JPH0634144U - 排気ブレーキ用バタフライバルブの軸受装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排気ブレーキ用バタフライバルブの回転軸を
支承する軸受メタルが、高温の排気ガスにさらされて加
熱されるのを防止する。 【構成】 排気ガス管路の側壁に形成した軸受部１１を
貫通する回転軸１３の外周面の外方寄りに、軸受メタル
１７を装着し、軸受メタル１７よりも管路内方側の回転
軸１３に、排気ガスの漏出を防止するシール手段１４，
１６を装着したことにより、排気ガスをシール手段１
４，１６により阻止して、軸受メタル１７が高温の排気
ガスに接触するのが防止される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車のエンジンの排気路を開閉して、制動力を制御する排気ブレ ーキ用のバタフライバルブに係り、特に、バタフライバルブを排気ガス管路中に 支承する軸受装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

バタフライバルブは、一般に、図４に示す縦断平面図及び図５に示す縦断側面 図のように、円筒形の断面をなす弁保持体(１)中に、弁体(２)を管路に直交する 回転軸(３)(４)をもつて回転可能に軸支し、少なくとも一方の回転軸(３)を弁保 持体(１)の壁面を貫通して外部に突出させ、これに係合したハンドル(５)を操作 することにより、弁体(２)を、図５に実線で示す開弁位置と、２点鎖線で示す閉 止位置とに回転させるように構成されている。

【０００３】 弁保持体(１)には、回転軸(３)及び(４)を支承する軸受部が形成されており、 この軸受部には、たとえば実開昭６２−４３１４３号公報に記載してあるように 、回転軸に軸受メタル及びシール部材が嵌着されている。

【０００４】 図６は、従来の排気ブレーキ用バタフライバルブの軸受部の一例を示す断面図 で、弁保持体に形成した軸受部(101)には、弁体(102)に一体的に固着した回転軸 (103)が挿通されている。

【０００５】 軸受部(101)の軸孔内周面と回転軸(103)との間には、円筒形の軸受メタル(104 )が遊嵌され、その外方に外周の一部が切除されたリング状の複数個のシールリ ング(105)及び(106)を装着し、軸受(101)の外端面に蓋板(107)を装着して、シー ルリング(105)(106)及び軸受メタル(104)を定位置に保持してある。

【０００６】 シールリング(105)は、軸受(101)の内面に当接して、回転軸(103)との間には 隙間が形成され、一方、シールリング(106)は、回転軸(103)の外周面に当接して 、軸受(101)の内面との間に隙間が設けてある。２種のシールリング(105)及び(1 06)を交互に配置することにより、両者の間にラビリンスを形成して、管路内を 流れる排気ガスが外部へ漏出するのを防止している。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

図６の従来の装置は、軸受メタル(104)が、管路を流れる高温の排気ガスに接 触して変質し、回転軸(103)に焼き付きが生じて円滑に回転できなくなる問題が ある。

【０００８】 すなわち、図６の装置では、軸受メタル(104)が、排気ガスの漏出を防止する ためのシールリング(105)及び(106)よりも内側に配設されているため、排気ガス は、軸受メタル(104)の内外周面を通過したのち、シールリング(105)及び(106) により阻止されることになる。

【０００９】 したがって、軸受メタル(104)は、弁体(102)が管路を閉止した際における排気 上流側の高温高圧の排気ガスにさらされて加熱されるため、回転軸(103)の外周 面及び軸受(101)の内周面に焼き付きが生じ易くなる。

【００１０】 本考案は、この不都合を解消した排気ブレーキ用バタフライバルブの軸受装置 を提供することを、目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、本考案は、本願排気ガスが流通する管路中に、バ タフライバルブの１対の回転軸を管路と直交する方向に支承する軸受装置であっ て、前記バタフライバルブに連結され、かつ管路の側壁に形成した軸受部内を貫 通する回転軸の外周面の外方寄りに、軸受部材を嵌挿するとともに、該軸受部材 よりも管路内方側の回転軸に、排気ガスの漏出を防止するシール手段を設けたこ とを特徴としている。

