JPH06279192A - 圧電性半導体及びその製造方法 - Google Patents
圧電性半導体及びその製造方法Info
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- JPH06279192A JPH06279192A JP5070416A JP7041693A JPH06279192A JP H06279192 A JPH06279192 A JP H06279192A JP 5070416 A JP5070416 A JP 5070416A JP 7041693 A JP7041693 A JP 7041693A JP H06279192 A JPH06279192 A JP H06279192A
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- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 音響電気効果素子として用いるに適当な電
気伝導度等の特性を有する圧電性半導体及びその製造方
法を提供する。 【構成】 ZnO単結晶を主成分とする単結晶から構
成される圧電性半導体である。10-6〜10-111/Ω
・cmの電気伝導度を有する。アンモニウムイオンを含
有するアルカリ溶媒を用いて、ZnO単結晶を育成す
る。
気伝導度等の特性を有する圧電性半導体及びその製造方
法を提供する。 【構成】 ZnO単結晶を主成分とする単結晶から構
成される圧電性半導体である。10-6〜10-111/Ω
・cmの電気伝導度を有する。アンモニウムイオンを含
有するアルカリ溶媒を用いて、ZnO単結晶を育成す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化亜鉛(ZnO)を
主成分とする単結晶から成る圧電性半導体に関し、更に
詳細には、超音波探触子の音響電気効果素子等として好
適に用いることができる圧電性半導体に関する。
主成分とする単結晶から成る圧電性半導体に関し、更に
詳細には、超音波探触子の音響電気効果素子等として好
適に用いることができる圧電性半導体に関する。
【0002】
【従来の技術】ZnOの単結晶化に関しては、「高純度
ZnO単結晶の水熱育成とストイキオメトリーの評価」
(坂上 登著、昭和63年2月、秋田高専研究紀要第2
3号)が報告されている。この文献には水熱法によるZ
nO単結晶の育成が記載されており、この育成法によれ
ば、ZnO焼結体を結晶育成装置内の下部に、一方、Z
nO種結晶を該育成装置の上部にそれぞれ配置し、次い
で、KOH及びLiOHから成るアルカリ水溶液の溶媒
(以下、「アルカリ溶媒」という。)を充填する。この
状態で、結晶育成装置内を370〜400℃の育成温
度、700〜1000kg/cm2 の圧力で運転を行な
うが、ここで、結晶育成装置内の上部と下部で、下部の
温度が上部の温度より10〜15℃高くなるように運転
することにより、ZnOの単結晶を育成する。
ZnO単結晶の水熱育成とストイキオメトリーの評価」
(坂上 登著、昭和63年2月、秋田高専研究紀要第2
3号)が報告されている。この文献には水熱法によるZ
nO単結晶の育成が記載されており、この育成法によれ
ば、ZnO焼結体を結晶育成装置内の下部に、一方、Z
nO種結晶を該育成装置の上部にそれぞれ配置し、次い
で、KOH及びLiOHから成るアルカリ水溶液の溶媒
(以下、「アルカリ溶媒」という。)を充填する。この
状態で、結晶育成装置内を370〜400℃の育成温
度、700〜1000kg/cm2 の圧力で運転を行な
うが、ここで、結晶育成装置内の上部と下部で、下部の
温度が上部の温度より10〜15℃高くなるように運転
することにより、ZnOの単結晶を育成する。
【0003】上記のように育成されるZnO単結晶は、
育成溶液としてアルカリ溶媒のみを用いた場合には、育
成環境が還元性雰囲気になり、Zn原子の過剰量が十数
ppmから二十数ppmとなり、電気伝導度も100 〜
10-21/Ω・cmとなる。そこで、育成系内を酸素雰
囲気にするために過酸化水素(H2O2)を添加し、さら
に高純度のZnOの単結晶化が試みられており、10-8
〜10-101/Ω・cm程度の電気伝導度を有するZn
O単結晶が得られている。
育成溶液としてアルカリ溶媒のみを用いた場合には、育
成環境が還元性雰囲気になり、Zn原子の過剰量が十数
ppmから二十数ppmとなり、電気伝導度も100 〜
10-21/Ω・cmとなる。そこで、育成系内を酸素雰
囲気にするために過酸化水素(H2O2)を添加し、さら
に高純度のZnOの単結晶化が試みられており、10-8
