JP2000234267A - 繊維製品の改質加工法 - Google Patents

繊維製品の改質加工法

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JP2000234267A
JP2000234267A JP3382999A JP3382999A JP2000234267A JP 2000234267 A JP2000234267 A JP 2000234267A JP 3382999 A JP3382999 A JP 3382999A JP 3382999 A JP3382999 A JP 3382999A JP 2000234267 A JP2000234267 A JP 2000234267A
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Takeshi Fujimoto
猛 藤本
Masukazu Mori
益一 森
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BOSUKO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な工程を要することなく、繊維素繊維又
は再生繊維素繊維からなる製品に防縮性、防シワ性及び
抗フィブリル性を一括して付与し、かつ風合いを柔軟に
する。 【解決手段】 繊維素繊維又は再生繊維素繊維からなる
製品を少なくとも置換機能を有する反応基とアニオン活
性基とがアリール基分子母体で連結されたアニオン活性
化物質を含む中性又は弱アルカリ性の水溶液に浸漬して
50〜100℃の温度で熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、綿、麻類などの繊
維素繊維又はカポック、レーヨンなどの再生繊維素繊維
からなる製品の改質加工法に関する。更に詳しくは、前
記繊維製品に対して抗フィブリル、洗濯による収縮防
止、ノーアイロンで着用可能にする形態保持及び着用中
のシワ防止などの機能を一括して付与する繊維製品の改
質加工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の繊維製品は何らかの方法による
湿潤や洗濯で著しく収縮してサイズが合わなくなった
り、シワのため、洗濯した後ノーアイロンで着用するこ
とはできない。従来、この種の繊維製品に対する防縮、
防シワ、抗フィブリル及び風合いを改善する技術はそれ
ぞれ別々の技術で対応していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、改善すべき
特性が増える程、改質工程が非常に複雑になる欠点があ
った。また繊維製品に対して防縮性、防シワ性を効果的
に付与するには一般的に尿素ホルマリン、メラミンホル
マリン、グリオキザール樹脂等の繊維素反応型の含ホル
マリン樹脂により製品を加工しているが、その場合には
加工製品にホルマリンが残留したり、触媒に用いられる
酸類により加工製品の強度が低下したり、加工製品の風
合いが硬化するなどの問題があった。更に形態安定、防
シワのために、繊維製品をマーセライズド加工のように
強いアルカリ溶液中で延伸処理したり、或いは液体アン
モニヤにより処理を行ってきたがいずれも高額の設備費
と薬品費を要し、加工コストが増大する不具合があっ
た。
【0004】本発明の目的は、複雑な工程を要すること
なく、繊維素繊維又は再生繊維素繊維からなる製品に防
縮性、防シワ性及び抗フィブリル性を一括して付与する
繊維製品の改質加工法を提供することにある。本発明の
別の目的は、繊維素繊維又は再生繊維素繊維からなる製
品の風合いを副次的に柔軟にする繊維製品の改質加工法
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
繊維素繊維又は再生繊維素繊維からなる製品を少なくと
も置換機能を有する反応基とアニオン活性基とがアリー
ル基分子母体で連結されたアニオン活性化物質を含む中
性又は弱アルカリ性の水溶液に浸漬して80〜100℃
の温度で熱処理することを特徴とする繊維製品の改質加
工法である。請求項2に係る発明は、繊維素繊維又は再
生繊維素繊維からなる製品を少なくとも置換機能を有す
