JPH078985A - 活性汚泥の異常現象防止剤および活性汚泥の異常現象防止法 - Google Patents

活性汚泥の異常現象防止剤および活性汚泥の異常現象防止法

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JPH078985A
JPH078985A JP5150496A JP15049693A JPH078985A JP H078985 A JPH078985 A JP H078985A JP 5150496 A JP5150496 A JP 5150496A JP 15049693 A JP15049693 A JP 15049693A JP H078985 A JPH078985 A JP H078985A
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activated sludge
abnormal phenomenon
phenomenon
sludge
weight
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Naoki Akiyama
直樹 秋山
Toshihiko Hamanishi
利彦 浜西
Masuya Ichioka
増也 市岡
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 活性汚泥法においてバルキング等の現象を引
き起こす糸状性細菌、または発泡現象およびスカム化等
の異常現象を引き起こす放線菌を特定的に殺滅すること
により、活性汚泥の異常現象を防止する異常現象防止剤
および異常現象防止法を提供する。 【構成】 活性汚泥法による廃水の処理において、テト
ラアルキルアンモニウムハライドを有効成分として含有
することを特徴とする活性汚泥の異常現象防止剤、ま
た、テトラアルキルアンモニウムハライドを有効成分と
して含有する異常現象防止剤の有効成分を、1日あたり
活性汚泥の乾燥固形分100重量部に対して0.05重
量部〜5重量部の範囲で添加することを特徴とする活性
汚泥の異常現象防止法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性汚泥法において、
糸状性細菌による膨化現象、即ちバルキング(bulk
ing)現象、または放線菌による発泡現象、スカム化
等の異常現象を防止する異常現象防止剤および異常現象
防止法に関する。
【0002】
【従来の技術】廃水を生物学的に処理する方法の一つと
して、活性汚泥法がある。この方法は、下水、し尿およ
び各種産業廃水の処理方法として広く採用されている。
しかし、処理場に流入する廃水の流量、水温の変動、流
入廃水中の有機物の変動、更に下水道管内に生育した種
々のカビ、糸状性細菌、放線菌類等の微生物の種類に変
動が生じ、これらの変動に応じて活性汚泥中の微生物相
も変化し、糸状性細菌または放線菌が増加したりして、
種々の弊害が生じている。
【0003】処理場において糸状性細菌が増加すると、
汚泥が膨化して、沈澱槽において汚泥と水との固液分離
性が悪化する、更に、悪化すると汚泥が溢流し、処理水
のBODやCODの上昇を招いたり、廃水の処理能力が
低下して、場合によっては処理不能となる、いわゆるバ
ルキング現象が発生する。活性汚泥が正常に機能してい
るか否かの一つの目安として、SVI(Sludge
Volume Index、汚泥指標)値があり、活性
汚泥懸濁液を30分間静置した後に1g相当の活性汚泥
が占める体積をmlで表したものである(JIS B 9
944)。正常な機能を発揮する活性汚泥のSVI値は
200ml/g以下とされているが、糸状性細菌によって
バルキング現象を起こした活性汚泥のSVI値は300
〜1000ml/gにもなることがある。
【0004】このようにバルキングを起こした活性汚泥
がその機能を回復するのは容易ではなく、最悪の場合に
は汚泥の入れ替えの必要が生じ、工場等では汚泥を入れ
替える場合には汚泥の馴養がすむまで使用を中止しなけ
ればならず、工場における製品の生産計画に重大な影響
を与えることになる。公共下水処理場でも、膨化汚泥の
流出や汚泥濃度の低下により、BODの除去能率が低下
して、環境汚染につながり大きな社会問題になることが
ある。
【0005】このため、従来から活性汚泥法のバルキン
グ防止にはさまざまな対策が講じられてきた。その一つ
に汚泥に鉄塩、アルミニウム化合物、クリストバライト
(例えば特公昭62−46237号公報等参照)等の無
機系凝集剤、または陽イオン性アクリルアミド系高分子
凝集剤等の高分子凝集剤を添加し、汚泥フロックを凝集
させ沈降性を改善しようとする方法である。しかし、こ
れら無機系凝集剤または高分子凝集剤を添加して汚泥の
沈降性を改善する方法は、糸状性細菌の異常増殖防止に
