JPH06343989A - 活性汚泥の異常現象防止剤および活性汚泥の異常現象防止法 - Google Patents

活性汚泥の異常現象防止剤および活性汚泥の異常現象防止法

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JPH06343989A
JPH06343989A JP5135920A JP13592093A JPH06343989A JP H06343989 A JPH06343989 A JP H06343989A JP 5135920 A JP5135920 A JP 5135920A JP 13592093 A JP13592093 A JP 13592093A JP H06343989 A JPH06343989 A JP H06343989A
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activated sludge
sludge
weight
aeration tank
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Naoki Akiyama
直樹 秋山
Toshihiko Hamanishi
利彦 浜西
Masuya Ichioka
増也 市岡
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Mitsubishi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 活性汚泥法においてバルキング等の現象を引
き起こす糸状性細菌、または発泡現象およびスカム化等
の異常現象を引き起こす放線菌を特定的に殺滅すること
により、活性汚泥の異常現象を防止する異常現象防止剤
および異常現象防止法を提供する。 【構成】 活性汚泥法による廃水の処理において、1ー
アルキルピリジニウムハライドを有効成分として含有す
ることを特徴とする活性汚泥の異常現象防止剤、また、
1ーアルキルピリジニウムハライドを有効成分として含
有する異常現象防止剤の有効成分を、1日あたり活性汚
泥の乾燥固形分100重量部に対して0.05重量部〜
5重量部の範囲で添加することを特徴とする活性汚泥の
異常現象防止法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性汚泥法において、
糸状性細菌による膨化現象、即ちバルキング(bulk
ing)現象、または放線菌による発泡現象、スカム化
等の異常現象を防止する異常現象防止剤および異常現象
防止法に関する。
【0002】
【従来の技術】廃水を生物学的に処理する方法の一つと
して、活性汚泥法がある。この方法は、下水、し尿およ
び各種産業廃水の処理方法として広く採用されている。
しかし、処理場に流入する廃水の流量、水温の変動、流
入廃水中の有機物の変動、更に下水道管内に生育した種
々のカビ、糸状性細菌、放線菌類等の微生物の種類に変
動が生じ、これらの変動に応じて活性汚泥中の微生物相
も変化し、糸状性細菌または放線菌が増加したりして、
種々の弊害が生じている。
【0003】処理場において糸状性細菌が増加すると、
汚泥が膨化して、沈澱槽において汚泥と水との固液分離
性が悪化する、更に、悪化すると汚泥が溢流し、処理水
のBODやCODの上昇を招いたり、廃水の処理能力が
低下して、場合によっては処理不能となる、いわゆるバ
ルキング現象が発生する。活性汚泥が正常に機能してい
るか否かの一つの目安として、SVI(Sludge
Volume Index、汚泥指標)値があり、活性
汚泥懸濁液を30分間静置した後に1g相当の活性汚泥
が占める体積をmlで表したものである(JIS B 9
944)。正常な機能を発揮する活性汚泥のSVI値は
200ml/g以下とされているが、糸状性細菌によって
バルキング現象を起こした活性汚泥のSVI値は300
〜1000ml/gにもなることがある。
【0004】このようにバルキングを起こした活性汚泥
がその機能を回復するのは容易ではなく、最悪の場合に
は汚泥の入れ替えの必要が生じ、工場等では汚泥を入れ
替える場合には汚泥の馴養がすむまで使用を中止しなけ
ればならず、工場における製品の生産計画に重大な影響
を与えることになる。公共下水処理場でも、膨化汚泥の
