JPH06308671A - レーザースキヤナー用ハロゲン化銀写真感光材料およびそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

レーザースキヤナー用ハロゲン化銀写真感光材料およびそれを用いた画像形成方法

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JPH06308671A
JPH06308671A JP9432293A JP9432293A JPH06308671A JP H06308671 A JPH06308671 A JP H06308671A JP 9432293 A JP9432293 A JP 9432293A JP 9432293 A JP9432293 A JP 9432293A JP H06308671 A JPH06308671 A JP H06308671A
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Tadashi Ito
忠 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】帯電防止性にすぐれ、迅速現像処理での乾燥性
にすぐれ、かつ低補充液量処理でも安定した性能の得ら
れるレーザースキャナー用ハロゲン化銀感材を提供す
る。 【構成】BC層側に2層以上の非感光性親水性コロイド
層、1層以上の疎水性ポリマー層を有し、該非感光性親
水性コロイド層の少なくとも1層に導電性金属酸化物又
は導電性ポリマーを含有し、最外層に含フッ素界面活性
剤を含有するレーザースキャナー用感材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレーザースキャナー用ハ
ロゲン化銀写真感光材料およびその画像形成方法に関す
るものであり、特に帯電防止能に優れ、自動現像機を用
いて処理したときの乾燥性が良好で、かつ感光材料の単
位面積当りの現像液および定着液の補充液量が低減でき
るレーザースキャナー用ハロゲン化銀写真感光材料およ
びその画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】黒白ハロゲン化銀写真感光材料は、一般
に露光後、現像、定着、水洗、乾燥という工程で処理さ
れる。最近は、その殆んどが自動現像機を用いて処理さ
れる。そしてその際に感光材料の面積に比例した一定量
の現像液および定着液を補充しながら現像処理されるの
が普通である。かかる現像処理を行った時安定した写真
性能が得られることが望まれてきた。さらに単位面積当
りの補充液量をより少なくして安定した写真性能が得ら
れることが望まれてきた。従来は、例えばX−レイ写真
やグラフィックアーツ感材のようないわゆるシート状の
写真材料1m2に対して現像および定着補充液を250ml
以上、特に330ml以上を補充するのが一般的であっ
た。しかし写真現像および定着廃液は高い化学的酸素要
求量(いわゆるC.O.D)又は生物的酸素要求量(い
わゆるB.O.D)を有しているため、現像および定着
廃液に化学的又は生物的な処理等を施して無害化してか
ら廃液することが行われている。これらの廃液処理には
多大な経済的負担がかかるために現像および定着補充液
量の少ない処理方法が望まれてきた。一方、写真感光材
料の露光方法の一つに原図を走査し、その画像信号に基
づいてハロゲン化銀写真感光材料上に露光を行い、原図
の画像に対応するネガ画像もしくはポジ画像を形成する
所謂スキャナー方式による画像形成方法が知られてい
る。スキャナー方式による画像形成方法を実用した記録
装置は種々あり、これらのスキャナー方式記録装置の記
録用光源の1つとして600nm以上の波長のレーザー
が使用されることが多い。また、写真感光材料は一般に
電気絶縁性を有する支持体および写真層から成っている
ので写真感光材料の製造工程中ならびに使用時に同種ま
たは異種物質の表面との間の接触摩擦または剥離をうけ
ることによって静電電荷が蓄積されることが多い。この
蓄積された静電電荷は多くの障害を引起すが、重大な障
害は現像処理前に蓄積された静電電荷が放電することに
よって感光性乳剤層が感光し写真フィルムを現像処理し
た際に点状スポット又は樹枝状や羽毛状の線斑を生ずる
ことである。またこれらの蓄積された静電電荷はフィル
ム表面へ塵埃が付着したり、撮影やフィルム搬送機で搬
送不良を生じたり、塗布が均一に行なえないなどの第2
次的な故障を誘起せしめる原因にもなる。
【0003】レーザーを用いるスキャナー方式において
は、高速且つ正確なフィルム搬送が必須であり、静電気
による搬送不良を生じると正しい画像を得ることができ
なくなり、誤った判断を与えて重大な問題を生じる。こ
の対策として、一般に写真感光材料には帯電防止剤が用
いられている。しかしながら、前述の処理液補充量を低
減させると、写真感光材料中の帯電防止剤が処理液中に
溶出し、その蓄積量が増大して、不溶解物として析出す
る。これによって、現像液および定着液中の汚れ(フケ
状の汚れなど)や泡立ちが生じ、現像および定着不良の
原因となる。このこととは別に、近年自動現像機による
処理時間の短縮が要求されてきている。処理時間の短縮
のためには、ハロゲン化銀写真感光材料の乾燥性を改良
して乾燥時間を短縮する手段が有効である。乾燥性改良
の為の手段としてハロゲン化銀写真感光材料のバインダ
ー量を減らす方法があるが、この方法は、ハロゲン化銀
写真感光材料の力学強度の低下、擦り傷黒化の発生とい
った問題を生ずる。擦り傷黒化は、現像処理前のハロゲ
ン化銀写真感光材料を取り扱う際、フィルム表面がこす
られた時、現像処理後この部分がすり傷状に黒化する現
象である。このことは、ハロゲン化銀写真感光材料の商
品価値を著しく低下させてしまう。
【0004】乾燥性改良の他の手段として、ハロゲン化
銀写真感光材料に添加する硬膜剤量を増加することも有
効である。この方法では現像処理時のハロゲン化銀写真
感光材料の膨潤が小さくなるため乾燥性は良化する。し
かしながらこの方法では、現像遅れによる低感化、カバ
リングパワーの低下、定着遅れによる残留銀、残色等の
問題が生じ、充分な乾燥性の改良はできない。
【0005】さらに、この方法は前述した処理液補充量
を低減させていくと、感光材料によって持ち出された現
像液、いわゆるキャリーオーバーが定着液中に蓄積し
て、定着能が低下するため、感光材料の定着遅れが著し
くなる。このため、帯電防止能に優れ、乾燥性が良好
で、かつ自動現像機を用いて処理したときの処理液補充