対しては効果がないので、一時的に汚泥の沈降性を低下
させるものの長期間毎日の添加が必要であり、特に高分
子凝集剤の長期間の添加は、曝気槽等において活性汚泥
が気泡を包含しやすくなり、活性汚泥の処理能力が低下
し処理水のCODおよびBODの上昇を招く等の問題点
がある。
【0006】ほかには、塩素や過酸化水素、塩化ベンザ
ルコニウムや塩化ベンゼトニウム(例えば特公昭63ー
39562号公報等参照)、塩酸クロルヘキシジンやグ
ルコン酸クロルヘキシジン(例えば特開昭63ー146
802号公報等参照)を添加して糸状性細菌を死滅させ
る方法等があるが、これら薬剤の添加による方法では、
糸状性細菌のみならず有用な微生物をも不活性化してし
まうので、活性汚泥の機能の著しい低下を招くことがあ
る。
【0007】他方、薬剤の添加にたよらず、嫌気性好気
処理(例えば特開昭50−47459号公報等参照)
や、初沈槽を使用しないで多量の浮遊固形分(SS)を
混入させる方法等の運転条件だけで正常な微生物相に復
帰させる試みもされているが、満足な成果は得られてい
ない。また、放線菌による発泡現象やスカム等の発生に
対しては、カルボン酸エステル系化合物のような消泡剤
を散布する方法が知られている。しかし、この消泡剤を
散布する方法は、発泡現象やスカム等の発生をもたらす
放線菌の増殖に対しては効果はないので、発泡を一時的
に抑制するのみで長期間毎日の散布が必要である。この
ように消泡剤を長期間毎日散布することは活性汚泥に対
して過剰の負荷を与えることになり、処理水のCODお
よびBODの上昇を招く等の問題を生じることになる。
【0008】アルキルトリメチルアンモニウムハライド
の抗菌性については、M.R.J.Salton:J.
Gem.Microbiol.、第5巻、第391頁〜
第404頁(1951)および高麗寛紀・武市一孝:
J.Ferment.Technol、第48巻、N
o.10、第635頁〜第640頁(1970)等に報
告されている。しかし、これらの文献にはテトラアルキ
ルアンモニウムハライドの糸状性細菌および放線菌に対
する抗菌性については記述されていないため、これが糸
状性細菌および放線菌に対して抗菌性を示し、かつバル
キング現象、発泡現象およびスカム化等の異常現象の防
止に有効であることを示唆するものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実状に
鑑み、活性汚泥法においてバルキング等の現象を引き起
こす糸状性細菌、または発泡現象およびスカム化等の異
常現象を引き起こす放線菌を特定的に殺滅することによ
り、上記の活性汚泥の異常現象を防止する異常現象防止
剤および異常現象防止方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、活性汚泥法に
よる廃水の処理において、糸状性細菌または放線菌によ
る異常現象を防止する異常現象防止剤であって、テトラ
アルキルアンモニウムハライドを有効成分として含有す
ることを特徴とする、活性汚泥の異常現象防止剤に関す
る。
【0011】また、活性汚泥法による廃水の処理におい
て、テトラアルキルアンモニウムハライドを有効成分と
して含有する活性汚泥の異常現象防止剤の有効成分を、
1日あたり活性汚泥の乾燥固形分100重量部に対して
0.05重量部〜5重量部の範囲で添加することを特徴
とする、活性汚泥の異常現象防止法に関する。以下、本
発明を詳細に説明する。
【0012】(対象活性汚泥)本発明に係る異常現象防
止剤および異常現象防止方法が対象とする活性汚泥は、
糸状性細菌によるバルキング現象、また放線菌による発
泡現象およびスカム化等の異常現象を生じるものであ
る。これらの糸状性細菌の中には、スフェロチルス(S
phaerotilussp.)、タイプ021N、タ
イプ0041、タイプ1701、タイプ1702、タイ
プ0961、ミクロスリックス.パルビセラ(Micr
othrix parvicella)等があり、これ
らの糸状性細菌は、D.H.Eikelboom:Wa
ter Research 、第9巻、第365頁〜第
388頁、Pergamon Press(1975
年)に定義されているものである。
【0013】また、放線菌には、ノカルディア.アマラ
エ(Nocardia amarae)のようなノカル
ディア属、ロドコックス.ロドクロウス(Rhodoc
occus rhdochrous)のようなロドコッ
クス属、ミコバクテリウム属(Mycobacteri
um)およびコリネバクテリウム属(Coryneba
cterium)等がある。
【0014】本発明に係る異常現象防止剤およびこれを
用いた異常現象防止方法は、これらの糸状性細菌による
バルキング現象、または放線菌による発泡現象およびス
カム等の異常現象を生じる徴候を有する、または異常現
象を生じた活性汚泥を含有する廃水に適用される。 (異常現象防止剤)本発明に係る異常現象防止剤は、テ
