JPH06295079A - 有機ポリゲルマン含有電荷輸送物質層を有する電子写真感光体 - Google Patents

有機ポリゲルマン含有電荷輸送物質層を有する電子写真感光体

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JPH06295079A
JPH06295079A JP10505893A JP10505893A JPH06295079A JP H06295079 A JPH06295079 A JP H06295079A JP 10505893 A JP10505893 A JP 10505893A JP 10505893 A JP10505893 A JP 10505893A JP H06295079 A JPH06295079 A JP H06295079A
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polygermane
organic
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JP10505893A
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Masakatsu Shimoda
昌克 下田
Masao Yoshikawa
雅夫 吉川
Akio Kojima
明夫 小島
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、機械的強度が強く、帯電電
位特性、感度特性、残留電位特性に優れ、かつ耐環境性
に優れた電子写真感光体の提供にある。 【構成】 導電性支持体上に、電荷発生物質および電荷
輸送物質を含有する感光層を設けた電子写真感光体にお
いて、電荷輸送物質として、次式(1) 【化1】 (式中、R1、R2は互いに同一または相異なっていても
よく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、置換ま
たは無置換芳香族基および置換または無置換脂環族基よ
りなる群から選ばれるものである。ただし、アルキル基
は互いに結合し、ゲルマニウム原子と一緒にゲルマニウ
ム含有環を形成することもできる。また、Xはハロゲン
原子を表す。)で示されるジハロゲン化ゲルマンを9
9.99%以上の高純度のアルカリ金属で脱ハロゲン重
縮合して得られる次式(2) 【化2】 (式中、R1、R2は前記に同じ。)で示される構造単位
からなる有機ポリゲルマンを用いることを特徴とする電
子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子量有機ポリゲル
マン、および該高分子量有機ポリゲルマンを感光層中に
含有する電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来技術】従来、電子写真感光体の感光層として、セ
レン、セレン−テルル合金、酸化亜鉛などの無機光導電
性物質が広く用いられてきたが、近年有機光導電性物質
を用いた電子写真感光体に関する研究が進み、その一部
は実用化されている。ここで、実用化にいたった感光体
のほとんどは、電荷発生層と電荷輸送層に機能を分離し
た感光層からなる積層型電子写真感光体であり、これに
より無機光導電性物質からなる感光体と比較して劣って
いた感度及び感光体寿命が改善され、低コストで、安全
性や多用性など有機光導電性物質の長所を生かした電子
写真感光体の研究が活発に行なわれるようになった。し
かし、有機の電子写真感光体にもいくつかの欠点があ
り、それらの改善が強く望まれている。例えば、低分子
の有機化合物をバインダーで結着することにより層形成
すると、機械的強度が必ずしも充分ではなく、感光体の
反復使用時に、現像ブレードの摩擦等によって感光体表
面に傷が生じたり、摩耗したりする。また、低分子の有
機化合物は、湿式現像剤の耐溶剤性が悪いことから、特
に高分子の有機物で耐溶剤性の良い化合物が強く望まれ
ている。最近になり、高分子でもケイ素原子を主鎖にも
つ有機ポリシランの合成研究が活発になり、その電子写
真感光体への応用が種々検討され(例えば、特開平3−
24551)、有機ポリシランが移動度の大きい、電荷
輸送物質として大いに期待されている。一方、ゲルマニ
ウム原子を主鎖にもつ有機ポリゲルマンの研究は、始ま
ったばかりであるが、電子写真感光体への応用が以前報
告されている(特開平2−165158)。この公報に
記載されている実施例1の方法による合成例「トリエチ
ルクロロゲルマンをヘキサメチルホスホリックトリアミ
ドとエーテルの溶液中金属リチウムで重縮合して得られ
た・・・」ポリゲルマンは、トリエチルクロロゲルマン
の二量化生成物、すなわち下式(3)で示されるヘキサ
エチルジゲルマンであって、ポリマーではない。
【化3】 また、該文献の実施例2に記載された方法、すなわち、
「リチウム金属とジメチルフェニルクロロゲルマンをテ
トラヒドロフラン中反応させてジメチルフェニルゲルミ
ルリチウムを得る。次にこの生成物とトリメチルクロロ
ゲルマンのTHF溶液を混合して希塩酸で加水分解する
ことにより・・・」により合成したポリゲルマンは、や
はり次式(4)、(5)および(6)で示される二量化
生成物を与え、ポリマーにはならないことがわかってい
る。
【化4】
【化5】
【化6】 そのため、これらのポリゲルマンを用いた電子写真感光