量が低減できる技術が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、帯電
防止能に優れ、自動現像機を用いて処理したときの乾燥
性が良好で、かつ感光材料の単位面積当りの現像および
定着補充液量が低減できるレーザースキャナー用ハロゲ
ン化銀感光材料およびその画像形成方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、支持体の一
方の面に少なくとも一層の親水性コロイドをバインダー
とするハロゲン化銀乳剤層とその反対面に少なくとも二
層の非感光性親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写
真感光材料において、下記(1) および(2) を満たすこと
を特徴とするレーザースキャナー用ハロゲン化銀写真感
光材料によって達成された。 (1) 該非感光性親水性コロイド層の少なくとも一層よ
り、支持体から遠い位置に少なくとも一層の疎水性ポリ
マーを主バインダーとする層を有し、かつ該非感光性親
水性コロイド層が塗設されている面の最外層が親水性コ
ロイド層を主バインダーとする層であり、かつ該層中に
含フッ素界面活性剤を含有する。 (2) 該非感光性親水性コロイド層の少なくとも一層に、
導電性金属酸化物および/または、導電性高分子化合物
を含有する。
【0008】支持体のハロゲン化銀乳剤層が塗設されて
いる面の反対側の面(B面)を以降バック面と表わし、
B面側の非感光性親水性コロイド層を以降バック層と表
わす。本発明のバック層のバインダーとして用いられる
親水性コロイドとしては、ゼラチンが最も好ましく用い
られる。ゼラチンとしては、いわゆる石灰処理ゼラチ
ン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導
体及び変性ゼラチン等当業界で一般に用いられているも
のはいずれも用いることができる。これらのゼラチンの
うち、最も好ましく用いられるのは石灰処理ゼラチン、
酸処理ゼラチンである。
【0009】ゼラチン以外の親水性コロイドとしてコロ
イド状アルブミン、カゼイン等の蛋白質、寒天、アルギ
ン酸ナトリウム、デンプン誘導体等の糖誘導体、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等
のセルロース化合物、ポリビニルアルコール、ポリ−N
−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の合成親水
化合物等を挙げることができる。合成親水化合物の場
合、他の成分を共重合してもよいが、疎水性共重合成分
が多すぎる場合、バック層の吸湿量、吸湿速度が小さく
なり、カールの観点から不適当である。これらの親水性
コロイドは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合し
て用いてもよい。
【0010】本発明のバック層には、バインダー以外、
マット剤、界面活性剤、染料、架橋剤、増粘剤、防腐
剤、UV吸収剤、コロイダルシリカ等の無機微粒子等の
写真用添加剤を添加しても良い。これらの添加剤につい
ては、例えばリサーチ・ディスクロージャー誌176巻
17643項(1978年12月)の記載を参考にでき
る。
【0011】本発明のバック層には更にポリマーラテッ
クスを添加しても良い。本発明に用いられるポリマーラ
テックスは平均粒径が20μm〜200μmの水不溶性
ポリマーの水分散物で、好ましい使用量はバインダー
1.0に対して乾燥重量比で0.01〜1.0で特に好
ましくは0.1〜0.8である。本発明に用いられるポ
リマーラテックスの好ましい例としてはアクリル酸のア
ルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステルまたはグ
リシジルエステル、あるいはメタアクリル酸のアルキル
エステル、ヒドロキシアルキルエステル、またはグリシ
ジルエステルをモノマー単位として持ち、平均分子量が
10万以上、特に好ましくは30万〜50万のポリマー
である。
【0012】本発明のバック層の親水性コロイドの総量
は、ハロゲン化銀乳剤層が塗設されている面(A面)の
親水性コロイドの総量(乳剤面親水性コロイド総量)の
0.3倍以上(重量比)あることが好ましい。バック層
の親水性コロイド総量/乳剤面親水性コロイド総量比
(重量比)の適正の値は、ハロゲン化銀写真感光材料の
親水性コロイド総量、塗布銀量、支持体厚みにより変化
するが、この値が小さすぎるとカールが不良となる。
【0013】本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、バ
ック面の現像処理時水洗工程終了後の含水量が親水性コ
ロイド1gあたり0.2g以下であることが好ましい。
【0014】つづいて本発明の疎水性ポリマー層(以降
ポリマー層と表わす)について述べる。ポリマー層は疎
水性ポリマーをバインダーとする層である。ポリマー層
のバインダーの具体例として、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ウレ
タン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビ
ニリデン等のフッ素系樹脂、ブタジエンゴム、クロロプ
レンゴム、天然ゴム等のゴム類、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリエチルアクリレート等のアクリル酸又はメタ
クリル酸のエステル、ポリエチレンフタレート等のポリ
エステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミ
ド樹脂、セルローストリアセテート等のセルロース樹
脂、シリコーン樹脂などの水不溶性ポリマー又は、これ
らの誘導体を挙げることができる。更にポリマー層のバ
インダーとして、1種類のモノマーから成るホモポリマ
ーでも、2種類以上のモノマーから成るコポリマーでも
良い。特に好ましいバインダーとしては、アルキルアク
リレート又はアルキルメタクリレートとアクリル酸又は
メタクリル酸のコポリマー(アクリル酸又はメタクリル
酸は5モル%以下が好ましい)、スチレン−ブタジエン
コポリマー、スチレン−ブタジエン−アクリル酸コポリ
マー(アクリル酸は5モル%以下が好ましい)、スチレ
ン−ブタジエン−ジビニルベンゼン−メタクリル酸コポ
リマー(メタクリル酸は5モル%以下が好ましい)、酢
酸ビニル−エチレン−アクリル酸コポリマー(アクリル
