JP3946380B2 - α−オレフィンの重合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な触媒構成成分として、特定の構造を有する有機ケイ素化合物を用いて、予備重合及び本重合を行うことにより、水素感受性が高く、高活性で高立体規則性、且つ、分子量分布の広いα−オレフィンの単独重合体、あるいは、他のα−オレフィンとの共重合体を製造する方法に関するものである。この製造法で得られたα−オレフィンの単独重合体、あるいは他のα−オレフィンとの共重合体は成形加工性が良好で、しかも射出成形品における外観不良(フローマーク)の問題がない。
【0002】
【従来の技術】
近年、α−オレフィンを重合するために、マグネシウム、チタン、ハロゲン元素、及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、周期率表1〜3族金属の有機金属化合物、及び電子供与体からなる高活性担持型触媒系が、特開昭57−63310号公報、特開昭58−83016号公報、特開昭59−58010号公報、特開昭60−44507号公報などに数多く提案されている。さらに、特開昭62−11705号公報、特開昭63−259807号公報、特開平2−84404号公報、特開平4−202505号公報、特開平4−370103号公報などには、電子供与体として特定の有機ケイ素化合物を用いることを特徴とする重合触媒が開示されている。
【0003】
しかし、上記の担持型触媒系を用いて得られるプロピレン重合体は、通常、分子量分布は狭く、重合体溶融時の粘弾性が小さく、用途によっては、成形性、成形体の外観などに問題となる場合がある。この問題を改善するために、特開昭63−245408号公報、特開平2−232207号公報、特開平4−370103号公報などには、複数の重合器を用いる重合、あるいは、多段重合によって、分子量分布を拡大する方法が開示されている。しかし、この様な方法は、煩雑な操作が必要で工業的に生産速度を下げざるを得ず、コスト面を含めて好ましくない。さらには、低分子量でしかも分子量分布の広いプロピレン重合体を複数の重合器で製造するには、一方の重合器で水素などの連鎖移動剤を過剰に用いて低分子量の重合体を製造しなければならず、耐圧限界のある重合器では重合温度を下げざるを得ず、生産速度に悪影響を及ぼす問題がある。
【0004】
また、特開平8−120021号公報、特開平8−143621号公報、特開平8−231663号公報には環状アミノシラン化合物を用いる方法が開示されているが、これらの具体的に記載されている化合物では、分子量分布が必ずしも広くないという問題がある。
【0005】
また、特開平6−25336号公報、特開平7−90012号公報、特開平7−97411号公報などには、複素環内の任意の炭素原子が珪素原子と直接結合している窒素原子含有複素環式置換有機ケイ素化合物を用いる方法が開示されているが、分子量分布については記載されていない。
また、特開平3−74393号公報、特開平7−173212号公報には、単環式アミノ基含有有機ケイ素化合物を用いる方法が開示されているいが、分子量分布については記載されていない。
【0006】
一方、分子量分布が広く、且つ、立体規則性の高いプロピレン重合体は、高立体規則性の低分子量プロピレン重合体と、高立体規則性の高分子量プロピレン重合体を従来法であらかじめ別々に製造し、それらを所望の割合で溶融混合することにより製造することが考えられる。しかし、特に、低分子量プロピレン重合体と高分子量プロピレン重合体の分子量の差が大きい場合、均一に溶融混合することが極めて困難であり、ゲル生成、耐衝撃性の低下等の問題が生じる。
【0007】
EP−A−841348公報(特開平10−218926)において、特定の多環式アミノ基含有有機ケイ素化合物を用いる方法により、分子量分布が大きいプロピレン重合体が得られることが本発明者により開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかるα−オレフィン重合体の分子量を調整するには、連鎖移動剤である水素を重合系に共存させる必要があるが、前記多環式アミノ基含有有機ケイ素化合物を用いると、水素感受性が低いという問題点がある。水素感受性が低いと、多量の水素を用いて低分子量のα−オレフィン重合体を製造しなければならない。そのため、耐圧限界のある重合器では、水素分圧が高くなるために重合温度を下げざるを得ず、生産速度に悪影響を及ぼす。
【0009】
また、得られたα−オレフィン重合体の射出成形品においては、成型品の外観不良(フローマーク)が生じ、重合体製造条件によって、できるかぎり外環不良を少なくすることが強く求められている。しかしながら、必ずしも問題をなくするところまで至っていない。
【0010】
そこで、本発明は、上記の従来技術の問題点を解決し、高活性で水素感受性が高く、高立体規則性、且つ、広い分子量分布を有するα−オレフィン重合体の重合方法を提供することを目的とする。また、射出成形品における、外観不良(フローマーク)がより改良されたα−オレフィンの重合方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、[C]化4で表される有機ケイ素化合物成分、並びに[D]化5または化6で表される有機ケイ素化合物成分を添加してα−オレフィンを重合または共重合することを特徴とするα−オレフィンの重合方法及びそれにより製造されるα−オレフィン重合体である。
【0012】
【化4】
(但し、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を示し、nは1〜2の整数である。)
【0013】
【化5】
【化6】
(但し、化5または化6において、R1は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜24の炭化水素基、炭素数2〜24の炭化水素アミノ基又は炭素数1〜24の炭化水素アルコキシ基を示し、R3Nは窒素原子とともに骨格を形成する炭素数が7〜40の多環式アミノ基を示す。)。
【0014】
本発明においては、上記成分[C]及び[D]を用いることが必須であり、例えば成分[C]を予備重合で用い、成分[D]を本重合で用いる、あるいは成分[D]を予備重合で用い、成分[C]を予備重合で用いることができる。また、成分[C]と[D]の混合物を予備重合若しくは本重合で用いる、またはその混合物を予備重合及び本重合の両方で用いることができる。さらに、成分[C]で予備重合し、成分[C]と[D]の混合物で本重合する、あるいは成分[C]と[D]の混合物で予備重合し、成分[D]で本重合することもできる。
【0015】
本発明において、前記α−オレフィンの重合または共重合は、特に[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、[C]上記化4で表される有機ケイ素化合物成分からなる触媒でα−オレフィンを予備重合し、更に[D]上記化5または化6で表される有機ケイ素化合物成分を添加してα−オレフィンを重合または共重合することが好ましい。
【0016】
また、本発明において、前記α−オレフィンの重合または共重合での有機ケイ素化合物成分[C]の使用量は、成分[A]のチタン原子に対してSi/Tiモル比が0.1〜10であり、成分[B]のアルミニウム原子に対してSi/Alモル比が0.01〜2であることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、該有機ケイ素化合物[C]を触媒固体成分[A]および有機アルミニウム化合物成分[B]とともに用いてプロピレン重合した場合に得られるホモポリプロピレンの溶融流動性MFR(C)と、該有機ケイ素化合物[D]を該有機ケイ素化合物[C]と同一条件下で[C]の代わりに[D]を用いてプロピレン重合した場合に得られるホモポリプロピレンのMFR(D)とが、1.3≦log[MFR(C)/MFR(D)]≦4.0、好ましくは、1.4≦log[[MFR(C)/MFR(D)]≦4.0、特に好ましくは、1.6≦log[MFR(C)/MFR(D)]≦4.0の関係を満たす有機ケイ素化合物[C]及び[D]をそれぞれ用いることが好ましい。
【0018】
また、前記有機ケイ素化合物[C]を触媒固体成分[A]および有機アルミニウム化合物成分[B]とともに用いてプロピレン重合した場合に得られるホモポリプロピレンのアイソペンタッド分率mmmm(C)(%)と、前記有機ケイ素化合物[D]を前記有機ケイ素化合物[C]と同一条件下で[C]の代わりに[D]を用いてプロピレン重合した場合に得られるホモポリプロピレンのmmmm(D)(%)とが、0.96<[mmmm(D)/mmmm(C)]≦1.1、かつ96%≦mmmm(D)の関係を満たす有機ケイ素化合物[C]及び[D]をそれぞれ用いることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明は、触媒固体成分[A]、有機アルミニウム化合物成分[B]、有機ケイ素化合物[C]、及び、有機ケイ素化合物[D]からなる触媒系から得られるα−オレフィン重合体であって、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)のポリスチレン換算による重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの比Mw/Mnが8〜20であり、Z平均分子量Mz及び重量平均分子量Mwの比Mz/Mwが5〜10であることを特徴とするα−オレフィン重合体である。
【0020】
またさらに、本発明は、触媒固体成分[A]、有機アルミニウム化合物成分[B]、有機ケイ素化合物[C]、及び有機ケイ素化合物[D]からなる触媒系から得られるα―オレフィン重合体を用いることを特徴とする射出成型品である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記成分[A]としてマグネシウム、チタン、ハロゲン元素、及び電子供与体を必須とする触媒固体成分を用いる。成分[A]の触媒固体成分の製造方法は特に限定されず、例えば、特開昭54−94590号公報、特開昭5−55405号公報、特開昭56−45909号公報、特開昭56−163102号公報、特開昭57−63310号公報、特開昭57−115408号公報、特開昭58−83006号公報、特開昭58−83016号公報、特開昭58−138707号公報、特開昭59−149905号公報、特開昭60−23404号公報、特開昭60−32805号公報、特開昭61−18330号公報、特開昭61−55104号公報、特開平2−77413号公報、特開平2−117905号公報などに提案されている方法が採用できる。
【0022】
成分[A]の代表的な製造方法として、(1)塩化マグネシウムなどのマグネシウム化合物、電子供与体、及び四塩化チタンなどのハロゲン化チタン化合物を共粉砕する方法、(2)溶媒にマグネシウム化合物及び電子供与体を溶解し、この溶液にハロゲン化チタン化合物を添加して触媒固体を析出させる方法などが挙げられる。
【0023】
成分[A]としては、特開昭60−152511号公報、特開昭61−31402号公報、特開昭62−81405号公報に記載の触媒固体成分が、本発明の効果を達成する上で特に好ましい。これら記載の製造方法によれば、ハロゲン化アルミニウムとケイ素化合物を反応させ、さらにグリニャ−ル化合物を反応させて固体を析出させる。上記反応で使用することのできるハロゲン化アルミニウムは、無水のハロゲン化アルミニウムが好ましいが、吸湿性により完全に無水のものを用いることが困難であり、少量の水分を含有するハロゲン化アルミニウムも用いることができる。ハロゲン化アルミニウムの具体例としては、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三沃化アルミニウムを挙げることができ、特に三塩化アルミニウムが好ましい。
【0024】
上記反応で使用されるケイ素化合物の具体例として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン、トリメチルモノブトキシシランを挙げることができる。特に、メチルフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0025】
