JP2006028312A - 環状アミノシラン、α−オレフィンの重合又は共重合用触媒、及びα−オレフィンの重合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は高活性で水素レスポンスが高く、高立体規則性を有するα−オレフィンの重合体又は共重合体の重合又は共重合に用いられるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、その触媒成分及びα−オレフィンの重合方法を提供する。
【解決手段】特定の環状アミノシラン、該環状アミノシランが含まれたα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、及び該環状アミノシランからなるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、並びに、該触媒の存在下にα−オレフィンを重合又はは共重合することを特徴とするα−オレフィンの重合方法
【選択図】 図1
【解決手段】特定の環状アミノシラン、該環状アミノシランが含まれたα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、及び該環状アミノシランからなるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、並びに、該触媒の存在下にα−オレフィンを重合又はは共重合することを特徴とするα−オレフィンの重合方法
【選択図】 図1
Description
本発明は、α−オレフィンの単独重合体の重合又は他のα−オレフィンとの共重合体の共重合に用いられるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、その触媒成分及びα−オレフィンの重合方法に関するものである。
近年、α−オレフィンを重合するために、マグネシウム、チタン、ハロゲン元素、及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、周期率表1〜3族金属の有機金属化合物、及び電子供与体からなる高活性担持型触媒系が、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4などに数多く提案されている。さらに、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9などには、電子供与体として特定の有機ケイ素化合物を用いることを特徴とする重合触媒が開示されている。
しかし、上記の担持型触媒系を用いて得られるプロピレン重合体は、通常、分子量分布は狭く、重合体溶融時の粘弾性が小さく、用途によっては、成形性、成形体の外観などに問題となる場合がある。この問題を改善するために、特許文献文献9、特許文献10、特許文献11などには、複数の重合器を用いる重合、あるいは、多段重合によって、分子量分布を拡大する方法が開示されている。しかし、この様な方法は、煩雑な操作が必要で工業的に生産速度を下げざるを得ず、コスト面を含めて好ましくない。さらには、低分子量でしかも分子量分布の広いプロピレン重合体を複数の重合器で製造するには、一方の重合器で水素などの連鎖移動剤を過剰に用いて低分子量の重合体を製造しなければならず、耐圧限界のある重合器では重合温度を下げざるを得ず、生産速度に悪影響を及ぼす問題がある。
また、特許文献12、特許文献13、特許文献14には環状アミノシラン化合物を用いる方法が開示されているが、これらの具体的に記載されている化合物を触媒成分として使用した場合、立体規則性は高いものの、水素レスポンス面においては必ずしも充分に満足できず、また、分子量分布が必ずしも広くないという問題がある。
また、特許文献15、特許文献16、特許文献17などには、複素環内の任意の炭素原子が珪素原子と直接結合している窒素原子含有複素環式置換有機ケイ素化合物を用いる方法が開示されているが、分子量分布ついては記載されていない。また、特許文献18、特許文献19には、単環式アミノ基含有有機ケイ素化合物を用いる方法が開示されているが、分子量分布については記載されていない。
一方、分子量分布が広く、且つ立体規則性のプロピレン重合体は、従来法で高立体規則性の低分子量プロピレン重合体と、高結晶性の高分子量のプロピレン重合体をあらかじめ製造しておいて、それらを所望の割合で溶融混合する方法が考えられる。しかし、この場合も比較的低分子量で、且つ分子量分布の広いプロピレン重合体を製造しようとすれば、低分子量プロピレン重合体と高分子量のプロピレン重合体を均一に溶融混合することが極めて困難であり、ゲル生成等の問題が生じやすくなる。
また、高活性で水素レスポンスが高く、高立体規則性、且つ、広い分子量分布を有するα−オレフィン重合体を提供する方法が、特許文献20なども開示されているが、この系では、分子量分布を目的の数値まで広げようとすると、水素レスポンスが悪くなり、立体規則性も大きく犠牲になる場合があり改善が求められていた。
また、水素レスポンスが高いことも重要である。すなわち、分子量を調節するために水素を重合系に共存させる場合に、水素レスポンスが低い場合は、多量の水素が必要なため、上述したように、水素などの連鎖移動剤を過剰に用いて低分子量の重合体を製造しなければならず、耐圧限界のある重合器のバルク重合では重合温度を下げざるを得ず、気相重合ではモノマー分圧を下げざるを得ず、生産速度に悪影響を及ぼす問題がある。
特許文献21、特許文献22には、触媒成分として炭化水素基含有アミノ置換基及び炭化水素基をそれぞれ1個有するジアルコキシシランを用い、分子量の小さい(すなわち、MFRの大きい)α−オレフィン重合体の製造法が提案されている。しかし、実施例には、高々MFRが60g/10分のポリマーが記載されており、特に水素レスポンスの面において必ずしも満足できる性能ではなかった。また、本出願人による特開平8−143620号公報には、電子供与体として脂肪族アミノ置換基を2個有するジアルコキシシランを用いたα−オレフィンの製造法が提案されているが、MFRが200以上のポリマーを製造すると立体規則性(H.I)や重合活性が低下する場合があり、必ずしも満足できる性能ではなかった。
