JPH0638941A - 磁場源測定装置 - Google Patents

磁場源測定装置

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JPH0638941A
JPH0638941A JP4198638A JP19863892A JPH0638941A JP H0638941 A JPH0638941 A JP H0638941A JP 4198638 A JP4198638 A JP 4198638A JP 19863892 A JP19863892 A JP 19863892A JP H0638941 A JPH0638941 A JP H0638941A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電流が3次元空間内で任意の方向を向いている
複数の磁場源の位置を測定可能であり、かつ深さ方向の
磁場源位置測定感度を向上させた磁場源測定装置を提供
することを目的とする。 【構成】本発明の磁場源測定装置は、磁場源によって発
生した磁束を検出する磁束検出部10と、磁束検出部1
0で検出された磁束を用いて磁場源の位置を測定する信
号処理部としての信号処理回路11とを備え、磁束検出
部10は、法線方向が互いに異なる少なくとも3つのセ
ンサ面にそれぞれ磁束検出計としてのスクイド13ある
いはスクイド13に誘導結合されたピックアップコイル
12を配置してあり、信号処理回路11は、スクイド1
3で検出された磁束を用いて所定の評価位置における磁
界強さを3次元的に評価し、評価された磁界強さを用い
て磁場源の位置を測定可能になっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁場源測定装置に係
り、特に、SQUID(Superconducting Quan-tum Inte
rference Device 、超伝導量子干渉計のこと。以下、ス
クイドと呼ぶ)を備えた磁場源測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁場源測定装置は、磁場源によって発生
した磁束を検出し、検出された磁束データを用いて磁場
源の位置を測定あるいは推定する装置であり、磁束を検
出するセンサーとしてスクイドを用いることにより、発
生磁束を高感度に検出することができる。
【0003】スクイドは、周知のように、超伝導体で形
成されたリングの中にジョセフソン接合を含んでおり、
磁束量子φ0 =2.07×10-15 Wbの10-4倍程度の磁束ま
で検出することが可能で、例えば脳の神経細胞を伝わる
パルス電流による微弱磁束を検出することができる。
【0004】したがって、スクイドを備えた磁場源測定
装置を用いることにより、光、音等の刺激を受けたとき
の脳の神経活動を研究することができる。
【0005】このように、スクイドを備えた磁場源測定
装置は、医療、生理学における基礎研究分野等で利用さ
れている他、資源探査の分野でも利用されている。
【0006】従来の磁場源測定装置は、被検体内の磁場
源によって発生した磁束を検出する磁束検出部と、磁束
検出部で検出された磁束を用いて磁場源の位置を測定す
る信号処理部とを備える。
【0007】磁束検出部は、被検体内の磁場源によって
発生した磁束を磁気的に誘導するピックアップコイル
と、ピックアップコイルで誘導された磁束を検出するス
クイドとを備える。
【0008】ここで、ピックアップコイルは、被検体の
回りに複数例えば122チャンネル配置してあり、これ
に応じて、スクイド等も同数配置してある。
【0009】信号処理部は、ピックアップコイルが配置
された各位置での磁束データを受取り、これらの磁束デ
ータを用いて被検体内の磁場源の位置を推定することが
できるようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の磁場源測定装置
を用いて磁場源の位置を推定する方法としては、複数の
ピックアップコイルで得られた磁束データを用いて磁場
分布図を描き、この磁場分布図から磁場源の位置を推定
する方法がある。
【0011】図10は、磁束データを用いて描いた磁場
分布図を示したものである。
【0012】磁場源の位置は、磁場分布のピーク位置を
結ぶ直線(距離L)の中点であってその中点からL/2
1/2 の深さと推定することができる。
【0013】また、磁場源の位置をあらかじめ仮定し、
