JPH06345430A - 高導電性超微粉二酸化スズ及びその製造方法 - Google Patents

高導電性超微粉二酸化スズ及びその製造方法

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JPH06345430A
JPH06345430A JP5165930A JP16593093A JPH06345430A JP H06345430 A JPH06345430 A JP H06345430A JP 5165930 A JP5165930 A JP 5165930A JP 16593093 A JP16593093 A JP 16593093A JP H06345430 A JPH06345430 A JP H06345430A
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暢順 笠原
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 二酸化スズと該二酸化スズの重量基準で0.
1〜10重量%の5価のNb及びTaからなる群から選
ばれた少なくとも1種のドーパントとからなり、粒度分
布におけるD90の粒径が0.01〜5μmであり、比表
面積が5〜100m2/gであり、体積抵抗率が10-2
103 Ω・cmである高導電性超微粉二酸化スズ、及び
第二スズ塩及びNb又はTaの化合物を含有する溶液と
中和溶液とをそれぞれ別々に同時に反応槽に導入し、導
入後直ちに両溶液を一緒に高速撹拌し、この際反応槽内
をpH2〜12の範囲内で所定の一定pH値に維持して
共沈殿物を連続的に析出させ、共沈殿物を回収し、乾燥
し、その後不活性又は弱還元性雰囲気中で焼成して導電
性を付与することからなる製造方法。 【効果】 毒性が無く安全であり、アンチモンに起因す
るような青黒味が無く、それ自体透明性に優れており、
着色剤を併用することにより任意の色調を得ることがで
き、対湿性、経時安定性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高導電性超微粉二酸化ス
ズ及びその製造方法に関し、更に詳しくは、長期間の貯
蔵安定性を有し、帯電・静電防止機能が要求される薄膜
塗料分野、荷電調整が要求される複写機関連の帯電ロー
ラー、感光ドラム、トナー等の分野、アンチモンの毒性
が問題視される帯電・静電防止分野、ガスセンサー用焼
結体原料粉末としての分野、埃付着防止が要求されるC
RT、ブラウン管等の分野、光ディスク、FD、テープ
等の磁気記録媒体分野、太陽電池、液晶ディスプレイ等
の内部電極、更には電極改質剤として電池分野等に利用
され、またその利用の際に、塗料、インク、エマルジョ
ン、繊維その他のポリマー中に容易に分散混練でき、塗
料に添加して薄膜として被覆された場合に高透明性であ
り、且つ導電性に優れた高導電性超微粉二酸化スズ及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリマーは導電性粒子の添加により導電
性になし得ることが知られており、プラスチックや塗料
等に混入してそれらに導電性を付与することのできる微
細物質として、金属粒子又はカーボンブラック粒子、並
びに酸化亜鉛粒子もしくはヨウ化物の如き半導体酸化物
からなる粒子、アンチモンあるいはフッ素等をドープし
た酸化錫粉末、アルミニウム等をドープした酸化亜鉛粉
末あるいは酸化錫を被覆した酸化チタン、酸化アルミニ
ウム等の粉末、並びに酸化錫を被覆したガラスファイバ
ー、チタン酸アルカリ金属塩繊維、酸化チタン繊維等の
物質が知られている。
【0003】金属粒子又はカーボンブラック粒子の使用
に伴なう欠点は、そのような添加剤を含むポリマーは黒
色となることであり、このことが多くの場合に望ましく
ないことである。酸化亜鉛粒子を使用すると、温度・湿
度依存性により導電性がばらつくという望ましくない結
果を招く。また、アンチモンをドープした酸化錫粉末は
導電性付与性に優れているがそのアンチモンドープに起
因して青黒味の色調を呈するので白色度に若干問題があ
り、更にそのアンチモンの毒性が懸念され、従ってその
用途が限定されていた。それでアンチモンを含有しない
導電性粉末として酸化錫で被覆された酸化チタン粉末の
製造方法が開示されている(特開平4−154621
号)。
【0004】従来、導電性二酸化スズの製造方法として