酸は5モル%以下)、塩化ビニリデン−アクリロニトリ
ル−メチルメタクリレート−エチルアクリレート−アク
リル酸コポリマー(アクリル酸5モル%以下)、エチル
アクリレート−グリシジルメタクリレート−アクリル酸
コポリマー等である。これらは1種類を単独で用いても
よいし2種以上を併用して用いてもよい。
【0015】本発明のポリマー層には、必要に応じてマ
ット剤、界面活性剤、染料、すべり剤、架橋剤、増粘
剤、UV吸収剤、コロイダルシリカ等の無機微粒子など
の写真用添加剤を添加してもよい。これらの添加剤につ
いてもリサーチ・ディスクロージャー誌176巻176
43項(1978年12月)の記載などを参考にするこ
とができる。
【0016】本発明のポリマー層は1層であっても2層
以上であっても良い。本発明のポリマー層の厚みには特
に制限はない。しかしポリマー層の厚みが小さ過ぎる場
合、ポリマー層の耐水性が不充分となり、バック層が処
理液に膨潤する様になってしまい不適切である。逆にポ
リマー層の厚みが大き過ぎる場合、ポリマー層の水蒸気
透過性が不充分となり、バック層の親水性コロイド層の
吸脱湿が阻害されてカールが不良となってしまう。勿論
ポリマー層の厚みは用いるバインダーの物性値にも依存
する。従ってポリマー層厚みは、この両者を考慮して決
定する必要がある。ポリマー層の好ましい厚みは、ポリ
マー層のバインダー種にもよるが、0.05〜10μ
m、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。なお
本発明のポリマー層が2層以上から成る場合には、すべ
てのポリマー層の厚みの和を本発明のハロゲン化銀写真
感光材料のポリマー層の厚みとする。
【0017】次に本発明のバック面の最外層にある非感
光性親水性コロイド層(以降バック保護層と表わす)に
ついて述べる。バック保護層のバインダーの親水性コロ
イドとしてはバック層の項で述べた種々の素材を用いる
事ができるが、これらのうち最も好ましいものはゼラチ
ンである。バック保護層の厚みは1.5μ以下、好まし
くは1.0μ以下、更に好ましくは0.5μ以下が望ま
しい。バック面保護層の厚みが大き過ぎると乾燥性が不
良となる。
【0018】本発明のバック保護層には、現像処理工程
でのバック保護層の膨潤を低減する為、架橋剤を添加す
る事が好ましい。又本発明のバック保護層には、すべり
剤、界面活性剤、マット剤、染料を添加する事が好まし
い。
【0019】次に本発明に用いられる含フッ素系界面活
性剤について記す。本発明に用いられる含フッ素界面活
性剤は、特公昭48−43130号、特開昭48−44
182号、同50−113221号、同58−2002
35号、同62−109044号、米国特許3,58
9,906号などを参照できる。好ましくは、炭素数4
以上のフッ素で一部又は全部が置換されたアルキル、ア
ルケニル、アリル基を有するアニオン、カチオン、ベタ
イン、ノニオン性化合物であり、更に好ましいのは炭素
数6以上のパーフルオロアルキル、パーフルオロアルケ
ニル、パーフルオロアリル基を有するアニオン、カチオ
ン、ベタイン、ノニオン性化合物である。特に、35℃
での現像液、定着液及び水への溶解度が0.01重量%
以下のものが好ましい。これは、現像処理されてもその
溶解性が小さいため感材中に残存するために、処理液を
汚すことや泡立ちを低減できる点で好ましい。以下、こ
れらの化合物の具体例を示すが、これらに限定されるも
のではない。
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】本発明に用いる含フッ素界面活性剤は、バ
ック保護層に添加するが、その他の構成層、たとえば乳
剤層側の表面保護層などに用いることもできる。又、本
発明の含フッ素界面活性剤の含有量は好ましくは0.5
〜200mg/m2、更に好ましくは1〜100mg/m2特に
好ましくは1〜60mg/m2である。
【0023】本発明に用いられる含フッ素界面活性剤を
感材に適用するに当っては、水混和性の有機溶剤に溶解
して塗布液中に添加し、しかる後に塗布して感材に含有
せしめれば良い。好ましい水混和性有機溶媒としては、
メタノール、エタノール、イソプロパノール、ホルムア
ルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、メチルセロソルブ、アセトンなどを挙げることがで
き、場合によっては水との混合液でもよい。更に本発明
の含フッ素界面活性剤は他の水可溶性界面活性剤の水溶
液を用いて可溶化又は分散して用いてもよい。この時場
合によっては低沸点有機溶媒中に予め本発明に用いられ
る界面活性剤を溶解ししかる後に分散してもよい。この
時好ましく用いられる低沸点有機溶媒としては、蟻酸、
酢酸、シュウ酸、マレイン酸、炭酸などのアルキル(メ
チル、エチル、プロピルなど)、アリールエステルや塩
化メチレン、クロロホルム、テトラハイドロフラン、ジ
エチルエーテルなどを挙げることができる。又、分散剤
として用いられる水可溶性界面活性剤としては従来の公
知の界面活性剤を利用でき、好ましいものとして下記に
記す。
【0024】
【化3】
【0025】これらの分散剤の添加量は、本発明の含フ
ッ素界面活性剤の固型分に対して0.5〜100重量%
使用することが好ましい。
【0026】本発明の導電層に用いられる導電性物質と
しては、導電性金属酸化物或いは導電性高分子化合物な
どが用いられる。本発明に用いられる導電性金属酸化物
として好ましいのは結晶性の金属酸化物粒子であるが、
酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対して
ドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は一般的に
言って導電性が高いので特に好ましく、特に後者はハロ
ゲン化銀乳剤にカブリを与えないので特に好ましい。金
属酸化物の例としてはZnO、TiO2 、SnO2 、A
2 3 、In2 3 、SiO2 、MgO、BaO、M
oO3 、V2 5 等、あるいはこれらの複合酸化物が良
く、特にZnO、TiO2 及びSnO2 が好ましい。異
種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはA
l、In等の添加、SnO2 に対してはSb、Nb、ハ
ロゲン元素等の添加、またTiO2 に対してはNb、T
a等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は
0.01mol %〜30mol %の範囲が好ましいが、0.