また、同じく本出願人による特許文献23、特許文献24には脂肪族アミノ置換基有するアルコキシシラン化合物およびそれを用いた立体規則性および溶融流動性(すなわちMFRの高い)製造法が提案されている。しかし、具体的に実施例として記載されているのは、例えば、エチル(ジエチルアミノ)ジエトキシシランなどの炭化水素基含有アミノ置換基及び炭化水素基をそれぞれ1個有するジアルコキシシランのみであり、得られた重合結果でもMFRが大きくなると立体規則性が低下するため必ずしも満足できるものではない。
また、特許文献25、特許文献26には、有機ケイ素化合物と多環式アミノ有機ケイ素化合物を用いる方法が開示されているが、これらの具体的に記載されている化合物を触媒成分として使用した場合、立体規則性は高いものの、水素レスポンス面においては必ずしも充分に満足できるものではなかった。
また、特許文献27、特許文献28、および特許文献29には、特定の構造を有する環状ジアミノシラン化合物を用いたオレフィンの重合触媒及び重合方法が記載されているが、具体的に記載されている化合物は、ジメトキシシラン類のみであり、重合触媒としても水素レスポンス面などで必ずしも十分に満足いくものではない。
前記の電子供与体を用いた担持型触媒系は、性能的に重合活性、立体規則性、水素レスポンスのバランス面において、必ずしも充分に満足できるものではなく、より一層の改良が求められていた。
近年、自動車材料、家電材料を中心とした射出成形分野では、製品の薄肉化、軽量化を目的として、高溶融流動性、且つ、高剛性、高耐熱性のα−オレフィン重合体のニーズが高まっている。そのようなα−オレフィン重合体を製造するには、重合時に水素レスポンスの高い触媒を用いることが重要である。具体的には、α−オレフィン重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤として水素を重合系に共存させることが一般的には行われている。特に、α−オレフィン重合体の溶融流動性を高めるためには、水素により、分子量を低下させる必要がある。α−オレフィン重合体の溶融流動性の指標としては一般的にメルトフローレイト(MFR)が用いられており、α−オレフィン重合体の分子量が低くなるとメルトフローレイトが高くなるという関係がある。水素レスポンスが低いとは、α−オレフィン重合体のメルトフローレイトを高めるために重合系内に多量の水素を必要とすることであり、水素レスポンスが高いとは同じメルトフローレイトのα−オレフィン重合体を得る場合に水素レスポンスが低い場合ほどの水素量を必要としない。したがって、水素レスポンスが低いと、過剰の量の水素を重合系に導入してα−オレフィン重合体のメルトフローレイトを高めなければならず、生産プロセスにおいて、安全上、耐圧限界のある重合装置では水素分圧が高くなる関係で、重合温度を下げざるを得ず、生産速度ならびに品質に悪影響を及ぼすという問題がある。
本発明は上記の従来技術の問題点を解決し、高活性で水素レスポンスが高く、高立体規則性を有するα−オレフィンの重合体又は共重合体の重合又は共重合に用いられるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、その触媒成分及びα−オレフィンの重合方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明は、化1で表わされる環状アミノシラン。
(但し、R1及びR2は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは炭素数3〜6の環状アルキルまたはアリール基を示し、nは2〜6である。)
また、本発明は、化1で表わされる環状アミノシランが含まれたα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、または、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに[C]化1で表わされる環状アミノシランからなるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒である。
さらに、本発明は、前記触媒の存在下にα−オレフィンを重合又はは共重合することを特徴とするα−オレフィンの重合方法である。
本発明における触媒系は触媒活性及び水素レスポンスも高く、しかも得られるα−オレフィン重合体の立体規則性が高い。
本発明において、環状アミノシランは化2で表わされるものである。
(但し、R1及びR2は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは炭素数3〜6の環状アルキルまたはアリール基を示し、nは2〜6である。)
R1及びR2における炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、などが挙げられる。中でも、エチル基が好ましい。
炭素数3〜6の環状アルキルまたはアリール基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。
R1及びR2における炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、などが挙げられる。中でも、エチル基が好ましい。
炭素数3〜6の環状アルキルまたはアリール基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。
nとしては、2および3が好ましい。
環状アミノシランの具体例としては、2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンなどが挙げられる。中でも、1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタン化合物類が好ましい。特に、2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンが好ましい。
