JP3765345B2 - 形態安定加工用セルロース系繊維含有繊維構造物及び形態安定性セルロース系繊維含有繊維構造物の製造方法 - Google Patents

形態安定加工用セルロース系繊維含有繊維構造物及び形態安定性セルロース系繊維含有繊維構造物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシャツ、スラックス、ブラウス等の衣料用品、毛布、シーツ、枕カバー等の寝装用品、帽子、ハンカチ、テーブルクロス等の繊維雑貨用品として、好適なセルロース系繊維含有繊維構造物に関するものであり、さらに詳しくは、製品の強力低下をおさえ、しかも防縮性、W&W(ウォッシュアンドウェア)性、プリーツ性及びパッカリング性、保型性を向上させたセルロース系繊維含有繊維構造物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロース系繊維構造物の洗濯するとしわになり易い、収縮し易い等の欠点の改善は永久的課題であり、また縫製品に於いては、従来より洗濯後に発生するしわや生地と縫い糸又は生地部位間の伸縮性の差により生ずるパッカリング現象(ひきつれ現象)や製品形状での保型性の改善が強く望まれている。この問題点を改善しようとして、製品状態でのホルムアルデヒドによる気相反応を利用する試みがあるが、セルロース繊維が著しい強度低下をきたす問題がクローズアップされ、解決が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は良好な風合いを有し、防しわ性に優れ、かつ繰り返し洗濯後のパッカリング性、W&W性、防縮性、保型性に優れ、同時に強力低下、特に摩耗強力低下を極力おさえたセルロース系繊維含有繊維構造物及びその為の工業的生産性に優れた製造方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決のために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。即ち、セルロース系繊維含有繊維構造物に少なくともメチロール化可能な活性水素を2個以上有する化合物が付与され、且つ水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウムから選ばれる無機系アルカリ性物質、及び/又は有機アミン系アルカリ物質により該繊維構造物の生地pHが7以上のアルカリ性に調整されていることを特徴とする形態安定加工用セルロース繊維含有繊維構造物及びセルロース系繊維を含む繊維構造物をホルムアルデヒド気相加工するに際し、該繊維構造物にメチロール化可能な活性水素を少なくとも2個以上有する化合物を付与し、且つ水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウムから選ばれる無機系アルカリ性物質、及び/又は有機アミン系アルカリ物質により該繊維構造物の生地pHを7以上のアルカリ性に調整した後、ホルムアルデヒドによる気相加工を行うことを特徴とする形態安定性セルロース繊維含有繊維構造物の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明でいうセルロース繊維含有繊維構造物とは、木綿、麻、亜麻、パルプ、バクテリアセルロース繊維等の天然セルロース繊維、ビスコース法レーヨン(ポリノジックを含む)、銅アンモニア法レーヨン、溶剤紡糸法レーヨン等の再生セルロース繊維、及びこれらセルロース系繊維とポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維との混繊、混紡、交織、交撚等で混用して得られるワタ、糸、織物、編物、不織布等及びそれらからなる繊維製品のことである。他の繊維と混用する場合、本発明の効果をよく発揮されるために、セルロース系繊維の含有率は20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、さらに好ましくは50重量%以上である。
【0006】
本発明で使用されるメチロール化可能な活性水素を2個以上有する化合物(以下、活性水素化合物と省略する)とは、繊維構造物中のセルロース繊維内部をホルムアルデヒドで架橋する際にセルロース微細構造中に発生する架橋歪を低減させるためのものであり、この効果は該化合物がメチロール化された後セルロースと架橋する、いわゆる架橋鎖長制御効果により発揮されるものである。このことにより、製品の洗濯後の防しわ性、パッカリング、保型性が向上すると同時に引裂強力、抗張力に加え、特に摩耗強力が著しく改善される。
【0007】