体は、皮膜形成能、また耐摩耗性が悪く、さらに上記ジ
ゲルマンのイオン化ポテンシャルは大きく、電荷発生層
中の顔料色素とのイオン化ポテンシャルのギャップがお
おきいため、電荷の注入がされにくくなり、電子写真特
性は非常に悪くなることが指摘される。
【0003】
【目的】本発明の目的は、機械的強度が強く、帯電電位
特性、感度特性、残留電位特性に優れ、かつ耐環境性に
優れた電子写真感光体の提供にある。
【0004】
【構成】上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本
発明者らは、電荷輸送材料として特定の有機ポリゲルマ
ンを用いることにより目的が達成されることを見いだし
た。すなわち本発明によれば、導電性支持体上に、電荷
輸送物質層として下記の有機ポリゲルマンを有効成分と
して含有する層を形成せしめた電子写真感光体により目
的が達成される。
【0005】本発明の電荷輸送物質である有機ポリゲル
マンは、公知の方法により合成できる。合成法は下記文
献に記載されている。たとえば、M.Lesbre,P.Mazeroll
es,J.Satge,“The Organic Compound of Germaniu
m”, John Wiley & Sons (1971)、藤野、特開平1−
252637号公報。具体的には、下式(7)で示され
る反応式に従って有機ゲルマニウムジハロゲン化物を出
発原料としてアルカリ金属で脱ハロゲン化縮合で合成す
ることができる。
【化7】 (式中、R1、R2は互いに同一または相異なっていても
よく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、置換ま
たは無置換芳香族基および置換または無置換脂環族基よ
りなる群から選ばれるものである。ただし、アルキル基
は互いに結合し、ゲルマニウム原子と一緒にゲルマニウ
ム含有環を形成することもできる。また、Xはハロゲン
原子、Mはアルカリ金属を表す。)ところで前記反応に
おいて、使用するアルカリ金属は、通常その表面に酸化
被膜が形成されているが、本発明においては前記アルカ
リ金属を99.99%以上の高純度にしたものを使用す
ることにより、従来公知の有機ポリゲルマンに比較し、
より高分子量の有機ポリゲルマンを得ることができた。
分子量としては、例えば平均高分子量10,000〜1
00,000の範囲のものが得られた。
【0006】また、前記の高分子量有機ポリゲルマン
は、本出願人が先に出願した発明(特開平4−1649
24、特願平3−350998)に従って、ジヨードゲ
ルミレン(GeI2)と次式(8)
【化8】 RM (8) で示される有機金属化合物(式中、Mは、LiまたはM
gX(Xはハロゲン)、Rは水素原子、炭素数1〜20
のアルキル基、置換または無置換芳香族基および置換ま
たは無置換脂環族基よりなる群から選ばれるものであ
る。)とを反応させるか、次式(9)
【化9】 (式中、R1、R2は互いに同一または相異なっていても
よく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、置換ま
たは無置換芳香族基および置換または無置換脂環族基よ
りなる群から選ばれるものである。ただし、アルキル基
は互いに結合し、ゲルマニウム原子と一緒にゲルマニウ
ム含有環を形成することもできる。nは3〜8の整
数。)で示される環状ポリゲルマンと次式(10)
【化10】 RM (10) (式中、Mは、LiまたはMgX(Xはハロゲン)、R
は炭素数1〜4のアルキル基、あるいは置換または無置
換の芳香族基を表わす。)で示される有機金属化合物と
を反応させることにより製造することもできる。
【0007】このようにして製造した有機ポリゲルマン
の置換基R1およびR2としては、メチル基、エチル基、
n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−
ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチ
ル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシ
ル基、n−オクチル基、n−ドデシル基などのアルキル
基、置換または無置換のフェニル基、ベンジル基および
ゲルマシクロペンチル基、ゲルマシクロヘキシル基を挙
げることができる。フェニル基およびベンジル基に置換
する置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、n−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、t−ブト
キシ基などのアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基ならび
にこれらのアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シア
ノ基の一置換、二置換、三置換体などが挙げられる。
【0008】本発明において電荷輸送物質として使用さ
れる有機ポリゲルマンの具体例を、表1〜5に繰り返し
単位で示すがこれらの化合物に限定されるものではな
い。 (以下余白)
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0009】本発明の電子写真感光体は、例えば導電性
