JPH06299477A - カーペツトの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 深みのある色相や多様な色相に富むカーペツ
トを後染めによって得ることを可能とする。 【構成】 カチオン染料に親和性を有し酸性染料に親和
性を有しないナイロンマルチフイラメント糸にスルフオ
ン基を有しない１：２型分散タイプの含金属染料で模様
染めを施した糸と、酸性染料に親和性を有する未着色の
ナイロンマルチフイラメント糸とを、捲縮加工及び流体
による混繊加工を施して、捲縮混繊糸条とし、次いで、
該糸条をパイル糸に用いてカーペツト生地を織成した
後、該生地を酸性染料で染色しパイル糸の未着色のナイ
ロンマルチフイラメント部分を着色する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、異染色性のナイロンマ
ルチフイラメント糸をパイル糸に用いるカーペツトの製
造方法に係わり、さらに詳しくは、パイル糸の糸構成及
び先染めと後染めの組合わせによるカーペツトの製造方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、カーペツトの高級化、フアツシヨ
ン化に対応してその色彩が多色化の傾向にあるが、多色
の糸条をパイル糸として用いているに拘らず、一般に色
彩が単調で深みがなく、優雅さに欠けるきらいがあっ
た。この原因の一つにはパイル糸を構成する単繊維が糸
の長さ方向に同一の色相を呈していることが挙げられ、
この対策として混色効果を効率よく出すための各種の改
良や提案がなされている。

【０００３】これら改良の主なものは、パイル糸とし
て、一般にスペースダイと呼ばれている糸の模様染めの
手法を用いて糸の長さ方向に異なる色相を付与した糸を
用いたり、異なる色相の糸を空気等の流体により混繊し
た糸を用いたり、またこれらを組合わせたりするもので
ある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単に、
糸の長さ方向に異なる色相を付与したり、異なる色相の
糸を流体により混繊したものでは、色相の変化や深みが
それなりに改善されるとはいえ、まだ充分満足するもの
とはいえず、またこれらを組合わせた方法によっても、
後染めによっては先染め部分の泣き出しを生ずる。この
泣き出しを防ぐため先染め糸をパイル糸とする提案（特
公昭６１−１４２６０号公報）もあるが、品種の多様化
に対応させるには、先染め糸を多く準備する必要があ
り、加工期間が長くかかるうえ、コスト高となる。また
品種を絞れば色相が限定され、製品展開に支障をきたす
等問題が多い。

【０００５】本発明は、このような問題がなく、短期間
で対応できるうえ、合理的なコストで、色相の変化や深
みに富むカーペツトを製造する方法を提供することを目
的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、カチオン染料
に親和性を有し酸性染料に親和性を有しないナイロンマ
ルチフイラメント糸にスルフオン基を有しない１：２型
分散タイプの含金属染料で模様染めを施した糸と、酸性
染料に親和性を有する未着色のナイロンマルチフイラメ
ント糸とを、捲縮加工及び流体による混繊加工を施し
て、捲縮混繊糸条とし、次いで、該糸条をパイル糸に用
いてカーペツト生地を織成した後、該生地を酸性染料で
染色しパイル糸の未着色のナイロンマルチフイラメント
部分を着色することを特徴とするカーペツトの製造方法
にある。

【０００７】以下本発明を詳細に説明する。本発明にお
いては、カーペツト自体は任意の公知の方法によって製
造しうるが、カーペツトの製造にあたってパイル糸に用
いる糸条として、模様染めを施したナイロンマルチフイ
ラメント糸と未着色のナイロンマルチフイラメント糸と
を用いて構成する。このパイル糸の構成成分には他にナ
イロンや他の繊維の予め着色したフイラメント糸を併用
することも可能である。

【０００８】本発明において、パイル糸に用いる糸条の
構成成分である模様染めを施したナイロンマルチフイラ
メント糸は、ナイロンのアミノ末端基が０．１〜０．１
２ミリモル／ｇのスルフオン基に置換されたもので、カ
チオン染料に親和性を有し酸性染料に親和性を有しない
ナイロンマルチフイラメント糸が用いられる。かかるナ
イロンマルチフイラメント糸としては公知の市販品とし
て容易に入手し利用することができる。さらに本発明で
は、このカチオン染料に親和性を有し酸性染料に親和性
を有しないナイロンマルチフイラメント糸が１：２型分
散タイプの含金属染料によって染められていることが必
要である。単にカチオン染料によって染めたのでは耐光
堅牢度に問題があり、カーペツトとしたときの実用上好
ましくない。