本発明で使用できる活性水素化合物としては、次のものが使用できる。マロンアミド、リンゴ酸アミド等の有機カルボン酸アミド及び有機オキシカルボン酸アミド系化合物、アクリルアミド、メタクリルアミドなどの重合物及びこれらと他のモノマーとの共重合物、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、ウロン、テトラヒドロ−5−(2−ヒドロキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2−オン、4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン等の尿素系及び環状尿素系化合物及びメラミン等のメラミン系化合物の単独及び混合物。さらには、これらの化合物の単独及び混合物をホルムアルデヒド、グリオキザールなどで架橋した化合物で末端に−NH基を残したものやこれらの架橋物と前記の尿素系化合物、メラミン系化合物との混合物も利用できる。
【0008】
本発明で使用される活性水素化合物としては、(イ)セルロース系繊維へ均一に浸入させやすいこと。(ロ)ホルムアルデヒドによるメチロール化反応が容易であること。(ハ)他の薬剤(帯電防止剤、蛍光増白剤、青味付剤、潜在性酸性触媒、ホルムアルデヒド捕捉剤、柔軟剤等)との相溶性が良いことも実際の製造工程に於いては重要なことであり、水溶性であるものが望ましい。
【0009】
活性水素化合物の繊維構造物に対する付与量は0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。0.1重量%以下では該化合物による効果は不十分であり、また10重量%以上の多量の付与は風合いを粗硬にするだけではなく形態保持性をも低下させる。
【0010】
次に、本発明で重要なことである生地pHについて述べる。本発明では活性水素化合物を繊維構造物に付与した後、ホルムアルデヒドによる気相加工を行うに際して、生地pHを7以上のアルカリ性にしておくことが重要である。
【0011】
本発明でいう生地pHとは、JIS L 1096 6.40(抽出液のpH)に記載されている、試験生地(繊維構造物)を10倍の重量の蒸留水で抽出した抽出液のpHを指す。
【0012】
本発明者らは、活性水素化合物を用いたホルムアルデヒドによるセルロース系繊維の気相加工の反応機構を詳しく検討した結果、まず該化合物の持つ−NH基等がまずホルムアルデヒドと反応しメチロール基となってから酸性触媒下でセルロースと架橋反応する反応機構となっていることが判明した。しかしこの−NH基等の活性水素基とホルムアルデヒドとのメチロール化反応は生地pHによる影響を受け易く、生地pHが7以下の酸性領域ではメチロール化があまり進まず、生地pHが7以上のアルカリ領域の方が進み易く、さらに加工後の生地強力低下も生地pHがアルカリ性の方が小さいことが判明し本発明に至った。
【0013】
生地pHを7以上のアルカリ性に調整する方法としては、活性水素化合物とアルカリ剤の水溶液を繊維構造物に同時に付与する方法、活性水素化合物を繊維構造物に付与する前又は後にアルカリ剤の水溶液を該繊維構造物に付与する方法、及び活性水素化合物を該繊維構造物に付与した後、アルカリ剤のガス又は蒸気雰囲気中で処理する方法などが利用できる。
【0014】
本発明で使用できるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウム等の無機系アルカリ性物質、及びモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の有機アミン系アルカリ物質が利用できる。
【0015】
本発明の効果を十分に得るためには、生地pHは7以上のアルカリ性が好ましいのであるが、あまりにも高すぎる生地pHは酸性又は潜在性酸性触媒を用いて行うセルロース繊維とホルムアルデヒド及びメチロール化された活性水素化合物との架橋反応を妨げるので好ましくない。好ましい生地pHの範囲としては、pH7〜10、より好ましくはpH7〜9である。
【0016】
また、本発明ではセルロース繊維とホルムアルデヒド及びメチロール化された活性水素化合物とを架橋反応させるために、酸性又は潜在性酸性触媒が使用できる。
【0017】
本発明で使用できる酸性触媒としては、塩化水素ガス、SO2 ガス等のガス及び塩酸、硝酸、硫酸、りん酸など無機酸、グリコール酸、マレイン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸及び蓚酸等の有機酸が利用できる。
【0018】
本発明で使用できる潜在性酸性触媒としてはAlCl3 、Al2 (SO43、MgCl2 、Mg(H2 PO42 、Zn(BF42 、Zn(NO32 、ZnCl2 、Mg(BF42 、Mg(ClO42 、Al2 (OH)4 Cl2などの各種金属塩(結晶水含有物も含む)類、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの塩酸塩など各種アルカノールアミンの酸性塩、硝酸、塩酸、硫酸、りん酸などの強酸のアンモニウム塩類及びこれらの混合物等が利用できる。
【0019】
