JPH07138094A - 酸化亜鉛単結晶の育成方法 - Google Patents

酸化亜鉛単結晶の育成方法

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JPH07138094A
JPH07138094A JP5286894A JP28689493A JPH07138094A JP H07138094 A JPH07138094 A JP H07138094A JP 5286894 A JP5286894 A JP 5286894A JP 28689493 A JP28689493 A JP 28689493A JP H07138094 A JPH07138094 A JP H07138094A
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zno
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single crystal
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Yuji Asai
裕次 浅井
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 種結晶の縮小化を抑制し、効率よく結晶成
長させることができるZnO単結晶の育成方法を提供す
る。 【構成】 水熱合成法を利用したZnO単結晶の育成
方法である。それぞれ溶解速度の異なるZnO原料を育
成容器下部の原料充填部に充填し、種結晶を育成容器上
部の結晶育成部に設置する。原料充填部が結晶育成部よ
り高温になるように、温度調整を行い、ZnO単結晶を
育成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化亜鉛単結晶の育成
方法に係り、更に詳細には、音響電気効果素子として好
適に用いることができるZnO単結晶の育成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】酸化亜鉛(ZnO)は、化学組成がZn
過剰のn形半導体であり、また、その結晶構造から圧電
体としても注目されてきた物質である。ZnOの単結晶
化に関しては、「高純度ZnO単結晶の水熱育成とスト
イキオメトリーの評価」(坂上 登著、昭和63年2
月、秋田高専研究紀要第23号)が報告されている。こ
の文献には水熱合成法によるZnO単結晶の育成が記載
されており、この育成法によれば、結晶育成容器の下部
と上部とをバッフル板を用いて区画し、それぞれを原料
充填部と結晶育成部とに割当て、ZnO焼結体を原料充
填部に配置し、一方、ZnO種結晶を結晶育成部に配置
し、次いで、この育成容器に、KOHとLiOHから成
るアルカリ溶媒を充填する。
【0003】そして、この状態で、結晶育成容器内を3
70〜400℃の育成温度、700〜1000kg/c
2の圧力に制御してZnO単結晶を育成するが、原料
充填部が結晶育成部より10〜15℃高くなるように設
定して育成を行う。また、この際、バッフル板を介在さ
せて原料充填部と結晶育成部とを区画することにより、
この両者に温度差を有意に生じさせ、高温部である原料
充填部でZnO焼結体を上記アルカリ溶媒に溶解させ、
熱対流を利用してこれを輸送し、低温部である結晶育成
部でZnOを種結晶上に析出させ、ZnOの単結晶を育
成するものである。
【0004】このような育成法の昇温過程においては、
温度上昇とともにZnOの溶解度も増大するため、原料
だけではなく種結晶の溶解も進行することになる。一
方、種結晶の溶解は、該種結晶が配置されている結晶育
成部が飽和状態になって初めて停止する。そのため、昇
温過程においても、原料充填部の温度が結晶育成部の温
度より常に高くなるように操作し、原料充填部でアルカ
リ溶媒に溶解したZnOを熱対流により結晶育成部に輸
送するようにして、結晶育成部が早期に飽和状態になる
ように努め、種結晶の溶解を防止しようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の育成法においては、原料たるZnO焼結体と
しては、酸素雰囲気下1100℃で24時間焼成したも
のを用いており、このZnO焼結体は固く焼き締まって
いる。このような焼結体は、育成時において、結晶育成
部の過飽和度を大きくし過ぎないように制御するには適
当であるが、その溶解度が大きくないため、上記昇温過
程においては、あまり好ましいものではない。
【0006】即ち、昇温過程においては、温度上昇に伴
うZnOの溶解度増大に対し、熱対流による原料充填部
からのZnイオンの供給だけでは、結晶育成部が飽和状
態に達しないため、結晶育成部に配置した種結晶からZ
nOが溶解して結晶育成部を飽和状態にしようとする。