〜10-101/Ω・cm程度の電気伝導度を有するZn
O単結晶が得られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、100
〜10-21/Ω・cmの電気伝導度を有するZnO単結
晶では音響電気効果特性はほとんど得られない。また、
アルカリ溶媒中に含まれるLi+が不純物として育成結
晶中に混入するが、10-8〜10-101/Ω・cmのよ
うな低電気伝導度を有するZnO単結晶では、育成結晶
中の不純物がモビリティーに与える影響は大きく、モビ
リティーを著しく低下させる。このモビリティーの低下
に伴い音響電気効果も低下し、かかる製造方法により育
成されたZnO単結晶は、音響電気効果素子としてはあ
まり適していない。
〜10-21/Ω・cmの電気伝導度を有するZnO単結
晶では音響電気効果特性はほとんど得られない。また、
アルカリ溶媒中に含まれるLi+が不純物として育成結
晶中に混入するが、10-8〜10-101/Ω・cmのよ
うな低電気伝導度を有するZnO単結晶では、育成結晶
中の不純物がモビリティーに与える影響は大きく、モビ
リティーを著しく低下させる。このモビリティーの低下
に伴い音響電気効果も低下し、かかる製造方法により育
成されたZnO単結晶は、音響電気効果素子としてはあ
まり適していない。
【0005】更に、Li+がZnO原子と置換して結晶
格子中に混入する場合には、アクセプターとして作用
し、電気伝導度を低下させ、一方、結晶格子間に入る場
合には、ドナーとして作用し、電気伝導度を増大させ
る。従って、混入の仕方によっては、育成結晶中にLi
+が偏在することがあり、この場合は電気伝導度にバラ
ツキを生じ、音響電気効果素子として好ましくない。
格子中に混入する場合には、アクセプターとして作用
し、電気伝導度を低下させ、一方、結晶格子間に入る場
合には、ドナーとして作用し、電気伝導度を増大させ
る。従って、混入の仕方によっては、育成結晶中にLi
+が偏在することがあり、この場合は電気伝導度にバラ
ツキを生じ、音響電気効果素子として好ましくない。
【0006】本発明は、このような従来技術の有する課
題等に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、音響電気効果素子として用いるに適当な電気伝導
度等の特性を有する圧電性半導体及びその製造方法を提
供することにある。
題等に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、音響電気効果素子として用いるに適当な電気伝導
度等の特性を有する圧電性半導体及びその製造方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究した結果、アンモニウムイオンを用
いることにより、上記目的が達成できることを見出し、
本発明を完成するに至った。従って、本発明の圧電性半
導体は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とする単結晶から
成る圧電性半導体であって、10-6〜10-111/Ω・
cm(但し、10-61/Ω・cmを除く。)の電気伝導
度を有することを特徴とする。
達成すべく鋭意研究した結果、アンモニウムイオンを用
いることにより、上記目的が達成できることを見出し、
本発明を完成するに至った。従って、本発明の圧電性半
導体は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とする単結晶から
成る圧電性半導体であって、10-6〜10-111/Ω・
cm(但し、10-61/Ω・cmを除く。)の電気伝導
度を有することを特徴とする。
【0008】また、本発明の圧電性半導体の製造方法
は、酸化亜鉛(ZnO)焼結体原料を容器下部の原料充
填部に、ZnO種結晶を容器上部の結晶育成部にそれぞ
れ配置するとともに、アンモニウムイオン(NH4 +)を
含有するアルカリ溶媒を容器に充填し、原料充填部の温
度が結晶育成部の温度より高くなるように容器内温度を
制御して水熱条件下でZnO単結晶を育成する圧電性半
導体の製造方法であって、該アルカリ溶媒1lに対して
過酸化水素を混入することにより電気伝導度を制御した
ことを特徴とする。
は、酸化亜鉛(ZnO)焼結体原料を容器下部の原料充
填部に、ZnO種結晶を容器上部の結晶育成部にそれぞ
れ配置するとともに、アンモニウムイオン(NH4 +)を
含有するアルカリ溶媒を容器に充填し、原料充填部の温
度が結晶育成部の温度より高くなるように容器内温度を
制御して水熱条件下でZnO単結晶を育成する圧電性半
導体の製造方法であって、該アルカリ溶媒1lに対して
