JP2007255395A - 排気圧力制御弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンから排気される排気ガスの圧力を制御する排気圧力制御弁において、スロットルバルブを閉状態から開状態に切り替える際に発生する異音を低減する。
【解決手段】排気圧力制御弁10は、メイン流路12とバイパス流路28を備えるハウジング11と、メイン流路12を閉じる閉状態とメイン流路12を開く開状態とに切換えるスロットルバルブ30と、バイパス流路28を開閉するバイパスバルブ26と、を有している。バイパス流路の入口ポート16がスロットルバルブ上流側のメイン流路内壁面に設けられ、バイパス流路の出口ポート46がスロットルバルブ下流側のメイン流路内壁面に設けられる。出口ポート46の位置と、スロットル軸の軸線から弁体の周縁までの距離が最も長くなる弁体の周縁上の点の位置とが周方向にずれている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、エンジンの排気流路に設けられ、エンジンから排気される排気ガスの圧力を制御する排気圧力制御弁に関する。
エンジンの始動性を向上させ、あるいは、エンジンから排気される排気ガスを浄化するために、エンジンから排気される排気ガスの圧力を制御する排気圧力制御弁が用いられている。従来の排気圧力制御弁としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
特許文献1の排気圧力制御弁は、メイン流路とバイパス流路が設けられたハウジングを備えている。メイン流路の内壁面には入口ポートと出口ポートが設けられている。入口ポートにはバイパス流路の上流端が接続され、出口ポートにはバイパス流路の下流端が接続されている。メイン流路には、メイン流路を開閉するスロットルバルブが設けられている。スロットルバルブは、入口ポートと出口ポートの間に配設されている。バイパス流路には、バイパス流路を開閉するバイパスバルブが設けられている。バイパスバルブを開くと、スロットルバルブの上流側の排気ガスはバイパス流路を通ってスロットルバルブの下流側に流れることができる。
この排気圧力制御弁では、スロットルバルブの開度を絞ると、排気ガスの圧力が上昇する。排気ガスの圧力が所定の値を超えると、バイパスバルブが開く。バイパスバルブが開くと、バイパス流路を排気ガスが流れ、これによって、排気ガスの圧力上昇が抑えられ、排気ガスの圧力が所定の値に維持される。一方、スロットルバルブの開度を大きくすると、排気ガスの圧力が低下し、バイパスバルブが閉じてバイパス流路も閉じられる。
国際公開99/41495号公報
近年、上述した排気圧力制御弁を、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスを浄化するディーゼル・パティキュレート・フィルタ・システム(以下、DPFシステムという)へ適用することが検討されている。DPFシステムは、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるパティキュレートや黒鉛をセラミック製のフィルタで捕集し、排気ガスを浄化する装置である。このDPFシステムでは、フィルタに捕集されるパティキュレートや黒鉛が一定量を超えると、フィルタに捕集されたパティキュレートや黒鉛を燃焼させてフィルタを再生する。このフィルタの再生のために排気圧力制御弁が用いられる。すなわち、フィルタを再生する際は、排気圧力制御弁によってスロットルバルブの開度を絞り、排気ガスの圧力を高める。排気ガスの圧力が所定値を超えると、バイパスバルブが開き、バイパス流路を排気ガスが流れることで、排気ガスの圧力が所定値に維持される。排気ガスの圧力上昇に伴ってエンジンへの燃料供給量が増量されるため、エンジンで燃焼しなかった燃料の一部がフィルタ上流の酸化触媒に供給される。酸化触媒に供給された燃料は、酸化反応によって触媒内の排気ガス温度を上昇させ、フィルタに捕集されたパティキュレートや黒鉛を燃焼させる(すなわち、フィルタを再生する)。フィルタの再生が終了すると、スロットルバルブが開き、排気圧力が通常の圧力まで低下する。したがって、DPFシステムに排気圧力制御弁を適用することで、エンジンに供給される燃料を利用してフィルタの再生を行うことが可能となる。
しかしながら、上述した排気圧力制御弁をDPFシステムに適用する場合、フィルタの再生を終了し、スロットルバルブを閉状態(スロットルバルブの開度を絞った状態を含む)から開状態に切り替える際に、スロットルバルブの上流側から下流側に排気ガスが急激に流れ、排気圧力制御弁の周辺から不快な騒音(笛吹き音)が発生するという問題があった。特に、ディーゼルエンジンが搭載される車両はバス、トラック等の大型車が多く、発生する騒音も大きく、騒音の低減が大きな課題となっている。
