JP4236076B2 - リチウムタイタネート微小焼結粒の製造方法 - Google Patents

リチウムタイタネート微小焼結粒の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウムタイタネート焼結粒の製造法に関し、特に、その中に原料粉末が分散されたゲル粒を湿式造粒法により成形し、成形されたゲル球を乾燥及び焼結してリチウムタイタネート(LiTiO) の微小(fine)焼結粒を得る改良された方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−265222号公報には、原料粉末を分散したゲル粒を湿式造粒法で成形し、このゲル粒から焼結粒を得る酸化リチウム(LiO)焼結粒の製造方法が開示されている。
【0003】
このように焼結に先立つ造粒法としてゲル化による湿式造粒法を利用すると、溶融造粒法や転動造粒法による場合に比べて微小な粒径の焼結粒を容易に得ることができるだけでなく、溶融造粒法の場合の原料粉末の加熱溶融中にルツボからの不純物で加熱溶融物が汚染される欠点や、転動造粒法の場合の回転ドラムで得られる真球度に限界があったり粒径分布が広がったりする欠点が回避され、粒径を容易に寸法制御して微小サイズの焼結粒を量産することができる利点がある。
【0004】
上記特開平10−265222号公報に開示された方法では、ゲル化可能なバインダー水溶液として水酸基を有する水溶性高分子樹脂化合物を用い、これに原料粉末を分散させて凝固浴に滴下することによりゲル粒とし、このゲル粒を乾燥および焼結して焼結粒を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法においては、直径 0.1〜 0.3mm程度という非常に微小なリチウムタイタネート焼結粒を製造しようとした場合には、滴下原液の原料粉末濃度を低くするなどして粘性を低くしなければ、微小な液滴を滴下することが困難であった。
【0006】
しかし、粘性の低い滴下原液では、脆弱で壊れやすい液滴となるため、バインダー水溶液をゲル化させる液浴中に滴下する際の衝撃で潰れやすく、サイズの揃った微小な球状リチウムタイタネート焼結粒を多量に得るのは困難であった。
【0007】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、粘性の低い滴下原液を用いても、滴下時に潰れることなく良好に真球状の高いゲル球を形成でき、極めて微小な球状リチウムタイタネート焼結粒が容易に得られる製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るリチウムタイタネート微小焼結粒の製造方法では、リチウム及びチタンを含む原料粉末からリチウムタイタネート焼結粒を製造する方法であって、バインダー水溶液中に前記原料粉末を分散させた分散液を調製する原液調整工程と、前記分散液をノズルを通して滴下することにより前記分散液の液滴を形成する液滴形成工程と、前記バインダー水溶液との接触で該バインダー水溶液をゲル化させる液浴上に該液浴より比重が軽く且つ互いにおよび液滴とも混合しない緩衝液から成り、液滴の滴下時の衝撃を吸収緩和できる緩衝液層を形成しておき、該緩衝液層上に前記液滴を滴下して前記液浴中に沈降させ、前記液浴中に浸漬することにより内部に前記原料粉末が分散された球状湿潤ゲル粒を形成する凝固工程と、前記球状湿潤ゲル粒を乾燥する乾燥工程と、乾燥後のゲル粒を仮焼して前記バインダーが除去された球状リチウムタイタネート微小粒を得る仮焼工程と、前記球状リチウムタイタネート微小粒を焼結する焼結工程と、を備えたものである。
【0009】
以上のような各工程を備えた本発明の方法では、先ず始めにバインダー水溶液中に原料粉末が混合・分散された分散液、即ち滴下原液が調製される。この分散液はノズルを通して滴下され、これにより該分散液の液滴が形成される。この液滴は、ノズルから滴下される間に分散液の表面張力により球状に整えられる。
【0010】
この球状の液滴は、そのバインダー水溶液をゲル化させ得る液浴中に滴下され、液浴との接触で液滴のバインダー水溶液がゲル化され、原料粉末が内部に均一に分散された湿潤ゲル粒が液浴中で形成されるものであるが、本発明においては、液浴上に緩衝液層を形成しておくものであるため、滴下された液滴はこの緩衝液層に着水してから下層の液浴中に沈降してここでゲル化されるので、液滴の滴下時の衝撃は吸収され緩和される。
【0011】