これらの酸性又は潜在性酸性触媒を繊維構造物に付与させる方法としては、気体状のものは、気相で繊維構造物に直接接触させる方法、又は蒸気と共に繊維構造物に直接接触させる方法が利用できる。液体又は固体状のものは、水溶液などの溶液として繊維構造物に浸漬処理により付与する方法、該溶液をスプレー方式等で繊維構造物に吹き付ける方法等が利用できる。
【0020】
本発明で使用するホルムアルデヒドには、その発生薬剤としてパラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド水溶液、ジヒドロキシメチレンと蟻酸とのエステル化合物等が利用できる。
【0021】
本発明に於けるセルロース繊維含有繊維構造物の製造方法としては使用する触媒及びアルカリ剤により、例えば次の様な方法が利用できる。
【0022】
酸性ガス触媒とアンモニア等のガスアルカリ剤を使用する場合は、予め活性水素化合物、保湿剤、柔軟剤等を付与した繊維構造物を反応容器に投入した後、アンモニアと必要に応じ蒸気を注入し該繊維構造物の生地pHを7以上のアルカリ性にした調整した後、アンモニアを除去しホルムアルデヒド水溶液を蒸気と共に注入する。ホルムアルデヒド注入後しばらく放置し、活性水素化合物とホルムアルデヒドとのメチロール化反応が起こってから、酸性ガス触媒を注入した後昇温し架橋反応させる方法が利用できる。
【0023】
酸性ガス触媒と水溶液にしたアルカリ剤を使用する場合は、予めアルカリ剤、活性水素化合物、保湿剤、柔軟剤等からなる水溶液を付与乾燥し、生地pHを7以上に調整した繊維構造物を反応容器に投入した後、ホルムアルデヒド水溶液を蒸気と共に注入し、しばらく放置し活性水素化合物とホルムアルデヒドとのメチロール化反応が起こってから、酸性ガス触媒を注入した後昇温し架橋反応させる方法が利用できる。
【0024】
潜在性酸性触媒と水溶液にしたアルカリ剤を使用する場合は、予め潜在性酸性触媒、アルカリ剤、活性水素化合物、保湿剤、柔軟剤等からなる水溶液を付与乾燥し、生地pHを7以上に調整した繊維構造物を反応容器に投入した後、ホルムアルデヒド水溶液を蒸気と共に注入し、しばらく放置し活性水素化合物とホルムアルデヒドとのメチロール化反応が起こってから、昇温し架橋反応させる方法が利用できる。
【0025】
これら以外にも使用する触媒とアルカリ剤及びホルムアルデヒド発生薬剤に応じて適した製造方法を選択して利用することができる。
【0026】
本発明で利用できる保湿剤としては、水を吸収して保持できるものであれば特に限定されないが、ポリオール類、スクワラン等が利用できる。
【0027】
本発明で利用できるポリオール類としては、エチレングリコール系、プロピレングリコール系化合物や、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、グリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びこれらのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの付加物が利用できる。
【0028】
本発明で利用できる柔軟剤とは、繊維構造物の風合いを好ましいものにするためや、繊維構造物が織物の場合引裂き強力を向上させる目的で使用するものであり、ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、水溶性シリコーン等のシリコーン系柔軟剤、ワックス系柔軟剤、ポリエチレン系柔軟剤、脂肪酸アミド系柔軟剤、ポリウレタン系柔軟剤、ポリエステル系柔軟剤、アクリルエステル系柔軟剤、ノニオン、アニオン、カチオン、両性の界面活性剤等が利用できる。
【0029】
さらに本発明では、撥水剤、抗菌剤、防臭剤、静電気防止剤等の機能性加工剤を同時に使用することも可能である。
【0030】
本発明において架橋反応の程度は、セルロース系繊維に直接架橋反応したホルムアルデヒドと活性水素化合物にメチロール化した後セルロース系繊維に架橋反応したホルムアルデヒドの合計の結合ホルムアルデヒド量で示すことができる。本発明の目的を達成するために必要なセルロース繊維中の結合ホルムアルデヒド量は0.2重量%以上であるが、好ましくは0.5重量%以上である。結合ホルムアルデヒド量が0.2重量%未満の場合、十分な改質効果が得られない。即ちパッカリング性、W&W性、保型性、プリーツ性が不十分である。
【0031】
本発明のセルロース系繊維含有繊維構造物は水酸化ナトリウムによる通常のシルケットや液体アンモニア処理、更にはシルケット後、液体アンモニア処理したもの及び先染め、浸染、捺染等の染色したものも使用できる。ポリエステルで代表される合成繊維との混用では必要があれば予めヒートセットしてもかまわない。
【0032】
ホルムアルデヒドによる気相加工は、ワタ、糸、布帛の状態及び縫製品の状態のいずれでも処理できるが、縫製品にした後に処理する方が経済的であり、縫製品の形状をも効果的に固定するので、パッカリング性、保型性が著しく高くなり、好ましい実施態様である。
