JPH06299469A - セルロース系繊維構造物の高次加工方法 - Google Patents

セルロース系繊維構造物の高次加工方法

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JPH06299469A
JPH06299469A JP11002693A JP11002693A JPH06299469A JP H06299469 A JPH06299469 A JP H06299469A JP 11002693 A JP11002693 A JP 11002693A JP 11002693 A JP11002693 A JP 11002693A JP H06299469 A JPH06299469 A JP H06299469A
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良 之 林
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沢 和 男 塩
Yoshihiro Aoyama
山 義 博 青
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田 光 昭 増
Susumu Fujimura
村 丞 藤
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田 正 治 増
Toshihiko Masuda
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セルロース系繊維構造物に、極めて緩慢な反
応条件下で、効率よく、均一に架橋結合を導入すること
により、その風合変化および強度劣化を抑制しながら、
優れた形態安定性、乾湿防皺性、および平面、屈折ない
しフィブリル化等を含めた耐摩耗特性を付与する。 【構成】 ポリエチレングリコールをパッド・ドライし
たセルロース系繊維構造物に、多官能性エポキシ化合物
含有水溶液を飽充するに際し、繊維構造物の単位重量当
たりの水分量が30ないし100重量%の範囲で含有さ
れるように調製する。さらに、該セルロース系繊維構造
物を密閉反応室内に担持するに際し、該繊維構造物の容
量に対して50倍を越えない容量を有する密閉反応室内
に担持させる。反応室には、少なくとも80℃以上の熱
風を送入循環して加熱し、該セルロース系繊維構造物を
系内に含有される水分により発生する飽和蒸気により湿
熱処理し、架橋反応を促進させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セルロース系繊維構造
物に優れた機能性を付与するための高次加工方法に関す
るものであり、さらに詳しくは、種子毛繊維、靭皮繊
維、葉脈繊維、果実繊維などの植物繊維、および湿潤特
性改質型レーヨンなどの再生繊維素繊維を含むセルロー
ス系繊維を主要成分とする繊維、糸条、整経糸、織物、
編物、不織布ないし二次製品などの繊維構造物に、極め
て緩慢な反応条件下で、効率よく、均一に架橋結合を導
入することにより、その風合変化および強度劣化を抑制
しながら、優れた形態安定性、乾湿防皺性、および平
面、屈折ないしフィブリル化等を含めた耐摩耗特性を付
与するようにしたセルロース系繊維構造物の高次加工方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セルロース系繊維構造物の改質加工に関
しては長い歴史があり、ホルマリン処理による湿潤強度
の改善に端を発し、尿素・ホルムアルデヒド系樹脂およ
びメラミン・ホルムアルデヒド樹脂などの熱硬化性樹脂
の単量体ないし初期縮合物による架橋と充填の併用効果
を経て、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールウロ
ン、ジメチロールトリアゾン、ジメチロールプロピレン
尿素、ジメチロール−4−メトキシ−5、5−ジメチル
プロピレン尿素、ジメチロールアルキルカーバメート、
メチル化ジメチロールジメトキシエチレン尿素などの繊
維素架橋型反応剤にそれぞれ適応する触媒および風合調
整剤などを組み合わせてなる該反応系組成物水溶液をパ
ッド・ドライ・キュア法により適用して、主として形態
安定性および防皺性を向上する加工技術が採用され、そ
の用途に応じて樹脂の特徴が選択利用されながら現在に
到っていることは周知の通りである。
【0003】しかしながら、セルロース系繊維構造物の