流出や汚泥濃度の低下により、BODの除去能率が低下
して、環境汚染につながり大きな社会問題になることが
ある。
【0005】このため、従来から活性汚泥法のバルキン
グ防止にはさまざまな対策が講じられてきた。その一つ
に汚泥に鉄塩、アルミニウム化合物、クリストバライト
(例えば特公昭62−46237号公報等参照)等の無
機系凝集剤、または陽イオン性アクリルアミド系高分子
凝集剤等の高分子凝集剤を添加し、汚泥フロックを凝集
させ沈降性を改善しようとする方法である。しかし、こ
れら無機系凝集剤または高分子凝集剤を添加して汚泥の
沈降性を改善する方法は、糸状性細菌の異常増殖防止に
対しては効果がないので、一時的に汚泥の沈降性を低下
させるものの長期間毎日の添加が必要であり、特に高分
子凝集剤の長期間の添加は、曝気槽等において活性汚泥
が気泡を包含しやすくなり、活性汚泥の処理能力が低下
し処理水のCODおよびBODの上昇を招く等の問題点
がある。
【0006】ほかには、塩素や過酸化水素、塩化ベンザ
ルコニウムや塩化ベンゼトニウム(例えば特公昭63ー
39562号公報等参照)、塩酸クロルヘキシジンやグ
ルコン酸クロルヘキシジン(例えば特開昭63ー146
802号公報等参照)を添加して糸状性細菌を死滅させ
る方法等があるが、これら薬剤の添加による方法では、
糸状性細菌のみならず有用な微生物をも不活性化してし
まうので、活性汚泥の機能の著しい低下を招くことがあ
る。
【0007】他方、薬剤の添加にたよらず、嫌気性好気
処理(例えば特開昭50−47459号公報等参照)
や、初沈槽を使用しないで多量の浮遊固形分(SS)を
混入させる方法等の運転条件だけで正常な微生物相に復
帰させる試みもされているが、満足な成果は得られてい
ない。また、放線菌による発泡現象やスカム等の発生に
対しては、カルボン酸エステル系化合物のような消泡剤
を散布する方法が知られている。しかし、この消泡剤を
散布する方法は、発泡現象やスカム等の発生をもたらす
放線菌の増殖に対しては効果がなく、発泡を一時的に抑
制するのみで長期間毎日の散布が必要である。このよう
に消泡剤を長期間毎日散布することは活性汚泥に対して
過剰の負荷を与えることになり、処理水のCODおよび
BODの上昇を招く等の問題を生じることになる。
【0008】1ーアルキルピリジニウムハライドの抗菌
性については、高麗寛紀・芝崎勲ら:J.Antiba
ct.Antifung.Agents、第8巻、N
o.5、第9頁〜第17頁(1980)に報告されてい
る。しかし、この文献には1ーアルキルピリジニウムハ
ライドの糸状性細菌および放線菌に対する抗菌性につい
ては記述されていないため、これが糸状性細菌および放
線菌に対して抗菌性を示し、かつバルキング現象、発泡
現象およびスカム化等の異常現象の防止に有効であるこ
とを示唆するものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実状に
鑑み、活性汚泥法においてバルキング等の現象を引き起
こす糸状性細菌、または発泡現象およびスカム化等の異
常現象を引き起こす放線菌を特定的に殺滅することによ
り、上記の活性汚泥の異常現象を防止する異常現象防止
剤および異常現象防止法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、活性汚泥法に
よる廃水の処理において、糸状性細菌または放線菌によ
って生じる異常現象を防止する異常現象防止剤であっ
て、1ーアルキルピリジニウムハライドを有効成分とし
て含有することを特徴とする、活性汚泥の異常現象防止
剤に関する。
【0011】また、活性汚泥法による廃水の処理におい
て、1ーアルキルピリジニウムハライドを有効成分とし
て含有する活性汚泥の異常現象防止剤の有効成分を、1
日あたり活性汚泥の乾燥固形分100重量部に対して
0.05重量部〜5重量部の範囲で添加することを特徴
とする、活性汚泥の異常現象防止法に関する。以下、本
発明を詳細に説明する。
【0012】(対象活性汚泥)本発明に係る異常現象防
止剤および異常現象防止法が対象とする活性汚泥は、糸
状性細菌によるバルキング現象、また放線菌による発泡
現象およびスカム化等の異常現象を生じるものである。
これらの糸状性細菌の中には、スフェロチルス(Sph
