JP3624318B2

JP3624318B2 - 養毛剤

Info

Publication number: JP3624318B2
Application number: JP02893594A
Authority: JP
Inventors: 典彦世古; 達宮本
Original assignee: 株式会社カネボウ化粧品
Priority date: 1994-01-31
Filing date: 1994-01-31
Publication date: 2005-03-02
Anticipated expiration: 2020-03-02
Also published as: JPH07215823A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、育毛効果、脱毛予防効果に優れた養毛剤に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、トウガラシチンキおよびニコチン酸誘導体等の血行促進物質、あるいはセンブリエキスおよび朝鮮ニンジンエキス等の頭皮の毛母細胞の賦活化物質を配合してなる養毛化粧料が知られている。さらに最近では、皮脂腺の肥大化の抑制効果をもつ成分や、男性ホルモンの抑制作用をもつ成分を配合する養毛剤も数多く提案されている。
【０００３】
しかし、従来より使用されている血行促進物質は、皮膚刺激が強くその配合量に制限があったり、血行促進の持続時間が短かいという欠点がある。また、細胞の賦活化物質も、低濃度では皮膚への浸透性が低く、かつ単独では効果が充分に発揮されないという問題点がある。
【０００４】
ところで、男性型脱毛症は男性ホルモンの過剰作用が原因の一つと言われているが、血行の不良や毛母細胞の活性低下、皮脂腺の肥大化、頭皮の線維化等の現象が複雑に絡みあって生じていると推察されている。
【０００５】
したがって、男性ホルモンの過剰作用が原因といわれる皮脂腺の肥大化を抑制するために、単に、抗男性ホルモン剤等を育毛剤として用いても、育毛作用を発現するまでには至らないのが現状である。また、毛母細胞賦活剤や血行促進剤を単独で用いても、良好な成績は得られない。
【０００６】
本発明の養毛剤の有効成分として使用する化合物は、カリウムチャンネル開口作用を有する物質として既に開示されているシアノグアニジン誘導体であり（特開平５−４３５７３号公報）、優れた血管平滑筋の弛緩作用を持ち血管拡張作用を有することから、高血圧症等の循環器疾患の治療薬として有用であることが開示されている。しかし、上記公報には養毛効果に関する記述は全く無く、本化合物に関する養毛、育毛作用は全く知られていなかった。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、育毛効果および脱毛予防効果の優れた養毛剤を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、頭皮の末梢血流促進及び毛母細胞の賦活化について種々検討した結果、一般式（Ｉ）で表されるシアノグアニジン誘導体を含有する養毛剤が優れた養毛、育毛効果を発現することを見いだし本発明を完成した。
【０００９】
【化２】