ハロゲン化アルミニウムとケイ素化合物の反応における化合物の使用量は、元素比(Al/Si)で通常0.4〜1.5、好ましくは0.7〜1.3の範囲であり、反応するに際しヘキサン、トルエンなどの不活性溶媒を使用することが好ましい。反応温度は通常10〜100℃、好ましくは20〜80℃であり、反応時間は通常0.2〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。
【0026】
上記反応で使用されるマグネシウム化合物の具体例としては、エチルマグネシウムクロライド、プロピルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムアイオダイドが挙げられる。マグネシウム化合物の溶媒としては、例えば、ジエチルエ−テル、ジブチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、ジイソアミルエ−テル等の脂肪族エ−テル、テトラヒドロフランなどの脂肪族環状エ−テルを使用することができる。
【0027】
マグネシウム化合物の使用量は、前記ハロゲン化アルミニウムとケイ素化合物の反応生成物の調製に使用されたハロゲン化アルミニウムに対する元素比(Mg/Al)で通常0.5〜3、好ましくは1.5〜2.3の範囲である。反応温度は通常−50〜100℃、好ましくは−20〜50℃、反応時間は通常0.2〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。
【0028】
ハロゲン化アルミニウムとケイ素化合物との反応、続いてグリニヤ−ル化合物との反応において得られた白色系の固体を、電子供与体及びハロゲン化チタン化合物と接触処理する。接触処理の方法としては、 (1) 固体をハロゲン化チタン化合物で処理した後、電子供与体で処理し、さらに再度ハロゲン化チタン化合物で処理する方法、および、(2) 固体をハロゲン化チタン化合物と電子供与体の共存下で処理した後、ハロゲン化チタン化合物で処理する方法などの従来良く知られた方法が採用できる。
【0029】
例えば、上記固体を不活性溶媒中に分散させ、これに電子供与体または/及びハロゲン化チタン化合物を溶解する、あるいは不活性溶媒を使用せずに電子供与体または/及び液状ハロゲン化チタン化合物の中に固体を分散させる。この場合、固体と電子供与体または/及びハロゲン化チタン化合物との接触処理を攪拌下、温度は通常50〜150℃、接触時間は特に制限はないが通常0.2〜5時間で行うことができる。また、この接触処理を複数回行うこともできる。
【0030】
接触処理に使用できるハロゲン化チタン化合物の具体例としては、テトラクロロチタン、テトラブロモチタン、トリクロロモノブトキシチタン、トリブロモモノエトキシチタン、トリクロロモノイソプロポキシチタン、ジクロロジエトキシチタン、ジクロロジブトキシチタン、モノクロロトリエトキシチタン、モノクロロトリブトキシチタンを挙げることができる。特に、テトラクロロチタン、トリクロロモノブトキシチタンが好ましい。
【0031】
上記の接触処理で使用する電子供与体としては、ルイス塩基性の化合物であり、好ましくは芳香族ジエステル、特に好ましくは、オルトフタル酸ジエステルである。オルトフタル酸ジエステルの具体例としては、オルトフタル酸ジエチル、オルトフタル酸ジn−ブチル、オルトフタル酸ジイソブチル、オルトフタル酸ジペンチル、オルトフタル酸ジ−n−ヘキシル、オルトフタル酸ジ−2− エチルヘキシル、オルトフタル酸ジ−n−ヘプチル、オルトフタル酸ジ−n−オクチルなどが挙げられる。
【0032】
また、電子供与体として、特開平3−706号公報、同3−62805号公報、同4−270705号公報、同6−25332号公報に示されているような2個以上のエ−テル基を有する化合物を用いてもよく、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン等が好ましい。
【0033】
上記の接触処理の後に、一般には処理固体を処理混合物から分離し、不活溶剤で充分洗浄して得られる固体を、本発明の触媒固体成分[A]としてα−オレフィンの重合触媒として使用することができる。
【0034】
本発明の有機アルミニウム化合物成分[B]としては、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハライドなどが使用できるが、アルキルアルミニウムが好ましく、特に好ましいのはトリアルキルアルミニウムであり、具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。前記有機アルミニウム化合物類はいずれも混合物としても使用することができる。また、アルキルアルミニウムと水との反応によって得られるポリアルミノキサンも同様に使用することができる。
【0035】
α−オレフィンの重合触媒として有機アルミニウム化合物成分[B]の使用量は、触媒固体成分[A]のチタンに対する元素モル比(Al/Ti)で、0.1〜500、好ましくは0.5〜500である。
【0036】
本発明において、成分[C]は、前記化4で表わされる炭化水素基を有する有機ケイ素化合物であり、化4において、Rは炭素数1〜8の炭化水素基であり、炭素数1〜8の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。また、nは1〜2の整数であり、特にn=2が好ましい。化4におけるRは全て同一でもよいし異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0037】
具体的な化合物としては、ジ(メチル)ジメトキシシラン、エチル(メチル)ジメトキシシラン、ジ(エチル)ジメトキシシラン、メチル(n−プロピル)ジメトキシシラン、エチル(n−プロピル)ジメトキシシラン、ジ(n−プロピル)ジメトキシシラン、メチル(iso−プロピル)ジメトキシシラン、エチル(iso−プロピル)ジメトキシシラン、n−プロピル(iso−プロピル)ジメトキシシラン、ジ(iso−プロピル)ジメトキシシラン、n−ブチル(メチル)ジメトキシシラン、n−ブチル(エチル)ジメトキシシラン、n−ブチル(n−プロピル)ジメトキシシラン、iso−プロピル(n−ブチル)ジメトキシシラン、ジ(n−ブチル)ジメトキシシラン、iso−ブチル(メチル)ジメトキシシラン、iso−ブチル(エチル)ジメトキシシラン、n−プロピル(iso−ブチル)ジメトキシシラン、iso−プロピル(iso−ブチル)ジメトキシシラン、n−ブチル(iso−ブチル)ジメトキシシラン、ジ(iso−ブチル)ジメトキシシラン、ter−ブチル(メチル)ジメトキシシラン、エチル(ter−ブチル)ジメトキシシラン、ter−ブチル(n−プロピル)ジメトキシシラン、iso−プロピル(ter−ブチル)ジメトキシシラン、n−ブチル(ter−ブチル)ジメトキシシラン、iso−ブチル(ter−ブチル)ジメトキシシラン、sec−ブチル(メチル)ジメトキシシラン、sec−ブチル(エチル)ジメトキシシラン、sec−ブチル(n−プロピル)ジメトキシシラン、iso−プロピル(sec−ブチル)ジメトキシシラン、n−ブチル(sec−ブチル)ジメトキシシラン、iso−ブチル(sec−ブチル)ジメトキシシラン、ter−ブチル(sec−ブチル)ジメトキシシラン、ジ(sec−ブチル)ジメトキシシラン、メチル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、エチル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、n−プロピル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、iso−プロピル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、n−ブチル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、iso−ブチル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、ter−ブチル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、sec−ブチル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、ジ(n−ペンチル)ジメトキシシラン、メチル(iso−ペンチル)ジメトキシシラン、エチル(iso−ペンチル)ジメトキシシラン、n−プロピル(iso−ペンチル)ジメトキシシラン、n−ブチル(iso−ペンチル)ジメトキシシラン、n−ペンチル(iso−ペンチル)ジメトキシシラン、ジ(iso−ペンチル)ジメトキシシラン、メチル(n−ヘキシル)ジメトキシシラン、エチル(n−ヘキシル)ジメトキシシラン、n−プロピル(n−ヘキシル)ジメトキシシラン、n−ブチル(n−ヘキシル)ジメトキシシラン、n−ペンチル(n−ヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(n−ヘキシル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(メチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(エチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ブチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(シクロヘキシル)ジメトキシシランなどが挙げられ、特に、少なくとも1つのn−ブチル基を有するジメトキシシラン、例えばn−ブチル(メチル)ジメトキシシラン、ジ(n−ブチル)ジメトキシシランが好ましい。
【0038】
予備重合での有機ケイ素化合物成分[C]の使用量は、通常、成分[A]のチタン原子に対してSi/Tiモル比が0.1〜10、好ましくは0.2〜2である。また、成分[B]のアルミニウム原子に対してSi/Alモル比が0.01〜2、好ましくは0.1〜1である。
【0039】
予備重合の方法としては、成分[A]、成分[B]および成分[C]を混合し、通常、0〜70℃で、好ましくは10〜40℃で、0.01〜10時間、好ましくは0.1〜1時間反応する。各成分の混合順序は特に限定されないが、通常、成分[A]、成分[B]、成分[C]の順が好ましい。
【0040】
予備重合した後、ろ過、洗浄せずにそのまま本重合に用いてもよいし、n−ヘプタンなどの不活性炭化水素溶媒で固体をろ過、洗浄した後、本重合に用いてもよい。
【0041】
予備重合の効果としては、重合活性の向上、重合体の立体規則性の向上に加えて重合体の粒子形状(モルホロジー)の安定化が挙げられる。予備重合として、前記の触媒固体成分[A]を用いて、成分[B]または成分[C]の存在下、限定された量のエチレンあるいはα−オレフィンを重合することによって予備重合処理固体を調製できる。予備重合時に重合される重合体の量は成分[A]に対して予備重合体量/成分[A](重量比)で0.1〜1000、好ましくは1〜100である。また、場合によっては、エチレンあるいはα−オレフィンを用いない予備処理固体を調製しても予備重合処理固体と同様の効果を示すことがある。
【0042】
本発明における予備重合は、気相法、スラリー法、バルク法などで行うことができる。予備重合において得られた固体は分離してから本重合に用いる、あるいは、分離せずに本重合を続けて行うことができる。
【0043】
本発明において、成分[D]は、前記化5又は化6で表される有機ケイ素化合物であり、化5又は化6において、R1は炭素数1〜8の炭化水素基であり、炭素数1〜8の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。特に好ましくはメチル基である。
【0044】
R2は炭素数2〜24好ましくは2〜8の炭化水素基、炭素数2〜24好ましくは2〜8の炭化水素アミノ基、または炭素数1〜24好ましくは1〜8の炭化水素アルコキシ基である。中でも、炭素数2〜24の炭化水素基または炭素数2〜24の炭化水素アミノ基が挙げられる。
