JP2005120332A - α−オレフィンの重合又は共重合用触媒、その触媒成分及びα−オレフィンの重合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高活性で水素レスポンスが高く、高立体規則性を有するα−オレフィンの重合体又は共重合体の重合又は共重合に用いられるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、その触媒成分及びα−オレフィンの重合方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 特定の構造を有するシラン化合物からなるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒の触媒成分、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに[C]上記の触媒成分からなるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、並びにそれを用いた重合方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 特定の構造を有するシラン化合物からなるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒の触媒成分、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに[C]上記の触媒成分からなるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、並びにそれを用いた重合方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、α−オレフィンの単独重合体の重合又は他のα−オレフィンとの共重合体の共重合に用いられるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、その触媒成分及びα−オレフィンの重合方法に関するものである。
近年、α−オレフィンを重合するために、マグネシウム、チタン、ハロゲン元素、及び電子供与体を必須とする固体触媒成分、周期率表1〜3族金属の有機金属化合物、及び電子供与体からなる高活性担持型触媒系が、特開昭57−63310号公報(特許文献1)、特開昭57−63311号公報(特許文献2)、特開昭58−83016号公報(特許文献3)、特開昭59−58010号公報(特許文献4)、特開昭60−44507号公報(特許文献5)などに数多く提案されている。更に、特開昭62−11705号公報(特許文献6)、特開昭63−223008号公報(特許文献7)、特開昭63−259807号公報(特許文献8)、特開平2−84404号公報(特許文献9)、特開平4−202505号公報(特許文献10)、特開平4−370103号公報(特許文献11)などには、電子供与体として特定の有機ケイ素化合物を用いることを特徴とする重合触媒が開示されている。例えば、特開平2−84404号公報(特許文献12)ではシクロペンチルアルキルジメトキシシランやジシクロペンチルジメトキシシランを電子供与体として用いる方法が開示されているが、この様なケイ素化合物を用いた触媒系では水素レスポンスが必ずしも良くない。また、特開昭63−223008号公報(特許文献13)では水素レスポンスが良好な電子供与体として、ジn−プロピルジメトキシシランを用いた触媒系が開示されているが、特に立体規則性面において満足しうるものではなく、α−オレフィン重合体の剛性が高くならないという問題があった。
特開平9−40714号公報(特許文献14)には脂肪族アミノ置換基有するアルコキシシラン化合物が提案されいる。また、特開平8−3215号公報(特許文献15)、特開平8−100019号公報(特許文献16)、特開平8−157519号公報(特許文献17)には、触媒成分として脂肪族アミノ置換基を1個有するアルコキシシランを用いたα−オレフィンの製造法が提案されているが、特に水素レスポンスの面において必ずしも満足できる性能ではなかった。また、特開平8−143620号公報(特許文献18)には、電子供与体として脂肪族アミノ置換基を2個有するジアルコキシシランを用いたα−オレフィンの製造法が提案されているが、重合活性面、立体規則性面において必ずしも満足できる性能ではなかった。