本発明の環状アミノシランは、たとえば、ジクロロジエトキシシランなどのジクロロジアルコキシシランとN,N−ジエチルエチレンジアミンなどのジアミンより合成する方法、アルコキシシランとジリチウムアミドとから合成する方法など挙げられる。中でも、ジクロロジアルコキシシランとジアミンから合成する方法が好ましい。
本発明において、成分[A]としてマグネシウム、チタン、ハロゲン元素、及び電子供与体を必須とする固体触媒成分を用いる。固体触媒成分[A]の製造方法は特に限定されず、例えば、特開昭54−94590号公報、特開昭5−55405号公報、特開昭56−45909号公報、特開昭56−163102号公報、特開昭57−63310号公報、特開昭57−115408号公報、特開昭58−83006号公報、特開昭58−83016号公報、特開昭58−138707号公報、特開昭59−149905号公報、特開昭60−23404号公報、特開昭60−32805号公報、特開昭61−18330号公報、特開昭61−55104号公報、特開昭63−3010号公報、特開平1−315406号公報、特開平2−77413号公報、特開平2−117905号公報などに提案されている方法が採用できる。
固体触媒成分[A]の代表的な製造方法として、(1)マグネシウム化合物、電子供与体、ハロゲン化チタン化合物を共粉砕、あるいは溶媒中で分散、溶解により接触させて調製する方法、(2)トルエン等の溶媒にマグネシウム化合物及び電子供与体を溶解し、この溶液にハロゲン化チタン化合物を添加、反応させて触媒固体を析出させる方法などが挙げられる。
固体触媒成分[A]の調製に使用できるマグネシウム化合物としては、ハロゲン化マグネシウム、ジ(アルコキシ)マグネシウムが挙げられる。ハロゲン化マグネシウムとしては具体的に塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウム、フッ化マグネシウムが挙げられ、特に塩化マグネシウムが好ましい。ジ(アルコキシ)マグネシウムとしては具体的に、ジ(メトキシ)マグネシウム、ジ(エトキシ)マグネシウム、ジ(n−プロポキシ)マグネシウム、ジ(n−ブトキシ)マグネシウム、エトキシ(メトキシ)マグネシウム、エトキシ(n−プロポキシ)マグネシウム、ブトキシ(エトキシ)マグネシウム等が挙げられ、特にジ(エトキシ)マグネシウム、ジ(n−ブトキシ)マグネシウムが好ましい。また、これらのジ(アルコキシ)マグネシウムは、金属マグネシウムをハロゲンあるいはハロゲン含有金属化合物の存在下にアルコールと反応させて調製したものでも良い。前記のジアルコキシマグネシウムは、単独で用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
固体触媒成分[A]の調製に用いるジアルコキシマグネシウムの形状としては、顆粒状、粉末状であり、不定形あるいは球形のものを用いることができる。例えば球形のジアルコキシマグネシウムを用いた場合、モルフォロジーが良好で、しかも粒径分布の狭いα−オレフィン単独重合体、あるいは他のα−オレフィンとの共重合体パウダーが得られるため、パウダー流動性が良く、製造時に、ホッパーやライン閉塞等の問題の解消に繋がる。
固体触媒成分[A]の調製に使用できるハロゲン化チタン化合物の具体例としてはテトラクロロチタン、テトラブロモチタンのテトラハライドチタン、トリクロロ(メトキシ)チタン、トリクロロ(エトキシ)チタン、トリクロロ(プロポキシ)チタン、トリクロロ(ブトキシ)チタン、トリブロモ(メトキシ)チタン、トリブロモ(エトキシ)チタン、トリブロモ(プロポキシ)チタン、トリブロモ(ブトキシ)チタン等のトリハライド(アルコキシ)チタン、ジクロロ(ジメトキシ)チタン、ジクロロ(ジエトキシ)チタン、ジクロロ(ジプロポキシ)チタン、ジクロロ(ジブトキシ)チタン等のジハライド(ジアルコキシ)チタン、クロロ(トリメトキシ)チタン、クロロ(トリエトキシ)チタン、クロロ(トリプロポキ)シチタン、クロロ(トリブトキシ)チタン等のハライド(トリアルコキシ)チタンを挙げることができる。特に、テトラクロロチタンが好ましい。これらのハロゲン化チタン化合物は単独で使用しても良いし、2種類以上併用しても良い。
固体触媒成分[A]の調製に使用する電子供与体としては、ルイス塩基性の化合物であり、好ましくは芳香族ジエステル、好ましくは、オルトフタル酸ジエステルである。オルトフタル酸ジエステルの具体例としては、オルトフタル酸ジメチル、オルトフタル酸(エチル)メチル、オルトフタル酸ジエチル、オルトフタル酸(エチル)n−プロピル、オルトフタル酸ジn−プロピル、オルトフタル酸(n−ブチル)n−プロピル、オルトフタル酸(n−ブチル)エチル、オルトフタル酸(iso−ブチル)エチル、オルトフタル酸ジn−ブチル、オルトフタル酸ジiso−ブチル、オルトフタル酸ジn−ペンチル、オルトフタル酸ジiso−ペンチル、オルトフタル酸ジn−ヘキシル、オルトフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、オルトフタル酸ジn−ヘプチル、オルトフタル酸ジn−オクチルなどが挙げられ、オルトフタル酸ジエチル、オルトフタル酸ジn−プロピル、オルトフタル酸ジn−ブチル、オルトフタル酸ジiso−ブチル、オルトフタル酸ジn−ヘプチル、オルトフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、オルトフタル酸ジn−オクチルが特に好ましい。これらのオルトフタル酸ジエステルは単独で用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
また、電子供与体として、特開平3−706号公報、特開平3−62805号公報、特開平4−270705号公報、特開平6−25332号公報に示されているような2個以上のエ−テル基を有する化合物も好ましく用いることができる。さらには、電子供与体として、再公表WO00/39171に示されているような炭素数2〜8の直鎖状あるいは分岐鎖状炭化水素基を有するマレイン酸ジエステルを用いても良い。これらのマレイン酸ジエステルの中では特にマレイン酸ジn−ブチルが好ましい。