【００１２】 シール手段を、回転軸の外周面に嵌着したシール保持部材と、該シール保持部 材に外嵌した、軸受部の内周面に当接するシールリングとにより構成するのが望 ましい。

【００１３】 あるいは、シール部材の外端側に形成した段差部に、段差部の軸線方向の長さ よりも大寸法の厚さのシールリングを外嵌するとともに、軸受部材を管路内方に 向けて押圧する付勢手段を備えるようにしてもよい。

【００１４】

【作用】

回転軸に装着した軸受部材よりも内方側、すなわち、管路側にシール手段を設 けたことにより、管路中を流れる排気ガスがシール手段の位置で阻止されて、軸 受部材まで到達することがなく、従って軸受部材が高温の排気ガスにさらされる のが防止される。

【００１５】

【実施例】

図１は、本考案の第１実施例の軸受装置の断面図で、図６の従来例と同様、管 路に設けた軸受部(11)に、弁体(12)に固着した回転軸(13)が挿通されている。

【００１６】 回転軸(13)の弁体(12)に近接した部分には、シール保持部材(14)を装着してあ る。シール保持部材(14)は、外周面中央に環状の溝(15)を備える円筒形をなし、 回転軸(13)の周面に嵌着されている。

【００１７】 溝(15)には、シールリング(16)が外嵌されている。シールリング(16)は、金属 又は耐熱性プラスチック等の弾性材料を用いて、図３に示すように、外周の一部 を切断したリング状に形成してあり、シール保持部材(14)の溝(15)に外嵌した際 、外周面が軸受部(11)の内面に弾性的に圧着し、このとき切断部の隙間(16a)は 僅少となるように定めてある。

【００１８】 管路中の排気ガスの漏出を防止するために、シールリング(16)の両側面が溝(1 5)の内側面に当接して摺動するよう、シールリング(16)の厚さと溝(15)の幅寸法 を設定してある。

【００１９】 回転軸(13)のシール保持部材(14)の外側の部分には、円筒形の軸受メタル(17) が、回転軸(13)の外周面及び軸受部(11)の内周面との間に、僅かな隙間を設けて 遊嵌されている。

【００２０】 軸受部(11)の外端面には、蓋板(18)が装着され、これにより軸受メタル(17)及 びシール保持部材(14)は定位置に保持されている。図１は、蓋板(18)の中心部に 設けた通孔を貫通して回転軸(13)が外方へ突出した駆動側を示すものであり、他 の従動側では、回転軸が軸受より突出せず、蓋板に通孔を有しないことを除いて 、図１とほぼ対称的にに配置されている。

【００２１】 図１の軸受装置は、軸受メタル(17)より管路の内部に近い部分に、シールリン グ(16)を装着してあるため、管路を流れる排気ガスが回転軸(13)側に流入しよう としても、シールリング(16)によって阻止されるので、軸受メタル(17)までは到 達しない。

【００２２】 したがつて、軸受メタル(17)が高温の排気ガスにさらされて加熱されることが なく、軸受メタル(17)が回転軸(13)や軸受部(11)に焼きついて、なめらかな回転 を妨げる不都合を解消することができる。

【００２３】 図２は、本考案の第２実施例の軸受装置を示す断面図で、軸受部(11)、弁体(1 2)、回転軸(13)は、第１実施例と同様である。

【００２４】 回転軸(13)の管路内部に近い部分に装着されたシール保持部材(21)は、円筒形 をなし、外端側に形成した段差部(22)に、シールリング(23)を外嵌してある。シ ールリング(23)は、第１実施例におけるシールリング(16)と同様のリング状に形 成されている。

