JP3720513B2 - 活性汚泥のバルキング防除剤及び防除方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物含有廃水処理に有効な活性汚泥法において、施設管理上、最大の障害となる糸状性微生物によるバルキングを防除するためのバルキング防除剤及びそれを用いたバルキング防除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機物含有廃水の処理方法として活性汚泥法が広く採用されているが、沈降不良となった活性汚泥が引き起こすバルキング現象は、活性汚泥法における最大の問題であるといわれている。この原因は、活性汚泥中の微生物相の生育バランスが崩れ、フロック形成菌よりも糸状性微生物が優勢となることである。ひとたびバルキングが発生すると、活性汚泥が膨化を起こし沈殿しにくくなり、沈殿槽において活性汚泥と処理水との界面を得ることが不可能となって、活性汚泥が流亡し、環境汚染の原因となっていた。更に、活性汚泥の流亡により、曝気槽内の活性汚泥のMLSS(曝気槽混合液内の浮遊物質)濃度が維持されず、廃水中に溶解している有機物の活性汚泥による生物分解が不良となり、より一層の環境汚染をもたらしていた。
【0003】
バルキング現象が発生した場合、活性汚泥の沈降性を大きくする目的で、無機凝集剤や高分子凝集剤の投入などが行われるのが一般的であり、これら薬剤が廉価なこともあって、各廃水処理施設において多用されている。更に、廉価な殺菌剤である塩素などを曝気槽に添加することによるバルキングの防除も行われている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
活性汚泥処理システムへの凝集剤の添加は、活性汚泥の沈降性悪化を一時的に解決するが、単なる応急処置にすぎず、バルキングの原因である糸状性微生物の生育を抑制しているわけではないので、バルキングの再発防止には有効でない。また、塩素等の殺菌剤は選択制がないため、バルキングの原因となる糸状性微生物の生育のみならず、活性汚泥の有用な生物の生育に多大なる悪影響を与え、バルキング防除後に水質が極端に悪化してしまうことや、有用微生物の死滅によるバルキングの再発を誘発するという問題があった。
本発明の課題は、活性汚泥処理において、水質を悪化させることなく、さらに、有用なフロック形成菌の生育を阻害することなく、バルキング現象の発生を防止するバルキング防除剤及びバルキング防除方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、鋭意研究したところ、次の一般式(I)で表される化合物(式中R1 は水酸基、R2 は水素原子又は水酸基を表す)又はその塩の少なくとも1種を有効成分とする活性汚泥のバルキング防除剤が活性汚泥処理におけるバルキング現象の発生を防止し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【化1】
【0006】
すなわち、本発明は、有効成分として、一般式(I)で示される化合物(式中R1 は水酸基、R2 は水素原子又は水酸基を表す)又はその塩の少なくとも1種を含有する活性汚泥のバルキング防除剤、一般式(I)で示される化合物又はその塩の少なくとも1種とカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の少なくとも1種とを含有する活性汚泥のバルキング防除剤、あるいは、一般式(I)で示される化合物又はその塩の少なくとも1種とカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の少なくとも1種と粘土鉱物の少なくとも1種とを含有する活性汚泥のバルキング防除剤に関する。
また、本発明は、上記のいずれかのバルキング防除剤を曝気槽、沈殿層又は返送汚泥に添加することを特徴とする活性汚泥のバルキング防除方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるバルキング防除剤は、活性汚泥処理システムにおいて用いられるものであり、ここで活性汚泥処理システムとは、好気的に廃水を処理するというシステムであり、標準活性汚泥法のほか、その変法といわれているすべての方法を包含する。
【0008】
本発明にかかるバルキング防除剤としては、上記のように、有効成分として、一般式(I)で示される化合物(式中R1 は水酸基、R2 は水素原子又は水酸基を表す)又はその塩の少なくとも1種を含有する活性汚泥のバルキング防除剤、一般式(I)で示される化合物又はその塩の少なくとも1種とカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の少なくとも1種とを含有する活性汚泥のバルキング防除剤、あるいは、一般式(I)で示される化合物又はその塩の少なくとも1種とカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の少なくとも1種と粘土鉱物の少なくとも1種とを含有するものを挙げることができ、一般式(I)で示される化合物のみの添加でも十分にバルキング抑制効果は得られるが、高分子凝集剤、無機凝集剤、粘土鉱物と併用することにより、化合物添加直後の初期汚泥沈降性が改善され、またバルキング防除期間が持続するという顕著な効果が期待できる。