本発明の有機アルミニウム化合物成分[B]としては、アルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムクロライドの様なアルキルアルミニウムハライドなどが使用できるが、アルキルアルミニウムが好ましく、具体的にはトリ(アルキル)アルミニウムであり、具体例としては、トリ(メチル)アルミニウム、トリ(エチル)アルミニウム、トリ(n−プロピル)アルミニウム、トリ(n−ブチル)アルミニウム、トリ(イソブチル)アルミニウム、トリ(n−ヘキシル)アルミニウム、トリ(n−オクチル)アルミニウムなどが挙げられる。この中でも特にトリ(エチル)アルミニウムが好ましい。前記有機アルミニウム化合物は単独で使用しても良いが、2種類以上の混合物としても使用することができる。また、アルキルアルミニウムと水との反応によって得られるポリアルミノキサンも同様に使用することができる。
α−オレフィンの重合触媒として有機アルミニウム化合物成分[B]の使用量は、固体触媒成分[A]のチタンに対するモル比(Al/Ti)で、0.1〜1000、好ましくは50〜600である。
本発明においては、上記の[A]及び[B]に、成分[C]として、前記化2で表わされる有機ケイ素化合物を加えた触媒系でα−オレフィンを重合または共重合する。
本発明における重合法としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの無極性溶媒を使用するスラリ−重合法、モノマ−を気体状態で触媒と接触して重合を行う気相重合法、あるいは液化状態のモノマ−を溶媒としてその中で重合させるバルク重合法などが採用できる。また、上記重合法で、連続重合、バッチ重合のいずれを行ってもよい。
重合圧力は通常0.1〜20MPa、好ましくは1〜6MPa、重合温度は通常10〜150℃、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは60〜90℃である。重合時間は通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜7時間の範囲である。
また、本発明では、エチレンあるいはα−オレフィンを前記の各種重合方法に従って予備重合してから、α−オレフィンの本重合を行うことが好ましい。予備重合の効果としては、重合活性の向上、重合体の立体規則性の向上、重合体の粒子形状の安定化が挙げられる。予備重合の方法としては、あらかじめ触媒固体成分[A]を有機アルミニウム成分[B]及び有機ケイ素化合物成分[B]及
び有機ケイ素化合物成分[C]と接触処理し、限定された量のエチレンあるいはα−オレフィンを重合することにより予備重合処理固体を調製することができる。また、場合によっては、エチレンあるいはα−オレフィンを重合せずに触媒固体成分[A]を有機アルミニウム成分[B]及び有機ケイ素化合物成分[B]及び有機ケイ素化合物成分[C]と接触処理した予備処理固体を調製することができる
び有機ケイ素化合物成分[C]と接触処理し、限定された量のエチレンあるいはα−オレフィンを重合することにより予備重合処理固体を調製することができる。また、場合によっては、エチレンあるいはα−オレフィンを重合せずに触媒固体成分[A]を有機アルミニウム成分[B]及び有機ケイ素化合物成分[B]及び有機ケイ素化合物成分[C]と接触処理した予備処理固体を調製することができる
本発明においては、前記の予備重合処理固体あるいは予備処理固体を、本重合における触媒固体成分として用いる場合は、本重合において成分[C]を省くことができる。
本発明の接触処理としては、成分[A]、成分[B]、成分[C]を混合し、通常、0 〜100 ℃で0 .1 〜10 時間反応する。各成分の混合順序は、特に限定されないが、通常、成分[A]、成分[B]、成分[C]の順が好ましい。接触処理した後に、n- ヘプタンなどの不活性炭化水素溶媒で固体を洗浄、ろ過、分離して、予備重合あるいは本重合の触媒固体成分として用いる。
本発明における予備重合は、気相法、スラリー法、塊状法などで行うことができる。予備重合において得られた固体は分離してから本重合に用いる、あるいは、分離せずに本重合を続けて行うことができる。
予備重合時間は通常、0 .1 〜10 時間であり、触媒固体成分1g 当たり0 .1 〜100g の予備重合体が生成するまで予備重合を続けることが好ましい。触媒固体成分1g 当たり0 .1g 未満であると本重合活性が充分でなく触媒残渣が多くなり、またα−オレフィン重合体の立体規則性も充分でない。また、100g をこえると、重合活性およびα−オレフィン重合体の結晶性が低下する傾向がある。予備重合温度は、0 〜100 ℃、好ましくは10 〜70 ℃で各触媒成分の存在下に行う。50 ℃をこえるような高い温度で予備重合を行う場合は、エチレンあるいはα−オレフィン濃度を小さくするか、重合時間を短くすることが好ましい。そうでないと触媒固体成分1g 当たり0 .1 〜100g の予備重合体の生成を制御することが困難であり、また、本重合で重合活性が低下したり、得られるα−オレフィン重合体の結晶性が低下したりする。
予備重合時の有機アルミニウム化合物成分[B]の使用量は、通常、触媒固体成分[A]のチタン原子に対してAl /Ti モル比が0 .5 〜1000 、好ましくは1 〜100 である。有機ケイ素化合物成分[C]の使用量は、通常、成分[B]のアルミニウム原子に対してSi /Al モル比が0 .01 〜1 、好ましくは0 .08 〜0 .5 である。また予備重合時に、必要に応じて水素を共存させることができる。本発明においては、本重合時に有機アルミニウム化合物成分[B]を用いる場合は、成分[B]の使用量は、触媒固体成分[A]のチタン原子に対してAl /Ti モル比が10 〜800 、好ましくは100 〜400 である。