る反応基とアニオン活性基とがアリール基分子母体で連
結されたアニオン活性化物質を含む中性又は弱アルカリ
性の水溶液に浸漬し、脱水した後、前記製品を80〜1
05℃の温度でスチーミング処理することを特徴とする
繊維製品の改質加工法である。請求項3に係る発明は、
繊維素繊維又は再生繊維素繊維からなる製品に少なくと
も置換機能を有する反応基とアニオン活性基とがアリー
ル基分子母体で連結されたアニオン活性化物質を含む中
性又は弱アルカリ性の糊を印捺し、前記製品を乾燥した
後、80〜105℃の温度でスチーミング処理すること
を特徴とする繊維製品の改質加工法である。請求項1な
いし3記載のアニオン活性化物質は、次の式(1)で表
される。
【0006】
【化1】
【0007】請求項1ないし3に係る発明では、繊維素
繊維又は再生繊維素繊維を上記アニオン活性化物質とと
もに中性又はアルカリ性で湿熱処理すると、繊維素繊維
末端の水酸基(−OH−基)が上記アニオン活性化物質
と反応して編目状の強固な架橋構造を形成する。
【0008】請求項4に係る発明は、請求項1ないし3
いずれかに係る発明であって、上記式(1)に示した置
換機能を有する反応基がジクロロトリアジン基、トリク
ロロピリミジン基、クロロジフルオロピリミジン基、ジ
クロロピリミジン基、ジクロロピリダジン基、ジクロロ
ピリダジノン基、ジクロロキノサリン基又はジクロロフ
タラジン基である改質加工法である。請求項5に係る発
明は、請求項1ないし3いずれかに係る発明であって、
反応基が次の式(2)に示すように1個の置換機能を有
するモノフロロトリアジン基と1個の付加機能を有する
ビニルスルフォン基である改質加工法である。請求項4
又は請求項5に係る発明の反応基はアリール基と好適に
置換反応する。
【0009】
【化2】
【0010】請求項6に係る発明は、請求項1ないし5
いずれかに係る発明であって、アニオン活性基が水酸基
である改質加工法である。請求項7に係る発明は、請求
項1ないし6いずれかに係る発明であって、アリール基
分子母体がベンゼン、ナフタレン、アントラセンフェナ
ントレン又はジフェニールより誘導された分子構成を有
する化合物である改質加工法である。請求項6に係る発
明のアニオン活性基及び請求項7に係る発明のアリール
基分子母体により、繊維素繊維がより強固な編目状の架
橋構造となる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の繊維製品は繊維素繊維又
は再生繊維素繊維からなる。前記繊維は綿、麻類、カポ
ック、レーヨン、ポリノジック、キュプラ又は溶剤紡糸
による再生繊維素繊維を含む。繊維製品の形態は、繊
維、トップ、スライバ、糸、編物、織物、不織布又は縫
製品である。この繊維製品は、他の天然繊維、合成繊
維、化学繊維との混紡、交撚、交織、交編の製品を含
む。上記繊維素繊維又は再生繊維素繊維はアニオン活性
基としての水酸基を2個以上有する。上記繊維が綿であ
る場合、その構造は模式的に次の式(3)で表される。
【0012】
【化3】
【0013】本発明の繊維製品を加工するアニオン活性
化物質は、上述した式(1)又は式(2)で表され、こ
のアニオン活性化物質を構成する反応基は少なくとも置
換機能を有し、付加機能を有する場合もある。反応基の
数は2個又は3個である。請求項4及び請求項5に記載
した反応基以外に、この種の反応基を有する化合物とし
て、ジクロロトリアジン誘導体がある。この誘導体の反
応基は本発明の反応基に相当する。この誘導体を例示す
れば、2,4−ジクロロ−s−トリアジン−6−イル−
p−アミノサルチル酸ナトリウム塩(2,4-dichloro-s-t
riazin-6-yl-p-aminosalicylic acid sodium salt)、
2,4−ジクロロ−s−トリアジン−6−イル−m−ア
ミノフェニホスフィン酸ナトリウム塩(2,4-dichloro-s
-triazin-6-yl-m-aminopheniphosphonic acid sodium s
alt)、2,4−ジクロロ−s−トリアジン−6−イル
−アニリン(2,4-dichloro-s-triazin-6-yl-anilin
e)、2,4−ジクロロ−s−トリアジン−6−イル−