支持体上に電荷発生物質および前記有機ポリゲルマン、
必要に応じ結着剤等を含有する感光層を形成させるか、
あるいは導電性支持体上に電荷発生物質を主体とし、さ
らに必要に応じて結合剤、可塑剤、電荷移動物質などを
含有した電荷発生層と、有機ポリゲルマンを主体とし、
さらに必要に応じて結合剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外
線劣化防止剤などを含有した電荷輸送層で形成されるも
のである。電荷発生層中の電荷発生物質の割合は、30
重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。
電荷輸送層中有機ポリゲルマンの割合は、10〜95重
量%、好ましくは30〜90重量%である。電荷輸送物
質の占める割合が10重量%未満であると、電荷の輸送
はほとんど行われず、また95重量%以上であると感光
体皮膜の機械的強度がきわめて悪く実用に供しえない。
ただし、本発明において電荷輸送物質として、有機ポリ
ゲルマン単独のみならず、これと従来公知の他の無機光
導電性物質とを使用してもよい。
【0010】次に本発明の感光体の構成を図1、2およ
び3に基づいて説明する。本発明の電子写真感光体の1
つの態様は図1に示す通りのものである。図1の感光体
は、導電性支持体11上に主として電荷発生物質12、
有機ポリゲルマンおよび結着剤からなる感光層13を設
けたものである。また、本発明の別の態様として図2の
ものが挙げられる。図2の感光体は、導電性支持体11
上に電荷発生物質12を主体とする電荷発生層14と有
機ポリゲルマンを主体とする電荷輸送層15とからなる
積層型感光層16を設けたものである。また導電性支持
体11と電荷発生層14との中間に電位保持のためのバ
リア層を設けてもよい。図2の感光体では、像露光され
た光は電荷輸送層15を透過し、電荷発生層14に到達
しその部分の電荷発生物質12で電荷生成が起こり、一
方、有機ポリゲルマンを主体とする電荷輸送層15は電
荷の注入を受けその搬送を行うもので、光減衰に必要な
電荷の生成は電荷発生物質12で行われ、また電荷の搬
送は有機ポリゲルマンを主体とする電荷輸送層15で行
なわれるというメカニズムである。さらにまた、本発明
の別の態様として図3のものが挙げられる。図3の感光
体は、図2の感光体の電荷発生層14と電荷輸送層15
を逆にした構成である。この構成において電荷発生層1
4の上部に電荷発生層を保護するために表面保護層を設
けてもよい。本発明においては、これらの感光体の電荷
輸送物質として前記高分子量の有機ポリゲルマンが特に
有効である事を見いだしたものであるが、その理由につ
いては、未だ明らかになっていないが、溶解度が高く均
質な薄膜が得られる、電荷の移動度が大きい、電荷輸送
層へ電荷が効率よく注入されるなどがその原因として考
えられる。
【0011】次に感光体の各層の厚み、量比について図
1〜3に基づいて説明する。図1の感光体は、感光層1
3の厚さは3〜50μm、さらに好ましくは5〜20μ
mである。また、感光層13中の電荷発生物質の割合は
50重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下であ
り、また有機ポリゲルマンの割合は10〜95重量%、
さらに好ましくは30〜90重量%である。感光層中の
電荷発生物質の割合が50重量%以上であると帯電量が
不十分であり、かつ機械的強度が悪く実用に供しえな
い。図2の感光体は、電荷発生層14の厚みは、0.0
1〜5μm、さらに好ましくは0.05〜2μmであ
る。この厚みが0.01μm以下であると電荷の発生が
充分でなく、又5μm以上であると残留電位が高く実用
に耐えない。電荷輸送層15の厚さは5〜50μm、さ
らに好ましくは3〜20μmである。この厚さが3μm
以下であると帯電量が不十分であり、50μm以上であ
ると残留電位が高く実用的ではない。電荷発生層14は
電荷発生物質を主体とし、さらに結着剤、可塑剤、電荷
移動物質などを含有することができる。また、電荷発生
層中の電荷発生物質の割合は、30重量%以上、さらに
好ましくは50重量%以上である。電荷輸送層15は有
機ポリゲルマンを主体とし、さらに結着剤、可塑剤、酸
化防止剤、紫外線劣化防止剤などを含有することができ
る。電荷輸送層中有機ポリゲルマンの割合は、10〜9
5重量%、好ましくは30〜90重量%である。電荷輸
送物質の占める割合が10重量%未満であると、電荷の
搬送はほとんど行われず、また95重量%以上であると
感光体皮膜の機械的強度が極めて悪く実用に供しえな
い。図3の感光体は、図2の感光体の電荷発生層14と
電荷輸送層15を逆にした構成であり、図2の感光体と
同様な厚さ、量比で製造可能である。
【0012】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体
上に電荷発生物質と必要に応じてバインダー樹脂を含有
する層(電荷発生層)と、電荷移動物質として有機ポリ
ゲルマンを含有する層で形成されるものであり、導電性
支持体、電荷発生物質、結着剤などの他の構成要素とし
ては従来知られていたもののいずれもが使用できるが、
それらについては以下に具体的に説明する。本発明にお
いて使用される導電性支持体としては、アルミニウム、
ニッケル、銅、亜鉛等の金属板、金属ドラムまたは金属
箔、アルミニウム、銅、金、酸化錫、酸化インジウム等
