JP4162823B2 - 頭髪用化粧料 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な血行促進作用を有し、育毛効果及び養毛効果、脱毛予防、ふけ防止等の効果に優れた頭髪用化粧料に関する。さらに詳しくは、ゲファルナートを用いることにより、脱毛症に対して優れた脱毛予防効果及び育毛効果を有することを特徴とする頭髪用化粧料に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
脱毛症は血行の不全、毛母細胞活性の低下や性ホルモンのアンバランス等の様々な要因が複雑に絡み合って生じていると考えられているが、発生機作が未だ十分に解明されていないのが現状である。従来、トウガラシチンキ、センブリエキス、朝鮮ニンジンエキス、ニコチン酸、ニコチン酸メチル等の頭皮の血行促進物質等を配合してなる養毛化粧料が知られている。しかしながら、これら血行促進物質は、皮膚刺激が顕著である為、育毛、脱毛防止、ふけ防止等の効果を充分に発現する程に配合することは難しく、微量でも有効なる物質の発見にまでは至っていない。近年では、育毛に男性ホルモンが関与し、ＤＮＡレベルで情報を伝達し、毛髪のケラチン合成を抑制し、毛髪の成長が低下し、最終的に脱毛を促進させることが示唆されている。しかしながら、抗男性ホルモン作用物質を配合しても、脱毛を抑制する緩和な効果は認められるが、発毛を促進させる効果は十分ではない。また、現在、注目されているカリウムチャンネルオープナーであるミノキシジルには、発毛促進作用を有することが報告されており、本薬剤の効果は、微弱な血行促進効果に起因することが推察されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、脱毛症に対して優れた脱毛予防効果及び育毛作用を有する頭髪用化粧料を提供するにある。そして、育毛、養毛、脱毛予防、ふけ防止等の効果に優れた頭髪用化粧料を提供することにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような状況に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、下記構造式（１）で示されるゲファルナートを有効成分として用いることによって、毛成長促進に優れた効果を示し、ふけ防止予防効果にも著効を呈することを見出して本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、ゲファルナートを含有することを特徴とする、育毛、養毛、脱毛予防、ふけ防止等の効果に優れた頭髪用化粧料にある。
【０００５】
【化１】