【0045】
炭素数2〜24の炭化水素基の具体例として、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ter−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、テキシル基、フェニル基、ベンジル基、トルイル基などが挙げられる。又、トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基などのケイ素原子を含有する炭化水素基が挙げられる。
【0046】
炭素数2〜24の炭化水素アミノ基の具体例として、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルn−プロピルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、エチルイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ヘキサメチレンイミノ基などが挙げられる。
炭素数1〜24の炭化水素アルコキシ基の具体例として、メトキシ基、iso−プロポキシ基、ter−ブトキシ基などが挙げられる。
【0047】
上記の中でも、n−プロピル基、iso−プロピル基などのプロピル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基などのブチル基、シクロペンチル基、ジエチルアミノ基、ter−ブトキシ基などが好適に用いられる。
【0048】
R3Nは窒素原子とともに骨格を形成する炭素数が7〜40の多環式アミノ基である。該多環式アミノ基としては、飽和多環式アミノ基であっても、環の一部または全部が不飽和である多環式アミノ化合物であってもよい。該多環式アミノ基の窒素原子は、有機ケイ素化合物のケイ素原子と直接結合(Si−N結合)する。すなわち、第二級アミンであるR3NHの水素原子が外れてSiとNが化学結合したものである。化5において二つのR3N基は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
R3NHの具体例としては、化7の化学構造式で示すように、パ−ヒドロインド−ル、パ−ヒドロイソインド−ル、パ−ヒドロキノリン、パ−ヒドロイソキノリン、パ−ヒドロカルバゾ−ル、パ−ヒドロアクリジン、パ−ヒドロフェナントリジン、パ−ヒドロベンゾ(g)キノリン、パ−ヒドロベンゾ(h)キノリン、パ−ヒドロベンゾ(f)キノリン、パ−ヒドロベンゾ(g)イソキノリン、パ−ヒドロベンゾ(h)イソキノリン、パ−ヒドロベンゾ(f)イソキノリン、パ−ヒドロアセキノリン、パ−ヒドロアセイソキノリン、パ−ヒドロイミノスチルベンのようなアミン化合物、さらには前記アミン化合物において窒素原子以外の水素原子の一部がアルキル基、フェニル基、シクロアルキル基で置換されたアミン化合物を挙げることができる。
【0050】
【化7】
【0051】
また、R3NHとしては、化8の化学構造式で示すように、 1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンなどの環の一部が不飽和である多環状アミノ基、さらには窒素原子以外の水素原子の一部がアルキル基、フェニル基、シクロアルキル基で置換されたアミン化合物を挙げることができる。
【0052】
【化8】
【0053】
特に好ましいR3NHは、パ−ヒドロキノリン、パ−ヒドロイソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンおよびそれらの誘導体を挙げることができる。
【0054】
化5で表される有機ケイ素化合物としては、化9で表されるビスパ−ヒドロキノリノ化合物、化10で表されるビスパ−ヒドロイソキノリノ化合物、化11で表される(パ−ヒドロキノリノ)パ−ヒドロイソキノリ化合物、化12で表されるビス(1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)化合物、化13で表されるビス(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノ)化合物、化14で(1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノ)化合物などが挙げられる。
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】
【化11】
【0058】
【化12】
【0059】
【化13】
【0060】
【化14】
【0061】
R4はR3Nの飽和環上の置換基を表し、水素、又は、炭素数1〜24の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基である。R4として好ましいのは、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基などが挙げられる。R3Nの飽和環上の炭化水素置換基は1以上であってもよい。
【0062】
化9で表される化合物としては、ビス(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどが挙げられる。
【0063】
また、ビス(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(8−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(9−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(10−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどのビス(メチル置換パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランが挙げられる。
【0064】
また、ビス(2,3−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,4−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,5−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,6−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,7−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,8−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,9−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,10−ジメチルパ−ヒドロノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,5−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,6−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランビス(3,7−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,8−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,9−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,10−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,5−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,6−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,7−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,8−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4.9−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,10−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,6−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5.7−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,8−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,9−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,10−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,7−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,8−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,9−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,10−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,8−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,9−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,10−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(8,9−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(8,10−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(9,10−ジメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどのビス(ジメチル置換パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランが挙げられる。
【0065】
また、ビス(2,3,4−トリメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4,5−トリメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,5,6−トリメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,6,7−トリメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,7,8−トリメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,8,9−トリメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(8,9,10−トリメチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどのビス(トリメチル置換パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン化合物が挙げられる。
【0066】