トラアルキルアンモニウムハライドを有効成分とする。
【0015】テトラアルキルアンモニウムハライドは、
下記式の化1で表されるものである。
【0016】
【化1】 (化1中、R1、R2、R3およびR4はアルキル基、Xは
ハロゲンを示す。) 具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライ
ド、テトラエチルアンモニウムクロライド、エチルトリ
メチルアンモニウムクロライド、プロピルトリメチルア
ンモニウムブロマイド、ヘキシルトリメチルアンモニウ
ムアイオダイド、デシルトリメチルアンモニウムブロマ
イド、ドデシルエチルジメチルアンモニウムクロライ
ド、ドデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ヘキ
サデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデ
シルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられ
る。特に、炭素数10以上のアルキル基を有するアルキ
ルトリメチルアンモニウムハライドが糸状性細菌または
放線菌に対する抗菌性が優れており、異常現象防止効果
が高い。
【0017】(活性汚泥の異常現象防止法)異常現象を
防止する対象活性汚泥が、糸状性細菌または放線菌を含
有するものであることを除けば、本発明に係る異常現象
防止剤添加による活性汚泥の異常現象防止法は従来の方
法と同様である。テトラアルキルアンモニウムハライド
を、水などの溶媒に適当濃度に溶解して、以下のいずれ
かの方法により添加するのがよい。 (1)流入廃水に混和、混合し、これを曝気槽に送る方
法。 (2)活性汚泥法におけるバルキング等の現象が起こっ
ている曝気槽や沈澱槽に直接添加する方法。 (3)返送汚泥に添加する方法。
【0018】本発明に従って活性汚泥の異常現象を防止
する場合には、1日あたり活性汚泥の乾燥固形分100
重量部に対して、異常現象防止剤の有効成分を0.05
重量部〜5重量部の範囲で選んで添加するのがよく、よ
り好ましくは0.5重量部〜3重量部の範囲である。異
常現象防止剤の有効成分の添加量が0.05重量部未満
では本発明の目的が達成されず、5重量部を越えると糸
状性細菌または放線菌が急激に破壊されて、処理水が急
激に白濁したり、廃水とともに系外に流去され、場合に
よっては処理水のCODおよびBODを上昇させるので
好ましくない。
【0019】本発明に係る異常現象防止剤を添加するこ
とにより、活性汚泥の曝気槽や沈澱槽中の糸状性細菌ま
たは放線菌を減少させ、かつ活性汚泥の沈降性を回復さ
せることができるが、糸状性細菌または放線菌が減少
し、かつ、活性汚泥の沈降性が回復したら、それ以上異
常現象防止剤の添加を継続することは経済的に好ましく
ない。また、1日あたり活性汚泥の乾燥固形分100重
量部に対して、異常現象防止剤の有効成分を0.05重
量部〜5重量部の範囲で添加しても再び活性汚泥のSV
I値が上昇、または曝気槽上の発泡現象が認められる場
合は、上記範囲で数日間連続して添加するのがよい。
【0020】
【実施例】以下、本発明の内容および効果を実施例によ
り更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない
限り以下の例に限定されるものではない。 実施例1 月平均1,200m3/日、BODが100mg/lの分
流式都市下水道廃水を処理している回分式の設備を有す
る公共下水処理場において、回分槽界面一面に発泡スカ
ムが見られた。回分槽容積は900m3であり、この時
の回分槽の汚泥濃度(MLSS)は2,000mg/l)
であった。
【0021】この回分槽の活性汚泥をそのままで、また
はグラム染色して顕微鏡観察したところ、放線菌である
Nocardia amaraeが多量に観察された。
この回分槽に、36%水溶液のドデシルトリメチルアン
モニウムクロライド(東邦化学工業(株)の商品名「L
TC−35A」)9Kgを、50リットルの水に希釈し
て、曝気時に1日あたり10分を要して連続添加した。
この添加量は回分槽の活性汚泥の乾燥固形分100重量
部に対しての有効成分0.5重量部に相当する。この添
加方法を7日間繰り返した。
【0022】ドデシルトリメチルアンモニウムクロライ
ドの添加開始時から1日後、3日後、10日後、20日
後および30日後の曝気槽界面上の発泡スカム量、およ
び処理水のCOD値を測定した。その結果を表1に示
す。ただし、回分槽界面上の発泡スカム量は、試料添加
開始時の発泡スカムの体積に対する割合、すなわち添加
開始時の発泡スカムの体積を100%とした百分率で表
した。
【0023】なお、ドデシルトリメチルアンモニウムク
ロライドの放線菌であるNocardia amara