本発明は、上記問題点に鑑みて創作されたものであり、排気圧力制御弁のスロットルバルブを閉状態から開状態に切り替える際に発生する騒音を低減することができる排気圧力制御弁を提供することを目的とする。
本発明者らは、スロットルバルブを閉状態から開状態に切り替える際に発生する騒音の原因を特定するために、騒音発生時の排気ガスの流動解析シミュレーションを行った。その結果、スロットルバルブを閉状態から開状態に切り替えると、スロットルバルブの上流側から下流側に高速で流れる排気ガスが出口ポートに衝突して出口ポート内の排気ガスに渦流を発生させ、この渦流が騒音の原因となっていることが判明した。
そこで、本発明の第1の排気圧力制御弁は、エンジンの排気流路に設けられ、エンジンから排気される排気ガスの圧力を制御する排気圧力制御弁であって、メイン流路とバイパス流路を備えるハウジングと、ハウジングに回転自在に支持されるスロットル軸と、スロットル軸に取付けられた弁体とを備えており、スロットル軸を回転することにより弁体がメイン流路を閉じる閉状態と弁体がメイン流路を開く開状態とに切換えるスロットルバルブと、バイパス流路を開閉するバイパスバルブと、を有している。バイパス流路の上流端が接続される入口ポートがスロットルバルブ上流側のメイン流路内壁面に設けられる一方で、バイパス流路の下流端が接続される出口ポートがスロットルバルブ下流側のメイン流路内壁面に設けられている。そして、出口ポートの位置と、スロットル軸の軸線から弁体の周縁までの距離が最も長くなる弁体の周縁上の点の位置とが周方向にずれていることを特徴とする。
この排気圧力制御弁では、スロットルバルブを閉じた状態から開くと、スロットル軸の軸線から弁体の周縁までの距離が最も長くなる弁体の周縁上の点(最も回転半径が大きくなる点)において、弁体の周縁とメイン流路との隙間が最大となり、排気ガスの流速も最も速くなる。この排気圧力制御弁では、出口ポートの位置と、スロットル軸の軸線から弁体の周縁までの距離が最も長くなる弁体の周縁上の点の位置とが周方向にずれているため、スロットルバルブを開くときに生じる高速の排気ガス流の中心が出口ポートからずれることとなる。これによって、スロットルバルブの開弁時に発生する騒音を抑制することができる。
上述した排気圧力制御弁では、出口ポートの周方向の位置が、メイン流路に設けられたスロットル軸を支持する部位の周方向の位置と略一致することが好ましい。このような構成によると、高速の排気ガス流から離れた位置に出口ポートが配置されることになるため、発生する騒音をより抑制することができる。
また、上述した排気圧力制御弁では、スロットル軸の一端を支持する軸受けをさらに有し、軸受けはハウジングに形成された貫通孔内に収容されており、貫通孔からハウジング外に突出するスロットル軸の一端にはスロットル軸を回転駆動するアクチュエータが接続されており、スロットル軸と貫通孔の内壁面との間にはシール部材が配されていることが好ましい。
このような構成によると、スロットル軸の回転動作を円滑に行うことができると共にメイン流路からの排気ガスの流出を防止することができる。
また、本発明の第2の排気圧力制御弁は、エンジンの排気流路に設けられ、エンジンから排気される排気ガスの圧力を制御する排気圧力制御弁であって、メイン流路とバイパス流路を備えるハウジングと、ハウジングに回転自在に支持されるスロットル軸と、スロットル軸に取付けられた弁体とを備えており、スロットル軸を回転することにより弁体がメイン流路を閉じる閉状態と弁体がメイン流路を開く開状態とに切換えるスロットルバルブと、バイパス流路を開閉するバイパスバルブと、を有している。そして、バイパス流路の上流端が接続される入口ポートがスロットルバルブ上流側のメイン流路内壁面に設けられる一方で、バイパス流路の下流端画接続される出口ポートがスロットルバルブ下流側のメイン流路内壁面に設けられており、出口ポートには、排気ガスの流れ特性を変更する流れ特性変更手段が設けられている。
この排気圧力制御弁では、出口ポートに排気ガスの流れ特性を変更する手段が設けられている。このため、スロットルバルブを閉状態から開状態としたときに高速の排気ガス流が出口ポートに向かって流れても、出口ポート内の排気ガスに渦流が発生することが抑制される。これによって、スロットルバルブの開弁時に発生する騒音を低減することができる。
上記流れ特性変更手段は、出口ポートの下流側の曲面状に形成された壁面とすることができる。すなわち、出口ポートの下流側の壁面を曲面状に形成することによって、出口ポート内に渦流が発生することを抑制することができる。