仮定された位置の磁場源による磁場分布と計測された磁
場分布との最小二乗誤差が最小となるように、磁場源の
位置を決定する方法がある。
【0014】しかしながら、例えば頭部の磁場源を測定
する場合、磁場源である神経パルス電流は、異なる部分
で同時に発生する場合があるにもかかわらず、上述の方
法では、複数の磁場源についての磁場源位置の推定がき
わめて困難である。
【0015】また、磁場分布図から磁場源の位置を推定
するため、ピックアップコイルの位置、大きさによって
は、ローカルミニマム(Local Minimum) と呼ばれる誤差
が生じる場合がある。
【0016】また、従来の磁場源測定装置では、軸線方
向(磁束を検出可能な方向)を揃えて複数のピックアッ
プコイルを配置していたため、これらの方向に電流方向
が一致する磁場源の位置を測定することは不可能であっ
た。
【0017】また、従来の磁場源測定装置では、図11
に示すように、ピックアップコイル2の軸線方向を被検
体1の深さ方向に向けて配置していたため、磁場源が深
いほど、発生する磁束の方向は、ピックアップコイル2
の磁束検出感度が低い方向、すなわち軸線方向に直交す
る方向となる。
【0018】したがって、従来の磁場源測定装置では測
定可能な磁場源の深さに限界があり、例えば頭部のう
ち、大脳皮質等の浅い部分を測定することはできても、
視床、大脳基底核等の深い部分を測定することは困難で
あった。
【0019】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、電流が3次元空間内で任意の方向を向いてい
る複数の磁場源の位置を測定可能であり、かつ深さ方向
の磁場源位置測定感度を向上させた磁場源測定装置を提
供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の磁場源測定装置は請求項1に記載したよう
に、磁場源によって発生した磁束を検出する磁束検出部
と、前記磁束検出部で検出された磁束を用いて前記磁場
源の位置を測定する信号処理部とを備えた磁場源測定装
置において、前記磁束検出部は、法線方向が互いに異な
る少なくとも3つのセンサ面にそれぞれ磁束検出計ある
いは磁束検出計に誘導結合されたピックアップコイルを
配置してあり、前記信号処理部は、前記磁束検出計で検
出された磁束を用いて所定の評価位置における磁界強さ
を3次元的に評価し、前記評価された磁界強さを用いて
前記磁場源の位置を測定可能になっているものである。
【0021】また、本発明の磁場源測定装置は、請求項
4に記載したように、磁場源によって発生した磁束を検
出する磁束検出部と、前記磁束検出部で検出された磁束
を用いて前記磁場源の位置を測定する信号処理部とを備
えた磁場源測定装置において、前記磁束検出部は、少な
くとも2種類以上の大きさの径を有する磁束検出計ある
いは磁束検出計に誘導結合されたピックアップコイルを
備え、前記信号処理部は、少なくとも2以上の所定の領
域内に存在する磁場源からそれぞれ発生した磁束を、前
記磁束検出計で検出された磁束を用いて前記領域ごとに
求め、前記領域ごとに求められた磁束を用いて前記磁場
源の位置を前記領域ごとに測定可能になっているもので
ある。
【0022】
【作用】本発明の磁場源測定装置によれば、磁場源によ
って発生した磁束を、法線方向が互いに異なる少なくと
も3つのセンサ面にそれぞれ配置された磁束検出用コイ
ルで検出し、磁束検出用コイルで検出された磁束を用い
て、所定の磁束評価位置における磁束を3次元的に評価
し、評価された磁束を用いて磁場源の位置を測定する。
【0023】また、本発明の磁場源測定装置によれば、
磁場源によって発生した磁束を、少なくとも2種類以上
の大きさの径を有する磁束検出用コイルで検出し、各磁
束検出用コイルによって検出された磁束を用いて、少な
くとも2以上の所定の領域内に存在する磁場源によって
発生した磁束を前記領域ごとに独立に評価し、前記領域
ごとに評価された磁束を用いて前記磁場源の位置を前記
領域ごとに測定する。
【0024】
【実施例】以下、本発明の磁場源測定装置の第1の実施
例について、添付図面を参照して説明する。
【0025】図1(a) は、本実施例の磁場源測定装置を
ブロック図で示したものである。
【0026】同図に示すように、本実施例の磁場源測定
装置は、磁場源によって発生した磁束を検出する磁束検
出部10と、磁束検出部10で検出された磁束を用いて
磁場源の位置を測定する信号処理部としての信号処理回