また、(パ−ヒドロキノリノ)(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(3−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(4−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(5−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(6−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(7−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(8−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(9−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(10−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどの化合物が挙げられる。
【0067】
上記の化合物の中でも、ビス(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランが好適である。
【0068】
化10で表される化合物としては、ビス(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどが挙げられる。
【0069】
また、ビス(1−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(8−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(9−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(10−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどのビス(メチル置換パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン化合物が挙げられる。
【0070】
また、ビス(1,3−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(1,4−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(1,5−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(1,6−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(1,7−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(1,8−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(1,9−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(1,10−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,5−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,6−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,7−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,8−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,9−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,10−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,5−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,6−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,7−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,8−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,9−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,10−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,6−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,7−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,8−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,9−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,10−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,7−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,8−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,9−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,10− ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,8−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,9−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,10−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(8,9−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(8,10−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(9,10−ジメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどのビス(ジメチル置換パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン化合物が挙げられる。
【0071】
また、ビス(1,3,4−トリメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4,5−トリメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,5,6−トリメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(5,6,7−トリメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,7,8−トリメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,8,9−トリメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(8,9,10−トリメチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどのビス(トリメチル置換パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン化合物が挙げられる。
【0072】
また、(パ−ヒドロイソキノリノ)(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロイソキノリノ)(3−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロイソキノリノ)(4−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロイソキノリノ)(5−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロイソキノリノ)(6−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロイソキノリノ)(7−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロイソキノリノ)(8−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロイソキノリノ)(9−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロイソキノリノ)(10−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどの化合物が挙げられる。
【0073】
上記の化合物の中でも、ビス(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランが好適である。
【0074】
化11で表される化合物としては、(パ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(1−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(3−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(4−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(5−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(6−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(7−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(8−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(9−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パ−ヒドロキノリノ)(10−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(3−メチルパ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(4−メチルパ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(5−メチルパ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(6−メチルパ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(7−メチルパ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(8−メチルパ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(9−メチルパ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(10−メチルパ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)(1−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(3−メチルパ−ヒドロキノリノ)(3−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(4−メチルパ−ヒドロキノリノ)(4−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(5−メチルパ−ヒドロキノリノ)(5−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(6−メチルパ−ヒドロキノリノ)(6−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(7−メチルパ−ヒドロキノリノ)(7−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(8−メチルパ−ヒドロキノリノ)(8−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(9−メチルパ−ヒドロキノリノ)(9−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(10−メチルパ−ヒドロキノリノ)(10−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどの化合物が挙げられる。