そのため、種結晶が縮小化し、育成される単結晶として
も小さくなるばかりか、最悪の場合には、貴金属線を貫
通させて吊下げ配置していた種結晶が、その貫通孔の溶
解による切れ等により落下し、育成不能になる場合があ
るという課題があった。
【0007】本発明は、このような従来技術の有する課
題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、種結晶の縮小化を抑制し、効率よく結晶成長させる
ことができるZnO単結晶の育成方法を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究した結果、ZnO焼結体の特性を制
御することにより、上記課題が解決できることを見出し
本発明を完成するに至った。従って、本発明の酸化亜鉛
単結晶の育成方法は、ZnO単結晶を水熱合成法を用い
て育成するに当たり、(1) 夫々溶解速度の異なるZ
nO原料を育成容器下部の原料充填部に充填し、(2)
ZnO種結晶を、育成容器上部の結晶育成部に設置
し、(3) アルカリ溶媒を育成容器に充填し、次い
で、育成容器を封止し、(4) しかる後、原料充填部
が結晶育成部より高温となるように、育成容器内温度を
調整して昇温及び育成を行う、ことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の育成方法においては、夫々溶解速度の
異なるZnO原料を用い、特に、迅速に溶解するZnO
焼結体(b)を含むZnO原料を用いることにした。従っ
て、ZnO単結晶育成における昇温過程においては、焼
結体(b)が迅速に溶解し、熱対流により結晶育成部に輸
送され、結晶育成部を飽和又は過飽和状態にしようとす
る。よって、結晶育成部に配置した種結晶が、昇温過程
において溶解するのを抑制することができるため、種結
晶の縮小化や落下が防止でき、この結果、得られる単結
晶を大きくすることができるとともに、種結晶自体の大
きさを従来よりも小さくすることができ、コスト的に有
利である。
【0010】次に、本発明のZnO単結晶の育成方法に
ついて詳細に説明する。まず、ZnO単結晶を育成する
原料であるZnO焼結体としては、平均結晶粒径が10
μm以上のZnO焼結体(a)に、平均結晶粒径が2〜6
μmのZnO焼結体(b)を混入したものを用いることが
できる。
【0011】この焼結体(b)は、結晶粒径が小さいた
め、粒界成分が多く、また、密度が小さく、比表面積が
大きいので、溶解性が良好である。一方、焼結体(a)
は、結晶粒径が大きいため、粒界成分は少なく、また、
密度は理論密度に近く、結晶性が良好であるため、溶解
速度はあまり速くない。従って、ZnO単結晶育成にお
ける昇温過程においては、焼結体(b)が迅速に溶解し、
これが熱対流により結晶育成部に輸送され、結晶育成部
を飽和又は過飽和状態にしようとするため、種結晶の溶
解が生じない。
【0012】上記焼結体(b)の平均結晶粒径は、2〜6
μmの範囲にあるのが好ましく、平均結晶粒径が2μm
未満の場合は、粒界が優先的に溶解することにより、結
晶粒が焼結体から分離し易くなり、これが熱対流により
結晶育成部に輸送され、種結晶上に付着するので好まし
くない。また、平均結晶粒径が6μmを超えると溶解性
が低下するので好ましくない。一方、育成時において
は、焼結体の溶解性が高すぎると、結晶育成部の過飽和
度が大きくなりすぎる傾向があるため、焼結性の良好な
平均結晶粒径が10μm以上の焼結体(a)が適してい
る。
【0013】焼結体(b)は、例えば、約850〜100
0℃で5〜90分焼成することにより得ることができ、
焼結体(a)は、例えば、約1100〜1300℃で30
分以上焼成することにより得ることができる。なお、1
300℃以上で焼成することによっても、平均結晶粒径
が10μm以上の焼結体が得られるが、この場合、焼結
体内部にポア発生し、比表面積が大きくなるので好まし
くない。
【0014】これらの焼結体の形状としては、特に限定
されるものではないが、球状や円柱状とすることができ
る。球状の場合には、得られた焼結体のうち、1〜2m
m程度のものを選別するのがよい。また、焼結体(b)が
球状をなす場合には、溶解性を良好ならしめるべく、そ
の直径が0.1〜2mm程度であるのが好ましい。0.
1mm未満の場合には、焼結体自体がアルカリ溶媒中に
浮遊し、熱対流により結晶育成部に輸送され、種結晶上
に付着するので好ましくない。
【0015】そして、上記ZnO焼結体を、Ag又はP
t等を内部に被覆した育成容器内、あるいはAg又はP
t等で作製された育成容器内に充填する。この際、焼結
体(b)の充填量としては、ZnO単結晶の育成条件下、
即ち、代表的には、360〜400℃、700〜100
0kg/cm2の条件下におけるZnOの溶解量の0.
