JPH0632493Y2 - クリップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案はパネル等の板材に各種の部材を取付るための
クリップに関し、より詳細にはパネル等の板材の穴に挿
入係止されているクリップ本体の係止片を、このクリッ
プ本体に被嵌されているキャップの押込みによって内方
に窄め、ワンタッチ操作で取付け部材を、その取付け板
材から脱装し得るようにしたクリップの提供に関する。

［従来の技術］ 従来パネル等に各種の部材を取付ける場合、この取付け
部材とパネル等とに連通する孔を設け、この孔を利用し
てボルト、ナットで取付け部材をパネル等の面に取付け
たり、取付け部材に予めボルトを設けておき、このボル
トをパネル等の面に設けた孔に挿通してナットで締付け
ることによって取付け部材をパネル等の面に装着するこ
とがなされていた。

かゝる部材の取付け方法ではパネル等の内側でナットの
締付け操作をする必要があり、締付け操作が難しく、し
かも締込み用の工具を操作する空間がパネル等の内側に
必要とされることから使用箇所に自ずと限界があった。
又、ナットを締付けることから取付け面の塗装が剥がれ
てしまう不都合があった。

かゝる点から近時弾性変形される係止脚片を有するプラ
スチック製の取付け具を用意し、この取付け具を用いて
パネル等の板材に各種の部材を取付けることが試みられ
てている。その典型的な取付け具は、一方の側が部材を
取付ける係止頭部とされ、他方の側が挿入脚部とされて
いると共に、この挿入脚部が、中心脚の先端に錨形に折
返された一対の脚片とされたものがある。そこで、この
取付け具の係止頭部に部材を取付けた後、パネル等に設
けた孔に該取付け具の挿入脚部を押し入れることによっ
て該挿入脚部の脚片が該孔の孔縁で窄められ、更に挿入
脚部を押し入れることによって、該孔の内側で脚片が外
方に向けて弾性復帰し、脚片の端部で該孔の孔縁が挾持
され、部材をパネル等の面に取付けていた。

しかしながら、かゝる取付け具では部材をパネル等の面
から取り外す場合、ペンチ等をパネル等の内側に入れて
取付け具の脚片を挟み込み、この脚片を窄めることによ
ってパネル等の孔から引き抜く必要があった。このため
取付けられた部材の取り外しは盲の状態でなす必要があ
り、しかもパネル等の内側にペンチ等を入れて操作する
必要がある等多くの不都合があった。

かゝる点から簡単な操作で取外しのできる取付け具の改
良がなされ、種々のクリップないしはファスナーが提案
されている。特開昭59-9307号で開示されている脱着フ
ァスナーは、その典型的な例であって、頭部を一端に有
する中心脚の他端に錨形の脚片をヒンジを介して可動に
連設してあり、しかも中心脚の他端から突き出させた脚
片の先端に外力を受けるための受部を設けておき、この
受部に外力を付加することによって脚片を、そのヒンジ
部分で湾曲させ、脚片の他端を窄ませ得る構成としてい
る。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、かゝる脱着ファスナーでは、パネル等に
取付けた部材を取外すためには、脱着ファスナーの脚を
内方に窄めてパネル等の孔から抜き出す必要があり、か
ゝる操作はファスナーから突き出した状態で形成されて
いる受部を手探りの状態で握り、しかも、この突き出し
状態にある受部の頂部にドライバーの先端を押し当て
ゝ、これを捻ったり、押したりすることによってなす必
要があった。かゝるフィスナーの脚部の操作は技術的に
難しく、特に手探りの状態で操作する必要のある場合に
は往々にして取外しミスを生ずる原因とされた。又、取
付けた部材をパネル等の面から取外すためにはパネル等
の内側にドライバー等の操作をするに必要な空間を要す
ることから、かゝる操作空間の無い場合は取付け部材の
脱装ができなかった。

本考案にかゝるクリップは、クリップ自体に予めキャッ
プを被嵌しておき、この被嵌されているキャップをクリ
ップの取付け基部側に押入れる操作のみでパネル等に対
するクリップの係止を解くことができるようになすこと
によって、パネル等の面から手探りの状態でも容易、確
実にパネル等に対するクリップの係止を解くことができ
ると共にパネル等の内側に手指の挿入される間隙があれ
ば充分にパネル等の脱装を工具なしでなし得るようにし
たクリップの提供を目的としている。