【００２５】 段差部(22)の軸線方向の長さは、シールリング(23)の厚さよりもやや小さく設 定してある。

【００２６】 回転軸(13)のシール保持部材(21)の外側の部分には、上記第１実施例と同じ円 筒形の軸受メタル(24)が遊嵌されている。

【００２７】 この第２実施例では、蓋板(25)が、その中心部を外方へ膨出した形状に形成さ れ、膨出部(26)の内部の回転軸(13)の周囲に圧縮コイルスプリング(27)を装着し て、軸受メタル(24)を弁体(12)側に向けて押圧するようにしてある。

【００２８】 軸受メタル(24)は、スプリング(27)により付勢されて、シールリング(23)を常 時シール保持部材(21)の段差部(22)の肩面に圧着させ、回転軸(13)側に侵入した 排気ガスが、シール保持部材(21)とシールリング(23)との隙間を通って軸受メタ ル(24)側に流入するのを阻止している。

【００２９】 第２実施例の場合も、軸受メタル(24)より管路内部に近い部分に、シールリン グ(23)を装着してあるため、管路を流れる排気ガスが、軸受メタル(24)まで到達 することはない。

【００３０】 したがつて、第１実施例と同様に、軸受メタル(24)が高温の排気ガスにさらさ れて加熱されることがなく、軸受メタル(24)が回転軸(13)や軸受部(11)に焼き付 いて、なめらかな回転を妨げる不都合を解消することができる。

【００３１】

【考案の効果】

本考案によれば、次の効果を奏する。 (ａ) 排気ブレーキ用のバタフライバルブを支承する軸受メタルを、高温の排 気ガスから隔離して、温度上昇を防止することにより、焼き付き等をなくして、 なめらかな回転を確保することができる。

【００３２】 (ｂ) 軸受メタルとシール部材との位置を、従来の軸受装置と逆の関係に配置 するのみであるため、装置を大幅に設計変更する必要がなく、安価に実施しうる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例を示す断面図である。

【図２】本考案の第２実施例を示す断面図である。

【図３】シールリングの拡大斜視図である。

【図４】本考案の適用対象のバタフライバルブの縦断平
面図である。

【図５】同じく縦断側面図である。

【図６】従来の排気ブレーキ用バタフライバルブの軸受
装置の一例を示す断面図である。

【符号の説明】

(１)弁保持体 (２)弁体(バタフ
ライバルブ) (３)(４)回転軸 (５)ハンドル (11)軸受部 (12)弁体 (13)回転軸 (14)シール保持部
材 (15)溝 (16)シールリング (17)軸受メタル(軸受部材) (18)蓋板 (21)シール保持部材 (22)段差部 (23)シールリング (24)軸受メタル (25)蓋板 (26)膨出部 (27)圧縮コイルスプリング(付勢手段）

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 排気ガスが流通する管路中に、バタフラ
   イバルブの１対の回転軸を管路と直交する方向に支承す
   る軸受装置であって、前記バタフライバルブに連結さ
   れ、かつ管路の側壁に形成した軸受部内を貫通する回転
   軸の外周面の外方寄りに、軸受部材を嵌挿するととも
   に、該軸受部材よりも管路内方側の回転軸に、排気ガス
   の漏出を防止するシール手段を設けたことを特徴とする
   排気ブレーキ用バタフライバルブの軸受装置。
2. 【請求項２】 シール手段が、回転軸の外周に嵌着した
   シール保持部材と、該シール保持部材に外嵌した、軸受
   部の内周面に当接するシールリングとを備えることを特
   徴とする請求項１に記載の排気ブレーキ用バタフライバ
   ルブの軸受装置。
3. 【請求項３】 シール保持部材の外端側に段差部を形成
   し、該段差部に、その軸線方向の長さよりも大寸法の厚
   さのシールリングを外嵌するとともに、シールリング
   を、付勢手段により軸受部材を介して管路内方に向けて
   押圧するようにしたことを特徴とする請求項２に記載の
   排気ブレーキ用バタフライバルブの軸受装置。