aerotilussp.)、タイプ021N、タイプ
0041、タイプ1701、タイプ1702、タイプ0
961、ミクロスリックス.パルビセラ(Microt
hrix parvicella)等があり、これらの
糸状性細菌は、D.H.Eikelboom:Wate
r Research 、第9巻、第365頁〜第38
8頁、Pergamon Press(1975年)に
定義されているものである。
【0013】また、放線菌には、ノカルディア.アマラ
エ(Nocardia amarae)のようなノカル
ディア属、ロドコックス.ロドクロウス(Rhodoc
occus rhdochrous)のようなロドコッ
クス属、ミコバクテリウム属(Mycobacteri
um)およびコリネバクテリウム属(Coryneba
cterium)等がある。
【0014】本発明に係る異常現象防止剤およびこれを
用いた異常現象防止法は、これらの糸状性細菌によるバ
ルキング現象、または放線菌による発泡現象およびスカ
ム等の異常現象を生じる徴候を有する、または異常現象
を生じた活性汚泥を含有する廃水に適用される。 (異常現象防止剤)本発明に係る異常現象防止剤は、1
ーアルキルピリジニウムハライドを有効成分とする。
【0015】1ーアルキルピリジニウムハライドは、下
記式の化1で表されるものである。
【0016】
【化1】
【0017】(化1中、Rはアルキル基、Xはハロゲン
を示す。)具体例としては、メチルピリジニウムクロラ
イド、エチルピリジニウムクロライド、プロピルピリジ
ニウムアイオダイド、ブチルピリジニウムブロマイド、
ヘキシルピリジニウムアイオダイド、デシルピリジニウ
ムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキ
サデシルピリジニウムブロマイド、オクタデシルピリジ
ニウムクロライド等があげれる。
【0018】1ーアルキルピリジニウムハライドは、ア
ルキルハライドとピリジンとの反応によって得られる。
具体的には、還流冷却器を備えた反応缶に等モルのアル
キルハライドとピリジンを仕込み、内温120〜130
℃で7〜10時間反応させることによって1ーアルキル
ピリジニウムハライドが得られる。反応終了時にはアミ
ン価がほぼゼロになったことを確認するとよい。また反
応には、水、および変性アルコール、グリコール類等の
有機溶媒を用いてもよい。アルキルハライドとしてはピ
リジンとの反応性においてアルキルアイオダイドが有利
であるが、経済的にはアルキルクロライドが有利であ
る。また、このようにして得られた1ーアルキルピリジ
ニウムハライドにおいては、特に炭素数12以上のアル
キル基を有する1ーアルキルピリジニウムハライドが糸
状性細菌および放線菌に対する抗菌性が優れており、異
常現象防止効果が高い。
【0019】(活性汚泥の異常現象防止法)異常現象を
防止する対象活性汚泥が、糸状性細菌または放線菌を含
有するものであることを除けば、本発明に係る異常現象
防止剤添加による活性汚泥の異常現象防止法は従来の方
法と同様である。1ーアルキルピリジニウムハライド
を、水などの溶媒に適当濃度に溶解して、以下のいずれ
かの方法により添加するのがよい。 (1)流入廃水に混和、混合し、これを曝気槽に送る方
法。 (2)活性汚泥法におけるバルキング等の現象が起こっ
ている曝気槽や沈澱槽に直接添加する方法。 (3)返送汚泥に添加する方法。
【0020】本発明に従って活性汚泥の異常現象を防止
する場合には、1日あたり活性汚泥の乾燥固形分100
重量部に対して、異常現象防止剤の有効成分を0.05
重量部〜5重量部の範囲で選んで添加するのがよく、よ
り好ましくは0.5重量部〜3重量部の範囲である。異
常現象防止剤の有効成分の添加量が0.05重量部未満
では本発明の目的が達成されず、5重量部を越えると糸
状性細菌または放線菌が急激に破壊されて、処理水が急
激に白濁したり、廃水とともに系外に流去され、場合に
よっては処理水のCODおよびBODを上昇させるので
好ましくない。
【0021】本発明に係る異常現象防止剤を添加するこ
とにより、活性汚泥の曝気槽や沈澱槽中の糸状性細菌ま
たは放線菌を減少させ、かつ活性汚泥の沈降性を回復さ
せることができるが、糸状性細菌または放線菌が減少
し、かつ、活性汚泥の沈降性が回復したら、それ以上異