あるいは、流れ特性変更手段には、出口ポートの下流側の壁面に設けられて排気ガスの流れを整流する整流部材を用いることができる。出口ポートの下流側の壁面に整流部材を取付けることによっても、出口ポート内に渦流が発生することを抑えることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
(形態1) 排気圧力制御弁は、ディーゼルエンジンの排気流路に設けられる。排気圧力制御弁の上流にはDPF装置が配され、下流には排気管(マフラ)が配される。
(形態2) 排気圧力制御弁は、メイン流路とバイパス流路が設けられたハウジングを有する。バイパス流路はメイン流路に隣接して設けられる。メイン流路には、スロットルバルブの上流側に入口ポートが設けられ、スロットルバルブの下流側に出口ポートが設けられる。バイパス流路の上流端は入口ポートを介してメイン流路に接続され、下流端は出口ポートを介してメイン流路に接続される。バイパスバルブはバイパス流路の中間に配設される。
(形態3) バイパスバルブを開閉する開閉装置は、ダイアフラム式のアクチュエータと、そのアクチュエータのロッドの直線運動をバイパスバルブの開閉運動に変換するリンク機構を備えている。
(形態4) スロットルバルブを開閉する開閉装置は、ダイアフラム式のアクチュエータを備えている。アクチュエータの圧力室の圧力が所定圧力を超えるとスロットルバルブは開き、アクチュエータの圧力室の圧力が所定圧力以下となるとスロットルバルブは閉じる。アクチュエータの圧力室は3方電磁弁の中立ポートに接続され、3方電磁弁の他の2つのポートの一方は吸引ポンプに接続され、他方は大気に開放されている。アクチュエータの圧力室と3方電磁弁の間には流量調節手段が設けられる。
(形態5) 流量調節手段は、ハウジングと、ハウジング内をアクチュエータ側と3方電磁弁側とに仕切る仕切り板を有している。仕切り板には、複数のオリフィスが形成され、その複数のオリフィスの一部は弁体(バルブ)によって開閉される。弁体は、アクチュエータの圧力室に空気を導入するときにオリフィスを閉じ、アクチュエータの圧力室から空気を排気するときはオリフィスを開く。
(形態6) スロットルバルブは、スロットル軸と、スロットル軸に取り付けられた弁体とを有している。スロットル軸の両端はハウジングに回転可能に支持されている。スロットル軸が回転することで、弁体がメイン流路を閉じる閉状態と、弁体がメイン流路を開く開状態とに切り替えられる。スロットルバルブが閉状態となると、弁体はメイン流路の軸線方向に対して傾斜している。
(形態7) 出口ポートの周方向の位置は、スロットル軸の軸線から弁体の周縁までの距離が最も短くなる弁体の周縁上の点(すなわち、スロットル軸を支持する支持部)の周方向の位置と同一となる。出口ポートの下流側の壁面は曲面状(R状)に面取りがなされている。
(形態8) 出口ポートの下流側の壁面には整流部材(遮蔽板,フィン,ハニカム等)が配設されている。
(形態9) 入口ポートは、スロットル軸を支持する支持部から周方向にずれた位置に設けられている。入口ポートとスロットル軸は、その一部がメイン流路の軸線方向にオーバラップしている。
本発明を具現化した一実施例を図面を参照して説明する。まず、本実施例の排気圧力制御弁10が搭載されるディーゼルエンジン1の排気系の構成について説明する。図1に示すように、ディーゼルエンジン1の排気系は、DPF装置3と、排気圧力制御弁10を備えている。
DPF装置3は、排気ガスに含まれるパティキュレートや黒鉛を捕集するフィルタ(セラミック製)を有している。DPF装置3の上流端には排気管2を介してディーゼルエンジン1が接続されている。DPF装置3の下流端には排気管5を介して排気圧力制御弁10が接続されている。排気管2には圧力センサ2aが配設されている。圧力センサ2aは排気管2を流れる排気ガスの圧力を検出する。排気管5には圧力センサ5aが配設されている。圧力センサ5aは排気管5を流れる排気ガスの圧力を検出する。圧力センサ2a,5aで検出された排気ガスの圧力はECU4に入力される。排気圧力制御弁10は、ディーゼルエンジン1から排気される排気ガスの圧力を制御する装置である(詳細な構成については後述する)。排気圧力制御弁10の下流端は排気管6を介してマフラに接続されている。
ディーゼルエンジン1及び排気圧力制御弁10の制御は、ECU(電子制御ユニット)4によって行われる。ECU4は、ディーゼルエンジン1の運転状態に応じて、ディーゼルエンジン1への吸気量及び燃料供給量を制御する。また、ECU4は、圧力センサ2a,5aで検出された各圧力の圧力差(すなわち、DPF装置3の圧力損失)が所定値を超えると、排気圧力制御弁10のスロットルバルブ(後述)を閉じてDPF装置3のフィルタを再生する。