機能特性も、市場で競合する合成繊維構造物の諸物性と
対比して、より一層の改善が所望されて各種研究開発が
継続されてきた。その代表例が、洗濯後乾燥すればその
まま着用可能であるウォッシュアンドウェア(以下、W
Wと略記する。)性であり、ホルマリンによる湿潤前処
理によるメチレン架橋導入後の乾燥セルロース系繊維構
造物を前記繊維素架橋型反応剤でパッド・ドライ・キュ
ア法で仕上げるWW加工が知られている。ただし、これ
らのWW加工布帛は高い乾湿防皺性からアパレルとして
の折り目の保持性に難点が指摘され、ジメチロールジヒ
ドロキシエチレン尿素(DMDHEU)をパッド・ドラ
イした原反から二次製品を縫製し、該縫製品を熱処理す
ることにより折り目の保持性を改善した、いわゆるパー
マネントプレス加工(以下、PP加工と略記する。)が
樹脂加工の主流になっていることも公知である。
【0004】その後、前記DMDHEUによるPP加工
は、処理繊維構造物から遊離するホルムアルデヒド問題
を内蔵しながら、本来のポストキュア方式から、熱可塑
性を具備した合成繊維の複合化ないし所望する折り目に
特殊化学処理を併用するなどの高温高圧プレスの応用に
よるプレキュア方式を含めて広く定着し、遊離するホル
ムアルデヒド対策として、非ホルムアルデヒド系の繊維
素架橋型反応剤として1,3−ジメチル−4,5−ジヒ
ドロキシ−2−イミダゾリドン(DMeDHEU)によ
るエーテル架橋ないしはポリカルボン酸によるエステル
架橋、アミノホスファーゼン処理などの提案もみられる
が、予期に反して防皺性に対する改善効果が低く、実用
化には到っていないのが現状である。
【0005】したがって、もっぱらDMDHEUを応用
して改質したセルロース系繊維構造物からのホルムアル
デヒドの発生量の抑制策としては、 尿素、グリオキザール、およびホルムアルデヒドか
らのDMDHEUの合成過程で、使用時の架橋反応性に
支障のない範囲でホルムアルデヒド量を低減した、いわ
ゆる低ホルムアルデヒド反応剤の利用、 加工時点でのソービングの強化、 樹脂パッド浴へのポリオールの添加、 カルボヒドラジドなどのホルムアルデヒド捕集剤の
併用、 などの提案がなされているが、相対的抑制効果は確認さ
れながら必ずしも決定的な処方が確立されていない。
【0006】上記含窒素系加工剤を中心とした一連のセ
ルロース系繊維構造物に対する改質加工に対して、非ホ
ルムアルデヒド系反応剤としてジエポキシ化合物がセル
ロース系繊維の2,3位の第二アルコールと架橋反応し
て塩素障害のない防皺性およびWW性に寄与する顕著な
効果が古くから指摘されているが、ホウフッ化亜鉛等の
強力触媒を併用したパッド・ドライ・キュア法の180
℃以上の高温熱処理によってはじめて弾性的性質の改善
されることが確認され、該条件下での繊維の脆化は回避
し難く、風合の粗硬化と同時に、引き裂き強度、平面な
いし屈曲摩耗などの物性の大幅低下が誘致され、実用化
には到っていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、セルロ
ース系繊維構造物の改質を効率よく遂行するために賞用
されるDMDHEUによるポストないしプレキュア方式
で最大の問題点として指摘されるところの、遊離ホルム
アルデヒドの解消を、非ホルムアルデヒド系反応剤とし
て多官能性エポキシ化合物に代替すると同時に、該反応
剤による架橋結合の導入に際して生ずるセルロース系繊
維素材の風合の粗硬化と強度の劣化現象の抑制に関し
て、鋭意研究した結果、該要因は基本的にはセルロース
系繊維素材の有する非結晶領域量に関与するものの、繊
維微細構造内における架橋結合の分布に起因する比率も
無視できないものと推定できた。
【0008】すなわち、麻および綿などの相対的に高い
結晶領域量の繊維は、スフないしレーヨンなどの再生繊
維素繊維と対比して繊維内部間隙に収容し得る反応組成
物水溶液容量が低く、同一条件下での同一飽充量から導
入される反応生成物は、前者のミセルないし繊維表面へ
の分布がより集中される傾向におかれ、風合の粗硬化と
強度劣化要因となることが確認された。また、これらの
架橋分布に及ぼす影響は中間乾燥および高温短時間の熱
処理条件下で強調されることも周知であり、より緩慢な
条件下での架橋結合の導入が求められることになる。
【0009】もちろん、最終製品の風合を支配する主要
因は、繊維素材そのものの微細構造に起因する特性であ
ることは言うまでもない。したがって、繊維素材の前処
