JPH0636541Y2 - ディスクカートリッジ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、光磁気ディスク等のディスク状記録媒体を収
納した状態で記録再生可能としたディスクカートリッジ
に関し、特にカートリッジ本体を全周にわたってほぼ同
一強度に保持されるようにしたものである。

〔考案の概要〕

本考案は、ディスク状記録媒体を回転自在に収納するデ
ィスクカートリッジであって、カートリッジ本体の一側
壁部の記録媒体の一部が外方に臨む開口部に対応する部
分を記録再生ヘッド系に対する逃げとして薄肉に形成
し、この薄肉部を補強手段により補強することにより、
カートリッジ本体が全周にわたってほぼ同一強度に保持
されるようにしたものである。

〔従来の技術〕

従来、光磁気ディスク等のディスク状記録媒体が収納さ
れるディスクカートリッジとしてカートリッジハーフの
平面部に記録媒体の一部を外方に臨ませる開口部が形成
されて、この開口部を記録再生装置の記録再生ヘッドに
対応させることにより、ディスクカートリッジに記録媒
体を収納したまま記録再生が行なえるようにしたものが
提案されている。

この従来のディスクカートリッジはカートリッジ本体が
大きく全体として強度を保有させるために厚肉に形成さ
れていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来のディスクカートリッジは前述した如く厚肉に形成
されているため、記録再生装置に装填した状態では収納
記録媒体と記録再生ヘッド系との間隔が大となり、特に
光磁気ディスクの場合は光学ピックアップによる光ビー
ムの照射部の反対側に外部磁界をかけるので、この磁界
を発生されるコイルとディスク面との間の間隔が大きい
場合は磁界発生コイルにかなり大きい電流を流す必要が
あり、消費電力、コイルの発熱等の点で問題が生じるこ
とになる。

そこで、ディスクと光学ピックアップ及び磁界発生コイ
ルとを近接させるにはカートリッジ本体の上下ハーフを
薄肉に形成すればよいことになるが、薄肉に形成するカ
ートリッジが屈曲変形し収納する記録媒体の保護の信頼
性が低下する不都合がある。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的と
するところはカートリッジ本体の強度を向上させると共
に精度を十分確保して記録再生ヘッド系と収納記録媒体
とを近接できるようにしたディスクカートリッジを提供
することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本考案によるディスクカート
リッジは、合成樹脂で形成された上下一対のハーフによ
りなり、内部に収納されたディスク状記録媒体の一部を
外方に臨ませる開口部が上記上下ハーフの少なくとも一
方のハーフの中央部から一側壁部にわたって設けられた
カートリッジ本体を有し、一側壁部の開口部の外端部が
連結される部分を薄肉に形成し、この一側壁部に薄肉連
結部分を補強する補強手段を設けたものである。

〔作用〕

ディスクカートリッジをこのように構成したことによ
り、収納記録媒体の一部が外方に臨む開口部の外端部が
連結される一側壁部の薄肉連結部分は強度が十分に保持
された状態で精度よく形成され、収納記録媒体と記録再
生ヘッド系とを近接できて記録再生が確実に行われると
共にカートリッジ本体は全周にわたってほぼ同等の強度
で剛性が確保されて収納記録媒体は確実に保護される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面を参照して説明するに、先
ず第１図乃至第３図について一実施例を説明する。

第１図において（１）はディスクカートリッジの全体を
示し、合成樹脂で形成された上下ハーフ（２），（３）
から成るカートリッジ本体（４）内にディスク状記録媒
体としての光磁気ディスク等の記録ディスク（５）を回
転自在に収納させたもので、上下ハーフ（２），（３）
は上下に嵌合されて溶着等により合体され、後壁部に形
成された口部から記録ディスク（５）を挿入して収納
し、口部は蓋（６）により閉口する。