本発明においては、水素などの連鎖移動剤を使用することができる。所望の立体規則性、融点及び分子量を有するα−オレフィン重合体を製造するための水素の使用量は、重合方法及び重合条件によって、適宜決定することができるが、通常、水素分圧0 .05 〜3の範囲である。
また、本発明に係わるα−オレフィンの重合方法では、α−オレフィンの本重合時に有機アルミニウム化合物成分[B]に加えて有機ケイ素化合物成分[C]を添加する事により、さらに重合活性の向上、重合体の立体規則性を向上させる事ができる。
本発明において、α−オレフィンとしては、プロピレン、1 −ブテン、1 −ヘキセン、4 −メチルペンテン−1 、1 −オクテンなどを挙げることができる。本発明ではフィルムのヒ−トシ−ル温度を下げるため、融点を下げたり、フィルムの透明性を高めるなどの目的でα−オレフィンの重合において少量のエチレンあるいは他のα−オレフィンと共重合したりすることもできる。
また、α−オレフィン重合体からの成形体の低温衝撃強度を高めるために上記α−オレフィンの重合、共重合の後に、さらにα−オレフィンとエチレンとを共重合するいわゆるブロック共重合体の製造も行うことができる。
本発明における触媒系は触媒活性及び水素レスポンスも高く、しかも得られるα−オレフィン重合体の立体規則性が高い。
本発明で得られるα−オレフィン重合体は、本発明で得られるα−オレフィン重合体は、単独で用いるだけではなく、コンパウンド用材として、他のプラスチック、エラストマ−とのブレンド、さらにグラスファイバ−、タルクなどの無機、有機フィラ−の強化剤、その他結晶核剤を混合使用でき、特に限定されないが自動車、家電などの構造材料としてすぐれた性能を発揮できる。
以下に本発明の実施例を説明する。
環状アミノシランのNMRは、日本電子製EX−400装置を用い、TMSを基準とし、温度25℃、CDCl3溶媒を用いて測定した。質量分析は、島津製作所製GCMS QP5050Aを用いて測定した。純度はJ&WサイエンティフィックカラムDB−5(30m×内径0.25mm×厚さ0.25μm)を装備した島津製作所製GC17Aを用い、得られたピークの面積百分率により求めた。
重合活性とは、触媒固体1g 当たりのα−オレフィン重合体の収量(kg)である。
溶融流動性の指標であるMFRは、ASTM−D1238に従って測定した230℃、2.16kgの加重下で10 分間の溶融重合体の重量(g)を表す。
H.Iとは重合体を沸騰n−ヘプタンで6時間抽出試験を行った時の割合(不溶分ポリマー重量/仕込みポリマー重量×100)を示す。
融点(Tm)はDSC(セイコーインスツルメンツ株式会社製SSC−5200:DSC−220C)を用いて測定した。測定方法は室温から230℃まで10℃/min.の速度で昇温して5分間保持した。その後230℃から40℃まで5℃/min.の速度で降温した後、更に40℃から230℃まで10℃/min.の速度で昇温して融点を測定した。
重合体の立体規則性の指標であるmmmm及びmrrm(%)は、プロピレン重合体においてMacromolecules 8,687(1975)に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルのピ−ク強度比より算出した。13C−NMRスペクトルは、日本電子製EX−400の装置を用いてTMSを基準とし、温度130℃、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。このmmmmの値が大きく、更にmrrmの値が小さければ立体規則性が高いことを表す。
(実施例1)
2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンの合成(n=2,R1=R2=Me)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン19.71gとジクロロジエトキシシラン9.59gを混合し、テフロン(登録商標)(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジメチルエチレンジアミン4.27gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン100mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点65.8℃の成分が2.94g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンであると同定した。(収率30%)GC分析による純度は95.3%であった。
2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンの合成(n=2,R1=R2=Me)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン19.71gとジクロロジエトキシシラン9.59gを混合し、テフロン(登録商標)(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジメチルエチレンジアミン4.27gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン100mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点65.8℃の成分が2.94g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンであると同定した。(収率30%)GC分析による純度は95.3%であった。
(実施例2)