は、加熱水中で塩化スズ及び塩化アンチモンを加水分解
して共沈殿物として得る方法(特開昭56−15660
6号)や、アルカリ物質を添加してpH8以上に維持し
ながら加熱水中で塩化スズ及び塩化アンチモンを加水分
解して共沈殿物として得る方法(特開昭57−7182
2号)が知られている。しかし、これらの方法で得られ
るアンチモンをドープした二酸化スズは導電性には優れ
ているが、アンチモンのドープに起因して青黒味の色調
を呈するので白色度に問題があり、また、アンチモンの
毒性が懸念されるので用途が限定されている。更に、そ
れらの加水分解反応による製造方法では粒径のコントロ
ールが困難で、ブロードな粒度分布の粉末になることが
多いという問題がある。
【0005】また、第二スズ塩及びアンチモン塩を含む
酸性溶液とアルカリ溶液との中和沈殿反応により得られ
た共沈殿物を空気中(酸化性雰囲気中)で焼成して導電
性二酸化スズを製造する方法(特開昭63−11242
1号、特開平4−62713号及び特開平4−7731
7号)も知られている。しかし、これらの方法で得られ
る二酸化スズもアンチモンのドープに起因した上記と同
様の問題があり、また、中和沈殿反応は両液の拡散が遅
く、濃度が不均一になり、核発生の時期が揃わず、ブロ
ードな粒度分布の沈殿が析出することになる。しかも、
析出後も速やかに反応槽外に排出されず、反応槽中に長
く滞留する間に結晶成長が進み、粒径の大きな粉末にな
る。
【0006】アンチモンを含まない導電性二酸化スズの
製造方法としては、pH10以上のアルカリ溶液に塩化
スズ溶液を滴下し、沈殿させ、その共沈殿物を真空中又
は還元性雰囲気中で焼成して高導電性超微粉二酸化スズ
を得る方法(特公昭62−1572号、特公昭62−1
573号、特公昭62−1574号及び特開平2−32
213号)が知られている。この場合にはアンチモンの
毒性の問題はないが、得られる二酸化スズ粉末の体積抵
抗率はいずれも104 〜107 Ω・cmと高く、また、
一般に湿度変化に対してその導電性は必ずしも安定では
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】アンチモンを含有しな
い二酸化スズはアンチモンを含有する二酸化スズよりも
一般に体積抵抗率が高く、また長期間の貯蔵で導電性の
劣化招くので二酸化スズに良好な導電性を付与するため
にアンチモン等のドーパントを添加しているが、近年ア
ンチモンのドープに起因する青黒味の色調及びアンチモ
ンの毒性が問題視されている。それでアンチモンを含有
せず、色調が改善されており、安全であり、経時安定性
に優れており且つ導電性の向上した二酸化スズが強く求
められている。更に、塗料に添加して薄膜として被覆し
た場合の高透明性も要求されているため、可視光(40
0〜800nm)の半波長以下の一次粒子径にし、樹脂
中の分散性を高めることが好ましい。
【0008】本発明者らは上記のような事情に鑑み、上
記のような欠点のない高導電性超微粉二酸化スズ及びそ
の製造方法を提供することを目的として鋭意検討を重ね
て、本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の高導電性
超微粉二酸化スズは、二酸化スズと該二酸化スズの重量
基準で0.1〜10重量%の5価のNb及びTaからな
る群から選ばれた少なくとも1種のドーパントとからな
り、粒度分布におけるD90の粒径が0.01〜5μmで
あり、比表面積が5〜100m2/gであり、体積抵抗率
が10-2〜103 Ω・cmであることを特徴とする。
【0010】また、本発明の高導電性超微粉二酸化スズ
の製造方法は、第二スズ塩を0.5〜10mol/l の濃度
で含有し且つ該第二スズ塩を二酸化スズに換算した該二
酸化スズの重量基準で0.1〜10重量%のNb又はT
aとなる量の5価のNb及びTaの化合物からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の化合物を含有するアルカリ
性溶液又は酸性溶液と、該Nb又はTa化合物含有第二
スズ塩溶液を中和する中和溶液とをそれぞれ別々に同時
に連続して反応槽(例えば、反応槽の槽底)に導入し、
導入後直ちに両溶液を一緒に高速撹拌して瞬時に両溶液
の均一混合、均一核発生、共沈殿物の微細分散を促進
し、この際反応槽内をpH2〜12の範囲内で所定の一
定pH値に維持して微細でシャープな粒度分布を持つ共
