JPH0635688B2 - ポリエステル繊維原着用黒色液状着色剤 - Google Patents

ポリエステル繊維原着用黒色液状着色剤

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JPH0635688B2 JP61229775A JP22977586A JPH0635688B2 JP H0635688 B2 JPH0635688 B2 JP H0635688B2 JP 61229775 A JP61229775 A JP 61229775A JP 22977586 A JP22977586 A JP 22977586A JP H0635688 B2 JPH0635688 B2 JP H0635688B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は,酸化中和処理カーボンブラックを使用したポ
リエステル繊維原着用黒色液状着色剤に関し,さらに詳
しくは,本発明は,カーボンブラック含有量が高く,ポ
リエステル繊維を劣化させることが少なく,カーボンブ
ラック特有の赤味の少ないポリエステル繊維原着用黒色
液状着色剤に関する。
(従来の技術) 原着による黒色ポリエステル繊維は,ポリエステル重合
反応時に,または重合後成形までの任意の段階で,カー
ボンブラックを添加することにより製造される。得られ
た黒色ポリエステル繊維は学生服などに広く使用されて
いる。
しかしながら,カーボンブラックを直接添加することに
よって得られた原着の黒色ポリエステル繊維や布は,黒
色染料により染色したものに比較して著しく赤味を帯び
ているとともに,得られた黒色ポリエステル繊維中での
カーボンブラックの分散性が充分でなく,粗大粒子が多
数存在し,紡糸工程でのフィルターの目詰り,糸切れな
どをおこしやすい欠点があった。これらの原因として
は,ポリエステル繊維製造時におけるカーボンブラック
の凝集やカーボンブラックのポリエステル樹脂に対する
濡れの悪さなどが考えられた。この赤味を消したり,凝
集を防ぐため銅フタロシアニングリーンを併用(特開昭
49−87729号公報)したり,銅フタロシアニンブ
ルーを併用(特公昭53−35835号公報)すること
が提案された。しかしながら,これらの方法により得ら
れたポリエステル繊維は,まだまだ赤味や黄味が強く,
十分なものではなかった。
また,ポリエステル重合反応時にカーボンブラックを直
接添加する原着の方法では,重合釜を著しく汚染するた
め,専用の釜を設置したり,釜の洗浄に多大の労力経費
を必要とするなどの欠点があった。
上記の欠点を改良するための原着の方法として,着色ペ
レットによる方法とマスターバッチにより着色する方法
があるが,着色ペレットによる方法はコストおよび樹脂
の劣化などの技術的な問題などのためあまり行われてお
らず,またポリエステル樹脂に顔料や染料を高濃度に分
散させたマスターバッチを用いる方法も種々の欠点を有
している。すなわち,1)マスターバッチの製造に際し
て顔料や染料を高濃度に分散させるために生じる技術的
な困難,2)マスターバッチの製造に際して,加工前に
樹脂の乾燥および加工後のマスターバッチの結晶化,ま
た時にはさらに乾燥が必要であり,エネルギー消費量が
多い,3)マスターバッチの製造に使用するポリエステ
ル樹脂は成形時の熱覆歴を含め2回以上の熱覆歴を受け
るため,成形品の極限粘度(IV)値を下げたりする,
4)成形に際して,マスターバッチを乾燥する必要があ
り,マスターバッチ専用乾燥設備を設けるかナチュラル
樹脂とマスターバッチの混合物を乾燥機で乾燥する必要
があるので,色替えに対する対応が難しい。
このようなマスターバッチによるポリエステル繊維の原
着の欠点を解決するための着色剤としてある種の液状ポ
リエステルを分散媒体として用いた液状着色剤が特開昭
60−45689号公報により提案された。ポリエステ
ル繊維用着色剤として液状着色剤は多くの利点を有して
いるが,ポリエステル繊維用着色剤として液状着色剤を
用いる場合,いくつかの問題があった。すなわち,液状
着色剤の場合,添加量がスリップなどのために制限さ
れ,またカーボンブラック自体の吸油量が大きいため液
状着色剤中の顔料含有量が低くなり,カーボンブラック
のポリエステル繊維中への添加量が少なくなる点であ
る。
このため,本発明者らは,気相での酸化によりカルボキ
シル基などの極性基を導入した通常の低pHのカーボン
ブラックを用い,液状着色剤の流動性を改良することを
検討した。しかしながあ,酸化された通常のカーボンブ
ラックを用いた場合,ある程度黒色度を上げる事はでき
るが,所期の黒色度が得られず,ポリエステル繊維の劣
化を引き起こすなど,実用上の問題があった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは,液状着色剤によるポリエステル繊維の原
着の上記のような問題を解決して,黒色度の高いポリエ
ステル繊維が得られるよう鋭意検討の結果,pHが4.
