JP2020002856A - 自動二輪車の排気装置 - Google Patents
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一方、低速走行時には、市街地や住宅地等の騒音の影響が大きい場所を走行している場合が多いために高い消音性能が望まれる。低速走行時に消音性能を向上させるためには排気バルブを閉じればよいが、閉じ過ぎると背圧が高くなり過ぎてしまうという相反する問題がある。なお、マフラーを大型化することで解決することが考えられるものの、車両の外観や重量、バンク角等に悪い影響を及ぼす虞がある。
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係る自動二輪車の排気装置の好適な実施例について説明する。
図1は、自動二輪車1の構成の一例を示す右側面図である。なお、必要に応じて図面には、車両の前側を矢印「前」で示し、その逆を後側とする。また、車両の左側を矢印「左」で示し、その逆を右側とする。また、車両の上側を矢印「上」で示し、その逆を下側とする。
メインフレーム部101aの後部付近から後輪107の上側にかけて、後上側に適度に傾斜してシートレール109が延出する。シートレール109は着座シートを支持する。着座シートの前側にはタンクカバーによって覆われる燃料タンクが搭載される。
エンジン10は、左右方向に沿ったクランクシャフト11を収容して支持するクランクケース12と、シリンダブロック13と、シリンダヘッド14と、シリンダヘッドカバー15とが順次重なるように一体的に結合して構成される。クランクケース12の下部にはオイルパン16が付設される。エンジン10は、シリンダ軸線が前側に適度に傾斜した状態で車体フレーム100によって支持される。エンジン10は複数のエンジンマウントを介して懸架されることで車体フレーム100の内側に一体的に結合支持され、エンジン10自体が車体フレーム100の剛性部材として作用する。
まず、吸気装置について説明する。
吸気装置は、エアクリーナ、吸気パイプ、スロットルボディ等を有する。エンジン10のシリンダヘッド14の後側には複数(ここでは4つ)の気筒に対応した吸気ポートが形成され、各吸気ポートに吸気パイプを介してスロットルボディが接続される。スロットルボディは、アクセル開度に応じて吸気通路を開閉するスロットルバルブを有し、エアクリーナから供給される吸気の量を制御する。スロットルボディは、下流側に燃料噴射用のインジェクタが配置される。インジェクタは所定タイミングでスロットルボディ内の吸気流路に燃料を噴射することで、シリンダヘッド14の各気筒に混合気を供給する。
図2は、自動二輪車1の構成の一例を示す底面図である。
排気装置20は、第1の排気パイプ21a〜第4の排気パイプ21d、第1の合流パイプ22a、第2の合流パイプ22b、集合パイプ23、触媒ケース24、ジョイントパイプ26、マフラー35等を有する。第1の排気パイプ21a〜第4の排気パイプ21d、第1の合流パイプ22a、第2の合流パイプ22b、集合パイプ23、触媒ケース24およびジョイントパイプ26は、例えば溶接によって一体で構成される。
ここで、第1のジョイントパイプ部材27aの内部には排気制御バルブ28を取り付けられる。排気制御バルブ28は、開閉角度を調整することでジョイントパイプ26内の排気通路の通路面積を変更することができる。すなわち、排気制御バルブ28は、第1のジョイントパイプ部材27aを流れる排気ガスの量を制御する。
図3に示すように、排気制御バルブ28は、第1のジョイントパイプ部材27aの延出方向に対して直交する回動軸29を中心にして回動する。排気制御バルブ28が開く方向に回動することで排気通路の通路面積が増加し、排気制御バルブ28が閉じる方向に回動することで排気通路の通路面積が減少する。排気制御バルブ28は、第1のジョイントパイプ部材27aの外側でワイヤあるいはケーブルを介してアクチュエータと接続される。自動二輪車1に備えられたECUはエンジン回転数等の情報を取得して、取得した情報に基づいてアクチェエータを制御することにより排気制御バルブ28が回動する。
本体部45は、後壁47によって閉塞されると共に、仕切部としてのバッフルプレート48によって区画されることで複数の膨張室が形成される。本実施例の本体部45は、前側に位置する第1の膨張室49aと、後側に位置する第2の膨張室49bとの2室が形成される。なお、バッフルプレート48は本体部45を前側と後側とで略3:5に区画することで、第1の膨張室49aの容積は第2の膨張室49bの容積よりも小さい。
また、第2の膨張室49と外部とはテールパイプ51によって連通される。テールパイプ51は、延出方向が本体部45の延出方向と平行になるように直線状に配置される。具体的に、テールパイプ51は後壁47の中央よりもやや上側寄りに穿設された孔に挿入された状態で固定される。このようにテールパイプ51が配置されることで、第2の膨張室49bの排気ガスは、テールパイプ51を通って外部に排出される。
なお、連通パイプ50とテールパイプ51とは内径が略同一であり、それぞれの中心軸線が直線状に略一致する。また、連通パイプ50の後端とテールパイプ51の前端とは、第2の膨張室49内で隙間を介して対向する。
