JPH09256271A - 木綿繊維含有繊維製品およびその製造方法 - Google Patents

木綿繊維含有繊維製品およびその製造方法

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JPH09256271A
JPH09256271A JP6605996A JP6605996A JPH09256271A JP H09256271 A JPH09256271 A JP H09256271A JP 6605996 A JP6605996 A JP 6605996A JP 6605996 A JP6605996 A JP 6605996A JP H09256271 A JPH09256271 A JP H09256271A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強力低下が小さく、防しわ性に優れ、かつ繰
り返し洗濯後も高いW&W性、パッカリング性、保型性
を保持する木綿繊維含有繊維製品を提供する。 【解決手段】 木綿含有繊維構造物を架橋改質した繊維
製品であり、前記繊維構造物中の木綿単繊維結晶のX線
配向角が45゜以下であり、かつ、メチロール化可能な
活性水素を有する化合物とホルムアルデヒドとを介して
架橋改質された木綿繊維含有繊維製品及びその製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】シャツ、スラックス、ブラウ
ス等の衣料用及び帽子、ハンカチ等繊維雑貨品として、
好適なセルロース系繊維含有繊維製品に関するものであ
り、さらに詳しくは、製品の強力低下をおさえ、しかも
防縮性、W&W(ウォッシュアンドウェア)性、プリー
ツ性及びパッカリング性、保型性を向上させた木綿繊維
含有繊維製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セルロース系繊維のしわになり易い、収
縮し易い等の欠点の改善は、永久的課題であり、縫製品
においては、特に従来よりセルロース系繊維含有繊維製
品のくり返し洗濯による生地と縫い糸又は生地部位間の
伸縮性の差により生ずるパッカリング現象(ひきつれ現
象)や製品形状での保型性の改善が強く望まれている。
この問題点を改善しようとして、製品状態でのホルマリ
ンによる気相反応を利用する試みがあるが、セルロース
繊維が著しい強力低下をきたすという、新たな問題がク
ローズアップされ、解決が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は良好な風合い
を有し、防しわ性に優れ、かつ繰り返し洗濯後のパッカ
リング性、W&W性、防縮性、保型性に優れ、同時に気
相ホルマリン処理による強力低下を極力おさえた木綿繊
維含有繊維製品及び工業生産性に優れた製造方法を提供
しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水中解撚
処理等でコンボリューションを除いた木綿繊維の強力が
コンボリューションを除く前よりも高くなることに着目
し、集合体としての木綿織物中の単繊維のコンボリュー
ションをいかにして除くかについて検討を重ねてきた。
その結果、木綿繊維を膨潤剤で膨潤させ、同時に繊維軸
方向へ張力をかけ出来る限り繊維軸方向へ結晶を配向さ
せることによって、木綿繊維の歪みを緩和しておくこと
が、架橋改質後の木綿繊維製品の強力低下を抑えること
に有効であることを見い出した。また、ここでの歪み緩
和の度合いを示す指標としてX線配向角が使用できるこ
とも合わせて見い出した。
【0005】即ち、本発明は木綿繊維含有繊維構造物を
メチロール化可能な活性水素を有する化合物とホルムア
ルデヒドとで架橋改質した繊維製品であり、該繊維製品
の構成繊維である木綿単繊維を平行配置した繊維束から
求められるX線配向角が45゜以下である木綿繊維含有
繊維製品であり、さらにメチロール化可能な活性水素を
有する化合物と潜在性酸性触媒とが付与された木綿繊維
含有織編物、または不織布を用いて縫製し、次いでセル
ロース分子間架橋可能な化合物を該縫製品に付与せしめ
た後、木綿繊維内部で架橋させることを特徴とする、請
求項1記載の木綿繊維含有繊維製品の製造方法である。
