JPH06335521A - 改質リン酸カルシウム粉末及び硬化性組成物 - Google Patents

改質リン酸カルシウム粉末及び硬化性組成物

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JPH06335521A
JPH06335521A JP5127470A JP12747093A JPH06335521A JP H06335521 A JPH06335521 A JP H06335521A JP 5127470 A JP5127470 A JP 5127470A JP 12747093 A JP12747093 A JP 12747093A JP H06335521 A JPH06335521 A JP H06335521A
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JP
Japan
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powder
calcium phosphate
curable composition
acid
tcp
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JP5127470A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Saito
嘉宏 斉藤
Kimio Fukuda
喜美雄 福田
Shigemi Une
成実 宇根
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】医科用材料、歯科用材料としての用途に適合し
た実用的な物性を有する4CP及び/又はα−TCP硬
化組成物を提供することを目的とする。 【構成】本発明は、高分子化合物被膜処理により表面改
質したリン酸カルシウム粉末及び該粉末を主成分とする
粉末及び硬化液からなるリン酸カルシウム系硬化性組成
物に関する。得られた組成物は、生体親和性に優れ、十
分な操作余裕時間と物性面でも優れたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、病的あるいは外的原因
等により生じた骨や歯牙の欠損部や空隙部に用いる、医
療用材料、歯科材料に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】リン酸カルシウム系材料
は、生体内の骨及び歯牙の主成分であり、生体材料とし
て有用である。特にハイドロキシアパタイト〔Ca
10(PO4 6 (OH)2;以後HApと略記する〕及
びβ−リン酸三カルシウム〔β−Ca3 (PO4 2
以後β−TCPと略記する〕は、従来から生体親和性の
ある材料として注目され、既に実用化されている。
【0003】しかし、HAp及びβ−TCPは、化学活
性が低いので、粉末や顆粒で使用する場合を除いて、高
温下で成型しなければならないという制約があり、練性
充填などへの応用が制限されている。リン酸カルシウム
類のなかでも、リン酸四カルシウム〔Ca4 (PO4
2 O;以後4CPと略記する〕およびα−リン酸三カル
シウム〔α−Ca3 (PO42 ;以後α−TCPと略
記する〕は、水または生理食塩水、ポリアクリル酸水溶
液、及び各種有機酸水溶液で練和すると常温で硬化する
ことが知られており、この性質を利用した骨セメントや
歯科用セメントおよび覆髄材、根管充填材、再石灰化促
進材、骨補填材などへの応用が考えられている。
【0004】前記の硬化性組成物は、通常4CPあるい
はα−TCPを主成分とする粉材と液材とを混合練和し
て、ペースト状ないし粘土状とすることにより、任意の
形態で使用しうる必要があり、かつ速やかに硬化して、
患部に強固に固定され、優れた生体親和性を発現するこ
とが必要である。しかしながら、前記硬化材のいずれを
取ってみても、これらの要求性能を充足することはでき
ない。即ち、粉材の主成分である4CP及びα−TCP
の化学活性が高く、液材と混和すると、速やかに硬化反
応が進行して、適当なちょう度を一定時間保持する均一
な組成物とすることが困難である。
【0005】このため、組成物が硬化するまでの時間を
延長させる目的で、液材の成分濃度を低くしたり、pH
調節剤の添加等が試みられている。また、粉材に対して
も、HApやリン酸一水素カルシウムなどの低活性リン
酸カルシウムや、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、
酸化亜鉛等の各種金属酸化物、あるいはフッ化カルシウ
ム、フッ化ストロンチウム、フルオロリン酸ナトリウム