特開平8−120021号公報(特許文献19)、特開平8−143621号公報(特許文献20)、特開平8−231663号公報(特許文献21)には環状アミノシラン化合物を用いる方法が開示されているが、これらの具体的に記載されている化合物を触媒成分として使用した場合、立体規則性は高いものの、水素レスポンス面においては必ずしも充分に満足できるものではなかった。
前記の電子供与体を用いた担持型触媒系は、性能的に重合活性、立体規則性、水素レスポンスのバランス面において、必ずしも充分に満足できるものではなく、より一層の改良が求められていた。
近年、自動車材料、家電材料を中心とした射出成形分野では、製品の薄肉化、軽量化を目的として、高溶融流動性、且つ、高剛性、高耐熱性のα−オレフィン重合体のニーズが高まっている。そのようなα−オレフィン重合体を製造するには、重合時に水素レスポンスの高い触媒を用いることが重要である。具体的には、α−オレフィン重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤として水素を重合系に共存させることが一般的には行われている。特に、α−オレフィン重合体の溶融流動性を高めるためには、水素により、分子量を低下させる必要がある。α−オレフィン重合体の溶融流動性の指標としては、一般的にメルトフローレイトが用いられており、α−オレフィン重合体の分子量が低くなるとメルトフローレイトが高くなるという関係がある。水素レスポンスが低いとは、α−オレフィン重合体のメルトフローレイトを高めるために重合系内に多量の水素を必要とすることであり、水素レスポンスが高いとは同じメルトフローレイトのα−オレフィン重合体を得る場合に水素レスポンスが低い場合ほどの水素量を必要としない。従って、水素レスポンスが低いと、過剰の量の水素を重合系に導入してα−オレフィン重合体のメルトフローレイトを高めなければならず、生産プロセスにおいて、安全上、耐圧限界のある重合装置では水素分圧が高くなる関係で、重合温度を下げざるを得ず、生産速度ならびに品質に悪影響を及ぼすという問題がある。
本発明は上記の従来技術の問題点を解決し、高活性で水素レスポンスが高く、高立体規則性を有するα−オレフィンの重合体又は共重合体の重合又は共重合に用いられるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、その触媒成分及びα−オレフィンの重合方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明は、化1で表わされるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒の触媒成分である。
(但し、化1において、R1はメチル基であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基又は水素、R3は炭素数1〜6の炭化水素基、あるいは、NR2R3はパーヒドロイソキノリル基、パーヒドロキノリル基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル基である。)
また、本発明は、化1で表わされる触媒成分が含まれたα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、若しくは[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに[C]化1で表わされる有機ケイ素化合物成分からなるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒である。
さらに、本発明は、前記触媒の存在下にα−オレフィンを重合又はは共重合することを特徴とするα−オレフィンの重合方法である。
本発明における触媒系は触媒活性及び水素レスポンスも高く、しかも得られるα−オレフィン重合体の立体規則性が高い。
本発明において、成分[A]としてマグネシウム、チタン、ハロゲン元素、
及び電子供与体を必須とする固体触媒成分を用いる。固体触媒成分[A]の製造方法は特に限定されず、例えば、特開昭54−94590号公報、特開昭5−55405号公報、特開昭56−45909号公報、特開昭56−163102号公報、特開昭57−63310号公報、特開昭57−115408号公報、特開昭58−83006号公報、特開昭58−83016号公報、特開昭58−138707号公報、特開昭59−149905号公報、特開昭60−23404号公報、特開昭60−32805号公報、特開昭61−18330号公報、特開昭61−55104号公報、特開昭63−3010号公報、特開平1−315406号公報、特開平2−77413号公報、特開平2−117905号公報などに提案されている方法が採用できる。