0以下のカーボンブラックを過酸化物により酸化処理し
た後中和して得られるカーボンブラックを用いることに
より,カーボンブラック特有の赤味が減少して黒色度が
増すとともに,液状着色剤の粘度が低くなって顔料含有
量を上げることができ,所期の黒色度を有するポリエス
テル繊維が得られることを見出し,本発明に到達したも
のである。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段) 本発明は,pHが4.0以下のカーボンブラックを過酸
化物により酸化処理した後中和して得られる酸化中和処
理カーボンブラック5〜50重量%および液状分散媒体
95〜50重量%からなるポリエステル繊維原着用黒色
液状着色剤である。
本発明において用いられるpHが4.0以下のカーボン
ブラックとしては,チャンネルブラック,ファーネスブ
ラックなどがあり,その平均粒子径は16〜35nmで
あるものが好ましい。
平均粒子径が16nm以下の場合,カーボンブラックの
持つ特有の赤味を消すことが困難となる傾向があり,3
6nmを越える場合には原着ポリエステル繊維の黒色度
が減少する傾向がある。
なお,カーボンブラックのpHが4.0を越える場合に
は,得られる液状着色の粘度が高くなり,また原着ポリ
エステル繊維の黒色度が低くなる。
本発明において,pHが4.0以下のカーボンブラック
は,必要に応じて水性媒体と混合した後,過酸化物によ
り酸化処理される。酸化処理は,水,水−アルコールあ
るいは水−界面活性剤などの水性媒体とpH4.0以下
のカーボンブンラックとを混合して,湿式で行うこと
が,効率が高く安定した酸化処理が行なえるので,好ま
しい。また,過酸化物としては,オゾン,過酸化水素,
過酸化ナトリウム,過酸化カリウムなど過酸化金属類,
過塩素酸,過マンガン酸などの過酸素酸類,過マンガン
酸カリウムなどの過酸素酸塩などが適宜選ばれる。
過酸化物の添加量は,pHが4.0以下のカーボンブラ
ック100重量部当たり0.5〜50重量部が適当であ
る。重量部より少ない場合は,充分な酸化が行われない
傾向があり,また50重量部よりも過剰な場合にはそれ
だけ多く加えた効果が特に認められず,経済的にも不利
となる傾向がある。
酸化処理を湿式で行う場合は,水性媒体とpH4.0以
下のカーボンブラックとを20〜70℃程度の温度,通
常30〜50℃で撹拌混合し,引続き過酸化を添加混合
しても良く,また,予め過酸化物と水性媒体とを混合し
た中にpH4.0以下のカーボンブラックを混合懸濁さ
せてもよい,また,過酸化物としてオゾンを使用する場
合,水性媒体とpH4.0以下のカーボンブラックとを
撹拌混合しながら撹拌槽下部より細孔を通して曝気させ
る方法が好適である。
中和に用いられる中和剤としては,水酸化ナトリウム,
水酸化カリウムなどの水溶性アルカリ類,および,硫
酸,塩酸などの酸類から,過酸化物の種類に応じて適宜
選ばれる。
処理後のカーボンブラックと水性媒体との分離は一般に
行われている方法が適用可能で傾斜分離,遠心脱水など
により行い,引続き,乾燥して酸化処理カーボンブラッ
クを得る。
本発明において,液状分散媒体としては特に制限はな
く,ジオクチルフタレート,ジイソデシルアジペートな
どの可塑剤,大豆油,あまに油,エポキシ化大豆油,エ
ポキシ化あまに油などの植物油およびエポキシ化植物
油,流動パラフィン,液状ポリブテン,ノニオン系界面
活性剤などの公知の液状分散媒体を用いることができる
が,耐熱性,カーボンブラックの分散安定性などの点か
ら液状ポリエステルを用いることが望ましい。液状ポリ
エステルとは,ポリカルボン酸とポリオールとを主成分
として反応させて得られる液状のエステル結合を3個以
上有するものである。好ましい液状ポリエステルとして
は,主たる構成成分がアジピン酸,セバシン酸,アゼラ
イン酸,グルタミン酸,テレフタル酸,イソフタル酸,
オルソフタル酸,無水フタル酸などの脂肪族または芳香
