JPH0637000B2 - ステンレス鋼溶接用シ−ムレスフラツクス入りワイヤの製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼溶接用シ−ムレスフラツクス入りワイヤの製造方法

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JPH0637000B2 JP19266786A JP19266786A JPH0637000B2 JP H0637000 B2 JPH0637000 B2 JP H0637000B2 JP 19266786 A JP19266786 A JP 19266786A JP 19266786 A JP19266786 A JP 19266786A JP H0637000 B2 JPH0637000 B2 JP H0637000B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ステンレス鋼を外皮とするステンレス鋼溶接
用シームレスフラックス入りワイヤの製造方法に係り、
さらに詳しくは、フラックス充填率のばらつきや、合金
成分の変動がなく、しかもワイヤの伸線時において断線
することなく線引きが可能で、特に1.2mmφ,1.0mmφ,
0.8mmφ等の細径ワイヤを生産性よく容易に得ることの
できるステンレス鋼溶接用シームレスフラックス入りワ
イヤの製造方法に関するものである。
[従来の技術] 近年、ステンレス鋼の溶接には、フラックス入りワイヤ
によるガスシールドアーク溶接がビード形状が良好で、
ブローホールや融合不良などの欠陥が発生しにくいとい
う特長があるため、従来の手溶接に替り急速に普及して
いる。
フラックス入りワイヤのうち、特にシームレスフラック
ス入りワイヤは、第1図に示すように外皮1の周囲に開
口部がなく、しかも断面形状が円形の対象形で方向性が
ないため、フラックス2の耐吸湿性、ワイヤ送給性、さ
らにはワイヤ直進性にすぐれるなど数々の利点を備えて
おり、その需要が増大している。
特に最近、立向姿勢やより薄板への適用性から1.2mmφ
のみならず1.0mmφあるいは0.8mmφと言った極細径のワ
イヤの開発が進み、これら細径のステンレス鋼用フラッ
クス入りワイヤの需要が急速に高まって来ている。
しかしながら、ステンレス鋼溶接用フラックスコアード
ワイヤの場合には、軟鋼用フラックスコアードワイヤに
くらべ、外皮として用いるステンレス鋼自体の加工硬化
性が大きい上に、外皮ステンレス鋼成分と目的とする溶
着金属成分との差を調整したり、溶接による合金成分の
消耗を補償するための合金金属粉をフラックス中に多量
に含有しなければならず、いきおい充填率が高く、外皮
肉厚が薄くなるため必然的に伸線加工性が劣化し、伸線
中にしばしば断線トラブルが生じる結果となっていた。
ステンレス鋼を外皮とするフラックスコアードワイヤに
おけるこのような問題点の改善方法として、用いる帯鋼
サイズを特定すると共に最終製品の外皮厚と帯鋼板厚の
比を大きくする技術が特開昭59−178198号公報
に、また熱処理を施すことによって外皮のビッカース硬
度を300以下に維持して伸線を行う技術が特開昭59
−130698号公報にそれぞれ開示されている。前者
はシームレスタイプではなく、フラックスを帯鋼内に包
み込む従来タイプのワイヤに関するものであるが、いず
れも加工度を制限しつつ伸線し、断線しないうちに熱処
理を行なうものと解釈され、焼鈍を頻繁に行わねばなら
ず、コスト高になる割には断線防止効果はさほど上ら
ず、1.0mmφあるいはそれ以下の細径ワイヤ製造時にお
ける断線トラブルを完全に解消することはできないもの
であった。
また、特開昭56−131097号公報あるいは特開昭
56−154300号公報には、充填するフラックス粒
度を細かくし、粗粒原材料粒子の外皮内壁へのい込みを
減少させることによって断線を防止する方法が開示され
ている。しかしこのような方法をステンレス鋼を外皮と
するフラックス入りワイヤに適用する場合には、前に述
べたように充填率が高くしかも外皮ステンレス鋼の加工
硬化性が大きいためより以上に細粒化しないことには断
線防止効果が期待できない反面、そのような細粒フラッ
クスの場合には、フラックス充填工程におけるフラック
スの供給性が悪く、フラックスホッパー内やフィーダー
部でブリッジ現象を生じ定常的な排出ができなくなっ
て、フラックスの充填むらやフラックス成分の偏在が生
じ、溶接作業性や溶着成分の変動が著しくなり、特に溶
着金属成分が厳しく規定されているステンレス鋼溶接用
