JPH06305941A - 毛の成長を促進する医薬及び化粧品 - Google Patents

毛の成長を促進する医薬及び化粧品

Info

Publication number
JPH06305941A
JPH06305941A JP5088669A JP8866993A JPH06305941A JP H06305941 A JPH06305941 A JP H06305941A JP 5088669 A JP5088669 A JP 5088669A JP 8866993 A JP8866993 A JP 8866993A JP H06305941 A JPH06305941 A JP H06305941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ahk
copper
solution
histidyl
hair growth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5088669A
Other languages
English (en)
Inventor
Lorand R Pickert
アール ピッカート ローラン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Procyte Corp
Original Assignee
Procyte Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Procyte Corp filed Critical Procyte Corp
Priority to JP5088669A priority Critical patent/JPH06305941A/ja
Publication of JPH06305941A publication Critical patent/JPH06305941A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 温血動物における毛の成長を刺激する医薬及
び化粧品を提供する。 【構成】 式:〔L−アラニル−L−ヒスチジル−L−
リジン〕:銅 (II) で示される化合物を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に温血動物におけ
る毛の成長刺激に関し、特にL−アラニル−L−ヒスチ
ジル−L−リジン:銅(II) (以下、AHK:Cuと言う)を
含む毛の成長を刺激する医薬及び化粧品に関する。
【0002】
【従来の技術】脱毛は、人間の共通の悩みであり、最も
典型的なものは、男性が年令とともに頭髪を失う「脱毛
症」(男性型禿)である。毛髪は、通常二つの型、即
ち、「硬毛(terminal hair) 」及び「軟毛(vellus hai
r) 」に分類される。硬毛は、皮膚内の深部に発達する
小胞(follicle)から生じる粗くかつ着色した毛髪であ
る。軟毛は、典型的には、更に小さくかつ皮膚内の表面
に位置する毛嚢から成長する、細くかつ着色されていな
い毛髪である。脱毛症の進行とともに、硬毛型から軟毛
型への一般的な変化が生じる。脱毛症に関連するその他
の変化は、毛髪の成長サイクルにおける変化である。毛
髪は、典型的には三つのサイクル、即ち、発育期(活発
な毛髪の成長)、退行期(変異相)及び休止期(毛幹が
新たな成長の前に脱落する休止相)を経て発達する。禿
が進行するに従って、各相において毛嚢の比率に変化が
あり、その殆どは、発育期から休止期に変移している。
また、毛嚢の大きさも、減少することが知られている
が、その全体数は相対的に一定である。
【0003】毛髪の喪失に対する共通の治療は、毛髪の
移植である。簡潔に説明すれば、毛髪を含む皮膚のプラ
グ状組織を、毛髪の成長しつつある頭部の領域から禿の
領域に移植する。この操作は、時間を要し、比較的痛み
が強いことに加えて、費用が掛かる。その他の治療は、
紫外線照射及び切開治療を含む。しかしながら、これら
の治療方法は、有効であるとして一般に受入れられてい
ない。毛髪移植の他に、毛髪成長を刺激する最も普通の
方法は、薬剤治療の領域である。しかしながら、これに
関する薬剤の使用は、充分に満足するものではなかっ
た。毛の成長のための最も有望な組成物の1つは、アッ
プジョンの米国特許第4,596,812 号により開示される、
男性型禿の治療のための「ミノキシジル」(Minoxidil)
として知られる物質である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ミノキシジルの使用に
より得られる結果は今まで有望のようであるが、温血動