及び電子供与体を必須とする固体触媒成分を用いる。固体触媒成分[A]の製造方法は特に限定されず、例えば、特開昭54−94590号公報、特開昭5−55405号公報、特開昭56−45909号公報、特開昭56−163102号公報、特開昭57−63310号公報、特開昭57−115408号公報、特開昭58−83006号公報、特開昭58−83016号公報、特開昭58−138707号公報、特開昭59−149905号公報、特開昭60−23404号公報、特開昭60−32805号公報、特開昭61−18330号公報、特開昭61−55104号公報、特開昭63−3010号公報、特開平1−315406号公報、特開平2−77413号公報、特開平2−117905号公報などに提案されている方法が採用できる。
固体触媒成分[A]の代表的な製造方法として、(1)マグネシウム化合物、電子供与体、ハロゲン化チタン化合物を共粉砕、あるいは溶媒中で分散、溶解により接触させて調製する方法、(2)トルエン等の溶媒にマグネシウム化合物及び電子供与体を溶解し、この溶液にハロゲン化チタン化合物を添加、反応させて触媒固体を析出させる方法などが挙げられる。
固体触媒成分[A]の調製に使用できるマグネシウム化合物としては、ハロゲン化マグネシウム、ジ(アルコキシ)マグネシウムが挙げられる。ハロゲン化マグネシウムとしては具体的に塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウム、フッ化マグネシウムが挙げられ、特に塩化マグネシウムが好ましい。ジ(アルコキシ)マグネシウムとしては具体的に、ジ(メトキシ)マグネシウム、ジ(エトキシ)マグネシウム、ジ(n−プロポキシ)マグネシウム、ジ(n−ブトキシ)マグネシウム、エトキシ(メトキシ)マグネシウム、エトキシ(n−プロポキシ)マグネシウム、ブトキシ(エトキシ)マグネシウム等が挙げられ、特にジ(エトキシ)マグネシウム、ジ(n−ブトキシ)マグネシウムが好ましい。また、これらのジ(アルコキシ)マグネシウムは、金属マグネシウムをハロゲンあるいはハロゲン含有金属化合物の存在下にアルコールと反応させて調製したものでも良い。前記のジアルコキシマグネシウムは、単独で用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
固体触媒成分[A]の調製に用いるジアルコキシマグネシウムの形状としては、顆粒状、粉末状であり、不定形あるいは球形のものを用いることができる。例えば球形のジアルコキシマグネシウムを用いた場合、モルフォロジーが良好で、しかも粒径分布の狭いα−オレフィン単独重合体、あるいは他のα−オレフィンとの共重合体パウダーが得られるため、パウダー流動性が良く、製造時に、ホッパーやライン閉塞等の問題の解消に繋がる。
固体触媒成分[A]の調製に使用できるハロゲン化チタン化合物の具体例としては、テトラクロロチタン、テトラブロモチタンのテトラハライドチタンや、トリクロロ(メトキシ)チタン、トリクロロ(エトキシ)チタン、トリクロロ(プロポキシ)チタン、トリクロロ(ブトキシ)チタン、トリブロモ(メトキシ)チタン、トリブロモ(エトキシ)チタン、トリブロモ(プロポキシ)チタン、トリブロモ(ブトキシ)チタン等のトリハライド(アルコキシ)チタンや、ジクロロ(ジメトキシ)チタン、ジクロロ(ジエトキシ)チタン、ジクロロ(ジプロポキシ)チタン、ジクロロ(ジブトキシ)チタン等のジハライド(ジアルコキシ)チタンや、クロロ(トリメトキシ)チタン、クロロ(トリエトキシ)チタン、クロロ(トリプロポキ)シチタン、クロロ(トリブトキシ)チタン等のハライド(トリアルコキシ)チタンを挙げることができる。特に、テトラクロロチタンが好ましい。これらのハロゲン化チタン化合物は単独で使用しても良いし、2種類以上併用しても良い。
固体触媒成分[A]の調製に使用する電子供与体としては、ルイス塩基性の化合物であり、好ましくは芳香族ジエステル、好ましくは、オルトフタル酸ジエステルである。オルトフタル酸ジエステルの具体例としては、オルトフタル酸ジメチル、オルトフタル酸(エチル)メチル、オルトフタル酸ジエチル、オルトフタル酸(エチル)n−プロピル、オルトフタル酸ジn−プロピル、オルトフタル酸(n−ブチル)n−プロピル、オルトフタル酸(n−ブチル)エチル、オルトフタル酸(iso−ブチル)エチル、オルトフタル酸ジn−ブチル、オルトフタル酸ジiso−ブチル、オルトフタル酸ジn−ペンチル、オルトフタル酸ジiso−ペンチル、オルトフタル酸ジn−ヘキシル、オルトフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、オルトフタル酸ジn−ヘプチル、オルトフタル酸ジn−オクチルなどが挙げられ、オルトフタル酸ジエチル、オルトフタル酸ジn−プロピル、オルトフタル酸ジn−ブチル、オルトフタル酸ジiso−ブチル、オルトフタル酸ジn−ヘプチル、オルトフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、オルトフタル酸ジn−オクチルが特に好ましい。