【0006】一方、ホルムアルデヒド単独によるセルロ
ースの架橋の場合、架橋長が短かく、架橋歪が残留し、
結果として改質に伴なう強力低下が著しい欠点があった
が、メチロール化可能な活性水素を有する化合物は、織
編物等の布帛の架橋歪を低減させるためのものであり、
この効果はホルムアルデヒドによるセルロース間の架橋
に加え、該化合物がメチロール化された後セルロースと
架橋する、いわゆる架橋長制御により発揮されるもので
ある。このことにより、製品の洗濯後のパッカリング
性、保型性等、製品の形態安定性が向上すると同時に引
裂強力、抗張力が著しく改善される。さらに、前処理織
編物の貯蔵安定性に加え、繊維時のホルマリン臭の低減
にも有効である。
【0007】上述の如く、予め膨潤前処理による木綿繊
維の歪み緩和を計った上での架橋長制御剤に付与による
ホルマリン架橋時の架橋歪みの軽減はW&W性と同時に
木綿繊維の力学的特性改善に有効であり本発明に至っ
た。
【0008】好適な実施態様としては、架橋改質する改
質法が気相ホルマリン加工法であり、また、架橋改質し
た繊維製品においてその構成する木綿繊維の結合ホルマ
リン量が0.6重量%以上である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における木綿繊維含有繊維
構造物とは木綿100%はもちろんのこと、他の繊維、
例えば苧麻、亜麻、パルプ、バクテリアセルロース繊維
等の天然セルロース繊維、絹、羊毛等の天然タンパク繊
維、ビスコース法レーヨン(ポリノジックを含む)、銅
アンモニア法レーヨン、溶剤紡糸法レーヨン等の再生セ
ルロース繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合
成繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等の合成繊維との混繊、混紡、
交織、交撚等で混用して得られる紡績糸、織物、編物、
不織布等のことである。これら上述の構造物が晒し、反
応性染料、バット染料等による先染め、反染、プリント
品であってもさしつかえない。他の繊維と混用する場
合、本発明の効果をよく発揮させるためには、木綿繊維
の含有率は20重量%以上が好ましく、30重量%以上
がより好ましく、さらに好ましくは50重量%以上であ
る。
【0010】また、本発明で言う繊維製品とは、前記の
木綿繊維や混用繊維を用いた織物、編物、不織布等の布
帛及びそれを用いて得られたシャツ、スラックス、ブラ
ウス、帽子、ハンカチ等の製品を意味する。
【0011】本発明は段落番号0034に記載した方法
による木綿単繊維平行配置繊維束から求められるX線配
向角は木綿単繊維のX線配向角の平均値的な値を示すも
のであり、本発明では、この値が45゜以下であり、好
ましくは40゜以下であり、更に好ましくは35゜以下
である木綿単繊維を含む繊維製品である。
【0012】木綿繊維のホルムアルデヒドおよび架橋長
制御剤による架橋は、予め架橋長制御剤を木綿繊維に付
与しておきホルムアルデヒド蒸気(ガス)と二酸化硫黄
ガスとを使用するいわゆる気相ホルマリン加工法による
方法と予め架橋長制御剤と触媒を木綿繊維に付与してお
き、気相ホルマリン加工する方法とが使用できる。
【0013】本発明で木綿繊維の歪み緩和に使用できる
膨潤剤としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水
酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物の濃水溶
液あるいは液体アンモニア、エチルアミン、ヒドラジン
などがある。これらは木綿繊維を膨潤させると同時に繊
維軸方向に張力を支えることが木綿繊維の歪み緩和に有
効で結果としてX線配向角が小さい値を示す。特に、均
一膨潤が計られる液体アンモニア処理や上述のアルカリ
土類金属の水酸化物の濃水溶液処理に加え液体アンモニ
ア処理することも有効である。
【0014】液体アンモニア処理はドライプロセス
(P.H.Greenwood;J.S.D.C.,1
03 342(1987)やウエットプロセス(K.B
redereck,A.Bluher; Mell.