物において毛の成長を刺激することができる更に改良さ
れた組成物が強く要望されている。本発明は、他の関連
する利点を提供しながらこの目的を満たす。要約すれ
ば、本発明は、AHK:Cuを含みかつ温血動物の毛の成長を
促進する組成物を提供する。本発明はまた、その組成物
の刺激効果を呈する量を温血動物に投与することによ
り、その温血動物における毛髪の成長を刺激する方法を
提供する。この明細書において、「銅」は、+2の酸化
状態を有する銅(一般に、銅(II)又はCu+2として表示さ
れる)を意味し、用語「AHK:Cu」は、Cu+2イオンにキレ
ート化した、トリペプチド、L−アラニル−L−ヒスチ
ジル−L−リジン(AHK)を意味する。更に、AHK:Cu
に化学的修飾を施してもよい。AHKペプチドと銅イオ
ンとの結合は、ヒスチジル残基におけるイミダゾール基
(3位又は5位における)への低級アルキル基の付加に
よって、及び/又はペプチド鎖に付加的な炭素原子を付
加してリジル側鎖を延長することによって、修飾するこ
とができる。更に、アミノ酸のD体を、天然のL体の代
わりに使用することもできる。
【0005】本発明の他の特徴は、以下の詳細な説明及
び実施例を参照することによって、明瞭となる。上記の
通り、本発明は、温血動物における毛髪の成長を刺激す
るための、AHK:Cuを含有する組成物、並びにその組成物
の毛髪の成長を刺激するに充分な量を温血動物に投与す
ることを含む、その温血動物における毛髪の成長を刺激
する方法を提供する。上記のように、AHK:Cuは、ペプチ
ド−銅キレートである。本発明の範囲内において、AHK:
Cuのペプチド(即ち、AHK)対銅イオン(即ち、C
u+2)のモル比は、1:1又はそれ以上である。換言す
れば、AHK対銅のモル比は、銅イオンがペプチドにキ
レート化するような比である。好ましくは、ペプチド対
銅のモル比は、1:1〜2:1、更に好ましくは1:1
〜1.5:1の範囲である。モル比が1:1、1.1:
1及び2:1は、実施例2に示されている。
【0006】本発明の組成物は、毛髪の成長を刺激する
量でAHK:Cuを含む。かかる刺激効果量は、投与の方法及
び/又は頻度に依存して変動し得る。本発明の組成物
は、刺激効果量のAHK:Cuを、治療しようとする領域に投
与するのに適切な態様で、配合しかつ投与する。一つの
態様においては、本発明の組成物は、治療域への皮内注
射のために配合してもよい。このような場合には、本発
明の組成物は、好ましくは皮内注射のための適当なベヒ
クルとともに、AHK:Cuを含み、AHK:Cuは、0.1mlベヒ
クル当たり、100〜2000μgの範囲(即ち、1.
0〜20mg/ml)の濃度で、本発明の組成物中に存在す
る。皮内注射用の好適なベヒクルは、食塩水及び殺菌水
である。別の態様においては、本発明の組成物は、局所
投与用に配合することができる。好適な局所配合物は、
液体、ローション、クリーム及びゲルを含む。局所投与
は、適当な手段によって、所望の領域に直接組成物(例
えば、ローション又はゲル)を適用することによって行
うことができる。例えば、かかる適用は、配合物を治療
域の皮膚に擦り込み、又は治療域に液体配合物を噴霧す
ることによって、行うことができる。毛髪の成長速度を
促進するのに充分な組成物の量が効果的であり、治療
は、毛髪の成長の進行が示されるまで頻繁に繰り返すこ
とができる。好ましくは、局所組成物は、組成物の重量
の0.1〜20%の量で、好ましくは0.5〜5%の量
でAHK:Cuを含む。
【0007】局所配合物は、浸透向上剤及び/又は表面
活性剤のような付加的な成分をも含んでもよい。例え
ば、局所配合物は、一種以上の表面活性(乳化剤とも呼
ばれる)を0.5〜10%含むことができる。ノニオン
性及びイオン性表面活性剤は、本発明の目的において使
用することができる。好適なノニオン性表面活性剤とし
ては、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(Nono
xynol-9)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(Br
ij−97)、種々のポリオキシエチレンエーテル(トリ
トン類)、及び種々の分子量を有する、エチレンオキサ
イドとプロピレンオキサイドとのブロックコポリマー
(Pluronic68等)が挙げられる。好適なイオン性表面
活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム及び同様な化
合物が挙げられる。浸透向上剤を、局所配合物中に存在
させてもよい。好適な浸透向上剤としては、ジメチルス