沈殿物を連続的に析出させ、反応後の溶液及び反応共沈
殿物をスラリーとして反応槽(例えば、反応槽上部)よ
り連続して排出し、そのスラリーを固液分離処理して共
沈殿物を回収し、乾燥し、その後不活性又は弱還元性雰
囲気中、300〜800℃で焼成して導電性を付与する
ことを特徴とする。
【0011】本発明の高導電性超微粉二酸化スズは体積
抵抗率が低く、経時安定性に優れ、しかも高導電性超微
粉二酸化スズ自体が白色あるいは透明性に優れ、それで
高導電性超微粉二酸化スズと共に着色剤を添加すること
によって任意の色調が得られ、またアンチモンを含有し
ていないので毒性の問題もなく、樹脂中への高い分散性
を有し、高品質で安価なものである。
【0012】本明細書において、粒度分布における
10、D50及びD90の粒径とは、微粉の量を粒径の小さ
い方から累積してそれぞれ10%、50%及び90%と
なる部分の微粉の粒径を意味する。
【0013】以下、本発明を更に詳細に説明する:本発
明の高導電性超微粉二酸化スズにおいては、二酸化スズ
の重量基準で0.1〜10重量%の5価のNb及びTa
からなる群から選ばれた少なくとも1種のドーパントを
含有する。該ドーパントの含有量が0.1重量%未満の
場合には、その添加効果が発揮されず、また10重量%
を越えて添加しても添加効果が頭打ちとなり、逆に導電
性に悪影響を及ぼすので好ましくない。本発明の高導電
性超微粉二酸化スズにおいては、粒度分布におけるD90
の粒径が0.01〜5μmであり、比表面積が5〜10
0m2/gであり、体積抵抗率が10-2〜103 Ω・cm
である。粒度分布におけるD90の粒径が0.01μm未
満であるか、比表面積が100m2/gを越える場合に
は、低温焼成でも焼結する傾向が高くなるので好ましく
ない。また、粒度分布におけるD90の粒径が5μmを越
えるか、比表面積が5m2/g未満である場合には、粗大
粒子となり、塗料に添加して薄膜として被覆した場合に
透明性を損なう傾向が高くなるので好ましくない。本発
明の目的を達成するためには体積抵抗率が103 Ω・c
m以下であることが必要であり、また、本発明の製造方
法でで得られる高導電性超微粉二酸化スズの体積抵抗率
の下限は10-2Ω・cm程度である。
【0014】本発明の製造方法においては、用いるNb
又はTa化合物含有第二スズ塩溶液は酸性溶液又はアル
カリ性溶液のいずれでもよく、またその第二スズ塩、N
b化合物、Ta化合物としては特に限定されるものでは
ない。例えば、Nb又はTa化合物含有第二スズ塩溶液
が酸性溶液である場合には、第二スズ塩として塩化ス
ズ、硫酸スズ、硝酸スズ、酢酸スズ等を用いることがで
き、Nb化合物又はTa化合物として塩化物、フッ化
物、硫酸塩、ハロゲン化物等を用いることができ、それ
らのNb化合物又はTa化合物を溶液、例えば水溶液、
アルコール溶解液として第二スズ塩溶液に添加してNb
又はTa化合物含有第二スズ塩溶液として用いることが
できる。また、Nb又はTa化合物含有第二スズ塩溶液
がアルカリ性溶液である場合には、第二スズ塩としてス
ズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム等を用いることがで
き、Nb化合物又はTa化合物として塩化物、フッ化
物、硫酸塩、ハロゲン化物、K2 NbOF5 ・H2 O等
を用いることができ、それらのNb化合物又はTa化合
物を溶液、例えば水溶液、アルコール溶解液として第二
スズ塩溶液に添加してNb又はTa化合物含有第二スズ
塩溶液として用いることができる。
【0015】Nb又はTa化合物含有第二スズ塩溶液中
の第二スズ塩の濃度は0.5〜10mol/l(SnO2
して75〜1500g/l)であることが好ましい。第二
スズ塩の濃度が0.5mol/l 未満の場合には生産能力が
低すぎ、また第二スズ塩の濃度が10mol/l を越える場
合にはpH値を一定に維持することが困難であり、その
ことに起因して粒度分布がブロードになりやすく、また
pH電極等へのスケールの付着等の問題が発生しやすく
なるので好ましくない。Nb又はTa化合物含有第二ス
ズ塩溶液中のNb化合物又はTa化合物の濃度は第二ス
ズ塩を二酸化スズに換算した該二酸化スズの重量基準で
0.1〜10重量%であることが好ましい。その添加量
が0.1重量%未満の場合には、その添加効果が発揮さ
れず、また10重量%を越えて添加しても添加効果が頭
打ちとなり、逆に導電性に悪影響を及ぼすので好ましく