過酸化水素を混入することにより電気伝導度を制御した
ことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の圧電性半導体においては、その電気伝
導度を10-6〜10-111/Ω・cmに制御した。従っ
て、本発明の圧電性半導体は、音響電気効果素子、特に
超音波探触子の音響電気効果素子(受信子)として好適
に用いることができる。
導度を10-6〜10-111/Ω・cmに制御した。従っ
て、本発明の圧電性半導体は、音響電気効果素子、特に
超音波探触子の音響電気効果素子(受信子)として好適
に用いることができる。
【0010】また、本発明の圧電性半導体の製造方法に
おいては、アンモニウムイオン(NH4 +)を含有するア
ルカリ溶媒を用いることにした。NH4 +は、Li+と異
なりZnO結晶に混入しないため、得られるZnO単結
晶のモビリティーを向上させることができる。このよう
に、NH4 +は混入しないため、上述のようなZnO単結
晶中での偏在も回避でき、得られるZnO単結晶内での
電気伝導度のバラツキを抑制することができる。
おいては、アンモニウムイオン(NH4 +)を含有するア
ルカリ溶媒を用いることにした。NH4 +は、Li+と異
なりZnO結晶に混入しないため、得られるZnO単結
晶のモビリティーを向上させることができる。このよう
に、NH4 +は混入しないため、上述のようなZnO単結
晶中での偏在も回避でき、得られるZnO単結晶内での
電気伝導度のバラツキを抑制することができる。
【0011】上述のように、NH4 +がLi+とは異なり
ZnO結晶内に混入しない理由としては、NH4 +はLi
+と比較してそのイオン半径が大きいということが考え
られる。また、NH4 +はLi+と同様に、ZnO結晶が
a軸方向へ結晶成長するのを促進する作用を有する。
ZnO結晶内に混入しない理由としては、NH4 +はLi
+と比較してそのイオン半径が大きいということが考え
られる。また、NH4 +はLi+と同様に、ZnO結晶が
a軸方向へ結晶成長するのを促進する作用を有する。
【0012】以下、本発明の圧電性半導体について説明
する。本発明の圧電性半導体は、ZnOを主成分とする
単結晶から構成される。そして、この半導体の電気伝導
度は10-6〜10-111/Ω・cmである。この電気伝
導度の範囲内であれば、音響電気効果素子として使用可
能な出力電圧を発生することができる。
する。本発明の圧電性半導体は、ZnOを主成分とする
単結晶から構成される。そして、この半導体の電気伝導
度は10-6〜10-111/Ω・cmである。この電気伝
導度の範囲内であれば、音響電気効果素子として使用可
能な出力電圧を発生することができる。
【0013】また、この圧電性半導体は、音響電気効果
電圧とピエゾ効果電圧の両者を発生する。従って、この
圧電性半導体を音響電気効果素子として利用するために
は、フィルターによりピエゾ効果電圧を除去する必要が
ある。両効果電圧をフィルターで分離するためには、音
響電気効果電圧:ピエゾ効果電圧の電圧比が3:1以上
であることが必要であり、そのためには、モビリティー
(キャリアの移動度)が30cm2 /V・sec以上で
あるのが好ましい。更に良好な音響電気効果素子として
の機能を具備させるためには、上記電圧比が9:1以上
であるのが好ましく、そのためにはモビリティーが60
cm2/V・sec以上であることが好ましい。
電圧とピエゾ効果電圧の両者を発生する。従って、この
圧電性半導体を音響電気効果素子として利用するために
は、フィルターによりピエゾ効果電圧を除去する必要が
ある。両効果電圧をフィルターで分離するためには、音
響電気効果電圧:ピエゾ効果電圧の電圧比が3:1以上
であることが必要であり、そのためには、モビリティー
(キャリアの移動度)が30cm2 /V・sec以上で
あるのが好ましい。更に良好な音響電気効果素子として
の機能を具備させるためには、上記電圧比が9:1以上
であるのが好ましく、そのためにはモビリティーが60
cm2/V・sec以上であることが好ましい。
【0014】更に、この圧電性半導体としては、音響電
気効果特性の均一化を図り、出力電圧値を安定化させる
ために、ZnO単結晶内における電気伝導度のバラツキ
が1021/Ω・cm以内であるのが好ましい。
気効果特性の均一化を図り、出力電圧値を安定化させる
ために、ZnO単結晶内における電気伝導度のバラツキ
が1021/Ω・cm以内であるのが好ましい。
【0015】次に、本発明の圧電性半導体の製造方法に
ついて説明する。まず、ZnO単結晶を育成する原料と
して用いるZnO焼結体を、常法に従って製造する。得
られた焼結体のうち1〜2mm程度のものを選別するの