Textilber.,72,446(1991)いず
れの方法でも利用できる。また、上述の液体アンモニア
処理した後、熱水によるリラックス処理を施してもかま
わない。液体アンモニアにより処理する場合、木綿繊維
含有織物などの繊維構造物は液体アンモニアに2〜20
秒間浸漬後、5〜90秒、望ましくは5〜20秒のタイ
ミングを置いて乾熱、蒸気および水洗によって脱アンモ
ニア処理される。
【0015】本発明において水酸化ナトリウムによるア
ルカリ処理および/または液体アンモニア処理は木綿の
原綿、スライバー、紡績糸、生機および布帛のいずれの
形態で施してもかまわない。
【0016】本発明で使用できる架橋長制御剤は、メチ
ロール化可能な活性水素を有する化合物であり、これら
の化合物には、次のようなものが挙げられる。ホルムア
ミド、アセトアミド、マロンアミド、リンゴ酸アミド、
アクリルアミドなど有機カルボン酸アミド及び有機オキ
シカルボン酸アミド類、尿素、アリール尿素、チオ尿
素、ジシアンジアミド、グアニジン、シアノ尿素、グア
ニルチオ尿素、ビグアニド、グアニル尿素、カルボジヒ
ドラジドなどの尿素及びその誘導体エチルカーバメー
ト、ヒドロキシエチルカーバメートなどの炭素数1〜4
の低級アルキル又はヒドロキシアルキルカーバメート
類、ベンゼンスルホアミド、p−ベンゼン・ジスルホン
アミドなどのアリルスルホンアミド類、メタンスルホン
アミド、エタンスルホンアミド、n−ブタンスルホンア
ミド、i−ブタンスルホンアミドなどの炭素数1〜4の
低級アルキルスルホンアミド類、メチレン−ビス−メタ
ンスルホンアミド、エチレン−ビス−メタンスルホンア
ミド、1,3−ビス−メタンスルホンアミド、1,3−
プロパン−ビス−メタンスルホンアミド等のビスースル
ホンアミド類などが挙げられる。
【0017】更に、以下の化1や化2で示される環状尿
素化合物類などが挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】R0 はH、炭素数1〜4のアルキル基又は
置換したアルキル基、−CH2 OH、−CH2 OCH3
のいずれかであり、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 およ
びR 6 は同種または異なる基であり、それぞれH、O
H、COOR、R、ORまたはCOORのいずれかの基
であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基または置換アル
キル基のいずれかを表し、XはC、OまたはNで、Xが
Oの場合、R3 とR4 は各々存在せず、XがNの場合、
3 あるいはR4 が存在しない。又前記の化1および/
又は化2の各々2分子以上をホルムアルデヒド、グリオ
キザール、エチレングリコール、ジエチレングリコール
などのアルキレングリコールなどで架橋させた初期縮合
物であってもよい。
【0021】前記の化1および化2の化合物の内、好ま
しいメチロール化可能な活性水素を有する化合物として
は、エチレン尿素、モノメチロールエチレン尿素、メチ
ル化モノメチロールエチレン尿素、エチレン尿素/ホル
マリン縮合物で片末端および両末端がNH基を有するエ
チレン尿素類、ジヒドロキシエチレン尿素、モノメチロ
ールジヒドロキシエチレン尿素、メチル化モノメチロー
ルジヒドロキシエチレン尿素などのジヒドロキシエチレ
ン尿素類が挙げられる。より好ましくは、染色物の耐光
性などからジヒドロキシエチレン尿素類が好ましい。こ
れら架橋長制御剤の使用量はセルロースおよび木綿含有
繊維構造物に対して、0.5〜20重量%である。風合
いなどを考慮すると更に好ましくは、1〜5重量%であ
る。
【0022】本発明で使用できる柔軟剤類としては次の
ようなものが挙げられる。即ち、ジメチルポリシロキサ
ン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、
水溶性シリコーンなどのシリコーン類、ポリエチレンエ
マルジョン類、脂肪族酸アミド類、ポリウレタン樹脂
類、ポリエステル樹脂類、アクリル酸エステル類、ワッ
クス類、ノニオン、アニオン、カチオン、両性の界面活
性剤類などが挙げられる。特に、ポリエチレンエマルジ
ョン類、シリコーン類などが風合い向上、引裂強力向上