【0009】
本発明において、一般式(I)で表される化合物としては、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール及びそれらの塩を例示することができる。塩とは、Na、K、Liなど通常の塩である。これらの化合物は、単独又は数種を組み合わせて使用することができる。
【0010】
本発明において、カチオン系高分子凝集剤としては、ポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系、ビニルホルムアミド系、ポリアクリルアミド系、ポリアミン系、ジシアンジアミド系高分子凝集剤を例示することができる。また、無機凝集剤としては、硫酸アルミニウム、塩化第2鉄等を、粘土鉱物としては、セピオライト、バーミキュライト、アタパルジャイト等をそれぞれ例示することができる。
【0011】
上記のバルキング剤は、活性汚泥処理システムの任意の場所に添加できるが、曝気槽への添加が最もバルキング抑制に効果がある。曝気槽への添加方法は、連続的に添加する方法や、1回/日で2〜3回にわけて添加する方法が考えられ、いずれの方法でも自由に選択できる。また、バルキング発生の程度によっては、一回のみの添加でも十分なバルキング抑制効果が期待できる。
また、添加に先立ち、pHや曝気強度の調整など、日常行っている施設の運転管理方法の変更は全く必要なく、非常に簡単な添加条件でバルキングの抑制効果が得られる。
【0012】
一般式(I)で示される化合物は、通常、粉体として用いるが、水などに溶解させ、液剤としても使用できる。
粉剤とする場合、上記化合物を曝気槽の総容量に対し、1〜200mg/l程度、好ましくは、2〜50mg/l程度添加することで、バルキングの原因糸状性微生物の生育を抑制することができる。
また、沈殿槽から活性汚泥が流亡しているときには、粘土鉱物やカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の1種又は2種以上と混ぜ合わせても使用できる。粘土鉱物、無機凝集剤は、曝気槽総容量に対して、10〜200mg/l程度、また、高分子凝集剤は、1〜50mg/l程度、好ましくは、10〜20mg/l程度の添加量が適当である。
【0013】
本発明のバルキング防除剤を添加すると、汚泥の沈降性の改善、活性汚泥中の糸状性微生物の生育数の減少、糸状性微生物の糸状体の切断、折れ曲がり、ねじれなどが、添加後数日間で観察できる。しかも、このとき、フロックを形成している有用な微生物や原生動物の生育への悪影響は全く観察されないため、良好な水質を得ることができる。
このように、本発明によると、活性汚泥に悪影響を与えることなく、良質な水質を得ながら、バルキング防除が可能となる。
【0014】
【実施例】
以下に、実施例を掲げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
(バルキングの発生)
曝気槽(21)と沈殿槽(0.51)が分離している培養装置に、人工合成廃水(グルコース870mg/l、ペプトン250mg/l、塩化ナトリウム300mg/l、リン酸二カリウム39mg/l、硝酸アンモニウム43mg/l)を連続的に供給し、活性汚泥を培養した。合成廃水の流入量1l/日、MLSS濃度2,000mg/l、室温20〜25℃の条件で糸状性バルキングを発生させ、以下の実験を行った。なお、このとき発生していた糸状性微生物は、TYPE021N、スフェロチルス ナタンス、TYPE1701、TYPE1702であった。(Eikelboom D.H.Filamentous organisms observed in activated sludge. Water Research vol.9:365−388(1975)に記載された方法で、糸状性微生物の識別を行った。)。
【0015】
(バルキング抑制効果の判定)
バルキング抑制効果の判定は、シリンダーに3時間(180分間)静置した時の活性汚泥の沈降性(SV180と表す)、顕微鏡観察による糸状性微生物の生育判断(非常に多い=+++>++>+>±=非常に少ない)、曝気槽のpH、処理水の濁り(濁っている=+、透明である=−)、原生動物の個体数への影響(影響あり=あり、影響なし=なし)で行った。
【0016】
(実施例1〜7)