これらのオルトフタル酸ジエステルは単独で用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
また、電子供与体として、特開平3−706号公報、特開平3−62805号公報、特開平4−270705号公報、特開平6−25332号公報に示されているような2個以上のエ−テル基を有する化合物も好ましく用いることができる。さらには、電子供与体として、再公表WO00/39171に示されているような炭素数2〜8の直鎖状あるいは分岐鎖状炭化水素基を有するマレイン酸ジエステルを用いても良い。これらのマレイン酸ジエステルの中では特にマレイン酸ジn−ブチルが好ましい。
本発明の有機アルミニウム化合物成分[B]としては、アルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムクロライドの様なアルキルアルミニウムハライドなどが使用できるが、アルキルアルミニウムが好ましく、具体的にはトリ(アルキル)アルミニウムであり、具体例としては、トリ(メチル)アルミニウム、トリ(エチル)アルミニウム、トリ(n−プロピル)アルミニウム、トリ(n−ブチル)アルミニウム、トリ(イソブチル)アルミニウム、トリ(n−ヘキシル)アルミニウム、トリ(n−オクチル)アルミニウムなどが挙げられる。この中でも特にトリ(エチル)アルミニウムが好ましい。前記有機アルミニウム化合物は単独で使用しても良いが、2種類以上の混合物としても使用することができる。また、アルキルアルミニウムと水との反応によって得られるポリアルミノキサンも同様に使用することができる。
α−オレフィンの重合触媒として有機アルミニウム化合物成分[B]の使用量は、固体触媒成分[A]のチタンに対するモル比(Al/Ti)で、0.1〜1000、好ましくは50〜600である。
本発明においては、上記の[A]及び[B]に、成分[C]として、前記化1で表わされる有機ケイ素化合物を加えた触媒系でα−オレフィンを重合または共重合する。
化1においてR1はメチル基である。
化1においてR2は、炭素数は炭素数1〜6の炭化水素基又は水素であり、炭素数1〜6の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基又は水素などが挙げられる。具体例としては水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。特に好ましくはエチル基である。
化1においてR3は炭素数は炭素数1〜6の炭化水素基であり、炭素数1〜6の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。特に好ましくはエチル基である。
また、化1において、NR2R3がパーヒドロイソキノリル基、パーヒドロキノリル基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル基であってもよい。
成分[C]としては、ジエチルアミノトリメトキシシラン、メチル−n―プロピルアミノトリメトキシシラン、t−ブチルアミノトリメトキシシラン、エチル−n−プロピルアミノトリメトキシシラン及びメチルエチルアミノトリメトキシシラン、パーヒドロイソキノリノトリメトキシシラン、パーヒドロキノリノトリメトキシシラン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノトリメトキシシラン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリノトリメトキシシランのうちいずれか一以上であることが好ましい。これら有機ケイ素化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上併用しても良い。
本発明で用いる成分[C]のジエチルアミノトリメトキシシランは、たとえば、ジエチルアミンとグリニャール試薬を当量反応させて、グリニャール交換反応により、ジエチルアミンのマグネシウム塩を得た後、引き続いて、テトラメトキシシランとジエチルアミンのマグネシウム塩の当量反応により合成することができる。また、ジエチルアミンのマグネシウム塩のかわりに、ジエチルアミンのリチウム塩を用いても良い。