【０００９】本発明でいう模様染めとは、一般にスペー
スダイと呼ばれ、糸の長さ方向にわたって異色や濃淡色
に着色させるものであり、この模様染めの手法としてニ
ツト・デ・ニツト法やワープダイ法等の公知の方法が使
用できる。

【００１０】また、本発明において、パイル糸に用いる
糸条のもう一方の構成成分である未着色のナイロンマル
チフイラメント糸としては、一般に用いられている酸性
染料可染型のナイロンのマルチフイラメント糸がそのま
ま使用される。

【００１１】これらパイル糸に用いるマルチフイラメン
ト糸の構成本数は、各マルチフイラメント糸を構成する
単繊維フイラメントのデニールや本数、製造するカーペ
ツトの品種等によって異なり、一本づつ引き揃えて用い
てもよく、一方の構成を複数本、またはそれぞれ複数本
を引き揃えて用いてもよい。引き揃え形状は、必ずしも
平行隣接とする必要はなく、張力が不均一であっても差
し支えない。

【００１２】引き揃えられた異種のマルチフイラメント
糸は、まず捲縮加工が施され、次いで空気等の流体処理
による混繊加工が施される。捲縮加工としては、仮撚り
法や押し込み法等一般に用いられている任意の手法が用
いられ、その加工条件もカーペツト用の糸条の加工条件
を使用することができる。混繊加工は、捲縮加工が施さ
れた異種のマルチフイラメント糸の構成フイラメント繊
維相互を混繊させるためのもので、流体処理としてはル
ープの生じないインターレース法が好ましく用いられ
る。

【００１３】かかる捲縮加工および混繊加工が施された
糸条をパイル糸として用い、一般に用いられている任意
の方法によってカーペツト生地を織成する。このように
して織成されたカーペツト生地は、パイルを構成してい
る異種のマルチフイラメント繊維が相互に混在する状態
となっている。

【００１４】織成されたカーペツト生地は、次いで酸性
染料で染色する。酸性染料としては、一般に使用されて
いるレベリングタイプのものが好ましく使用されるが、
ミーリングタイプものや或いは色相によっては分散染
料、カチオン染料を併用してもよい。染色条件は、通常
のカーペツト用の染色装置で、酸性染料の染色条件を適
用する。

【００１５】染色されたカーペツトは、生地の未着色の
ナイロンマルチフイラメント繊維部分のみが酸性染料で
着色され、予め模様染めされたナイロンマルチフイラメ
ント繊維部分は酸性染料との親和性がなく着色されな
い。従って、本発明によれば模様染め部分は後染めによ
る影響を受けない元のの色相と、酸性染料のよる後染め
による着色部分との組み合わせによる、多色で深みのあ
る優雅な色調を呈するカーペツトを得ることを可能とす
るものである。

【００１６】以下、本発明を実施例により具体的に説明
する。

【００１７】

【実施例１】ナイロン６６のカチオン染料可染型マルチ
フイラメント糸（１０００ｄ／５４ｆ）を用い、一旦編
地に編成し、これを５色の１：２型分散タイプの含金属
染料を用い染色し、解じょしたのち、コーンアツプした
模様染めが施された糸と、ナイロン６の酸性染料可染型
マルチフイラメント糸（１０００ｄ／５４ｆ）の濃染タ
イプとレギュラータイプの２種の未着色の糸とを、引き
揃え、捲縮加工および空気での流体処理による混繊加工
を行った。この糸条をパイル糸に用い、１／１０インチ
ゲージ、１０スティッチ／インチ、４／３ミリパイル長
のハイロー・ループに織成したのち、このカーペツト生
地をウインス染色機に投入し、青色のナイロン用酸性染
料を用い、次の条件で後染めによる染色を行った。 酸性染料（レベリングタイプ） ０．８％ｏｗｆ（対被
染物重量） 均染剤 １．５％ｏｗｆ 硫安 ０．５％／ｌ 浴比 １：３０ 染色時間 ９０℃×４５分 この酸性染料による染色によって、パイル部を構成する
フイラメントの内、酸性染料可染型のフイラメント部分
のみが着色され、模様染めが施されたフイラメント部分
は元のままで色相の変化がなく、得られたカーペツトは
上品なヘザー調を呈する多色カーペツトであった。