族ジカルボン酸と,エチレングリコール,プロピレング
リコール,ブチレングリコールなどの二価アルコールと
を縮重合反応したものである。上記ジカルボン酸および
二価アルコールの他に,酸成分として,オレイン酸など
の一価カルボン酸,トリメリット酸などの多価カルボン
酸,アルコール成分として,n−オクチルアルコールな
どの一価アルコール,ジペンタエリスリトールなどの多
価アルコールを適宜使用することができる。
本発明の黒色液状着色剤は,三本ロール,ボールミル,
サンドミル,アトライター,ニーダーなどの分散機,ま
たはこれらの組合せを用いて製造することができる。
本発明の黒色液状着色剤には,原着ポリエステル繊維の
黒色感を損なわない範囲で他の顔料または染料の他,目
的により帯電防止剤,紫外線吸収剤,酸化防止剤などの
添加剤を配合することができる。
本発明の黒色液状着色剤は,繊維グレードのポリエステ
ル樹脂とよく混合した後,紡糸機により紡糸し,延伸し
て繊維とされる。黒色液状着色剤は,繊維グレードのポ
リエステル樹脂100重量部に対して,通常3〜15重
量部,好ましくは5〜12重量部混合される。繊維グレ
ードのポリエステル樹脂100重量部に対する黒色液状
着色剤の混合量が5重量部より少ない時は着色力が小さ
くなる傾向があり,12重量部を超える場合には得られ
る繊維の物性が低下する傾向がある。
(作 用) 本発明において酸化中和処理したカーボンブラックが顕
著な効果を発揮する詳細な理由はまだ十分に解明するに
至っていないが次のように考えられる。すなわち,気相
においてきわめて強い条件で酸化処理をされた通常の酸
化処理カーボンブラックより,過酸化物による酸化処理
のような弱い条件,とりわけ湿式のような緩和された条
件で,pHが4.0以下のすでに酸化処理されたカーボ
ンブラックをさらに酸化処理して得られたカーボンブラ
ックの方が,その表面に生成した極性基の液状分散媒体
とりわけ液状ポリエステルの親和性が良好であり,その
ため濡れもよくなり,粘度も低くなり,また,カーボン
ブラック特有の赤味が減少するとともに着色力も向上し
たものであり,この特徴的な傾向は,中和処理した後も
保持されるものと考えられる。
また,pHが4.0以下のカーボンブラックを用いるこ
とがよいのは,pHが4.0以下のカーボンブラックは
その表面がすでにある程度酸化されていて,弱い条件で
の酸化によってより均一な酸化状態の表面を有するよう
になるためであり,これを中和することにより原着され
たポリエステル繊維が劣化しなくなるものと考えられ
る。
(実施例) 以下,実施例により本発明を説明する。例中,部とは重
量部を表す。
実施例 1 水1000部に,カーボンブラック「三菱カーボンMA
−11」(pH3.2,平均粒子径29nm,三菱化成
工業(株)製)250部を加え,40℃に昇温させ,これ
に20重量部%過酸化水素水200部を加え,40℃で
24時間反応させた。次に,1.0規定水酸化ナトリウ
ム水溶液を添加,pH7.3に調整し,ろ別し,乾燥し
て酸化中和処理カーボンブンラックを得た。
得られた酸化中和処理カーボンブラック15部およびア
ジピン酸系液状ポリエステル「アデカサイザーP−30
0」(平均分子量約3000,アデカ・アーガス(株)
製)85部を練肉し,液状着色剤を得た。得られた液状
着色剤の25℃における粘度(B型粘度計使用)を表1
に示す。
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度η=0.63)
100部に,得られた液状着色剤10部を混合し,紡糸
機で太さ10デニールに紡糸した後,80℃で3.3倍
に延伸し3デニールの繊維を得た。この際のIV値保持
率,得られた繊維の外観(目視),得られた繊維中での
カーボンブラックの分散状態(顕微鏡観察)を表1に示
す。
なお未着色の繊維のIV保持率は,紡糸前のポリエステル
樹脂(100%)に対して94.0%であった。