2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンの合成(n=3,R1=R2=Me)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン18.03gとジクロロジエトキシシラン8.98gを混合し、テフロン(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジメチル―1,3―プロパンジアミン4.62gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン100mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点76.2℃の成分が3.13g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンであると同定した。(収率34%)GC分析による純度は98.4%であった。
2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンの合成(n=3,R1=R2=Me)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン18.03gとジクロロジエトキシシラン8.98gを混合し、テフロン(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジメチル―1,3―プロパンジアミン4.62gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン100mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点76.2℃の成分が3.13g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンであると同定した。(収率34%)GC分析による純度は98.4%であった。
(実施例3)
2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンの合成(n=2,R1=R2=Et)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン15.59gとジクロロジエトキシシラン7.49gを混合し、テフロン(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジエチルエチレンジアミン4.18gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン50mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点87.2℃の成分が5.31g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンであると同定した。(収率63%)GC分析による純度は98.6%であった。
2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンの合成(n=2,R1=R2=Et)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン15.59gとジクロロジエトキシシラン7.49gを混合し、テフロン(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジエチルエチレンジアミン4.18gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン50mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点87.2℃の成分が5.31g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンであると同定した。(収率63%)GC分析による純度は98.6%であった。
(実施例4)
2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンの合成(n=3,R1=R2=Et)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン15.81gとジクロロジエトキシシラン8.65gを混合し、テフロン(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジエチル―1,3―プロパンジアミン4.96gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン50mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点96.4℃の成分が6.00g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンであると同定した。(収率64%)GC分析による純度は95.1%であった。
2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンの合成(n=3,R1=R2=Et)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン15.81gとジクロロジエトキシシラン8.65gを混合し、テフロン(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジエチル―1,3―プロパンジアミン4.96gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン50mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点96.4℃の成分が6.00g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンであると同定した。(収率64%)GC分析による純度は95.1%であった。
(実施例5)