【００１８】また、同様に同一のカーペツト生地を１１
色の異なる色相に後染めし、多色カーペツトを得た。得
られた１２色に後染めしたカーペツトついて、パイル部
の堅牢度を測定した結果、耐光堅牢度は５級または６級
以上、乾摩擦堅牢度は４〜５級または５級であった。

【００１９】比較例として、実施例１の１：２型分散タ
イプの含金属染料に換えてカチオン染料を用いた模様染
めのフイラメント糸を用いる以外は、実施例１と同様に
して着色カーペツトを得た。このカーペツトは、多色で
あったが、耐光堅牢度は３級と堅牢度に劣るものであっ
た。

【００２０】

【実施例２】ナイロン６６のカチオン染料可染型マルチ
フイラメント糸（１２２５ｄ／６８ｆ）を用い、編成
し、実施例１と同様にして染色し、解じょしてコーンア
ップした模様染めを施した糸と、ナイロン６６の酸性染
料可染型マルチフイラメント糸（１２２５ｄ／６８ｆ）
とを、捲縮加工および混繊加工を施したのち、ケーブル
ツイスターを用いてに撚糸（１２２５ｄ／２ｐｌｙ）
し、ヒートセツトにより撚止めし糸Ａを得た。一方、ナ
イロン６の酸性染料可染型マルチフイラメント糸（１５
５０ｄ／６８ｆ）を撚糸（１５５０ｄ／２ｐｌｙ）し、
ヒートセツトにより撚止めし糸Ｂを得た。タフト機のニ
ードル・バー上に、糸Ａを１本、糸Ｂを３本の順になる
ように配列し、ニードルシフト機構が付いたタフト機を
用いて１／８インチゲージ、１２スティッチ／インチ、
１０ミリパイル長でタフトし、カーペツト生地を織成し
たのち、実施例１と同様に青色の酸性染料で染色した。
染色後、乾燥、せん毛して８ミリパイル長とした。得ら
れたカーペツトは、優雅で深みのある色調を呈するもの
であった。

【００２１】

【発明の効果】本発明によって得られるカーペツトは、
パイルが、酸性染料に親和性を有せず、かつ、含金属染
料で模様染めされているナイロンマルチフイラメント糸
と酸性染料に親和性を有する未着色のナイロンマルチフ
イラメント糸とによって形成されているので、模様染め
部分を含むものの、後染めによって任意の色相を選択す
ることが可能であり、先染め糸のみをパイル糸として使
用する場合のように予め各色相毎に多くの糸を準備する
必要がなく経済的である。

【００２２】また、パイルに、酸性染料に親和性を有し
ないマルチフイラメントが併用されているので酸性染料
系の色素を有するジュースやコーヒー等をカーペツトに
こぼした場合でも汚染部分の除去が容易である。 さら
に、酸性染料による後染めの場合に、未着色のマルチフ
イラメントのみが着色され、かつ、模様染め部分は後染
めによる影響を受けず滲み出しが生じないので、模様染
め部分がそのまま元の色調として活かされ、色のこなれ
がよく深みのある色調のカーペツトが得られる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｄ０６Ｐ 7/00 9356−4Ｈ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カチオン染料に親和性を有し酸性染料に
   親和性を有しないナイロンマルチフイラメント糸にスル
   フオン基を有しない１：２型分散タイプの含金属染料で
   模様染めを施した糸と、酸性染料に親和性を有する未着
   色のナイロンマルチフイラメント糸とを、捲縮加工及び
   流体による混繊加工を施して、捲縮混繊糸条とし、次い
   で、該糸条をパイル糸に用いてカーペツト生地を織成し
   た後、該生地を酸性染料で染色しパイル糸の未着色のナ
   イロンマルチフイラメント部分を着色することを特徴と
   するカーペツトの製造方法。