糸状性微生物によりバルキングが発生している活性汚泥に、表1の各実施例に示した化合物を曝気槽に対して20mg/l・回の割合で2回添加した。添加後、連続培養を続け、試験開始から6日目にバルキング抑制効果を判定した。また、何も添加しないものを対照とした。
その結果、対照区の汚泥沈降性は、SV180値=85%であったが、各実施例の化合物添加区では、汚泥の沈降性が改善され、糸状性微生物の生育数も減少した。また、曝気槽水のpHは、対照区とほとんど同じであり、沈殿槽の濁りも観察されず、原生動物の個体数の減少もなかった。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】
本発明のバルキング防除剤を曝気槽に添加することにより、フロックを形成している有用な微生物の生育に悪影響を与えることなく、糸状性微生物の生育数を減少させることができ、その結果、汚泥の沈降性も大幅に改善される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物含有廃水処理に有効な活性汚泥法において、施設管理上、最大の障害となる糸状性微生物によるバルキングを防除するためのバルキング防除剤及びそれを用いたバルキング防除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機物含有廃水の処理方法として活性汚泥法が広く採用されているが、沈降不良となった活性汚泥が引き起こすバルキング現象は、活性汚泥法における最大の問題であるといわれている。この原因は、活性汚泥中の微生物相の生育バランスが崩れ、フロック形成菌よりも糸状性微生物が優勢となることである。ひとたびバルキングが発生すると、活性汚泥が膨化を起こし沈殿しにくくなり、沈殿槽において活性汚泥と処理水との界面を得ることが不可能となって、活性汚泥が流亡し、環境汚染の原因となっていた。更に、活性汚泥の流亡により、曝気槽内の活性汚泥のMLSS(曝気槽混合液内の浮遊物質)濃度が維持されず、廃水中に溶解している有機物の活性汚泥による生物分解が不良となり、より一層の環境汚染をもたらしていた。
【0003】
バルキング現象が発生した場合、活性汚泥の沈降性を大きくする目的で、無機凝集剤や高分子凝集剤の投入などが行われるのが一般的であり、これら薬剤が廉価なこともあって、各廃水処理施設において多用されている。更に、廉価な殺菌剤である塩素などを曝気槽に添加することによるバルキングの防除も行われている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
活性汚泥処理システムへの凝集剤の添加は、活性汚泥の沈降性悪化を一時的に解決するが、単なる応急処置にすぎず、バルキングの原因である糸状性微生物の生育を抑制しているわけではないので、バルキングの再発防止には有効でない。また、塩素等の殺菌剤は選択制がないため、バルキングの原因となる糸状性微生物の生育のみならず、活性汚泥の有用な生物の生育に多大なる悪影響を与え、バルキング防除後に水質が極端に悪化してしまうことや、有用微生物の死滅によるバルキングの再発を誘発するという問題があった。
本発明の課題は、活性汚泥処理において、水質を悪化させることなく、さらに、有用なフロック形成菌の生育を阻害することなく、バルキング現象の発生を防止するバルキング防除剤及びバルキング防除方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、鋭意研究したところ、次の一般式(I)で表される化合物(式中R1 は水酸基、R2 は水素原子又は水酸基を表す)又はその塩の少なくとも1種を有効成分とする活性汚泥のバルキング防除剤が活性汚泥処理におけるバルキング現象の発生を防止し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【化1】
【0006】
すなわち、本発明は、有効成分として、一般式(I)で示される化合物(式中R1 は水酸基、R2 は水素原子又は水酸基を表す)又はその塩の少なくとも1種を含有する活性汚泥のバルキング防除剤、一般式(I)で示される化合物又はその塩の少なくとも1種とカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の少なくとも1種とを含有する活性汚泥のバルキング防除剤、あるいは、一般式(I)で示される化合物又はその塩の少なくとも1種とカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の少なくとも1種と粘土鉱物の少なくとも1種とを含有する活性汚泥のバルキング防除剤に関する。
また、本発明は、上記のいずれかのバルキング防除剤を曝気槽、沈殿層又は返送汚泥に添加することを特徴とする活性汚泥のバルキング防除方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるバルキング防除剤は、活性汚泥処理システムにおいて用いられるものであり、ここで活性汚泥処理システムとは、好気的に廃水を処理するというシステムであり、標準活性汚泥法のほか、その変法といわれているすべての方法を包含する。
