JPH063832A - 電子写真感光体基体の洗浄方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】電子写真感光体を水系洗浄液を用いて洗浄する
方法において、基体の洗浄及び、または乾燥の工程で基
体を５０ｒｂｍ以上で高速回転させる。 【効果】洗浄効率が改善され、画像欠陥のない良好な画
像を形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体製造方法
に関し、特には、電子写真感光体基体の洗浄方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】電子写真感光体は基体上に感光層を形成
して構成される。基体としては、鉄、銅、金、銀、アル
ミニウム、亜鉛、鉛、錫、チタン、ニッケル等の金属や
合金、あるいはこれら金属類の酸化物、カーボン、導電
性ポリマー成型品等が使用可能である。また、紙、プラ
スチック、セラミック等の非導電材料に導電性塗料、蒸
着等の導電処理を施して用いられる場合もある。形状
は、円筒状、円柱状などのドラム形状や、シート状、ベ
ルト状のものとがある。感光層は基体上に光導電材料を
蒸着、塗布等の方法で形成させ得られるが、いかなる感
光層形成方法を採ったとしても、電子写真特性、画像特
性、さらには経時安定性の見地からも、該基体は、感光
層形成時には清浄であることが求められる。

【０００３】従来これらの洗浄方法としては、フロン
系、ハロゲン系炭化水素類の有機溶剤が使われてきたが
環境問題に対する国際的な動きの中でこれらの溶剤が使
用できなくなる事は周知の事実である。変わって代替溶
剤、水を含む水系洗浄液を用いた洗浄が提案されている
が、中でも環境に対するローインパクト性において水系
洗浄液を用いた洗浄が注目されている。

【０００４】しかしながら水系洗浄液を用いた洗浄法
は、それだけでは他の方法に比べ洗浄力が落ちるため、
温度を上げたり、超音波と併用するなど使いこなしが検
討されているがこれによる弊害もまた発生する。即ち、
温度を上げる事によっては基体表面上に酸化皮膜、特に
ここでは不均一な酸化皮膜が問題となる。また、超音波
によって基体表面にはエロージョンと呼ばれる微細欠陥
が生じる為十分な洗浄効果を上げられなかった。

【０００５】

【発明が解決しようとしている課題】解決しようとする
課題は、以上のような不具合のない優れた水系洗浄液を
用いた洗浄法に関するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために電子写真感光体基体を水系洗浄液を用いて洗
浄する際の洗浄工程及び、または、乾燥工程において、
該基体を回転させることにより達成される。即ち、従
来、加温や超音波等の手段により洗浄、乾燥の効率を上
げていたが、前記のような、部分的酸化皮膜、エロージ
ョン等の不具合が発生していた。本発明では該基体を洗
浄時及び、または、乾燥時に回転、好ましくは５０ｒｐ
ｍ以上の高速回転させることにより洗浄、乾燥の効率を
上げることに特徴を有す。本発明において、基体を回転
させる際、その洗浄、乾燥の補助的手段として適度に加
温したり、超音波をかけることは効果的なことである。

【０００７】本発明を更に図に従って説明する。

【０００８】基体１は通常φ２０〜２４０ｍｍの金属シ
リンダーを用い２の治具にセットされる。治具にはモー
ター４が接続され洗浄、及び乾燥時にシリンダー径に応
じた回転数でシリンダーが回転するものとする。３は洗
浄槽であり槽のなかには水系洗浄液が充填されている。
分離槽８で油分及びスラッジが分離される。また、通常
の洗浄器と同様に循環ポンプ６、フィルター７、ヒー
タ、適度な超音波発信機等が具備されている。５は基体
昇降装置である。治具２が示される部位は洗浄後の基体
の乾燥が行われるが乾燥時に乾燥効率を上げる手段とし
て、送風装置、温風装置等が備えられても良い。

【０００９】水系洗浄液として代表的なものは、水に界
面活性剤を加えた液である。水に好ましく併用される界
面活性剤は、疎水基と親水基とからなる化合物であり、
２物質間（基板−油）の界面に集まりやすい性質をも
ち、その２物質間の離脱に効果がある。親水基の種類に
よりイオン型、非イオン型の２種類に大別される。イオ
ン型には脂肪族高級アルコール硫酸エステルナトリウム
塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドまたは
アルキルジメチルペンタインなどがあり、非イオン型に
は脂肪族高級アルコールエチレンオキサイド付加物（ポ
リエチレングリコールアルキルエーテル）などがあり、
本発明にはいずれも有効に作用する。