【０００６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【０００７】
本発明に用いる上記一般式（１）で表わされるゲファルナート（ゲファルネート）は、ファルネシル酢酸（5,9,13-trimethyl-4,8,12-tetradecatrienoic acid）とゲラニオール（3,7-dimethyl-2,6-octadienol）のエステルであり、淡黄色〜黄色の澄明油状物質である。従来、医療用製剤原料として用いられており、胃潰瘍、十二指腸潰瘍に効果があり、粘液中のヘキソサミン量を増加させ粘膜抵抗性を増強すると共にその修復を促進し、粘膜の血流量を増加させる等の効果があることが知られているが、ゲファルナートに育毛効果があることは全く知られていない。
【０００８】
ゲファルナートは、公知のエステル化の方法でファルネシル酢酸とゲラニオールから容易に合成することができる。また、通常市販されているものをそのまま、或いは蒸留等によって精製した後に使用することも可能である。
【０００９】
本発明に係る化合物の頭髪用化粧料中への配合量は特に制限されないが、頭髪用化粧料総量を基準として、好ましくは、０．０５〜１０．０質量％（以下、％とする）であり、更に好ましくは０．１〜５．０％である。化合物の配合量が０．０５％未満では本発明の目的とする効果が十分に得られない場合があり、配合量が１０．０％を越えても、その増加分に見合った効果の向上は望めない場合があり、使用時の感触が悪くなり易く、個々の剤型を保持し難くなる場合がある。
【００１０】
本発明の頭髪用化粧料は、例えば、ヘアートニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、シャンプー、リンス、ヘアーフォーム、ヘアージェル、エアゾール等の直接頭皮に塗布する剤形に配合し、常法に従い製造することができる。
【００１１】
本発明の頭髪用化粧料には、色素、香料、殺菌剤、防腐剤、角質溶解剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン剤、養毛剤、抗酸化剤、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類等を、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜配合することができる。
【００１２】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基いて本発明を詳細に説明する。尚、本発明はこれらに限定されるものではない。
【００１３】
実施例で用いたゲファルナートは、市販品を減圧蒸留により精製したものを用いた。
【００１４】
尚、実施例に記載のマウス毛成長促進効果試験法、ヒト頭髪毛成長促進効果試験法及び実用試験法を下記に示す。
【００１５】
（１）Ｃ３Ｈマウス毛成長促進効果試験法
Ｃ３Ｈマウス（８週齢、オス、平均重量３５ｇ）の背部皮膚（２ｃｍ×４ｃｍ）を電気バリカン及びシェーバーで刈り、翌日より実施例及び比較例の各試料を被験部皮膚に朝夕２回、一匹当り０．２ｍＬを二週間連用塗布した。一試料に対して動物一群１０匹使用した。塗布開始１４日目に各試料の被験部皮膚をビデオカメラに撮影し、画像解析装置にて毛刈り部及び発毛部の面積を測定した。養毛効果の判定は、下記に示す発毛率（％）を算出し、実施例または比較例の各群の発毛率平均値を求めて比較を行った。
発毛率（％）＝（発毛部の面積）／（毛刈り部の面積）×１００
【００１６】
（２）ヒト頭皮毛成長促進効果試験法
男性型脱毛症患者である被試験者１０名の頭部の耳の上５ｃｍの位置の頭髪を左右２ヶ所に於いて直径１ｃｍの円形状に剃毛した被験部位に、実施例及び比較例の各試料を左側に毎日朝夕２回、約３ｍＬ塗布し、無処置の右側と比較した。効果の判定は、試験開始後２８日目に、左右の被験部位の毛髪各々２０本ずつを剃毛し、下記の式で求めた値で毛成長促進度を評価した。
毛成長促進度 ＝ （Ｂ）／（Ａ）
（Ａ）：右側（無処置）の毛２０本の長さの平均値
（Ｂ）：左側（実施例及び比較例の試料を塗布）の毛２０本の長さの平均値
【００１７】
（３）実用試験法
男性型脱毛症患者である被試験者１０名の頭部に毎日朝夕２回、連続６カ月間塗布した後の効果を評価した。試験結果は、育毛効果、脱毛予防効果、ふけ防止効果の各項に対して、「生毛が剛毛化した或いは生毛が増加した」、「脱毛が少なくなった」、「ふけが少なくなった」と回答した人数で示した。
【００１８】
実施例１〜２、比較例１〜２（オイリーヘアートニック）
下記の原料組成に於いて、第１表に記載のごとく、各種毛成長促進物質を配合して各々のヘアートニックを調製し、前記の諸試験を実施した。
【００１９】
（１）組成

【００２０】
（２）製造法
（Ｂ）成分中、ゲファルナートは（Ａ）成分中に、トウガラシチンキは（Ｃ）成分中に溶解し、（Ａ），（Ｃ）成分を各々均一に溶解した後、（Ａ）成分と（Ｃ）成分を混合攪拌分散し、次いで容器に充填する。使用時には内容物を均一に振盪分散して使用する。
【００２１】
（３）特性
各オイリーヘアートニックの諸試験を実施した結果を第１表に記載した。
第１表に示すごとく、本発明の頭髪用化粧料である実施例１、２は、比較例と比して高い発毛促進作用を示した。
【００２２】
［表１］

【００２３】
実施例３〜１１（ヘアートニック）
下記の処方のヘアートニックを常法により調製した。
エタノール ６０．０
ゲファルナート ０．５
血行促進剤・毛母細胞賦活剤 表２に記載
プロピレングリコール １．０
香料 ０．１
メントール ０．２
精製水 残 部
【００２４】
［表２］

【００２５】
【発明の効果】
以上記載の如く、本発明が顕著な毛成長促進効果を示し、育毛効果、脱毛予防、及びふけ防止効果に優れた頭髪用化粧料を提供することは明らかである。

Claims (1)

1. ゲファルナートを含有することを特徴とする頭髪用化粧料。