路11とを備える。
【0027】磁束検出部10は、被検体内の磁場源によ
って発生した磁束を磁気的に誘導するピックアップコイ
ル12と、ピックアップコイル12で誘導された磁束を
検出する磁束検出計としてのスクイド13とを備える。
【0028】また、本実施例の磁場源測定装置は、スク
イド13を駆動するとともにスクイド13で検出された
磁束を所定の信号として信号処理回路11に出力する駆
動回路14と、スクイド13に変調信号を送るとともに
駆動回路14に参照信号を送る発振器16とを備える。
【0029】ここで、ピックアップコイル12は、被検
体の回りに複数配置してあり、これに応じて、スクイド
13、駆動回路14等も同数設けてある。
【0030】ピックアップコイル12は、超伝導線で形
成したマグネットメーター、グラディオメーター、薄膜
コイル等で構成するのがよい。
【0031】ここで、マグネットメーターは、コイル内
を貫通する磁束をスクイド13に誘導可能に構成してあ
り、グラディオメーターは、遠方にある磁場源からの磁
束を相殺して近傍磁場源からの磁束だけをスクイド13
に誘導可能にしてある。
【0032】そのため、ピックアップコイル12として
マグネットメーターを使用する場合には、磁気シールド
によって環境磁場を遮蔽することが好ましい。
【0033】スクイド13は、超伝導体で形成されたリ
ングの中にジョセフソン接合を含んだものであり、例え
ば、図1(b) に示すように、超伝導リング21に2個の
ジョセフソン接合22a,22bを備え、駆動回路14
に内蔵された直流電流源(図示せず)からの直流バイア
ス電流で駆動されるようになっている。
【0034】上述の変調信号は、図示しない変調帰還コ
イルを介して超伝導リング21に加えられる。
【0035】ピックアップコイル12およびスクイド1
3は、超伝導状態を維持すべく、クライオスタットと呼
ばれる容器に液体ヘリウムを充填してこれに浸してあ
り、4.2°Kの温度に維持されている。
【0036】駆動回路14は、いわゆるFLL(Flux Lo
cked Loop)と呼ばれる公知の回路であり、特開平3−1
52488号公報等に開示されたものと同等のものを用
いることができる。
【0037】また、本実施例の磁場源測定装置は、駆動
回路14からの出力信号を、図示しない増幅回路、A/
Dコンバーターおよびフィルター等を介して信号処理回
路11に送るようになっている。
【0038】図2は、ピックアップコイル12を平面図
および断面図で示したものである。
【0039】本実施例の磁場源測定装置は、所定の角度
をなして向かい合ったセンサ面31a,31bにピック
アップコイル12を配置するとともに、センサ面32
a,32bに同じくピックアップコイル12を配置して
センサブロック33aとし、さらに、センサブロック3
3b,33c,33dを同様に構成してセンサ部30を
構成してある。
【0040】すなわち、センサブロック33a,33
b,33c,33dは、それぞれ、4つのピックアップ
コイル12を2方向で向かい合わせに配置してある。
【0041】ピックアップコイル12は、スパッタリン
グ、蒸着等の方法により、例えばプリント基板上にNbTi
等のコイルを形成するのがよい。
【0042】信号処理回路11は、各ピックアップコイ
ル12に誘導結合されたスクイド13によって検出され
た磁束を用いて、評価位置41a,41b,41c,41d,41e,41f,41
g,41h,41i における磁界強さを3次元的に評価し、評価
された磁界強さを用いて磁場源の位置を測定可能になっ
ている。
【0043】すなわち、センサブロック33aの4つの
ピックアップコイル12にそれぞれ誘導結合されたスク
イド13を用いて、センサブロック33aの中心に位置
する評価位置41aでの磁界強さを評価するようになっ
ており、同様にして、評価位置41c,41i,41g
での磁界強さを、センサブロック33b,33c,33
dのピックアップコイル12に誘導結合されたスクイド
13を用いて評価するようになっている。
【0044】また、評価位置41bでの磁界強さは、そ
の位置を取り囲むように配置されたセンサブロック33
aの2つのピックアップコイルおよびセンサブロック3
3bの2つのピックアップコイルに誘導結合されたスク
イド13で検出された磁束を用いて評価するようになっ
ている。
【0045】すなわち、信号処理回路11は、スクイド
13で検出された磁束を、複数の評価位置での磁界強さ