1mol %〜10mol %であれば特に好ましい。本発明の
金属酸化物微粒子は導電性を有しており、その体積抵抗
率は109 Ω−cm以下、特に105 Ω−cm以下であるこ
とが好ましい。これらの酸化物については特開昭56−
143431号、同56−120519号、同58−6
2647号などに記載されている。更に又、特公昭59
−6235号に記載のごとく、他の結晶性金属酸化物粒
子あるいは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属
酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。利用
できる粒子サイズは10μ以下が好ましいが、2μ以下
であると分散後の安定性が良く使用し易い。また光散乱
性をできるだけ小さくする為に、0.5μ以下の導電性
粒子を利用すると透明感光材料を形成することが可能と
なり大変好ましい。又、導電性材料が針状あるいは繊維
状の場合はその長さは30μm以下で直径が2μ以下が
好ましく、特に好ましいのは長さが25μm以下で直径
0.5μ以下であり長さ/直径比が3以上である。本発
明に用いられる導電性高分子化合物としては、例えばポ
リビニルベンゼンスルホン酸塩類、ポリビニルベンジル
トリメチルアンモニウムクロリド、米国特許第4,10
8,802号、同4,118,231号、同4,12
6,467号、同4,137,217号に記載の4級塩
ポリマー類、米国特許第4,070,189号、OLS
2,830,767号、特開昭61−296352号、
同61−62033号等に記載のポリマーラテックス等
が好ましい。以下に本発明の導電性高分子化合物の具体
例を示すが、必ずしもこれらに限定されるものではな
い。
【0027】
【化4】
【0028】本発明の導電性金属酸化物又は導電性高分
子化合物はバインダー中に分散又は溶解させて用いられ
る。バインダーとしては、フィルム形成能を有するもの
であれば特に限定されるものではないが、例えばゼラチ
ン、カゼイン等の蛋白質、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、アセチルセルロー
ス、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等
のセルロース化合物、デキストラン、寒天、アルギン酸
ソーダ、澱粉誘導体等の糖類、ポリビニルアルコール、
ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタク
リル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、
ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエステル、ポリ塩化
ビニル、ポリアクリル酸等の合成ポリマー等を挙げるこ
とができる。本発明の導電性金属酸化物あるいは導電性
高分子化合物をより効果的に使用して導電層の抵抗を下
げるために、導電層中における導電性物質の体積含有率
は高い方が好ましいが、層としての強度を十分に持たせ
るために最低5%程度のバインダーが必要であるので、
導電性金属酸化物あるいは導電性高分子化合物の体積含
有率は5〜95%の範囲が望ましい。本発明の導電性金
属酸化物あるいは導電性高分子化合物の使用量は、写真
感光材料一平方メートル当たり0.05〜20gが好ま
しく、特に0.1〜10gが好ましい。本発明の導電層
の表面抵抗率は25℃25%RHの雰囲気下で1012Ω
以下で、好ましくは1011Ω以下が良い。これにより良
好な帯電防止性が得られる。本発明の導電性金属酸化物
あるいは導電性高分子化合物を含有する導電層は、本発
明においては、写真感光材料の構成層として少なくとも
一層設ける。例えば、表面保護層、バック層、中間層、
下塗層などのいずれでもよいが、必要に応じて2層以上
設ける事もできる。
【0029】本発明に用いられる写真感光材料のハロゲ
ン化銀乳剤層に含有されるハロゲン化銀乳剤は90モル
%以上(平均値)の塩化銀を含む、塩臭化銀、沃塩化
銀、沃塩臭化銀もしくは塩化銀が好ましい。沃化銀含有
率は1モル%以下が好ましい。特に好ましいのは94モ
ル%以上(平均値)の塩化銀を含む塩臭化銀もしくは塩
化銀である。これは次の理由によっている。現像補充液
量を低減させるにはハロゲン化銀乳剤塗布量を減ずる必
要があり、単純に減ずると処理後の最高黒化濃度が低下
してしまう。これを解決するためには、ハロゲン化銀乳
剤の粒子サイズを低減させればよいことが知られている
が、処理後の銀色調が黄色化してしまい、銀画像として
は不適である。特願平4−107887には、ハロゲン
化銀の塩化銀含有率が少なくとも90モル%あると、処
理後の銀色調の黄色化が防げることが示されている。こ
のため、現像補充量を低減させ、なおかつ処理後の銀色
調を黄色化させないためには、ハロゲン化銀の塩化銀含
有率は少なくとも90モル%である必要がある。さら
に、本発明に用いる高塩化銀乳剤は、そのハロゲン化銀
粒子中に臭化銀含有率が基質に比べて相対的に高い臭化
銀局在相を有することが好ましい。
【0030】このような局在構造の好ましい例はハロゲ
ン化銀粒子の表面または表面に近い内部に局在相を有す
るものであり、特に粒子の結晶表面のエッジ部やコーナ
ー部、あるいは結晶面に突起状に局在相を有するものは
好ましい。局在相中のハロゲン組成は臭化銀含有率にお
いて10モル%以上95モル%以下であればよく、15
モル%以上90モル%以下であることが好ましい。更に
は20モル%以上60モル%以下であることが好まし
く、30モル%以上60モル%以下であることが最も好
ましい。局在相の残りのハロゲン化銀は塩化銀より成る
が、微量のヨー化銀を含むことも好ましい。但し、前述
のように全ハロゲン化銀量に対して1モル%を越えるこ
とは好ましくない。また、これらの局在相は当該乳剤の
全ハロゲン化銀粒子を構成するハロゲン化銀のうちの
0.03モル%以上10モル%以下を占めることが好ま
しく、更には0.1モル%以上5モル%以下を占めるこ
とが好ましい。
【0031】上述のような臭化銀局在相を形成するに
は、既に形成されている塩化銀または高塩化銀粒子を含
む乳剤に水溶性銀塩と水溶性臭化物を含む水溶性ハロゲ
ン塩を同時混合法で反応させて沈積させたり、同じく既
に形成されている塩化銀または高塩化銀粒子の一部をい
わゆるハロゲン変換法を用いて臭化銀富有相に変換した
り、あるいは塩化銀または高塩化銀粒子よりも粒子サイ
ズにおいて微粒子の臭化銀または高塩化銀粒子、その他
難溶性銀塩を添加して塩化銀または高塩化銀粒子の表面
に再結晶化によって結晶化させることで形成させること
もできる。このような製造法については、例えば欧州特
許出願公開第0,273,430A2号にも記載されて
いる。
【0032】本発明に用いるハロゲン化銀粒子には、銀
イオン以外の金属イオン(例えば周期率表第VIII属の金
属イオン、第II属の遷移金属イオン、第IV属の鉛イオ
ン、第I属の金属イオンや銅イオン等)あるいはその錯
イオンを含有させることが、本発明の効果を様々な条件
でより良く発揮させる上で好ましい。これ等の金属イオ
ンあるいはその錯イオンを含有させるのは、ハロゲン化
