JPH06298858A - プロピレン重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン重合体の製造方法

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JPH06298858A
JPH06298858A JP8715793A JP8715793A JPH06298858A JP H06298858 A JPH06298858 A JP H06298858A JP 8715793 A JP8715793 A JP 8715793A JP 8715793 A JP8715793 A JP 8715793A JP H06298858 A JPH06298858 A JP H06298858A
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compound
hydrocarbon group
polymerization
formula
propylene
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JP8715793A
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Inventor
Harumi Watanabe
春美 渡辺
Koichi Hasebe
公一 長谷部
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 触媒活性及び立体規則性を低下させることな
く、剛性と成形性のバランスに優れたプロピレン重合体
を得る。 【構成】 (A)固体触媒成分、(B)有機アルミニウ
ム化合物、(C1 )特定のメトキシシラン化合物、及び
(C2 )特定のエトキシシラン化合物から成る触媒系を
用い、まず前段重合にて全重合量の65〜95重量%を
製造し、引続いて後段重合にて全重合量の5〜35重合
%を製造するプロピレン重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロピレン重合体の製
造方法に関するものである。 さらに詳しくいえば、本
発明は、成形性の良好な高い剛性を有するプロピレン重
合体を効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Mg、Cl、芳香族カルボン酸エステ
ル、及びTiを含む固体触媒成分と、有機アルミニウム
化合物及びアルコキシシランからなる触媒系を用いて、
プロピレンを重合することにより、高い立体規則性を有
する重合体を高い収率で製造できることが知られてお
り、多数の方法が提案されている。これらの方法で得ら
れる重合体は一般に分子量分布が狭く、溶融時の流動性
に劣り、立体規則性が高いにもかかわらず射出成形品の
強度が充分に得られない等の問題があった。この問題を
解決する方法として、例えば複数個の重合器を用い、各
重合器で異なる分子量を有するプロピレン重合体を作る
ことにより分子量分布の広い重合体を得る方法等が知ら
れている(特開平3−12409号、特開平4−226
109号公報など)。
【0003】また、単一重合器を用いて重合する際に、
触媒として特定の条件を満たす複数のアルコキシシラン
を併用添加することにより分子量分布の広いプロピレン
重合体を得る方法等が知られている(特開平2−170
803号公報、特開平3−7703号公報等)。これら
の方法はアルコキシシランを単独に用いた触媒系で重合
した場合に比較して、触媒活性が低下したり、立体規則
性が低下するなどの問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、触媒活性等
を低下させずに成形加工性に優れた高い剛性を有するプ
ロピレン重合体を製造する方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Mg、C
l、芳香族カルボン酸エステル、及びTiを含む固体触
媒成分、有機アルミニウム化合物、及びアルコキシシラ
ンとして特定の炭化水素基を有するメトキシシラン化合
物、及び特定の炭化水素基を有するエトキシシラン化合
物からなる触媒系を用いて、二段階に重合することによ
り上記課題が解決できることを見出した。
【0006】すなわち本発明は、 (A)成分として少なくともMg、Cl、芳香族カルボ
ン酸エステル、及びTiを含む固体触媒成分 (B)有機アルミニウム化合物 (C1 )式 R1 t2 sSi(OCH3)4-t-s (式中R1 は分岐鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、
又は芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R2 は炭素
数1〜3の直鎖状炭化水素基を表わし、tは0<t≦
2、sは0≦s<2の範囲であり、且つ1≦s+t≦2
の関係を満たす数である)で示されるメトキシシラン化
合物 (C2 )式 R3 x4 ySi(OC25)4-x-y (式中R3 は分岐鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、
又は芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R4 は炭素
数1〜3の直鎖状炭化水素基を表わし、xは0<x≦