従って、極めて微小な球状リチウムタイタネート微小粒を得るために原料粉末の含有濃度を低くした粘性の低い滴下原液からなる脆弱な液滴であっても、滴下時に潰れることなく、滴下中に原液の表面張力により得られた真球性の高い形状を良好に維持したままゲル化工程に移行することができ、従来は困難であった直径 0.1〜 0.3mmという微小なリチウムタイタネートゲル粒を容易に且つ安定に製造することができる。
【0012】
かくして形成された湿潤ゲル粒は真球性の高い球状を呈し、これは、液浴中で浸漬状態に保持されて熟成される。次いで湿潤ゲル球は液浴から取り出され、乾燥処理に付して水分が取り除かれた乾燥ゲル球とされる。この乾燥ゲル球は仮焼に付され、これにより該ゲル球からバインダーが熱分解によって取り除かれ、不純物の除去された球状リチウムタイタネート粒となる。
【0013】
この球状リチウムタイタネート粒は最終的に焼結処理に付されてリチウムタイタネート微小焼結粒となる。このように、滴下時に潰れることなく真球性の高い形状のままゲル化、熟成されたゲル球は、乾燥後の仮焼工程及び焼結工程でバインダーが全て取り除かれれば、最終的に得られるのは極めて微小な粒径でありながらも、揃って高純度で真球性の高いリチウムタイタネート焼結粒となる。
【0014】
上記方法の原液調整工程においては、原料粉末を分散させるバインダー溶液として、仮焼工程及び焼結工程での加熱処理で完全に取り除かれるものを選択する。例えば、水酸基を有する水溶性高分子樹脂化合物を水に溶解させたものは最適なものの一つであり、なかでも、ポリビニルアルコールやデキストリン等のように、特定の条件下においてゲル化し、比較的低温度で焼散して取り除くことができる物質が挙げられる。
【0015】
また、上記高分子樹脂化合物水溶液の濃度は、高分子樹脂化合物の種類及び後の凝固工程における液浴との反応性を考慮して最適な濃度に調整すると良い。例えば、高分子樹脂化合物としてポリビニルアルコールを用い流場合には、ゲル化させ得る液浴としてアセトン又はメタノールが挙げられるが、アセトンを用いる場合ではポリビニルアルコールの濃度を4wt%とするのが好ましいし、別の例としては高分子樹脂化合物としてデキストリンを用い、液浴としてエタノールを用いる場合では、デキストリンの濃度を30wt%とするのが好ましい。勿論、本発明はこれに限定されるものではなく、用いる高分子樹脂化合物の種類とそれに対応する液浴の種類とは適宜変更することが可能である。
【0016】
バインダー水溶液中に分散させる原料粉末としては酸化チタン(TiO)およびリチウムタイタネート(LiTiO) の混合粉末を用いることができ、製品のチタン含有量を増加したい場合には酸化チタン粉の添加量を増加する。また、リチウムタイタネート粉末単独からなる原料粉末を使用することもできる。
【0017】
バインダ−水溶液中に分散させる原料粉末の量は、後の液滴形成工程で形成させるべき液滴の大きさと、最終的に必要なリチウムタイタネート焼結粒の粒径との兼ね合い及び分散液の流動性とにより決定すると良い。例えば、液滴の大きさを、ノズルによる形成が比較的容易な範囲、例えば直径 0.1mm以上 3mm以下の範囲内とした場合、最終的に得られる焼結粒の粒径が所望の大きさとなるように、分散液中の原料粉末の量を0.1 wt%以上60wt%以下の範囲内で調整する。尚、この範囲とした理由は、原料粉末の量が0.1 wt%よりも少ないと、最小粒径においても乾燥工程における湿潤ゲル粒からの水分蒸発量が過大となってゲル粒にシワが生じ、最終的に真球性のよい焼結粒が得られ難く、逆に60wt%よりも多くなると分散液の粘性が高くなりすぎて、ノズルからの滴下が困難となるからである。
【0018】
液滴の形成に際しては、ノズルを用いて分散液を空中に滴下し、滴下中の分散液の表面張力により液滴を球状にしている。これに適したノズルとしては振動ノズルを用いることができ、場合によっては静電微粒化法も適用可能である。
【0019】
振動ノズルにより液滴を形成する場合、液滴の形成に際してノズルを或る振動周波数で振動するように付勢し、且つノズルの振動周波数及び/又はノズルを通る分散液の体積流量を調整することにより、液滴の直径を制御することが可能である。
【0020】
即ち、ノズルを通して吐出される分散液の流量をQ、液滴の直径をd、振動ノズルの振動周波数をfとすると、以下の式(1)が成り立つ。
【0021】
Q = (π/6) d・f ・・・(1)