［課題を解決するための手段］ 本考案のクリップは、かゝる目的を達成するものとし
て、クリップ本体Ａと、このクリップ本体Ａの挿入脚部
の側が嵌め入れられるれたキャップＢとで取付けクリッ
プが構成されており、このクリップ本体Ａは、一方の側
に頸部１と係止頭部２とが設けられており、パネル等の
第一の部材Ｍの取付け穴ｍに挿入係止されて該部材Ｍに
取付けられる。又、クリップ本体Ａの他方の側は挿入脚
部３とされており、前記頸部１に続く挿入脚部３の周側
には鍔４が脚部３の側に向けて傘状に突設される。そし
て、この鍔４の側に向けて、この鍔４との間で第二の部
材Ｍ′の穴ｍ′の穴縁を挾持する係止片５を該挿入脚部
３の周面から外方に突き出すように設け、且つ該係止片
５が挿入脚部３の内方に撓み込み得るように弾性変形可
能とされている。

又、キャップＢは前記クリップ本体Ａの挿入脚部３の自
由端側が嵌め入れられており、挿入脚部３の係止片５の
側に向けて押込み可能とされている。そして、該キャッ
プＢの押込みにより前記係止片５が脚部３の内方に向け
て撓み込み得る構成とされている。

［作用］ 本考案に係るクリップは叙上の構成からして第一の部材
Ｍに設けた取付け穴ｍの大きい穴部にクリップ本体Ａの
係止頭部２を挿入し、該クリップ本体Ａを該穴ｍの小さ
い穴部に移動させることによってクリップ本体Ａの頸部
１に穴ｍの穴縁が嵌まり合って固定される。

次いで第二の部材Ｍ′に設けた取付け穴ｍ′にクリップ
本体Ａの挿入脚部３を挿し込むことにより該脚部３の係
止片５が穴ｍ′の穴縁で内方に撓められると共に該係止
片５が穴ｍ′から抜け出した位置で該係止片５が外方に
向けて弾性復帰し、この係止片５と鍔４との間で第二の
部材Ｍ′を止着する。

かゝる状態でキャップＢを挿入脚部３の係止片５の側に
押入れることによって該係止片５が脚部３の内方に向け
て撓められ、係止片５による第二の部材Ｍ′に対する係
止が解かれ、第二の部材Ｍ′がクリップから脱装され
る。

［実施例］ 以下本考案にかゝる典型的なクリップの一実施例を添付
の図面について説明する。

第一及び第二の部材Ｍ、Ｍ′の取付けに用いられるクリ
ップはプラスチック製のクリップ本体ＡとキャップＢと
で構成されている。

先ずクリップ本体Ａは略方形状をなす筒体であって、一
方の側に頸部１と係止頭部２とが設けられており、この
頸部１と係止頭部２との間に第一の部材Ｍの取付けがな
される。この第一の部材Ｍは該クリップ本体Ａの係止頭
部２が挿入される比較的大きい穴部ｍ−１と、略頸部１
の収まる穴部ｍ−２とからなっており、この穴部ｍ−１
とｍ−２との間に嵌め入れたクリップ本体Ａの戻りを防
止する狭い径の穴部ｍ−３が設けられており、クリップ
本体Ａの係止頭部２を穴部ｍ−１に嵌め入れた後、穴部
ｍ−２の側に押し入れることによってクリップ本体Ａの
頸部１に穴部ｍ−２の穴縁が係止され、穴部ｍ−３の突
縁によって、この穴部ｍ−２に押し入れたクリップ本体
Ａの抜け出しが防止される。

次いで頸部１に続く挿入脚部３の側に傘状をなす鍔４が
設けられていると共に、この鍔４に続く挿入脚部３の周
回方向にスリット６、６が対向して設けられ、このスリ
ット６の両側から挿入脚部３の自由端側に向けて該スリ
ット６が連設されて略コ字状とされている。そして該ス
リット６で挿入脚部３から区分された部分が係止片５と
され、この係止片５と前記の鍔４との間で第二の部材
Ｍ′の取付け穴ｍ′の穴縁を挾持するようにしてある。
尚、この係止片５は挿入脚部３の周面から、その自由端
側が外方に突き出される形状とされており、前記のスリ
ット６で挿入脚部３と区分されていることから内方に向
けた撓み込みが可能の状態とされている。そして、該係
止片５は自由端側が肉厚状とされていると共に、その自
由端に前記の取付け穴ｍ′の周回壁に当接する凸部5a
と、この凸部5aの外側に該穴ｍ′の内側の穴縁に係当す
る段部5bが設けられている。