ルホキシド(DMSO)、尿素及び置換尿素化合物が挙
げられる。局所適用の液体化粧組成物の場合には、DM
SOのような浸透向上剤の濃度は、液体配合物の約30
〜80%とすることができる。
【0008】局所適用配合物の残りは、不活性でかつ生
理学的に許容できるキャリヤー又は希釈剤である。好適
なキャリヤー又は希釈剤としては、例えば、水や、生理
食塩水、静菌食塩水(0.9mg/ml のベンジルアルコー
ルを含む食塩水)、ペトロラタムをベースとするクリー
ム(例えば、USP親水性軟膏等のクリーム、Unibase,
Parke-Davis) 、種々のタイプの薬学的に許容できるゲ
ル、短鎖アルコール又はグリコール( 例えば、エチルア
ルコールやプロピレンアルコール) が挙げられる。以下
の配合は、本発明にとって好適な局所配合物の例であ
る。ここで、(%w/w)は、配合物の全重量に基づく重量百
分率である。
【0009】 薬剤組成物A %W/W AHK:Cu 1.0 ヒドロキシエチルセルロース 3.0 プロピレングリコール 20.0 Nonoxynol-9 3.0 ベンジルアルコール 2.0 0.2N燐酸緩衝液 71.0 薬剤組成物B AHK:Cu 1.0 Nonoxynol-9 3.0 エチルアルコール 96.0
【0010】 薬剤組成物C AHK:Cu 5.0 エチルアルコール 47.5 イソプロピルアルコール 4.0 プロピレングリコール 20.0 Laoneth-4 1.0 水 27.5 薬剤組成物D AHK:Cu 5.0 殺菌水 95.0 薬剤組成物E AHK:Cu 5.0 ヒドロキシプロピルセルロース 2.0 グリセリン 20.0 Nonoxynol-9 3.0 殺菌水 70.0
【0011】 薬剤組成物F AHK:Cu 5.0 殺菌水 12.0 プロピレングリコール 50.0 エタノール 30.0 Nonoxynol-9 3.0 薬剤組成物G AHK:Cu 5.0 殺菌水 10.0 ヒドロキシプロピルセルロース 2.0 プロピレングリコール 30.0 エタノール 50.0 Nonoxynol-9 3.0
【0012】
【実施例】以下の実施例は、説明のために提示するもの
であり、本発明の範囲を限定するために提示するもので
はない。下記の実施例を要約すると、実施例1は、二塩
酸塩としてのAHKペプチドの合成を示し、実施例2
は、ペプチド対銅のモル比が1:1、1.1:1及び
2:1におけるAHK:Cuの調製を示し、実施例3は、AHK:
Cu(2:1及び1:1)の皮内注射による毛髪成長の刺
激を説明し、そして実施例4は、AHK:Cu(1.1:1)
の局所適用による毛髪成長の刺激を示す。
【0013】化学物質の由来 以下の例において使用する化学物質及びペプチド中間体
は次の供給者から購入することができる。シグマ・ケミ
カル社 (Sigma Chemical Co.) (セントルイス、ミズー
リ州);ペニンスラ・ラボラトリース(Peninsula Labo
ratories)(サンカルロス、カリフォルニア州);アル
ドリッジ・ケミカル社(Aldridge Chemical Co)(ミル
ウォーキー、ウィスコンシン州);ベガ・バイオケミカ
ルス(Vega Biochemicals)(ツーソン、アリゾナ州);
ピース・ケミカル社 (Pierce Chemical Co.)(ロックフ
ォード、イリノイ州);リサーチ・バイオケミカルス
(Research Biochemicals)(クリーブランド、オハイオ
州);バン・ウォーターズ・アンド・ロジャース(Van
Waters and Rogers)(サウス・サンフランシスコ、カリ
フォルニア州);バッケム・バイオサイエンス社(Bach
em Bioscience Inc.)(フィラデルフィア、ペンシルバ
ニア州)。
【0014】実施例1 L−アラニル−L−ヒスチジル−L−リジン(AHK) AHKは、バッケム・バイオサイエンス社(フィラデル
フィア、ペンシルバニア州)からの酢酸塩として入手で
きる(カタログ番号−1555)。それとは別に、AH
Kは、以下のA〜Dに示される操作によって、二塩酸塩
として合成することができる。 A. N-α-t−ブチロキシカルボニル-(N-im-CBZ)-L-ヒ
スチジル-(N-ε-CBZ)-L-リジンベンジルエステル テトラヒドロフラン(50ml)中におけるN−α−BOC-
N-im-CBZ-L−ヒスチジン(9.74g、25.0ミリモ
ル)と、N-メチルモルフォリン(5.8ml、5.3g、
52.5ミリモル)との攪拌された溶液に、イソブチル
クロロホルメート(3.4ml、3.6g、26.3ミリ
モル)を−15℃にて添加した。2分後、(N−ε-CBZ)-
L-リジンベンジルエステル塩酸塩(10.2g、25.