がよい。次に、貴金属を内部に被覆した育成容器内に上
記ZnO焼結体を充填する。但し、この育成容器は全体
が貴金属(過酸化水素を用いる場合には、Ptが好まし
い。)で作製されていてもよい。
ついて説明する。まず、ZnO単結晶を育成する原料と
して用いるZnO焼結体を、常法に従って製造する。得
られた焼結体のうち1〜2mm程度のものを選別するの
がよい。次に、貴金属を内部に被覆した育成容器内に上
記ZnO焼結体を充填する。但し、この育成容器は全体
が貴金属(過酸化水素を用いる場合には、Ptが好まし
い。)で作製されていてもよい。
【0016】次いで、所要に応じて、該容器内にバッフ
ル板を設置して、ZnO焼結体を充填した原料充填部と
ZnO種結晶を配置する結晶育成部とに区画する。次い
で、ZnO種結晶を該容器内の上方(バッフル板を用い
た場合には、結晶育成部)に配置し、2〜6mol/l
のKOHと0.1〜0.3mol/lのNH4OHとか
ら成り、該KOHとNH4OH1lに対して約0.1〜
0.5molのH2O2を混入したアルカリ溶媒を該容器
に注入する。注入の割合は、該容器のフリー容積、即ち
該容器にZnO焼結体及びバッフル板等を設置した際に
残存する容積の約60〜85%とするのが好ましい。
ル板を設置して、ZnO焼結体を充填した原料充填部と
ZnO種結晶を配置する結晶育成部とに区画する。次い
で、ZnO種結晶を該容器内の上方(バッフル板を用い
た場合には、結晶育成部)に配置し、2〜6mol/l
のKOHと0.1〜0.3mol/lのNH4OHとか
ら成り、該KOHとNH4OH1lに対して約0.1〜
0.5molのH2O2を混入したアルカリ溶媒を該容器
に注入する。注入の割合は、該容器のフリー容積、即ち
該容器にZnO焼結体及びバッフル板等を設置した際に
残存する容積の約60〜85%とするのが好ましい。
【0017】次に、該育成容器を他の容器、例えばオー
トクレーブ内に設置し、圧力媒体をこのオートクレーブ
内に充填して該容器を浸漬する。この圧力媒体として
は、高温高圧下で腐食性の弱い物質であればよく、蒸留
水が好ましい。このような圧力媒体は、オートクレーブ
内に育成容器を設置した際に残存する内容積(以下、
「フリー内容積」という。)に対する充填率に応じて、
その育成温度にて圧力を発生するが、この圧力が育成容
器内の圧力と同等あるいは若干高めになるように、圧力
媒体の充填率を調整することにより育成容器を保護する
機能を果たす。上記の溶媒及び溶媒濃度において、圧力
媒体が蒸留水の場合には、その充填率はオートクレーブ
のフリー内容積の60〜80%とするのが好ましい。
トクレーブ内に設置し、圧力媒体をこのオートクレーブ
内に充填して該容器を浸漬する。この圧力媒体として
は、高温高圧下で腐食性の弱い物質であればよく、蒸留
水が好ましい。このような圧力媒体は、オートクレーブ
内に育成容器を設置した際に残存する内容積(以下、
「フリー内容積」という。)に対する充填率に応じて、
その育成温度にて圧力を発生するが、この圧力が育成容
器内の圧力と同等あるいは若干高めになるように、圧力
媒体の充填率を調整することにより育成容器を保護する
機能を果たす。上記の溶媒及び溶媒濃度において、圧力
媒体が蒸留水の場合には、その充填率はオートクレーブ
のフリー内容積の60〜80%とするのが好ましい。
【0018】次に、該オートクレーブを加熱炉内に設置
し、上記育成容器の温度を上昇させて、上記結晶育成部
と原料充填部とを所定温度に加熱する。この際、結晶育
成部の温度を原料充填部の温度より約10〜20℃低く
するのがよい。即ち、結晶育成部の温度は360〜40
0℃、原料充填部温度は380〜420℃とするのが好
ましい。そして、この状態のまま10〜30日間定常運
転して結晶を育成し、その後、加熱炉を停止して室温に
下げ、ZnO単結晶を取り出す。
し、上記育成容器の温度を上昇させて、上記結晶育成部
と原料充填部とを所定温度に加熱する。この際、結晶育
成部の温度を原料充填部の温度より約10〜20℃低く
するのがよい。即ち、結晶育成部の温度は360〜40
0℃、原料充填部温度は380〜420℃とするのが好
ましい。そして、この状態のまま10〜30日間定常運
転して結晶を育成し、その後、加熱炉を停止して室温に
下げ、ZnO単結晶を取り出す。
【0019】また、上述の製造方法のZnO焼結体の焼
成においては、不純物重金属を予め除去することによっ
ても、得られるZnO単結晶のモビリティーを向上させ
ることができるので、このように処理するのが好まし
い。上述のように、ZnO単結晶を音響電気効果素子と
して用いる場合、モビリティーが所定以上、即ち30c
m2 /V・sec以上であることが好ましいが、従来の