本実施例の排気装置20には、ジョイントパイプ26内の排気通路の一部を排気ガスが迂回するためのバイパスパイプ55を有する。バイパスパイプ55の内部は排気ガスの排気通路として機能する。なお、バイパスパイプ55の内径(あるいは外径)は、ジョイントパイプ26の内径(あるいは外径)よりも大きい。したがって、バイパスパイプ55の通路面積はジョイントパイプ26の通路面積よりも小さい。
図3に示すように、バイパスパイプ55は略U字状に形成される。バイパスパイプ55は、上流部56aと、中間部56bと、下流部56cとが一体で構成される。上流部56aおよび下流部56cは緩やかに湾曲し、中間部56bは略直線状に形成される。ここで、上流部56aおよび下流部56cは曲部の一例に対応する。
このように、バイパスパイプ55がジョイントパイプ26に結合されることで、ジョイントパイプ26により形成される排気通路のうち排気制御バルブ28の上流側および下流側の排気通路が連通する。ここで、バイパスパイプ55のうち上流部56aおよび下流部56cは湾曲しているために、図4に示す範囲L(第1の開口部30から第2の開口部31までの範囲)で比較すると、バイパスパイプ55の排気通路長さはジョイントパイプ26の排気通路長さよりも長くなる。
また、図4および図5に示すように、ジョイントパイプ26のうち第2のジョイントパイプ部材27bは、排気通路を2つの通路に区画する第1の隔壁32を有する。具体的には、第1の隔壁32は上側に突出するように湾曲された略板状であって、第2のジョイントパイプ部材27bのうち右側の内周面と左側の内周面とに亘って架け渡されるように結合される。したがって、第2のジョイントパイプ部材27bの内部には、第1の隔壁32に区画されることで、上側に第1のメイン通路33a、下側に第1のサブ通路33bが形成される。第1のメイン通路33aの通路面積は、第1のサブ通路33bの通路面積よりも大きい。なお、第1のサブ通路33bの通路面積は、バイパスパイプ55の通路面積よりも大きい。
ここで、第1の隔壁32は、前端が排気制御バルブ28よりも下流側に位置する。また、第1の隔壁32は、前端側がバイパスパイプ55の第2の開口部31を第2のジョイントパイプ部材27bの内部かつ上側から覆っている。したがって、バイパスパイプ55の排気通路と第2のジョイントパイプ部材27bの第1のサブ通路33bとが連通する。すなわち、バイパスパイプ55を流れる排気ガスは、第1のメイン通路33aに流れることなく第1のサブ通路33bに流れる。一方、第1の隔壁32のうち後端は、第2のジョイントパイプ部材27bの後端に位置する。
バッフルパイプ60は、前側に位置する前側部61aと後側に位置する後側部61bとを有する。前側部61aは、接続部38とコネクタ部材39との間に挟まれた状態で、例えば溶接によって結合される。また、後側部61bは、外周面に内側コーン部材37bの前端が、例えば溶接によって結合される。後側部61bは、前側部61aからマフラー35内に向かって延出し、マフラー35のコーン部36内および本体部45内にまで到っている。
図4に示すように、後側部61bと連通パイプ50とはそれぞれ中心軸線が直線状に略一致する。ここでは、後側部61bの後端と連通パイプ50の前端とは第1の膨張室49a内で隙間を介して対向する。後側部61bの内径は、連通パイプ50の内径よりも大きい。また、後側部61bは、第2のジョイントパイプ部材27bの内径と略同一であり、それぞれの中心軸線が直線状に略一致する。
バッフルパイプ60の後側部61bにはマフラー35内、具体的にはコーン部36内に位置する部位に開口部62が穿設される。開口部62は、第2のサブ通路33bの出口として機能し、バッフルパイプ60の延出方向に対して直交する方向、ここでは車両の下側に向かって指向し、第1の膨張室49aと連通する。
ここで、第2の隔壁63は、後端側が開口部62をバッフルパイプ60の内部かつ上側から覆っている。したがって、第2のサブ通路64bと第1の膨張室49aとが連通する。一方、第2の隔壁63のうち前端は、バッフルパイプ60の後側部61bの前端に位置する。
なお、第1の隔壁32の後端と第2の隔壁63の前端とは、接触せずに隙間を介して対向している。しかしながら、第1の隔壁32と第2の隔壁63との間の隙間は僅かであると共に隙間は排気ガスの流れに対して交差しないように位置している。したがって、隙間を通して排気ガスが第1のメイン通路33aから第2のサブ通路64bに漏洩したり、第1のサブ通路33bから第2のメイン通路64aに漏洩したりすることを抑制することができる。
ここで、第1の隔壁32と第2の隔壁63は、排気通路をメイン通路とサブ通路とに分ける隔壁部の一例に対応する。このように、隔壁部をジョイントパイプ26側である第1の隔壁32とマフラー35側である第2の隔壁63とで別体にすることで、一体で構成するよりも製造性および組立性が向上させることができる。
作業者はジョイントパイプ26の後端を、マフラー35のコネクタ部材39内に挿入する。このとき、ジョイントパイプ26の第1の隔壁32の後端と、マフラー35の第2の隔壁63の前端とが僅かな隙間を介して対向するように位置合わせを行う。したがって、第1の隔壁32と第2の隔壁63とによって、ジョイントパイプ26の第1のメイン通路33aとバッフルパイプ60の第1のメイン通路64aとが連通し、ジョイントパイプ26の第1のサブ通路33bとバッフルパイプ60の第2のサブ通路64bとが連通する。最後に、作業者はコネクタ部材39の外周をクランク部材で固定することで、ジョイントパイプ26とマフラー35とが接続される。