【0008】
本発明にかかるバルキング防除剤としては、上記のように、有効成分として、一般式(I)で示される化合物(式中R1 は水酸基、R2 は水素原子又は水酸基を表す)又はその塩の少なくとも1種を含有する活性汚泥のバルキング防除剤、一般式(I)で示される化合物又はその塩の少なくとも1種とカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の少なくとも1種とを含有する活性汚泥のバルキング防除剤、あるいは、一般式(I)で示される化合物又はその塩の少なくとも1種とカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の少なくとも1種と粘土鉱物の少なくとも1種とを含有するものを挙げることができ、一般式(I)で示される化合物のみの添加でも十分にバルキング抑制効果は得られるが、高分子凝集剤、無機凝集剤、粘土鉱物と併用することにより、化合物添加直後の初期汚泥沈降性が改善され、またバルキング防除期間が持続するという顕著な効果が期待できる。
【0009】
本発明において、一般式(I)で表される化合物としては、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール及びそれらの塩を例示することができる。塩とは、Na、K、Liなど通常の塩である。これらの化合物は、単独又は数種を組み合わせて使用することができる。
【0010】
本発明において、カチオン系高分子凝集剤としては、ポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系、ビニルホルムアミド系、ポリアクリルアミド系、ポリアミン系、ジシアンジアミド系高分子凝集剤を例示することができる。また、無機凝集剤としては、硫酸アルミニウム、塩化第2鉄等を、粘土鉱物としては、セピオライト、バーミキュライト、アタパルジャイト等をそれぞれ例示することができる。
【0011】
上記のバルキング剤は、活性汚泥処理システムの任意の場所に添加できるが、曝気槽への添加が最もバルキング抑制に効果がある。曝気槽への添加方法は、連続的に添加する方法や、1回/日で2〜3回にわけて添加する方法が考えられ、いずれの方法でも自由に選択できる。また、バルキング発生の程度によっては、一回のみの添加でも十分なバルキング抑制効果が期待できる。
また、添加に先立ち、pHや曝気強度の調整など、日常行っている施設の運転管理方法の変更は全く必要なく、非常に簡単な添加条件でバルキングの抑制効果が得られる。
【0012】
一般式(I)で示される化合物は、通常、粉体として用いるが、水などに溶解させ、液剤としても使用できる。
粉剤とする場合、上記化合物を曝気槽の総容量に対し、1〜200mg/l程度、好ましくは、2〜50mg/l程度添加することで、バルキングの原因糸状性微生物の生育を抑制することができる。
また、沈殿槽から活性汚泥が流亡しているときには、粘土鉱物やカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の1種又は2種以上と混ぜ合わせても使用できる。粘土鉱物、無機凝集剤は、曝気槽総容量に対して、10〜200mg/l程度、また、高分子凝集剤は、1〜50mg/l程度、好ましくは、10〜20mg/l程度の添加量が適当である。
【0013】
本発明のバルキング防除剤を添加すると、汚泥の沈降性の改善、活性汚泥中の糸状性微生物の生育数の減少、糸状性微生物の糸状体の切断、折れ曲がり、ねじれなどが、添加後数日間で観察できる。しかも、このとき、フロックを形成している有用な微生物や原生動物の生育への悪影響は全く観察されないため、良好な水質を得ることができる。
このように、本発明によると、活性汚泥に悪影響を与えることなく、良質な水質を得ながら、バルキング防除が可能となる。
【0014】
【実施例】
以下に、実施例を掲げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
(バルキングの発生)
曝気槽(21)と沈殿槽(0.51)が分離している培養装置に、人工合成廃水(グルコース870mg/l、ペプトン250mg/l、塩化ナトリウム300mg/l、リン酸二カリウム39mg/l、硝酸アンモニウム43mg/l)を連続的に供給し、活性汚泥を培養した。合成廃水の流入量1l/日、MLSS濃度2,000mg/l、室温20〜25℃の条件で糸状性バルキングを発生させ、以下の実験を行った。なお、このとき発生していた糸状性微生物は、TYPE021N、スフェロチルス ナタンス、TYPE1701、TYPE1702であった。(Eikelboom D.H.Filamentous organisms observed in activated sludge. Water Research vol.9:365−388(1975)に記載された方法で、糸状性微生物の識別を行った。)。