のワイヤへの適用は困難であった。
さらに特開昭59−232697号公報には、フラック
スの粒径が250μからパイプ内径の4分1の範囲にな
るよう造粒、焼鈍してパイプ内に充填することによって
充填速度を上げると共に充填むらを防止する技術が開示
されている。
しかしながら、この方法をステンレス鋼溶接用ワイヤに
適用した場合には次のような問題点が判明した。すなわ
ち、ステンレス鋼用ワイヤに用いるフラックスは先にも
述べたようにNi,Cr,Mo等高な合金剤を50%以
上も多量に含有するため原材料費が高い上に、合金剤の
粒度が細かくしかも含有量が多いために造粒性が劣り、
250μ以上に粒度調整することによってフラックスの
歩留が低下し、コストを引き上げるばかりでなく、N
i,Mo等細粒の合金剤が粒度調整によって細粒側つま
り篩下部分に移行しやすく、実際にパイプに充填される
フラックスと配合原材料の間に大きな成分差を生じ、篩
ロスをも見込んだ合金設計となるためコストアップとな
らざるを得ないばかりか、造粒条件やバインダー成分、
量等の僅かなばらつきによって溶接性や溶着金属成分の
変動が大きくなることが明らかとなった。ステンレス鋼
溶接材料にとって成分変動は致命的問題点と言わなけれ
ばならない。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明はステンレス鋼溶接用シームレスフラックス入り
ワイヤの製造における以上のような問題点を解決すべく
なされたものであって、その目的とするところは、フラ
ックスの充填むらや成分偏析がなく、しかもワイヤの伸
線時における断線を防止し、生産性向上が可能なステン
レス鋼溶接用シームレスフラックス入りワイヤの製造方
法の提供にある。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、ステンレス鋼溶接用シームレスフラックス入
りワイヤの製造において、充填むらや成分偏在をなくす
ためにはある程度粗径のフラックスを使用しなければな
らないが、バインダーによって造粒されたフラックス粒
は粗粒であっても、造粒前の配合材料させ微粒にしてお
けば、パイプ内にいったん充填された後はその後の伸線
工程において線引力によって容易に壊砕されるため、パ
イプ内壁を損傷することはないという知見と、フラック
ス原材料はすべて微粒原材料のみを使用するよりも、そ
れよりやや粗い細粒粒子をも若干含んだ適度の粒子構成
とすることによって造粒性が改善でき、少ないバインダ
ー量でもフラックス歩留が向上するという知見に基づき
なされたものであって、その要旨とするところは、フラ
ックスを振動によってステンレス鋼パイプ内に充填した
後、伸線、焼鈍を行なうステンレス鋼溶接用シームレス
フラックス入りワイヤの製造方法において、粒子径が2
50μ以下で、かつ105μ以下の粒子の含有率が83
〜98%の配合原料をバインダーを用いて造粒した後、
フラックス粒子径が840μ以下で、かつ149μ以下
の粒子の含有率が5〜50%である粒子構成を持つフラ
ックスと成し、該フラックスをステンレス鋼パイプ内に
充填することを特徴とするステンレス鋼溶接用シームレ
スフラックス入りワイヤの製造方法にある。
[作用] 以下に本発明を実験例と共に詳細に説明する。
まず、フラックス粒度構成と伸線中の断線頻度との関
係、さらには充填むらの発生傾向について実験的に調査
した。
すなわち、各種粒度のケイ砂とCr粉を用いて、それぞれ
37μ以下、37〜53μ、53〜74μ、74〜10
5μ、105〜149μ、149〜250μ、250μ
〜297μ、297〜500μの各種粒度範囲に細かく
分級しておき、同一粒度区分のケイ砂とCr粉をそれぞれ
等重量ずつ、第1表に示すように混合して粒度構成の異
なるサンプルフラックス9種を用意した。そしてこれら
フラックスをSUS304Lパイプ内にワイヤ重量比で
25%になるように充填し、途中4回の光輝焼鈍を経て
1.2mmφの仕上げ径に到るまでの伸線工程における断線
の有無を調査した。さらに、断線なく仕上ったワイヤに
ついては、充填率のばらつきの有無を調査した。なお調
査方法は5Kgのワイヤを20mごとに1mのサンプルを
正確に測り採り、ワイヤ1種あたり約35本程度得られ
たサンプルの重量を測定し、そのばらつき範囲を調べる
ことによって充填率変動の目安として評価した。また、
サンプルフラックスとして、ケイ砂とCr粉を用いたの
は、これらがステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ
のスラグ剤および合金剤として代表的な原材料であり、
しかも種々の粒度構成のものが比較的容易に入手できる
ことによる。
この結果は、第1表に併せて示すとおりで、サンプルフ
ラックスの粒度構成が粗粒側に偏った場合には断線が発
生するのに対し、微粒すなわち粒子が250μ以下で、
105μ以下の粒子の含有率が85%以上である粒度構
成のフラックスの場合には断線は全く発生しないことが
判明した。
しかし一方このような微粒の場合には断線こそ発生しな
いものの1m長さ当りのワイヤ重量のばらつきが大き
く、少なくとも充填率のばらつきが発生しているものと
考えられ、断線、ばらつき共に発生しない粒度構成はほ
とんど存在しないことが判明した。
そこで次の実験として、これらサンプルフラックスを原
料とし、バインダーによる造粒を検討した。すなわち、
記号HおよびIのサンプルフラックスをバインダーによ
って種々の粒度構成となるよう造粒した後、第1表の場
合と同一のパイプ内に充填し、同様に1.2mmφの仕上り
径まで伸線する間の断線の有無および、充填率のばらつ
きの有無を第1表の場合と同様に調査した。
なお、粒度構成を変えるには水ガラスの濃度および添加
量、さらには造粒条件を調整することによって、また、
サンプルフラックスIは微粉のためか造粒性が劣るため
Hで用いたケイ酸カリ系バインダーにケイ酸ソーダ系バ
インダーを加えて行った。
その結果は第2表に示すとおりで、造粒後のフラックス
の粒度構成にかかわらず、微粒の原材料を用いる限り断
線は発生しないことが確認された。これは、バインダー
によって造粒されたフラックス粒子は充填後パイプ内で
線引力によって容易に破砕されるため、パイプ内壁を損
傷することがないことによるものと考えられる。
一方ワイヤ単位長さ当り重量のばらつきは造粒後のフラ
ックス粒度が粗粒あるいは微粒過ぎる場合に認められ、
粗粒粒子がフラックスのパイプ内への定常的な落下の障
害となったり、微粒粒子がホッパー、フィーダーあるい
はパイプ内でブリッジ現象を起したりする結果、充填率
のばらつきが発生したものと考えられる。
さて以上の実験により、微粒原材料を用いて、中間的な
粒度構成に造粒することによって、伸線工程における断
線が発生せず、しかも充填率のばらつきもほとんどない
ことが判明した。
しかしながらこの結果は、ケイ砂とCr粉だけから成る模
擬的なフラックスを用いた結果にすぎず、合金成分の偏
析の有無や、溶接作業性への影響について検討できない
ものであった。
そこで次に、実際の配合フラックスを用いて、その造粒
性や伸線における断線の有無、充填率のばらつき、さら
には溶接を行なって、溶接作業性や溶着金属成分のばら
つきについて調査することにした。ワイヤは、パイプ成
分と溶着金属成分の差が大きく、成分偏在の問題がより
深刻なJISZ3323 YF309L相当ワイヤによ
り調査することにした。
まず、第3表に示すような粒度構成の、ジルコンサン
ド、ケイ砂、ルチール、アルミナ、Ni粉、Cr粉、脱酸剤
等から成るフラックス原材料を混合し、水ガラスを用い
て第4表に示す各粒度構成 に造粒した後、各フラックスの充填かさ密度を測定し、
フラックス充填率が25%になるようなサイズにしたS
US304Lパイプ内に充填し、途中4回の光輝焼鈍を
経て1.2mmφの仕上げ径に到るまでの断線の有無を調査
した。なお、フラックス原材料粒度の調整は主に、ケイ
砂粉、ジルコンサンド、ルチール、Cr粉の粒度を変える
ことによって行なった。また、造粒フラックスの粒度構
成の調整については第2表の場合と同様、水ガラスの濃
度、添加量、造粒条件の調整によって行うと共に、粗粒
部分については篩分けによる若干の調整を行った。
断線なく仕上ったワイヤについては、ワイヤの単位長さ
当りの重量比較によるフラックス充填率のばらつきの調
査、および溶接電流200A、電圧29V、溶接速度4
0cm/minの溶接条件でCO2溶接を行い溶接作業性や溶
着金属成分の変動の有無を調査した。
その結果は第4表に合せて示すとおりで、フラックス原
材料の粒度が粗いM1,M2の場合には、 造粒後の粒度構成にかかわらずいずれも断線が発生し
た。
これに対し、粒度が適度に細かい原材料記号M3,M
4,M5を用いた場合にはいずれも断線は発生せず、良
好な伸線加工性を示したが、造粒後のフラックス粒度構
成が粗粒側に偏ったフラックスAM3−1,AM4−1
および細粒側に偏ったAM5−3では第2表の場合と同
様フラックス充填率のばらつきが生じ、溶着金属成分の
変動も極めて大きいことが判明した。
さらに、最も微粒の原材料記号M6を用いた場合には、