【0075】
上記の化合物の中でも、(パ−ヒドロキノリノ)(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランが好適である。
【0076】
化12で表される化合物としては、ビス(1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどが挙げられる。
【0077】
また、ビス(2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(9−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどのビス(メチル置換−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン化合物が挙げられる。
【0078】
また、ビス(2,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,6−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,9−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,6−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,9−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,6−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,9−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,9−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,9−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(8,9−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどのビス(ジメチル置換−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン化合物が挙げられる。
【0079】
また、ビス(2,3,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,3,6−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,3,7−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,3,8−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,3,9−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4,6−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4,7−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4,8−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4,9−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,6,7−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,6,8−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,6,9−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,7,8−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,7,9−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(7,8,9−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどのビス(トリメチル置換−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン化合物が挙げられる。
【0080】
また、ビス(2,3,4,6−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,3,4,7−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,3,4,8−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(2,3,4,9−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4,6,7−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4,6,8−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(3,4,6,9−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,6,7,8−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(4,6,7,9−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(6,7,8,9−テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどのビス(テトラメチル置換−1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどの化合物が挙げられる。
【0081】
上記の化合物の中でも、ビス(1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)ジメトキシシランが好適である。
【0082】
化5で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、化15又は化16の化学構造式で示される化合物を挙げられる。
【0083】
【化15】
【0084】
【化16】
【0085】
化6で表される有機ケイ素化合物としては、化17で表されるるパ−ヒドロキノリノ化合物、化18で表されるパ−ヒドロイソキノリノ化合物などが挙げられる。
【0086】
【化17】
【0087】
【化18】
【0088】
R4はR3Nの飽和環上の置換基を表し、水素、又は、炭素数1〜24の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基である。R4として好ましいのは、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基などが挙げられる。また、R3Nの飽和環上の炭化水素置換基は1以上であってもよい。
【0089】
化17で表される化合物としては、エチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−プロピル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−ブチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−ブチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ter−ブチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、sec−ブチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−ペンチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−ペンチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、シクロペンチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−ヘキシル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、テキシル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−オクチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、フェニル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ピペリジノ(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ジエチルアミノ(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロポキシ(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ter−ブトキシ(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどのパ−ヒドロキノリノシラン化合物が挙げられる。
【0090】
エチル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−プロピル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−ブチル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−ブチル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ter−ブチル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、sec−ブチル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−ペンチル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−ペンチル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラシクロペンチル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−ヘキシル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、テキシル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−オクチル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、 n−デシル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、2−デカリノ(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、フェニル(2−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどの2−メチルパ−ヒドロキノリノシラン化合物が挙げられる。