3〜3倍程度とするのが好ましい。0.3倍未満では、
結晶育成部へのZnイオンの供給量が少なすぎて飽和に
達せず、種結晶の落下を招く場合があり、3倍を超える
と、昇温過程において焼結体の溶解が終了せず、育成過
程においても溶解性の高い焼結体(b)により、結晶育成
部の過飽和度が大きくなりすぎることがあるため好まし
くない。
【0016】次に、該容器内にバッフル板を設置して、
ZnO焼結体を充填した原料充填部とZnO種結晶を配
置する結晶育成部とに区画する。次いで、ZnO種結晶
を該容器内上方の結晶育成部に配置する。この種結晶と
しては、気相成長法で作製した単結晶も用いることがで
きるが、気相成長法によるZnO単結晶にはLiが入っ
ていないため、その結晶を用いて水熱合成法により育成
を行うと、種結晶と結晶成長する育成部との整合性が悪
くなることから、水熱合成法により得られた結晶を用い
るのがよい。
【0017】ここで、ZnO焼結体のうち、焼結体(b)
については、結晶育成部に配置した種結晶のうち最下部
に位置する種結晶とバッフル板との間に介在させること
もできる。この介在させる位置は、結晶育成部では迅
速、且つ最も高温になる部分であるため、この場合、結
晶育成部では焼結体(b)が優先的に溶解し、結晶育成部
を一層迅速に飽和又は過飽和状態にすることができる。
【0018】介在のさせ方としては、特に限定されるも
のではないが、通常は、バッフル板上にZnO焼結体
(b)を載置すればよい。但し、Znイオンの熱対流を妨
げることがないように配置するのが好ましい。また、こ
れ以外にも、焼結体を種結晶と同様に吊下げ配置するこ
とも可能であり、更に、貴金属製の籠に焼結体を充填
し、この籠を上述のように載置又は吊下げてもよい。
【0019】次に、2〜6mol/lのKOHと1〜3
mol/lのLiOHとから成るアルカリ溶媒を、該容
器に注入する。注入の割合は、該容器の容積の約80%
とするのが好ましい。なお、このアルカリ溶液を注入す
る際、得られるZnO単結晶を高純度化するために、更
にH22を注入してもよい。但し、この場合には、H2
2の酸化剤としての性質を考慮して、育成容器内部を
Ptで被覆するか又は、育成容器自体をPtで作製する
必要がある。
【0020】次に、該育成容器を他の容器、例えばオー
トクレーブ内に設置し、圧力媒体をこのオートクレーブ
内に充填して該容器を浸漬する。この圧力媒体として
は、高温高圧下で腐食性の弱い物質であればよく、蒸留
水が好ましい。かかる圧力媒体は、育成容器をオートク
レーブ内に設置した際に残存する内容積(以下、「フリ
ー内容積」という。)に対する充填率に応じて、その育
成温度にて圧力を発生するが、この圧力が育成容器内の
圧力と同等あるいは若干高めになるように、圧力媒体の
充填率を調整することにより育成容器を保護する機能を
果たす。上記の溶媒及び溶媒濃度において、圧力媒体と
して蒸留水を用いる場合には、その充填率は、オートク
レーブのフリー内容積の約60〜80%程度とするのが
よい。
【0021】次に、該オートクレーブを加熱炉内に設置
し、上記育成容器の温度を上昇させて、上記結晶育成部
と原料充填部とを所定温度に加熱する。この際、結晶育
成部の温度を原料充填部の温度より約5〜25℃低くす
るのがよい。即ち、結晶育成部の温度は360〜400
℃、原料充填部温度は380〜420℃とするのが好ま
しい。そして、この状態のまま10〜30日間定常運転
して結晶を育成し、その後、加熱炉を停止して室温に下
げ、ZnO単結晶を取り出す。
【0022】ここで、得られるZnO単結晶を、圧電性
半導体、特に音響電気効果型探触子材料、超音波増幅材
料及び圧電トランスデューサー等に利用する適性を向上
させるためには、上記注入するH22の濃度を適宜調整
して、ZnO単結晶の電気伝導度を10-3〜10-61/
Ω・cm程度に調整することができる。この場合、H2
2濃度をアルカリ溶媒1lに対して0.02〜0.1
mol未満とするのがよい。
【0023】また、H22濃度を上記の値より大きくし
てZnO単結晶を育成し、育成後の単結晶にAl等の3
価金属をドープして電気伝導度を上記の値に調整するこ
とも可能である。H22濃度がアルカリ溶媒1lに対し
0.1mol以上の場合には、ZnO単結晶中に15〜
120ppmのAlを拡散させれば、ZnO単結晶の電
気伝導度を10-3〜10-61/Ω・cmに調整すること
ができる。拡散方法としては、例えばAl(OH)3
はAl2(CO33溶液中にZnO単結晶を浸漬し、次
いで、大気中又はO2気流中700〜1000℃で25
〜300hr拡散処理すればよい。溶液濃度はZnO単
結晶の大きさ及び溶液量によって異なるが、ZnO単結
晶の大きさが5×5×5mmの大きさで、溶液量が5m
lの場合には、Al濃度が50〜200ppmの溶液を
用いるのがよい。