0ミリモル)を添加した。反応混合物を1.5時間、−
15℃にて攪拌し、次いで0℃まで温まるように放置し
た。この時、2Mの水性重炭酸カリウムを添加して反応
を抑えた。生成物を酢酸エチルで抽出した(3×150
ml)。結合した抽出物は、1Mクエン酸(3×100m
l)、水、2MKHCO3 (3×100ml)、水及びブライ
ンで洗浄した。得られた溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロ別し、そして蒸発させて、白色半固体として、保
護されたジペプチド17.2g(93%)を得た(Rf=
0.61、10%メタノール/ジクロロメタン)。この
ジペプチドは、更に精製することなく、以下の変性に使
用した。
【0015】B.(N-im-CBZ)-L−ヒスチジル-(N-ε-CB
Z)-L-リジンベンジルエステル 35%トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(150ml)
における、t-ブチロキシカルボニルで保護されたジペプ
チド(17.2 g、23.2ミリモル)の溶液を室温で0.5時
間攪拌した。生成した溶液を真空下で濃縮し、2Mの水
性重炭酸カリウムで中和した。生成物を酢酸エチル中に
抽出した(3×150ml)。結合した抽出物を硫酸ナト
リウム上で乾燥し、ロ別し、そして蒸発させることによ
り、白色固体として、遊離アミノ化合物の16.8g
(約100%+付随溶媒)を得た(Rf=0.26、10
%メタノール/ジクロロメタン)。
【0016】C.N-CBZ-L-アラニル-(N-im-CBZ)-L-ヒス
チジル-(N-ε-CBZ)-リジンベンジルエ ステル テトラヒドロフラン(50ml)における、N-CBZ-L-アラ
ニン(6.28 g、25ミリモル) 及びN−メチルモルフォリ
ン(3.0 ml、2.8 g、27.5ミリモル)の攪拌された溶液
に、−15℃にてイソブチルクロロホルメート(3.4ml、
3.6 g、26.3ミリモル)を添加した。2分後、テトラヒ
ドロフラン(50ml)中における上記保護ジペプチド(1
4.9 g、23.2ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物
を1.5時間、−15℃にて攪拌し、次いで0℃まで温
まるように放置した。この時、2Mの水性重炭酸カリウ
ムを添加して反応を抑えた。生成物を酢酸エチルで抽出
した(3×150ml)。結合した抽出物は、1Mクエン
酸(3×100ml)、水、2MKHCO3 (3×100m
l)、水及びブラインで洗浄した。得られた溶液を硫酸
ナトリウム上で乾燥し、ロ別し、そして蒸発させて、シ
ロップを得た。このシロップから、95%エタノール
(300ml)で希釈して、保護されたトリペプチドを析
出させた。生成物質をフィルター上で集め、95%エタ
ノールで洗浄し、乾燥して、白色固体を得た(Rf=0.
49、10%メタノール/ジクロロメタン:融点151
〜153℃)。
【0017】D.AHK二塩酸塩 エタノール(200ml)における保護されたトリペプチ
ド(21.5 g、21.9ミリモル)の懸濁液に、水(約200
ml)を添加した。得られた混合物を、塩化パラジウム
(4.25 g、24.0ミリモル) とともに、水素雰囲気(5at
m)の下で、1時間震盪した。触媒以外の物質が溶解して
いる生成混合物をロ別し、ロ液を真空下で濃縮して、揮
発性有機物を除去した。残存水性溶液を凍結乾燥して、
白色固体10.88 gを得た。この物質を水に溶解し、0.2
m ナイロン膜を通して濾過し、再び凍結乾燥することに
より、白色粉末として10.50 g(99 %)の所望のトリペ
プチド二塩酸塩が得られた。 〔a〕D =−4.43度(c3 、H2O)1 H-NMR (500MHz 、DMSO-d6)d 8.73 (1H, d, J=7.8); 8.