1−ナフチルアミン(2,4-dichloro-s-triazin-6-yl-1-
naphthylamine)、2,4−ジクロロ−6−(o−クロロ
アニリノ)−1,3,5−トリアジン(2,4-dichloro-6-
(o-chloroanilino)-1,3,5-triazin)、2−クロロ−
4,6−ジ(−アミノベンゼン−4−β−硫酸塩−エチ
ルスルホン)−1,3,5−s−トリアジン(2-chloro
-4,6-di(-aminobenzene-4-β-sulphate-ethylsulphone)
-1,3,5-s-triazin)、ジクロロトリアジニルスルファニ
ル酸ナトリウム塩(Dichlorotoriazinylsulfannilic ac
id sodium salt)、ジクロロトリアジニルメタニル酸ナ
トリウム塩(Dichlorotoriazinylmetanilic acid sodiu
m salt)が挙げられる。上記以外の本発明の反応基を有
する化合物として、1,3,5−トリアクリル−ヘキサ
ヒドロ−1,3,5−トリアジン(1,3,5-triacryl-hex
ahydro-1,3,5-triazine)、1,3,5−トリアクリロ
イル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン(トリアクリルフ
ォーマル)(1,3,5-triacryloyl-hexahydro-s-triazine
(Triacrylformal))、トリアクリロイル−ヘキサヒドロ
−1,3,5−トリアジン(Triacryloyl-hexahydro-1,
3,5-triazin)、1−エトキシ−4−(ジクロロ−1,
3,5−トリアジニル)ナフタレン(1-etoxy-4-(dichl
oro-1,3,5-triazinyl)naphthalene)、シアヌル酸トリ
アリール(Triallyl cyanurate)、イソシアヌル酸トリ
アリール(Triallyl isocyanurate)、イソシアヌル酸
トリメタリル(Trimethallyl isocyanurate)などがあ
る。
【0014】式(3)で示した繊維がアニオン活性化物
質と反応した具体例を式(4)に示す。この例では綿の
アニオン活性基が水酸基であり、アリール基分子母体が
ベンゼンであり、2個の置換機能を有する反応基がジク
ロロトリアジン基である。分子母体と反応基間の連結基
として−NH−基が例示される。式(4)ではアリール
基分子母体を「Ar」で示す。
【0015】
【化4】
【0016】この反応は繊維素繊維の−OH−基とジク
ロロトリアジンの2個の塩素が強固に架橋結合すること
により、繊維素繊維製品を改質し、請求項1に係る発明
に示される機能を付与するものである。水溶液中で式
(4)に示されるジクロロトリアジン反応基を有するア
ニオン活性化物質は上記繊維素繊維の反応基に対して易
官能基を有する化学物質であって水溶性である。
【0017】請求項1〜3に係る加工法では、中性又は
弱アルカリ性(pH7〜10)の浴液、パディング液又
は捺染糊に対して上記アニオン活性物質を繊維素繊維製
品の1〜100重量%、好ましくは5〜10重量%添加
する。上記アニオン活性化物質を添加するに際して、こ
の物質をアセトンのような水溶性有機溶剤に溶解した
後、この溶液を水に溶かし、浴液、パディング液又は捺
染糊にしてもよい。固着促進するために、浴液、パディ
ング液又は捺染糊を調製するときに、食塩、芒硝などの
ナトリウム塩(Na2CO3、Na2SO4)を溶解して添
加することが好ましい。請求項1に係る加工法では、用
意した浴液に上記繊維製品を浸漬し、50〜100℃、
好ましくは80〜100℃で5〜60分間熱処理する。
また請求項2に係る加工法では、用意したパディング液
に上記繊維製品を通過させ、含水率50〜100%にな
るように脱水した後、80〜105℃でスチーミング処
理する。更に請求項3に係る加工法では、用意した捺染
糊を上記繊維製品に印捺し、乾燥した後、80〜105
℃でスチーミング処理する。それぞれの加工法とも、処
理後、繊維製品を水洗し、脱水乾燥する。
【0018】繊維素繊維のOH基が上記アニオン活性化
物質とともに中性又はアルカリ性で湿熱処理すると繊維