2、yは0≦y<2の範囲であり、且つ1≦x+y≦2
の関係を満たす数である)で示されるエトキシシラン化
合物からなる触媒系を用いてプロピレンを二段階で重合
することからなり、前段階において全生成量に対する割
合として65〜95重量%のプロピレン重合体を製造
し、引続いて後段階において全生成量に対する割合とし
て5〜35重量%製造を行なうことを特徴とするプロピ
レン重合体の製造方法に関する。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられる、成分として少なくともMg、Cl、芳香族
カルボン酸エステル及びTiを含む固体触媒成分(A)
は、例えばマグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲ
ン化剤及び芳香族カルボン酸エステルを任意の順序で反
応させることによって製造することができる。具体的方
法としては、活性化されたハロゲン化マグネシウムとチ
タン化合物及び芳香族カルボン酸エステルを同時にまた
は段階的に共粉砕する方法、均一状態にあるマグネシウ
ム化合物に芳香族カルボン酸エステルまたは他の電子供
与体の存在下または不存在下に、ハロゲン化剤、又は還
元剤を作用させることによって得られた析出物に、チタ
ン化合物を必要に応じて芳香族カルボン酸エステルの存
在下に接触させる方法などが利用できる。
【0008】本発明において、特に好ましい固体触媒成
分の製造方法としては、炭化水素溶媒に可溶な有機マグ
ネシウム成分またはヒドロカルビルオキシマグネシウム
化合物と、H−Si結合を有するクロルシラン化合物と
を反応させることによって得られる有機基含有マグネシ
ウム化合物に、チタン化合物及び芳香族カルボン酸エス
テルとを接触させる方法であり、より詳細には、特公昭
60−11924号、特開平1−213311号、特開
平1−259003号、特開平2−28201号、特開
平2−138312号、特開平2−138313号、特
開平4−23811号、特開平4−216804号各公
報記載の方法等が参照できる。
【0009】これら触媒成分(A)の製造方法の一例を
以下に簡単に説明する。炭化水素溶媒に可溶な有機マグ
ネシウム成分としては、例えば式 (M)i(Mg)j(R5)p(R6)q(OR7)r (式中、Mは周期律表第I族、第II族ないし第III
族に属する金属原子、R 5 、R6 及びR7 は炭素数2〜
20の炭化水素基であり、i,j,p,q及びrは次の関
係を満たす数である。) 0≦i,0<j,0≦p,0≦q,0<r,ki+2j
=p+q+r (ただしkはMの原子価)で表される、炭化水素溶媒に
可溶なアルコキシ基を含有する有機マグネシウムの錯化
合物を利用することができる。
【0010】次にH−Si結合を有するクロルシラン化
合物としては、HSiCl3 、HSiCl2 CH3 、H
SiCl2 2 5 、HSiCl2 n−C3 7 、HS
iCl2iso−C3 7 、HSiCl2 n−C4 9 、H
SiCl2 6 5 、HSiCl2(4-Cl−C6 4)、
HSiCl2 CH=CH2 、SiCl2 CH2
6 5 、HSiCl2(1-C107)、HSiCl2 CH2
CH=CH2 、H2 SiClCH3 、H2 SiClC2
5 、HSiCl(CH3)2 、HSiCl(C2 5)
2 、HSiClCH3(iso-C3 7)、HSiClCH
3(C6 5)、HSiCl(C6 5)2 等が挙げられ、こ
れらの化合物及びこれらの化合物から選ばれた化合物と
の混合物からなるクロルシラン化合物が利用でき、トリ
クロルシラン、モノメチルジクロルシラン、ジメチルク
ロルシラン、エチルジクロルシラン等が好ましく、特に
トリクロルシラン、モノメチルジクロルシランが好まし
い。
【0011】次に炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウ
ム成分とクロルシラン化合物との反応について説明す
る。反応に際してはクロルシラン化合物を予め不活性反
応媒体、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭
化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環
式炭化水素、あるいは、1,2-ジクロルエタン、o-ジクロ
ルベンゼン、ジクロルメタン等の塩素化炭化水素、ある
いはこれらの混合媒体を用いて希釈した後利用すること
が好ましい。
【0012】反応の温度については特に制限されない
が、反応を促進する上で40℃以上反応媒体の沸点未満の
範囲が好ましい。上記反応によって得られた固体成分の
組成、及びその構造は、出発原料の種類、反応の条件に
より変化するが、組成分析の結果から固体成分1g当
り、約0.1〜1.5ミリモルのMg−C結合を有する
か、又は約0.1〜1.5ミリモルのMg−C結合及び
約0.5〜3.0ミリモルのアルコキシ基を有する有機
基含有マグネシウム化合物であると推定される。
【0013】固体触媒成分の製造に利用できるチタン化
合物としては、例えば、四塩化チタン、四臭化チタン、
四ヨウ化チタン、エトキシチタントリクロリド、プロポ
キシチタントリクロリド、ブトキシチタントリクロリ
ド、ジブトキシチタンジクロリド、トリブトキシチタン
クロリド等が挙げられ、特に好ましくは四塩化チタンで
ある。芳香族カルボン酸エステルの例としては、例え