理工程に採用する単位操作は、精練、漂白、マーセライ
ズ、緩和および酵素処理などの最適工程の組み合わせを
十分に吟味して設定することか重要である。例えば、工
業用資材として賞用される椰子およびカポック繊維など
を衣料用途に応用するに際しては、本発明の加工方法の
採用の前工程においては、液安処理、プラズマ加工ない
しはセルラーゼによるセルロース繊維の減量加工などを
複合化させることが必須条件になることはいうまでもな
い。
【0010】而して、本発明者らは遊離ホルムアルデヒ
ドの発生のないジエポキシ化合物によるセルロース系繊
維への架橋結合の導入方法について鋭意研究した結果、
本発明者らが先に特願平4−30198号として提案し
ているところの、絹繊維製品に機能性を付与するための
加工方法を所要の改変を加えることにより、セルロース
系繊維構造物に風合変化を抑制しながら、優れた機能性
を付与することができる加工方法を確立することができ
た。
【0011】
【課題を解決するための手段、作用】本発明は、かかる
研究の結果に基づくものであり、その加工方法において
は、セルロース系繊維を主要成分とする繊維構造物にポ
リエチレングリコールをパッド・ドライし、該ポリエチ
レングリコールを含有した乾燥セルロース系繊維構造物
に多官能性エポキシ化合物含有水溶液を飽充するに当た
り、該加工繊維構造物の単位重量当たりの水分量が、3
0ないし100重量%の範囲で含有されるように、反応
液中のエポキシ濃度および絞ぼり率を調製することが基
本になる。さらに、該反応組成物含有セルロース系繊維
構造物を密閉反応室内に担持するに際し、該反応組成物
含有セルロース系繊維構造物の容量に対して50倍を越
えない容量を有する密閉反応室内に担持しながら、少な
くとも80℃以上の熱風を送入循環して加熱し、該セル
ロース系繊維構造物を系内に含有される水分により発生
する飽和蒸気により湿熱処理して架橋反応を促進させる
ことに特徴がある。
【0012】本発明において加工の対象とするセルロー
ス系繊維構造物としては、木綿、カポックなどの種子毛
繊維、亜麻、大麻、黄麻、苧麻、ケナフなどの靭皮繊
維、アバカ、サザイル、ヘニケンなどの葉脈繊維、椰子
などの果実繊維等からなる植物繊維、およびビスコース
レーヨン、銅アンモニアレーヨンないしセルロースのア
ミンオキサイド・非溶媒混合系溶液から乾湿式法によ
る、いわゆるゲル紡糸によって成型される極細合成繊維
の製造範疇に分類できる湿潤特性改質型レーヨンなどの
再生繊維素繊維を含み、これらのセルロース系繊維を主
要成分とする繊維、糸条、整経糸、織物、編物、不織布
ないし二次製品などの繊維構造物がある。
【0013】本発明において繊維構造物の前処理に適用
するポリエチレングリコールの分子量は、200から4
00,000の範囲で比較検討しても、特に反応促進に
影響する現象は確認されていないが、一般的に0.01
から2モル濃度の水溶液を調製する際の作業性からは分
子量300から1,000程度のものが推奨され、連続
処理の工程で繊維構造物への浸透効果からも好適である
ことが現業的に見出だされている。また、パッドの条件
としては、30ないし50℃程度の中温がセルロース系
繊維構造体への浸透を促進するために望まれるが、品質
管理の視点からは同一ロットについては一定温度を保持
することが必須条件になることは当然である。
【0014】ドライの条件としては、被処理繊維構造物
の形態変化が後工程における単位操作で修復し得る範囲
であれば、80ないし120℃程度の高温が望ましい。
これはセルロース繊維に対して水の2倍程度の膨張力を
有するポリエチレングリコールの共存下で飽充されたポ
リエチレングリコール水溶液中のポリエチレングリコー
ル分子が繊維内部により深く浸透、拡散し、乾燥による
水分の離脱に応じて繊維分子上の水酸基とより強固な水
素結合を通じて、次工程で付与される求核付加反応剤と
してのジエポキシ化合物との接触確率を増大させるため
の反応環境を整備するために極めて有効に作用するから
である。したがって、広義に解釈して反応促進に寄与す
る効果を強調するならば、相間移動触媒的作用機構を想
定することが可能となる。なお、繊維上に暫定的に固定
されたポリエチレングリコールは常温で流体であり、過
剰量の存在は前処理繊維構造体の取り扱い上好ましくな
いので実質的に5重量%以下でも十分その効果を再現す
ることができる。
【0015】また、上記パッド・ドライしたポリエチレ