等の各種フッ素系化合物を配合して、4CP及び/又は
α−TCPの硬化反応をできるだけ抑制する試みもなさ
れている。また、水和反応により4CPの表面にHAp
をコーティングする方法も報告されている。しかしなが
ら、これらの方法も、4CP及び/又はα−TCP硬化
組成物としての特性を著しく低下させるにもかかわら
ず、それを補う程度の硬化特性の改善は認められず、根
本的な改良には至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、医科用材
料、歯科用材料としての用途に適合した実用的な物性を
有する4CP及び/又はα−TCP硬化組成物を提供す
ることを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記のご
とき技術の現状に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、4CP
及び/又はα−TCP粉末の表面に高分子化合物を被膜
処理することにより、前記問題点を大幅に解決するのみ
ならず、得られた硬化性組成物の物理的性質が飛躍的に
向上することを見出し本発明を成すに至った。
【0008】すなわち、本発明は、高分子化合物被膜処
理により表面改質したリン酸カルシウム粉末及び該粉末
を主成分とする粉末及び硬化液からなるリン酸カルシウ
ム系硬化性組成物に関する。さらに、該リン酸カルシウ
ム粉末が4CP及び/又はα−TCPであるリン酸カル
シウム系硬化性組成物に関する。
【0009】本発明の高分子表面被膜処理を施したリン
酸カルシウム粉末は、硬化液と混合した場合、初期硬化
を遅延することなく、操作余裕時間を延ばすことができ
る。このことは粉末表面の高分子化合物が硬化液により
溶解されるまでの間、リン酸カルシウム粉末と硬化液の
ぬれが一時的に抑制されるためである。
【0010】本発明で使用する高分子化合物の例として
は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ
エチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン
グリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロ
リドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
フタレート、酢酸フタル酸セルロース、アルギン酸ナト
リウム、アルギン酸カリウム及びアラビアゴムを挙げる
ことができるが、特に好ましいものとしてはポリビニル
ピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースフタレート及びエチルセルロースが挙げら
れる。
【0011】本発明で使用するリン酸カルシウム粉末
は、4CP及び/又はα−TCPを主成分とする粉末で
あり、いかなる方法で合成されたものでもよい。また、
必要な物性を損なわない範囲で粉末の一部分を他のリン
酸カルシウムやフッ化物等で置換してもかまわない。粉
末の粒径は100μm以下が好ましく、特に好ましくは
5〜45μmの範囲である。
【0012】被膜処理の方法は、通常の方法で粉末表面
に被覆させる方法や、アルコール類、アセトン又は塩化
メチレン等の溶媒中に前記高分子化合物を溶解または懸
濁させ、この溶液とリン酸カルシウム粉末とを混合し溶
媒を乾燥などの手段によって除去する方法、あるいはス
プレードライ装置によって被膜する方法などがある。
【0013】被膜処理する際の高分子化合物の使用割合
は、被膜されるリン酸カルシウム粉末に対して10重量
%以下が適当であり、好ましくは0.05〜2重量%の
範囲である。高分子化合物の割合が過度に多いと操作性
が悪くなる。
【0014】本発明に使用する硬化液は、前記のリン酸
カルシウム粉末と混合練和することにより凝結硬化する
ような液であれば特に限定されるものではないが、一般
に以下のような硬化液を挙げることができる。 (1)正リン酸、ピロリン酸、塩酸等の無機酸で2規定
以下の水溶液、(2)酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、マ
ロン酸及び乳酸等の生体由来の有機酸の水溶液、(3)
アクリル酸、イタコン酸、フマル酸及びマレイン酸等の
不飽和有機酸の単独重合体、又は2種以上の組み合わせ
による共重合体の水溶液等が挙げられる。好ましくは、
生体由来の有機酸とアクリル酸・イタコン酸共重合体の
混合物の水溶液である。また必要に応じて、フッ素系化
合物、各種抗菌剤、pH調節剤などを微量添加してもか
まわない。
【0015】本発明のリン酸カルシウム系硬化性組成物
