JP5285412B2 - 錫ドープ酸化インジウム粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
観察像における前記粒子の面積に占める、前記電子線の透過性が高く観察される前記中央域の面積の割合が、画像解析式粒度分布測定システムを用いて測定して、2〜15%であり、
一次粒子の平均粒径が5〜25nmで、かつ不定形の扁平な形状であることを特徴とする錫ドープ酸化インジウム粒子を提供するものである。
インジウム換算の濃度が320g/lである硝酸インジウム水溶液15.6リットルと、錫換算の濃度が120g/lである塩化第二錫水溶液3.12リットルとを混合し、更に純水を加えて500リットルにメスアップした。メスアップ後の水溶液中のインジウムの濃度は10g/l、錫の濃度は0.75g/lであった。
実施例1において、アンモニアの滴下による混合水酸化物の生成を、反応系のpHが6.5となった時点で終了した。それ以外は実施例1と同様にして、目的とするITO粒子を得た。得られたITO粒子及び焼成前の混合水酸化物のTEM像を図2に示す。同図から明らかなように、本比較例で得られたITO粒子は、粒子どうしが凝集しており、分散性が低いことが判る。また、焼成前の水酸化物においても粒子どうしの凝集が甚だしく、分散性が低いことが判る。
合成条件を、以下の表1に示す条件とした以外は、実施例1と同様にしてITO粒子を得た。実施例2ないし4で得られたITO粒子のTEM像を図3に示す。また、比較例2及び3で得られたITO粒子のTEM像を図4に示す。
ITOターゲットを用い、スパッタリングによって厚み120nmのITO薄膜を成膜した。基板にはガラス基板を使用した。DCマグネトロンスパッタ装置を用い、酸素分圧をコントロールして成膜した。スパッタの条件としてスパッタ圧力0.3Pa(酸素分圧0.01Pa)、出力600Wの条件を採用した。
実施例及び比較例で得られたITO粒子について、ITO粒子の面積に占める高透過性部位の占める割合を以下の方法で測定した。またITO粒子の諸物性値を以下の方法で測定した。更に、ITO粒子を原料として調製された導電性インクから形成された薄膜の全光線透過率及び表面抵抗を以下の方法で測定した。それらの結果を表2に示す。また同表には、参考例1の測定結果も併せて記載されている。
(株)マウンテック社の画像解析式粒度分布装置システム「マックビュー」を用い、50個の粒子を対象として測定した。測定に際して、まずTEM画像のスケールバーより換算長さを読み取り、粒子それぞれについて、それらの形状に沿って形状認識を実施した。規定個数の形状認識後、画像解析ソフトにて粒子測定を実施し、得られた粒子面積の合計値を(Total Area)Taとした。更に、測定に使用した粒子の明部を同様に選択し、明部の面積の合計値を(Bright Area)Baとした。Ba/Ta×100(%)にて、ITO粒子の面積に占める高透過性部位の占める割合を求めた。
ITO粒子1gを50mlの水に入れて超音波分散させた。この液をスポイトで採取し、コロジオン溶液の中に1滴滴下してコロジオン膜を作成し、銅メッシュで掬い取った。膜を乾燥させた後カーボン蒸着してTEM(日立製作所製H−9000NAR)にて観察した。この際、任意の50個の粒子を選定し、粒子を横切る最大長さを測定し、測定値を平均した。
ITO粉末を酸に溶解させ、ICP法によってSnO2の含有量を測定した。
直径45mm、深さ10mmのアルミニウム製カップにITO粒子を充填し、これをプレス成型機にて加圧力49MPaで加圧成型してペレットとした。このペレットについて、四探針抵抗測定機(三菱化学株式会社製ロレスタGP)を用いて体積抵抗率を測定した。
BET多点法により測定した。
容積100mlのポリエチレン製ボトルに、ITO粒子10gとエチレングリコール40gとを混合した液を入れた。更に、ジルコニアビーズ(Φ0.1mm)300gを入れ、ペイントシェイカーを用いて3時間分散処理を行った。得られた分散液を、加圧濾過器を使用して、0.2μmのメンブランフィルターを通過させた。得られたスラリー1gとZr系カップリング剤(BZ−125)0.2gを、自転・公転ミキサー(シンキー社製の「泡取り錬太郎」)を用いて60秒間混合しインクを得た。このインクを、スピンコーター(ミカサ社製IH−D7)を用いてガラス基盤(OA−10)に塗布し成膜を行った。この膜を120℃の乾燥機中で1時間乾燥させて、導電性薄膜を得た。この薄膜の膜厚を電子顕微鏡で観察したところ約300nmであった。この薄膜を日本電色工業社の光線透過率測定装置NDH−1001DPを用いて全光線透過率を測定した。また、この薄膜について、四探針抵抗測定機(三菱化学製ロレスタGP)を用いて表面抵抗を測定した。
X線源としてCu管を用い、自動X線回折装置RINT2200(株式会社リガク製)によって測定を行った。測定範囲は20°≦2θ≦40°とした。結晶子径の決定には、2θ=21.5°、30.5°、35.5°、37.7°のピークを用いた。結晶子径は、これらのピークからWillson法により得られる値を用い、最小自乗法から求めた。
ITO粒子10gとエチレングリコール40gとを混合した液に、ジルコニアビーズ(φ0.3mm)300gを加え、ペイントシェイカーを用いて3時間分散処理を行った。分散によって得られたスラリーを、加圧濾過器を使用して、0.8μmと0.45μmのメンブレンフィルターをそれぞれ通過させた。そのときのITO粒子の通過量及び時間を測定した。ITO粒子の通過量は、全量通過したときを「○」、50%以上の粒子が通過したときを「△」、50%未満の粒子しか通過しないときを「×」とした。
また、実施例1及び比較例1のITO粒子について、インク調製後の分散状態をTEM観察した。それらの結果を図1(c)及び図2(c)にそれぞれ示す。
Claims (7)
- 透過型電子顕微鏡を用いて観察した場合に、粒子内の中央域が周縁域よりも、電子線の透過性が高く観察され、
観察像における前記粒子の面積に占める、前記電子線の透過性が高く観察される前記中央域の面積の割合が、画像解析式粒度分布測定システムを用いて測定して、2〜15%であり、
一次粒子の平均粒径が5〜25nmで、かつ不定形の扁平な形状であることを特徴とする錫ドープ酸化インジウム粒子。 - 請求項1記載の錫ドープ酸化インジウム粒子を含むことを特徴とする導電性インク。
- 請求項2記載の導電性インクを用いて製造され、厚みが100〜300nmで、波長400nmでの全光線透過率が95%以上である導電性膜。
- 請求項1記載の錫ドープ酸化インジウム粒子の製造方法であって、
インジウム換算の濃度が5〜15g/lのインジウム塩、及び錫換算の濃度が0.3〜1.2g/lの錫塩を含む水溶液に、pHが3.0〜4.3となるようにアルカリを添加して、錫及びインジウムを含む沈殿物を生成させ、該沈殿物を還元焼成することを特徴とする錫ドープ酸化インジウム粒子の製造方法。 - インジウム塩が硝酸インジウムであり、錫塩が塩化第二錫である請求項4記載の製造方法。
- アルカリがアンモニア水であり、該アンモニア水の添加時間が5〜30分である請求項4又は5記載の製造方法。
- 0〜30℃で前記沈殿物を生成させる請求項4ないし6のいずれかに記載の製造方法。
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