【0091】
iso−プロピル(3−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(4−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(5−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(6−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(7−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(8−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(9−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(10−メチルパ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどのメチル置換パ−ヒドロキノリノシラン化合物が挙げられる。
【0092】
上記の化合物の中でも、エチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−プロピル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−ブチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、iso−ブチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ter−ブチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、sec−ブチル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、シクロペンチル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n−ヘキシル(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ピペリジノ(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ジエチルアミノ(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシララン、ter−ブトキシ(パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシランなどの化合物が好適である。
【0093】
化18で表される化合物としては、エチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−プロピル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−ブチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−ブチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ter−ブチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、sec−ブチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−ペンチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−ペンチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、シクロペンチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−ヘキシル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、テキシル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−オクチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−デシル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、2−デカリノ(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、フェニル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ピペリジノ(パ−ヒドロイソキノリジメトキシシラン、ジエチルアミノ(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロポキシ(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ter−ブトキシ(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどのパ−ヒドロイソキノリノシラン化合物が挙げられる。
【0094】
エチル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−プロピル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−ブチル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−ブチル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ter−ブチル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、sec−ブチル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−ペンチル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−ペンチル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、シクロペンチル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−ヘキシル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、テキシル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−オクチル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、フェニル(2−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどの2−メチルパ−ヒドロイソキノリノシラン化合物が挙げられる。
【0095】
また、iso−プロピル(3−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(4−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(5−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(6−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(7−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(8−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(9−メチルパ−ヒドロイソキノリジメトキシシラン、iso−プロピル(10−メチルパ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどのメチル置換パ−ヒドロイソキノリノシラン化合物が挙げられる。
【0096】
上記の中でも、エチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−プロピル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、iso−プロピル(パ−ヒドイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−ブチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトシシラン、iso−ブチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ter−ブチル(パ−ヒドロイソキノリノジメトキシシラン、sec−ブチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、シクロペンチル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n−ヘキシル(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ピペリジノ(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ter−ブトキシ(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランジエチルアミノ(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどの化合物が好適である。
【0097】
化6で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、化19又は化20の化学構造式で示される化合物を挙げられる。
【0098】
【化19】
【0099】
【化20】
【0100】
上記の飽和多環式アミノ基を2個有する有機ケイ素化合物には、飽和多環式アミノ基の部分に幾何異性体、すなわち、シス体およびトランス体が存在するため、(トランス−多環式アミノ)(トランス−多環式アミノ)ジアルコキシシラ(シス−多環式アミノ)(シス−多環式アミノ)ジアルコキシシラン、(トランス−多環式アミノ)(シス−多環式アミノ)ジアルコキシシランが存在する。
具体例として、ビス(トランス−パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(シス−パ−ヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(トランス−パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(シス−パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどが挙げられる。
これらの異性体を単独で、あるいは異性体の混合物で、本発明の成分[D]として用いてもよい。
【0101】