ば、安息香酸、P-トルイル酸、P-アニス酸等のモノカル
ボン酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル等のエステ
ル、及びフタル酸ジメチル、ジエチル、ジn-プロピル、
ジiso-プロピル、ジn-ブチル、ジiso-ブチル、ジn-ヘプ
チル、ジ2-エチルヘキシル、ジオクチル等のジカルボン
酸ジエステルが挙げられる。又これらの芳香族カルボン
酸エステルは単独でも又は混合して用いてもよい。
【0014】本発明における固体触媒成分(A)を調製
する方法としては、前述の特許公報記載の方法が利用で
きるが、例えば(I)該固体成分、チタン化合物、及び
芳香族カルボン酸エステルとを同時に接触させる方法、
(II)まず任意の二者を接触させた後、残りの成分を
接触させる方法、(III)該固体成分、チタン化合
物、及び芳香族カルボン酸エステルとを同時に接触さ
せ、更にチタン化合物と接触させる方法等が利用でき
る。また、接触手段としては、液相又は気相下で接触さ
せる方法、液相又は気相での接触と粉砕とを組合せて接
触させる方法等のいずれの手段も用いることができる。
【0015】得られた固体触媒成分(A)の組成、及び
その構造については、出発原料の種類、接触条件によっ
て変化するが、組成分析値から固体触媒中におよそ1〜
10重量%のチタンを含んだ比表面積50〜300m2
/gなる固体触媒である。本発明に用いられる有機アル
ミニウム化合物(B)としてはトリメチルアルミニウ
ム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウム、トリヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルア
ルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソ
ブチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセ
スキクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、
更には、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチル
アルミニウムブトキサイド、ジエチルアルミニウムフェ
ノキサイドなどのアルキルアルミニウムアルコキサイド
が利用でき、これらの混合物も利用できる。
【0016】また、本発明に用いられる式 R1 t2 sSi(OCH3)4-t-s (式中R1 、R2 、s、及びtは前述のとおりである)
で示されるメトキシシラン化合物(C1 )の例として
は、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジイソプ
ロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラ
ン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプ
ロピルジメトキシシラン、ジtert−ブチルジメトキシシ
ラン、tert−ブチルメチルジメトキシシラン、 tert-ブ
チルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルn-プロピル
ジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラ
ン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘ
キシルイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチ
ルジメトキシシラン等があげられる。
【0017】式 R3 x4 ySi(OC25)4-x-y (式中R3 、R4 、x、及びyは前述のとおりである)
で示されるエトキシシラン化合物(C2 )の例として
は、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジイソプ
ロピルジエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラ
ン、ジイソブチルジエトキシシラン、イソブチルイソプ
ロピルジエトキシシラン、ジtert−ブチルジエトキシシ
ラン、tert−ブチルメチルジエトキシシラン、tert−ブ
チルエチルジエトキシシラン、tert−ブチルn-プロピル
ジエトキシシランシクロヘキシルトリエトキシシラン、
シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシ
ルイソプロピルジエトキシシラン等があげられ、特にジ
エトキシシランが好ましい。
【0018】本発明における触媒成分(A)、(B)、
(C1 )、及び(C2 )の使用比率は固体触媒成分
(A)1gに対して、(B)は(B)中のアルミニウム
原子に換算して1〜3000ミリモル、好ましくは5〜1000
ミリモルの範囲で、また(C1)及び(C2 )の使用比
率としては(C1 )及び(C2 )中のケイ素原子に換算
した合計として0.01〜1000ミリモル、好ましくは、0.05
〜100 ミリモルの範囲で用いることが好ましい。
(C1 )及び(C2 )の混合比率としては、(C1 )の
使用量M1:(C2 )の使用量M2のモル比が、0.