本発明で用いる成分[C]のメチル−n―プロピルアミノトリメトキシシランは、たとえば、メチル−n―プロピルアミンとグリニャール試薬を当量反応させて、グリニャール交換反応により、メチル−n―プロピルアミンのマグネシウム塩を得た後、引き続いて、テトラメトキシシランとメチル−n―プロピルアミンのマグネシウム塩の当量反応により合成することができる。また、メチル−n―プロピルアミンのマグネシウム塩のかわりに、メチル−n―プロピルアミンのリチウム塩を用いても良い。
本発明における重合法としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの無極性溶媒を使用するスラリ−重合法、モノマ−を気体状態で触媒と接触して重合を行う気相重合法、あるいは液化状態のモノマ−を溶媒としてその中で重合させるバルク重合法などが採用できる。また、上記重合法で、連続重合、バッチ重合のいずれを行ってもよい。
重合圧力は通常0.1〜20MPa、好ましくは1〜6MPa、重合温度は通常10〜150 ℃、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは60〜90℃である。重合時間は通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜7時間の範囲である。
また、本発明では、エチレンあるいはα−オレフィンを前記の各種重合方法に従って予備重合してから、α−オレフィンの本重合を行うことが好ましい。予備重合の効果としては、重合活性の向上、重合体の立体規則性の向上、重合体の粒子形状の安定化が挙げられる。予備重合の方法としては、あらかじめ触媒固体成分[A]を有機アルミニウム成分[B ]及び有機ケイ素化合物成分[B]及
び有機ケイ素化合物成分[C]と接触処理し、限定された量のエチレンあるいはα−オレフィンを重合することにより予備重合処理固体を調製することができる。また、場合によっては、エチレンあるいはα−オレフィンを重合せずに触媒固体成分[A]を有機アルミニウム成分[B ]及び有機ケイ素化合物成分[B]及び有機ケイ素化合物成分[C]と接触処理した予備処理固体を調製することができる
び有機ケイ素化合物成分[C]と接触処理し、限定された量のエチレンあるいはα−オレフィンを重合することにより予備重合処理固体を調製することができる。また、場合によっては、エチレンあるいはα−オレフィンを重合せずに触媒固体成分[A]を有機アルミニウム成分[B ]及び有機ケイ素化合物成分[B]及び有機ケイ素化合物成分[C]と接触処理した予備処理固体を調製することができる
本発明においては、前記の予備重合処理固体あるいは予備処理固体を、本重合における触媒固体成分として用いる場合は、本重合において成分[C]を省くことができる。
本発明の接触処理としては、成分[A]、成分[B]、成分[C]を混合し、通常、0〜100℃で0.1〜10時間反応する。各成分の混合順序は、特に限定されないが、通常、成分[A]、成分[B]、成分[C]の順が好ましい。接触処理した後に、n−ヘプタンなどの不活性炭化水素溶媒で固体を洗浄、ろ過、分離して、予備重合あるいは本重合の触媒固体成分として用いる。
本発明における予備重合は、気相法、スラリー法、塊状法などで行うことができる。予備重合において得られた固体は分離してから本重合に用いる、あるいは、分離せずに本重合を続けて行うことができる。
予備重合時間は通常、0.1〜10時間であり、触媒固体成分1g当たり0.1〜100gの予備重合体が生成するまで予備重合を続けることが好ましい。触媒固体成分1g当たり0 .1g 未満であると本重合活性が充分でなく触媒残渣が多くなり、またα−オレフィン重合体の立体規則性も充分でない。また、100gをこえると、重合活性およびα−オレフィン重合体の結晶性が低下する傾向がある。予備重合温度は、0〜100℃、好ましくは10〜70℃で各触媒成分の存在下に行う。50℃をこえるような高い温度で予備重合を行う場合は、エチレンあるいはα−オレフィン濃度を小さくするか、重合時間を短くすることが好ましい。そうでないと触媒固体成分1g当たり0.1〜100gの予備重合体の生成を制御することが困難であり、また、本重合で重合活性が低下したり、得られるα−オレフィン重合体の結晶性が低下したりする。