高速走行時、すなわちエンジン回転数が所定の高速範囲内である場合には、ECUからの排気制御バルブ28を開く指示に応じてアクチュエータは排気制御バルブ28を開く方向に回動させる。この場合、図4の白色の矢印に示すように、エンジン10からの排気ガスは主にジョイントパイプ26の第1のメイン通路33aからバッフルパイプ60の第2のメイン通路64aに流れ、続いてバッフルパイプ60から第1の膨張室49a、連通パイプ50、第2の膨張室49b、テールパイプ51を通ってストレートに排気される。すなわち、排気ガスの多くはジョイントパイプ26に結合されたバイパスパイプ55を通らないことから、排気通路長さが短くなり、高速走行時の出力性能を向上させることができる。特に、バッフルパイプ60の後端と連通パイプ50の前端とは対向して配置されることで、第1のメイン通路64aからの排気ガスの多くは、バッフルパイプ60からダイレクトに連通パイプ50内に流れる。
したがって、低速走行時にはバイパスパイプ55を通って排気することで、排気制御バルブ28を従来よりも閉めることができる。したがって、排気制御バルブ28によって排気音を遮断でき、消音性能を向上させることができる。また、排気制御バルブ28を従来よりも閉めることで、排気ガスが主にバイパスパイプ55を通ることから排気通路長さを長くでき、消音性能を向上させることができる。また、マフラー35を大型化する必要がないことから、車両の外観や重量、バンク角等の悪い影響を排除することができる。
また、本実施例のジョイントパイプ26は、マフラー35のコネクタ部材39に挿入された状態で固定され、ジョイントパイプ26に設けられる第1の隔壁32と、マフラー35に設けられる第2の隔壁63とを有する。ジョイントパイプ26がマフラー35のコネクタ部材39に挿入された状態で固定されることから製造性およびシール性を向上させることができる。また、ジョイントパイプ26とマフラー35とをそれぞれ別体の隔壁にすることで排気装置20の製造性を向上させることができる。
また、本実施例のバイパスパイプ55は、ジョイントパイプ26の下側であって、ジョイントパイプ26の外端よりも車両の内側に位置している。したがって、新たにバイパスパイプ55を設けても、外観やバンク角に与える影響を抑制することができる。
上述した実施例では、エンジン10が並列4気筒エンジンであり、排気装置20が第1の排気パイプ21a〜第4の排気パイプ21dを有する場合について説明したが、この場合に限られない。すなわち、多気筒エンジンであればよく、排気装置20が2つ以上の排気パイプを有していればよい。例えば、2つの排気パイプの場合には、上述した合流パイプ22a〜22bをなくし、2つの排気パイプから直接、集合パイプ23に接続することができる。
上述した実施例では、ジョイントパイプ26が第1のジョイントパイプ部材27aと第2のジョイントパイプ部材27bとから構成される場合について説明したが、この場合に限られない。ジョイントパイプ26は一つのパイプ部材あるいは3つ以上のパイプ部材から構成してもよい。
Claims (6)
- 内燃機関の排気ポートに接続される複数の排気パイプと、前記複数の排気パイプを集合させる集合パイプと、前記集合パイプとマフラーとを接続するジョイントパイプと、前記ジョイントパイプに取り付けられ排気通路の通路面積を変更する排気制御バルブと、を備える自動二輪車の排気装置であって、
前記排気制御バルブの上流側および下流側の排気通路を連通させるバイパスパイプを有し、
前記バイパスパイプは、下流端が前記ジョイントパイプに接続されていることを特徴とする自動二輪車の排気装置。 - 前記ジョイントパイプは、排気通路をメイン通路とサブ通路とに分ける隔壁部が設けられ、
前記バイパスパイプは、前記サブ通路に曲部を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の排気装置。 - 前記サブ通路は、前記マフラー内に到るまで設けられていることを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車の排気装置。
- 前記ジョイントパイプは、前記マフラーのコネクタ部材に挿入された状態で固定され、
前記隔壁部は、前記ジョイントパイプに設けられる第1の隔壁と、前記マフラーに設けられる第2の隔壁とを有していることを特徴とする請求項2または3に記載の自動二輪車の排気装置。 - 前記マフラー内における前記サブ通路の出口は、車両の下側を指向していることを特徴とする請求項2ないし4の何れか1項に記載の自動二輪車の排気装置。
- 前記バイパスパイプは、前記ジョイントパイプの下側であって、前記ジョイントパイプの外端よりも車両の内側に位置していることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の自動二輪車の排気装置。
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