ングリコールの架橋反応に寄与する機構は、セルロース
系繊維構造物にポリエチレングリコールと多官能性エポ
キシ化合物の水系混合組成物をパッドないしはパッド・
ドライして本発明の方法に準じて湿熱処理しても、処理
前後の繊維構造物の重量差ないし繊維構造物の物理的性
質の改質度から繊維内における架橋反応が全く生じてい
ないと推測できることからもよく裏づけられる。
【0016】本発明に使用する多官能性エポキシ化合物
含有水系反応組成物はエチレンないしポリエチレングリ
コールジグリシジールエーテル、グリセリンジグリシジ
ールエーテルおよびネオペンチルグリコールジグリシジ
ールエーテルなどの水溶液ないし水系懸潤液の5ないし
30重量%濃度の範囲のものが好適であり、セルロース
系繊維構造物の搾液率としては30から110重量%の
範囲を選定し、さらに高濃度の処理液で搾液率を上げる
と処理物の付着斑が生じ、逆に低濃度で搾液率を低くす
ると反応効率が低下することを考慮して、繊維構造物中
の含水率はほぼ30から100重量%の範囲に調製す
る。
【0017】また、必要に応じて上記反応組織物に補助
薬剤として、例えばイソシアネート基ブロック剤でマス
キングしたウレタンオリゴマーないしは分散型ウレタ
ン、ケテンダイマー、繊維素反応型樹脂および柔軟剤、
発水剤、および塩化亜鉛、ホウフッ化亜鉛、塩化錫、苛
性加里、ベンジルジメチルアミン、四級アンモニウム
塩、プロピオン酸ナトリウムなどからなるそれぞれに適
合した触媒を最終用途から要求される消費者要求項目に
合致させるために適宜組み合わせ応用することは妨げな
い。
【0018】本発明は、ポリエチレングリコールをパッ
ド・ドライしたセルロース系繊維構造物に所定の多官能
性エポキシ系反応組成物を飽充せしめた後、該処理液含
有繊維構造物を密閉系処理装置内の反応室に懸垂し、少
なくとも80℃以上の熱風を送入して加熱し、該繊維構
造物内に含有された水分から発生する飽和蒸気によって
湿熱処理して架橋反応を促進させるものである。本発明
による架橋反応の促進はミクロ的には一定の水分を含有
した膨潤セルロース系繊維上で遂行することが必須条件
であり、マクロ的には改質すべき繊維構造体を十分歪み
を除去して緩和させることが所望される。したがって、
処理すべき繊維構造物と密閉系の反応室との容積比が処
理効果を支配する極めて重要な因子となる。
【0019】一般的に繊維構造物の見掛けの比重は繊維
集合体としての形態に依存して変化することは避けられ
ないが、本発明の加工方法を適用するセルロース系繊維
構造体と反応室との容積比は50倍を越えない範囲が有
効である。上記容積比が50倍を越すとエネルギーコス
トの上昇と併行して、湿熱処理中における繊維内含有水
分量の減少から架橋結合の分布が繊維間隙の表面部分に
集中する傾向が顕現され、風合の粗硬化と同時に物性の
低下する傾向が避けられない。一方、20倍以下になる
と処理中の繊維構造物に発生する歪みが固定され、繊維
構造物の見掛けの品位も低下する傾向にある。したがっ
て、繊維および糸条での処理は20倍から35倍、布帛
ないし二次製品などでは35倍から50倍の範囲が好適
である。この場合に、繊維構造物中の含水率を前述のよ
うにほぼ30から100重量%の範囲に調製することか
ら、反応室には5〜0.6繊維重量%の範囲の水分が存
在することになる。
【0020】本発明で使用する湿熱条件としては80℃
以上で1ないし3時間の処理が採用されるが、100℃
から120℃で2時間の加熱が効果的な架橋結合の構成
をもたらす。なお、繊維ないし繊維構造物上におけるポ
リエチレングリコールとエポキシ化合物との反応を無視
することはできないが、該反応生成物は極めて易溶性で
あり、後処理で容易に繊維系外に除去することかでき
る。また、繊維上で生成が予測されるエポキシ化合物の
不溶性低分子量ホモポリマーも共存するポリエチレング
リコール分子に内包され容易に洗浄除去できるので、処
理後の風合は極めて柔軟に仕上がる特性が確認できる。
【0021】また、湿熱処理方法として常圧蒸熱、高圧
蒸熱ないし過熱蒸気を応用した高温蒸熱法などを比較す
ると、積極的な外部からの蒸気の導入では本発明の方法
による架橋反応の構成は確認できず、規制された蒸気量
の存在下での架橋反応の促進が極めて重要であることが
わかる。
【0022】本発明の加工方法によれば、多官能性エポ
キシ化合物による通常の繊維加工の条件と対比して極め
てマイルドな環境下で遂行できるため、介在する他繊維
との同時処理が避けられない混紡、交撚、交繊などの繊