の導電性材料を蒸着或は塗布したプラスチックフィル
ム、導電処理した紙等が使用される。結着剤としては例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ア
クリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビ
ニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂等の付加重
合型樹脂、重付加型樹脂、重縮合型樹脂、並びにこれら
の樹脂の繰り返し単位のうち2つ以上を含む共重合体樹
脂、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂等の絶縁
性樹脂のほか、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分
子有機半導体が挙げられる。可塑剤としては、ハロゲン
化パラフィン、ポリ塩化ビフェニル、ジメチルナフタレ
ン、ジブチルフタレートなどが挙げれれる。そのほか、
酸化防止剤としては、ヒンダントフェノール、ヒンダン
トアミンなどのフェノールまたはアミン類があげられ、
紫外線劣化防止剤としては、ベンゾフェノンなどのケト
ン類、トリアゾールなどの複素環類が挙げられる。また
感光体の表面性を向上させるためにシリコンオイル等を
加えてもよい。本発明に使用する電荷発生物質として
は、可視光を吸収してエキシマーを発生するものであれ
ば、無機物質および有機物質のいずれをも使用すること
ができる。たとえば、無定型セレン,三方晶系セレン、
セレン−ヒ素合金、セレン−テルル合金、硫化カドミウ
ム、セレン化カドミウム、硫化水銀、酸化鉛、硫化鉛、
アモルファスシリコンなどの無機物質、あるいは、ビス
アゾ系色素、ポリアゾ系色素、トリアリ−ルメタン系色
素、チアジン系色素、オキサジン系色素、キサンテン系
色素、シアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系
色素、キナクリドン系色素、インジゴ系色素、ペリレン
系色素、多環キノン系色素、ビスベンズイミダゾール系
色素、インダンスロン系色素、スクアリリウム系色素、
アントラキノン系色素およびフタロシアニン系色素等の
有機物質が挙げられる。また、図1の感光体において導
電性支持体と電荷発生層の中間に必要に応じて設けられ
るバリア層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルア
ルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、酸化
アルミニウムなどが適当で、膜厚は1μm以下が好まし
い。
【0013】次に感光体の製造方法について説明する。
図1の感光体を作成するには電荷発生物質を有機ポリゲ
ルマンおよび結着剤を溶解した溶液に分散あるいは溶解
せしめ、これを導電性支持体上に塗布乾燥すればよい。
図2の感光体を作製するには、まず、電荷発生層を導電
性支持体上に電荷発生物質を真空蒸着法により作成する
か、あるいは、電荷発生物質を必要とあれば結着剤を溶
解した適当な溶剤に溶解し、これを導電性支持体上に塗
布乾燥し、さらに必要とあれば、特開昭51−9082
7号公報に示されているようなバフ研磨等の方法により
表面仕上げをするか、膜厚を調整することによって作成
される。次に、この電荷発生層上に電荷輸送層として有
機ポリゲルマン、さらに必要とあれば、結着剤を含む溶
液に有機ポリゲルマンを溶解させた溶液を塗布乾燥して
形成する。図3の感光体は、上記図2の感光体の電荷発
生層−電荷輸送層の製造工程を逆にし、同様に作成され
る。いずれの場合も本発明での塗布方法は通常の手段、
例えばドクターブレード、ディッピング、ワイヤーバ
ー、スプレー法などで行うことができる。本発明の感光
体を用いて複写を行うには、感光層面に帯電、露光を施
したあと、現像を行い、必要に応じて紙などに転写を行
うことにより達成される。
【0014】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、これにより本発明が限定されるものではない。 実施例1(メチルフェニルポリゲルマンの製造) トルエンの中で細かく切断し酸化皮膜を取り除いた金属
ナトリウム1.00gを、アルゴンを流しながら、20
mlのトルエンを入れた100mlの三口フラスコにす
ばやく投入する。フラスコ内をアルゴンガスで置換した
あと、高速で撹拌を行いナトリウムを分散させる。これ
に4.94g(0.021mol)のメチルフェニルジ
クロロゲルマンを滴下する。滴下が終わったら、トルエ
ンが還流する温度で2時間加熱撹拌を行う。ついで室温
まで冷却した後、20mlのメタノールを加えてナトリ
ウムを分解させ、不溶物を濾別して反応溶液をベンゼン
で抽出する。ベンゼン溶液は無水硫酸ナトリウムで乾燥
させる。溶媒を留去し、さらに減圧乾燥させて得られた
白色の固体に10mlのトルエンを加えて白色固体を溶
解し、この溶液を1000mlのメタノールに注ぎ結晶
を析出させる。結晶を濾別し、減圧乾燥を行って1.5
4gのメチルフェニルポリゲルマンが得られた。収率4
5%、Mw=20,000。
【0015】実施例2 下記一般式(A)で表されるビスアゾ色素5部、ブチラ
ール樹脂(デンカブチラール樹脂#3000−2;電気
化学工業製)2.5部およびテトラヒドロフラン92.