評価に用いるように構成してある。
【0046】また、信号処理回路11は、所定の3次元
領域内に仮想磁場源位置を所定数設定し、各仮想磁場源
位置における電流ダイポールの各方向成分と電流ダイポ
ールの各方向成分によって評価位置で生じる磁界強さの
各方向成分との関係を求め、信号処理部11で評価され
た磁界強さと上述の関係とを用いて電流ダイポールの各
方向成分を算定するようになっている。
【0047】次に、本実施例の磁場源測定装置の作用を
説明する。
【0048】まず、所望の磁場源測定部位が例えば頭部
である場合、センサ部30を、図2のz軸が頭部中心か
ら頭部表面に向かう半径方向に一致するように配置し、
センサ部30をスクイド13とともに超伝導状態に維持
可能な温度に冷却し、磁場源からの磁束を検出可能な状
態にする(以下、頭部表面に沿ったx−y平面を測定面
とよぶ)。
【0049】次いで、各ピックアップコイル12が配置
された位置での磁束をスクイド13に誘導し、誘導され
た磁束をスクイド13で検出し、信号処理回路11に出
力する。
【0050】次いで、スクイド13で検出された磁束を
ピックアップコイル12の面積で除して磁束密度を求
め、これを磁界強さに換算する。
【0051】図3は、このようにして求められたセンサ
面31aおよび31bでの磁界強さを用いて、評価位置
41aにおける磁界強さを3次元的に評価する方法を示
したものである。
【0052】センサブロック33aの磁界の強さH
0 は、一般的には同図に示すように、センサ面31a,
31bに設けられたピックアップコイル12の法線方向
とそれぞれθ1 、θ2 の角度をなし、ピックアップコイ
ル12で得ることができる磁界の強さは、それぞれ
1 、H2 となる。
【0053】ここで、センサ面31a,31bが水平面
となす角度をそれぞれα、βとすれば、磁界の強さH0
および角度θ1 、θ2 、すなわち磁界の強さH0 のx方
向成分Hx 、z方向成分Hz を、α、β、H1 、H2
表すことができる。
【0054】α、βはセンサ面の配置角度であり、
1 、H2 は、信号処理回路11で算定された磁界強さ
であるので、評価位置41aでの磁界強さHx 、Hz
求めることができる。
【0055】同様に、センサ面32a,32bに配置さ
れたピックアップコイル12で得られた磁束を用いて、
同じ位置における磁界の強さHy 、Hz を求め、評価位
置41aでの磁界強さの各方向成分Hx 、Hy 、Hz
求めることができる。
【0056】同様に、他の評価位置での磁界の強さの各
方向成分Hx 、Hy 、Hz を求めることができる。
【0057】次に、磁場源すなわち電流ダイポールの大
きさと各評価位置での磁界の強さとの関係を、電流ダイ
ポールの位置を仮定して求める。
【0058】まず、所定の3次元領域(例えば大脳皮
質)内に存在するn個の電流ダイポールの位置を仮定す
る。
【0059】一方、n個の電流ダイポールによって生じ
る磁界の強さを合計m個の評価位置にて評価するものと
する。
【0060】本実施例では、評価位置41a,41b・
・・がこの評価位置となるため、m=9となる。
【0061】なお、ピックアップコイルの配置間隔には
限界があるので、電流ダイポールの数に対応したピック
アップコイルを設けることが困難である場合には、例え
ば補間を行うことによって磁場強さの評価位置を増やす
のがよい。
【0062】次に、位置Pi に存在する電流ダイポール
の各成分Ix 、Iy 、Iz が、評価位置Qk に生ぜしめ
る磁界の強さHx 、Hy 、Hz を求める。
【0063】図4は、Pi における電流ダイポールのI
y 成分、Iz 成分が評価位置Qk に生ぜしめる磁界の強
さHx を求める方法を示したものである。
【0064】ここで、Ix は、Hx に寄与しないため、
省略してある。
【0065】Pi における電流ダイポールのIy 成分、
z 成分が評価位置Qk に生ぜしめる磁界の強さH
x は、ビオサバールの法則を用いて、
【数1】 ここで、 gxy=(1/4π r2 )( dy /r)cosθy 、 gxz
=(1/4π r2 )(dz /r)sinθz とおくと、
【数2】Hx = gxyy + gxzz (2) となる。
【0066】次に、すべての電流ダイポールおよび評価
位置にわたって、 gxy、 gxzを同様にして求め、それら
のマトリックス[Gxy]、[Gxz]を作成する。
【0067】かくして、n個の電流ダイポールのy方向