45 (1H, d, J=7.5);8.09 (1H, s); 7.08 (1H, s); 4.59
(1H, dd, J=5.4, 7.5); 4.12 (1H, m); 3.88 (1H, q,
J=6.9); 3.03 (1H, dd, J=15.0, 4.8); 2.96 (1H, dd,
J=15.0, 7.7); 2.74 (2H, t, J=7.5); 1.76-1.68 (1H,
m); 1.66-1.51 (3H, m); 1.41-1.21 (2H, m); 1.32 (3
H, d, J=7.0)13 C-NMR (125MHz, DMSO-d6)d 174.0; 169.9; 169.5; 13
4.2; 130.5; 117.8;52.6; 52.5; 48.0; 38.4; 30.3, 2
8.2; 26.5; 22.4; 17.2
【0018】実施例2 L-アラニル-L−ヒスチジル-L−リジン:銅(II) の合成 A.AHK:Cu(2:1) 2.6954g(0.0065 モル) のL−アラニル−L−ヒスチジ
ル−L−リジンアセテート(バッケム・バイオサイエン
ス社)を約10mlの蒸留水に溶解させることによって、
AHKの溶液を調製した。このAHK溶液の始めのpH
は、6.71であった。別に、0.4479g(0.0033 モル) の無
水塩化銅(II) を、約2.0 mlの蒸留水に溶解させて、塩
化銅(II) 溶液を調製した。塩化銅(II) 溶液を、迅速
に攪拌されているAHK溶液に、ゆっくりと添加し、そ
のpHをpHメーターで常にモニターした。全ての塩化銅
(II) 溶液を添加した後、結合した溶液のpHは、3.83で
あった。このpHは、0.5 MのNaOH溶液をゆっくりと添加
することによって7.16に調節し、最終容積は、蒸留水を
添加することによって20.0mlに調節した。この操作によ
って、ペプチド対銅のモル比が2:1 でかつ10mg/ml の濃
度でAHK:Cuを含む水溶液が得られた。この溶液は、暗青
〜紫であり、563 〜580 nmにおいて特徴的な吸収の最大
値を有した。
【0019】B.AHK:Cu(2:1) AHKを、実施例1 に記載されたようにして、二塩酸塩
として調製した。AHKの溶液は、0.6388g(0.00146モ
ル) のL−アラニル−L−ヒスチジル−L−リジン塩酸
塩を、約5 mlの蒸留水に溶解させることによって調製し
た。このAHK溶液の始めのpHは、2.45であった。別
に、0.0967g(0.0007 モル) の無水塩化銅(II) を、約
1.0 mlの蒸留水に溶解させることによって、塩化銅(I
I) 溶液を調製した。この塩化銅(II) 溶液を、迅速に
攪拌されているAHK溶液に、ゆっくりと添加し、その
pHをpHメーターで常にモニターした。全ての塩化銅(I
I) 溶液を添加した後、結合した溶液のpHは、2.36であ
った。このpHは、0.5 MのNaOH溶液をゆっくりと添加す
ることによって7.05に調節し、最終容積は、蒸留水を添
加することによって20.0mlに調節した。この操作によっ
て、ペプチド対銅のモル比が2:1 でかつ10mg/ml の濃度
でAHK:Cuを含む水溶液が得られた。この溶液は、暗青〜
紫であり、563 〜580 nmにおいて特徴的な吸収の最大値
を有した。
【0020】C.AHK:Cu(1.1:1) AHKを、実施例1 に記載されたようにして、二塩酸塩
として調製した。AHKの溶液は、1.6144g(0.0037 モ
ル) のL−アラニル−L−ヒスチジル−L−リジン塩酸
塩を、約10mlの蒸留水に溶解させることによって調製し
た。このAHK溶液の始めのpHは、2.70であった。別
に、0.4267g(0.0032 モル) の無水塩化銅(II) を、約
2.0 mlの蒸留水に溶解させることによって、塩化銅(I
I) 溶液を調製した。この塩化銅(II) 溶液を、迅速に
攪拌されているAHK溶液に、ゆっくりと添加し、その
pHをpHメーターで常にモニターした。全ての塩化銅(I
I) 溶液を添加した後、結合した溶液のpHは、2.14であ
った。このpHは、0.5 MのNaOH溶液をゆっくりと添加す
ることによって6.89に調節し、最終容積は、蒸留水を添
加することによって20.0mlに調節した。この操作によっ
て、ペプチド対銅のモル比が1.1:1 でかつ7.5mg/mlの濃
度でAHK:Cuを含む水溶液が得られた。この溶液は、暗青
〜紫であり、593nm において特徴的な吸収の最大値を有
し、また586 〜607nmで広いピークを有した。
【0021】D.AHK:Cu(1:1) AHKの溶液を、1.3007g(0.0007 モル) のL−アラニ
ル−L−ヒスチジル−L−リジンアセテート(バッケム