予備重合時の有機アルミニウム化合物成分[B]の使用量は、通常、触媒固体成分[A]のチタン原子に対してAl/Tiモル比が0.5〜1000、好ましくは1〜100である。有機ケイ素化合物成分[C]の使用量は、通常、成分[B]のアルミニウム原子に対してSi/Alモル比が0.01〜1、好ましくは0.08〜0.5である。また予備重合時に、必要に応じて水素を共存させることができる。本発明においては、本重合時に有機アルミニウム化合物成分[B]を用いる場合は、成分[B]の使用量は、触媒固体成分[A]のチタン原子に対してAl/Tiモル比が10〜800、好ましくは100〜400である。
本発明においては、水素などの連鎖移動剤を使用することができる。所望の立体規則性、融点及び分子量を有するα−オレフィン重合体を製造するための水素の使用量は、重合方法及び重合条件によって、適宜決定することができるが、通常、水素分圧0.05〜3の範囲である。
また、本発明に係わるα−オレフィンの重合方法では、α−オレフィンの本重合時に有機アルミニウム化合物成分[B]に加えて有機ケイ素化合物成分[C]を添加する事により、さらに重合活性の向上、重合体の立体規則性を向上させる事ができる。
本発明において、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4 −メチルペンテン−1、1−オクテンなどを挙げることができ
る。本発明ではフィルムのヒ−トシ−ル温度を下げるため、融点を下げたり、フィルムの透明性を高めるなどの目的でα−オレフィンの重合において少量のエチレンあるいは他のα−オレフィンと共重合することもできる。
る。本発明ではフィルムのヒ−トシ−ル温度を下げるため、融点を下げたり、フィルムの透明性を高めるなどの目的でα−オレフィンの重合において少量のエチレンあるいは他のα−オレフィンと共重合することもできる。
また、α−オレフィン重合体からの成形体の低温衝撃強度を高めるために上記α−オレフィンの重合、共重合の後に、さらにα−オレフィンとエチレンとを共重合するいわゆるブロック共重合体の製造も行うことができる。
本発明における触媒系は触媒活性及び水素レスポンスも高く、しかも得られるα−オレフィン重合体の立体規則性が高い。
本発明で得られるα−オレフィン重合体は、本発明で得られるα−オレフィン重合体は、単独で用いるだけではなく、コンパウンド用材として、他のプラスチック、エラストマ−とのブレンド、さらにグラスファイバ−、タルクなどの無機、有機フィラ−の強化剤、その他結晶核剤を混合使用でき、特に限定されないが自動車、家電などの構造材料としてすぐれた性能を発揮できる。
以下に本発明の実施例を説明する。実施例において、「重合活性」とは、触媒固体1g 当たりのα−オレフィンの重合体の収量(Kg)である。
溶融流動性(M.F.R.)は、ASTM−D1238にしたがって測定した230℃、2.16Kgの加重下で10 分間の溶融重合体の重量(g)を表す。H.Iとは重合体を沸騰n−ヘプタンで6時間抽出試験を行った時の割合(不溶分ポリマー重量/仕込みポリマー重量×100)を示す。融点(Tm)はDSC(セイコー電子工業製SSC−5200DSC−220C)を用いて測定した。測定方法は室温から230℃まで10℃/min.の速度で昇温し、そのまま5分間保持したのちに230℃から40℃まで5℃/min.の速度で降温した後更に40℃から230℃まで10℃/min.の速度で昇温し、融点を測定した。
重合体の立体規則性の指標であるミクロタクティシティ−を調べたアイソペンタッド分率(mmmm )%は、プロピレン重合体においてMacromolecules 8,687(1975)に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルのピ−ク強度比より算出した。13C−NMRスペクトルは、日本電子製 EX−400の装置を用い、TMSを基準とし、温度130℃、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。
<成分[C]ジエチルアミノトリメトキシシランの合成例>