銀粒子全体であっても、前述の臭化銀局在相であって
も、その他の相であってもよい。前記の金属イオンある
いはその錯イオンのうち、イリジウムイオン、パラジウ
ムイオン、ロジウムイオン、亜鉛イオン、鉄イオン、白
金イオン、金イオン、銅イオン等から選ばれたものは特
に有用である。これ等の金属イオンあるいは錯イオンは
単独で用いるよりも併用することで望ましい写真性が得
られることも多く、特に局在相と粒子のその他の部分の
間で添加イオン種や添加量を変えることが好ましい。特
に、イリジウムイオンやロジウムイオンは局在相に含有
させることが好ましい。
【0033】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の大
きさは好ましくは0.4μm以下より大でなく、なお好
ましくは0.35μm以下、さらに好ましくは0.3μ
m以下である。これは粒子が小サイズの方が高被覆力が
得られるため、銀/バインダー比を低減できる点で望ま
しい。
【0034】このようなハロゲン化銀の粒子形成または
物理熟成の過程において、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛
塩、タリウム塩、あるいは前述のようなイリジウム塩ま
たはその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、鉄塩または
その錯塩を共存させてもよい。粒子形成時または形成後
に、ハロゲン化銀溶剤(例えば、公知のものとして、ア
ンモニア、チオシアン酸塩、米国特許第3,271,1
57号、特開昭51−12360号、特開昭53−82
408号、特開昭53−144319号、特開昭54−
100717号あるいは特開昭54−155828号等
に記載のチオエーテル類およびチオン化合物)を用いて
もよく、前述の方法と併用すると、ハロゲン化銀結晶形
状が規則的で粒子サイズ分布が狭い本発明に好ましいハ
ロゲン化銀乳剤を得ることができる。
【0035】本発明に使用する乳剤は硫黄増感あるいは
セレン増感、還元増感、貴金属増感等の単独もしくは併
用により化学増感することができる。即ち活性ゼラチン
や、銀イオンと反応し得る硫黄化合物を含む化合物(例
えばチオ硫酸塩、チオ尿素化合物、メルカプト化合物、
ローダニン化合物等)を用いる硫黄増感法や、還元性物
質(例えば第一スズ塩、アミン類、ヒドラジン誘導体、
ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物等)を用い
る還元増感法、そして金属化合物(例えば前述の金錯
塩、白金、イリジウム、パラジウム、ロジウム、鉄等の
周期率表第VIII属の金属塩またはその錯塩等)を用いる
貴金属増感法等を、単独または組み合わせて用いること
ができる。本発明の乳剤においては、硫黄増感またはセ
レン増感が好ましく用いられ、更にこれらに金増感を併
用することが好ましい。またこれらの化学増感に際し、
ヒドロキシアザインデン化合物あるいは核酸を存在させ
ることが、感度・階調を制御する上で好ましい。
【0036】本発明に用いる増感色素は特開平3−11
336号、特開昭64−40939号、特願平2−26
6934号、同3−121798号、同3−22874
1号、同3−266959号および同3−311498
号等に記載の増感色素を好ましく用いることができる。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組
合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増
感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、そ
れ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実
質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を
乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示
す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はリサーチ・デ
ィスクロージャー(Research Disclosure)176巻17
643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あ
るいは前述の特公昭49−25500、同43−493
3、特開昭59−19032号、同59−192242
等に記載されている。
【0037】つづいて本発明に好ましく用いる、ハレー
ション防止層(以下染色層と表わす)について述べる。
本発明に好ましく用いる染色層は現像処理工程で脱色又
は溶解除去される染料その他の着色物質を含有する親水
性コロイド層である。染色層を染色させる方法としては
米国特許第3,455,693号、同2,548,56
4号、同4,124,386号、同3,625,694
号、特開昭47−13935、同55−33172、同
56−36414、同57−161853、同52−2
9727、同61−198148、同61−17744
7、同61−217039、同61−219039等記
載の染料を媒染剤に吸着せしめる方法、特開昭61−2
13839、同63−208846、同63−2960
39、特開平1−158439等記載の耐拡散型染料を
用いる方法、特願平1−142688記載のオイルに溶
解した染料を油滴状に乳化分散する方法、米国特許2,
719,088号、同2,496,841号、同2,4
96,843号、特開昭60−45237、特願平1−
139691等記載の染料を無機物表面に吸着せしめる
方法、特願平1−119851記載の染料をポリマーに
吸着せしめる方法、特開昭56−12639、同55−
155350、同55−155351、同63−278
38、同63−197943、欧州特許第15,60
1、同274,723、同276,566、同299,
435、世界特許(WO)88/04794、特願平1
−87367等記載の水に不溶性の染料固体を用いる方
法などがある。これらの方法の中で染料を固体のまま
(微結晶分散体として)分散する方法が染料を特定層中
に固定し、現像処理後の残色が少ないという観点から好
ましい。
【0038】本発明に好ましく用いる微結晶分散体とは
染料自体の溶解度が不足であるため、目的とする着色層
中で分子状態で存在することができず、実質的に層中の
拡散が不可能なサイズの固体としての存在状態を意味す
る。調製方法については国際公開(WO)88/047
94、ヨーロッパ特許公開(EP)0276566A
1、特開昭63−197943等に記載されているが、
ボールミル粉砕し、界面活性剤とゼラチンにより安定化
するのが一般的である。本発明で好ましく用いる染料の
微結晶体の粒子サイズは1.0μm以下が好ましく、さ
らに0.5μm以下が好ましい。染料の使用量として
は、5mg/m2〜300mg/m2、特に10mg/m2〜150
mg/m2であることが好ましい。
【0039】本発明における染色層のバインダーは前記
乳剤層及び保護層と同様のバインダーを用いることがで
きる。本発明の染色層のバインダー量は0.02〜2.
