JPH06335744A - 油圧式コイニングプレス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 上型を押圧するラムをウェッジ機構と油圧シ
リンダとの組み合せにより高低２段変速にて行いコイニ
ング作動時間を短縮し、かつアプローチ時の油量を制約
する。 【構成】 コイニングプレス本体１に設置される下型２
の上方対向位置に昇降台５を本体１に対して昇降自在に
配設する。そしてこの昇降台５の上面に配したウェッジ
機構８を介して昇降台５を昇降させるとともにこの昇降
台５には油圧シリンダ６及びこの油圧シリンダ６に嵌合
され、かつ上型３を取り付ける主ピストン４を備える。
そしてこの主ピストン４を油圧シリンダ６を介して昇降
台５に昇降自在に設ける。これによりアプローチをウェ
ッジ機構８の操作にて高速に、加圧時を油圧シリンダ６
の油圧による高圧をもって上型３を移動させる。これに
よりコイニング工程の時間を短縮でき、かつコイニング
プレス装置を小型化及び油量の節約を図れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は上型を押圧するラムをウ
ェッジ機構と油圧シリンダとの組み合せにより高低２段
変速にて行いコイニング作動時間を短縮し、かつアプロ
ーチ時の油量を制約するようになした油圧式コイニング
プレスに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】予め定めた鍛造製品は熱間または冷間型
鍛造工程において成形し、次いでこれを外形精度を高め
るためにコイニング工程を経るようにしている。このコ
イニングに用いるプレスとしてはナックルジョイントを
用いるか、油圧プレスを用いる。このプレスは鍛造用プ
レスに比べ小型であるが一般に一本の油圧をシリンダを
用いてアプローチから加圧時までを動作させるものであ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ナックルジョイントは
騒音と振動が発生するため作業環境が悪いものとなる。
これを改善するため油圧式コイニングプレスが近年汎用
されるようになった。しかし、従来一般に採用されてい
る油圧式コイニングプレスはラムの全昇降工程を一本の
油圧シリンダにて行うようにしている。そしてこの油圧
シリンダには予め定めた油圧の作動油を一定流量で油圧
ポンプにて供給するようになしている。このためアプロ
ーチ時には無負荷であるにもかかわらず、加圧状態での
油量が供給されるのでラムの降下速度が遅く、コイニン
グの一工程に時間がかかるものとなっている。従って無
負荷のアプローチ時においてラムを高速で降下させ、加
圧時にて設定圧・油量を油圧シリンダに供給すればコイ
ニング工程時間を短縮することができる。

【０００４】本発明はラムの上死点から無負荷のアプロ
ーチ時にはウェッジ機構にて高速降下させ、加圧時油圧
シリンダにて設定圧にて加圧し、コイニングを短時間で
行うことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになしたもので、コイニングプレス本体に設置
される下型の上方対向位置に昇降台を本体に対して昇降
自在に配設し、この昇降台上面に配したウェッジ機構を
介して昇降台を昇降させるとともにこの昇降台には油圧
シリンダ及びこの油圧シリンダに嵌合され、かつ上型を
取り付ける主ピストンを備え、かつこの主ピストンを油
圧シリンダを介して昇降台に昇降自在に設けて成り、ア
プローチをウェッジ機構の操作にて高速に、加圧時を油
圧シリンダの油圧による高圧をもって上型を移動させる
ようになしたことを要旨とする。

【０００６】

【作用】コイニング用の油圧シリンダを備えた昇降台の
上部にウェッジ機構を設け、このウェッジ機構をコイニ
ング用の主油圧シリンダと別の油圧シリンダにて駆動さ
せるように、しかも油圧を個別に選択的にかけるように
する。このためアプローチ時にはウェッジ機構の駆動に
てコイニング用上型を備えた主シリンダは高速で降下
し、ウェッジ機構の下死点位置で次に油圧シリンダへ作
動油圧を加えて上型を高圧低速でさらに降下するので、
コイニングの一工程が短縮され、しかも必要最少油量に
て行えるとともにプレス本体を小型化できる。