マグネットシール攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口のフラスコ(容量1L)に、トルエン100mL、テトラヒドロフラン10mL、ジエチルアミン14.6g(0.2mol)を導入し、混合攪拌した。一方、滴下ロートには、グリニャール試薬(力価=1.71mol/L)を129mL(0.22mol)入れた。その後、攪拌しながら、室温下(空冷)、滴下ロートから、グリニャール試薬を30分かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌を行い、グリニャール交換反応を行った。その後、あらかじめ滴下ロートに導入しておいたテトラメトキシシラン30.4g(0.2mol)を15分かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、60℃で2時間反応を行った。この時、フラスコ内にはマグネシウムメトキシクロリドの固体が析出した。反応液を一部採取して、ガスクロマトグラフィーで目的物が生成しているのを確認した後に、窒素雰囲気下、G4ガラスフィルターを備えた容器にフラスコ内の反応液をすべて移液し、低圧窒素(0.01MPa)で加圧ろ過を行った。さらにろ残(マグネシウムメトキシクロリド)をトルエンでろ液中に目的物が確認できなくなるまで洗浄、ろ過を繰り返した。ろ液ならびにろ残洗浄混合液は減圧下、濃縮してトルエン等の溶媒成分を留去し、続いて、蒸留精製を行い、目的物を回収した。目的物の外観は無色透明の液体で、沸点は52℃/0.5mmHg、GC純度は98.0%であった。
マグネットシール攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口のフラスコ(容量1L)に、トルエン100mL、テトラヒドロフラン10mL、ジエチルアミン14.6g(0.2mol)を導入し、混合攪拌した。一方、滴下ロートには、グリニャール試薬(力価=1.71mol/L)を129mL(0.22mol)入れた。その後、攪拌しながら、室温下(空冷)、滴下ロートから、グリニャール試薬を30分かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌を行い、グリニャール交換反応を行った。その後、あらかじめ滴下ロートに導入しておいたテトラメトキシシラン30.4g(0.2mol)を15分かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、60℃で2時間反応を行った。この時、フラスコ内にはマグネシウムメトキシクロリドの固体が析出した。反応液を一部採取して、ガスクロマトグラフィーで目的物が生成しているのを確認した後に、窒素雰囲気下、G4ガラスフィルターを備えた容器にフラスコ内の反応液をすべて移液し、低圧窒素(0.01MPa)で加圧ろ過を行った。さらにろ残(マグネシウムメトキシクロリド)をトルエンでろ液中に目的物が確認できなくなるまで洗浄、ろ過を繰り返した。ろ液ならびにろ残洗浄混合液は減圧下、濃縮してトルエン等の溶媒成分を留去し、続いて、蒸留精製を行い、目的物を回収した。目的物の外観は無色透明の液体で、沸点は52℃/0.5mmHg、GC純度は98.0%であった。
実施例1
固体触媒成分[A]としては、市販の東邦キャタリスト社製THC−JC型を使用した。Ti含有量は、1.7wt%であった。
固体触媒成分[A]としては、市販の東邦キャタリスト社製THC−JC型を使用した。Ti含有量は、1.7wt%であった。
<プロピレンの重合>
内部を窒素で充分置換したマグネットシール攪拌機付の内容積2Lのステンレス製オ−トクレ−ブ内に前記で得られた固体触媒成分[A]のn−ヘプタンスラリ−をチタン原子換算で5×10-3mmol、有機アルミニウム化合物成分[B]としてトリ(エチル)アルミニウムを2.0mmol、成分[C]として
ジエチルアミノトリメトキシシランを0.36mmol入れ、次いで水素(0.4MPa)、液化プロピレン(1.2L)を順次導入した。オ−トクレ−ブ内を10℃に冷却し、攪拌を開始して10分間予備重合を行った。引き続きオートクレーブ内を70℃に昇温し、さらに70℃で1時間、重合を行った。この時の重合圧力は3.8MPaであった。重合終了後、未反応プロピレンガスを放出し、重合体を60℃で20時間減圧乾燥して、白色の粉末状ポリプロピレンを得た。
重合活性は、13.7Kg/g−Cat.hr、MFRは280g/10min、融点は162.3℃、mmmmは98.0であった。
内部を窒素で充分置換したマグネットシール攪拌機付の内容積2Lのステンレス製オ−トクレ−ブ内に前記で得られた固体触媒成分[A]のn−ヘプタンスラリ−をチタン原子換算で5×10-3mmol、有機アルミニウム化合物成分[B]としてトリ(エチル)アルミニウムを2.0mmol、成分[C]として
ジエチルアミノトリメトキシシランを0.36mmol入れ、次いで水素(0.4MPa)、液化プロピレン(1.2L)を順次導入した。オ−トクレ−ブ内を10℃に冷却し、攪拌を開始して10分間予備重合を行った。引き続きオートクレーブ内を70℃に昇温し、さらに70℃で1時間、重合を行った。この時の重合圧力は3.8MPaであった。重合終了後、未反応プロピレンガスを放出し、重合体を60℃で20時間減圧乾燥して、白色の粉末状ポリプロピレンを得た。