従って、液滴の大きさは、分散液の流量Qと振動ノズルの振動周波数fとの一方又は両方を調節することにより、自由に制御することが可能である。なお、粒径dが 0.1mm以上 3mm以下の液滴を形成させる場合は流量Qを任意可変とし、振動ノズルの振動数fを10Hz以上1000Hz以下の範囲で調整することが好ましい。
【0022】
また、液滴形成工程において形成された液滴は、後段の凝固工程において、高分子樹脂化合物水溶液をゲル化させるゲル化剤が満たされた液浴中に浸漬されてゲル化し、湿潤ゲル球となる。このゲル化剤は、水溶性高分子樹脂化合物水溶液の種類に応じて決定されるものであり、高分子樹脂化合物中に分散する原料粉末が溶出しないものであることが重要な性質となる。例えば、高分子樹脂化合物がポリビニルアルコールの場合は、アセトン、メタノール、炭化水素、ジエチルエーテル等が挙げられ、デキストリンの場合は、エタノール、メタノール等が挙げられるがここでは特に限定しない。
【0023】
また、液浴上に形成される緩衝液層は、液浴のゲル化剤より比重が小さく且つ液滴およびゲル化剤と混合することなく、液滴の滴下時の衝撃を吸収緩和できる緩衝液面を形成しつつ液浴上層に滞留できる液体が選定される。例えば、バインダーとしてポリビニルアルコールを用い、そのゲル化剤として液浴にアセトンが選択された場合、緩衝液としてはケロシンが適したものとして挙げられる。常温近辺ではアセトンの比重が0.792g/cmであるのに対してケロシンの比重は0.790g/cmであり、また互いに混同しないため、密度の差は小さいものの液浴の上部にケロシンを注入すれば、アセトン液層の上部にケロシン液層が形成され、これが緩衝液層として作用する。
【0024】
また、液滴をゲル化する温度、即ち、液浴の温度は、常温若しくは常温より低い温度に調整する。好ましくは、25℃以下 -80℃以上とすると良い。なぜならば、25℃よりも高温であると、リチウムタイタネート微小焼結粒の真球性、密度等が低下するという問題が生じ、逆に、-80 ℃よりも低温であると、液滴の浸漬において割れが生じるという問題があるためである。
【0025】
また、液滴の浸漬時間は、製造の効率上短ければ短いほどよいが、浸漬時間が短いと乾燥工程においてゲル球が変形するため、ゲル化が完全に終了する時間以上とすると良い。ゲル化の反応速度は、液浴の温度、滴下原液の組成、液滴の大きさ及び液浴中のゲル化剤の濃度とにより決定されるので、好ましくは、それぞれの場合に応じて最適な時間を予め求めておき、それ以上の浸漬時間としてゲルを充分に熟成させると良い。
【0026】
ゲル化反応終了後、液浴中から取り出された湿潤ゲル粒は、その表面および内部に含まれる水分を除去するために乾燥処理に付される。乾燥工程は一般には大気中で自然乾燥もしくは加温送風乾燥により行うことができる。
【0027】
得られた乾燥ゲル球体は、仮焼工程において仮焼されるが、この際にゲル球体中のバインダーが焼散して取り除かれ、リチウムタイタネートの微小粒となる。従って、この時の仮焼温度は、バインダーの焼散温度で、さらに、焼散するのに要する時間だけ加熱する。
【0028】
仮焼の際に注意すべきは、微小粒中にリチウムタイタネートの有意な結晶粒成長が生じないようにすることである。リチウムタイタネートの有意な結晶粒成長は、900 ℃以上で起こるので、それよりも低い温度で仮焼するのが好ましい。例えばバインダーとしてポリビニルアルコールを用いた場合には、400 ℃より低いとポリビニルアルコールが充分に除去できないことも加えて、400 ℃以上 800℃以下の大気中、即ち酸素を含む雰囲気中で6時間以上12時間以下の加熱を行うのが好ましい。
【0029】
以上のような仮焼工程において得られたリチウムタイタネート仮焼球は、さらに、熱処理して焼結する。リチウムタイタネート仮焼球は焼結により高密度化すると同時に大きさも小さくなってリチウムタイタネート微小焼結粒となる。この焼結工程では、焼結雰囲気を、例えば、アルゴンガス等のような精製、混合調整されたガス中としてもよいが、特に精製、混合調整されたガスとする必要はなく、加熱された大気中で、言い換えると酸素を含む雰囲気中としても構わない。
【0030】
この時の焼結温度は、好ましくは、900 ℃以上1350℃以下とするとよく、その様な温度範囲内で15分以上10時間以下にわたって加熱するのが好ましい。焼結温度が900 ℃よりも低いと、焼結が十分に進行しないため好ましくなく、1350℃よりも高くなると、リチウムタイタネート微小焼結粒同士あるいは微小焼結粒と焼成トレーとが癒着を起こす可能性があるため好ましくない。また、焼結時間も15分より短いと十分に焼結されず、10時間よりも長いと、特に 0.1〜 0.3mmと極めて微小な粒径の場合、リチウムタイタネートの蒸発量が多くなり歩留まりが悪くなるため好ましくない。