5g/m2、より好ましくは0.05〜2g/m2の範囲が
望ましい。
【0040】本発明の感光材料に用いられる各種添加
剤、現像処理方法に関しては特に制限はなく、例えば下
記に示す該当箇所に記載されたものを好ましく用いるこ
とができる。 項 目 該当箇所 1)その他の界面活性剤・ 特開平2−12236号公報第9頁右上欄7行 帯電防止剤 目から同右下欄7行目及び特開平2−1854 2号公報第2頁左下欄13行目から同第4頁右 下欄18行目。 2)カブリ防止剤・安定剤 特開平2−103526号公報第17頁右下欄 19行目から同第18頁右上欄4行目及び同右 下欄1行目から5行目。 3)ポリマーラテックス 同第18頁左下欄12行目から同20行目。 4)酸基を有する化合物 同第18頁右下欄6行目から同第19頁左上欄 1行目及び特開平2−55349号公報第8頁 右下欄13行目から同第11頁左上欄8行目。 5)ポリヒドロキシベンゼン類 同第11頁左上欄9行目から同右下欄17行目 。 6)マット剤・滑り剤・可塑剤 特開平2−103526号公報第19頁左上欄 15行目から同第19頁右上欄15行目。 7)硬膜剤 特開平2−103536号公報第18頁右上欄 5行目から同17行目。 8)バインダー 特開平2−18542号公報第3頁右下欄1行 目から20行目。 9)現像液及び現像方法 特開平2−55349号公報第13頁右下欄1 行目から同第16頁左上欄10行目。
【0041】本発明は印刷用感材、マイクロフィルム用
感材、医療用Xレイ感材、工業用Xレイ感材、一般ネガ
感材、一般リバーサル感材、等のハロゲン化銀写真感光
材料に適用することができる。
【0042】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 両面に下引き層を塗設した、青色着色のポリエチレンテ
レフタレートの厚さ180μmの支持体の一方の面に下
記処方のバックの導電層、バック層、ポリマー層及びバ
ック保護層を塗布し、乾燥させた。
【0043】 1)バックの導電層処方 イ.ゼラチン 表−1に記載の量 ロ.表−1に記載の化合物および量 ハ.ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 10mg/m2 ニ.N,N’−エチレンビス−(ビニルスルホンアセトアミド) 5mg/m2 ホ.ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩 10mg/m2
【0044】 2)バック層 イ.ゼラチン 2.83g/m2 ロ.ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 10mg/m2 ハ.ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2 ニ.N,N’−エチレンビス−(ビニルスルホン アセトアミド) 85mg/m2 ホ.エチルアクリレートラテックス(平均粒径0.1μm) 1.0g/m2
【0045】 3)ポリマー層 イ.(メチルメタクリレート):(スチレン) :(2エチルヘキシルアクリレート) :(メタクリル酸)=63:9:27:1 1g/m2 ロ.ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径2.5μ) 50mg/m2 ハ.含フッ素界面活性剤 表−1に記載の化合物および量
【0046】 4)バック保護層 イ.ゼラチン 表−1に記載の量 ロ.含フッ素界面活性剤 表−1に記載の種類および量 ハ.N,N’−エチレンビス−(ビニルスルホン アセトアミド) 15mg/m2 ニ.t−オクチルフェノキシエトキシエタンスルホン 酸ナトリウム 20mg/m2 ホ.ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3μ) 50mg/m2 ヘ.表−1に記載の化合物および量
【0047】つづいて、この試料の反対側に支持体から
近い順に下記処方の染色層、ハロゲン化銀乳剤層、乳剤
層の表面保護層を同時塗布、乾燥し、写真材料とした。 5)染色層 ゼラチン 0.5g/m2 染料−〔1〕 75mg/m2
【0048】
【化5】
【0049】 リン酸 15mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 15mg/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 15mg/m2
【0050】染料−〔1〕の調製方法 本発明での調製方法は特開昭63−197943号の方
法に準じた。すなわち、水(434ミリリットル)及び
Triton X−200R界面活性剤(TX−200R)
(53g)(Rohm & Haas 社から販売)の6.7%溶液
とを、1.5リットルネジ蓋ビンに入れた。これに、染
料の20gと酸化ジルコニウム(ZrO2 )のビーズ
(800ミリリットル)(2mm径)を添加し、このビン
の蓋をしっかりしめて、ミル内に置き、内容物を4日間
粉砕した。内容物を12.5%のゼラチン水溶液(16
0g)に添加し、ロールミルに10分間置いて泡を減少
させた。得られた混合物をろ過して、ZrO2 ビーズを
除去した。このままだと平均粒径が約0.3μmの微細
粒子なので、この後遠心分離法によって分級し、粒子サ
イズが1μm以下になるようにした。
【0051】6)ハロゲン化銀乳剤層 a)ハロゲン化銀乳剤Aの調製 ゼラチン32gを蒸留水900mlに添加し、40℃にて
溶解後、硫酸でpHを3.8に調節し、塩化ナトリウム
3.3gを添加した。硝酸銀32gを蒸留水200mlに
溶解した液と塩化ナトリウム11g、K2 IrCl6
完成ハロゲン化銀モルあたり1×10-7モルとなる量を
蒸留水200mlに溶解した液とを40℃の条件下で2分
間で前記の液に添加混合した。更に硝酸銀64gを蒸留
水280mlに溶解した液と塩化ナトリウム21.6gを
蒸留水275mlに溶解した液とを40℃の条件下で5分
間かけて添加混合した。引き続き、硝酸銀64gを蒸留
水280mlに溶解した液と塩化ナトリウム22.4g、
4 Fe(CN)6・3H2Oをハロゲン化銀1モルあた
り1×10-4モルとなる量を蒸留水285mlに溶解した
液とを40℃の条件下でさらに5分間かけて添加混合し
た。得られた乳剤を電子顕微鏡にて観察したところ、投
影面積円相当直径約0.21μmの粒子サイズで粒子サ
イズ分布の変動係数として9.8%の値を有する立方体
の粒子から成る乳剤であった。
【0052】この乳剤と脱塩処理後、ゼラチン54g、
フェノキシエタノール2.6gを加え、pH6.7、塩
化ナトリウムにてpAg7.9合わせて、次の手順で化
学増感を58℃にて行った。まず、平均粒子サイズ0.