素繊維末端の水酸基が上記アニオン活性化物質と反応す
ることにより、編目状の強固な架橋構造を形成する。次
の式(5)から明らかなように、上記アニオン活性化物
質を湿熱処理することによって、このアニオン活性化物
質のジクロロトリアジン基の両塩素位置において、かな
り高い確率で求核置換反応が迅速かつ容易に誘起され
る。これらの架橋結合は共有結合であるために堅固であ
り、緻密な編目構造の架橋結合が行われる。この架橋結
合により繊維製品の防縮、防シワ及び抗フィブリル性が
付与される。上記架橋反応及び架橋結合は、繊維素繊維
に限らず、再生繊維素繊維についても行われる。
【0019】
【化5】
【0020】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに説明す
る。 <実施例1>溶剤紡糸による再生繊維素繊維(商品名:
テンセル)100%からなるそれぞれ糸番手が40/1
のたて糸及びよこ糸で製織された、目付110g/m2
の平織物を被処理物として用意した。一方、アニオン活
性化物質としての2,4−ジクロロ−6−(o−クロロ
アニリノ)−1,3,5−トリアジンを上記被処理物の
重量に対して15重量%になるように秤量した後、これ
を被処理物と水溶液の重量比、即ち浴比が1:20にな
るように水に溶解した。この水溶液にNa2CO3を10
g/リットルの割合で添加してpHを8.5に調整し
た。次いで、浴中の上記水溶液に被処理物を浸漬し、3
℃/分の速度で100℃まで昇温し、100℃で15分
間保持した。熱処理した後、被処理物を水洗し、乾燥し
た。 <比較例1>実施例1のアニオン活性化物質を含有しな
い以外は、実施例1と同じ水溶液を調製した。この水溶
液に実施例1と同一の被処理物を同一の浴比で、同一の
温度条件で熱処理し、その後水洗し、乾燥した。
【0021】<比較試験 その1>実施例1の被処理物
と比較例1の被処理物について、洗濯試験、防シワ試験
を行った。洗濯収縮率はJIS−L−0217法に準じ
て20回洗濯した後、求めた。また防シワ率はJIS−
L−1060 A−1のモンサント法の次式(6)に基
づき、求めた。但し、αは開角度である。 防シワ率%=(α/180)×100 …… (6) なお、抗フィブリル性の評価は上記洗濯試験の結果を顕
微鏡で観察し、フィブリル化の進み具合で1級〜5級の
5段階の評価を行った。5級はフィブリル化が全く発生
しないものとし、1級はフィブリル化の最も進んだもの
として判定した。これらの結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1から明らかなように、実施例1の被処
理物は比較例1の被処理物に比較して、洗濯による寸法
変化、防シワ性及び洗濯後フィブリル化のいずれにおい
ても極めて優れており、風合いについても実施例1のも
のは比較例1のものに比べて柔らかく、溶剤紡糸による
再生繊維素繊維(商品名:テンセル)本来のぬめりとふ
くらみが一層強くなり、大幅な改善が見られた。
【0024】<実施例2>溶剤紡糸による再生繊維素繊
維(商品名:マイクロモダール)100%からなる糸番
手が80/1の糸をチーズに緩やかに巻き、これを被処
理物とした。一方、アニオン活性化物質として1,3,
5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン
を用いた。浴比1:6にして上記糸を浴中の水に浸漬
し、40℃まで昇温したところで、上記アニオン活性化
物質を6g/リットルの割合で溶解した。40℃に維持
して10分経過後、Na2SO4を10g/リットルの割
合で添加し、更に10分間保持した。続いて85℃まで
昇温し、そこでNa2CO3を10g/リットルの割合で
添加し、pHを9.5に調整した。85℃で10分間保
持した後、降温し、水洗した。水洗後、昇温し、酢酸
(99%)を糸重量に対して1重量%となるように添加
し、弱アルカリ性の糸を中和処理した。50℃まで昇温
し、そこで5分間保持した後、降温し、水洗乾燥した。
このように加工した糸を目付60g/m2の天竺に編み
上げて仕上処理を行った。 <比較例2>実施例2と同一の被処理物を実施例2で用
いたアニオン活性化物質で処理することなく、実施例2
と全く同一の条件で処理して乾燥した。その後、実施例