化5で表される有機ケイ素化合物成分[D]は、たとえば、テトラメトキシシランあるいはジクロロジメトキシシランと、HNR第二級アミンのマグネシウムあるいはリチウム塩の二当量との反応により合成することができる。また、化6で表される成分[D]は、アルキルトリメトキシシランあるいはアルキルクロロジメトキシシランと、HNR第二級アミンのマグネシウムあるいはリチウム塩との当量反応により合成することができる。
【0102】
本重合における成分[D]の使用量は、成分[B]のアルミニウムに対するシランの元素比(Si/Al)でそれぞれ0.01から1.0好ましく、特に0.05から0.5が好ましい。また、成分[D]と成分[C]のモル比(成分[D]/成分[C])は1〜200、好ましくは10〜150である。
【0103】
本発明においては、上記成分[C]及び[D]を用いることが必須であり、例えば成分[C]を予備重合で用い、成分[D]を本重合で用いる、あるいは成分[D]を予備重合で用い、成分[C]を予備重合で用いることができる。また、成分[C]と[D]の混合物を予備重合若しくは本重合で用いる、またはその混合物を予備重合及び本重合の両方で用いることができる。さらに、成分[C]で予備重合し、成分[C]と[D]の混合物で本重合する、あるいは成分[C]と[D]の混合物で予備重合し、成分[D]で本重合することもできる。
成分[C]と成分[D]はあらかじめ混合させて使用しても良いし、それぞれ単独で重合系内に添加して使用しても良い。その混合モル比率([C]/[D])は0.01〜2であり、好ましくは0.02〜1、特に好ましくは0.05〜1である。
【0104】
本発明における本重合方法としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの無極性溶媒を使用するスラリ−重合法、モノマ−を気体状態で触媒と接触して重合を行う気相重合法、あるいは液化状態のモノマ−を溶媒としてその中で重合させるバルク重合法などが採用できる。また、上記本重合方法で、連続重合、バッチ重合のいずれを行ってもよい。
【0105】
重合圧力は通常0.1〜20MPa、好ましくは1〜6MPa、重合温度は通常10〜150℃、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは60〜90℃である。重合時間は通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜7時間の範囲である。
【0106】
本発明においては、本重合時には、有機アルミニウム化合物成分[B]を加えて重合することが好ましい。本重合時に有機アルミニウム化合物成分[B]を用いる場合は、成分[B]の使用量は、触媒固体成分[A]のチタン原子に対してAl/Tiモル比が10〜800、好ましくは100〜500である。
【0107】
本発明においては、水素などの連鎖移動剤を使用することができる。所望の立体規則性、融点及び分子量を有するα−オレフィン重合体を製造するための水素の使用量は、重合方法及び重合条件によって、適宜決定することができるが、通常、水素分圧0.05〜3の範囲である。
【0108】
本発明において、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−オクテンなどを挙げることができ、予備重合においては、α−オレフィンとしてエチレンも使用することができる。本発明ではフィルムのヒ−トシ−ル温度を下げるため、融点を下げたり、フィルムの透明性を高めるなどの目的でα−オレフィンの重合において少量のエチレンあるいは他のα−オレフィンと共重合することもできる。
【0109】
また、α−オレフィン重合体からの成形体の低温衝撃強度を高めるために上記α−オレフィンの重合、共重合の後に、さらにα−オレフィンとエチレンとを共重合するいわゆるブロック共重合体の製造も行うことができる。本発明において、上記成分[C]と成分[D]からなる新しい有機ケイ素化合物の混合物を含む触媒系から製造されるα−オレフィン重合体、α−オレフィン共重合体、及びα−オレフィンエチレンブロック共重合体の射出成型品は、フローマークのような外部不良と関係する問題を有しない。本発明のα−オレフィン重合体の射出成型品において、フローマーク発生率は、α−オレフィンエチレンブロック共重合体中のα−オレフィン/エチレン共重合体の分子量及びエチレン含有量のような属性との独立性は低い。
【0110】
本発明における触媒系は触媒活性及び水素感受性も高く、しかも得られるα−オレフィン重合体の立体規則性が高く、しかも、分子量分布が広い。分子量分布はGPC測定におけるポリスチレン換算で求めた重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn値)が8〜20であり、しかも、Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比(Mz/Mw値)が5〜10である。Mz/Mw値が5〜10であるということは、超高分子量成分が存在することを意味しており、
GPCより調べた分子量分布曲線においては正規分布よりも少し高分子量部が張り出した曲線を意味する。
【0111】
本発明で得られるα−オレフィン重合体は、分子量分布が広いため、溶融粘弾性が高く、特にフィルム等の成膜性にすぐれるほか、射出成形体においてはフロ−マ−クに代表される外観不良の問題もない。例えば、下記の実施例に述べるようにフローマーク発生率で評価すると、本発明で得られる射出成型品は、好ましくは50以下であり、特に好ましくは40以下である。従来品に比べ大幅にフローマークの発生が低減する。本発明で得られるα−オレフィン重合体は、単独で用いるだけでなく、コンパウンド用材として、他のプラスチック、エラストマーとのブレンド、さらにグラスファイバー、タルクなどの無機、有機フィラーの強化剤、その他結晶核剤を混合使用でき、特に限定されないが、自動車、家電などの構造材料としてすぐれた性能を発揮できる。
【0112】
【発明の効果】
本発明において、α−オレフィンを重合した場合に、重合活性が高く、水素感受性が高く、立体規則性が高く、且つ、分子量分布の広いα−オレフィン重合体を製造方法を提供できる。さらには、エチレンあるいは他のα−オレフィンとの共重合においては、ランダム性がよく、溶融粘弾性の高い共重合体を製造できる。また、
【0113】
本発明で得られたα−オレフィン重合体は、従来の重合活性の低い第二世代触媒と呼ばれる三塩化チタン型触媒で得られたα−オレフィン重合体と同程度の分子量分布を有するため、成形性がよく、またフロ−マ−クなどの成形体の外観不良などの問題もない。従って、本発明で用いた触媒系は、三塩化チタン型触媒の代替としての使用が可能であり、三塩化チタン型触媒に比べて重合活性が極めて高いため、それまで必須であった重合体中の触媒残渣を除去する工程、すなわち、多量の有機溶剤を使用する脱灰工程を省略することができ、重合プロセスの簡略化、製造コストの低減に有益である。
【0114】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。
実施例において、「重合活性」とは、触媒固体1g当たりのα−オレフィン重合体の収量(Kg)である。
【0115】
溶融流動性(MFR)は、ASTM−D1238にしたがって測定した230℃、2.16Kgの加重下で10分間の溶融重合体の重量(g)を表す。H.Iとは重合体を沸騰n−ヘプタンで6時間抽出試験を行った時の割合(不溶分ポリマー重量/仕込みポリマー重量×100%)である。融点(Tm)はDSC(セイコー電子工業製SSC−5200DSC−220C)を用いて測定した。測定方法は試料10mgを23℃から230℃まで毎分10℃の速度で昇温し、そのまま5分間保持したのちに230℃から40℃まで毎分5℃の速度で降温し、再び40℃から230℃まで毎分10℃の速度で昇温した際の融点を測定した。
【0116】
重合体の立体規則性の指標であるミクロタクティシティ−を調べたアイソペンタッド分率(mmmm)%は、プロピレン重合体においてMacromolecules 8,687(1975) に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルのピ−ク強度比より算出した。13C−NMRスペクトルは、日本電子製EX−400の装置を用い、TMSを基準とし、温度130℃、スキャン回数8000、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。
【0117】
分子量分布は、ポリスチレンを標準物質として用いたGPC(ウォ−タ−ズ社製 150CV型、o−ジクロロベンゼン溶媒、カラム SHODEX、温度145℃、濃度0.05wt%)から求めた重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの比Mw/Mn、Z平均分子量Mz及び重量平均分子量Mwの比Mz/Mwによって評価した。
【0118】
フローマークとは、α−オレフィン重合体を射出成形した場合に、金型面が忠実に転写されずに流れ方向に垂直に発生する規則的な帯状の凹凸であり、ミクロンオーダーの歪みが成形品表面に発生する不良現象である。フローマーク発生率は、図1のように、厚さ3mm×巾100mm×長さ350mmの射出成形品(n=3)の幅方向中央にてフローマークの発生し始める点(フローマーク開始点)を目視にて確認し、ゲートからの距離を定規にて測定する。すなわち、フローマーク発生率は数1で算出され、3枚の平均値であらわされる。
【0119】
【数1】
【0120】
フローマーク発生率はその値が低いほど好ましく、特に40%以下が好ましい。
【0121】
参考例
(有機ケイ素化合物成分[D]の合成法 合成例:ビス(パ−ヒドロイソキノリノジメトキシシラン) 滴下ロ−トを備えた容量200mLの3ツ口フラスコ内にスタ−ラ−ピ−スを入れ、真空ポンプを用いて、フラスコ内を十分窒素置換した後、フラスコ内に蒸留・脱水n−ヘプタン100mL、デカヒドロイソキノリン17.9mL(0.12mol)を入れ、滴下ロ−ト内には、1.6Mのブチルリチウムヘキサン溶液75mL(0.12mol)を入れた。フラスコ内温度を4℃に保ちながら、滴下ロ−ト内のブチルリチウム溶液をフラスコ内にゆっくりと滴下した。滴下終了後、引き続き室温で12時間攪拌を行い、パ−ヒドロイソキノリンのリチウム塩を得た。
【0122】
次に、滴下ロ−トを備えたガラスフィルタ−付きフラスコ(容量400mL)内にスタ−ラ−ピ−スを入れ、真空ポンプを用いて、フラスコ内を十分窒素置換した後、フラスコ内には、蒸留・脱水n−ヘプタン60mL、テトラメトキシシラン9mL(0.06mol)を入れ、滴下ロ−ト内には、前記のパ−ヒドロイソキノリンのリチウム塩を入れた。室温にて、滴下ロ−ト内のパ−ヒドロイソキノリンのリチウム塩をフラスコ内にゆっくりと滴下した。滴下終了後、引き続き40℃で2時間攪拌を行い、さらに、室温で12時間攪拌を行った。目的物が生成していることをガスクロマトグラフィ−で確認した後、沈殿物をろ過した。このろ液中の溶媒を減圧下に十分に留去し、その後、生成物の1次蒸留および2次蒸留を行って精製し、目的物であるビス(パ−ヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランを得た。この化合物の沸点は180℃/1mmHg、GC純度98.5%であった。
【0123】
実施例1
(1) 触媒固体成分[A] の調製
無水塩化アルミニウム15mmolをトルエン40mLに添加し、次いで、メチルトリエトキシシラン15mmolを攪拌下に滴下し、滴下終了後25℃で 1時間反応させた。反応生成物を−5℃に冷却した後、攪拌下にブチルマグネシウムクロライド30mmolを含むジイソプロピルエ−テル18mLを30分間で反応生成物に滴下し、反応溶液の温度を−5〜0℃の範囲内に保った。滴下終了後徐々に昇温し、30℃で1時間反応を続けた。析出した固体を濾別し、トルエン及びn−ヘプタンで洗浄した。次に、得られた固体4.9gをトルエン30mLに懸濁させ、この懸濁液に四塩化チタン150mmol、フタル酸ジ−n−ヘプチル3.3mmolを添加し、攪拌下に90℃で1時間反応させた。同温度で固体をろ別し、トルエン、次いでn−ヘプタンで洗浄した。さらに、再度固体をトルエン30mLに懸濁させ、四塩化チタン150mmolを添加し、攪拌下に90℃で1時間反応させた。同温度で固体を濾別し、固体をトルエン次いでn−ヘプタンで洗浄した。得られた触媒固体成分中のチタン含有量は3.55wt%であった。