05μmの単分散臭化銀乳剤をハロゲン化銀で1.1モ
ル%相当加えて、次に化合物(1)を7.2mg、塩化金
酸9.2mg、トリエチルチオ尿素1.3mg、セレン増感
剤(A)0.72mg、さらに核酸0.29gを加えて、
最後に4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7
−テトラザインデン162mgを加えて、急冷固化して乳
剤Aとした。
【0053】化合物(1)
【0054】
【化6】
【0055】セレン増感剤(A)
【0056】
【化7】
【0057】b)乳剤塗布液の調製 乳剤Aにハロゲン化銀1モルあたり、下記の薬品を添加
して、乳剤塗布液とした。
【0058】(乳剤塗布液処方)
【0059】 イ.分光増感色素〔2〕 5.5×10-5モル ロ.強色増感剤〔3〕 3.3×10-4モル ハ.ポリアクリルアミド(分子量4万) 9.2g ニ.トリメチロールプロパン 1.4g ホ.ポリ(エチルアクリレート/メタクリル酸)の ラテックス 22g 分光増感色素〔2〕
【0060】
【化8】
【0061】強色増感剤〔3〕
【0062】
【化9】
【0063】この乳剤塗布液の塗布銀量が1.85g/
m2、ゼラチン塗布量が1.27g/m2となるように塗布
したものをハロゲン化銀乳剤層とした。
【0064】7)乳剤層の表面保護層 容器を40℃に加温し、下記に示す薬品を加えて表面保
護層塗布液とした。 イ.ゼラチン 100g ロ.ポリアクリルアミド(分子量4万) 12.3g ハ.ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(分子量60万) 0.6g ニ.ポリメチルメタクリレート微粒子 (平均粒子サイズ2.5μm) 2.7g ホ.ポリアクリル酸ナトリウム 3.7g ヘ.t−オクチルフェノキシエトキシエタンスルホン酸 ナトリウム 1.5g ト.C1633O−(CH2 CH2 O)10−H 3.3g チ.C8 17SO3 K 84mg リ.C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4-SO3Na 84mg ヌ.NaOH 0.2g ル.メタノール 78cc ヲ.1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン 乳剤層と表面保護層の 総ゼラチン量に対して、 2.5重量%になるよ うに調製。 ワ.化合物(4) 52g
【0065】
【化10】
【0066】この表面保護層塗布液のゼラチン塗布量が
1.23g/m2となるように塗布したものを乳剤層の表
面保護層とした。
【0067】 2.現像液の調製 現像濃縮液A ハイドロキノン 20g 1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3− ピラゾリドン 2.5g 亜硫酸カリウム 50g 炭酸ナトリウム(1水塩) 25g ジエチレングリコール 10g 臭化カリウム 1g ジエチレントリアミン五酢酸 2g 5−メチルベンツトリアゾール 0.1g 2−メルカプトイミダゾール−5−スルフォン酸 0.3g 2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−2−オキソ −(1H)−キナゾリン 0.3g アスコルビン酸ナトリウム 7g 水を加えて 1リットル(水酸化カリウムでpH10.0に調整する。)
【0068】 3.定着液の調製 チオ硫酸ナトリウム 185g エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水塩 0.025g メタ重亜硫酸ナトリウム 22g 水を加えて 1リットル (水酸化ナトリウムでpH5.5に調整する。)
【0069】4.写真材料の評価 写真材料の評価 写真材料を25℃、65%RHの温湿度に保ちながら塗
布後7日目放置し、780nmの波長の半導体レーザー
を用いて10-7秒の透過黒化濃度が1.0となるような
スキャニング露光を行った。露光後前述の現像と定着液
にて、富士写真フイルム(株)製FPM−2000の駆
動モーターとギア部を改造して搬送スピードを速めて、
現像温度35℃で、定着、水洗、乾燥を含めて、20秒
から60秒までの処理が行えるようにした。
【0070】a)スタチックマークの評価 未露光の写真材料を25℃、10%RHで2時間調湿し
た後、同一空調条件の暗室中において、写真材料をスタ
チックマークがどのようになるかを調べるべくウレタン
ゴムローラーで摩擦した後、前述の方法で現像処理し
た。そのスタチックマークの発生度の評価は以下の3段
階に分けて行った。 A:スタチックマークの発生が全く認められず。 B: 〃 少し認められる。 C: 〃 かなり認められる。
【0071】b)バック層の現像処理後の含水量 写真材料のハロゲン化銀乳剤層とその表面保護層及び染
色層を次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて除去し、前
述の条件で現像処理をして水洗工程終了後の重量W
1 (g)を測定する。次に、この試料を真空乾燥機(ヤ
マト科学(株)製角形真空乾燥器DP41)中に入れ、
5Torr 105℃で24時間乾燥した後の重量W
2 (g)を測定する。W1 、W2 、試料面積S(m2)、
バック層のゼラチン塗布量X(g/m2)から次式で含水
量を求める。 バック層の現像処理後の含水量=(W1 −W2 )/(S
×X)
【0072】c)乾燥性の評価 前述の現像液、定着液にて、0.257m×0.364
mのサイズの前述の露光を行った写真材料を25℃、6
0%RHの雰囲気化で処理した。このとき、前述の自動
現像機のラインスピードを変化させて、処理時間を20
秒から5秒間隔で増大させた。乾燥温度は55℃に設定
した。
【0073】処理直後の乾燥性の程度を以下の3つのレ
ベルに分類する。このうち実用上許容されるレベルは○
レベルである。表−1には○レベルになる最短の処理時
間を示す。 ○;完全に乾いている。写真材料は暖かい。 △;若干しめっている。写真材料の温度は室温程度。 ×;しめっている。写真材料どうしが接着する。
【0074】d)キャリーオーバー量の見積もり 0.257m×0.364mの写真材料の重量W1 を測
定し、ついで前述のFPM2000自動現像機の現像槽
のみを通した。その後写真材料の重量W2 を測定して以
下の式からキャリーオーバー量を求めた。 キャリーオーバー量=(W1 −W2 )÷(0.257×
0.364)(g/m2) 得られた結果を表−1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】表−1より明らかなように、スタチック発
生度、乾燥性の点で本発明が優れていることがわかる。
また、キャリーオーバー量が低減できることから、定着
液中への現像液の蓄積が少なくなり、低補充化に適して
いることがわかる。さらに導電層のない写真材料1およ
び2は自動現像機の処理後のフィルムの集積部でフィル
ム同志が静電気によりくっついてしまうという搬送不良
が乾燥性評価時に発生した。以上より本発明の有効性は
明らかである。
【0077】実施例2 1.写真材料の作製 実施例1で用いた乳剤Aと下記の乳剤B、Cを用いて、
実施例1の写真材料5および7と同様にして写真材料1
1〜14を作製した。詳細は表−2に示した。 (ハロゲン化銀乳剤B、Cの調製)ハロゲン化銀乳剤A
の乳剤形成する際の塩化ナトリウムを塩化ナトリウムと
臭化カリウムにして、適当量調節し、粒子形成温度を変
化させて、表−2に示すハロゲン組成で、粒子サイズお