【０００７】

【実施例】以下本発明油圧式コイニングプレスを図示の
実施例にもとづいて説明する。図において１は油圧式コ
イニングプレスの本体で、この本体１の所定位置にはコ
イニング用の下型２を着脱交換自在に取り付け、この下
型取付位置の上方位置には昇降する昇降台５を対設し、
かつこの昇降台に油圧シリンダを設け、この油圧シリン
ダ内に主ピストンを嵌合してラムを構成し、この主ピス
トン４の下面に直接もしくは間接的に上型３を取り付け
る。

【０００８】主ピストンの上部は昇降台５内に備えた油
圧シリンダ６内に嵌挿されるとともに、この昇降台５は
図５に示すようにその隅角部にガイド面を形成し、この
ガイド面と対設して本体１側にもガイド面を設け、この
両ガイド面に夫々摺動板１０，１０・・・を備え、昇降
台５を本体１のガイド面にて正しい位置及び姿勢を保持
しつつ上下方向に摺動すなわち昇降させるもので、この
昇降運動を軽快に行うため摺動板１０が採用される。こ
の昇降台保持用のガイド面は昇降台の四隅部に設けた
が、予め正しい姿勢を保持して昇降するならば図示の実
施例以外の方法でもよい。

【０００９】また昇降台５の上面は予め定めた傾斜角を
もった傾斜スライド面７を形成し、本体１に設定された
平面位置にてガイド面及び摺動板１０を介して上下方向
に摺動可能すなわち昇降自在に支持される。

【００１０】また本体１に、しかも昇降台５の上面の傾
斜スライド面７と摺接して水平方向に移動可能にしてウ
ェッジ機構８が設けられる。これはウェッジ８２内に設
けた油圧シリンダ８４に嵌挿されたピストン８１とこの
油圧シリンダ８４、ピストン８１にて水平方向に移動す
るウェッジ８２とより成る。そしてこのウェッジ８２は
上面は本体１に水平方向に直接または摺動板９を介して
摺動可能に押圧支持され、下面は前記昇降台５上面の傾
斜スライド面７と同じ傾斜角でその傾斜方向を逆にした
傾斜スライド面８３を形成し、ウェッジ内の油圧シリン
ダ８４を貫通した複動用のピストン８１の一端を本体１
に固定し、このピストン８１とウェッジ内の油圧シリン
ダ８４の操作にてウェッジ８２が水平方向に摺動する
際、この対接する両傾斜スライド面７，８３の傾斜角に
応じて昇降台５を上方向から押圧して降下するようにな
す。

【００１１】昇降台とウェッジとが互いに接面する傾斜
スライド面７，８３の傾斜角は油圧シリンダ８４、ピス
トン８１の駆動により加圧時のラム４降下時速度より速
くなるようにした設定速度にて昇降台が降下するように
適当に定めるとともにウェッジ８２の摺動が滑らかに行
えるよう、両傾斜スライド面７，８３間に摺動板９，９
・・・を設けることもある。

【００１２】油圧シリンダ８４は複動式で、所要のスト
ロークを有するようにしてウェッジ８２内に形成され、
この油圧シリンダ８４、ウェッジ８２を水平方向に貫通
して複動用のピストン８１を挿通し、このピストン８１
の右端側のロッド８１Ｒと、左端側のロッド８１Ｌとよ
り選択的にシリンダ８４内に作動油を供給する油圧回路
（図示せず）を設け、これにより図１に示すようにラム
が上死点にある位置で左側のロッド８１Ｌより作動油を
供給するとウェッジ内のピストンより左側シリンダ内に
油圧がかかり、ウェッジ８２は左方向へ移動する。この
時の作動油量及び油圧に応じてウェッジの左方向への移
動速度が定まり、これにより傾斜スライド面７，８３の
傾斜角に沿って昇降台５は押し下げられるようになる。
また図２、図３に示すように反対に右側ロッド８１Ｒよ
り作動油を供給すると、油圧シリンダのピストンより右
側の室内に作動油が充填され、ウェッジ８２を右方向へ
移動させ昇降台への押下力を解除する働きをする。

【００１３】このウェッジ８２が右方へ移動し、昇降台
５への押下力が解除すると、昇降台５には図４に示すよ
うに本体上部を貫通して吊下ロッド１１，１１を設け、
この吊下ロッドに昇降台引上用のばね１２，１２を附設
しているため、このばね圧により昇降台５は上死点まで
引き上げられるものである。１３は引上ロッド１１，１
１の上端間を連結した連結板である。