方法では、ZnO単結晶中にLi+以外にもPb等の不
純物元素が混入し、モビリティーを下げることがあっ
た。Pbは、ZnO粉末中に約50ppm含まれている
が、例えば、Znの蒸留を繰り返し、高純度のZnを精
製した後、このZnを用いて、高純度のZnO粉末を製
造することができる。
成においては、不純物重金属を予め除去することによっ
ても、得られるZnO単結晶のモビリティーを向上させ
ることができるので、このように処理するのが好まし
い。上述のように、ZnO単結晶を音響電気効果素子と
して用いる場合、モビリティーが所定以上、即ち30c
m2 /V・sec以上であることが好ましいが、従来の
方法では、ZnO単結晶中にLi+以外にもPb等の不
純物元素が混入し、モビリティーを下げることがあっ
た。Pbは、ZnO粉末中に約50ppm含まれている
が、例えば、Znの蒸留を繰り返し、高純度のZnを精
製した後、このZnを用いて、高純度のZnO粉末を製
造することができる。
【0020】更に、本発明では、原料充填部と結晶育成
部の温度差△Tを、育成過程の前半より後半に小さくな
るように制御することが電気伝導度のバラツキを102
1/Ω・cm以内に小さくすることができるので、この
ように処理するのが好ましい。 この温度差△Tは、具
体的には、例えば、育成期前半においては10〜25
℃、後半においては5〜10℃とすることにより電気伝
導度のバラツキを抑制することができる。また、△Tを
このように2段階のみならず、結晶の育成状況に応じて
多段階・連続的に変化させて電気伝導度のバラツキを抑
制することも可能である。
部の温度差△Tを、育成過程の前半より後半に小さくな
るように制御することが電気伝導度のバラツキを102
1/Ω・cm以内に小さくすることができるので、この
ように処理するのが好ましい。 この温度差△Tは、具
体的には、例えば、育成期前半においては10〜25
℃、後半においては5〜10℃とすることにより電気伝
導度のバラツキを抑制することができる。また、△Tを
このように2段階のみならず、結晶の育成状況に応じて
多段階・連続的に変化させて電気伝導度のバラツキを抑
制することも可能である。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 (実施例1〜7) (単結晶の育成)Zn蒸留を介して得られた高純度Zn
O粉末500gと蒸留水500gとを混合し、得られた
混合物を直径2〜3mmの球状に成形し、100℃で2
時間乾燥させた。得られた乾燥体を、酸素雰囲気下、ア
ルミナ容器中1100℃で24時間焼結し、得られたZ
nO焼結体から粒径1〜2mmのものをふるい分けして
選別した。200gのZnO焼結体1を、図1に示す育
成容器10に充填した。この育成容器10は、熱電対挿
入部12、12’を備え、内径30mm×高さ300m
mのほぼ円柱形状をなし、内容積は250mlであり、
また、その内部にはPtが被覆されている。
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 (実施例1〜7) (単結晶の育成)Zn蒸留を介して得られた高純度Zn
O粉末500gと蒸留水500gとを混合し、得られた
混合物を直径2〜3mmの球状に成形し、100℃で2
時間乾燥させた。得られた乾燥体を、酸素雰囲気下、ア
ルミナ容器中1100℃で24時間焼結し、得られたZ
nO焼結体から粒径1〜2mmのものをふるい分けして
選別した。200gのZnO焼結体1を、図1に示す育
成容器10に充填した。この育成容器10は、熱電対挿
入部12、12’を備え、内径30mm×高さ300m
mのほぼ円柱形状をなし、内容積は250mlであり、
また、その内部にはPtが被覆されている。
【0022】次いで、育成容器10内に開孔率5%のバ
ッフル板3を設置して、該容器10内を原料充填部14
と結晶育成部16とに区画した。そして、Ptフレーム
5にZnO種結晶7を吊り下げ、このフレーム5を上記
結晶育成部16に配置した。この際、種結晶7に貴金属
線の一例であるPt線9を貫通させ、このPt線9の両
端をフレーム5に締結することにより、種結晶7をフレ
ーム5に固定した。次に、表1に示すように、育成容器
10に、所定濃度のKOHとNH4OHとから成るアル
カリ溶媒を注入した。その際、このアルカリ溶媒に表1
のような各濃度のH2O2を注入した。注入量は育成容器
10のフリー容積の80%とした。
ッフル板3を設置して、該容器10内を原料充填部14
と結晶育成部16とに区画した。そして、Ptフレーム
5にZnO種結晶7を吊り下げ、このフレーム5を上記
結晶育成部16に配置した。この際、種結晶7に貴金属
線の一例であるPt線9を貫通させ、このPt線9の両