よびその分布が乳剤Aと同様な乳剤B、Cを調製した。
【0078】2.写真材料の評価 (定着時間の評価)写真材料を下記に示す定着液に浸漬
させ、乳剤が定着され、透明化するまでの時間を日立製
分光光度計(タイプU−3210)で測定することで定
着時間の評価を行った。 (定着液A−定着補充液量107cc/m2のシミュレーション液) チオ硫酸ナトリウム 185g エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水塩 0.025g メタ重亜硫酸ナトリウム 22g 各写真材料を107cc/m2の補充量を実施したときの 定着液に蓄積されるAg、Br、Cl 表−2に記載の量 各写真材料のキャリーオーバーから見積られる定量液 に蓄積される現像液(実施例1で用いたもの) 表−2に記載の量 水を加えて 1リットル (水酸化ナトリウムでpH5.5に調整する。) (定着液B−定着補充液量53.4cc/m2のシミュレー
ション液)定着液Aで、補充量53.4cc/m2の場合。
表−2に得られた結果を示す。
【0079】
【表2】
【0080】表−2から明らかなように本発明が定着時
間を低減させる点で有効であり、特に定着液Bのように
定着補充液量が低減された場合に効果があることがわか
る。また、Cl=90モル%以上の場合には更に定着時
間を低減させる点で、迅速処理に適していることがわか
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】本発明の導電性金属酸化物又は導電性高分
子化合物はバインダー中に分散又は溶解させて用いられ
る。バインダーとしては、フィルム形成能を有するもの
であれば特に限定されるものではないが、例えばゼラチ
ン、カゼイン等の蛋白質、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、アセチルセルロー
ス、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等
のセルロース化合物、デキストラン、寒天、アルギン酸
ソーダ、澱粉誘導体等の糖類、ポリビニルアルコール、
ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタク
リル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、
ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエステル、ポリ塩化
ビニル、ポリアクリル酸等の合成ポリマー等を挙げるこ
とができる。本発明の導電性金属酸化物あるいは導電性
高分子化合物をより効果的に使用して導電層の抵抗を下
げるために、導電層中における導電性物質の体積含有率
は高い方が好ましいが、層としての強度を十分に持たせ
るために最低5%程度のバインダーが必要であるので、
導電性金属酸化物あるいは導電性高分子化合物の体積含
有率は5〜95%の範囲が望ましい。本発明の導電性金
属酸化物あるいは導電性高分子化合物の使用量は、写真
感光材料一平方メートル当たり0.05〜20gが好ま
しく、特に0.1〜10gが好ましい。本発明の導電層
の表面抵抗率は25℃25%RHの雰囲気下で1012Ω
以下で、好ましくは1011Ω以下が良い。これにより良
好な帯電防止性が得られる。本発明の導電性金属酸化物
あるいは導電性高分子化合物を含有する導電層は、本発
明においては、写真感光材料のバックの構成層として少
なくとも一層設ける。例えば、バックの表面保護層、バ
ック層および中間層、バックの下塗層などのいずれでも
よいが、必要に応じて2層以上設ける事もできる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】染料−〔1〕の調製方法 本発明での調製方法は特開昭63−197943号の方
法に準じた。すなわち、水(434ミリリットル)及び
Triton X−200R界面活性剤(TX−200R)
(53g)(Rohm & Haas 社から販売)の6.7%溶液
とを、1.5リットルネジ蓋ビンに入れた。これに、染
料の20gと酸化ジルコニウム(ZrO2 )のビーズ
(800ミリリットル)(2mm径)を添加し、このビン
の蓋をしっかりしめて、ミル内に置き、内容物を4日間
粉砕した。内容物を12.5%のゼラチン水溶液(16
0g)に添加し、ロールミルに10分間置いて泡を減少
させた。得られた混合物をろ過して、ZrO2 ビーズを
除去した。このままだと平均粒径が約3.0μmの微細
粒子なので、この後遠心分離法によって分級し、粒子サ
イズが1μm以下になるようにした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正内容】
【0067】 2.現像液の調製 ハイドロキノン 20g 1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3− ピラゾリドン 2.5g 亜硫酸カリウム 50g 炭酸ナトリウム(1水塩) 25g ジエチレングリコール 10g 臭化カリウム 1g ジエチレントリアミン五酢酸 2g 5−メチルベンツトリアゾール 0.1g 2−メルカプトイミダゾール−5−スルフォン酸 0.3g 2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−2−オキソ −(1H)−キナゾリン 0.3g アスコルビン酸ナトリウム 7g 水を加えて 1リットル(水酸化カリウムでpH10.0に調整する。)
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正内容】
【0079】
【表2】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方の面に少なくとも一層の親
    水性コロイドをバインダーとするハロゲン化銀乳剤層と
    その反対面に少なくとも二層の非感光性親水性コロイド
    層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、下記
    (1) および(2)を満たすことを特徴とするレーザースキ
    ャナー用ハロゲン化銀写真感光材料。 (1) 該非感光性親水性コロイド層の少なくとも一層よ
    り、支持体から遠い位置に少なくとも一層の疎水性ポリ
    マーを主バインダーとする層を有し、かつ該非感光性親
    水性コロイド層が塗設されている面の最外層が親水性コ
    ロイド層を主バインダーとする層であり、かつ該層中に
    含フッ素界面活性剤を含有する。 (2) 該非感光性親水性コロイド層の少なくとも一層に、
    導電性金属酸化物および/または、導電性高分子化合物
    を含有する。
  2. 【請求項2】 該ハロゲン化銀乳剤層に塩化銀含有率が
    少なくとも90モル%のハロゲン化銀乳剤層を少なくと
    も一層有することを特徴とする請求項1に記載のレーザ
    ースキャナー用ハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のレーザースキャナー用
    ハロゲン化銀写真感光材料を自動現像機で処理して画像
    形成する方法において、該写真感光材料1m2当り100
    ml以下の割合で現像液および定着液を補充する自動現像
    機にて処理することを特徴とする画像形成方法。
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