上述した排気系では、ディーゼルエンジン1から排気される排気ガスは、排気管2を介してDPF装置3に流れる。DPF装置3は、排気ガスに含まれるパティキュレートや黒鉛を捕集する。DPF装置3で浄化された排気ガスは、排気管5、排気圧力制御弁10及び排気管6を通って、マフラより大気に放出される。
DPF装置3にパティキュレートや黒鉛が捕集され、DPF装置3の圧損が大きくなると、ECU4は排気圧力制御弁10のスロットルバルブを閉じる。これによって、ディーゼルエンジン1の排気圧力が上昇し、この排気圧力の上昇に応じてディーゼルエンジン1へ供給される燃料が増量される。このため、DPF装置3には、未燃成分を含んだガスが供給され、未燃成分を含んだガスはフィルタ上流の酸化触媒に供給される。酸化触媒に供給された未燃成分は、酸化反応によって触媒内のガス温度を上昇させ、これによって、フィルタに捕集されたパティキュレートや黒鉛が燃焼する(すなわち、DPF装置3のフィルタが再生される)。DPF装置3のフィルタの再生が完了すると、ECU4は排気圧力制御弁10のスロットルバルブを開き、通常の運転状態に戻る。なお、DPF装置3の再生は、DPF装置3の圧力損失が所定値を超える毎に行われる。
次に、排気圧力制御弁10について説明する。図2は排気圧力制御弁10の概略構成を示す断面図である。図2に示すように、排気圧力制御弁10は、メイン流路12とバイパス流路28が設けられたハウジング11と、メイン流路12を開閉するスロットルバルブ30と、バイパス流路28を開閉するバイパスバルブ26とを備えている。
ハウジング11は、メイン流路12と、このメイン流路12に隣接して設けられたバイパス流路28(バイパス室)を有している。
メイン流路12の上流端14には排気管5が取付けられる。メイン流路12の下流端66には、連結管70を介して排気管6が取付けられる。メイン流路12の内壁面には入口ポート16と出口ポート46が形成されている。入口ポート16は上流端14側に形成され、出口ポート32bは下流端66側に形成されている。入口ポート16と出口ポート46の間にはスロットルバルブ30が配されている。スロットルバルブ30は、入口ポート16と出口ポート46の間でメイン流路12を開閉する。
バイパス流路28は、その上流端が入口ポート16を介してメイン流路12に接続され、その下流端が出口ポート46を介してメイン流路12に接続されている。バイパス流路28には、バイパスバルブ26が収容されている。バイパスバルブ26は、入口ポート16からバイパス流路28への開口部を開閉するようになっている。図から明らかなように、バイパスバルブ26は、メイン流路12の内壁面から退避した位置に配置されている。
図3は図2のIII−III線断面図であり、図4はスロットル軸32の軸受け部と入口ポート16と出口ポート46の周方向の位置関係を模式的に示す図である。
図4に示すように、スロットルバルブ30のスロットル軸32は、メイン流路12の中心(点O)を通り、その両端はそれぞれメイン流路12の壁面(ハウジング11の点A,C)で支持されている。図3に示すように、入口ポート16の周方向の位置は、スロットル軸32の一端を支持する軸受け部の周方向の位置と同一となっている(図4の点A又は点C)。出口ポート46の周方向の位置も、入口ポート16と同様に、スロットル軸32の一端を支持する軸受け部の周方向の位置と同一となっている。したがって、メイン流路12とバイパス流路28は略平行に伸びている。
図3に示すように、入口ポート16は断面円形状に形成されている。入口ポート16を断面円形状とすることで、入口ポート16をバイパスバルブ26(後述)によって気密に閉じ易くなっている(図2参照)。一方、出口ポート46は断面長方形状に形成されている。出口ポート46を断面方形状とすることで、出口ポート46の流路断面積を大きく確保でき、出口ポート46からメイン流路12へ排気ガスが流れ易くされている。
また、図2に示すように、出口ポート46の下流側の壁面48は、メイン流路12への接続部分が曲面状(R状)に面取りがなされている。これによって、メイン流路12を流れる排気ガスが下流端66側へ流れ易くなっている。