成分{Iy }、z方向成分{Iz }がm個の評価位置で
生ぜしめるx方向成分の磁界の強さ{Hx }は、
【数3】 同様にして、[Gxy]、[Gxz]、[Gyx]、
[Gyz]、[Gzx]、[Gzy]を作成し、次の関係式を
得る。
【0068】
【数4】
【数5】 次に、これら3つの関係式を用いて、{Ix }、
{Iy }、{Iz }を、[Gxy]、[Gxz]、
[Gyx]、[Gyz]、[Gzx]、[Gzy]、{Hx }、
{Hy }、{Hz }から求める関係式を作成する。すな
わち、
【数6】 ここで、
【数7】 {Iy }、{Iz }についても同様に求める。
【0069】次に、信号処理回路11で算定された{H
x }、{Hy }、{Hz }を式(6)に代入し、
{Ix }、{Iy }、{Iz }を得る。
【0070】このようにして得られた{Ix }、
{Iy }、{Iz }から、電流ダイポールの各方向成分
を知ることが可能となる。
【0071】{Ix }、{Iy }、{Iz }は、仮定さ
れた位置での電流ダイポールの電流値であるが、実際に
電流ダイポールが存在しない点では電流値はほぼ零とな
り、実際に電流ダイポールが存在する点でのみ所定の大
きさの電流値となるため、電流ダイポールの数を増やし
あるいはそれらの分布を調整することにより、実際に存
在する電流ダイポールを十分高い精度で測定することが
できる。
【0072】以上説明したように、本実施例の磁場源測
定装置は、複数のピックアップコイルを所定の角度をな
して配置したので、磁場源から発生する磁束を3次元的
に評価することができる。
【0073】したがって、従来の磁場源測定装置が測定
面において法線方向の磁束のみを捕らえ、主として測定
面に平行な電流ダイポールを対象としていたのに比べ、
本実施例の磁場源測定装置は、あらゆる方向の電流ダイ
ポールからの磁束を検出することができる。
【0074】また、本実施例の磁場源測定装置では、ス
クイドで検出された磁束を複数の評価位置での磁界強さ
評価に用いることができるように信号処理回路を構成し
たので、図2で明らかなように、ピックアップコイル数
をN×Nとすると(N−1)×(N−1)個の評価位置
において磁界強さを評価することが可能となり、従来よ
りも高密度に磁界強さを評価することができる。
【0075】なお、図2では4×4のピックアップコイ
ルを配置した例を示したが、ピックアップコイルの配置
数は、所望の磁束検出チャンネル数に応じて適宜定めれ
ばよい。
【0076】また、本実施例の磁場源測定装置は、電流
ダイポールの位置を仮定し、次いで、各電流ダイポール
の値と評価位置での磁界の強さとの関係式を求め、次い
で、信号処理回路で評価された3次元磁界強さをこの関
係式に代入することによって、仮定した位置での電流ダ
イポールの大きさを成分ごとに求めることができる。
【0077】したがって、電流ダイポールが複数存在す
る場合にも、それらの位置および方向を特定することが
可能となる。
【0078】また、本実施例の磁場源測定装置は、ピッ
クアップコイルを測定面に対して傾斜させて配置したの
で、従来と同じコイル径であっても、深さ方向の磁場源
位置測定感度を大幅に向上させることができる。
【0079】本実施例では、ketchen 型と呼ばれる駆動
回路を用いて本発明の磁場源測定装置を構成したが、こ
れに限定されるものではなく、変調帰還しないDrung
型、Relaxation Oscilated型、Digital 型等の駆動回路
を用いてもよい。
【0080】また、本実施例では、ピックアップコイル
で誘導された磁束をスクイドで検出するように磁束検出
部を構成したが、ピックアップコイルを省略し、磁場源
で発生した磁束をスクイドで直接検出するように磁束検
出部を構成してもよい。
【0081】この場合、スクイドを、上述のピックアッ
プコイルと同様に配置し、各スクイドによって検出され
た磁束を用いて所定の評価位置における磁界強さを3次
元的に評価し、前記評価された磁界強さを用いて前記磁
場源の位置を測定するように構成すればよい。
【0082】また、本実施例ではセンサ部30を平面に
形成したが、被検体の湾曲状態に応じて所定の曲面に形
成してもよい。
【0083】また、本実施例では、4.2°Kで超伝導
状態となるNbTi等でピックアップコイルおよびスクイド
を構成したが、これらに限定されるものではなく、液体
窒素温度あるいは常温で超伝導状態となる超伝導体で構
成してもよい。