維構造物の処理にも好適である。特に、セルロース系繊
維と共存する他繊維がシルクないしウールなどの動物性
蛋白繊維の場合には、両繊維に対する処理効果が加成さ
れ、差別化を強調する高次加工として平易に適用できる
特徴を有している。さらに、本発明の加工方法では、亜
麻、苧麻などの靭皮繊維および高湿潤ヤング率糸条ない
しはゲル紡糸で産出される高結晶化再生繊維素繊維など
の問題点として指摘される、フィブリル化による毛羽立
ち現象の抑制効果が顕著であることが特筆される。
【0023】
【実施例】次に、本発明の加工方法の実施例について説
明する。 実施例1 経糸にアセテート100d(40fil)平糸1本、緯
糸にビスコースレーヨン250d(50fil)1本
を、それぞれSおよびZ方向に1,500t/mに撚糸
したものを2本毎に交互に織り込んだ92cm幅の婦人
服地用二越縮緬を常法で糊抜き、精練、漂白して乾燥仕
上げし、該生地にポリエチレングリコール(分子量40
0:以下、PEG−400のように略記する。)の40
℃に調製した0.5規定水溶液を絞ぼり率40%に飽充
して、120℃のショートループドライヤーで乾燥し
た。次いで、PEGをパッド・ドライした生地をエチレ
ングリコールジグリシジールエーテルの15重量%水溶
液に浸漬した後、減圧脱水装置に通して絞ぼり率85%
に搾液しながら無張力下で巻き取り枠に巻き上げた。
【0024】さらに、該反応組成物を含有した生地を枠
から外して湿潤状態のまま密閉反応室内に配備された回
転ロールに担持させ、10cm/5分の速度で回転させ
ながら95℃の熱風を送入循環させた。処理繊維重量と
反応室の倍率はほぼ1:40になるようにセットした。
生地は1.5時間後に95℃に昇温し、そのまま2時間
架橋反応の促進を継続した。常法に準じて後処理、仕上
げして得られた生地は、処理前後の重量差から6.2重
量%の反応生成物が導入されたものと推測された。この
方法による仕上生地は、常法で仕上げした二越縮緬より
も膨らみのある柔軟な風合を持ち、WW性、耐摩耗性、
引き裂き強度などの優れた物性を所有すると同時に、後
染めないし捺染工程における斑ないし変色などの支障が
発生しないことも確認された。
【0025】実施例2 常法に準じて毛焼、糊抜き、精練、漂白、マーセライズ
加工した80番綿ローンを、実施例1に準じたPEG−
600のパッド・ドライ後、エポキシド処理、仕上げし
た結果、極めて柔軟な膨らみのあるドレーブ性の高い風
合の優れた機能性を有するローンが調製された。同様に
エチレングリコールジグリシジールエーテル水溶液にD
MeDMEUの2重量%、水溶性ウレタンオリゴマーの
0.5重量%およびホウフッ化亜鉛0.2重量%を共存
させた系から架橋結合を導入した生地は、前者より張り
のある風合と優れたWW性を付与できた。さらに、マー
セライズ加工後、標準処方で液安処理した生地に対する
本発明処方によるWW効果の保持性は、より一段と向上
することが確認された。
【0026】実施例3 常法に準じてプレセット、毛焼、糊抜き、精練、漂白し
た45番ポリエステル/ラミー混(50:50)ブロー
ドをトリコデルマ・ビリデから抽出したセルラーゼ(4
00unit/mg)のpH6に調製した0.5重量%
水溶液中で60℃1時間処理して8重量%の減量加工を
行なった後、PEG−1,000の5重量%水溶液を絞
ぼり率30重量%で付与して、100℃で乾燥した。次
いで、グリセリンジグリシジールエーテルの20重量%
水溶液を搾液率40%で付与し、実施例1に準じて12
0℃で3時間湿熱処理した。処理ブロードは極めてドレ
ーブ性の高い、優れた乾湿防皺性を示し、常法の樹脂加
工布に対比して平面および屈曲摩耗強度の顕著な改善が
確認された。また、前処理にポリエステル側のアルカリ
減量加工を組み合わせたものは、さらに高い柔軟性を示
した。
【0027】実施例4 乾湿式紡糸法によりゲル延伸して産出された湿潤強度特
性の改善された再生セルロース長繊維糸条(40d/2
0fil×3本,550t/m,s撚を2本をz方向に
450t/mで諸撚した綛糸)を、常法に準じて精練、
漂白、乾燥した後、PEG−300の0.2モル%水溶
液を搾液率60%で付与し、100℃で乾燥した。該P
EG含有レーヨンにネオペンチルグリコールジグリシジ
ールエーテル15重量%水溶液を搾液率80%に飽充
し、実施例1に準じて反応室の倍率がほぼ20倍になる
ように密閉反応室の回転ロールに担持させ、ゆっくりと