ない。
【0016】上記のNb又はTa化合物含有第二スズ塩
溶液を中和する中和溶液としては、Nb又はTa化合物
含有第二スズ塩溶液が酸性溶液である場合には、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、炭酸ナトリ
ウム等の水溶液を用いることができ、またNb又はTa
化合物含有第二スズ塩溶液がアルカリ性溶液である場合
には、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等の希釈水溶液を用いる
ことができる。中和溶液の濃度はNb又はTa化合物含
有第二スズ塩溶液の濃度の0.5〜5倍であることが好
ましい。中和溶液の濃度が希薄過ぎると廃液量がいたず
らに増加して廃液処理に費用がかさみ、逆に中和溶液の
濃度が濃厚過ぎるとpH値を一定に維持することが困難
であり、そのことに起因して粒度分布がブロードになり
やすく、またpH電極等へのスケールの付着等の問題が
発生しやすくなるので好ましくない。
【0017】本発明の製造方法においては、両溶液が出
会う反応槽内、好ましくは反応槽の槽底付近で両溶液を
一緒に高速撹拌するので、不均一沈殿が未然に防止さ
れ、瞬時に両溶液の均一混合、均一核発生、共沈殿物の
微細分散が促進される。なお、この際に、反応槽内をp
H2〜12、好ましくはpH3〜9の範囲内で所定の一
定pH値に維持する。このpH範囲を逸脱すると反応効
率が低下して二酸化スズの回収率が低下するので好まし
くなく、更にpHが2未満の場合には粒度分布がブロー
ドで粗大粒子となり、塗料に添加して薄膜として被覆し
た場合に透明性を損なう傾向が高くなるので好ましくな
い。また、pHが12を越える場合には析出粒子がマイ
ナスに帯電するので二次凝集が起こりにくく、粒子径が
微細になりすぎ、従って後工程の固液分離が困難にな
り、また洗浄によってもアルカリ分を除去し切れないた
め、得られる二酸化スズの導電性を悪化させるので好ま
しくない。本発明の製造方法において反応槽内を所定の
一定pH値に維持することはNb又はTa化合物含有第
二スズ塩溶液及び中和溶液の導入流量を調整することに
よって容易に達成できる。
【0018】本発明の製造方法においては、所定量のN
b又はTa化合物含有第二スズ塩溶液及び中和溶液をそ
れぞれ別々に同時に連続して反応槽に導入し、反応後の
溶液及び反応共沈殿物をスラリーとして反応槽より連続
して排出し、好ましくは、所定量のNb又はTa化合物
含有第二スズ塩溶液及び中和溶液をそれぞれ別々に同時
に連続して反応槽の槽底に導入し、槽底より反応槽上部
への連続した上向流となし、反応後の溶液及び反応共沈
殿物をスラリーとして反応槽上部より連続して排出し、
そのスラリー量は導入されたNb又はTa化合物含有第
二スズ塩溶液及び中和溶液の合計量と同量であり、従っ
て常に一定量が反応槽中に滞留する。また両溶液の混合
液は常に一定のpHに維持されており且つ高速撹拌され
ており、しかも均一に溶解していたNb又はTaが核発
生のポイントになり同じタイミングでの二酸化スズの均
一析出を促進するので、瞬時に両溶液の均一混合、均一
核発生、共沈殿物の微細分散が促進され、微細でシャー
プな粒度分布を持つ水和二酸化スズの均一共沈殿物が連
続的に析出される。なお、この沈殿反応は、特には限定
されないが、一般的には30〜90℃で実施される。
【0019】上記のようにして得られたスラリーを固液
分離処理(濾過)し、洗浄して共沈殿物を回収し、乾燥
し、その後不活性又は弱還元性雰囲気中、300〜80
0℃、好ましくは450〜700℃で焼成する。焼成温
度が300℃未満の場合には二酸化スズが十分には結晶
化されないので導電性が不十分である。また、800℃
を越える場合には焼結して粗大粒子が生じ、塗料に添加
して薄膜として被覆した場合に透明性が得られない。
【0020】本発明の製造方法で採用する焼成雰囲気は
2 、He、Ne、Ar、Kr等の不活性ガス雰囲気で
も、これらの不活性ガスにH2 又はCO等の還元性ガス
を20 vol%以下、好ましくは0.1〜5 vol%の濃度
で添加した弱還元性雰囲気でもよい。不活性ガス中に添
加する還元性ガスの濃度が20 vol%を越える還元性雰
囲気を用いると、化学量論比の二酸化スズよりも更に還
元が進み、空気中に取り出した際に、急激に酸化され、
時には発火して焼結することがある。また、還元の進行