2と同様にして天竺に編み上げて仕上処理を行った。
【0025】<比較試験 その2>実施例2の被処理物
と比較例2の被処理物の防縮性及び抗フィブリル化につ
いて、実施例1及び比較例1と同じ試験方法で比較評価
した。その結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】表2から明らかなように、実施例2の被処
理物は比較例2の被処理物に比べて寸法安定性に優れて
おり、特にフィブリル化による細かい毛羽や毛玉の発生
を含めた外観の点で実施例2の編地が比較例2の編地に
比べて著しく優れていた。
【0028】<実施例3>溶剤紡糸による再生繊維素繊
維(商品名:テンセル)100%からなる40/1の糸
と1/30の羊毛糸との撚糸をたて糸とし、150d/
48フィラメントのZ撚りのビスコースレーヨン糸をよ
こ糸として、たて繻子織物を製織した。この織物の表面
を毛焼して表面の毛羽を除去した後、煮絨で98℃で2
0分間フラットセットした。幅出し乾燥機で乾燥してこ
れを被処理物とした。一方、パディング液1リットル当
たり、アニオン活性化物質としての2−クロロ−4,6
−ジ(−アミノベンゼン−4−β−硫酸塩−エチルスル
ホン)−1,3,5−s−トリアジンを50gと、Na
HCO3を30gと、尿素を100gと、浸透剤(商品
名:Leonil SR−J)を5gと、水を815g
混合して所望の量だけパディング液を調製した。このパ
ディング液に被処理物を浸漬し、含水率100%で脱水
し、乾燥した後、100℃で30分間、スチーミングを
行い、湯洗いしてから乾燥した。
【0029】<比較例3>実施例3と全く同じ織物を水
のみからなるパディング液に浸漬した以外、実施例3と
同様にして脱水乾燥し、スチーミングを行い、湯洗いし
てから乾燥した。
【0030】<比較試験 その3>実施例3の被処理物
と比較例3の被処理物の収縮試験をJIS−L−081
4C法の緩和収縮試験法に準じて行った。その結果を表
3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】表3から明らかなように、実施例3の被処
理物は比較例3の被処理物に比べて寸法安定性に優れて
いた。
【0033】<実施例4>溶剤紡糸による再生繊維素繊
維(商品名:リヨセル)100%からなる80/1の糸
を綛状にしたものを被処理物とした。一方、処理液1リ
ットル当たり、アニオン活性化物質としての2,4−ジ
クロロ−6−(o−クロロアニリノ)−1,3,5−トリ
アジンを15gと、Na2SO4を20gと、Na2CO3
を10gと、水を955g混合して所望の量だけ処理液
を調製した。浴比が1:15となるようにスミス型噴射
式染色機に処理液を貯え、この処理液で被処理物を処理
した。即ち、上記染色機により100℃で5分間処理し
た後、水洗し、乾燥した。この乾燥した糸をたて糸及び
よこ糸として目付80g/m2の極薄地のシャツ、ブラ
ウス地用の平織物を製造した。
【0034】<比較例4>実施例4と同一の溶剤紡糸に
よる再生繊維素繊維(商品名:リヨセル)100%から
なる80/1の糸を何ら処理しない以外は、実施例4と
同様にして実施例4と同一の目付80g/m2の極薄地
のシャツ、ブラウス地用の平織物を製造した。
【0035】この平織物に防縮性及び防シワ性を付与す
るために、次の樹脂加工を行った。即ち、樹脂加工液1
リットル当たり、グリオキザール樹脂(商品名:ベッカ
ミンLF−K(大日本インキ製))を150gと、触媒
(商品名:キャタリスト G)を50gと、水を800
g混合して所望の量だけパディング液を調製した。この
パディング液に上記平織物を通過させ、含水率80%に
なるように脱水した後、予備乾燥した。その後、130
℃で3分間平織物をキュアリングした。
【0036】<比較試験 その4> (a) 実施例4で得られた加工糸と比較例4の未加工糸と
を家庭用洗濯機で15分間、25℃の水で洗濯し、脱水
乾燥した。これを10回繰返した。10回洗濯した後の
実施例4の加工糸及び比較例4の未加工糸のそれぞれ1
00倍及び5000倍の顕微鏡写真図を図1及び図2に
示す。これらの図から明らかなように、比較例4の未加
工糸に毛羽立ちが見られたのに対して、実施例4の加工