に有効である。
【0023】本発明で使用できる潜在性酸性触媒として
は、AlCl3 、Al2 (SO4 3 、MgCl2 、M
g(H2 PO42 、Zn(BF42 、Zn(NO
32、ZnCl2 、Mg(BF42 、Mg(ClO4
2 、Al2 (OH)4 Cl 2 などの各種金属塩(結
晶水含有も含む)類、2−アミノ−2−メチル−1−プ
ロパノールの塩酸塩などの各種アルカノールアミンの酸
性塩、硝酸、塩酸、硫酸、りん酸など強酸のアンモニウ
ム塩、蓚酸、クエン酸などの有機カルボン酸などがあ
る。これら潜在性酸性触媒の使用量は0.1〜5重量%
である。ホルムアルデヒド蒸気の処理後のキュア条件
は、触媒の共存下、通常、20〜160℃で1〜60分
間である。
【0024】本発明において架橋反応の程度は、結合ホ
ルマリン量で示されるが、必要であれば結合窒素含有量
も合せて示すことができる。本発明の目的を達成するた
めの木綿中の結合ホルマリン量は0.6重量%以上必要
である。好ましくは0.8重量%以上である。結合ホル
マリン量が0.6重量%未満の場合、十分な改質効果が
得られない。即ちパッカリング性、W&W性、保型性、
プリーツ性が不十分である。
【0025】上記ホルマリン加工により、防しわ性に優
れ、かつ繰り返し洗濯後のパッカリング性、W&W性、
防縮性、保型性に優れ、同時に加工による強力低下、特
に引裂強力低下を極力抑えた木綿繊維含有繊維製品が製
造可能となる。
【0026】本発明の木綿繊維含有繊維製品は、織物の
場合、JIS L−1059B法(モンサント法)にお
ける乾防しわ度が270度以上であり、湿防しわ度との
合計値は550度以上が好ましく、570度以上がより
好ましい。特に乾防しわ度と湿防しわ度との合計値が高
い程、W&W性が高くなり、パッカリング性及び保型性
にも優れる。これらの防しわ性を達成できるように改質
された木綿繊維が含まれる縫製品は、AATCC124
−1984法におけるW&W性が3級以上かJIS L
−0217の103法による洗濯5回後のAATCC法
におけるパッカリング性が4級以上の保型性を示す。
【0027】本発明におけるセルロースを架橋させるこ
とができる薬剤とは、気体、液体、固体、水溶液のいず
れでもよいが、加熱等で容易に蒸気となって、木綿繊維
内部へ浸透できるものであり、ホルムアルデヒドが好ま
しい。
【0028】セルロースとホルマリンの架橋反応を円滑
に進めるためには、木綿繊維中へいかにホルマリンを吸
着させるかにつきる。これにはホルマリン気相加工前の
縫製品を予め調湿処理することが望ましい。この際の生
地水分率は5〜15重量%が好ましく、より好ましくは
6〜10重量%である。ホルムアルデヒド蒸気の処理条
件は、触媒の共存下、通常、80〜160℃で1〜60
分間である。
【0029】気相ホルムアルデヒド処理は、布帛の状態
及び縫製品の状態のいずれでも処理できるが、縫製品に
した後に処理する方が、縫製上の問題発生がなく、縫製
品の形状をも効果的に固定するので、パッカリング法、
保型性が著しく高くなり、好ましい実施態様である。
【0030】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではな
い。実施例で用いた評価法を以下に示す。 引裂強力;JIS L−1096 ペンジュラム法(ヨ
コ方向) W&W性;AATCC 124−1984 5段階レプ
リカ法にもとづいて判定を行った。5級(良好)〜1級
(不良)
【0031】パッカリング性;JIS L−0217
103法による洗濯を5回くり返した後、AATCC
88−B−1984法の縫い目5段階レプリカにより評
価した。 5級(良好)〜1級(不良)
【0032】保型性;JIS L−1042 FII法に
よる洗濯、タンブル乾燥(I−2条件)を5回くり返し
た後、視覚で5段階に判定した。 5(級):非常に良好 4 〃 :良好 3 〃 :普通 2 〃 :やや不良 1 〃 :非常に不良
【0033】セルロースI型結晶の含有率(%):木綿
単繊維を織編物などの繊維構造物から取り出し、X線回
析法により測定した。測定は、P.H.Hermans
&A.Weidinger:J.Appl.phy
s.,19,491〜506(1948)およびB.