図2に良く示されるように、スロットルバルブ30は、バタフライ式バルブであり、スロットル軸32と、そのスロットル軸32に取付けられた弁体34を備えている。スロットル軸32が回転することで、弁体34がメイン流路12を閉じる閉状態と、弁体34がメイン流路12を開く開状態とに切り替えられる。弁体34がメイン流路12を閉じた状態では、弁体34はメイン流路12の軸線(中心軸線)に対して傾斜している(図3参照)。また、弁体34の周縁とメイン流路12の内壁面との間には、クリアランスが形成されている。このクリアランスは、スロットルバルブ30を閉じたときでもディーゼルエンジン1が運転できるように設けられている。クリアランスは、弁体34の全周にわたって形成されている。
スロットル軸32の一端は軸受け40によって回転自在に支持されている。軸受け40は、ハウジング11に形成された取付孔42内に収容されている。取付孔42は、入口ポート16と出口ポート46の間に設けられている。取付孔42の一端(メイン流路12側の端部)は、スロットル軸32が挿通している。取付孔42の他端はバイパス流路28に開放されており、その開口はキャップ36によって閉じられている。取付孔42の開口をキャップ36によって閉じることで、取付孔42内に排気ガスのパティキュレートや黒鉛が侵入することを防止している。
また、スロットル軸32の他端は、軸受け54によって回転自在に支持されている。軸受け54は、ハウジング11に形成された取付孔52内に収容されている。取付孔52の一端(メイン流路12側の端部)は、スロットル軸32が挿通している。スロットル軸32と取付孔52の間にはシールリング50が配されている。シールリング50によって、メイン流路12内の排気ガスが外部に流れ出ることが防止されている。取付孔42の他端は外部に開放されており、その開口よりスロットル軸32の駆動端32bが外部に突出している。スロットル軸32の駆動端32bは、連結片62を介してアクチュエータ64のロッド60に連結されている。ロッド60が伸長することで、スロットル軸32が回転するようになっている。
次に、スロットルバルブ30を開閉する開閉装置41について図5を参照して説明する。図5に示すように、開閉装置41は、アクチュエータ64と、3方電磁弁47と、バキュームポンプ43を備えている。
アクチュエータ64は、ダイアフラム式のアクチュエータである。アクチュエータ64は、図示しない圧力室の圧力に応じて伸縮するロッド60を備えている。ロッド60の先端には連結片62の一端が回転可能に取付けられている。連結片62の他端にはスロットル軸32の駆動端32bが取付けられている。ロッド60が伸縮すると、それに応じてスロットル軸32が回転し、これによって、スロットルバルブ30がメイン流路12を開く開状態と、メイン流路12を閉じる閉状態とに切り替えられる。すなわち、アクチュエータ64の圧力室の圧力が所定圧力を超えるとスロットルバルブ30がメイン流路12を開き、アクチュエータ64の圧力室の圧力が所定圧力以下となるとスロットルバルブ30がメイン流路12を閉じるようになっている。
アクチュエータ64の圧力室は、配管57a,流量調節弁51,配管57bを介して3方電磁弁47の中立ポート47cに接続されている。3方電磁弁47の残った2つのポート47a,47bのうち一方のポート47aはチェックバルブ45を介してバキュームポンプ43に接続され、他方のポート47bは大気に開放されている。チェックバルブ45は、バキュームポンプ43から3方電磁弁47側への空気の逆流を防止している。
3方電磁弁47は、ECU4によって制御される。ポート47bを閉じて中立ポート47cとポート47aとが連通する状態とし、バキュームポンプ43を作動させると、アクチュエータ64の圧力室内の空気が排気される(これによって、スロットルバルブ30が閉状態となる)。一方、ポート47aを閉じて中立ポート47cとポート47bとが連通する状態とすると、アクチュエータ64の圧力室内に大気が導入される(これによって、スロットルバルブ30が開状態となる)。
アクチュエータ64の圧力室と3方電磁弁47の間に介装される流量調節弁51は、ハウジング51と、ハウジング51の中間に設けられた隔壁53と、隔壁53に取付けられた弁体55を有している。隔壁53によって仕切られた一方の部屋51aは、配管57aを介してアクチュエータ64の圧力室に連通している。隔壁53によって仕切られた他方の部屋51bは、配管57bを介して3方電磁弁47の中立ポート47cに接続されている。
隔壁53には複数のオリフィス53aが穿設されている。複数のオリフィス53aの一部は、弁体55によって開閉される。すなわち、アクチュエータ64の圧力室に空気を導入する時(3方電磁弁47からアクチュエータ64に向かって空気が流れる時)は、弁体55が隔壁53の一部のオリフィスを閉じる。アクチュエータ64の圧力室から空気を排気する時(アクチュエータ64から3方電磁弁47に向かって空気が流れる時)は、弁体55が変形して隔壁53のオリフィス53aを開く(図7に示す状態)。したがって、アクチュエータ64の圧力室に空気を導入する時は、空気の通過断面積が小さくなり、アクチュエータ64の圧力室には緩やかに空気が供給される。一方、アクチュエータ64の圧力室から空気を排気する時は、空気の通過断面積が拡大され、アクチュエータ64の圧力室の空気が速やかに排気される。これによって、スロットルバルブ30が閉状態から開状態となるまでの時間が、スロットルバルブ30が開状態から閉状態となるまでの時間より長くなるように調整されている。