9:1から0.1:1の範囲が好ましい。(C2 )に対
する(C1 )の使用モル比が0.9を超える場合には、
充分な成形性の改良効果が得られない。
【0019】これら触媒成分(A)、(B)、
(C1 )、及び(C2 )重合時にすべてを接触させて用
いてもよいし、また重合前にあらかじめ任意の三者と接
触させた後残りの一者と接触させて用いてもよく、更に
接触においては不活性ガス雰囲気下あるいはオレフィン
雰囲気下であっても良い。また、ポリマーの分子量調節
の為、水素等を添加することも可能である。
【0020】本発明に利用できる重合方法としては特に
制限はないが、液体モノマー中での重合、及び気相重合
を利用することが好ましい。 本発明での重合において
はこれら任意の2つの重合方法を組合せ二段階重合方法
によってプロピレン重合体を製造する。好ましい組合せ
としては、液体プロピレン中での重合に引続き気相重合
を行なう方法及び気相重合に引続き気相重合を行なう方
法が挙げられる。
【0021】懸濁重合は触媒を重合溶媒、例えばヘキサ
ン、ヘプタンのごとき脂肪族炭化水素などとともに反応
器に導入し、不活性ガス雰囲気下にプロピレンを1〜20
Kg/cm2 に圧入して、室温ないし150℃の温度で
重合を行うことができる。液体モノマー中での重合で
は、触媒の存在下、プロピレンを室温ないし90℃の温度
で、10〜45Kg/cm2 の圧力下で液体プロピレン中で
重合を行うことができる。
【0022】一方気相重合はプロピレンが気体である条
件下で、溶媒の非存在下に1〜50Kg/cm2 の圧力
で、室温ないし120℃の温度条件において、プロピレ
ンと触媒の接触が良好となるような、例えば流動床、移
動床あるいは攪拌機によって混合を行う等の手段を講じ
て重合を行うことができる。例えば撹拌流動層を有する
気相重合装置を利用する場合としては、種々のタイプの
ものが利用できるが、特に好ましくは、ヘリカル型の撹
拌翼を有し、その中心でのフルード数が1〜3の条件で
動かされている微粒状重合体からなる撹拌床を有し、プ
ロピレン単独またはプロピレン及び水素を連続的又は間
欠的に重合帯域に供給し、触媒の各成分を重合帯域に供
給することにより重合を開始し、得られた重合体は連続
的又は間欠的に重合帯域から取り出されることを基本的
構成要件とする気相重合装置が利用できる。
【0023】その重合条件としては、例えば、40〜9
5℃の温度、及び10〜35Kg/cm2 (ゲージ圧)
の圧力下で、プロピレン単独又はプロピレン及び水素を
連続的又は間欠的に重合帯域に供給し、重合により生じ
る重合熱を除去するとともに、重合によって消費された
プロピレンを補充すること、また未反応のプロピレンは
重合帯域から取り出し液化し、再び液状で重合帯域に供
給されること、更に得られた重合体は連続的又は間欠的
に重合帯域から取り出されることからなる方法によって
重合を継続する方法が用いられる。
【0024】本発明においては、上記気相重合装置を2
基以上連結してプロピレン重合体を製造することができ
る。例えば前段重合においては、重合温度は50〜95
℃、重合圧力17〜35Kg/cm2 の条件で、重合体
の平均滞留時間1.5〜4時間の条件にてプロピレン重
合体を製造し、得られた重合体は引続き後段重合槽に移