G.Ranby:Acta Chem.Scacd.,
6,116〜127(1952)の方法によった。
【0034】X線配向角:製品のよこ糸を分離し、更に
木綿単繊維をサンプリングした。次いで、単繊維の多数
本の繊維束を治具の凹部(たて×よこ×奥行=5mm×
5mm×10mm)に並べセルロイドの希薄溶液を少量
加え単繊維同士を平行に並べた後、風乾して測定試料と
した。測定は広角X線回折法により、方位角方向(0〜
360゜)の走査を行った。J.J.Greelyら:
Text.Res.J.,26,789(1956)で
は(002)面を使っているが本発明では、混晶を取り
扱うため、ピーク分離しやすい(101)面を取り扱う
こととし、具体的にはセルロースI型結晶の含有率が5
0%以上ではセルロースI型結晶の(101)面に起因
する回折ピークの半価幅を、セルロースI型結晶の含有
率が50%未満ではセルロース III型結晶の(101)
面に起因する回折ピークの半価幅をX線配向角とした。
【0035】結合ホルマリン量:加工布約2gを沸水中
で15分間処理し、水洗、絶乾精秤後、水蒸気蒸留法に
より20%硫酸中で分解し、亜硫酸水素ナトリウム水溶
液中に生成ホルマリンを回収し、よう素滴定法で過剰亜
硫酸水素ナトリウムを酸化した後、アルカリで付加物を
分解し、ホルマリンと付加した亜硫酸水素ナトリウムの
量を求め、加工布の木綿繊維重量あたりのホルマリンを
重量%で示した。
【0036】実施例1 木綿の紡績糸(40番手)を綛取りし、この綛を上段・
下段のロールにたるまないようにセットし、回転させな
がら予め、皿に用意した液体アンモニア(−33.4
℃)に各部位が10秒間浸漬されるよう処理した後、熱
風でアンモニアを除去した。こうしてできた紡績糸を緯
糸として打ち込んだ木綿織物(40/1×40/1/1
35×75,目付114g/m2 )を常法により糊抜・
精練・漂白し、次いで液体アンモニアに5秒間浸漬後、
70%の絞り率で搾液し、10秒間のタイミングをおい
た後、140℃で15秒間乾燥した。この加工布(A)
を下記組成の加工液(イ)に浸漬し、絞り率70%にな
るように絞り、110℃で3分間乾燥し、次いでサンフ
ォライズ加工した後、常法によりシャツを縫製した。こ
のシャツの生地水分率を7重量%になるよう調湿し、次
いで通常のホルマリン気相加工を施し、本発明のシャツ
を得た。得られた評価結果を表1に示した。 加工液(イ) ジヒドロキシエチレン尿素(住友化学工業(株)製) 3重量部 MgCl2 ・6H2 O(ナカライテクス(株)製試薬) 2重量部 ポリエチレングリコール#200(ナカライテスク(株)製ポリエチレング リコール平均分子量200) 6重量部 パラシリコンAYR20(大原パラジウム(株)製シリコ−ン系ソフナ−) 4重量部 PEN(大日本インキ化学工業(株)製ポリエチレン系ソフナ−) 3重量部 水 83重量部
【0037】実施例2 木綿織物(40/1×40/1/135×75,目付1
14g/m2 )の精練・漂白上りを常法により28°B
e’のNaOHで水溶液でシルケット加工したのち、液
体アンモニア中に5秒間浸漬したのち、70%の絞り率
で搾液し、15秒のタイミングをおいた後、140℃で
15秒間乾燥した。この加工布(B)を使い、実施例1
と同様に加工液(イ)を前処理・サンフォライズ・縫製
・ホルマリンによる気相加工を実施した。得られたシャ
ツの評価結果を表1に示した。
【0038】実施例3 木綿織物(40/1×40/1/135×75,目付1
14g/m2 )の精練・漂白上りを液体アンモニア中に
5秒間浸漬したのち、70%の絞り率で搾液し、15秒
のタイミングをおいた後、140℃で15秒間乾燥し
た。更に上述の液体アンモニア処理を繰り返し加工布
(C)を得た。この加工布(C)を使い、実施例1と同
様に加工液(イ)を前処理・サンフォライズ加工・縫製
・ホルマリンによる気相加工を実施した。得られたシャ
ツの評価結果を表1に示した。
【0039】実施例4 木綿織物(80/2×80/2/134×76,目付1
13g/m2 )の精練・漂白布を液体アンモニアに5秒
間浸漬したのちピンテンターで幅出しをしながらシャワ
ー水洗を繰り返し、次いでテンターで幅出し乾燥した。
この液体アンモニア処理工程を2度実施し加工布(D)
を得た。この加工布(D)を使って実施例1同様に加工
液(イ)を前処理・サンフォライズ加工・縫製・ホルマ
リンによる気相加工を実施した。得られたシャツの評価
結果を表1に示した。
【0040】比較例1 木綿織物(40/1×40/1/135/75、目付1