バイパスバルブ26は、フラッパ弁であり、弁体24と、弁体24をアーム20に取付るためのボルト22を有している。図6に示すように、バイパスバルブ26を開閉する開閉装置69は、アクチュエータ79と、アクチュエータ79の運動をバイパスバルブ26に伝達するリンク機構(73,20)を備えている。
アクチュエータ79は、ダイアフラム式のアクチュエータであり、シリンダ81とロッド75を備えている。ロッド75は、その基端部に設けられた隔壁部75aと、隔壁部75aに立設されたロッド部75bを有している。隔壁部75bは、シリンダ81内に移動可能に収容され、シリンダ81内を圧力室77とばね収容室83に区画している。圧力室77は排ガス導入管23によって排気管5と連通され、排気管5内を流れる排気ガスが圧力室77内に導入されるようになっている。ばね収容室83には圧縮された状態でばね85が収容されている。ばね85は、隔壁部75aを圧力室77側に付勢している。ロッド部75bの先端にはリンク73の基端が回転自在に取付けられている。リンク73の先端にはアーム20の一端が固定されている。アーム20の他端にはバイパスバルブ26が取付けられている。
圧力室77に導入される排気ガスの圧力が所定の圧力以下のときは、圧力室77内の排気ガスから隔壁部75aに作用する力より、ばね85の隔壁部75aを付勢する付勢力の方が大きいため、ロッド75は初期位置にあり、バイパスバルブ26はバイパス流路28を閉じている。一方、圧力室77に導入される排気ガスの圧力が所定の圧力を越えると、ばね85の付勢力に抗してロッド75が伸張する。これにより、アーム20が軸18回りに回転し、アーム20の先端に取付けたバイパスバルブ26がバイパス流路28を開く。
上述した排気圧力制御弁10がスロットルバルブ30を開閉するときの動作について説明する。まず、スロットルバルブ30を開いた状態から閉じた状態とするときの動作について説明する。なお、上述した説明から明らかなように、スロットルバルブ30が開いた状態では、アクチュエータ64の圧力室に大気が導入されている。
排気圧力制御弁10の開閉はECU4によって制御される。ECU4は、まず、3方電磁弁47に駆動信号を出力し、ポート47bを閉じて中立ポート47cとポート47aとが連通する状態とし、次いで、バキュームポンプ43を作動させる。これによって、アクチュエータ64の圧力室内の空気が排気され、スロットルバルブ30がメイン流路12を閉じる。アクチュエータ64の圧力室から空気が排気されるときは、流量調節弁51の弁体55はオリフィス53aを開放する。このため、アクチュエータ64の圧力室内の空気が速やかに排気される。
スロットルバルブ30がメイン流路12を閉じると、排気ガスの圧力が上昇するため、バイパスバルブ26を駆動するアクチュエータ79の圧力室77に導入される排気ガスの圧力も上昇する。圧力室77内の排気ガスの圧力が所定値を超えると、ロッド75がばね85の付勢力に抗して伸張する。これによって、バイパスバルブ26がバイパス流路28を開く。なお、バイパスバルブ26のバルブ開度は、排気管5内の排気ガスの圧力によって決まり、排気管5内の排気ガスの圧力が高いと大きく、排気管5内の排気ガスの圧力が低いと小さくなる。これによって、排気管5内の排気ガスの圧力が略一定に維持される。
なお、バイパスバルブ26は、メイン流路12の内壁面から退避した位置に配置されているため、メイン流路12の排気圧力が直接作用しないようになっている。また、バイパスバルブ26の開閉は、アクチュエータ76の直線運動をリンク機構を介してアーム20に伝達することで行われる。これらのため、排気管5を流れる排気ガスが脈動する場合であっても、バイパスバルブ26の挙動が安定し、バイパスバルブ26のチャタリング等を防止することができる。これによって、排気圧力の制御性が高められている。
次に、スロットルバルブ30を閉じた状態から開いた状態とするときの動作について説明する。スロットルバルブ30を閉じた状態から開いた状態とする際は、ECU4は、3方電磁弁47に駆動信号を出力し、ポート47aを閉じて中立ポート47cとポート47bとが連通する状態とする。これによって、3方電磁弁47側からアクチュエータ64の圧力室内に大気が導入され、スロットルバルブ30がメイン流路12を開く。アクチュエータ64の圧力室内に空気が導入されるときは、流量調節弁51の弁体55は一部のオリフィス53aを閉じる。このため、アクチュエータ64内の圧力室には空気が緩やかに導入され、スロットルバルブ30はゆっくりと開くこととなる。