常現象防止剤の添加を継続することは経済的に好ましく
ない。また、1日あたり活性汚泥の乾燥固形分100重
量部に対して、異常現象防止剤の有効成分を0.05重
量部〜5重量部の範囲で添加しても再び活性汚泥のSV
I値が上昇、または曝気槽上の発泡現象が認められる場
合は、上記範囲で数日間連続して添加するのがよい。
【0022】
【実施例】以下、本発明の内容および効果を実施例によ
り更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない
限り以下の例に限定されるものではない。 [活性汚泥に使用する試料の調整] 〈試料Aの調整〉等モルの1ードデシルクロライドとピ
リジンとを、反応温度120〜130℃で攪拌混合しな
がら反応させた。得られた反応組成物を水で希釈し、有
効成分の含有率を50重量%としたものを試料Aとし
た。
【0023】試料Aの、放線菌であるNocardia
amaraeに対する最小育成阻止濃度(以下「MI
C値」という。)、および糸状性細菌であるSphae
rotilus sp.に対するMIC値は、それぞれ
1〜10mg/lである。このMIC値の測定は、以下の
方法により行った。 (放線菌であるNocardia amaraeに対す
るMIC値の測定方法)予め試料を投与したイースト・
クラインスキィ培地に、純粋培養の放線菌であるNoc
ardia amaraeを接種した。これを25℃の
雰囲気下で振とう培養し、3日後のNocardia
amaraeの生育量を目視観察し、全くその生育が認
められなかった濃度を、その試料の最小生育阻止濃度
(mg/l)とした。
【0024】詳細な実験方法について、以下に述べる。 L字試験管にイースト・クラインスキィ培地を10ml
入れ、115℃で20分間の蒸気滅菌を行った。 イースト・クラインスキィ培地が室温まで低下した
後、所定量の試料をそれぞれ投与し、さらにNocar
dia amaraeを白金耳によって接種した。 これを25℃の雰囲気下のインキュベーター内で3日
間振とう培養した後、各実験区におけるNocardi
a amaraeの生育量を目視観察した。
【0025】イースト・クラインスキィ培地の組成は、
蒸留水1リットルあたり、グルコース:10g、L−ア
スパラギン:1g、K2HPO4:0.5g、Yeast
extract:2gを含むものである。 (糸状性細菌であるSphaerotilus sp.
に対するMIC値の測定方法)上記の放線菌であるNo
cardia amaraeに対するMIC値の測定方
法における培地を以下のものに代え、また、糸状性細菌
であるSphaerotilus sp.を接種したほ
かは、Nocardia amaraeに対するMIC
値の測定方法と同様な方法で測定した。
【0026】培地の組成は、蒸留水1リットルあたり、
グルコース:5.0g、MgSO4・7H2O:0.5
g、KCl:0.5g、CaCO3:0.05g、Fe
Cl3・6H20:0.0005g、Yeast ext
ract:1.0gを含むものである。 〈試料Bの調整〉等モルの1ーヘキサデシルクロライド
とピリジンとを、反応温度120〜130℃で攪拌混合
しながら反応させた。得られた反応組成物を水で希釈
し、有効成分の含有率を50重量%としたものを試料C
とした。
【0027】試料Bの、放線菌であるNocardia
amaraeに対するMIC値、および糸状性細菌で
あるSphaerotilus sp.に対するMIC
値は、それぞれ1〜10mg/lである。 〈試料Cの調整〉等モルの1ーオクタデシルクロライド
とピリジンとを、反応温度120〜130℃で攪拌混合
しながら反応させた。得られた反応組成物を水で希釈
し、有効成分の含有率を50重量%としたものを試料D
とした。
【0028】試料Cの、放線菌であるNocardia
amaraeに対するMIC値、および糸状性細菌で
あるSphaerotilus sp.に対するMIC
値は、それぞれ1〜10mg/lである。 実施例1 月平均1,200m3/日、BODが100mg/lの分
流式都市下水道廃水を処理している回分式の設備を有す
る公共下水処理場において、回分槽界面一面に発泡スカ
ムが見られた。回分槽容積は900m3であり、この時
の回分槽の汚泥濃度(MLSS)は2,000mg/l)
であった。