【００１０】
本発明は、前記一般式（Ｉ）で表されるシアノグアニジン誘導体を含有することを特徴とする養毛剤である。本発明にいう養毛剤とは、医療用、非医療用を問わず養毛、育毛または／および脱毛予防に使用されるものをいう。したがって、本発明は医療用養毛剤および養毛化粧料を包含する。本発明の養毛剤の有効成分であるシアノグアニジン誘導体は、公知の物質であり特開平５−４３５７３号公報記載の方法で容易に製造することができる。
【００１１】
前記一般式（Ｉ）において、Ｒはｔ−ペンチル基、１−エチル−１−メチルプロピル基、又は１，２，２−トリメチルプロピル基である。本発明の養毛剤の有効成分として使用される好ましいシアノグアニジン誘導体の具体例としては、Ｎ−シアノ−Ｎ’−（５−シアノ−３−チエニル）−Ｎ’’−ｔ−ペンチルグアニジン、Ｎ−シアノ−Ｎ’−（５−シアノ−３−チエニル）−Ｎ’’−（１，２，２−トリメチルプロピル）グアニジン、Ｎ−シアノ−Ｎ’−（５−シアノ−３−チエニル）−Ｎ’’−（１−エチル−１−メチルプロピル）グアニジン、の各化合物が挙げられる。また、前記一般式（Ｉ）で表されるシアノグアニジン誘導体には種々の互変異性体が考えられるが、かかる異性体を含有する養毛剤も本発明の養毛剤に包含される。
【００１２】
本発明の養毛剤において、前記一般式（Ｉ）のシアノグアニジン誘導体の配合量は、養毛剤総量を基準として、０．００１〜５．０重量％であり、好ましくは０．０１〜３．０重量％である。
【００１３】
本発明の養毛剤は、常法に従って、例えばヘアートニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、ヘアーコンディショナー、シャンプー、リンス、ヘアージェル、ヘアーミスト、ヘアーフォーム等の剤型に製造し、医療用養毛剤あるいは養毛化粧料として使用することが可能である。
【００１４】
本発明の養毛剤は、養毛、育毛または／および脱毛予防のためにそれを目的とする局所（頭皮）に、その剤型にしたがって塗布または噴霧して適用される。本発明の養毛剤の１回当たりの適用量は、前記一般式（Ｉ）で示されるシアノグアニジン誘導体換算で、０．０１〜１００ｍｇが好ましく、更に好ましくは０．１〜５０ｍｇであり、通常この量を１日１〜２回適用する。本発明の養毛剤の有効成分〔すなわち、前記一般式（Ｉ）で表されるシアノグアニジン誘導体〕は毛母細胞の賦活化および末梢血流の促進作用を有し、育毛効果、脱毛予防効果等に優れるばかりでなく、その毒性が低いので、本発明の養毛剤は効果が高くしかも安全な養毛剤として有用である。
【００１５】
なお、本発明の養毛剤には、色素、香料、殺菌剤、防腐剤、角質溶解剤、抗アンドロゲン剤、抗酸化剤、経皮吸収促進剤等を本発明の目的を達成する範囲で適宜配合することができる。
【００１６】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳説する。なお、実施例に示す％とは重量％である。
【００１７】
また、本発明において使用したマウス毛成長促進効果試験法、ＰＡＭ細胞増殖性試験法ならびに本発明に係わる化合物の合成法は下記の通りである。
【００１８】
（１）マウス毛成長促進効果試験法
Ｃ３Ｈ系マウス（雄・８週齢・平均体重３５ｇ）の背部中央の皮膚を電気バリカンで刈った後、シェーバーにより完全に除毛した。翌日より実施例および比較例の各試料を被験部皮膚に毎日１回、一匹当り０．２ｍｌ塗布した。一試料に対して動物は一群１０匹を使用した。なお、対照群として基剤単独を塗布した。実験開始後１５日目に動物を屠殺し、被験部皮膚の写真撮影を行った。つぎに、写真を画像解析装置に取り込み、最初に毛刈りした面積（Ａ）と、発毛面積（Ｂ）を求め、さらに
発毛率（％）＝〔（Ｂ）／（Ａ）〕×１００
を個々の動物について算出した。最後に、実施例または比較例の各群の平均値を対照群の平均値により除した値を毛成長促進効果として判定に用いた。
【００１９】
（２）ＰＡＭ細胞増殖性試験法
マウス表皮由来のＰＡＭ細胞（粧技誌，第２０巻，第３号，２０１〜２０５頁，１９８６年）を用いた細胞増殖性試験をＭＴＴ法（ＭＴＴ：３−（４，５−ジメチルチアゾイル−２−イル）−２，５−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド）により実施した。ＰＡＭ細胞を９６穴プレートに２０００ｃｅｌｌｓ／ｗｅｌｌ播き、３７℃、２４ｈｒ、ＣＯ_２インキュベーターで培養を行った。その後培養液を除去し、試験試料を終濃度で０．１、１．０、１０．０μｇ／ｍｌ含む培地を２００μｌ添加した（各濃度共ｎ＝６）。さらに、一定期間（９６〜１２０ｈｒ）３７℃、ＣＯ_２インキュベーターで培養後、各ｗｅｌｌにＭＴＴ試薬５０μｌ（２ｍｇ／ｍｌ）加え４ｈｒ、３７℃、ＣＯ_２インキュベーターにて培養した。つぎに、培養液を除去しジメチルスルホキシド（ＤＭＳＯ）１００μｌ加えて抽出し、生成したｆｏｒｍａｚａｎをマイクロプレートリーダーによりＯＤ５５０ｎｍにおける吸光度を測定した。また、１回の試験について各試料濃度共ｎ＝６として平均値を求め、同じ試験を２〜４回繰り返し実施した。本発明に係わる化合物の試料をエタノールで溶解した後、培地にて希釈した。この時、ＰＡＭ細胞は５．０％ウシ胎児血清（ＦＣＳ）含有培地で希釈した（試料濃度：０．０１〜１０μｇ／ｍｌ）。エタノール含量は、各濃度とも最終的に１％となるようにした。
【００２０】
（３）本発明に係わる化合物および比較例に係わる化合物の合成
実施例に使用した本発明に係わる化合物および比較例２に係わる化合物は、特開平５−４３５７３号公報に記載の方法に準じて合成した。すなわち、前記一般式（Ｉ）のＲとしてｔ−ペンチル基、ｔ−ブチル基、１，２，２−トリメチルプロピル基、１−エチル−１−メチルプロピル基を持つ各化合物を合成し、マウス毛成長促進効果試験、ＰＡＭ細胞増殖性試験に使用した。
【００２１】
実施例１−１、２−１、３−１、比較例１、２
本発明に係わる化合物３品〔Ｎ−シアノ−Ｎ’−（５−シアノ−３−チエニル）−Ｎ’’−ｔ−ペンチルグアニジン、Ｎ−シアノ−Ｎ’−（５−シアノ−３−チエニル）−Ｎ’’−（１，２，２−トリメチルプロピル）グアニジン、Ｎ−シアノ−Ｎ’−（５−シアノ−３−チエニル）−Ｎ’’−（１−エチル−１−メチルプロピル）グアニジン〕および比較例２に係わる化合物〔Ｎ−ｔ−ブチル−Ｎ’−シアノ−Ｎ’’−（５−シアノ−３−チエニル）グアニジン〕に関して、前記細胞増殖性試験を実施し、有効性を調べた。その結果を、表１に示す。
【００２２】
【表１】