され、更に重合を継続する。この際、例えば前段に対し
て少なくとも7Kg/cm2 低い圧力で、重合温度とし
ては50〜90℃の条件で更に重合体を製造する。
【0025】本発明における前段階での重合における気
相中のプロピレンに対する水素のモル比と、後段階にお
ける気相中のプロピレンに対する水素のモル比との関係
は、後段階において新たに水素をフィードすることなく
重合を継続するか、又は後段階における該モル比が前段
階での重合における該モル比よりも小さい条件にて重合
を行なうことが好ましい。
【0026】本発明における各重合段での生成量の重量
比率は、前段生成量と後段生成量との比が65〜95対
35〜5の範囲、好ましくは71〜90対29対10、
更に好ましくは80〜90対20〜10の範囲であるこ
とが好ましい。この種の方法は、米国特許 4012573号、
4330645号、 4442271号、及び英国特許第 1032945号各
明細書に記載の方法及びその実施例が参照できる。
【0027】本発明によれば、120℃における1,
2,4−トリクロルベンゼン不溶分の割合が25重量%
以上、好ましくは30重量%以上であるポリプロピレン
が得られる。本発明で用いる120℃における1,2,
4−トリクロルベンゼン不溶分の測定方法は、Polymer
Preprints Am.Chem.Soc.18,182(1977) に
記載の方法に準拠するが、より具体的には以下の方法に
より求められる。すなわち、所定量のプロピレン重合体
と酸化防止剤を1,2,4−トリクロルベンゼンに加熱
溶解し、この溶液を海砂を満たした160℃の温度に保
持されたステンレス製カラム中に充填した後、30℃ま
でカラム温度を下げて、重合体を析出させ充分に結晶化
させる。このカラムを120℃まで昇温して、この温度
での可溶分が全量溶出するのに充分な量の1,2,4−
トリクロルベンゼンを連続して流す。その後160℃ま
で更に昇温し、同様に充分な量の1,2,4−トリクロ
ルベンゼンを流し、120℃において不溶であり160
℃で可溶な部分を回収する。この1,2,4−トリクロ
ルベンゼン溶液は大量のメタノールを加えることにより
ポリマーを回収する。この回収分の最初に用いたプロピ
レン重合体に対する重量百分率を120℃における1,
2,4−トリクロルベンゼン不溶分とする。
【0028】本発明により得られるプロピレン重合体の
MFIは5〜200、特に8〜150の範囲のものが得
られる。本発明で得られる重合体は、フェノール系安定
剤、有機フォスファイト系安定剤、安息香酸アルミニウ
ム塩系核剤、ソルビトール系核剤、リン酸ナトリウム塩
系核剤及び高級脂肪酸金属塩等の種々の添加剤や核剤な
どを配合して各種成形に用いることができる。
【0029】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、実施
例中で用いる各測定値は、以下に示す方法に準じ測定し
たものである。 〈MFI〉 ASTM D−1238 〈沸騰ヘプタン抽出残分〉得られた重合物を沸騰n-ヘプ
タンにより6時間抽出した後の抽出残渣の抽出前ポリマ
ーの重量に対する百分率を意味するものである。
【0030】〈スパイラルフロー長さ〉得られた重合体
粉末に、添加剤としてP−EPQ(サンド社製)を0.