【0031】
【実施例】
本発明の好適な一実施例としてのリチウムタイタネート微小焼結粒の製造方法を、直径 0.1〜 0.3mmという極めて微小な焼結粒を得るために、バインダーにポリビニルアルコール、ゲル化剤にアセトン、緩衝液にケロシンを用いた場合を例に図1のフローチャート図を参照して説明する。
【0032】
原液調整工程としてのステップS101では、まず始めにタンク2内において水8にポリビニルアルコールが加えられてインペラー4で混合され、4 wt%のポリビニルアルコールを含むバインダー水溶液12が準備された。
【0033】
次いでこれにリチウムタイタネート(LiTiO)粉末6が加えられてインペラー4でよく混合され、10wt%のリチウムタイタネート(LiTiO)粉末を含む 4wt%(分散液中のwt%)濃度のポリビニルアルコール水溶液からなる均一な分散液14、即ち滴下原液が調製された。この分散液14は、直径 0.1〜 0.3mmという極めて微小な焼結粒を製造するために比較的リチウムタイタネート粉末6の含有率を小さくした低粘度原液である。この調製された分散液14は滴下用容器10に移された。
【0034】
液滴形成工程としてのステップS102では、前記ステップS101において作成された分散液14が、容器10の下部に装着された振動ノズル16から滴下された。この振動ノズル16と容器10との間には分散液の滴下流量を制御するための送液ポンプ18が介装されている。また振動ノズル16には、ノズルを振動させるための振動機構が付設されており、この振動機構は、予め設定された所定の振動周波数で発振する発振器20と、この発振器20の出力を増幅するアンプ22と、アンプ22により増幅された励振出力でノズルに機械的振動を付与する加振器24とを備えている。
【0035】
本実施例では、内径 0.3mmの振動ノズル16が用いられ、発振器20から出力された振動周波数 300Hzの駆動信号によって振動させた。これらの液滴26は、次のステップS103で液浴中に滴下されてゲル化された。
【0036】
凝固工程としてのステップS103において、容器30は、ゲル化用の液浴としてのアセトン32が予め収容されると共にその上部にケロシンが注入されて緩衝液層34が分離・形成された。この容器30内の液浴(アセトン)32の温度は -30℃である。
【0037】
振動ノズル16からの液滴26は大気中で容器30内の液浴32の表面に向けて滴下されるが、まず、緩衝液層34に着水することによって滴下時の衝撃が吸収緩和されるため、低下中に表面張力で形成された真球性の高い球形状を維持したまま緩衝液層34を下降し、液浴32に達することができる。液浴32中に沈んだ液滴は液浴との反応によってゲル化されてゲル粒36が形成された。
【0038】
その後、液浴32は温度60℃に加温され、この温度で1時間に亙りゲル粒36が熟成された。図2には、ここで得られたゲル粒36が概念的に示されている。ゲル粒36はほぼ球形であり、バインダー水溶液のゲル化物、即ちポリビニルアルコール水溶液のゲル体35の中にはリチウムタイタネート粉末6が均一に分散されている。
【0039】
次に乾燥工程としてのステップS104では、熟成を終えた湿潤ゲル粒36が液浴32から取り出され、平鍋40内に移され、大気中、60℃にて2時間に亘り乾燥され、これにより実質的に水分の蒸散した乾燥ゲル粒46が得られた。尚、本実施例では、乾燥の方法として、上記条件の自然乾燥を採用したが、この乾燥の目的は、湿潤したゲル粒から水分を除去することであるため、例えば常温下または加熱下における自然乾燥又は送風乾燥など、任意の乾燥方法を採用することが可能である。
【0040】
次いで仮焼工程としてのステップ105では、乾燥ゲル粒46が平鍋40ごと図示しない加熱炉に入れられ、炉内の温度が徐々に昇温されて大気中にて 650℃で6時間の加熱処理により仮焼された。このとき乾燥ゲル粒46中のポリビニルアルコールが焼散除去され、乾燥ゲル粒はリチウムタイタネート(LiTiO)仮焼粒となった。
【0041】
引き続き焼成工程としてのステップS106では、上記加熱炉内(大気中)の温度を更に昇温して1350℃で4時間の焼結処理が実行された。この焼結処理によりリチウムタイタネート粒は縮径し、密度83%TD及び直径0.3 mmの真球性の高い微小焼結粒が多量に且つサイズ、形状共に揃ったものが得られた。図3は、この時の仮焼工程のステップS105及び焼結工程のステップS106の炉内の温度変化を経時的にグラフ化して示している。