【0029】この回分槽の活性汚泥をそのままで、また
はグラム染色して顕微鏡観察したところ、放線菌である
Nocardia amaraeが多量に観察された。
この公共下水道処理場の活性汚泥を、実際の処理場を想
定した曝気槽容積3リットル、沈降槽容積が1リットル
の活性汚泥処理の小型模型に入れ、曝気槽の溶存酸素量
を3〜4mg/lに調節し、この公共下水道処理場の流入
水を170ml/時間で供給し、返送汚泥率を100%と
して連続運転した。
【0030】この小型模型の返送汚泥ラインに、試料A
0.12gを、1リットルの水に希釈して6時間を要し
て連続添加した。この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥
固形分100重量部に対しての有効成分1重量部に相当
する。この添加を3日間行った。試料Aの添加開始時か
ら1日後、3日後、10日後、20日後および30日後
の曝気槽界面上の発泡スカム量、および処理水のCOD
値を測定した。その結果を表1に示す。ただし、回分槽
界面上の発泡スカム量は、試料添加開始時の発泡スカム
の体積に対する割合、すなわち添加開始時の発泡スカム
の体積を100%とした百分率で表した。
【0031】実施例2 実施例1に記載の例において、試料Aを試料B0.06
g(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100
重量部に対しての有効成分0.5重量部に相当する。)
に代えたほかは、実施例1におけると同様な方法で、曝
気槽界面上の発泡スカム量、および処理水のCOD値を
測定した。その結果を表1に示す。
【0032】実施例3 実施例1に記載の例において、試料Aを試料C0.00
6g(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分10
0重量部に対しての有効成分0.05重量部に相当す
る。)に代えて10日間添加したほかは、実施例1にお
けると同様な方法で、曝気槽界面上の発泡スカム量、お
よび処理水のCOD値を測定した。その結果を表1に示
す。
【0033】比較例1 実施例1に記載の例において、試料Aを0.004g
(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重
量部に対しての有効成分0.03重量部に相当する。)
に代え20日間添加したほかは、実施例1におけると同
様な方法で、曝気槽界面上の発泡スカム量、および処理
水のCOD値を測定した。その結果を表1に示す。
【0034】比較例2 実施例1に記載の例において、試料Aを0.8g(この
添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重量部に
対しての有効成分6.7重量部に相当する。)に代え2
0日間添加したほかは、実施例1におけると同様な方法
で、曝気槽界面上の発泡スカム量、および処理水のCO
D値を測定した。その結果を表1に示す。
【0035】比較例3 実施例1に記載の例において、試料Aを0.01重量%
に希釈した特殊パラフィン系エステル化合物(大東薬品
工業(株)製のミネコンC)の消泡剤に代え8ml/分の
割合で(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分1
00重量部に対しての有効成分19.2重量部に相当す
る。)10日間添加したほかは、実施例1におけると同
様な方法で、曝気槽界面上の発泡スカム量、および処理
水のCOD値を測定した。その結果を表1に示す。
【0036】実施例4 月平均50,000m3/日、BODが70mg/lの合
流式都市下水道廃水を処理している公共下水処理場の活
性汚泥(MLSS=1,500mg/l)を、実施例1と
同様の活性汚泥処理の小型模型に入れ、曝気槽の溶存酸
素量を3〜4mg/lに調節し、以下に記載の合成下水を
170ml/時間で供給し、返送汚泥率を100%として
連続運転した。この合成下水の組成は、水道水:1リッ
トルあたり、グルコース:0.3g、酢酸ナトリウム:
0.3g、硫酸アンモニウム:0.1g、硫酸マグネシ
ウム:0.05g、塩化カリウム:0.05g、炭酸カ
ルシウム:0.05gを含むものである。
【0037】上記の運転条件で2日間連続運転を行い、