端をフレーム5に締結することにより、種結晶7をフレ
ーム5に固定した。次に、表1に示すように、育成容器
10に、所定濃度のKOHとNH4OHとから成るアル
カリ溶媒を注入した。その際、このアルカリ溶媒に表1
のような各濃度のH2O2を注入した。注入量は育成容器
10のフリー容積の80%とした。
【0023】次いで、図2に示すように、育成容器10
をオートクレーブ20内に設置し、熱電対18、18’
を配置した後に、オートクレーブ20に蒸留水22を注
入した。注入量はオートクレーブ20のフリー内容積の
70%とした。次に、オートクレーブ20をキャップ2
4により封止し、このオートクレーブ20を電気炉30
内に設置した。この電気炉30は、育成温度の微調整を
可能にすべく上下2段型の構成となっており、かつ、熱
電対32、34を備えている。
をオートクレーブ20内に設置し、熱電対18、18’
を配置した後に、オートクレーブ20に蒸留水22を注
入した。注入量はオートクレーブ20のフリー内容積の
70%とした。次に、オートクレーブ20をキャップ2
4により封止し、このオートクレーブ20を電気炉30
内に設置した。この電気炉30は、育成温度の微調整を
可能にすべく上下2段型の構成となっており、かつ、熱
電対32、34を備えている。
【0024】次いで、結晶育成部16の温度が、原料充
填部14の温度より常に低くなるようにして昇温し、結
晶育成部を380℃、原料充填部を395℃に昇温し
た。このままの状態で20日間定常運転し、その後に電
気炉を室温に下げてから、ZnO単結晶を取り出した。
なお、電気伝導度のバラツキを抑制すべく、実施例1〜
5においては、表1のように、結晶育成部と原料充填部
との温度差△Tを、育成開始から10日間(前半)よ
り、その後10日間(後半)を小さくした。なお、実施
例6及び7では、△Tは一定とした。
填部14の温度より常に低くなるようにして昇温し、結
晶育成部を380℃、原料充填部を395℃に昇温し
た。このままの状態で20日間定常運転し、その後に電
気炉を室温に下げてから、ZnO単結晶を取り出した。
なお、電気伝導度のバラツキを抑制すべく、実施例1〜
5においては、表1のように、結晶育成部と原料充填部
との温度差△Tを、育成開始から10日間(前半)よ
り、その後10日間(後半)を小さくした。なお、実施
例6及び7では、△Tは一定とした。
【0025】(比較例1)NH4OHの代わり1.5m
ol/lのLiOHを用い、且つ△Tの調整を行なわな
かった以外は、実施例1〜5と同様の操作を行った。 (比較例2)NH4OHの代わり1.5mol/lのL
iOHを用いた以外は、実施例1〜5と同様の操作を行
った。
ol/lのLiOHを用い、且つ△Tの調整を行なわな
かった以外は、実施例1〜5と同様の操作を行った。 (比較例2)NH4OHの代わり1.5mol/lのL
iOHを用いた以外は、実施例1〜5と同様の操作を行
った。
【0026】(比較例3)NH4OH及びLiOHを使
用せず、且つ△Tの調整を行なわなかった以外は、実施
例1〜5と同様の操作を行った。 (比較例4)NH4OH及びLiOHを使用しなかった
以外は、実施例1〜5と同様の操作を行った。
用せず、且つ△Tの調整を行なわなかった以外は、実施
例1〜5と同様の操作を行った。 (比較例4)NH4OH及びLiOHを使用しなかった
以外は、実施例1〜5と同様の操作を行った。
【0027】(性能評価)上記各例で得られたZnO単
結晶につき、電気伝導度及びそのバラツキ、モビリティ
ー、音響電気効果特性を測定し、得られた結果を表1に
示す。なお、音響電気効果特性は下記のようにして評価
した。 (音響電気効果特性)ZnO単結晶を、c面を頂面及び
底面とする3×3×5mmの直方体(c軸方向が5m
m)に加工し、これら2つのc面のいずれか一方のc面
から、一定のエネルギーを有する超音波パルスを垂直に
入射し、この際に得られる音響電気効果電圧値、及び音
響電気効果電圧値とピエゾ効果電圧値との比を測定し
た。なお、音響電気効果電圧値、音響電気効果電圧値と
ピエゾ効果電圧値との比は、両者共に大きい方が音響電
気効果特性として優れている。
結晶につき、電気伝導度及びそのバラツキ、モビリティ
ー、音響電気効果特性を測定し、得られた結果を表1に
示す。なお、音響電気効果特性は下記のようにして評価
した。 (音響電気効果特性)ZnO単結晶を、c面を頂面及び
底面とする3×3×5mmの直方体(c軸方向が5m
m)に加工し、これら2つのc面のいずれか一方のc面
から、一定のエネルギーを有する超音波パルスを垂直に
入射し、この際に得られる音響電気効果電圧値、及び音
響電気効果電圧値とピエゾ効果電圧値との比を測定し