14g/m2 )の精錬・漂白布(E)を用いる以外は実
施例1と同様に実施した。得られたシャツの評価結果を
表1に示した。
【0041】比較例2 木綿織物(40/1×40/1/135×75,目付1
14g/m2 )の精練・漂白上りを28°Be′のNa
OH水溶液でシルケット加工を施した。この加工布
(F)を用いる以外は実施例1と同様に実施した。得ら
れたシャツの評価結果を表1に示した。
【0042】比較例3 実施例1の加工布(A)および加工液(イ)をそれぞれ
比較例1の加工布(E)および下記の加工液(D)に変
更する以外は実施例1と同様に実施した。得られたシャ
ツの評価結果を表1に示した。 加工液(ロ)組成 A−3(高松油脂(株)製MgCl2 ・6H2 O系架橋触媒) 5重量部 ポリエチレングリコール#200(ナカライテクス(株)製ポリエチレン グリコール平均分子量200) 6重量部 パラシリコンARY20(大原パラジウム(株)製シリコーンソフナー) 4重量部 PEN(大日本インキ化学工業(株)製ポリエチレン系ソフナー) 3重量部 水 82重量部
【0043】比較例4 実施例3の加工布(C)を用い、ホルマリンによる気相
加工時のホルマリン供給量を半分にする以外は実施例1
と同様に実施した。得られたシャツの評価結果を表1に
示した。
【0044】
【表1】
【0045】本発明のシャツは、風合いが粗硬化せず防
しわ性が高く、抗張力の低下が小さく、W&W性に優
れ、著しくパッカリング性、保型性に優れる。比較例に
示した従来法によるシャツでは、本発明のシャツのよう
に、上記の全ての特性を満足させることは困難である。
【0046】
【発明の効果】木綿繊維を膨潤させる薬剤で膨潤させ、
同時に木綿繊維の繊維軸方向へ張力をかけ、出来る限り
繊維軸方向へ結晶を配向させることによって、木綿繊維
の歪みを緩和しておくこと、更には細孔構造(エレメン
タリーフィブリル間、ミクロフィブリル間およびラメラ
間の間隔)に応じた架橋鎖長を制御するため架橋長制御
を予め付与した上でホルマリンによる気相加工すること
等により、歪みの発生を極力抑えることが可能となる。
こうした木綿繊維を含有する繊維製品は、風合いが良好
で、強力低下が少なく、防しわ性が高く、繰り返し洗濯
後の優れたW&W性、防縮性、保型性を示す。
フロントページの続き (72)発明者 土井田 武 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 新庄 昌也 富山県射水郡大門町犬内50番地 東洋紡績 株式会社庄川染色工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木綿繊維含有繊維構造物をメチロール化
    可能な活性水素を有する化合物とホルムアルデヒドとで
    架橋改質した繊維製品であり、該繊維製品の構成繊維で
    ある木綿単繊維を平行配置した繊維束から求められるX
    線配向角が45゜以下である木綿繊維含有繊維製品。
  2. 【請求項2】 架橋改質による木綿繊維の結合ホルマリ
    ン量が0.6重量%以上であり、JIS L−0217
    103法による繰り返し洗濯5回後のパッカリング性
    が4級以上である請求項1記載の木綿繊維含有繊維製
    品。
  3. 【請求項3】 メチロール化可能な活性水素を有する化
    合物と潜在性酸性触媒とが付与された木綿繊維含有織編
    物、または不織布を用いて縫製し、次いでセルロース分
    子間架橋可能な化合物を該縫製品に付与せしめた後、木
    綿繊維内部で架橋させることを特徴とする、請求項1記
    載の木綿繊維含有繊維製品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000027073A (ja) * 1998-07-03 2000-01-25 Toyobo Co Ltd ホルムアルデヒド気相加工用セルロース系繊維含有繊維構造物及びそれを用いた形態安定性セルロース系繊維含有繊維構造物の製造方法
KR100443462B1 (ko) * 2002-02-28 2004-08-09 성광물산(주) 티셔츠의 에리 형태안정화 가공방법
WO2013058244A1 (ja) * 2011-10-17 2013-04-25 三菱化学株式会社 化学修飾セルロース不織布の製造方法および化学修飾セルロース不織布、並びに、これを用いたセルロース繊維樹脂複合材料およびその製造方法

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