は、高分子化合物被膜処理を施したリン酸カルシウム粉
末(P)と硬化液(L)の重量混合割合(粉液比)、即
ち、P/Lが0.8〜3.0の範囲にあることが望まし
い。特に好ましくはP/L=1.0〜1.8の範囲であ
る。P/Lが過度に大であると操作性が悪くなり、過度
に小だと得られた組成物の物性が良くない。
【0016】
【発明の効果】本発明のリン酸カルシウム系硬化性組成
物は、生体親和性に優れ、十分な操作余裕時間と実用的
な物理化学的性質を有するものである。また、被膜処理
により粉末の保存安定性も向上した。
【0017】次に実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【実施例】 比較例1 (粉末I) リン酸水素カルシウム二水和物〔CaHPO4 ・2H2
O〕と炭酸カルシウム〔CaCO3 〕の等モル混合物を
1600℃で2時間焼成し、外気中で急冷した。焼成物
をボールミルで粉砕し、粒径45μm以下の粉末とし
た。この粉末はX線回折により4CPを主成分とする粉
末であることが確認された。
【0018】比較例2 (粉末II) リン酸水素カルシウム二水和物2モルに対して炭酸カル
シウム1モルの割合で混合し、1200℃で2時間焼成
し、外気中で急冷した。焼成物をボールミルにより粉砕
し、粒径45μm以下の粉末とした。この粉末はX線回
折によりα−TCPであることが確認された。
【0019】実施例1 (粉末III) スプレードライ装置により、(粉末I )をポリビニルピ
ロリドン(Mn:40,000)被膜処理をした粉末。
(粉末I )100gに対して、ポリビニルピロリドンの
0.5%エタノール溶液100gを被膜液として使用し
た。
【0020】実施例2 (粉末IV) スプレードライ装置により、(粉末I )をポリビニルピ
ロリドン(Mn:40,000)被膜処理をした粉末。
(粉末I )100gに対して、ポリビニルピロリドンの
3.0%エタノール溶液100gを被膜液として使用し
た。
【0021】実施例3 (粉末V ) スプレードライ装置により、(粉末I )をエチルセルロ
ース被膜処理をした粉末。(粉末I )100gに対し
て、エチルセルロースの1.0%エタノール溶液100
gを被膜液として使用した。
【0022】実施例4 (粉末VI) スプレードライ装置により、(粉末II)をポリビニルピ
ロリドン(Mn:40,000)被膜処理をした粉末。
(粉末II)100gに対して、ポリビニルピロリドンの
0.5%エタノール溶液100gを被膜液として使用し
た。
【0023】(硬化液の組成)クエン酸10%、酒石酸
5%、アクリル酸・イタコン酸共重合体(Mn:20,
000)30%を含む水溶液。
【0024】(混合練和法と得られた組成物の物性測定
法)上記で得た粉末I,II,III,IV,V 及びVIそれぞれに硬
化液をP/L=1.1の割合で混合練和した。得られた
組成物をJIS T6602に準拠して、ちょう度、破
砕抗力、凝固時間、崩壊率を測定した。また各組成物
の、抜去牛歯エナメル質に対する引っ張り接着強さも測
定した。測定結果を表1に示す。
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61L 25/00 A 7252−4C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子化合物被膜処理により表面改質した
    リン酸カルシウム粉末。
  2. 【請求項2】高分子化合物被膜処理により表面改質した
    リン酸カルシウム粉末を主成分とする粉末及び硬化液か
    らなるリン酸カルシウム系硬化性組成物。
  3. 【請求項3】リン酸カルシウムがα−リン酸三カルシウ
    ム及び/又はリン酸四カルシウムである請求項2記載の
    リン酸カルシウム系硬化性組成物。
JP5127470A 1993-05-28 1993-05-28 改質リン酸カルシウム粉末及び硬化性組成物 Pending JPH06335521A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022030655A (ja) * 2020-08-07 2022-02-18 HOYA Technosurgical株式会社 リン酸カルシウム組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022030655A (ja) * 2020-08-07 2022-02-18 HOYA Technosurgical株式会社 リン酸カルシウム組成物

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