曝気槽の活性汚泥をそのままで、またはグラム染色して
顕微鏡観察したところ、フロックとフロックとの間に
は、フロック形成菌よりむしろスフェロチルスの糸状性
細菌の体積の方が多く観察された。また、曝気槽中の汚
泥のSVIが600ml/gを越えた。この小型模型の返
送汚泥ラインに、試料A0.1gを、1リットルの水に
希釈して6時間で連続添加した。この添加量は曝気槽の
活性汚泥の乾燥固形分100重量部に対しての有効成分
1.1重量部に相当する。この添加を3日間行った。
【0038】試料Aの添加開始から1日後、3日後、1
0日後、20日後および30日後の曝気槽中の汚泥のS
VI、および処理水のCOD値を測定した。その結果を
表2に示す。 実施例5 実施例4に記載の例において、試料Aを試料B0.06
g(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100
重量部に対しての有効成分0.7重量部に相当する。)
に代えたほかは、実施例4におけると同様な方法で、曝
気槽中の汚泥のSVI、および処理水のCOD値を測定
した。その結果を表2に示す。
【0039】実施例6 実施例4に記載の例において、試料Aを試料C0.00
4g(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分10
0重量部に対しての有効成分0.09重量部に相当す
る。)に代えて6日間添加したほかは、実施例4におけ
ると同様な方法で、曝気槽中の汚泥のSVI、および処
理水のCOD値を測定した。その結果を表2に示す。
【0040】比較例4 実施例4に記載の例において、試料Aを試料B0.00
4g(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分10
0重量部に対しての有効成分0.04重量部に相当す
る。)に代えて20日間添加したほかは、実施例4にお
けると同様な方法で、曝気槽中の汚泥のSVI、および
処理水のCOD値を測定した。その結果を表2に示す。
【0041】比較例5 実施例4に記載の例において、試料Aを試料B0.6g
(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重
量部に対しての有効成分6.7重量部に相当する。)に
代えたほかは、実施例4におけると同様な方法で、曝気
槽中の汚泥のSVI、および処理水のCOD値を測定し
た。その結果を表2に示す。
【0042】比較例6 実施例4の記載の例において、試料Aを次亜塩素酸ナト
リウム水溶液(有効塩素濃度5%)に代えて0.8g/
日(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100
重量部に対しての有効成分0.89重量部に相当す
る。)を7日間添加した。汚泥中に含有していた糸状性
細菌は減少しはじめたが、SVI値が390であり、ま
だ不十分であったため、更に0.8g/日を7日間連続
添加したほかは、実施例4と同様な方法で、曝気槽中の
汚泥のSVI、および処理水のCOD値を測定した。そ
の結果を表2に示す。
【0043】比較例7 実施例4に記載の例において、試料Aをカチオン系ポリ
アクリルアミド(栗田工業(株)製のクリフィックス
CP627)を0.2g/日(この添加量は曝気槽の活
性汚泥の乾燥固形分100重量部に対しての有効成分
4.4重量部に相当する。)を5日間連続添加したとこ
ろ、糸状性細菌を含んだ状態でSVI値が200になっ
たが、添加をやめた後は沈降性が悪化し、添加終了後か
ら2日後はSVI値が460になったので、更に0.2
g/日を5日間連続添加した(カチオン系ポリアクリル
アミドの合計添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分1
00重量部に対しての有効成分44重量部に相当す
る。)ほかは、実施例4におけると同様な方法で、曝気
槽中の汚泥のSVI、および処理水のCOD値を測定し
た。その結果を表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表1、表2および曝気槽中の活性汚泥の顕
微鏡観察より、次のことが明らかとなる。 (1)本発明に係る異常現象防止剤を使用すると、異常
現象防止剤を添加後速やかに放線菌による発泡スカム現