eに対するMIC値、および糸状性細菌であるSpha
erotilus sp.に対するMIC値は、それぞ
れ1〜10mg/lである。このMIC値の測定は、以下
の方法により行った。 (放線菌であるNocardia amaraeに対す
るMIC値の測定方法)予め試料を投与したイースト・
クラインスキィ培地に、純粋培養の放線菌であるNoc
ardia amaraeを接種した。これを25℃の
雰囲気下で振とう培養し、3日後のNocardia
amaraeの生育量を目視観察し、全くその生育が認
められなかった濃度を、その試料の最小生育阻止濃度
(mg/l)とした。
【0024】詳細な実験方法について、以下に述べる。 L字試験管にイースト・クラインスキィ培地を10ml
入れ、115℃で20分間の蒸気滅菌を行った。 イースト・クラインスキィ培地が室温まで低下した
後、所定量の試料をそれぞれ投与し、さらにNocar
dia amaraeを白金耳によって接種した。 これを25℃の雰囲気下のインキュベーター内で3日
間振とう培養した後、各実験区におけるNocardi
a amaraeの生育量を目視観察した。
【0025】イースト・クラインスキィ培地の組成は、
蒸留水1リットルあたり、グルコース:10g、L−ア
スパラギン:1g、K2HPO4:0.5g、Yeast
extract:2gを含むものである。 (糸状性細菌であるSphaerotilus sp.
に対するMIC値の測定方法)上記の放線菌であるNo
cardia amaraeに対するMIC値の測定方
法における培地を以下のものに代え、また、糸状性細菌
であるSphaerotilus sp.を接種したほ
かは、Nocardia amaraeに対するMIC
値の測定方法と同様な方法で測定した。
【0026】培地の組成は、蒸留水1リットルあたり、
グルコース:5.0g、MgSO4・7H2O:0.5
g、KCl:0.5g、CaCO3:0.05g、Fe
Cl3・6H20:0.0005g、Yeast ext
ract:1.0gを含むものである。
【0027】実施例2 実施例1に記載の例において、公共下水道処理場の活性
汚泥を、実際の処理場を想定した曝気槽容積3リット
ル、沈降槽容積が1リットルの活性汚泥処理の小型模型
に入れ、曝気槽の溶存酸素量を3〜4mg/lに調節し、
実施例1に記載の公共下水道処理場の流入水を170ml
/時間で供給し、返送汚泥率を100%として連続運転
した。
【0028】この小型模型の返送汚泥ラインに、ドデシ
ルトリメチルアンモニウムクロライドに代えてデシルト
リメチルアンモニウムクロライド(東京化成(株)製)
0.12g(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形
分100重量部に対しての有効成分2重量部に相当す
る。)を、1リットルの水に希釈して、1日あたり6時
間を要して連続添加し、この添加方法を3日間繰り返し
たほかは、実施例1と同様な方法で曝気槽界面上の発泡
スカム量、および処理水のCOD値を測定した。その結
果を表1に示す。
【0029】なお、デシルトリメチルアンモニウムクロ
ライドの放線菌であるNocardia amarae
に対するMIC値は20〜30mg/l、糸状性細菌であ
るSphaerotilus sp.に対するMIC値
は、10〜20mg/lである。
【0030】実施例3 実施例2に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えてドデシルトリメチルアンモニ
ウムクロライド(東京化成(株)製)0.003g(こ
の添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重量部
に対しての有効成分0.05重量部に相当する。)を、
1リットルの水に希釈して、1日あたり6時間を要して
連続添加し、この添加方法を10日間繰り返したほか
は、実施例2におけると同様な方法で、曝気槽界面上の
発泡スカム量、および処理水のCOD値を測定した。そ
の結果を表1に示す。
【0031】実施例4 実施例2に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えてヘキサデシルトリメチルアン
モニウムクロライド(東京化成(株)製)0.006g
(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重
量部に対しての有効成分0.1重量部に相当する。)
を、1リットルの水に希釈して、1日あたり6時間を要
して連続添加し、この添加方法を10日間繰り返したほ
かは、実施例2におけると同様な方法で、曝気槽界面上
の発泡スカム量、および処理水のCOD値を測定した。
その結果を表1に示す。
【0032】なお、ヘキサデシルトリメチルアンモニウ
ムクロライドの放線菌であるNocardia ama