05重量%、及びステアリン酸カルシウムを0.1重量
%を加えて230℃の温度で二軸押出機を用いて造粒し
たものを以下の条件で測定した。 測定条件 射出成形機 IS−150EN 成形温度 230℃ 射出圧力 1400kg/cm2 金型 2.5φ半円型 〈曲げ弾性率〉上記と同様の条件で射出成形したものを
23℃にて72時間放置した後、ASTM D−790
に準じて評価した。
【0031】
【実施例1】 (I)アルコキシ基含有有機マグネシウム成分の合成 予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムよ
り合成した組成式AlMg6 (C2 5)3 (n-C4 9)
12で示される有機マグネシウム錯体成分250ミリモル
(マグネシウム基準で)を含むn-ヘプタン溶液を充分に
窒素置換された1リットルのフラスコに入れ、氷浴中で
冷却し攪拌しながら、滴下ロートよりn-ブチルアルコー
ル22.8cc(250ミリモル)をゆっくりと1時間
かけて滴下し反応させ、更に室温にて攪拌下1時間反応
させた。比較的粘調な無色透明な溶液が得られ、分析し
たところ、溶液中にはMg1モル当りn-ブトキシ基0.
96モル含まれており、マグネシウム濃度として1.0
モル/リットルであった。
【0032】(II)クロルシラン化合物との反応によ
るマグネシウム含有固体の合成 充分に窒素置換された1リットルのフラスコに、トリク
ロルシランを1mol/リットルのn-ヘプタン溶液として5
00ミリモルを仕込み、攪拌しながら65℃に保ち、上
記アルコキシ基含有有機マグネシウム成分のn-ヘプタン
溶液を全量1時間かけて加え、更に65℃にて1時間攪
拌下反応させた。生成した白色固体を濾別し、n-ヘキサ
ンにて充分に洗浄し乾燥することにより、白色固体2
9.5gを得た。この固体物質を分析した結果、固体1
g中、Mg7.45ミリモル、CL14.2ミリモル、
ブトキシ基2.32ミリモルを含有しており、BET法
で測定した比表面積は193m2 /gであった。
【0033】(III)固体触媒成分の合成 (II)で得られた固体成分10gを入れた、充分に窒
素置換された500ccのフラスコに、四塩化チタン2
0cc及びトルエン200ccを加え、更にフタル酸ジ
−nブチル2.0cc(7.5ミリモル)を加えて室温
にて撹拌下1時間接触させた。接触後上澄みを除去し、
さらに四塩化チタン80ccを加え昇温し、120℃の
温度で更に3時間接触させた。反応終了後固体を熱濾過
にて分離し、100℃に加熱されたトルエン200cc
と3回接触させ、更にn−ヘキサンにて洗浄後、n−ヘ
キサンスラリーとして固体触媒成分とした。この一部を
採取して分析したところ、固体触媒成分中のTi含量は
1.5重量%であった。
【0034】[重合]微粉状ポリプロピレン50Kgか
らなる撹拌床を有する、内容積200Lの撹拌機付き反
応器を、2個連結してなるプロセスを用いて重合を行な
った。まず前段の反応器をフルード数2.2の条件での
撹拌下、重合温度90℃、重合圧力32Kg/cm2
条件で保持するようにプロピレン及び水素を連続的にフ
ィードした中、前記固体触媒成分、トリエチルアルミニ
ウム、ジイソプロピルジメトキシシラン及びジフェニル
ジエトキシシランを連続的にフィードし、重合を開始し
た。その際、第一段でのポリマー生成速度が20Kg/
hr、生成ポリマーのMFIが10になるように触媒フ
ィード量及び水素フィード量をコントロールした。また
各触媒成分のフィード比としては、固体触媒成分中のT
i量に対するトリエチルアルミニウムのモル比が1:4
00、アルコキシシラン中のSiに対するエチルアルミ
ニウムのモル比が1:10、及びジイソプロピルジメト
キシシランとジフェニルジエトキシシランのモル比は
1:1の条件で重合を行なった。
【0035】第一段で重合された重合物はプロピレンガ
スとともに第二段の反応器へ送られ、80℃、22Kg
/cm2 の条件にて、最終ポリマー生成量は24kg/
hrになるように重合を継続した。 気相中の水素モル
濃度は第一段の1/2であった。第一段と第二段とのポ
リマー生成量の比は5:1であった。 固体触媒成分1
g得られたプロピレン重合体の生成量は42.6Kgで
あり、得られたプロピレン重合体の沸騰n−ヘプタン抽
出残率は98.6%であり、120℃における1,2,
4−トリクロルベンゼン不溶分は37.2重量%であっ
た。スパイラルフロー長さ、曲げ弾性率を測定した結果
を表3に示した。
【0036】
【比較例1】実施例1において使用するアルコキシシラ
ン化合物としてジイソプロピルジメトキシシランのみ使
用した以外は実施例1と同様に重合した。固体触媒成分
1g得られたプロピレン重合体の生成量は36.3Kg
であり、得られたプロピレン重合体の沸騰n−ヘプタン
抽出残率は98.5%であり、120℃における1,