た。なお、音響電気効果電圧値、音響電気効果電圧値と
ピエゾ効果電圧値との比は、両者共に大きい方が音響電
気効果特性として優れている。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示すように、本発明の範囲に属する
実施例1〜7のZnO単結晶は優れた性能を有し、ま
た、結晶成長の割合いも良好であることがわかる。これ
に対し、比較例1〜4のZnO単結晶は、音響電気効果
特性に劣ったり、結晶成長の割合が低いことがわかる。
実施例1〜7のZnO単結晶は優れた性能を有し、ま
た、結晶成長の割合いも良好であることがわかる。これ
に対し、比較例1〜4のZnO単結晶は、音響電気効果
特性に劣ったり、結晶成長の割合が低いことがわかる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アンモニウムイオンを用いることにしたため、音響電気
効果素子として用いるに適当な電気伝導度等の特性を有
する圧電性半導体及びその製造方法を提供することがで
きる。従って、本発明は圧電性半導体は、音響電気効果
型探触子材料として好適に使用できるほか、超音波増幅
材料、弾性表面波フィルター、圧電トランスデューサ
ー、低速電子線発光用蛍光体等にも利用することができ
る。
アンモニウムイオンを用いることにしたため、音響電気
効果素子として用いるに適当な電気伝導度等の特性を有
する圧電性半導体及びその製造方法を提供することがで
きる。従って、本発明は圧電性半導体は、音響電気効果
型探触子材料として好適に使用できるほか、超音波増幅
材料、弾性表面波フィルター、圧電トランスデューサ
ー、低速電子線発光用蛍光体等にも利用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る育成容器の一例を示す略示的斜視
図である。
図である。
【図2】本発明に係る結晶育成装置の一例を示す略示的
断面図である。
断面図である。
1 ZnO焼結体 3 バッフル板 5 フレーム 7 ZnO種結晶 9 Pt線 10 育成容器 12、12’ 熱電対挿入部 14 原料充填部 16 結晶育成部 18、18’ 熱電対 20 オートクレーブ 22 蒸留水 24 キャップ 30 電気炉 32、34 熱電対
Claims (6)
- 【請求項1】 酸化亜鉛(ZnO)を主成分とする単結
晶から成る圧電性半導体であって、10-6〜10-111
/Ω・cm(但し、10-61/Ω・cmを除く。)の電
気伝導度を有することを特徴とする圧電性半導体。 - 【請求項2】 30cm2 /V・sec以上のモビリテ
ィーを有することを特徴とする請求項1記載の圧電性半
導体。 - 【請求項3】 単結晶内における電気伝導度のバラツキ
が1021/Ω・cm以内であることを特徴とする請求
項1又は2記載の圧電性半導体。 - 【請求項4】 酸化亜鉛(ZnO)焼結体原料を容器下
部の原料充填部に、ZnO種結晶を容器上部の結晶育成
部にそれぞれ配置するとともに、アンモニウムイオン
(NH4 +)を含有するアルカリ溶媒を容器に充填し、原
料充填部の温度が結晶育成部の温度より高くなるように
容器内温度を制御して水熱条件下でZnO単結晶を育成
する圧電性半導体の製造方法であって、該アルカリ溶媒
に対して過酸化水素を混入することにより電気伝導度を
制御したことを特徴とする圧電性半導体の製造方法。 - 【請求項5】 酸化亜鉛(ZnO)焼結体原料中の不純
物重金属の総量を、0.01重量%以下に制御すること
を特徴とする請求項4記載の圧電性半導体の製造方法。 - 【請求項6】 原料充填部と結晶育成部の温度差を、製
造過程の前半より後半に小さくなるようにしたことを特
徴とする請求項4又は5記載の圧電性半導体の製造方
法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5070416A JPH06279192A (ja) | 1993-03-29 | 1993-03-29 | 圧電性半導体及びその製造方法 |
US08/112,529 US5393444A (en) | 1992-09-08 | 1993-08-27 | Piezoelectric semiconductor |
CA002105258A CA2105258C (en) | 1992-09-08 | 1993-08-31 | Piezoelectric semiconductor and process for production thereof |
