面には前記本体１の係止部１０，１０に摺接
する係合部２４，２４が突設されている。図示す
るものでは、係合部２４，２４はリブ状をなして
いる。

中皿３は化粧料Ａの充填部を有しており、この
充填部は底を有していてもよいが、薄肉化の面か
ら、底のない枠状が好ましい。

第７図は本考案の別の実施例を示すもので、中
皿３を前記構造を備えた２つの薄部体３ａ，３ｂ
で構成し、各薄部体３ａ，３ｂを積み重ねた状態
で本体凹部４に挿脱させ、係止部１０と係合部２
４により固定するようにしている。

なお、図示するものは本考案の一例であり、他
に種々の態様を採用しうるのは勿論である。すな
わち、中皿３を複列としてもよく、この場合には
凹部４中にスライドガイド付きの仕切壁を形成す
ればよい。また、スライドガイド部９，９を凹部
深さ方向の中間に設け、中皿の両側に同レベルで
溝を形成してもよい。

その他図面において、３１は枢ピンである。

〔実施例の作用〕

中皿３を取付けるには、第１図のように蓋体２
を開放し、第４図のように、ヒンジ用凸部２１，
２１間の空所２２および中皿挿脱口を介して凹部
４に中皿３を挿入し、操作部２３を摘んで押し込
めばよい。これにより中皿３は係止部１０，１０
により幅方向両側を、スライドガイド部９，９に
より上面側をそれぞれガイドされながら先端が止
壁５に当接するまでスライドする。

この止壁５に当接する寸前に中皿３の係合部２
４，２４は本体１の係止部１０，１０に接触し、
係合部２４，２４はスプリング性のある脚状側壁
部２６，２６に形成されているため、この脚状側
壁部２６，２６の幅方向内方への弾性変形により
係合部２４，２４は係止部１０，１０を乗り越
え、中皿先端が止壁５に当接すると同時に脚状側
壁部２６，２６が復元するため、係止部１０，１
０により中皿後端が係止され、しつかりと固定さ
れる。あとは蓋体２を閉じればよく、これでコン
パクト容器となる。係合部２４，２４が弾性変形
可能な脚状側壁部２６，２６に形成されているた
め、係止部１０，１０の摩耗が生じにくく、頻繁
に中皿交換を行つても固定効果が低下しない。

コンパクト容器はハンドバツグ等に収容されて
持ち運びされるため、左右方向、前後方向、厚さ
方向の各方向から押圧を受けたり、他物に擦られ
る。本考案では中皿３がヒンジ側にスライドされ
ることで挿脱されるようになつており、挿脱口が
ヒンジ用凸部７，７，２１，２１の奥に隠されて
いるため押圧やずれに対して安全で、手指を差し
込むこともできないため幼児等のいたずらに対し
ても有効であり、不用意に中皿が外れる心配がな
い。また、挿脱部分がヒンジ側にあるため、本体
の両側に中皿スライド機構の切目や段部が全く現
われず、体裁も優れている。

そして、中皿３を交換する場合には、蓋体２を
開き、操作部２３をを摘んで引き出せば係合部２
４，２４が本体１の係止部１０，１０と外れるた
め簡単に中皿３の取出し、交換を行える。

なお、第７図のような構成としたときには、２
つの薄部体３ａ，３ｂを格別に挿脱することがで
きるため、上下を入れ替えて組合せ再びスライド
させることで２種の化粧料を自由に使い分けする
ことができる。

〔考案の効果〕

以上説明した本考案によれば次のようなすぐれ
た効果が得られる。

(1) 中皿３を交換がきわめて簡単に行うことがで
きる。

すなわち、蓋体２を閉じた状態では中皿挿脱
口６はヒンジよりも内方にあるため中皿３は引
き出せないが、蓋体２をいつぱいに開放させれ
ば、中皿３は引き出し得る状態になり、操作部
２３を指でつまみ、中皿３を後方に引つ張れ
ば、スプリング性を有する脚状側壁部２６，２
６が幅方向内方に変位するため係合部２４，２
４が凹部４の係止部１０，１０から外れて中皿
３は固定が解かれ、中皿３を後方に引き抜けば
取り出すことができる。また、新しい中皿３を
入れときも中皿３はスライドガイド部９，９に
より揺動を規制されながら前進し、脚状側壁部
２６，２６の弾性変形で係合部２４，２４が幅
方向内方に変位して係止部１０，１０を乗り越
える瞬間、脚状側壁部２６，２６が復元するた
め、中皿３はしつかりと固定される。

(2) 体裁がよい上に、中皿３の固定維持を確実に
行うことができる。

すなわち、前記のように係合部２４，２４が
スプリング性を有する脚状側壁部２６，２６に
設けられていて凹部側の係止部１０，１０とパ
チンと係合されるため、中皿３はしつかりと固
定され、しかも蓋体２を閉じた状態では挿脱口
６がヒンジ部より内方にあるため中皿３を引き
出すことは不可能であり、本体１や蓋体２の厚
さ方向、左右方向に中皿３の外れを誘引する突
起等がないため、押圧力がかかつたり、擦り力
が作用しても不用意に中皿が外れる心配がな
く、同時に体裁も良好なものとすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるコンパクト容器の一実施
例を示す斜視図、第２図は同じくその分解斜視
図、第３閉じ状態の断面図、第４図は第１図−
線に沿う断面図、第５図は本考案における中皿
の平面図、第６図は同じくその側面図、第７図は
本考案の他の実施例を示す部分的断面図である。 １……本体、２……蓋体、３……中皿、４……
凹部、６……中皿挿脱口、７，７……ヒンジ用突
部、９，９……スライドガイド部、１０，１０…
…係止部、２１，２１……ヒンジ用突部、２４，
２４……係合部、２６，２６……脚状側壁部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 平面中央部に前端が止壁５により閉じられ後端
   がヒンジ側に常時開放する中皿挿脱口６を有する
   凹部４を形成し、前記中皿挿脱口６の両側にこれ
   よりも後方に突出するヒンジ用突部７，７を有す
   る本体１と、前記ヒンジ用突部７，７と組をなし
   かつ中皿挿脱口６にまで達しない幅のヒンジ用突
   部２１，２１によつて本体１に枢支された蓋体２
   と、前記凹部４に摺動可能にはめられる偏平板状
   の中皿３とを備え、前記本体１の凹部４には幅方
   向両側に一対のスライドガイド部９，９を設ける
   一方、中皿挿脱口６に近い部位には係止部１０，
   １０を対設し、中皿３の後端部には挿脱用の操作
   部２３を形成するとともに、後端部の両側にはス
   プリング性を有する脚状側壁部２６，２６を形成
   し、脚状側壁部２６，２６に前記係止部１０，１
   ０と係脱可能な係合部２４，２４を形成したこと
   を特徴とするコンパクト容器。