raeに対するMIC値、および糸状性細菌であるSp
haerotilus sp.に対するMIC値は、そ
れぞれ1〜10mg/lである。
【0033】実施例5 実施例2に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えてオクタデシルトリメチルアン
モニウムクロライド(東京化成(株)製)0.06g
(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重
量部に対しての有効成分1重量部に相当する。)を、1
リットルの水に希釈して、1日あたり6時間を要して連
続添加し、この添加方法を3日間繰り返したほかは、実
施例2におけると同様な方法で、曝気槽界面上の発泡ス
カム量、および処理水のCOD値を測定した。その結果
を表1に示す。
【0034】なお、オクタデシルトリメチルアンモニウ
ムクロライドの放線菌であるNocardia ama
raeに対するMIC値、および糸状性細菌であるSp
haerotilus sp.に対するMIC値は、そ
れぞれ1〜10mg/lである。
【0035】比較例1 実施例2に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えてドデシルトリメチルアンモニ
ウムクロライド(東京化成(株)製)0.002g(こ
の添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重量部
に対しての有効成分0.03重量部に相当する。)を、
1リットルの水に希釈して、1日あたり6時間を要して
連続添加し、この添加方法を20日間繰り返したほか
は、実施例2におけると同様な方法で、曝気槽界面上の
発泡スカム量、および処理水のCOD値を測定した。そ
の結果を表1に示す。
【0036】比較例2 実施例2に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えてドデシルトリメチルアンモニ
ウムクロライド(東京化成(株)製)0.36g(この
添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重量部に
対しての有効成分6重量部に相当する。)を、1リット
ルの水に希釈して、1日あたり6時間を要して連続添加
し、この添加方法を3日間繰り返したほかは、実施例2
におけると同様な方法で、曝気槽界面上の発泡スカム
量、および処理水のCOD値を測定した。その結果を表
1に示す。
【0037】比較例3 実施例2に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えて0.01重量%に希釈した特
殊パラフィン系エステル化合物(大東薬品工業(株)製
のミネコンC)の消泡剤を8ml/分の割合で(この添加
量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重量部に対し
ての有効成分19.2重量部に相当する。)10日間添
加したほかは、実施例2におけると同様な方法で、曝気
槽界面上の発泡スカム量、および処理水のCOD値を測
定した。その結果を表1に示す。
【0038】実施例6 月平均50,000m3/日、BODが70mg/lの合
流式都市下水道廃水を処理している公共下水処理場の活
性汚泥(MLSS=1,500mg/l)を、実施例1と
同様の活性汚泥処理の小型模型に入れ、曝気槽の溶存酸
素量を3〜4mg/lに調節し、以下に記載の合成下水を
170ml/時間で供給し、返送汚泥率を100%として
連続運転した。この合成下水の組成は、水道水:1リッ
トルあたり、グルコース:0.3g、酢酸ナトリウム:
0.3g、硫酸アンモニウム:0.1g、硫酸マグネシ
ウム:0.05g、塩化カリウム:0.05g、炭酸カ
ルシウム:0.05gを含むものである。
【0039】上記の運転条件で2日間連続運転を行い、
曝気槽の活性汚泥をそのままで、またはグラム染色して
顕微鏡観察したところ、フロックとフロックとの間に
は、フロック形成菌よりむしろスフェロチルスの糸状性
細菌の体積の方が多く観察された。また、曝気槽中の汚
泥のSVIが600ml/gを越えた。この小型模型の返
送汚泥ラインに、デシルトリメチルアンモニウムクロラ
イド(東京化成(株)製)0.045gを、1リットル
の水に希釈して、1日あたり6時間で連続添加した。こ
の添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重量部
に対しての有効成分1重量部に相当する。この添加方法
をを3日間繰り返した。デシルトリメチルアンモニウム
クロライドの添加開始から1日後、3日後、10日後、
20日後および30日後の曝気槽中の汚泥のSVI、お
よび処理水のCOD値を測定した。その結果を表2に示
す。