【００１０】

【実施例】基体として、外径８０ｍｍ、肉厚１．５ｍ
ｍ、長さ３６３ｍｍの引き抜き加工アルミシリンダーを
用意した。該基体は通常、入手される形態をとってお
り、引き抜き加工時、及び切断時の加工油、切り粉、更
に保存時の防錆剤が相当量付着した状態である。

【００１１】該基体を図１で示した洗浄装置に投入し洗
浄、乾燥させ、次いで電子写真感光体を作成した。な
お、洗浄槽には、水性エマルジョン型洗浄液（主成分：
ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル，商
品名：バンライズＤ−２０Ｓ，常盤化学工業製）を満た
し、洗浄中は基体を完全に浸漬し１００ｒｐｍで回転さ
せ１分間の洗浄を行った。なお洗浄液は３０℃に保っ
た。

【００１２】また、基体を５００ｒｐｍで回転させなが
ら１分間空中に保持し乾燥させた。

【００１３】このような洗浄を施した基体上に次の手順
で感光層を形成させ電子写真感光体とした。

【００１４】ポリアミド樹脂（商品名：アラミンＣＭ−
８０００，東レ製）１部および８−ナイロン樹脂（商品
名：トレジンＥＦ−３０Ｔ，帝国化学産業製）３部をメ
タノール５０部，ブタノール４０部から成る溶剤に溶解
させた塗液を基体上に浸漬塗布して０．５μｍ厚の下引
層を設けた。

【００１５】次に下記ジスアゾ顔料１０重量部、

【００１６】

【外１】 ポリビニルブチラール樹脂（商品名：エスレックＢＬ−
Ｓ：積水化学製）５重量部、及びシクロヘキサノン６０
０重量部をガラスビーズを用いたサンドミル装置で分散
し、電荷発生層塗料を得た。この塗料を前記中間層上に
浸漬塗布法で塗布し乾燥後付着量１５０ｍｇ／ｍ²の電
荷発生層を得た。

【００１７】次に、下記構造式で示されるスチルベン化
合物１０重量部、

【００１８】

【外２】 ポリカーボネート樹脂（ビスフェノールＺ型，商品名：
ユーピロンＺ２００，三菱瓦斯化学製）１０重量部をモ
ノクロロベンゼン５０重量部、ジクロロメタン２０重量
部に溶解させ電荷輸送層塗料とし、前記、電荷発生層上
に浸漬塗布し、乾燥後膜厚２０μｍの電荷輸送層を設け
電子写真感光体を得た。

【００１９】このようにして得られた電子写真感光体を
実際の複写機であるキヤノン製ＮＰ−３８２５に装着し
画像を出したところ良好な画像が得られた。

【００２０】（比較例１〜３）実施例１で示された基体
の洗浄法で、基体の浸漬時、及び乾燥時に基体を回転さ
せないで洗浄を施した後、実施例１と同様な感光層を形
成させ電子写真感光体として、これを比較例１とした。

【００２１】また、実施例１で示された基体の洗浄法で
基体の浸漬時、基体を回転させる代わりに１．２Ｋｗ，
４０ＫＨｚの超音波発振機で１分間処理した基体に同様
な感光層を形成させ、これを比較例２とした。

【００２２】更に、基体の浸漬時に洗浄液温を８０℃に
上げた以外は比較例１と同様な電子写真感光体を作成
し、これを比較例３とした。

【００２３】これら比較例の感光体を実施例１と同様な
評価を実施したところ下に示すような結果となった。

【００２４】比較例１…洗浄不足による感光層塗布時の
ハジキが観察され、この部分に画像欠陥が顕著に現れ
た。

【００２５】比較例２…超音波によるエロージョンが基
体上に観察されこの部分では感光層の表面が荒れ画像欠
陥となった。

【００２６】比較例３…加温により基体上に部分的酸化
皮膜が生じた。この部分の表面張力は酸化されない部分
より小さいため感光層の塗れ性が異なり、画像欠陥とな
った。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように本発明による電子写
真感光体基体の洗浄方法は洗浄効果が大きく、画像欠陥
ない良好な画像を形成できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による洗浄方法に用いる装置の説明図で
ある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大高 睦雄 東京都大田区下丸子３丁目30番２号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 下谷 和洋 東京都大田区下丸子３丁目30番２号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 丸岡 秀朗 東京都大田区下丸子３丁目30番２号キヤノ ン株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電子写真感光体を水系洗浄液を用いて洗
   浄する方法において、該基体の洗浄及び、または乾燥の
   工程で該基体を回転させることを特徴とする電子写真感
   光体基体の洗浄方法。