【0084】常温超伝導体を用いる場合には、冷却容器
であるクライオスタットを省略することができる。
【0085】また、本実施例では、所定の3次元領域内
に仮想の磁場源位置を所定数設定し、各仮想磁場源位置
における電流ダイポールの各方向成分ベクトルと、前記
電流ダイポールの各方向成分により評価位置で生じる磁
界の強さの各方向成分ベクトルとを関係づけるマトリッ
クスを求め、前記マトリックスおよび評価位置で実際に
評価された磁界強さを用いて、前記各磁場源位置におけ
る電流ダイポールの各方向成分ベクトルを求めることに
より、前記3次元領域内の磁場源位置を測定することが
できるように信号処理回路を構成したが、各成分ごとに
検出された磁界強さを用いて従来のように磁力線分布を
描くことにより、磁場源位置を推定してもよい。
【0086】また、本実施例では、4つのセンサ面にそ
れぞれ4つのピックアップコイルを配置することにより
所定位置での磁束を評価可能なセンサブロックを構成し
たが、本発明の磁場源測定装置はこのような実施例に限
定されるものではなく、法線方向が互いに異なる少なく
とも3つのセンサ面にそれぞれピックアップコイルを配
置すればよい。
【0087】図5は、その一例であり、互いに直交する
3つのセンサ面51a,51b,51cにピックアップ
コイル52a,52b,52cをそれぞれ配置してセン
サブロック53を構成し、評価位置54aでの磁束を3
次元的に評価するようになっている。
【0088】また、センサブロック55、56、57も
同様に構成してあり、同図中破線は、隣接するセンサブ
ロック間で谷が形成されていることを示す。
【0089】かかる構成により、評価位置54b,54
c,54dでの磁束を、それぞれセンサブロック55、
56、57に属する3つのピックアップコイルで3次元
的に評価することができるとともに、隣接するセンサブ
ロックに属するピックアップコイルを用いて、評価位置
54e,54fでの磁束を3次元的に評価することがで
きる。
【0090】ピックアップコイル52a,52b,52
cを用いて評価位置54aでの磁束を評価するには、セ
ンサ面51a,51b,51cがそれぞれ測定面となす
角度α、β、γを用いて図3と同様に行うことができる
ので、ここでは詳細な評価方法の説明を省略する。
【0091】また、本実施例では、各センサ面に一つの
ピックアップコイルを配置したが、1つのセンサ面に複
数のピックアップコイルを配置してもよい。
【0092】図6は、センサ面の構成を図5と同様に
し、各センサ面に2つのピックアップコイルを配置した
ものである。
【0093】例えば、センサブロック53では、センサ
面51a,51b,51cにそれぞれ2つのピックアッ
プコイル58を配置してある。
【0094】このような構成により、一方のピックアッ
プコイルに故障等が生じた場合でも他方のピックアップ
コイルを用いることができるので、磁場源測定装置の信
頼性の向上を図ることができる。
【0095】次に、本発明の磁場源測定装置の第2の実
施例について説明する。
【0096】なお、上述の実施例と実質的に同一の部品
については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0097】第2の実施例の磁場源測定装置は、径の異
なるピックアップコイル61、62で誘導された磁束を
スクイド13で検出し、スクイド13からの出力信号を
用いて信号処理回路で磁場源位置を測定するようになっ
ている。
【0098】図7は、ピックアップコイル61、62を
それぞれ図2のように配置し、それらを重ねてセンサ部
63を構成したものである。
【0099】また、図8は、被検体の頭部71の表面に
センサ部63を4か所配置した様子を示したものであ
る。
【0100】ここで、頭部71は2つの領域に区分さ
れ、領域72は、頭部71のうち大脳皮質に相当する領
域であり、領域73は、視床、大脳基底核等に相当する
領域である。
【0101】また、ピックアップコイル61は、領域7
2のみならず、領域73の深さの磁場源で発生した磁束
をも検出可能なようにコイル径を定めてある。
【0102】一方、ピックアップコイル62は、領域7
2の深さの磁場源で発生した磁束だけを検出すれば足り
るようにコイル径を定めてある。
【0103】信号処理回路(図示せず)は、2つの領域
72、73内に存在する磁場源によって発生した磁束
を、ピックアップコイル61、62で得られた磁束を用
いて領域ごとに独立に評価し、領域ごとに評価された磁