造粒が困難で、断線や充填率のばらつきが発生しない程
度まで造粒するには、相当量のバインダーが必要で、そ
のために溶接時のアーク状態が劣化し、スパッタの発生
量が極度に増加する結果となった。
一般に、水ガラス添加量が多くなると、また造粒性の良
好なケイ酸ソーダ系バインダーの割合が増す程、溶接作
業性が劣化し、スパッタの発生量が増加する傾向が認め
られている。
逆に、溶接作業性を考慮してバインダー量を少なくした
フラックスAM6−2では実質的にほとんど造粒されて
おらず、伸線の最終工程において断線が発生した。
これは、第2表の場合と異なり実用フラックスでは各原
料粉毎に粒度構成や密度がまちまちであるため、造粒が
不完全な場合には充填時やその後の振動によって各原料
粒子の偏在が顕著となり、パイプ内におけるフラックス
の流動性や線引きによる変形能に部分的な差異が生じる
ため、流動性や変形能に劣る部分からついには断線に到
るものと考えられる。
次に、造粒性に及ぼす原材料粒度構成の影響について調
査した。すなわち、原材料記号M5とM6の間に造粒性
に関する顕著な差があり、これがM5中の105〜25
0μの粒子の存在に基づくことに注目し以下の検討を行
った。
第3表における原料フラックス記号M2の原材料を用い
て、105μより粗粒部分と細粒部分に二分した後、そ
れらを適当に混合し105μ以上粒子の含有率を順次変
化させたフラックス原料を準備し、バインダー量を一定
にして造粒した場合の造粒フラックス中に占める149
μ以下の粒子の含有率を調べ各原材料の造粒性を比較し
た。
その結果は第2図に示すとおりで原材料中の105μ以
上の粒子の含有量を2%以上とすることによって造粒性
が改善され、比較的少量のバインダーによっても、造粒
後のフラックス中の149μ以下の粒子含有率を50%
以下にすることができ、充填率や溶着金属成分の変動の
防止が可能となることが判明した。これは105μ〜2
50μのやや粗粒の粒子が造粒に際して核となって造粒
性を高めているものと考えられる。
なおこの時のバインダーとしてはSiO2/K2Oモル比
2.9,35ポーメのケイ酸カリを用い、フラックス重量
に対して8%添加造粒した。
本発明は以上の実験結果に基づくものであって、フラッ
クスの配合原料の粒子径を250μ以下としたのは25
0μを超えた粒子が混入すると、その粒子がステンレス
鋼外皮内壁を損傷し、伸線加工におけるワイヤの断線が
極めて発生しやすくなることによる。また、105μ以
下の粒子の含有率を85〜98%としたのは、85%未
満では原料粉を十分細かくしたことにはならず、粗粒の
含有率が高くやはり断線が発生しやすくなることによ
る。さらに98%を超えた場合には、原料粒度が細かす
ぎ、核となるべき粒子がないために造粒性が劣化し、フ
ラックス成分偏在や充填率のばらつき、断線等をひき起
す。またバインダー量が多くならざるを得ず、アーク状
態の劣化、スパッタ発生量の増加等の原因となる。
一方、充填率のばらつき、溶着金属成分の変動は、前述
のように造粒フラックスの粒度構成が細粒側に偏って
も、粗粒側に偏っても発生しやすくなる傾向が認めら
れ、本発明において造粒後のフラックス粒子径を840
μ以下としたのは、840μを超えた粒子の存在は円滑
なフラックス充填の障害となるばかりでなく、充填時の
振動によって成分偏在の原因となり、充填率のばらつ
き、溶着金属成分変動をひき起こす。また149μ以下
の粒子の含有率を5〜50%としたのは、5%未満では
フラックス粒度が全体的に粗粒すぎ、50%を超えた場
合では逆に細粒すぎることになり、いずれの場合もフラ
ックス充填率のばらつきや溶着金属成分の変動の原因と
なることによる。
なお、本発明において、粒子径とはすべて篩網の目開き
を意味するものであり、例えば250μ以下の粒子と
は、目開き250μの端網を通過する粒子を意味する。
以下に、実施例により本発明の効果をさらに具体的に説
明する。
[実施例] まず第5表に示すような粒度構成のルチール12%、ケ
イ砂5%、ジルコンサンド7%、アルミナ2%、フッ化
ナトリウム2%、チタン酸カリ2%、Ni粉10%、Cr粉
50%、Fe−Mo粉5%、Mn粉5%から成るフラックス原
材料を配合、混合し、ケイ酸カリ系水ガラスを用いて第
6表に示す各粒度構成に造粒した後、各フラックスの充
填かさ密度に合せ、フラックス充填率が23%にな るようなサイズに伸線したSUS316Lステンレス鋼
パイプ内に振動搬送によってフラックスを充填した。
さらに、途中5.0mmφ,3.3mmφ,2.3mmφ,1.6mmφ,1.