2,4−トリクロルベンゼン不溶分は25.7重量%で
あった。その他の結果を表4に示した。
【0037】
【実施例2〜6】用いるアルコキシシラン化合物を表1
又は表2に示す組合せ及びメトキシシラン化合物とエト
キシシラン化合物との使用モル比に変更し、更に第一段
でのポリマー生成量と第二段でのポリマー生成量の比
を、実施例2では5:2に、実施例3では4:1に、実
施例4では3:1に、実施例5では7:1に変更する以
外は実施例1と同様に実施し、評価結果を表3又は表4
に示した。
【0038】
【比較例2】用いるアルコキシシラン化合物を表2に示
す組合せ及び使用モル比に変更する以外は実施例1と同
様に実施しプロピレン重合体を得た。得られた重合体を
評価した結果を表4に示した。
【0039】
【参考例1】実施例1で得られた固体触媒成分を用い、
実施例1〜5、及び比較例1及び2で用いたメトキシシ
ラン及びエトキシシランをそれぞれ単独に用い、且つ気
相中の水素濃度を0.1mol%の条件にて前段のみに
て重合する以外は実施例1と同様の重合条件にてプロピ
レンの重合を実施した。
【0040】得られたプロピレン重合体のMFIを表5
に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、触媒活性及び立体規則
性を低下させることなく、高効率に剛性と成形性のバラ
ンスに優れたプロピレン重合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプロピレン重合体の製造方法の一
例を示すフローチャートである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)成分として少なくともMg、C
    l、芳香族カルボン酸エステル、及びTiを含む固体触
    媒成分 (B)有機アルミニウム化合物 (C1 )式 R1 t2 sSi(OCH3)4-t-s (式中R1 は分岐鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、
    又は芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R2 は炭素
    数1〜3の直鎖状炭化水素基を表わし、tは0<t≦
    2、sは0≦s<2の範囲であり、且つ1≦s+t≦2
    の関係を満たす数である)で示されるメトキシシラン化
    合物 (C2 )式 R3 x4 ySi(OC25)4-x-y (式中R3 は分岐鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、
    又は芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R4 は炭素
    数1〜3の直鎖状炭化水素基を表わし、xは0<x≦
    2、yは0≦y<2の範囲であり、且つ1≦x+y≦2
    の関係を満たす数である)で示されるエトキシシラン化
    合物とからなる触媒系を用いてプロピレンを二段階で重
    合することからなり、前段階において全生成量に対する
    割合として65〜95重量%のプロピレン重合体を製造
    し、引続いて後段階において更に全生成量に対する割合
    として5〜35重量%製造を行なうことを特徴とするプ
    ロピレン重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 エメトキシシラン化合物(C2 )の使用
    量に対するメトキシシラン化合物(C1 )の使用量のモ
    ル比が0.1〜0.9の範囲である請求項1記載のプロ
    ピレン重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 用いる重合方法が気相二段重合であり、
    後段重合圧力が前段重合圧力よりも少なくとも7Kg/
    cm2 低い圧力であり、且つ前段重合時の水素モル濃度
    に対する後段重合時の水素モル濃度の比が1より小さい
    ことをことを特徴とする請求項1記載のプロピレン重合
    体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10182723A (ja) * 1996-12-25 1998-07-07 Tonen Corp α‐オレフィン重合用触媒
JP2012500320A (ja) * 2008-08-21 2012-01-05 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 高メルトフローのプロピレン耐衝撃コポリマー及び方法

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