で生成二酸化スズが濃い茶褐色になり、色調の面で好ま
しくない。
【0021】本発明の製造方法において、詳細は不明で
あるが、弱還元性雰囲気は二酸化スズ中の電子密度(キ
ャリア濃度)を増加させて導電性を付与するのに貢献し
ている。これは、二酸化スズ焼結体ガスセンサーが水素
等の可燃性ガスに触れた際に導電性が向上するという良
く知られた現象と類似している。即ち、還元処理により
二酸化スズ表面が局部的に金属スズに還元され、フェル
ミレベルが電導帯に移動して導電化されることによるも
のと思われる。従って、焼成雰囲気を弱還元性雰囲気と
し、二酸化スズSnO2 の化学量論比から僅かに酸素欠
損が生じた程度SnO2-x に焼成することが好ましい。
詳細な機構は不明であるが、Nb、Taは焼成工程を通
じて導電性付与に寄与し、焼成後はドーパント無しの二
酸化スズに比較して酸素欠損を安定に保護し、経時安定
性に寄与する。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はかかる実施例によって限定されるもの
ではない。
【0023】実施例1 NbCl5 11.7g(Nb換算量4g)を47gの3
6%HClに溶解し、60重量%SnCl4 溶液114
1g(SnO2 換算量で396g)と水750gとを混
合して1.5リットルのNb化合物含有第二スズ塩溶液
を得た。また、25%アンモニア水1.5リットルと水
1.5リットルとを混合して3リットルの中和溶液を得
た。両溶液を6000rpmの高速撹拌中の反応槽の槽
底に定量ポンプで連続して送液した。Nb化合物含有第
二スズ塩溶液の流量を40ml/minに固定し、反応槽内の
pH値がpH3、pH5及びpH7の各値で安定するよ
うに中和溶液の流量をそれぞれ53ml/min付近、57ml
/min付近及び63ml/min付近で調整した。各々のpHに
おける反応時間は10分程であり、この間の反応槽中の
温度は各々60〜80℃であった。得られた各々のpH
毎のスラリーを反応槽の上部より連続して排出し、順次
個別に濾過し、洗浄し、乾燥させた後、水平環状炉中で
2 +H2 混合ガス(300ml/min+25ml/min)雰囲
気下で各々450℃で2時間焼成した。
【0024】得られた各々の粉末を2ton/cm2 の圧力で
加圧成形して試験片を作成し、試験片の体積抵抗率は三
菱油化製、抵抗測定器ロレスタAPを用いて測定し、粉
末の比表面積はカンタクローム製、カンタソーブを用い
てBET法で測定し、粒度分布はリーズ&ノースラップ
インスツルメント社製、マイクロトラックを用いて測定
し、色差はスガ試験機製、カラーコンピューター色差計
SM−5型を用いてL* 、a* 、b* を測定した。ここ
で、粒度分布測定の前処理として、分散剤ヘキサメタリ
ン酸ソーダを添加した水溶液中に粉末を入れ、10分間
超音波照射した懸濁液を試料として使用した。それらの
評価結果を表1に示す。
【0025】実施例2 TaCl5 19.8g(Ta換算量10g)をエタノー
ル100mlに溶解した溶液及び60重量%SnCl4
溶液1412g(SnO2 換算量で490g)と水とを
混合して1.6リットルのNb化合物含有第二スズ塩溶
液を得た。また、中和溶液として25%NaOH水溶液
を2.5リットル調製した。この後は実施例1と同様に
処理し、実施例1と同様にして評価した。それらの評価
結果を表1に示す。
【0026】実施例3 32.3gのK2 NbOF5 ・H2 O(Nb換算量10
g)を25%NaOH水溶液100mlに溶解した溶液
及びNa2 SnO3 ・3H2 O(40%Sn)1950
g(SnO2 換算量で990g)と水5900gとを混
合して6リットルのNb化合物含有第二スズ塩溶液を得
た。また、20%H2 SO4 水溶液を10リットル調製
して中和溶液とした。この両溶液を用いて、pHをそれ
ぞれ5、7及9とする以外は実施例1と同様の処理によ
って得られた乾燥後の粉末を水平環状炉中でN2 ガス流
量300ml/minで各々600℃、500℃及び400℃
で2時間焼成した。得られた各々の粉末を実施例1と同
様にして評価した。それらの評価結果を表1に示す。
【0027】比較例1 Nbを添加しなかった以外は実施例1と同様に処理し、
同様に評価した。それらの評価結果を表1に示す。
【0028】比較例2 反応槽中のpHをそれぞれ1及び13に変更した以外は
実施例1と同様に処理し、同様に評価した。それらの評