上下ハーフ（２），（３）には記録ディスク（５）の中
心孔（5a）に対応する中央部から一側壁部、即ち前壁部
にわたって開口部（７），（８）が設けられており、こ
の開口部（７），（８）から記録ディスク（５）の中心
孔（5a）の周面部及びその周面部から外周にかけての一
部面を外方に臨ませるようになされている。この開口部
（７），（８）の記録ディスク（５）の中心孔（5a）に
対応する後半部側には、上ハーフ（２）の開口部（７）
においてはチャッキングプレートが、一方、下ハーフ
（３）の開口部（８）においてはターンテーブルが挿入
され、また開口部（７）の前半部側には磁界発生用コイ
ル（バイアスマグネット）が対応され、一方、開口部
（８）の前半部側には光学ヘッドが対応される。

また、カートリッジ本体（４）には両開口部（７），
（８）を開閉するシャッター（９）が取付けられてお
り、このシャッター（９）は例えばステンレス板の如
き、金属板や硬質の合成樹脂にて形成されるものであっ
て、断面が略コ字形に形成され、上下一対のシャッター
板部（9a），（9b）とこの両板部を前面で一体に接続す
る前面板部（9c）とによって構成され、前面板部（9c）
には装置に備えられた開閉部材（図示せず）の係合部
（9c₁）が設けられている。

そして、このシャッター（９）はカートリッジ本体
（４）に対して横方向に摺動自在に嵌挿され、ディスク
カートリッジ（１）を記録再生装置に装填することによ
り係合部（9c₁）に開閉部材が係合されて横方向に摺動
され開口部（７），（８）が開放される。

このように構成されるディスクカートリッジ（１）にお
いて、本例では上下ハーフ（２），（３）の開口部
（７），（８）の外端部の連結部（7a），（8a）、即ち
上下ハーフ（２），（３）の前壁部の開口部（７），
（８）に対応する部分を夫々ハーフ表面に対して低位と
なる薄肉に形成し、この薄肉連結部（7a）と（8a）の間
に補強手段として剛性補強片（10）を、この連結部（7
a），（8a）の両側部にわたって介挿して固着してあ
る。

この補強片（10）としては非鉄金属、例えばジュラルミ
ン板を用いることができ、この補強片（10）には所要間
隔で透孔（10a）が穿設されており、この透孔（10a）を
介して上下ハーフ（２），（３）の連結部（7a），（8
a）を含む前壁部を超音波溶着することにより補強片（1
0）を連結部（7a），（8a）の両側部にわたって固着し
てある。

このように、上下ハーフ（２），（３）の開口部
（７），（８）の外端部の薄肉連結部（7a），（8a）間
にその両側部にわたって補強片（10）を固着することに
より薄肉連結部（7a），（8a）は補強されてカートリッ
ジ本体（４）は全周、即ち前後壁部及び両側壁部がほぼ
同等の強度を保有することになって、薄肉部が存在する
にもかかわらず屈曲変形が防止されて収納記録ディスク
（５）を確実に保護できることになる。

また、カートリッジ本体（４）の開口部（７），（８）
の外端部側の連結部（7a），（8a）は薄肉で、上下ハー
フ（２），（３）の表面より低位面であるため、記録再
生装置に装填する際の記録再生ヘッド系に対する逃げ部
となり、即ち記録ディスク（５）が光磁気ディスクの場
合は薄肉連結部（7a）と（8a）は磁界発生用コイル（バ
イアスマグネット）と光学ピックアップの逃げ部となっ
て、これにより光磁気ディスク面を磁界発生用コイル及
び光学ピックアップに近接することができて消費電力の
低減、コイル発熱の低下等が可能となる。

この構成において補強片は第４図と第５図及び第６図に
示す他の実施例の如く何れか一方のハーフ側に固着して
もよい。

即ち、第４図に示す如く補強片（10）を例えば下ハーフ
（３）の薄肉連結部（8a）の内面側に、その連結部（8
a）の両側部にわたって固着してもよく、この場合上ハ
ーフ（２）の薄肉連結部を省略できる。