【0033】
上記のホルムアルデヒドによる気相加工により、防しわ性に優れ、かつ繰り返し洗濯後のパッカリング性、W&W性、防縮性、保型性に優れ、同時に加工による抗張力、引裂強力に加え、摩耗強力低下を極力抑えた形態安定性セルロース系繊維含有繊維構造物が製造可能となる。
【0034】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例で用いた評価法を以下に示す。
生地pH;JIS L 1096 6.40
引裂強力;JIS L 1096 6.15.5 D法(ヨコ方向)
抗張力 ;JIS L 1096 6.12.1 A法(5cm幅ヨコ方向)
屈曲摩耗;JIS L 1096 6.17.1 A−2法(ヨコ方向)
W&W性;JIS L 0217 103法による洗濯を5回繰り返した後、JIS L 1042 6.9.2 I−2法によるタンブル乾燥を行い、サンプルを20℃、65%RHの室内に一晩放置した後、AATCC 124−1984 5段階レプリカ法にもとずいて判定を行った。
5級(良好)〜1級(不良)
【0035】
パッカリング性;JIS L 0217 103法による洗濯を5回繰り返した後、JIS L 1042 6.9.2 I−2法によるタンブル乾燥を行い、サンプルを20℃、65%RHの室内に一晩放置した後、AATCC 88−B−1984法の縫い目5段階レプリカにより評価した。
5級(良好)〜1級(不良)
【0036】
保型性;JIS L 0217 103法による洗濯を5回繰り返した後、JIS L 1042 6.9.2 I−2法によるタンブル乾燥を行い、サンプルを20℃、65%RHの室内に一晩放置した後、、視覚で5段階に判定した。
5(級):非常に良好
4 〃 :良好
3 〃 :普通
2 〃 :やや不良
1 〃 :非常に不良
【0037】
結合ホルムアルデヒド量:加工布約2gを沸水中で15分間処理し、水洗、絶乾精秤後、水蒸気蒸留法により20%硫酸中で分解し、亜硫酸水素ナトリウム水溶液中に生成ホルムアルデヒドを回収し、よう素滴定法で過剰亜硫酸水素ナトリウムを酸化した後、アルカリで付加物を分解し、ホルムアルデヒドと付加した亜硫酸水素ナトリウムの量を求め、加工布中のセルロース系繊維重量当りのホルムアルデヒドを重量%で示した。
【0038】
実施例1
常法によるシルケット加工後、さらに液安処理した木綿織物(50/1×50/1/144×81:生地pH6.5)を下記組成の加工液(A)に浸漬、乾燥した後、加工液(B)に浸漬し絞り率70%になるように絞り、120℃で1分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した。得られた木綿織物の生地pHは8.2であった。この木綿織物を使用して通常の方法によりシャツを縫製した。
このシャツを密閉容器内に設置し、37%ホルムアルデヒド水溶液を用いる常法のホルムアルデヒドによる気相加工を施し、本発明の実施例1のシャツを得た。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
Figure 0003765345
【0039】
実施例2
実施例1で使用した木綿織物を下記組成の加工液(C)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、120℃で1分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した。得られた木綿織物の生地pHは7.8であった。この木綿織物を使用して通常の方法によりシャツを縫製した。このシャツに実施例1と同様のホルムアルデヒドによる気相加工を施し、本発明の実施例2のシャツを得た。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
Figure 0003765345
【0040】
比較例1
実施例1で使用した木綿織物を実施例1で使用した加工液(B)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、120℃で1分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した。得られた木綿織物の生地pHは6.3であった。この木綿織物を使用して通常の方法によりシャツを縫製した。
このシャツに実施例1と同様のホルムアルデヒドによる気相加工を施し、比較例1のシャツを得た。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
【0041】
比較例2
実施例1で使用した木綿織物を下記組成の加工液(D)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、120℃で1分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した。得られた木綿織物の生地pHは6.5であった。この木綿織物を使用して通常の方法によりシャツを縫製した。