【0040】実施例7 実施例6に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えてドデシルトリメチルアンモニ
ウムクロライド(東京化成(株)製)0.023g(こ
の添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重量部
に対しての有効成分0.5重量部に相当する。)を、1
リットルの水に希釈して、1日あたり6時間を要して連
続添加し、この添加方法を5日間繰り返したほかは、実
施例6におけると同様な方法で、曝気槽中の汚泥のSV
I、および処理水のCOD値を測定した。その結果を表
2に示す。
【0041】実施例8 実施例6に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えてヘキサデシルトリメチルアン
モニウムブロマイド(東京化成(株)製)0.45g
(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重
量部に対しての有効成分1重量部に相当する。)を、1
リットルの水に希釈して、1日あたり6時間を要して連
続添加し、この添加方法を3日間繰り返したほかは、実
施例6におけると同様な方法で、曝気槽中の汚泥のSV
I、および処理水のCOD値を測定した。その結果を表
2に示す。
【0042】比較例4 実施例6に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えてヘキサデシルトリメチルアン
モニウムブロマイド(東京化成(株)製)0.002g
(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重
量部に対しての有効成分0.04重量部に相当する。)
を、1リットルの水に希釈して、1日あたり6時間を要
して連続添加し、この添加方法を20日間繰り返したほ
かは、実施例6におけると同様な方法で、曝気槽中の汚
泥のSVI、および処理水のCOD値を測定した。その
結果を表2に示す。
【0043】比較例5 実施例6に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えてヘキサデシルトリメチルアン
モニウムブロマイド(東京化成(株)製)0.27g
(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重
量部に対しての有効成分6重量部に相当する。)を、1
リットルの水に希釈して、1日あたり6時間を要して連
続添加し、この添加方法を3日間繰り返したほかは、実
施例6におけると同様な方法で、曝気槽中の汚泥のSV
I、および処理水のCOD値を測定した。その結果を表
2に示す。
【0044】比較例6 実施例6の記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えて次亜塩素酸ナトリウム水溶液
(有効塩素濃度5%)を0.8g/日(この添加量は曝
気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重量部に対しての有
効成分0.89重量部に相当する。)で7日間添加し
た。汚泥中に含有していた糸状性細菌は減少しはじめた
が、SVI値が390であり、まだ不十分であったた
め、更に0.8g/日を7日間連続添加した(次亜塩素
酸ナトリウム水溶液の合計添加量は曝気槽の活性汚泥の
乾燥固形分100重量部に対しての有効成分12.4重
量部に相当する。)ほかは、実施例6と同様な方法で、
曝気槽中の汚泥のSVI、および処理水のCOD値を測
定した。その結果を表2に示す。
【0045】比較例7 実施例6に記載の例において、デシルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに代えてカチオン系ポリアクリルアミ
ド(栗田工業(株)製のクリフィックス CP627)
を0.2g/日(この添加量は曝気槽の活性汚泥の乾燥
固形分100重量部に対しての有効成分4.4重量部に
相当する。)で5日間連続添加したところ、糸状性細菌
を含んだ状態でSVI値が200になったが、添加をや
めた後は沈降性が悪化し、添加終了後から2日後はSV
I値が340なったので、更に0.2g/日を5日間連
続添加した(カチオン系ポリアクリルアミドの合計添加
量は曝気槽の活性汚泥の乾燥固形分100重量部に対し
ての有効成分44重量部に相当する。)ほかは、実施例
4におけると同様な方法で、曝気槽中の汚泥のSVI、
および処理水のCOD値を測定した。その結果を表2に
示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表1および表2中の略号は、次のとおりで
ある。 DDTMAC:ドデシルトリメチルアンモニウムクロラ