【0015】
(バルキング抑制効果の判定)
バルキング抑制効果の判定は、シリンダーに3時間(180分間)静置した時の活性汚泥の沈降性(SV180と表す)、顕微鏡観察による糸状性微生物の生育判断(非常に多い=+++>++>+>±=非常に少ない)、曝気槽のpH、処理水の濁り(濁っている=+、透明である=−)、原生動物の個体数への影響(影響あり=あり、影響なし=なし)で行った。
【0016】
(実施例1〜7)
糸状性微生物によりバルキングが発生している活性汚泥に、表1の各実施例に示した化合物を曝気槽に対して20mg/l・回の割合で2回添加した。添加後、連続培養を続け、試験開始から6日目にバルキング抑制効果を判定した。また、何も添加しないものを対照とした。
その結果、対照区の汚泥沈降性は、SV180値=85%であったが、各実施例の化合物添加区では、汚泥の沈降性が改善され、糸状性微生物の生育数も減少した。また、曝気槽水のpHは、対照区とほとんど同じであり、沈殿槽の濁りも観察されず、原生動物の個体数の減少もなかった。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】
本発明のバルキング防除剤を曝気槽に添加することにより、フロックを形成している有用な微生物の生育に悪影響を与えることなく、糸状性微生物の生育数を減少させることができ、その結果、汚泥の沈降性も大幅に改善される。
Claims (4)
- 一般式(I)で示される化合物又はその塩の少なくとも1種とカチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の少なくとも1種とを有効成分として含有することを特徴とする活性汚泥のバルキング防除剤
- 一般式(I)で示される化合物又はその塩の少なくとも1種と、カチオン系高分子凝集剤又は無機凝集剤の少なくとも1種と、粘土鉱物の少なくとも1種とを有効成分として含有することを特徴とする活性汚泥のバルキング防除剤
- 請求項1〜3のいずれか記載のバルキング防除剤を曝気槽、沈殿層又は返送汚泥に添加することを特徴とする活性汚泥のバルキング防除方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05038397A JP3720513B2 (ja) | 1997-03-05 | 1997-03-05 | 活性汚泥のバルキング防除剤及び防除方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05038397A JP3720513B2 (ja) | 1997-03-05 | 1997-03-05 | 活性汚泥のバルキング防除剤及び防除方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10244287A JPH10244287A (ja) | 1998-09-14 |
JP3720513B2 true JP3720513B2 (ja) | 2005-11-30 |
Family
ID=12857358
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05038397A Expired - Fee Related JP3720513B2 (ja) | 1997-03-05 | 1997-03-05 | 活性汚泥のバルキング防除剤及び防除方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3720513B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4392262B2 (ja) * | 2003-02-25 | 2009-12-24 | 株式会社神鋼環境ソリューション | 有機性廃水の処理システムおよび処理方法 |
JP5094548B2 (ja) * | 2007-05-23 | 2012-12-12 | ダイヤニトリックス株式会社 | バルキング解消剤 |
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1997
- 1997-03-05 JP JP05038397A patent/JP3720513B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10244287A (ja) | 1998-09-14 |
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