スロットルバルブ30が閉状態から開状態となると、スロットルバルブ30の上流側から下流側に排気ガスが流れ出る。
ここで、スロットルバルブ30の弁体34とメイン流路12の内壁面との隙間の大きさは、スロットル軸32の軸線から弁体34までの距離(回転半径)に比例する。すなわち、スロットル軸32の軸線から弁体34までの距離が最も長くなる点B,Dにおいて隙間が最も大きくなる(図4参照)。逆に、スロットル軸32の軸線から弁体34までの距離が最も短くなる点A,Cにおいて隙間が最も小さくなる。このため、スロットルバルブ30から流れ出る排気ガスの流速は、点B,Dにおいて最も早くなり、点A,Cにおいて最も遅くなる。出口ポート46は点A(又は点C)に設けられており、高速の排気ガスが流れ出す位置からずれた位置に配されている。このため、スロットルバルブ30を開いたときに急激に流れ出る排気ガスによって、出口ポート46内に渦流が発生することが防止され、異音の発生が防止される。また、出口ポート46の下流側の壁面48が曲面状に形成されているため、スロットルバルブ30から流れ出る排気ガスはスムーズに下流端66に向かって流れることができる。これによっても、出口ポート46内に渦流が発生することが防止され、異音の発生が抑えられる。さらに、スロットルバルブ30がゆっくり開かれるため、排気ガスが急激にスロットルバルブ30の下流側に流れ出ることが抑制される。これによっても、異音の発生が抑えられる。
なお、スロットルバルブ30がメイン流路12を開くと、排気管5内を流れる排気ガスの圧力も低下する。このため、バイパスバルブ26はバイパス流路28を閉じることとなる。
上述のように、本実施例の排気圧力制御弁10では、出口ポート46の周方向の位置とスロットル軸32の軸受け部の周方向の位置を同一とし、出口ポート46の下流側の壁面48を曲面状に形成している。これによって、出口ポート46内の排気ガスに渦流が発生することが抑制され、異音の発生を効果的に防止することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述した実施例では、出口ポート46の下流側の壁面48を曲面状に形成したが、本発明はこのような形態に限られない。例えば、図8に示すように、出口ポート46の開口部78にハニカム74を配することができる。出口ポート46の開口部78にハニカム74を配することによっても、出口ポート46内の排気ガスに渦流が発生することを防止することができる。また、図9に示すように、出口ポート46を覆う遮蔽板80を設けて、出口ポート46の開口部82に排気ガス流が直接衝突しないようにしてもよい。あるいは、図10,11に示すように、出口ポート46の下流側の壁面48にフィン84を設けるようにしてもよい。フィン84を設けることによっても、出口ポート46内の排気ガスに渦流が発生することを防止することができる。
また、上述した実施例では、入口ポート16と出口ポート46とスロットル軸32の軸受け部を周方向の同一位置に配置したが、本発明はこのような形態に限られない。例えば、図12〜15に示すように、入口ポート116とスロットル軸132の軸受け部を周方向にずらして配置することもできる。
この場合、図12〜14によく示されるように、入口ポート116とスロットル軸132の軸受け部をメイン流路の軸方向にオーバラップさせて配置することが好ましい。入口ポート116とスロットル軸132の軸受け部を軸方向にオーバラップさせることで、排気圧力制御弁をコンパクト化することができる。また、図15に示すように、入口ポート116をメイン流路112の内壁面112aより外側に突出するように設けることが好ましい。入口ポート116とスロットル軸132の軸受け部を周方向にずらして配置しても、入口ポート116をメイン流路112の外側に突出させることで、入口ポート116の流路断面積を充分に確保することができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