2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンの合成(n=2,R1=R2=iPr)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン13.47gとジクロロジエトキシシラン6.43gを混合し、テフロン(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジイソプロピルエチレンジアミン4.69gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン100mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点101.0℃の成分が3.54g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンであると同定した。(収率42%)GC分析による純度は99.6%であった。
2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンの合成(n=2,R1=R2=iPr)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン13.47gとジクロロジエトキシシラン6.43gを混合し、テフロン(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジイソプロピルエチレンジアミン4.69gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン100mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点101.0℃の成分が3.54g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンであると同定した。(収率42%)GC分析による純度は99.6%であった。
(実施例6)
2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンの合成(n=3,R1=R2=iPr)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン12.76gとジクロロジエトキシシラン6.17gを混合し、テフロン(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジイソプロピル―1,3―プロパンジアミン4.86gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン100mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点107.5℃の成分が1.57g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンであると同定した。(収率19%)GC分析による純度は95.6%であった。
2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンの合成(n=3,R1=R2=iPr)
窒素雰囲気下、ガラス反応容器で脱水ヘプタン300mLに脱水トリエチルアミン12.76gとジクロロジエトキシシラン6.17gを混合し、テフロン(登録商標)製の攪拌翼で攪拌しながら、室温でN,N’―ジイソプロピル―1,3―プロパンジアミン4.86gを脱水ヘプタン15mLに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下開始から2時間後析出物をろ過で分離し、析出物は脱水ヘプタン100mLで2回洗浄し、洗液は先のろ液と混合した。溶媒を常圧下130℃の油浴中で留去した後、残留物を1mmHgの減圧下で蒸留すると、沸点107.5℃の成分が1.57g得られた。NMRと質量分析よりこれを2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンであると同定した。(収率19%)GC分析による純度は95.6%であった。
(実施例7)
プロピレンの重合
固体触媒成分[A]としては、市販の東邦キャタリスト社製THC−JC型を使用した。Ti含有量は、1.7wt%であった。
内部を窒素で充分置換したマグネットシール攪拌機付の内容積2Lのステンレス製オ−トクレ−ブ内に有機アルミニウム化合物成分[B]としてトリエチルアルミニウムを2.2mmol、成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンを0.36mmol、固体触媒成分[A]のn−ヘプタンスラリ−をチタン原子換算で2.5×10-3mmolを順次導入し、次いで水素を0.4MPa、液化プロピレンを1.2L導入した。引き続きオートクレーブ内を70℃に昇温して70℃で1時間重合を行った。この時の重合圧力は3.8MPaであった。重合終了後、未反応プロピレンガスを放出し、重合体を60℃で15時間減圧乾燥して、白色の粉末状ポリプロピレンを得た。重合活性は、38.3kg/g−Cat.hr、MFRは296g/10min、H.Iは97.0%、融点は163.4℃、mmmmは98.9%、mrrmは0.09%であった。
プロピレンの重合
固体触媒成分[A]としては、市販の東邦キャタリスト社製THC−JC型を使用した。Ti含有量は、1.7wt%であった。
内部を窒素で充分置換したマグネットシール攪拌機付の内容積2Lのステンレス製オ−トクレ−ブ内に有機アルミニウム化合物成分[B]としてトリエチルアルミニウムを2.2mmol、成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンを0.36mmol、固体触媒成分[A]のn−ヘプタンスラリ−をチタン原子換算で2.5×10-3mmolを順次導入し、次いで水素を0.4MPa、液化プロピレンを1.2L導入した。引き続きオートクレーブ内を70℃に昇温して70℃で1時間重合を行った。この時の重合圧力は3.8MPaであった。重合終了後、未反応プロピレンガスを放出し、重合体を60℃で15時間減圧乾燥して、白色の粉末状ポリプロピレンを得た。重合活性は、38.3kg/g−Cat.hr、MFRは296g/10min、H.Iは97.0%、融点は163.4℃、mmmmは98.9%、mrrmは0.09%であった。