束を用いて磁場源の位置を領域ごとに測定可能になって
いる。
【0104】次に、第2の実施例の磁場源測定装置を用
いて頭部71内に存在する磁場源位置を測定する手順を
説明する。
【0105】まず、領域72、73内に存在する所定数
の電流ダイポールの位置を仮定する。
【0106】次いで、第1の実施例と同様にして、各電
流ダイポールの各成分と評価位置における磁場強さとの
関係式を求める。
【0107】各評価位置での磁場強さを評価するにあた
っては、ピックアップコイル61で得られた磁束に領域
72のみならず領域73に存在する磁場源からの磁束も
含まれていることを考慮し、まず、第1の実施例と同
様、ピックアップコイル62で得られた磁束によって領
域72内の磁場源位置を測定し、次いで、測定された領
域72の磁場源によってピックアップコイル61で生じ
る磁束を算定し、次いで、この算定値を、ピックアップ
コイル61で実際に得られた磁束から差し引き、領域7
3に存在する磁場源からの磁束のみを取り出す。
【0108】次いで、この磁束を用いて、上述の実施例
と同様、領域73に存在する磁場源の位置を測定する。
【0109】このように、第2の実施例では、径の大き
さが異なるピックアップコイルを用いたので、被検体の
浅い領域については高い空間分解能で磁場源位置を測定
するとともに、深い領域についても所定の空間分解能で
磁場源位置を測定することができる。
【0110】第2の実施例では、被検体の測定領域を2
つに区分した例で説明したが、このような区分数に限定
されるものではなく、所定の測定領域を3以上の複数の
領域に区分し、各領域の磁場源から発生した磁束を順次
差し引くことによって求めていき、次いで、各領域の磁
場源の位置を独立に測定するような構成とすることがで
きる。
【0111】また、第2の実施例では、図2のように配
置したピックアップコイルを所定の距離をおいて上下に
重ねる構成としたが、図9のように、径の大きなピック
アップコイル81と径の小さなピックアップコイル82
を近接して配置してもよい。
【0112】また、第2の実施例では、ピックアップコ
イルを測定面に対して傾斜させて配置したが、これに限
定されるものではなく、径の異なるピックアップコイル
を、それらの軸線方向を測定面の法線方向に一致させて
配置し、次いで、複数の領域内に存在する磁場源によっ
て発生した磁束を、各ピックアップコイルで得られた磁
束を用いて領域ごとに独立に評価し、次いで、各領域ご
とに評価された磁束を用いて領域ごとの磁場分布図を描
き、この磁場分布図を利用して磁場源の位置を測定する
ように構成してもよい。
【0113】このような構成により、被検体の浅い領域
に存在する磁場源の位置は高い精度で、深い領域に存在
する磁場源の位置は所定の精度で測定することが可能と
なる。
【0114】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の磁場源測定
装置は、磁場源によって発生した磁束を検出する磁束検
出部と、前記磁束検出部で検出された磁束を用いて前記
磁場源の位置を測定する信号処理部とを備えた磁場源測
定装置において、前記磁束検出部は、法線方向が互いに
異なる少なくとも3つのセンサ面にそれぞれ磁束検出計
あるいは磁束検出計に誘導結合されたピックアップコイ
ルを配置してあり、前記信号処理部は、前記磁束検出計
で検出された磁束を用いて所定の評価位置における磁界
強さを3次元的に評価し、前記評価された磁界強さを用
いて前記磁場源の位置を測定可能になっているので、電
流が3次元空間内で任意の方向を向いている複数の磁場
源の位置を測定可能であり、かつ深さ方向の磁場源位置
測定感度を向上させることができる。
【0115】また、本発明の磁場源測定装置は、磁場源
によって発生した磁束を検出する磁束検出部と、前記磁
束検出部で検出された磁束を用いて前記磁場源の位置を
測定する信号処理部とを備えた磁場源測定装置におい
て、前記磁束検出部は、少なくとも2種類以上の大きさ
の径を有する磁束検出用コイルを備える一方、前記信号
処理部は、少なくとも2以上の所定の領域内に存在する
磁場源によって発生した磁束を、前記各磁束検出用コイ
ルで得られた磁束を用いて前記領域ごとに評価し、前記
領域ごとに評価された磁束を用いて前記磁場源の位置を
前記領域ごとに測定可能になっているので、電流が3次
元空間内で任意の方向を向いている複数の磁場源の位置
を測定可能であり、かつ深さ方向の磁場源位置測定感度