比較例 1 酸化中和処理カーボンブラックの代り「三菱カーボンM
A−11」を用いた以外は実施例1と同様にして液状着
色剤を得た。得られた液状着色剤の25℃における粘度
を表1に表す。
得られた液状着色剤を用い,実施例1と同様の方法で3
デニールの繊維を得た。この際のIV値保持率,得られた
繊維の外観,得られた繊維中でのカーボンブラックの分
散状態を表1に示す。
比較例 2 「三菱カーボンMA−11」の代りに「ラーベン125
0」(pH6.0,コロンビアカーボン社製)を用いた
以外は実施例1と同様にして液状着色剤を得た。得られ
た液状着色剤の25℃における粘度を表1に示す。
得られた液状着色剤を用い,実施例1と同様の方法で3
デニールの繊維を得た。この際のIV値保持率,得られた
繊維の外観,得られた繊維中でのカーボンブラックの分
散状態を表1に示す。
実施例 2 水1000部に,カーボンブラック「三菱カーボンMA
−11」(pH3.0,平均粒子径22nm,三菱化成
工業(株)製)250部を加え,30℃に昇温させ,これ
に過マンガン酸カリウム100部を加え,30℃で24
時間反応させた次に,1.0規定水酸化ナトリウム水溶
液を添加,pH7.0に調整し,ろ別し,乾燥して酸化
中和処理カーボンブラックを得た。
得られた酸化中和処理カーボンブラック30部およびア
ジピン酸系液状ポリエステル「BAA−15」(平均分
子量1500,(株)大八化学工業所製)70部を練肉
し,液状着色剤を得た。得られた液状着色剤の25℃に
おける粘度(B型粘度計使用)を表2に示す。
実施例1で用いたポリエチレンテレフタレート100部
に,得られた着色剤6部を混合し,紡糸機で太さ10デ
ニールに紡糸した後,80℃で3.3倍に延伸し3デニ
ールの繊維を得た。得られた繊維の表面色を測定した結
果を表2に示す。
比較例 3 酸化中和処理カーボンブラックの代りに「三菱カーボン
MA−100」を用いた以外は実施例2と同様にして液
状着色剤を得た。得られた液状着色剤の粘度を表2に表
す。
得られた液状着色剤を用い,実施例2と同様にして3デ
ニールの繊維を得た。得られた繊維の表面色を測定した
結果を表2に示す。
比較例 4 酸化中和処理カーボンブラックの代りに「三菱カーボン
#44」(pH7.5,平均粒子径21nm,三菱化成
工業(株)製)を用いた以外は実施例2と同様にして液状
着色剤を得た。得られた液状着色剤の粘度を表2に表
す。
得られた液状着色剤を用い,実施例2と同様にして3デ
ニールの繊維を得た。得られた繊維の表面色を測定した
結果を表2に示す。
表2における測定値から,実施例2で得られた繊維が青
味を有し,黒色度も高いのに対し,比較例3および4で
得られた繊維が赤黄味を有し,黒色度が低いことがわか
る。
〔発明の効果〕
本発明の黒色液状着色剤は低粘度でかつカーボンブラッ
ク含有量が高いという特長を有し,また,本発明の黒色
液状着色剤によりポリエステル繊維を原着することによ
り,劣化することがなく,糸切れすることがなく,青味
のある黒色のポリエステル繊維が得られるようになっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 船越 巧子 (56)参考文献 特開 昭61−163955(JP,A) 特開 昭58−149311(JP,A) 特公 昭52−13808(JP,B2) 特公 昭56−25557(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】pHが4.0以下のカーボンブラックを過
    酸化物により酸化処理した後中和して得られる酸化中和
    処理カーボンブラック5〜50重量%および液状分散媒
    体95〜50重量%からなるポリエステル繊維原着用黒
    色液状着色剤。
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