【００２３】
表１に記載の通り、比較例１、２はヒト毛乳頭細胞の増殖性が低かった。一方、実施例１−１、２−１、３−１の本発明の化合物は、高いＰＡＭ細胞の増殖促進作用を示し、表皮由来細胞に対する賦活作用が高いことがわかった。
【００２４】
実施例１−２および２−２、比較例３
９０％エタノール水溶液に表２記載の通り有効成分を配合した実施例の試料養毛剤および有効成分無配合の対照養毛剤を調製し、前記マウス毛成長促進効果試験を実施した。その結果も併せて表２に示す。なお、いずれの実施例の養毛剤を用いた場合にも、マウスに炎症その他副作用と考えられる炎症は発現せず、本発明の養毛剤は安全性にも優れていることが明らかであった。
【００２５】
【表２】

【００２６】
表２に記載の通り、比較例３に比較して実施例１−２および２−２の本発明の養毛剤は、良好な毛成長促進効果を示した。特に、実施例１−２の化合物（Ｎ−シアノ−Ｎ’−（５−シアノ−３−チエニル）−Ｎ’’−ｔ−ペンチルグアニジン）は顕著な毛成長促進作用を示した。
【００２７】
実施例１−３、１−４、１−５、比較例４
上記のマウス毛成長促進効果試験において、特に良好な成績を示した実施例１−２の有効成分（Ｎ−シアノ−Ｎ’−（５−シアノ−３−チエニル）−Ｎ’’−ｔ−ペンチルグアニジン）に関して、９０％エタノール水溶液に各種化粧品成分を添加し、試験養毛剤を調製し、前記と同様のマウス毛成長促進効果試験を実施した。その結果を表３に示す。
【００２８】
【表３】

【００２９】
表３に記載した通り、比較例４に比較して実施例の本発明のＮ−シアノ−Ｎ’−（５−シアノ−３−チエニル）−Ｎ’’−ｔ−ペンチルグアニジンを有効成分とした養毛剤は、良好な毛成長促進効果を示した。
【００３０】
【発明の効果】
本発明の養毛剤は、頭皮の末梢血流を向上させ、毛母細胞の賦活化作用を有し、育毛効果、脱毛予防効果および安全性に優れる。

Claims

一般式（Ｉ）

（式中Ｒは、ｔ−ペンチル基、１−エチル−１−メチルプロピル基、又は１，２，２−トリメチルプロピル基を表す。）で表されるシアノグアニジン誘導体を、総量を基準として０．００１〜５．０重量％含有することを特徴とする養毛剤。