・バイオサイエンス社)を約5ml の蒸留水に溶解させる
ことによって調製した。このAHK溶液の始めのpHは、
6.95であった。別に、0.0966g(0.0007 モル) の無水塩
化銅(II) を、約2.0 mlの蒸留水に溶解させて、塩化銅
(II) 溶液を調製した。この塩化銅(II) 溶液を、迅速
に攪拌されているAHK溶液に、ゆっくりと添加し、そ
のpHをpHメーターで常にモニターした。全ての塩化銅
(II) 溶液を添加した後、結合した溶液のpHは、2.91で
あった。このpHは、0.5 MのNaOH溶液をゆっくりと添加
することによって7.08に調節し、最終容積は、蒸留水を
添加することによって15.0mlに調節した。この操作によ
って、ペプチド対銅のモル比が1:1 でかつ10mg/ml の濃
度でAHK:Cuを含む水溶液が得られた。この溶液は、暗青
〜紫であり、595nm において特徴的な吸収の最大値を有
し、また584 〜612nm において広いピークを有した。
【0022】実施例3 AHK:Cuの皮内注射による毛髪の成長の刺激 この実施例は、AHK:Cu (1.1:1 及び2:1)の皮内注射によ
る温血動物における毛髪の成長の刺激を説明する。C3
Hマウス(60日令、休止期の毛髪の成長相)の背中を
電気剃刀により剃り上げた。AHK:Cu (1.1:1 及び2:1)の
殺菌食塩水溶液を、マウスの剃り上げた領域内の2か所
において、皮内的に注射した(即ち、皮膚下に浸潤させ
た)。2か所の注射によって、各マウスの剃り上げ領域
内における2種類の試験位置が得られた。各注射液(0.
1 ml) は、殺菌食塩水溶液中に0.25〜0.75mgのAHK:Cu
(1.1:1) 又は0.5 〜1.5 mgのAHK:Cu(2:1) を含んでい
た。食塩水注射マウス(0.1ml) の群をコントロールとし
た。AHK:Cuの注射の後、毛髪の成長の徴候を10日観察し
た。最初の視認できる徴候は、注射部位の環状周辺領域
における皮膚の暗化であった。この領域の大きさは、一
般に投与量に依存し、投与量の増大に従って増大した。
この実験で使用した0.1 ml注射によって、直径約0.5 〜
5 cm2 の環状の毛髪成長が見られた。活発な毛髪成長
は、注射後14〜20日で現れ、29日目で最大の効果が観察
された。注射部位で毛髪が成長したマウスの数及び毛髪
成長領域の直径を21日目で測定した。正の反応は、AHK:
Cuを注射した全マウスの数に対する注射部位で毛髪の成
長を示すマウスの数として表現した。この実験の結果を
以下の表1に示す。
【0023】
【表1】 表1 投与量 成長の面積 正の反応 (ml/注射) (cm2) AHK:Cu (1.1:1) 0.25 0.75(±0.41) 4/4 0.5 1.26(±0.55) 4/4 0.75 4.56(±0.46) 4/4 AHK:Cu (2:1) 0.5 0.48(±0.36) 3/4 1.0 0.96(±0.96) 2/4 1.5 2.38(±0.96) 3/4
【0024】実施例4 AHK:Cuの局所適用による毛髪成長の刺激 この実験は、AHK:Cu(1:1) の局所適用による温血動物に
おける毛髪の成長刺激を説明する。休止期の雌C3Hマ
ウス(60〜65日令)を、背部領域の毛髪を剃ること
によって準備した(1日目)。一回の処理当たり0.1 ml
を投与できる、綿を先端に取り付けた適用器を使用し
て、1日2回(月曜日から金曜日)、AHK:Cuを局所適用
した。この実験で使用した局所適用配合物は、以下の成
分を含んでいた。 %(w/w) AHK:Cu (1.1:1) 0.1 殺菌水 16.9 プロピレングリコール 50.0 エタノール 30.0 Nonoxynol-9 3.0
【0025】上記配合物を、小胞の色素沈着が発症する
まで局所適用した。この色素沈着は、毛髪シャフトの発
生を進める。反応程度の測定は、週間隔で14日目から
初めて、デジタル画像分析を使用して行った。データ
は、以下の式を使用して、%処理面積反応として表現し
た。 %処理面積=(成長面積/処理面積)×100 比較のため、AHK:Cuを、グリシル−L−ヒスチジル−L
−リジン:Cu(II) (GHK:Cu)(1.1:1) に代え
て、AHK:Cuに関連する改善された刺激効果を説明した。
この実験において、AHK:Cu (1.1:1)及びGHK:Cu (1.1:1)
を含む局所配合物は、上記のように0.1 %(w/w) の濃度
で調製した。毛髪成長反応(即ち、%処理面積)は、2
0日目、27日目及び35日目に測定した。この実験の
結果を以下の表2に示す。
【0026】