【0024】更に、H22を用いずに育成したZnO単
結晶の場合においても、ZnO単結晶中にLiを15〜
120ppm拡散させれば、ZnO単結晶中の電気伝導
度を10-3〜10-61/Ω・cmに調整することができ
る。拡散方法としては、例えば、LiOH溶液中にZn
O単結晶を浸漬し、次いで、大気中又はO2気流中80
0〜1000℃で100〜300hr拡散処理すればよ
い。溶液濃度はZnO単結晶の大きさ及び溶液量によっ
て異なるが、ZnO単結晶が5×5×5mmの大きさ
で、溶液量が5mlの場合にはLi濃度が50〜200
ppmの溶液を用いるのがよい。
【0025】また、上述の如く、ZnO単結晶を音響電
気効果型探触子材料等に適用する際には、30cm2
V・sec以上のモビリティー(キャリアの移動度)を
有し、該単結晶内における電気伝導度のバラツキが10
21/Ω・cm以内であることが一層好ましい。モビリ
ティーの調整は、上述の育成方法のZnO焼結体の焼成
において、予め不純物重金属を除去することにより行う
ことができる。従来の方法ではZnO単結晶中にPb等
の不純物が混入し、モビリティーを下げることがあっ
た。Pbは、ZnO粉末中に約50ppm含まれている
が、例えば、Znの蒸留を繰り返し、高純度のZnを精
製した後、このZnを用いて高純度のZnO粉末を製造
することにより除去できる。
【0026】更に、本発明に係るZnO単結晶を音響効
果型探触子材料に使用する場合には、原料充填部と結晶
育成部との温度差△Tを、育成過程の前半より後半に小
さくなるように制御して、電気伝導度のバラツキを10
21/Ω・cm以内にすることができ、このように処理
するのが好ましい。この温度差△Tを、具体的には育成
期前半においては10〜25℃、後半においては5〜1
0℃とすることにより、電気伝導度のバラツキを抑制す
ることができる。
【0027】なお、ZnO単結晶を、上述のような音響
電気効果型探触子材料等の圧電性半導体に適用するに際
し、モビリティーを30cm2/V・sec以上に制御
することにより、電気伝導度が10-6〜10-111/Ω
・cmのZnO単結晶を当該用途に好適に使用すること
ができる。また、この場合には、上記アルカリ溶媒のL
iOHをNH4OHと代替して、育成を行うのが好まし
い。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により詳細
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例1〜10) (単結晶の育成)ZnO粉末500gと蒸留水500g
とを混合した後、2〜3mmの球状に成形し、100℃
で2時間乾燥させた。得られた球状乾燥体を、酸素雰囲
気下、Al23容器中1100℃で24時間焼結し、得
られたZnO焼結体から直径1〜2mmのものをふるい
分けして選別し、焼結体(a)を得た。一方、上記球状乾
燥体を、酸素雰囲気下、表1〜2に示す条件で焼成し、
直径1〜2mm又は0.1〜1mmのものをふるい分け
して選別し、焼結体(b)を得た。
【0029】200gのZnO焼結体(a)と、表1〜表
2に示す添加量の焼結体(b)とから成るZnO焼結体1
を、図1に示す育成容器10に充填した。この育成容器
10は、熱電対挿入部12、12’を備え、内径30m
m×高さ350mmのほぼ円筒形状をなし、内容積は2
50mlであり、また、その内部にはPtが被覆されて
いる。次いで、育成容器10内に開孔率5%のバッフル
板3を設置して、該容器10内を原料充填部14と結晶
育成部16とに区画した。そして、Ptフレーム5に、
A形状;1×2×5mm、又はB形状;0.5×2×5
mmのZnO種結晶7を15個吊り下げ、このフレーム
5を上記結晶育成部16に配置した。この際、種結晶7
に貴金属線の一例であるPt線9を貫通させ、このPt
線9の両端をフレーム5に締結することにより、種結晶
7をフレーム5に固定した。
【0030】次いで、育成容器10に、3mol/lの
KOHと1.5mol/lのLiOHとから成るアルカ
リ溶媒を注入した。アルカリ溶媒の注入量は、育成容器
10のフリー容積、即ち、該容器にZnO焼結体及びバ
ッフル板等を配置した際に残存する容積の80%とし
た。そして、更に、アルカリ溶媒1lに対して0.06
molのH22を注入した。この際、結晶育成部16に
は、約100mlのアルカリ溶媒が注入されていること
になる。
【0031】次いで、図2に示すように、育成容器10
をオートクレーブ20内に設置し、熱電対18、18’
を配置した後に、オートクレーブ20に蒸留水22を注
入した。注入量はオートクレーブ20のフリー内容積、
即ち、オートクレーブ20内に育成容器10を配置した
際に残存する容積の70%とした。次に、オートクレー
ブ20をキャップ24により封止し、このオートクレー