(実施例8)
成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は30.3kg/g−cat.hr、MFRは1000g/10min、H.Iは95.2%、融点は162.0℃、mmmmは98.3%、mrrmは0.20%であった。
成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジエチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は30.3kg/g−cat.hr、MFRは1000g/10min、H.Iは95.2%、融点は162.0℃、mmmmは98.3%、mrrmは0.20%であった。
(実施例9)
成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は23.6kg/g−cat.hr、MFRは533g/10min、H.Iは94.7%、融点は161.1℃、mmmmは97.6%、mrrmは0.32%であった。
成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は23.6kg/g−cat.hr、MFRは533g/10min、H.Iは94.7%、融点は161.1℃、mmmmは97.6%、mrrmは0.32%であった。
(実施例10)
成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は22.9kg/g−cat.hr、MFRは799g/10min、H.Iは94.6%、融点は161.5℃、mmmmは97.6%、mrrmは0.30%であった。
成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は22.9kg/g−cat.hr、MFRは799g/10min、H.Iは94.6%、融点は161.5℃、mmmmは97.6%、mrrmは0.30%であった。
(実施例11)
成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は34.9kg/g−cat.hr、MFRは190g/10min、H.Iは94.8%、融点は163.2℃、mmmmは97.2%、mrrmは0.31%であった。
成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロペンタンを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は34.9kg/g−cat.hr、MFRは190g/10min、H.Iは94.8%、融点は163.2℃、mmmmは97.2%、mrrmは0.31%であった。
(実施例12)
成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は24.8kg/g−cat.hr、MFRは157g/10min、H.Iは93.1%、融点は162.5℃、mmmmは97.0%、mrrmは0.33%であった。
成分[C]として2,2−ジエトキシ−1,3−ジイソプロピル−1,3−ジアザ−2−シラシクロヘキサンを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は24.8kg/g−cat.hr、MFRは157g/10min、H.Iは93.1%、融点は162.5℃、mmmmは97.0%、mrrmは0.33%であった。
(比較例1)
成分[C]としてシクロヘキシルメチルジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は42.6kg/g−cat.hr、MFRは76.5g/10min、H.Iは97.0%、融点は162.2℃、mmmmは98.0%、mrrmは0.22%であった。
成分[C]としてシクロヘキシルメチルジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は42.6kg/g−cat.hr、MFRは76.5g/10min、H.Iは97.0%、融点は162.2℃、mmmmは98.0%、mrrmは0.22%であった。
(比較例2)
成分[C]としてエチル(ジエチルアミノ)ジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は37.8kg/g−cat.hr、MFRは120g/10min、H.Iは96.6%、融点は162.3℃、mmmmは98.1%、mrrmは0.24%であった。
成分[C]としてエチル(ジエチルアミノ)ジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は37.8kg/g−cat.hr、MFRは120g/10min、H.Iは96.6%、融点は162.3℃、mmmmは98.1%、mrrmは0.24%であった。
(比較例3)
成分[C]としてジシクロペンチルジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は58.6kg/g−cat.hr、MFRは23.2g/10min、H.Iは98.2%、融点は165.0℃、mmmmは98.8%、mrrmは0.10%であった。
成分[C]としてジシクロペンチルジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は58.6kg/g−cat.hr、MFRは23.2g/10min、H.Iは98.2%、融点は165.0℃、mmmmは98.8%、mrrmは0.10%であった。
本発明の有機ケイ素化合物を、成分[C]を用いることによって、水素レスポンスが高くなっていることがわかる。
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