重合活性は、13.7Kg/g−Cat.hr、MFRは280g/10min、融点は162.3℃、mmmmは98.0であった。
実施例2
成分[C]としてパーヒドロイソキノリノトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は14.1kg/g−cat.hr、MFRは276g/10min、融点は162.3℃、mmmmは98.1%であった。
成分[C]としてパーヒドロイソキノリノトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は14.1kg/g−cat.hr、MFRは276g/10min、融点は162.3℃、mmmmは98.1%であった。
比較例1
成分[C]としてシクロヘキシルメチルジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は42.6kg/g−cat.hr、MFRは76.5g/10min、融点は162.2℃、mmmmは98.0%であった
成分[C]としてシクロヘキシルメチルジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は42.6kg/g−cat.hr、MFRは76.5g/10min、融点は162.2℃、mmmmは98.0%であった
比較例2
成分[C]としてエチル(ジエチルアミノ)ジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は37.8kg/g−cat.hr、MFRは120g/10min、融点は162.3℃、mmmmは98.1%であった
成分[C]としてエチル(ジエチルアミノ)ジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、重合活性は37.8kg/g−cat.hr、MFRは120g/10min、融点は162.3℃、mmmmは98.1%であった
本発明の有機ケイ素化合物を、成分[C]を用いることによって、水素レスポンスが高くなっていことがわかる。
Claims (4)
- 請求項1記載の触媒成分が含まれたα−オレフィンの重合又は共重合用触媒。
- [A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに[C]請求項1記載の触媒成分からなるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒。
- 請求項3記載の触媒の存在下にα−オレフィンを重合又は共重合することを特徴とするα−オレフィンの重合方法。
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---|---|---|---|---|
JP2007224098A (ja) * | 2006-02-22 | 2007-09-06 | Toho Catalyst Co Ltd | オレフィン類重合用触媒及びこれを用いたオレフィン類重合体の製造方法 |
JP2008056728A (ja) * | 2006-08-29 | 2008-03-13 | Toho Catalyst Co Ltd | オレフィン類重合用触媒成分、触媒およびこれを用いたオレフィン類重合体の製造方法 |
WO2008050883A1 (fr) * | 2006-10-27 | 2008-05-02 | Toho Catalyst Co., Ltd. | Procede destine a produire un copolymere bloc d'ethylene-propylene |
CN102336780A (zh) * | 2010-07-16 | 2012-02-01 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种吗啉基硅烷类化合物及其制备方法 |
JP2019507750A (ja) * | 2016-02-12 | 2019-03-22 | シースター ケミカルズ ユーエルシー | 有機金属化合物及び方法 |
-
2004
- 2004-02-05 JP JP2004028800A patent/JP2005120332A/ja active Pending
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