【００１４】なお油圧シリンダ８４は無負荷のウェッジ
８２を水平方向に摺動する程度の圧力が生じるようにし
た油圧の設定油量を供給するが、この作動油の供給速度
を適当に定め、この油圧シリンダ８４への作動油供給速
度とスライド面の傾斜角によりアプローチ時における昇
降台５の降下速度が定められる。

【００１５】また油圧シリンダ６にはコイニング加工に
適した油圧と油量がオイルポンプを介して供給される
が、図２に示すように昇降台が降下して停止した状態の
主ピストンの下死点にある位置から予め設定された加圧
工程に移り、所要の加圧整形が行われる。この２つの油
圧シリンダ６には同一のオイルポンプから選択的にバル
ブにて切り換えて作動油を供給するかまたは低圧用・高
圧用２台のポンプを用いることも可能である。

【００１６】従って上述の如く構成したコイニングプレ
スにて鍛造製品のコイニングを行う場合についての動作
を次に説明する。主ピストンの上死点位置にあるとき、
下型２内にコイニングすべき鍛造品を挿入した後、まず
油圧シリンダ８４のピストンより左側室内に作動油を供
給すると油圧シリンダ８４内でピストン８１が駆動して
ウェッジ８２が水平に左方向へ移動する。この時ウェッ
ジ８２の上面は本体１にて支持されているが、下面の傾
斜スライド面８３は水平に移動しても傾斜スライド面８
３の傾斜角に従ってこれと接触している昇降台５は下方
へ押圧降下される。これによりアプローチ運動が高速で
行われる。

【００１７】このようにしてコイニング用金型等により
予め設定された距離をウェッジが移動するとウェッジ８
２はこの位置で停止・静止状態を保持する。次に油圧シ
リンダ６へ設定された高圧の作動油が供給されると主ピ
ストン４が降下し、上下金型間にて所要のコイニング整
形が行われる。そしてコイニング終了後、油圧シリンダ
６の作動油を抜き、かつ油圧シリンダ８４への作動油を
切り換えてピストンより右側室内へ供給することにより
ラムは上昇するとともにウェッジの後退により昇降台の
押下力は解除されるので、ばね圧にて吊下ロッドを介し
て昇降台も上昇復帰するものである。

【００１８】このようにウェッジ機構と主ピストン用油
圧シリンダとの組み合せによりアプローチ時を高速に、
加圧時は高圧低速にて昇降台を駆動できるのでコイニン
グが高速で行えるものとなる。

【００１９】

【発明の効果】本発明油圧式コイニングプレスはコイニ
ングプレス本体に設置される下型の上方対向位置に昇降
台を本体に対して昇降自在に配設し、この昇降台上面に
配したウェッジ機構を介して昇降台を昇降させるととも
にこの昇降台には上型を取り付ける主ピストンを備え、
かつこの主ピストンを油圧シリンダを介して昇降台に昇
降自在に設けいるため、無負荷のアプローチを高速で、
加圧時は設定速度と圧力にて上型を降下でき、コイニン
グ工程の時間を短縮でき、かつコイニングプレス装置を
小型化及び油量の節約を図れる等の利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明油圧式コイニングプレスの静止状態の正
面図である。

【図２】同ウェッジ移動時の状態を示す正面図である。

【図３】加圧状態を示す正面図である。

【図４】図１の縦断側面図である。

【図５】昇降台部の平面図である。

【符号の説明】

１ 本体 ２ 下型 ３ 上型 ４ 主ピストン ５ 昇降台 ６ 油圧シリンダ ７ 傾斜スライド面 ８ ウェッジ機構 ８１ ピストン ８２ ウェッジ ８４ 油圧シリンダ ９ 摺動板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コイニングプレス本体に設置される下型
   の上方対向位置に昇降台を本体に対して昇降自在に配設
   し、この昇降台上面に配したウェッジ機構を介して昇降
   台を昇降させるとともにこの昇降台には油圧シリンダ及
   びこの油圧シリンダに嵌合され、かつ上型を取り付ける
   主ピストンを備え、かつこの主ピストンを油圧シリンダ
   を介して昇降台に昇降自在に設けて成り、アプローチを
   ウェッジ機構の操作にて高速に、加圧時を油圧シリンダ
   の油圧による高圧をもって上型を移動させるようになし
   たことを特徴とする油圧式コイニングプレス。