2mmφにおける光輝焼鈍(1050℃,H2雰囲気中)を
経て、1.0mmφのJISZ3323 YF309MoL相当
の製品となるまでの断線の有無、さらにはフラックス充
填率のばらつき、溶接作業性、溶着金属成分の変動の有
無等を調査した。
なお、造粒フラックスの粒度調整は水ガラスの濃度、添
加量、造粒条件の調整と共に篩分けによる若干の調整を
も加えた。また溶接はDCRP,160A 25V,3
5cm/minの溶接条件によるCO2溶接により行った。
その結果は第6表に合せて示すとおりで、フラックス原
材料粉が粗粒であるF1,F2,F3を用いた比較例W
1〜W4のワイヤでは、造粒後のフラックスの粒度構成
の如何にかかわらず、いずれもワイヤの伸線工程におい
て断線が発生した。
また、フラックス原料が微粒すぎるF4を用いたW5,
W6のワイヤでは、いずれもフラックスの造粒が困難
で、造粒フラックスの粒度構成が細粒側に偏っているた
め、円滑、均一な充填ができず、充填率のばらつきや溶
着金属成分のばらつきが生じ、W5の場合には断線にま
で到る結果となった。
さらに、フラックス原材料が細粒であっても、比較例W
7〜W9のように造粒後の粒度構成が粗粒あるいは細粒
に偏った場合には、断線こそ発生しなかったが、充填率
のばらつき、溶着金属成分の変動が認められ、満足すべ
き結果は得られなかった。
これに対し、適度に微粒のフラックス原材料F5,F6
を用いて、適正な粒度構成に造粒した後パイプ内に充填
した本発明例W10〜W15の場合には、いずれも断線
なく1.0mmφの製品径まで仕上り、充填率や溶着金属成
分の変動もほとんど認められず、目標どおりのワイヤを
得ることができた。
[発明の効果] 以上のように本発明は、ステンレス鋼溶接用シームレス
フラックス入りワイヤの製造に際し、若干の粗粒粒子を
も含む適度な粒度構成を持つ微粒原材料をバインダーに
より適度な粒度構成となるように造粒したフラックスを
充填剤として用いることにより、伸線工程における断線
や溶着金属成分のばらつきの防止を可能としたもので、
特に従来断線が頻発し工業的に採算が合わなかった細径
のステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤの生産性を
高めることを可能ならしめた。
【図面の簡単な説明】
第1図はシームレスフラックス入りワイヤの断面形状を
示す模式図、第2図はフラックス原材料の造粒性に及ぼ
す、原材料中の105μ以上の粒子の含有率の影響を示
す図である。 1:ステンレス鋼外皮、2:フラックス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石坪 紀久雄 神奈川県相模原市淵野辺5−10−1 新日 本製鐵株式会社第2技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−107897(JP,A) 特公 昭60−17637(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フラックスを振動によってステンレス鋼パ
    イプ内に充填した後、伸線、焼鈍を行うステンレス鋼溶
    接用シームレスフラックス入りワイヤの製造方法におい
    て、粒子径が250μ以下で、かつ105μ以下の粒子
    の含有率が85〜98%の配合原料をバインダーを用い
    て造粒した後、フラックス粒子径が840μ以下で、か
    つ149μ以下の粒子の含有率が5〜50%である粒子
    構成を持つフラックスと成し、該フラックスをステンレ
    ス鋼パイプ内に充填することを特徴とするステンレス鋼
    溶接用シームレスフラックス入りワイヤの製造方法。
JP19266786A 1986-08-20 1986-08-20 ステンレス鋼溶接用シ−ムレスフラツクス入りワイヤの製造方法 Expired - Lifetime JPH0637000B2 (ja)

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