次いで挿入脚部３の細径とされている自由端側には係合
溝７が設けており、この溝７にキャップＢの筒内の開口
端側にある凸条８を仮留めの状態で係止する。このキャ
ップＢは前記挿入脚部３の自由端側の嵌め入れられる筒
条のものであって脚部３に押し入れた際にキャップＢが
クリップ本体Ａの係止片５を内方に撓み込む深さを有し
ており、底面に操作用の凹部９が設けられている。

かゝる構成からなるクリップは前記のように第一の部材
Ｍに取付けられた状態で、第二の部材Ｍ′の取付け穴
ｍ′に脚部３の側から挿入される。このクリップの挿入
に伴ってクリップ本体Ａの係止片５が穴ｍ′の穴縁で内
方に撓められると共に係止片５が穴ｍ′を通り抜けた時
点で外方に弾み出し、鍔４と係止片５の凸部5a及び段部
5bとの間で第二の部材Ｍ′を挾持する。

このようにして第一の部材Ｍと第二の部材Ｍ′とを保持
固定しているクリップから第二の部材Ｍ′を脱装するに
は、クリップ本体Ａに被装されているキャップＢを該ク
リップ本体Ａの係止片５の側に押し入れることによって
なす。このキャップＢの押し入れに伴って係止片５が内
方に撓み込まれ、係止片５による第二の部材Ｍ′に対す
る係当が解かれ、第二の部材Ｍ′が脱装される。

又、クリップ本体Ａの自由端側にキャップＢを引き戻す
ことによって再度第二の部材Ｍ′の取付けが可能とされ
る。

［効果］ 本考案にかゝるクリップは叙上の構成からなることから
第一の部材Ｍ及び第二の部材Ｍ′の取付けがワンタッチ
操作で可能とされると共に、第二の部材Ｍ′の脱装が単
にキャップＢを押し入れることのみで良く、部材の脱装
が特に容易とされる特長を有している。

又、キャップＢの押し入れによる部材Ｍ′の脱装に際し
て格別の工具等が必要とされず、これらの工具を操作す
る空間を部材Ｍ′の内側に用意する必要もなく、種々の
組付け構造からなる部材Ｍ、Ｍ′の取付けが可能とされ
る。

尚、キャップＢの凹部９を用いて、この凹部９にドライ
バーの先端を押し当てゝキャップＢを押す実施例では、
このドライバーの先端の逃げが無くキャップＢの押し込
み操作が確実になされる利点を有している。

又、キャップＢがクリップ本体Ａに単に仮留め状態で被
装されていることから部材Ｍ′の装脱が反復してなされ
る特長を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかゝるクリップの一実施例を示す正面
図、第２図は部品を分離した側面図、第３図はクリップ
の断面図、第４図はキャップＢを押し入れた状態の断面
図、第５図はクリップの平面図、第６図は同底面図、第
７図は部材Ｍの取付け穴ｍ部分の要部平面図である。 Ａ……クリップ本体、Ｂ……キャップ、Ｍ……部材、１
……頸部、２……係止頭部、３……挿入脚部、４……
鍔、５……係止片、６……スリット、７……係合溝、８
……凸条、９……凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一方の側に第一の部材の穴に挿入係止され
   る頸部と係止頭部とを有し、且つ他方の側が挿入脚部と
   されており、該頸部に続く挿入脚部側の周側には鍔が設
   けられていると共に該挿入脚部には、その自由端側から
   前記鍔の側に向けて該鍔との間で第二の部材の穴縁を挾
   持する弾性変形可能の係止片が該挿入脚部の周面から外
   方に突き出して設けられているクリップ本体と、 該クリップ本体の挿入脚部に押込み可能に被装されて該
   挿入脚部の周面から外方へ突き出されている前記係止片
   を内方に撓み込み自在とした筒状のキャップとからなる
   クリップ。