象が低下し、その持続効果が長いことが分かる。(実施
例1〜実施例3参照) (2)本発明に係る異常現象防止剤を使用すると、曝気
槽および沈降槽に存在する汚泥中の放線菌が極端に減少
し、活性汚泥がしっかりしたフロックを形成することが
顕微鏡観察より明かとなる。
【0047】(3)本発明に係る異常現象防止剤の添加
量が、本発明に係る防止法で規定する添加量より少ない
場合は、活性汚泥中の放線菌の減少が見られず、曝気槽
界面上の発泡スカムの極端な減少は見られなかった。ま
た、本発明に係る防止法で規定する添加量より多い場合
は、放線菌のみならず活性汚泥に有用なフロック形成菌
までもが破壊され、処理水が白濁した。(比較例1およ
び比較例2参照) (4)消泡剤を添加した場合は、一時的に曝気槽界面上
の発泡スカムが減少したが、添加をやめると、再び発泡
スカムが曝気槽界面に滞積した。また、長期間毎日添加
すると、処理水のCOD値の上昇を招いた。(比較例3
参照) (5)本発明に係る異常現象防止剤を使用すると、バル
キング現象防止剤を添加後速やかにSVI値が低下し、
活性汚泥の沈降性が著しく改善され、さらにその持続効
果が長いことが分かる。そして、本発明に係るバルキン
グ現象防止剤を使用して処理した処理水のCOD値は、
20mg/l以下であり、処理水として良好である。(実
施例4〜実施例6参照) (6)本発明に係る異常現象防止剤を使用すると、曝気
槽および沈降槽に存在する汚泥中の糸状性細菌が極端に
減少し、活性汚泥がしっかりしたフロックを形成するこ
とが顕微鏡観察より明かとなる。
【0048】(7)本発明に係る異常現象防止剤の添加
量が、本発明に係る防止法で規定する添加量より少ない
場合は、活性汚泥中の糸状性細菌の減少が見られず、S
VI値の極端な低下は見られなかった。また、本発明に
係る防止法で規定する添加量より多い場合は、糸状性細
菌のみならず活性汚泥に有用なフロック形成菌までもが
破壊され、処理水が白濁した。(比較例4および比較例
5参照) (8)次亜塩素酸ナトリウムを添加した場合は、糸状性
細菌のみならず有用なフロック形成菌までもが破壊さ
れ、処理水が非常に白濁した。(比較例6参照) (9)カチオン系ポリアクリルアミドを添加した場合
は、一時的に活性汚泥のSVI値が低下したが、添加を
やめると、再び活性汚泥のSVI値が上昇し、更にその
添加を繰り返すと、曝気槽において汚泥が気泡を抱き込
んで浮上し、良好な状態にならなかった。(比較例7参
照)
【0049】
【発明の効果】本発明は、以下のように特別に顕著な効
果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。 本発明に係る異常現象防止剤を使用すると、活性汚泥
法において、糸状性細菌による膨化現象、即ちバルキン
グ(bulking)現象、または放線菌による発泡現
象、スカム化等の異常現象を効果的に防止することがで
きる。 本発明に係る異常現象防止剤を使用すれば、糸状性細
菌または放線菌を特定的に殺滅するため、活性汚泥法に
よる処理水は良好なものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】
【表2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性汚泥法による廃水の処理において、
    糸状性細菌または放線菌によって生じる異常現象を防止
    する異常現象防止剤であって、1ーアルキルピリジニウ
    ムハライドを有効成分として含有することを特徴とす
    る、活性汚泥の異常現象防止剤。
  2. 【請求項2】 活性汚泥法による廃水の処理において、
    1ーアルキルピリジニウムハライドを有効成分として含
    有する活性汚泥の異常現象防止剤の有効成分を、1日あ
    たり活性汚泥の乾燥固形分100重量部に対して0.0
    5重量部〜5重量部の範囲で添加することを特徴とす
    る、活性汚泥の異常現象防止法。
JP5135920A 1993-06-07 1993-06-07 活性汚泥の異常現象防止剤および活性汚泥の異常現象防止法 Pending JPH06343989A (ja)

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