【0042】
以上の製造方法によって得られたリチウムタイタネート微小焼結粒は、非常に粒径の小さいものでありながらも真球性が高く、また高密度で不純物の混入が極端に少なく高純度のものであり、安定して揃ったものが得られた。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるリチウムタイタネート微小焼結粒の製造方法においては、滴下時の衝撃が液浴上層の緩衝液層によって吸収緩和されるため、比較的原料粉末の含有率が低い低粘度の原料液体による液滴でも、潰れることなく真球性の高い球形状が維持されたまま液浴中に達し、ゲル化されるため、0.1 mm程度の極めて直径の小さいリチウムタイタネート微小焼結粒も、サイズおよび形状の揃ったものが安定して且つ効率よく製造できるという効果があり、リチウムタイタネート微小焼結粒の大量生産に適した方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る製造工程を模式的にを示すフローチャート図である。
【図2】本発明の方法で得られる湿潤ゲル球の概念図である。
【図3】仮焼及び焼結条件(炉内の温度変化)を示した線図である。
【符号の説明】
2:タンク
4:インペラー
6:原料粉末
8:水
10:滴下容器
12:バインダー水溶液
14:分散液
16:振動ノズル
18:ポンプ
20:発信器
22:アンプ
24:加振器
26:液滴
30:ゲル化容器
32:液浴
34:緩衝液層
35:ポリビニルアルコール水溶液体のゲル化体
36:湿潤ゲル球
40:乾燥容器
46:乾燥ゲル球

Claims (3)

  1. リチウム及びチタンを含む原料粉末からリチウムタイタネート焼結粒を製造する方法であって、
    バインダー水溶液中に前記原料粉末を分散させた分散液を調製する原液調整工程と、
    前記分散液をノズルを通して滴下することにより前記分散液の液滴を形成する液滴形成工程と、
    前記バインダー水溶液との接触で該バインダー水溶液をゲル化させる液浴上に該液浴より比重が軽く且つ互いにおよび液滴とも混合しない緩衝液から成り、液滴の滴下時の衝撃を吸収緩和できる緩衝液層を形成しておき、該緩衝液層上に前記液滴を滴下して前記液浴中に沈降させ、前記液浴中に浸漬することにより内部に前記原料粉末が分散された球状湿潤ゲル粒を形成する凝固工程と、
    前記球状湿潤ゲル粒を乾燥する乾燥工程と、
    乾燥後のゲル粒を仮焼して前記バインダーが除去された球状リチウムタイタネート微小粒を得る仮焼工程と、
    前記球状リチウムタイタネート微小粒を焼結する焼結工程と、を備えたことを特徴とするリチウムタイタネート微小焼結粒の製造方法。
  2. 前記緩衝液として、ケロシンを用いることを特徴とする請求項1に記載のリチウムタイタネート微小焼結粒の製造方法。
  3. リチウム及びチタンを含む原料粉末からリチウムタイタネート焼結粒を製造する方法であって、
    ポリビニルアルコールを含有するバインダー水溶液中に原料粉末を分散した分散液を調整し、
    前記分散液を10〜1000Hzの範囲内の予め定められた周波数で振動するノズルから滴下させて、 0.1〜0.3 mmの範囲内の直径をもつ液滴を形成し、
    上層のケロシン緩衝液と、25〜 -80℃の範囲内で調整された下層のアセトン液浴との二層液を収容した容器内に前記液滴を滴下し、該液滴を前記ケロシン緩衝液層に着水させてから沈降して前記アセトン液浴中に浸漬することにより前記液滴中のバインダー水溶液をゲル化させて内部に前記原料粉末が分散した球状湿潤ゲル粒を形成し、
    前記球状湿潤ゲル粒を前記アセトン液浴中で浸漬状態に保持してゲル粒を熟成し、
    前記熟成後の球状湿潤ゲル粒を前記液浴中から取り出して大気中で乾燥し、
    乾燥後のゲル粒を、大気中、400 〜 800℃の範囲内の仮焼温度で 1〜12時間に亙り加熱してポリビニルアルコールの除去されたリチウムタイタネート微小粒を得、
    前記リチウムタイタネート微小粒を、大気中、900 〜1350℃の範囲内の焼結温度で15分以上10時間以下に亙り焼結することを特徴とするリチウムタイタネート微小焼結粒の製造方法。
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