5部をボールミルにて12時間分散させ、次にテトラヒ
ドロフランを2重量%の分散液濃度になるように加え、
再分散させて塗布液を調整した。調整した分散液をアル
ミニウムを蒸着した100μm厚のポリエステルフィル
ム上にドクターブレードにて流延塗布し、乾燥後の膜厚
が、1.0μmの電荷発生層を作成した。
【化10】 この様にして得られた電荷発生層上にメチルフェニルポ
リゲルマン6部、およびポリカーボネート樹脂(ポリカ
ーボネートPC−Z;帝人化成製)10部、メチルフェ
ニルシリコーン(KF50 100CPS;信越化学
製)0.002部、テトラヒドロフラン94部からなる
処方の塗布液を調整し、ドクターブレードにて流延塗布
し、乾燥後の膜厚が、20.0μmの電荷輸送層を形成
し、アルミニウム電極/電荷発生層/電荷輸送層で構成
される積層型電子写真感光体(感光体No.1)を作成
した。
【0016】実施例3 上記化学式(A)で表されるビスアゾ色素の化わりに、
下記一般式(B)で表されるトリスアゾ色素6部を用い
ること以外は実施例2と同様の方法で電荷発生層を作成
した。
【化11】 この様にして得られた電荷発生層上に、メチルフェニル
ポリゲルマン6部、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボ
ネートPC−Z;帝人化成製)0.002部、テトラヒ
ドロフラン94部からなる処方の塗布液を調整し、ドク
ターブレードにて流延塗布し、実施例1と同様の方法
で、乾燥後の膜厚が20μmの電荷輸送層を形成し、ア
ルミニウム電極/電荷発生層/電荷輸送層で構成される
積層型電子写真感光体(感光体No.2)を作成した。
【0017】実施例4 チタニルフタロシアニン(Cと略記)5部、ポリビニル
ブチラール樹脂(エスレックスBLS;積水化学製)5
部、テトラヒドロフラン90部をボールミルにて12時
間分散させ、次にテトラヒドロフランを2重量%の分散
液濃度になるように加え、再分散させて塗布液を調整し
た。この様に調整した塗布液をアルミニウムを蒸着した
100μm厚のポリエステルフィルム上にドクターブレ
ードにて流延塗布し、乾燥後の膜厚が0.5μmの電荷
発生層を作成した。この様にして得られた電荷発生層上
に、メチルフェニルポリゲルマン6部、ポリカーボネー
ト樹脂(ポリカーボネートPC−Z;帝人化成製)10
部、テトラヒドロフラン94部からなる処方の塗布液を
調整し、ドクターブレードにて流延塗布し、実施例1と
同様の方法で、乾燥後の膜厚が20μmの電荷輸送層を
形成し、アルミニウム電極/電荷発生層/電荷輸送層で
構成される積層型電子写真感光体(感光体No.3)を
作成した。以上のようにして得られた電子写真感光体に
ついて、静電複写紙試験装置(川口電気制作所;SP−
428)を用いて以下のような特性評価を行った。−6
KVのコロナ帯電を施して、負帯電した後、20秒間暗
所に放置し、その時の表面電位V0を測定する。ついで
タングステンランプを用いて表面の照度が40ルックス
になるように光照射し、その時V0が半分になるのに要
した露光量E1/2(Lux・sec)、および露光後3
0秒後の表面電位V30を測定した。
【0018】比較例1(従来法によるメチルフェニルポ
リゲルマンの製造) 市販の金属ナトリウム1.50gを、アルゴンを流しな
がら、25mlのトルエンを入れた100mlの三口フ
ラスコにすばやく投入する。フラスコ内をアルゴンガス
で置換したあと、高速で撹拌を行いナトリウムを分散さ
せる。これに7.06g(0.030mol)のメチル
フェニルジクロロゲルマンを滴下する。滴下が終わった
ら、トルエンが還流する温度で2時間加熱撹拌を行う。
ついで室温まで冷却した後、20mlのメタノールを加
えてナトリウムを分解させ、不溶物を濾別して反応溶液
をベンゼンで抽出する。ベンゼン溶液は無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥させる。溶媒を留去し、さらに減圧乾燥させ
て得られた白色の固体に10mlのトルエンを加えて白
色固体を溶解し、この溶液を1000mlのメタノール
に注ぎ結晶を析出させる。結晶を濾別し、減圧乾燥を行
って1.12gのメチルフェニルポリゲルマンが得られ
た。収率22%、Mw=7000。
【0019】比較例2〜比較例4 比較例1で得られたメチルフェニルポリゲルマンを用い
て、実施例2〜実施例4と同様に、積層型電子写真感光
体(感光体No.4〜No.6)を作成し、電子写真特
性の評価を行った。これらの結果を表2に示す。
【表2】
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明で電荷輸送