本実施例の排気圧力制御弁が搭載されるディーゼルエンジンの排気系の構成を示す図。 本実施例の排気圧力制御弁の概略構成を示す断面図。 図2のIII−III線断面図。 入口ポートと出口ポートとスロットル軸の軸受け部の周方向の位置を説明するための図。 スロットルバルブを開閉する装置の概略構成を模式的に示す図。 バイパスバルブを開閉する装置の概略構成を模式的に示す図。 スロットルバルブを閉じるときの流量調節弁の状態を示す図。 本実施例の排気圧力制御弁の変形例を示す図。 本実施例の排気圧力制御弁の他の変形例を示す図。 本実施例の排気圧力制御弁の他の変形例を示す図。 図10に示す排気圧力制御弁の出口ポートを拡大して示す図。 本発明の他の排気圧力制御弁の一部破断斜視図。 図12に示す排気圧力制御弁を異なる方向から見た一部破断斜視図。 図12に示す排気圧力制御弁の入口ポート116と出口ポート146とスロットル軸132をバイパス流路側から見た図。 入口ポート116とメイン流路112の接続部を拡大して示す図。
符号の説明
1:ディーゼルエンジン
3:DPF装置
4:ECU
10:排気圧力制御弁
12:メイン流路
16:入口ポート
28:バイパス流路
30:スロットルバルブ
26:バイパスバルブ
46:出口ポート

Claims (7)

  1. エンジンの排気流路に設けられ、エンジンから排気される排気ガスの圧力を制御する排気圧力制御弁であって、
    メイン流路とバイパス流路を備えるハウジングと、
    ハウジングに回転自在に支持されるスロットル軸と、スロットル軸に取付けられた弁体とを備えており、スロットル軸を回転することにより弁体がメイン流路を閉じる閉状態と弁体がメイン流路を開く開状態とに切換えるスロットルバルブと、
    バイパス流路を開閉するバイパスバルブと、を有しており、
    バイパス流路の上流端が接続される入口ポートがスロットルバルブ上流側のメイン流路内壁面に設けられる一方で、バイパス流路の下流端が接続される出口ポートがスロットルバルブ下流側のメイン流路内壁面に設けられており、
    出口ポートの位置と、スロットル軸の軸線から弁体の周縁までの距離が最も長くなる弁体の周縁上の点の位置とが周方向にずれていることを特徴とする排気圧力制御弁。
  2. 出口ポートの周方向の位置が、メイン流路に設けられたスロットル軸を支持する部位の周方向の位置と略一致することを特徴とする請求項1の排気圧力制御弁。
  3. スロットル軸の一端を支持する軸受けをさらに有し、軸受けはハウジングに形成された貫通孔内に収容されており、貫通孔からハウジング外に突出するスロットル軸の一端にはスロットル軸を回転駆動するアクチュエータが接続されており、スロットル軸と貫通孔の内壁面との間にはシール部材が配されていることを特徴とする請求項1又は2の排気圧力制御弁。
  4. エンジンの排気流路に設けられ、エンジンから排気される排気ガスの圧力を制御する排気圧力制御弁であって、
    メイン流路とバイパス流路を備えるハウジングと、
    ハウジングに回転自在に支持されるスロットル軸と、スロットル軸に取付けられた弁体とを備えており、スロットル軸を回転することにより弁体がメイン流路を閉じる閉状態と弁体がメイン流路を開く開状態とに切換えるスロットルバルブと、
    バイパス流路を開閉するバイパスバルブと、を有しており、
    バイパス流路の上流端が接続される入口ポートがスロットルバルブ上流側のメイン流路内壁面に設けられる一方で、バイパス流路の下流端が接続される出口ポートがスロットルバルブ下流側のメイン流路内壁面に設けられており、
    出口ポートには、排気ガスの流れ特性を変更する流れ特性変更手段が設けられていることを特徴とする排気圧力制御弁。
  5. 流れ特性変更手段が、出口ポートの下流側の曲面状に形成された壁面であることを特徴とする請求項4の排気圧力制御弁。
  6. 流れ特性変更手段が、出口ポートの下流側の壁面に設けられて排気ガスの流れを整流する整流部材であることを特徴とする請求項4の排気圧力制御弁。
  7. メイン流路とバイパス流路を備えるハウジングと、
    ハウジングに回転自在に支持されるスロットル軸と、スロットル軸に取付けられた弁体とを備えており、スロットル軸を回転することにより弁体がメイン流路を閉じる閉状態と弁体がメイン流路を開く開状態とに切換えるスロットルバルブと、
    バイパス流路を開閉するバイパスバルブと、を有する流量制御弁であって、
    バイパス流路の上流端が接続される入口ポートがスロットルバルブ上流側のメイン流路内壁面に設けられる一方で、バイパス流路の下流端が接続される出口ポートがスロットルバルブ下流側のメイン流路内壁面に設けられており、
    出口ポートの位置と、スロットル軸の軸線から弁体の周縁までの距離が最も長くなる弁体の周縁上の点の位置とが周方向にずれていることを特徴とする流量制御弁。
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