糸は抗フィブリル化がはかられ、毛羽立ちが全くなかっ
た。
【0037】(b) 実施例4と比較例4でそれぞれ製造し
た平織物について、JIS−L−0217に準じた洗濯
試験と、JIS−L−1060 A−1のモンサント法
による防シワ性と、残留ホルマリン試験を行った。その
結果を表4に示す。
【0038】
【表4】
【0039】表4から明らかなように、実施例4の平織
物は、樹脂加工をした比較例4の平織物に比べて、防シ
ワ率が若干劣ったものの、防縮率に優れていた。また比
較例4の平織物がホルマリンを残留していたのに対し
て、実施例4の平織物は皆無であった。
【0040】<実施例5>溶剤紡糸による再生繊維素繊
維(商品名:テンセル)100%からなるそれぞれ糸番
手が20/1のたて糸とよこ糸により2/2綾で製織さ
れた目付220g/m2のギャバジンを被処理物として
用意した。一方、アニオン活性化物質としての2,4−
ジクロロ−6−(o−クロロアニリノ)−1,3,5−ト
リアジン50重量部と、Na2CO3100重量部と、尿
素100重量部と、シックナー(商品名:Meypro
Gum NP−8(8%))100重量部と、水650重
量部とを混合して粘度1000cpsの糊を調製した。
ロータリスクリーン捺染機を用いて、上記被処理物の表
面に上記糊を細線の花柄に印捺し、100℃で乾燥した
後、100℃で30分間、スチーミングを行い、十分に
水洗して脱糊した。
【0041】その結果、被処理物の印捺した細線の花柄
の部分に相当する繊維素繊維だけがアニオン化改質さ
れ、カチオン染料可染になり、更に抗フィブリル化され
た。
【0042】実施例5の方法で得られた織物(ギャバジ
ン)をカチオン染料で染色したところ、グレイの地(未
処理部分)に鮮明な赤色(処理部分)の花柄模様の織物
が得られた。この織物をエアジェットタンブラー(日阪
製作所製)で900rpmの高速回転で60分間フィブ
リル化を行ったところ、織物の地の部分はフィブリル化
して細いビロードのように毛羽立ち、一方、赤色に染ま
った花の部分は上記処理の効果によりフィブリル化せず
(毛羽立ちせず)、沈んだ色のあたかもエンボス仕上の
ような新規で魅惑的な表面が形成された。
【0043】<実施例6>紺色に染色された糸番手が1
00/2の綿100%の糸をたて糸及びよこ糸にして、
目付100g/m2の3/1綾の織物を被処理物として
用意した。一方、処理液1リットル当たり、アニオン活
性化物質としての1,3,5−トリアクリル−ヘキサヒ
ドロ−1,3,5−トリアジンを20gと、Na2CO3
を10gと、水を970g混合して所望の量だけ処理液
を調製した。浴比1:10で上記被処理物を上記処理液
に浸漬し、100℃で20分間処理した。処理後、水洗
し、乾燥した。
【0044】<比較例6>水のみからなる液に実施例6
と同一の被処理物を同一の浴比で、同一の温度条件で熱
処理した後、乾燥した。
【0045】<比較試験 その5>実施例6で処理した
被処理物と比較例6で処理した被処理物について、KE
S風合い試験により布帛の引張り、剪断、曲げなどの基
本風合いを測定した。またJIS−L−1060 A−
1のモンサント法に基づき、防シワ率は求めた。その結
果を表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】表5から明らかなように、1が劣(Poor)
で、5が優(Execellent)とする5段階の総合風合い評
価において、比較例6が2.80であって硬い風合いで
あるのに対して、実施例6は4.04であって非常に柔
軟であり、更に防シワ性も比較例6より優れていた。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、中
性又は弱アルカリ性の浴液、パディング液、又は捺染糊
で本発明の繊維製品を処理すると、アニオン活性化物質
が繊維素繊維の末端基である水酸基と共有結合により架
橋結合して、アニオン化物質が繊維素繊維構造の縦横に
編み目状に交錯配位するため、繊維素繊維が化学的に堅
牢に改質される。特に本発明の改質加工法によりウッシ
ュアンドウエアー性が高められるとともに、洗濯による
収縮、洗濯及び着用中のシワの発生及びフィブリル化を
一回の処理で抑制することができる画期的な効果があ