このシャツに実施例1と同様のホルムアルデヒドによる気相加工を施し、実施例2のシャツを得た。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
Figure 0003765345
【0042】
比較例3
実施例1で使用した木綿織物を実施例1の加工液(A)に浸漬、乾燥した後、比較例2の加工液(D)に浸漬し絞り率70%になるように絞り、120℃で1分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した。得られた木綿織物の生地pHは8.1であった。この木綿織物を使用して通常の方法によりシャツを縫製した。
このシャツに実施例1と同様のホルムアルデヒドによる気相加工を施し、比較例3のシャツを得た。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
【0043】
比較例4
実施例1で使用した木綿織物を下記組成の柔軟剤のみの加工液(E)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、120℃で1分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した。得られた木綿織物の生地pHは7.5であった。この木綿織物を使用して通常の方法によりシャツを縫製した。
このシャツはホルムアルデヒドによる気相加工を行わない比較のための未加工比較例4のシャツとして評価結果を表1に示した。
Figure 0003765345
【0044】
【表1】
Figure 0003765345
【0045】
表1の結果で明らかなように、実施例1及び2と比較例1は同じ活性水素化合物を生地に付与し、生地pHが違う以外はほぼ同じ加工を行ったシャツであるが、実施例1及び2の本発明のシャツは、W&W性、保型性、パッカリング性が比較例1より優れ、さらに結合ホルムアルデヒド量が多いにもかかわらず、抗張力、引き裂き強力、屈曲磨耗などの強力が高くなっている。この原因としては本発明の狙いである活性水素化合物のメチロール化率が向上し、活性水素化合物にメチロール化してから木綿と架橋反応したホルムアルデヒドが増加したためであると考えられる。しかし活性水素化合物を使用しない場合は、比較例2及び3の結果より、生地pHを上げ7以上のアルカリ性にすると、結合ホルムアルデヒド量が減少するのに伴ってW&W性が低下し強力が高くなるという、改質の低下が見られるだけである。ホルムアルデヒドの気相加工に於ける活性水素化合物の改質バランス向上効果は比較例1及び2の結果でも明らかであるが、本発明の実施例1及び2ではさらに改質バランスを向上できる。以上により、本発明による活性水素化合物を使用したホルムアルデヒドの気相加工に於ける改質バランスの向上効果は明白である。
【0046】
【発明の効果】
セルロース系繊維を含む繊維構造物に少なくともメチロール化可能な活性水素を2個以上有する化合物を付与し、且つ該繊維構造物の生地pHを7以上のアルカリ性に調整した後、ホルムアルデヒドによる気相加工を行うことで得られる繊維構造物は、風合いが良好で、セルロース系繊維の抗張力、引き裂き強力、屈曲摩耗強力等の強力の低下が少なく、繰り返し洗濯後も優れたW&W性、パッカリング性、防縮性、保型性を示し、形態保持性に優れる。

Claims (3)

  1. セルロース系繊維含有繊維構造に少なくともメチロール化可能な活性水素を2個以上有する化合物が付与され、且つ水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウムから選ばれる無機系アルカリ性物質、及び/又は有機アミン系アルカリ物質により該繊維構造物の生地pHが7以上のアルカリ性に調整されていることを特徴とする形態安定加工用セルロース系繊維含有繊維構造物。
  2. セルロース系繊維含有繊維構造物にメチロール化可能な活性水素を2個以上有する化合物と潜在性酸性触媒が付与されている請求項1の形態安定加工用セルロース系繊維含有繊維構造物。
  3. セルロース系繊維を含む繊維構造物をホルムアルデヒド気相加工するに際し、該繊維構造物にメチロール化可能な活性水素を2個以上有する化合物を付与し、且つ水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウムから選ばれる無機系アルカリ性物質、及び/又は有機アミン系アルカリ物質により該繊維構造物の生地pHを7以上のアルカリ性に調整した後、ホルムアルデヒドによる気相加工を行うことを特徴とする形態安定性セルロース繊維含有繊維構造物の製造方法。
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