を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は本実施例の磁場源測定装置のブロック
図、(b) はスクイドの回路図。
【図2】(a) はピックアップコイルを配置したセンサ部
の平面図、(b) は(a) のA−A線に沿う断面図。
【図3】センサ面での磁束を用いて評価位置での磁束を
3次元的に評価する方法を示した図。
【図4】電流ダイポールの各電流成分と評価位置で生ず
る磁界強さとの関係を求める方法を示した図。
【図5】センサ部の変形例を示した図。
【図6】センサ部の変形例を示した図。
【図7】第2の実施例にかかる磁場源測定装置のセンサ
部の断面図。
【図8】第2の実施例の磁場源測定装置を用いて頭部内
の磁場源を測定する方法を示した図。
【図9】第2の実施例の磁場源測定装置に備えたセンサ
部の変形例を示す断面図。
【図10】従来の磁場源測定装置を用いて磁場源位置を
測定する方法を示した図。
【図11】深い領域に存在する磁場源と磁束検出感度と
の関係を示した図。
【符号の説明】
10 磁束検出部 11 信号処理回路(信号処理部) 12 ピックアップコイル 13 スクイド(磁束検出計) 14 駆動回路 16 発振器 30 センサ部 31 センサ面 32 センサ面 33 センサブロック 51 センサ面 52 ピックアップコイル 61 ピックアップコイル 62 ピックアップコイル 63 センサ部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁場源によって発生した磁束を検出する
    磁束検出部と、前記磁束検出部で検出された磁束を用い
    て前記磁場源の位置を測定する信号処理部とを備えた磁
    場源測定装置において、前記磁束検出部は、法線方向が
    互いに異なる少なくとも3つのセンサ面にそれぞれ磁束
    検出計あるいは磁束検出計に誘導結合されたピックアッ
    プコイルを配置してあり、前記信号処理部は、前記磁束
    検出計で検出された磁束を用いて所定の評価位置におけ
    る磁界強さを3次元的に評価し、前記評価された磁界強
    さを用いて前記磁場源の位置を測定可能になっているこ
    とを特徴とする磁場源測定装置。
  2. 【請求項2】 前記信号処理部は、前記磁束検出計で検
    出された磁束を、少なくとも2以上の評価位置での磁界
    強さ評価に用いるように構成した請求項1記載の磁場源
    測定装置。
  3. 【請求項3】 前記信号処理部は、所定の3次元領域内
    に仮想磁場源位置を所定数設定し、前記各仮想磁場源位
    置における電流ダイポールの各方向成分と前記電流ダイ
    ポールの各方向成分によって前記評価位置で生じる磁界
    強さの各方向成分との関係を求める一方、前記信号処理
    部で評価された磁界強さと前記関係とを用いて前記電流
    ダイポールの各方向成分を算定するようになっている請
    求項1記載の磁場源測定装置。
  4. 【請求項4】 磁場源によって発生した磁束を検出する
    磁束検出部と、前記磁束検出部で検出された磁束を用い
    て前記磁場源の位置を測定する信号処理部とを備えた磁
    場源測定装置において、前記磁束検出部は、少なくとも
    2種類以上の大きさの径を有する磁束検出計あるいは磁
    束検出計に誘導結合されたピックアップコイルを備え、
    前記信号処理部は、少なくとも2以上の所定の領域内に
    存在する磁場源からそれぞれ発生した磁束を、前記磁束
    検出計で検出された磁束を用いて前記領域ごとに求め、
    前記領域ごとに求められた磁束を用いて前記磁場源の位
    置を前記領域ごとに測定可能になっていることを特徴と
    する磁場源測定装置。
  5. 【請求項5】 前記磁束検出計あるいは前記ピックアッ
    プコイルは、法線方向が互いに異なる少なくとも3つの
    センサ面に同一径ごとに配置してあり、前記信号処理部
    は、前記磁束検出計で検出された磁束を用いて所定の評
    価位置における磁界強さを3次元的にかつ前記領域ごと
    に評価し、前記評価された磁界強さを用いて前記磁場源
    の位置を前記領域ごとに測定可能になっている請求項4
    記載の磁場源測定装置。
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