価結果を表1に示す。
【0029】比較例3 特開昭56−156606号公報に記載の発明と同様な
加熱加水分解法によって超微粉二酸化スズの析出を試み
た。即ち、SnCl4 51.3g(SnO2 換算量で2
9.7g)及びNbCl5 8.7g(Nb換算量0.3
g)をエタノール200mlに溶解させた溶液を95℃
以上に加熱、撹拌中の熱水500ml中に1時間かけて
滴下した。その後、1時間撹拌を継続して熟成を行い、
固液分離し、乾燥した後、N2 雰囲気下450℃で2時
間焼成した。得られた粉末の評価結果を表1に示す。
【0030】
【表1】 表1のデータから明らかなように、本発明の製造方法で
得られた高導電性超微粉二酸化スズの粒度分布はシャー
プである。
【0031】実施例4 実施例1、2及び3ならびに比較例1においてpH7の
条件下で得た導電性超微粉二酸化スズを恒温恒湿(80
℃、90%RH)下に放置し、その体積抵抗率(Ω・c
m)の経時変化を調べた。その結果は表2に示す通りで
あった。
【0032】
【表2】 表2のデータから明らかなように、本発明の製造方法で
得られた高導電性超微粉二酸化スズは対湿性、経時安定
性に優れている。
【0033】
【発明の効果】本発明の高導電性超微粉二酸化スズはア
ンチモンを含有していないので毒性が無く安全であり、
アンチモンに起因するような青黒味が無く、それ自体透
明性に優れており、着色剤を併用することにより任意の
色調を得ることができ、対湿性、経時安定性に優れてお
り、帯電・静電防止又は荷電調整用途に対して十分な導
電性を有しており且つ樹脂中への高い分散性を有してい
るので、繊維、エマルジョン、インク、塗料、紙、プラ
スチック、ゴム、樹脂等に混入してそれらに導電性を付
与することができ、ガスセンサー、CRT、ブラウン管
等の埃付着防止に利用でき、帯電ローラー、感光ドラ
ム、トナー、光ディスク、FD、テープ等の磁気記録媒
体や太陽電池、液晶ディスプレイ等の内部電極等に用い
ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二酸化スズと該二酸化スズの重量基準で
    0.1〜10重量%の5価のNb及びTaからなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種のドーパントとからなり、粒
    度分布におけるD90の粒径が0.01〜5μmであり、
    比表面積が5〜100m2/gであり、体積抵抗率が10
    -2〜103 Ω・cmであることを特徴とする高導電性超
    微粉二酸化スズ。
  2. 【請求項2】 第二スズ塩を0.5〜10mol/l の濃度
    で含有し且つ該第二スズ塩を二酸化スズに換算した該二
    酸化スズの重量基準で0.1〜10重量%のNb又はT
    aとなる量の5価のNb及びTaの化合物からなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の化合物を含有するアルカリ
    性溶液又は酸性溶液と、該Nb又はTa化合物含有第二
    スズ塩溶液を中和する中和溶液とをそれぞれ別々に同時
    に連続して反応槽に導入し、導入後直ちに両溶液を一緒
    に高速撹拌して瞬時に両溶液の均一混合、均一核発生、
    共沈殿物の微細分散を促進し、この際反応槽内をpH2
    〜12の範囲内で所定の一定pH値に維持して微細でシ
    ャープな粒度分布を持つ共沈殿物を連続的に析出させ、
    反応後の溶液及び反応共沈殿物をスラリーとして反応槽
    より連続して排出し、そのスラリーを固液分離処理して
    共沈殿物を回収し、乾燥し、その後不活性又は弱還元性
    雰囲気中、300〜800℃で焼成して導電性を付与す
    ることを特徴とする高導電性超微粉二酸化スズの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 Nb又はTa化合物含有第二スズ塩溶液
    及び中和溶液をそれぞれ別々に同時に連続して反応槽の
    槽底に導入し、槽底より反応槽上部への連続した上向流
    となし、反応後の溶液及び反応共沈殿物をスラリーとし
    て反応槽上部より連続して排出することを特徴とする請
    求項2記載の製造方法。
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