物質として用いる有機ポリゲルマンは、比較的容易に合
成することができ、かつ結着樹脂中で優れた溶解性また
は分散性を有する。また、電荷発生物質から発生した電
荷を受け入れ、それを輸送する能力に優れている。従っ
て、これらの化合物を感光層に含有させることにより暗
減衰率が高く、感度も良い電子写真感光体が得られる。
さらに、前記高分子量の有機ポリゲルマンを含有する感
光層を形成させることにより、機械的強度が大きく、帯
電電位特性、感度特性、残留電位特性に優れ、かつ耐環
境性に優れた電子写真感光体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の1実施例の断面構造
を模式的に示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の他の実施例の断面構
造を模式的に示す図である。
【図3】本発明の電子写真感光体の他の実施例の断面構
造を模式的に示す図である。
【符号の説明】
11 導電性支持体 12 電荷発生物質 13 感光層 14 電荷発生層 15 電荷輸送層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に、電荷発生物質および
    電荷輸送物質を含有する感光層を設けた電子写真感光体
    において、電荷輸送物質として、次式(1) 【化1】 (式中、R1、R2は互いに同一または相異なっていても
    よく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、置換ま
    たは無置換芳香族基および置換または無置換脂環族基よ
    りなる群から選ばれるものである。ただし、アルキル基
    は互いに結合し、ゲルマニウム原子と一緒にゲルマニウ
    ム含有環を形成することもできる。また、Xはハロゲン
    原子を表す。)で示されるジハロゲン化ゲルマンを9
    9.99%以上の高純度のアルカリ金属で脱ハロゲン重
    縮合して得られる次式(2) 【化2】 (式中、R1、R2は前記に同じ。)で示される構造単位
    からなる有機ポリゲルマンを用いることを特徴とする電
    子写真感光体。
  2. 【請求項2】 平均分子量が10,000〜100,0
    00の範囲にある有機ポリゲルマンを用いる請求項1記
    載の電子写真感光体。
JP10505893A 1993-04-07 1993-04-07 有機ポリゲルマン含有電荷輸送物質層を有する電子写真感光体 Pending JPH06295079A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7943721B2 (en) 2005-10-05 2011-05-17 Kovio, Inc. Linear and cross-linked high molecular weight polysilanes, polygermanes, and copolymers thereof, compositions containing the same, and methods of making and using such compounds and compositions

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7943721B2 (en) 2005-10-05 2011-05-17 Kovio, Inc. Linear and cross-linked high molecular weight polysilanes, polygermanes, and copolymers thereof, compositions containing the same, and methods of making and using such compounds and compositions
US8378050B2 (en) 2005-10-05 2013-02-19 Kovio, Inc. Linear and cross-linked high molecular weight polysilanes, polygermanes, and copolymers thereof, compositions containing the same, and methods of making and using such compounds and compositions

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