綛を移動(6cm/5分)させながら90℃で2時間湿
熱処理し、処理前後の重量変化から約5.8重量%のア
ドオンを確信した。本処理糸条を反応染料で染色し、3
本合糸(40d×18本)して仮撚機で撚糸(s撚21
0t/m)し、ハイゲージ横編機でゲージ数14で婦人
用カーディガンならびにベストに編立仕上げした。本品
は従来品と比較して発色に深みのある、ドレーブ性の高
い、ソフトな風合をもち、耐洗濯性および耐ビリング性
の優れた物性を示した。また、前記エポキシド水溶液に
DMDHEUを5重量%、塩化マグネシウムを0.5重
量%併用したものでは、やや張りのある優れた消費性能
を有する婦人用アパレルとして高く評価されるものを得
た。
【0028】実施例5 実施例4に使用した原糸を仮撚機で撚糸(40d×2
本、s撚250t/m)してコーン揚げし、72本立て
丸編機40ゲージで製編した。該丸編生地を常法に準じ
て精練、漂白、乾燥し、開反した後、PEG−400の
5重量%水溶液を80%の搾液率で飽充して、120℃
で乾燥した。該PEG含有開反ニットにレゾルシンジグ
リシジールエーテルの30重量%水溶液を搾液率110
%で付与し、テンションレスで巻き取り枠に装着し、反
応室の倍率が50倍になるよう被処理物を密閉型反応室
にセットし、80℃の熱風を送入して、同温度で3時
間、該ニットにエポキシドと同時に含有された水分から
の飽和蒸気の下で湿熱処理して架橋反応を促進させた。
処理されたニットは後染めにおける染色性が改善され、
シルキータッチのドレーブ性の良好な独特のスムース地
として賞用されることが確認できた。また、これらの加
工生地は耐擦れ性を大幅に向上し、形態安定性の良好な
機能を示すことが確認できた。
【0029】
【発明の効果】以上に詳述した本発明の方法によれば、
セルロース系繊維を主要成分とした繊維構造物に極めて
マイルドな条件下で多官能性エポキシ化合物による架橋
結合の導入が可能になり、繊維ないし繊維構造物上に析
出される架橋以外の反応生成物は容易に除去できるの
で、従来の加工方法では達成し得なかった風合変化およ
び強度劣化などの問題点を抑制しながら、優れた形態安
定性、防皺性および耐摩耗特性などの機能性を大幅にア
ップすることができる。また、反応条件が緩慢であり、
共存する他繊維への影響はほぼ無視できる上、動物性蛋
白繊維に対する加工効果も先願で確認されており、天然
繊維を活用した複合化商品の差別化加工には極めて合理
的に利用することができる。なお、上記本発明の加工方
法は、安全性の高い薬剤の応用によって遂行されるの
で、労働安全衛生的見地からも環境保全的見地からも高
く評価され得る技術である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤 村 丞 京都府中郡大宮町字口大野187番地の3 (72)発明者 増 田 正 治 京都府中郡大宮町字周枳小字沖1545の1 (72)発明者 増 田 俊 彦 京都府中郡峰山町字杉谷40番地 増実株式 会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレングリコールをパッド・ドライ
    したセルロース系繊維構造物に、多官能性エポキシ化合
    物含有水溶液を、該水溶液中の水分量が前記セルロース
    系繊維構造物の重量に対して30ないし100重量%の
    範囲で含有されるように飽充した後、該反応組成物含有
    セルロース系繊維構造物の容量に対して50倍を越えな
    い容量を有する密閉反応室内に担持しながら、少なくと
    も80℃以上の熱風を送入循環して加熱することによ
    り、該セルロース系繊維構造物をそれに含有された水分
    により発生する飽和蒸気で湿熱処理することを特徴とす
    るセルロース系繊維構造物の高次加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014061585A1 (ja) * 2012-10-16 2014-04-24 日本蚕毛染色株式会社 改質繊維およびその製造方法
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CN104718323A (zh) * 2012-10-16 2015-06-17 日本蚕毛染色株式会社 改性纤维及其制造方法

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