また、第５図及び第６図に示すように例えば上ハーフ
（２）の前壁部を下ハーフ（３）の前壁部と一体に形成
し、この一体前壁部内にこの外面側に形成される薄肉連
結部（7a）に対応して補強片（10）をインサート成形に
より固着してもよく、この場合下ハーフ（３）は前壁部
のない偏平面となる。

さらに、この補強片（10）に変えて、上下ハーフ
（２），（３）の薄肉連結部（7a），（8a）を含む表面
側に第７図に示すように非金属メッキ層（11）を形成し
てもよい。この場合のメッキ層（11）は銅下クロムメッ
キ等が用いられる。

このように樹脂表面にメッキ層（11）を形成すると引張
り及び圧縮強度が大となって前述した実施例と同様の効
果が得られる。

また、第８図は第７図に示す実施例の変形例であって、
何れか一方のハーフ側のみにメッキ層を形成した場合で
ある。

即ち、第８図に示すものは上ハーフ（２）の薄肉連結部
（7a）を含む表面側及び内面側に非金属メッキ層（11）
を形成し、下ハーフ（３）側にはメッキ層を形成しない
場合である。

この場合も上下ハーフ（２），（３）は合体させること
により前述した第７図に示すものと同様の効果が得られ
る。

以上のように第４図乃至第８図に示す他実施例の場合に
おいてもカートリッジ本体（４）は薄肉部が存在するに
もかかわらず屈曲変形が防止され収納記録ディスク
（５）を確実に保護できる。

第９図は本考案に適用する補強片の例を示し、同図Ａは
前述した一実施例に用いた補強片（10）で、同図Ｂは補
強片（10）の外周に凹凸部（10b）を形成してハーフに
対して係合状に固着し表裏伸縮を制限しようとするもの
であり、さらに同図Ｃは補強片（10）の少なくとも両端
部の表裏両面を凹凸面（10c）に形成しハーフとの接合
性を良好にしたものでインサート成形により固着の場合
に適するものである。

以上、補強材として補強片を用いる場合を説明したがこ
の扁平補強片に変えて断面円形、角形等の棒状のものを
用いることができ、また補強片等の補強部材の材質は非
鉄金属に限ることなく、カーボン繊維、ガラス繊維等上
下ハーフの成形樹脂材に対していわゆる腰の強い材質の
ものであれば使用できる。

以上、本考案の実施例を説明したが、本考案はこの実施
例に限定させるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しな
い範囲で各種有効な変更が可能である。

また、本考案は光磁気ディスクのカートリッジに限るこ
となく各種の記録・再生ディスクのカートリッジに適用
できることは勿論である。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によればディスクカートリッジに形
成される記録再生ヘッド系に対する逃げ部としての開口
部の薄肉連結部に補強手段を設けたことによりカートリ
ッジは全周にわたってほぼ同等の強度で剛性が確保され
て収納記録媒体は確実に保護され、常に正常状態で記録
再生を行なうことができ信頼性が一層向上される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるディスクカートリッジの一例の分
解斜視図、第２図は同、要部の縦断面図、第３図は同、
要部の横断面図、第４図乃至第８図は他側の要部の断面
図、第９図A,B,Cは本考案に適用する補強片の各例の斜
視図である。 図中（２）は上ハーフ、（３）は下ハーフ、（４）はカ
ートリッジ本体、（５）は記録ディスク、（７），
（８）は開口部、（7a），（8a）は薄肉連結部、（10）
は補強手段としての補強片である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】合成樹脂より形成された上下一対のハーフ
   よりなり、内部に収納されたディスク状記録媒体の一部
   を外方に臨ませる開口部が上記上下ハーフの少なくとも
   一方のハーフの中央部から一側壁部にわたって設けられ
   たカートリッジ本体を有し、 上記一側壁部の上記開口部の外端部が連結される部分を
   薄肉に形成し、 上記一側壁部に上記薄肉連結部分を補強する補強手段を
   設けたことを特徴とするディスクカートリッジ。