【表2】 表2 投与量 %処理面積 (mg/ml) AHK:Cu (1.1:1) GHK:Cu (1.1:1) 20日目 1.0 1.29(±1.29) 5.31(±3.77) 27日目 1.0 23.07(±18.84) 33.34(±14.83) 35日目 1.0 90.14(±2.98) 57.61(±20.24)
【0027】実施例5 皮内注射によるAHK:Cuの非刺激性(non-irritation) この実施例は、他のトリペプチド−銅化合物に対するAH
K:Cuの非刺激性を説明する。この実施例において、0.05
〜0.50mg/注射の範囲の種々の濃度のAHK:Cu (1.1:1)を
皮内注射した(0.1ml)。1日目に、実施例3で記載した
ように、雌C3Hマウス(60〜65日令、休止期の毛
髪成長相)の背部領域の毛髪を電気剃刀により剃り上
げ、AHK:Cu (1.1:1)を含む殺菌食塩水溶液の0.1 mlを、
この剃った領域において皮内注射した。比較のため、L
−アラニル−L−ヒスチジル−L−フェニルアラニン:
銅(II) (1.1:1)(AHF:Cu)、L−バリル−L−
ヒスチジル−L−リジン:銅(II) (1.1:1)(VHK:
Cu)、及びL−プロリル−L−ヒスチジル−L−フェ
ニルアラニン:銅(II) (1.1:1)(PHF:Cu)を同
様にして、追加のマウスの剃った領域内に注射した。5
匹の動物を各試験に使用した。注射部位は、毎日視認に
よって評価し、最大の刺激程度(注射の後、5日以内に
生じる)を0─3の大きさで評価した。この場合、0
は、視認できる刺激がないことを意味し、1は、僅かな
刺激(赤くなること)を意味し、2は、温和な刺激(<
1mm2 の小さい壊疽性領域)を意味し、3は、酷い刺激
(>1mm2の大きな壊疽性領域)を意味する。この実験
の結果を以下の表3に示す。
【0028】
【表3】 表3 投与量(mg/注射) 0.05 0.25 0.50 AHK:Cu (1.1:1) 0 0 0 AHF:Cu (1.1:1) 0 1 2 VHK:Cu (1.1:1) 1 2 3 PHF:Cu (1.1:1) 1 3 3 上記から、本発明の特定の態様を本発明の説明のために
ここで説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱する
ことなく、種々の修正を加えることができることが理解
されよう。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式:〔L−アラニル−L−ヒスチジル−
    L−リジン〕:銅 (II) で示される化合物を含む、温血動物における毛の成長促
    進剤。
  2. 【請求項2】 式:〔L−アラニル−L−ヒスチジル−
    L−リジン〕:銅 (II) で示される化合物を含む、温血動物における毛の成長を
    促進する化粧品。
JP5088669A 1993-04-15 1993-04-15 毛の成長を促進する医薬及び化粧品 Pending JPH06305941A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5088669A JPH06305941A (ja) 1993-04-15 1993-04-15 毛の成長を促進する医薬及び化粧品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5088669A JPH06305941A (ja) 1993-04-15 1993-04-15 毛の成長を促進する医薬及び化粧品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06305941A true JPH06305941A (ja) 1994-11-01

Family

ID=13949231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5088669A Pending JPH06305941A (ja) 1993-04-15 1993-04-15 毛の成長を促進する医薬及び化粧品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06305941A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995023580A1 (fr) * 1994-03-03 1995-09-08 Procyte Corporation Prevention et traitement de la depilation secondaire
WO2005116053A1 (ja) * 2004-05-27 2005-12-08 Kyoto University 新規な育毛剤