ブ20を電気炉30内に設置した。この電気炉30は、
育成温度の微調整を可能にすべく上下2段型の構成とな
っており、かつ、熱電対32、34を備えている。
【0032】次いで、結晶育成部16の温度が、原料充
填部14の温度より常に低くなるようにして昇温し、結
晶育成部を380℃、原料充填部を395℃に昇温し
た。このままの状態で20日間定常運転し、その後に電
気炉を室温に下げてから、ZnO単結晶を取り出した。
【0033】(比較例1及び2)焼結体(b)の平均結晶
粒径及び焼成条件を変化させた以外は、実施例1〜10
と同様の操作を行った。 (比較例3及び4)焼結体(b)を添加しなかった以外
は、実施例1〜10と同様の操作を行った。
【0034】(性能評価)上記各例で得られたZnO単
結晶につき、厚さを測定し、その平均値(15個)を表
1〜2に示す。育成中に溶解していた種結晶の個数を併
記する。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表1〜2に示したように、本発明の範囲に
属する実施例1〜10においては、種結晶は1個も溶解
していないことがわかる。種結晶の厚さの減少率が従来
法に比し著しく小さいことがわかる。このことから、種
結晶の厚さを、従来法と比較して1/2〜1/3程度薄
くすることが可能となる。
【0038】なお、表1〜2において、Rは、ZnO焼
結体(b)の充填量と、上記育成条件下におけるZnOの
理論上の溶解量との比率を示したもので、具体的には次
式で表される。 R=ZnO焼結体(b)の充填量/(結晶育成部16に存
在するアルカリ溶媒の量×比重×上記条件でのZnOの
溶解度)
【0039】ここで、実施例1〜10並びに比較例1及
び2の場合、結晶育成部16に充填されたアルカリ溶媒
の量は約100ml、その比重は1.15、ZnOの溶
解度は約3重量%であるから、上式は以下に示すように
なる。 R=ZnO焼結体2の充填量(g)/(100(ml)×1.
15×3(wt%))・・・ (実施例1〜10、比較例1及び2)
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ZnO焼結体の特性を制御することとしたため、水熱合
成法による単結晶の育成に際し、種結晶の縮小化を抑制
し、効率よく結晶成長させることができるZnO単結晶
の育成方法を提供することができる。即ち、育成に際
し、種結晶の溶解がほとんど進行しないため、種結晶の
大きさを最小限に押さえることができ、経済的に有利で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る育成容器の一例を示す略示的斜視
図である。
【図2】本発明に係る結晶育成装置の一例を示す略示的
断面図である。
【符号の説明】
1 ZnO焼結体、3 バッフル板、5 フレー
ム、7 ZnO種結晶、9 Pt線、10 育成
容器、12、12’ 熱電対挿入部、14原料充填部、
16 結晶育成部、18、18’ 熱電対、20
オートクレーブ、22 蒸留水、24 キャップ、
30 電気炉、32、34 熱電対

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ZnO単結晶を水熱合成法を用いて育成
    するに当たり、(1) 夫々溶解速度の異なるZnO原
    料を育成容器下部の原料充填部に充填し、(2) Zn
    O種結晶を、育成容器上部の結晶育成部に設置し、
    (3) アルカリ溶媒を育成容器に充填し、次いで、育
    成容器を封止し、(4) しかる後、原料充填部が結晶
    育成部より高温となるように、育成容器内温度を調整し
    て昇温及び育成を行う、 ことを特徴とするZnO単結晶の育成方法。
  2. 【請求項2】 平均結晶粒径が10μm以上のZnO焼
    結体(a)と平均結晶粒径が2〜6μmのZnO焼結体(b)
    とを含有するZnO原料を、上記原料充填部に充填する
    ことを特徴とする請求項1記載の育成方法。
  3. 【請求項3】 ZnO焼結体(a)の直径が1〜2mmで
    あり、ZnO焼結体(b)の直径が0.1〜2mmである
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の育成方法。
  4. 【請求項4】 ZnO焼結体(b)の充填量が、ZnO単
    結晶の育成条件下におけるZnO溶解量の0.3〜3倍
    であることを特徴とする請求項1〜3項のいずれか1つ
    の項に記載の育成方法。
JP5286894A 1993-11-16 1993-11-16 酸化亜鉛単結晶の育成方法 Withdrawn JPH07138094A (ja)

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