EP93307055A EP0587407A3 (en) | 1992-09-08 | 1993-09-07 | Piezoelectric semiconductor and process for production thereof |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5070416A JPH06279192A (ja) | 1993-03-29 | 1993-03-29 | 圧電性半導体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06279192A true JPH06279192A (ja) | 1994-10-04 |
Family
ID=13430853
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5070416A Withdrawn JPH06279192A (ja) | 1992-09-08 | 1993-03-29 | 圧電性半導体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06279192A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1317427C (zh) * | 2004-07-23 | 2007-05-23 | 清华大学 | 一种用水热法生长氧化锌单晶体的方法 |
WO2009122974A1 (ja) * | 2008-04-04 | 2009-10-08 | 株式会社福田結晶技術研究所 | 酸化亜鉛単結晶およびその製造方法 |
WO2009130987A1 (ja) * | 2008-04-26 | 2009-10-29 | ユーエムケー・テクノロジー株式会社 | 酸化亜鉛単結晶基板の製造方法及びその方法により育成された単結晶基板並びにその基板上に成膜した半導体発光素子 |
JP2009286856A (ja) * | 2008-05-27 | 2009-12-10 | Fukuda Crystal Laboratory | シンチレータ材料とその製造方法、及び、電離放射線検出器 |
JP2010070423A (ja) * | 2008-09-19 | 2010-04-02 | Tokyo Denpa Co Ltd | 高抵抗酸化亜鉛単結晶、およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-03-29 JP JP5070416A patent/JPH06279192A/ja not_active Withdrawn
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1317427C (zh) * | 2004-07-23 | 2007-05-23 | 清华大学 | 一种用水热法生长氧化锌单晶体的方法 |
WO2009122974A1 (ja) * | 2008-04-04 | 2009-10-08 | 株式会社福田結晶技術研究所 | 酸化亜鉛単結晶およびその製造方法 |
JP2010053017A (ja) * | 2008-04-04 | 2010-03-11 | Fukuda Crystal Laboratory | 酸化亜鉛単結晶およびその製造方法 |
US20110117349A1 (en) * | 2008-04-04 | 2011-05-19 | Fukuda Crystal Laboratory | Zinc oxide single crystal and method for producing the same |
EP2264227A4 (en) * | 2008-04-04 | 2013-05-29 | Fukuda Crystal Lab | ZINC OXIDE CRYSTAL AND METHOD OF MANUFACTURING THEREOF |
WO2009130987A1 (ja) * | 2008-04-26 | 2009-10-29 | ユーエムケー・テクノロジー株式会社 | 酸化亜鉛単結晶基板の製造方法及びその方法により育成された単結晶基板並びにその基板上に成膜した半導体発光素子 |
JP2009286856A (ja) * | 2008-05-27 | 2009-12-10 | Fukuda Crystal Laboratory | シンチレータ材料とその製造方法、及び、電離放射線検出器 |
JP2010070423A (ja) * | 2008-09-19 | 2010-04-02 | Tokyo Denpa Co Ltd | 高抵抗酸化亜鉛単結晶、およびその製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000530 |