る。特に選定されたアニオン活性化物質は処理後の残留
ホルマリンが発生せず、乳幼児の衣料や肌着に使用して
も皮膚障害等の問題を発生するおそれが全くない。本発
明の方法は薬液の調製が簡単である特長もある。更に加
工により染色性が改善されるとともに、加工後の風合い
変化が少なく、風合いはむしろ柔らか目になることも従
来法に比べて優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 家庭洗濯を10回行った後の実施例4
の加工糸の100倍の顕微鏡写真図。 (b) 家庭洗濯を10回行った後の実施例4の加工糸
の5000倍の顕微鏡写真図。
【図2】(a) 家庭洗濯を10回行った後の比較例4
の未加工糸の100倍の顕微鏡写真図。 (b) 家庭洗濯を10回行った後の比較例4の未加工
糸の5000倍の顕微鏡写真図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月12日(1999.2.1
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維素繊維又は再生繊維素繊維からなる
    製品を少なくとも置換機能を有する反応基とアニオン活
    性基とがアリール基分子母体で連結されたアニオン活性
    化物質を含む中性又は弱アルカリ性の水溶液に浸漬して
    50〜100℃の温度で熱処理することを特徴とする繊
    維製品の改質加工法。
  2. 【請求項2】 繊維素繊維又は再生繊維素繊維からなる
    製品を少なくとも置換機能を有する反応基とアニオン活
    性基とがアリール基分子母体で連結されたアニオン活性
    化物質を含む中性又は弱アルカリ性の水溶液に浸漬し、
    脱水した後、前記製品を80〜105℃の温度でスチー
    ミング処理することを特徴とする繊維製品の改質加工
    法。
  3. 【請求項3】 繊維素繊維又は再生繊維素繊維からなる
    製品に少なくとも置換機能を有する反応基とアニオン活
    性基とがアリール基分子母体で連結されたアニオン活性
    化物質を含む中性又は弱アルカリ性の糊を印捺し、前記
    製品を乾燥した後、80〜105℃の温度でスチーミン
    グ処理することを特徴とする繊維製品の改質加工法。
  4. 【請求項4】 反応基がジクロロトリアジン基、トリク
    ロロピリミジン基、クロロジフルオロピリミジン基、ジ
    クロロピリミジン基、ジクロロピリダジン基、ジクロロ
    ピリダジノン基、ジクロロキノサリン基又はジクロロフ
    タラジン基である請求項1ないし3いずれか記載の繊維
    製品の改質加工法。
  5. 【請求項5】 反応基が1個の置換機能を有するモノフ
    ロロトリアジン基と1個の付加機能を有するビニルスル
    フォン基である請求項1ないし3いずれか記載の繊維製
    品の改質加工法。
  6. 【請求項6】 アニオン活性基が水酸基である請求項1
    ないし5いずれか記載の繊維製品の改質加工法。
  7. 【請求項7】 アリール基分子母体がベンゼン、ナフタ
    レン、アントラセンフェナントレン又はジフェニールよ
    り誘導された分子構成を有する化合物である請求項1な
    いし6いずれか記載の繊維製品の改質加工法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007284852A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Hagiwara Toshio セルロース系繊維材料の改質加工法
JP2011525571A (ja) * 2008-06-27 2011-09-22 レンツィング アクチェンゲゼルシャフト セルロース繊維及びその製造方法
CN104358119A (zh) * 2014-10-23 2015-02-18 广东溢达纺织有限公司 一种反应型阴离子改性剂及其制备方法
CN113195805A (zh) * 2018-12-17 2021-07-30 连津格股份公司 用于处理莱赛尔纤维的方法

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