JP2007516209A (ja) * 2003-07-18 2007-06-21 アンスティテュ・ヨーロペアン・ドゥ・ビョロジ・セリュレール 脱毛症の予防および治療的処置用組成物の製造のためのペプチド複合体の使用

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995023580A1 (fr) * 1994-03-03 1995-09-08 Procyte Corporation Prevention et traitement de la depilation secondaire
JP2007516209A (ja) * 2003-07-18 2007-06-21 アンスティテュ・ヨーロペアン・ドゥ・ビョロジ・セリュレール 脱毛症の予防および治療的処置用組成物の製造のためのペプチド複合体の使用
JP2013010769A (ja) * 2003-07-18 2013-01-17 Inst Europeen De Biologie Cellulair 脱毛症の予防および治療的処置用組成物の製造のためのペプチド複合体の使用
JP2015134777A (ja) * 2003-07-18 2015-07-27 アンスティテュ・ヨーロペアン・ドゥ・ビョロジ・セリュレールInstitut Europeen De Biologie Cellulaire 脱毛症の予防および治療的処置用組成物の製造のためのペプチド複合体の使用
WO2005116053A1 (ja) * 2004-05-27 2005-12-08 Kyoto University 新規な育毛剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6017888A (en) Stimulation of hair growth by peptide copper complexes
JP3174323B2 (ja) 毛髪成長を刺激するための金属―ペプチド組成物及び方法
US5550183A (en) Metal-peptide compositions and methods for stimulating hair growth
JP2744057B2 (ja) 頭髪の生長を誘発及び刺激しそして頭髪の損失を減らすための、ピリミジン誘導体及びサリチル酸誘導体の組み合わせ物
JP2001526200A (ja) 脱毛症の処置のための組成物および方法
JPH07316023A (ja) 育毛料
JPH08301729A (ja) 髪の成長の促進または刺激および/または抜毛防止薬剤
JPH0791278B2 (ja) N―アシルチアゾリジンカルボン酸とピペリジノジアミノピリミジンオキシドとの塩、およびそれを含む組成物
JP3973748B2 (ja) 発毛抑制剤
JP3644809B2 (ja) 頭部用外用剤
JP3499971B2 (ja) 養毛・育毛料
JP2693535B2 (ja) ピリミジン誘導体および非ステロイド抗炎症剤の組み合わせからなる頭皮外用剤
JPH06305941A (ja) 毛の成長を促進する医薬及び化粧品
JP2001187720A (ja) 脱毛剤及び外用剤
JP2000508296A (ja) 髪の成長の刺激または誘発および/または抜毛防止のためのn―アリール―2―ヒドロキシアルキルアミドの使用
JPH0341016A (ja) 化粧品組成物
WO2003030844A1 (fr) Preparations de stimulation de la croissance des cheveux a action prolongee
JP2546813B2 (ja) 養毛化粧料
JP2001026522A (ja) 発毛抑制剤
JP3624318B2 (ja) 養毛剤
TW200808717A (en) Skin whitening agent containing zinc as active ingredient
JPH0940531A (ja) 養毛料
JPH1077216A (ja) 養毛化粧料
JP2804834B2 (ja) 育毛剤及びそれを含有する養毛化粧料
JP2869168B2 (ja) 育毛剤及びそれを含有する養毛化粧料

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040405

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20040622

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20040630

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050411