イド DTMAC:デシルトリメチルアンモニウムクロライド HDTMAB:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムク
ロライド ODTMAC:オクタデシルトリメチルアンモニウムク
ロライド 消泡剤:特殊パラフィン系エステル化合物(大東薬品工
業(株)製のミネコンC) また、表1、表2および曝気槽中の活性汚泥の顕微鏡観
察より、次のことが明らかとなる。
【0049】(1)本発明に係る異常現象防止剤を使用
すると、異常現象防止剤を添加後速やかに放線菌による
発泡スカム現象が低下し、その持続効果が長いことが分
かる。(実施例1〜実施例5参照) (2)本発明に係る異常現象防止剤を使用すると、曝気
槽および沈降槽に存在する汚泥中の放線菌が極端に減少
し、活性汚泥がしっかりしたフロックを形成することが
顕微鏡観察より明かとなる。
【0050】(3)本発明に係る異常現象防止剤の添加
量が、本発明に係る防止法で規定する添加量より少ない
場合は、活性汚泥中の放線菌の減少が見られず、曝気槽
界面上の発泡スカムの極端な減少は見られなかった。ま
た、本発明に係る防止法で規定する添加量より多い場合
は、放線菌のみならず活性汚泥に有用なフロック形成菌
までもが破壊され、処理水が白濁した。(比較例1およ
び比較例2参照) (4)消泡剤を添加した場合は、一時的に曝気槽界面上
の発泡スカムが減少したが、添加をやめると、再び発泡
スカムが曝気槽界面に滞積した。また、長期間毎日添加
すると、処理水のCOD値の上昇を招いた。(比較例3
参照) (5)本発明に係る異常現象防止剤を使用すると、バル
キング現象防止剤を添加後速やかにSVI値が低下し、
活性汚泥の沈降性が著しく改善され、さらにその持続効
果が長いことが分かる。そして、本発明に係るバルキン
グ現象防止剤を使用して処理した処理水のCOD値は、
20mg/l以下であり、処理水として良好である。(実
施例6〜実施例8参照) (6)本発明に係る異常現象防止剤を使用すると、曝気
槽および沈降槽に存在する汚泥中の糸状性細菌が極端に
減少し、活性汚泥がしっかりしたフロックを形成するこ
とが顕微鏡観察より明かとなる。
【0051】(7)本発明に係る異常現象防止剤の添加
量が、本発明に係る防止法で規定する添加量より少ない
場合は、活性汚泥中の糸状性細菌の減少が見られず、S
VI値の極端な低下は見られなかった。また、本発明に
係る防止法で規定する添加量より多い場合は、糸状性細
菌のみならず活性汚泥に有用なフロック形成菌までもが
破壊され、処理水が白濁した。(比較例4および比較例
5参照) (8)次亜塩素酸ナトリウムを添加した場合は、糸状性
細菌のみならず有用なフロック形成菌までもが破壊さ
れ、処理水が非常に白濁した。(比較例6参照) (9)カチオン系ポリアクリルアミドを添加した場合
は、一時的に活性汚泥のSVI値が低下したが、添加を
やめると、再び活性汚泥のSVI値が上昇し、更にその
添加を繰り返すと、曝気槽において汚泥が気泡を抱き込
んで浮上し、良好な状態にならなかった。(比較例7参
照)
【0052】
【発明の効果】本発明は、以下のように特別に顕著な効
果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。本
発明に係る異常現象防止剤を使用すると、活性汚泥法に
おいて、糸状性細菌による膨化現象、即ちバルキング
(bulking)現象、または放線菌による発泡現
象、スカム化等の異常現象を効果的に防止することがで
きる。本発明に係る異常現象防止剤を使用すれば、糸状
性細菌または放線菌を特定的に殺滅するため、活性汚泥
法による処理水は良好なものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】
【表2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性汚泥法による廃水の処理において、
    糸状性細菌または放線菌による異常現象を防止する異常
    現象防止剤であって、テトラアルキルアンモニウムハラ
    イドを有効成分として含有することを特徴とする、活性
    汚泥の異常現象防止剤。
  2. 【請求項2】 活性汚泥法による廃水の処理において、
    テトラアルキルアンモニウムハライドを有効成分として
    含有する活性汚泥の異常現象防止剤の有効成分を、1日
    あたり活性汚泥の乾燥固形分100重量部に対して0.
    05重量部〜5重量部の範囲で添加することを特徴とす
    る、活性汚泥の異常現象防止法。
JP5150496A 1993-06-22 1993-06-22 活性汚泥の異常現象防止剤および活性汚泥の異常現象防止法 Pending JPH078985A (ja)

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