【0124】
(2)予備重合処理
攪拌機を備えた内容積200mLのフラスコ内に蒸留・脱水n−ヘプタン100mL、有機アルミニウム化合物成分[B]としてトリエチルアルミニウム1.2mmol、有機ケイ素化合物成分[C]としてメチル(シクロヘキシル)ジメトキシシラン0.2mmolを順次注入した後、上記で得られた触媒固体成分[A]のn−ヘプタンスラリ−をTi原子換算で0.3957mmolを添加(成分[A]/成分[B]/成分[C]モル比=1/3/0.5)し、23℃で10分熟成した。その後、常圧にてプロピレンガスを100mL/minの流速でフラスコ内に連続的にフィードし5分間予備重合処理を行った。得られた予備重合処理触媒固体のPP/触媒成分[A]重量比=1.22であった。
【0125】
(3) プロピレンの重合
攪拌機付の内容積2Lのステンレス製オ−トクレ−ブ内に上記で得られた予備重合処理触媒固体成分のn−ヘプタンスラリ−をチタン原子換算で0.005mmol及び有機アルミニウム化合物成分[B]としてトリエチルアルミニウムを2.2mmol、成分[D]として、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン0.36mmolを入れ、次いで0.12MPaの水素、液化プロピレン1.2Lを導入した。オートクレーブを70℃に昇温し、内温を70℃に保ち、1時間重合を行った。重合終了後、未反応プロピレンガスを放出し、重合体を60℃で20時間減圧乾燥して、白色の粉末状ポリプロピレンを得た。結果を表1に示した。
【0126】
実施例2
(1) 触媒固体成分[A] の調製
無水塩化アルミニウム150mmolをトルエン400mLに添加し、次いで、メチルトリエトキシシラン150mmolを攪拌下に滴下し、滴下終了後25℃で 1時間反応させた。反応生成物を−5℃に冷却した後、攪拌下にブチルマグネシウムクロライド300mmolを含むジイソプロピルエ−テル180mLを30分間で反応生成物に滴下し、反応溶液の温度を−5〜0℃の範囲内に保った。滴下終了後徐々に昇温し、30℃で1時間反応を続けた。析出した固体を濾別し、トルエン及びn−ヘプタンで洗浄した。次に、得られた固体50gをトルエン300mLに懸濁させ、この懸濁液に四塩化チタン1.5mol、フタル酸ジ−n−ヘプチル33mmolを添加し、攪拌下に90℃で1時間反応させた。同温度で固体をろ別し、トルエン、次いでn−ヘプタンで洗浄した。さらに、再度固体をトルエン300mLに懸濁させ、四塩化チタン1.5molを添加し、攪拌下に90℃で1時間反応させた。同温度で固体を濾別し、固体をトルエン次いでn−ヘプタンで洗浄した。得られた触媒固体成分中のチタン含有量は3.33wt%であった。
【0127】
(2)予備重合処理
充分に窒素置換した内容積12Lの攪拌機付き予備重合槽に脱水・脱酸素処理したn−ヘプタン4Lを導入し、続いて有機アルミニウム化合物成分[B]としてトリエチルアルミニウムを39mmol、有機ケイ素化合物成分[C]としてシクロヘキシル(メチル)ジメトキシシランを6.5mmol、上記で得られた触媒固体成分[A]のn−ヘプタンスラリ−をTi原子換算で13mmolを添加(成分[A]/成分[B]/成分[C]モル比=1/3/0.5)し、プロピレンガスを48NL導入し、系内を40℃以下に保ちながら1時間予備重合した。得られた予備重合処理触媒固体のPP/触媒成分[A]重量比=2.7であった。
【0128】
(3)プロピレンの重合
内容積600Lの攪拌機付き重合槽に液化プロピレンを77Kg/hrで、上記の予備重合触媒を2.9g/hr(Ti原子換算で1.2mmol/hr)、成分[B]としてトリエチルアルミニウムを100mmol/hr、成分[D]としてビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランを17mmol/hrの供給速度でそれぞれ連続的に供給し、重合温度72℃、滞留時間1時間でプロピレンの重合を行った。この時、MFRが9±1(g/10min)になるように重合系内の水素濃度を調整した。その結果を表2に示した。
【0129】
(4)ペレット化
得られたプロピレンポリマー100部に対して添加剤としてIrgfos168を0.1重量部、Irgnox1010を0.2重量部、ステアリン酸カルシウムを0.05重量部入れてヘンシェルミキサーでブレンドした後、直径60mmの単軸押し出し機を用い、220℃でペレット化した。
【0130】
(5)コンパウンド化
上記で得られたペレット80wt%、平均粒子径2.5μmのタルク(富士タルク(株)社製)20wt%(合計100部)に対して添加剤としてIrgfos168を0.1重量部、酸化鉄0.3重量部、酸化チタン0.6重量部をタンブラーミキサーでブレンドした後、2軸押し出し機で溶融混練しペレット化した。
【0131】
(6)射出成形(フローマークの評価)
上記で得られたペレットを、サイドゲート厚さ1mm×幅2mmで厚さ3mm×幅100mm×長さ350mmの金型を備えた宇部興産(株)社製射出成形機(UBE−MAXD150−10)を用い、金型温度:40℃、樹脂温度:200℃、計量:回転70%(137rpm)、射出圧力:6MPa、射出時間:10秒、冷却時間:30秒の条件で射出成形を行い、成形体のフローマーク発生率を調べた(発生率が低いほど好ましい)(図2参照)。その結果を表2に示す。
【0132】
実施例3
予備重合触媒調整時に有機ケイ素化合物成分[C]としてメチル(シクロヘキシル)ジメトキシシランにかえてn−ブチル(メチル)ジメトキシシランを用いた以外は実施例2と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0133】
実施例4
予備重合触媒調整時に有機ケイ素化合物成分[C]としてシクロヘキシル(メチル)ジメトキシシランにかえてジ(n−ブチル)ジメトキシシランを用いた以外は実施例2と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0134】
実施例5
プロピレンの重合時に成分[D]としてビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランにかえてシクロペンチル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランを用いた以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0135】
実施例6
プロピレンの重合時に成分[D]としてビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランのかわりにシクロペンチル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランを用いた以外は、実施例4と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0136】
実施例7
プロピレンの重合時に、成分[D]としてビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランにかえてビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシランを用いた以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0137】
実施例8
プロピレンの重合時に、成分[D]としてビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランにかえてビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシランを用いた以外は、実施例4と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0138】
比較例1
予備重合処理時に、成分[C]として、シクロヘキシル(メチル)ジメトキシシランにかえてビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0139】
比較例2
予備重合処理時に成分[C]を用いなかった以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0140】
比較例3
プロピレン重合において、成分[D]として、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランにかえてシクロヘキシル(メチル)ジメトキシシランを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0141】
比較例4
プロピレンの重合時に成分[D]としてビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランにかえてシクロヘキシル(メチル)ジメトキシシランを用いた以外は、実施例2と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0142】
実施例9(本重合での混合系)
攪拌機付の内容積2Lのステンレス製オ−トクレ−ブ内に上記で得られた予備重合処理触媒固体成分のn−ヘプタンスラリ−をチタン原子換算で0.005mmol及び有機アルミニウム化合物成分[B]としてトリエチルアルミニウムを2.2mmol、成分[C]としてジ(n−ブチル)ジメトキシシランを0.02mmol、成分[D]として、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン0.34mmolを入れ、次いで0.12MPaの水素、液化プロピレン1.2Lを導入した。オ−トクレ−ブを10℃に冷却し、攪拌開始とともに触媒固体成分の入ったガラス製アンプル管を破砕し、10分間予備重合した。引き続きオートクレーブ内を70℃に昇温し、さらに70℃で1時間重合を行った。重合終了後、未反応プロピレンガスを放出し、重合体を60℃で20時間減圧乾燥して、白色の粉末状ポリプロピレンを得た。その条件及び結果を表3に示す。
【0143】
実施例10
成分[C]としてジ(n−ブチル)ジメトキシシランを0.04mmol、成分[D]として、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン0.32mmolを入れた以外は、実施例9と同様に行った。その条件及び結果を表3に示す。
【0144】
比較例5
成分[C]としてジ(n−ブチル)ジメトキシシランを0.36mmol用い、成分[D]を用いなかった以外は実施例1と同様に行った。その条件及び結果を表3に示す。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒の調製過程および重合方法を示すフロ−チャ−トである。
【図2】得られたα−オレフィン重合体の射出成形品のフローマークについての模式図である。
Claims (3)
- [A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、[C]化1で表される有機ケイ素化合物成分
- 前記α−オレフィンの重合または共重合は、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、[C]請求項1に記載の化1で表される有機ケイ素化合物成分からなる触媒でα−オレフィンを予備重合し、更に[D]請求項1に記載の化24乃至化31のいずれかで表される有機ケイ素化合物成分を添加してα−オレフィンを重合または共重合することを特徴とする請求項1記載のα−オレフィンの重合方法。
- 前記α−オレフィンの重合または共重合での有機ケイ素化合物成分[C]の使用量は、成分[A]のチタン原子に対してSi/Tiモル比が0.1〜10であり、成分[B]のアルミニウム原子に対してSi/Alモル比が0.01〜2であることを特徴とする請求項1又は2記載のα−オレフィンの重合方法。
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